ミニ情報TOP→ 日本衣料管理協会TOP→ バックナンバー一覧(2003年度:第20巻〜)→
経済産業省製造産業局は、新しい「新繊維ビジョン」の策定について、2〜3月に作業を開始し、6月中にまとめるとした。具体的な形式、人選などは調整しているところだが、中国活用策をどう結びつけるかが、今回のポイントになるという。
経済産業省の今井製造産業局長は、「日本は国内に強靱な製造業を保持しなければならない」と強調すると共に、繊維産業の競争力強化に向けて、技術開発、輸出振興、国産品キャンペーン、SCM・IT化の推進、人材育成・活用、エネルギー削減などに取り組むと語った。
経済産業省は「商品トレ−サビリティの向上に関する研究会」を設置し、無線タグなど個別商品の履歴情報を保存できる情報媒体のコ−ド体系などの標準化に向けた検討を始めた。業種横断的に共通化・標準化すべきコ−ド体系や商品履歴情報の保存方法、必要となるデ−タモデルや技術・ル−ルにつき検討する。電波方式無線タグは、アパレル流通での実用化が始まっているが、商品のトレ−サビリティに対するニ−ズは、製品の品質管理やリサイクル促進、偽ブランド流通の防止、商品管理などの分野が想定され、大きな可能性が期待される。
経済産業省はファッションビジネスの創業・新事業展開に必要な人材育成システム開発の事業をたち上げる。02年度補正予算の柱の1つである「創業・起業型人材育成システム開発事業」の一環で、事業費は1億3,000万円。これまでの賃加工依存から脱し、自ら企画、直販などを行おうとする川中製造業者を支援する仕組みをつくるもので、「川中製造業者の自立支援に眼目がある」(繊維課)事業である。事業はファッション産業人材育成機構に委託、起業に必要なスキルを明確にし、分野・業種の違いも踏まえたスキル標準を策定、このスキル標準を満たすための教材やカリキュラム、教育手法を開発する。この育成システムは各地で研修を実施し検証する。研修会実施は複数のリソースセンターに再委託する。標準を策定するスキルは、起業・経営マネジメント全般、マーケティング、クリエーティブ・マネジメント、種々の専門知識など。
日本繊維輸入組合がまとめた02年の繊維品輸出概況によると、輸出総額は71億3,774万ドル(前年比2%減)原料関係では数量ベースで綿類が1%増、糸は3%減、織物は3%減。
02年アパレル輸入は過去数年続いてきた増勢に歯止めがかかり、数量で30億点を割り込んだ。中国をはじめ、アジア諸国からの輸入が軒並み減少。金額も前年比を下回る。平均単価は全体的にはほぼ下げ止まり傾向を示している。
経済産業省は、抗菌加工製品ガイドライン(98年12月策定)に基づくルールの策定状況について発表した。抗菌加工製品を製造する26団体のうち10団体がルールを策定、残り16団体のうち8団体が策定のための作業中、他は検討中である。繊維評価技術協議会のSEKマークなど3団体は独自のマークを作成している。
経済産業省は、産業構造審議会繊維産業分科会を開き、繊維産業の現状と政策対応について検討する。省庁再編に伴う審議会再編後、最初の開催となる。昨年、官民の繊維タスクフォースでまとめた「共通認識」に基づき、「守り」から「攻め」に転ずるための課題とその政策的支援について検討する。経済省は、その成果を04年度予算編成に反映させる。繊維産業分科会での検討は、技術開発や輸出振興など「攻め」のための構造転換への政策的支援がポイントになる見込みで、特に川中製造業が重点になりそうだ。
日本化学繊維協会がまとめた02年の世界の化学繊維生産は2,928万トンで、前年比5.9%増であった。主要国が総じて減少するなか、中国の増産ペースは続き、ついに全世界化繊生産の3分の1を占めるまでになった。増産をけん引するポリエステル長繊維では4割を占め、生産量では圧倒的な位置にあることを改めて知らされた。
グンゼはグレープフルーツ、黒コショウなどの香りとカフェインの効果で脂肪燃焼を助けるストッキングと肌着の新シリーズを発売する。カフェインが皮膚から体内に入ると中性脂肪の分解を促し、グレープフルーツなどの香りをかぐと交感神経が活性化し、分解した脂肪を燃焼させる効果を期待できるという。ストッキングは糸にカフェインを練り込み、香料を詰めた微小カプセルを付着。肌着類にはカフェインと香料とをカプセルにして付着させている。
カーギル・ダウLLC(本社米国ミネソタ州)は21日、トウモロコシの糖分から作られるポリ乳酸(PLA)を原料とする繊維を「INGEO」(インジィオ)と名付け、世界規模のマーケティング戦略を進めることを明らかにした。インジィオの意味は「地球から得られた素材」というもの。日本ではカネボウ合繊が「ラクトロン」、ユニチカグループが「テラマック」、クラレが「プラスターチ」などで商品開発を進めているが、原料価格の高さ、耐熱性の問題、「ブランドがばらばら」といった面もあり、市場拡大が課題となっていた。東レも含め世界の85社以上がすでにエントリーしている。
東京大学の舘教授らは、服を着た人間が、あたかも透明人間になったかのように見える画像投影システムを開発。服地は微細なガラス粒が付いていて、当たった光を全く同じ方向に反射する。いわば洋服がスクリーンで、これに人物の向こう側のカメラで撮影した景色を投影する。透明人間を見る人とカメラの位置関係が合わないと映像がずれるが、複数のカメラを利用すればある程度解決する。細かい作業が必要な外科手術では、メスなどを握る手そのものが視野を遮る邪魔物であるが、手術手袋に加工しておけば手術がかなり容易になるであろうという。
ザ・ウールマーク・カンパニーは洗濯機で洗え、しかもタンブル乾燥が可能な「トータル・イージーケア・ウール」ニット製品の普及に取り組んできたが、各段階のバイヤーがその供給パイプを容易に把握できるよう、現在ウールトップにのみ適用している供給者証明(ウールマーク・アクレディテーション・スキーム)を紡績業者や、さらにはニットウエア・アパレル、OEMニッターなどにも拡大していく。このプログラムは小売業者のトータル・イージーケア・ウールニット製品供給チャネル選定に大きく寄与し、同製品の普及促進に欠かせない条件、と同社では確信している。
蝶理は03〜04年秋冬から「ムガ」と呼ばれるゴールドのインド産のシルク製品を販売する。ムガはアッサム州だけに生息 する野生の蚕の繭から手紡ぎされるシルク。生成りで黄金の光沢を持つのが特徴。希少な繊維ということもあって、ストールなどに仕立てると小売価格は3万〜5万円になる。雑貨のほかアパレルヘの製品化も計画している。パシュミナのような一過性のブームに終わるのを避けるため、インド繊維省の中央シルク局ともタイアップし、日本で販売する商品に関してはムガである証明書を付けるなどの取り組みもする考え。
旭化成はジャケットをおにぎり大の大きさまで折り畳むことができる超軽量のナイロン生地を開発した。生地の糸を細くするなどの工夫を凝らし、重さを1uあたり30gと従来の約半分に軽量化することに成功した。開発した生地は、直径44μmのナイロンの極細糸を基本的に使うが、引張強さを補うため、やや太めのナイロン糸を極細糸の間に格子状に配列した。さらに特殊な織機を使って単位面積あたりの糸の密度を通常の生地の二倍弱に高めた。糸が細く、生地は約50μmと毛髪の半分程度の薄さで、折り畳んでもかさばらない。雨具などにこの生地を使えば、上着の胸ポケットに入るくらいになる。アパレルメーカー向けに販売する。
東洋紡は04春夏向けスポーツ素材の中で、春夏ならではの快適性実現を目指し開発したクーリング素材「ドライアイス」を打ち出す。「ドライアイス」はポリエステルレギュラー糸をポリエステル超偏平糸(タテ・ヨコの比率が1:5)でカバリングした複合糸使いのジャージー。肌との接触面積が大きい超偏平糸が体の熱を積極的に放出するほか、吸湿加工によって気化熱の放散が促進される。このため東洋紡によると、従来品に比べ接触冷感で1.5度、衣服内温度で 1度程度のクーリング効果が得られるところが特徴。この特性を春夏のスポーツウエア全般に売り込んでいき、先行する接触冷感ブランドのゾーンにぶつける。
東レはこのほど、「シルック」シリーズの新タイプ「シルックデュエット」を開発、03〜04年秋冬向けから本格的に販売する。開発コンセプトはタッチコンシャス・シルキー。手触り、風合いに重点を置いた。紡糸速度を高め た技術で基質がそれぞれ異なる単糸を形成し、織物表面に微細なループを付ける。この織物構造がまろやかなタッチと高発色を生み出す。加えて、繊維1本1本の中にミクロレベルの空気を含ませた構造が膨らみ感を作り出す。シルキー合繊第4世代となる大型素材との位置付け。無地素材の販売価格はアパレル入りで、シングル幅(112p)1m当たり900円、ダブル幅(148p)で1,400円。
抗菌や熱遮断効果がある純銀糸入り繊維を使った作業服を、自重堂が開発した。銀を糸状にすることで表面積を小さくし、酸化や塩化によって生地を黒ずみにくくした。商品名は『フィールド メッセージ ミューファン』。生地は繊維商社の豊島から仕入れ、内部に貼り合わせた。純銀糸は半永久的にイオンを放出し、抗菌防臭性を高める。悪臭の原因となる黄色ブドウ球菌は99%、水虫の原因となる白癬菌は90%除去できるという。銀の導電が静電気を防止する他、赤外線を反射・輻射し、衣服内温度を高める機能をもつ。作業服として販売し、長袖ジャンパー6,200円、長袖シャツ4,300円と、通常の作業服並みの価格。
抗酸化作用のあるビタミンE誘導体を配合し、高い保湿性美肌効果を期待できるナノテクノロジー繊維が、カネボウ繊維で開発された。ブランド名は「ナノデュウ」。一昨年に発表された高級基礎化粧品「デュウ」の液晶製剤を応用し、ナノ単位でビタミンE誘導体を含む油分層と水分層をサンドイッチ構造で重ねた液晶加工。繊維表面に多層保湿膜を形成し、安定して適度な水分とビタミンEの成分を肌に与えることで、老化効果が期待できる。30〜50回の洗濯耐久性があり、合繊にも使用できる。インナー、アウター、寝装向け関連製品として販売予定。
人間の生体内細胞を構成するリン脂質を用いて複合機能を持ったスキンケア加工を、サンテクノ(愛知県)が開発し、糸段階での受注加工を開始する。リン脂質は、人体内でコレステロールとともに細胞膜を形成し、生体親和性に富 み、細胞に必要な栄養分を吸収、不必要な物質を排除するオペレーターの役割を果たす生体基礎物質の一つ。繊維の表面に数%付着させるだけで人間の肌に限りなく近い皮膜を形成、保湿力を高め、静電気の発生の抑制、抗菌防臭、紫外線予防、防汚効果など複合機能を持った画期的な加工。半永久的な持続性を持ち、すべての繊維に加工が可能としている。
繊維各社が花粉症対策になる素材開発を競っている。今春発売の衣料品からアパレルメーカーや大手量販店が採用しており、アレルギー症状に悩む人の「防護服」としての需要を狙う。富士紡績が開発したのは「花粉クリーン」で綿やポリエステル綿混の生地の表面に無機系化合物を付着させている。親水性を高め、静電気の発生を防いで花粉を付きにくくしたもので、天然繊維の風合いを損なわない点も特徴である。カネボウ合繊のポリエステル繊維「ドーデン」もコロナ放電の原理を使った帯電防止加工で花粉を付着しにくくした。これはクリーンルームのユニフォーム向けに開発したものを転用した。ダイワボウは消臭繊維の技術を応用し、花粉を繊維表面に吸着させ、飛散を防止する素材を開発した。マスクにして発売する。
小松精練は、ナノテクノロジーを駆使したポリエステルの新改質加工素材「サボワール」を開発、03年春夏向けから販売する。同素材は耐久制電性の他、吸汗、速乾性を維持した改質ポリエステルでありながら染色濃度の制約を取り払ったもの。従来、改質ポリエステルは分散染料で染色した場合、極濃色では色落ちが発生するほか、デザイン面では濃色と淡色の切り替えしを避けるなど特別な配慮が必要とされていた。特徴は、@恒久的な帯電防止A耐久性のある吸水性B耐洗濯性C色の限定 がなく、プリントにおける色のブリードや移行昇華の心配がないなど。通常のポリエステルと同等の取り扱いが可能であるとしている。
ミズノはアミノ酸を配合したTシャツを発売する。汗をかくと化学的に繊維に付着させたアミノ酸が溶け出して肌の潤いを整えるという。味の素と共同開発した新しい繊維素材で、保湿効果などがあるといわれる「アルギニン」を使っている。このアミノ酸の効果は約50回洗濯しても持続する。紫外線を防ぐ機能を加えたタイプのTシャツなども発売する。また女性用にストレッチタイプも用意し、美容や健康に関心を持つ女性などの購入を見込んでいる。
帝人ファイバーはポリエステル用のノンハロゲン系防炎加工「スーパーエクスター セフレーム」を開発。ノンハロゲン系防炎剤の課題とされていた防炎性能を大幅に改善したほか、ケミカルリサイクルを可能にしたところが特徴。同社が展開する"繊維to繊維"のケミカルリサイクルシステムに乗せられるようになったことも大きいという。防炎剤は新規物質として認可されており、剤・加工に関して特許1件を出願済み。3月からカーテン・ブラインドなどのインテリア、ふとん側地・ベッドスプレッドなどの寝装寝具向けに投入する。
シキボウはメラニン色素の生成を抑制することで美白効果が期待できる繊維「ウリアントαホワイト」を開発、今春から販売する。新素材はα−アルブチンを架橋結合で綿、麻、レーヨンなどのセルロースに付着させたもので、セルロース繊維が50%以上の複合繊維でも効果があり、インナー、寝装品から商品化し、他の商品分野への拡大を計画している。美色成分はこれまで化粧品業界で、コウジ酸やβ−アルブチンがよく知られているが、α−アルブチンは江崎グリコが独自のバイオ技術で酵素科学的に製造したもので、繊維業界では初めてシキボウが商品化した。化粧品原料に要求される10項目の安全性も確認されている。
国内の中小衣料品メーカー・商社が結束して海外での売上拡大に乗り出す。紳士服や雑貨の統一ブランドをつくり欧州などで来夏から販売、ニットメーカーは婦人用品で米国市場への進出を目指す。「メード・イン・ジャパン」の質の高さを前面に、低価格の中国製品などに対抗する。
流行色の選定を分かりやすく説明されている。国際流行色委員会の選定から始まり、日本流行色協会、アパレルメーカーの動きが説明されている。
大手肌着メーカーが高機能の防寒肌着に力を入れており、前年の3倍になっている商品もあるという。トリンプ・インターナショナル・ジャパンは今冬向けの新製品として防寒肌着「スーパーセラテック」を販売している。従来品を改良し、繊維の遠赤外線放射率を40%高めた。同社は昨シーズンに続いてマイナスイオン効果と遠赤外線放射機能を併せ持つ「温泉インナー」も販売している。ワコールは「あったか研究所」の総合呼称で様々な高機能肌着を揃えている。暖かくて蒸れにくく、抗菌消臭機能もある「NEWウェルサーモα」など。グンゼは吸湿発熱素材「ホットマジック」を使った肌着を販売、アツギは発熱機能を持つタイツと靴下「ヒートラスト」を発売した。
郊外型紳士服専門店が国内外のブランド物スーツの販売に力を入れている。業界最大手の青山商事は昨秋、新たに6つのブランドスーツの販売を始めた。アオキインターナショナルも昨年から2種類追加し、コナカも3種類を新たに扱い始めた。郊外型紳士服専門店は商品の企画から製造、販売まで自社で管理して中間流通を省くことで、品質の割に価格の安い独自商品を武器に成長してきた。しかしその後競争が激しくなり、特にこたえたのが大手スーパーの低価格スーツ。ブランド路線をいち早く手がけたのは、はるやま商事であるが、この動きが他社を刺激した格好で、各社とも既存店ベースでの売り上げ下落に歯止めをかける狙いだ。
日本アパレルソーイング工業組合連合会は、国内縫製企業の生き残りを模索するために、平成13年、14年度の中小企業総合事業団の構造改革事業を活用して、企画提案型企業への転換のため、女性を対象とした「工場発のファッション・オーダー・システム(FOS)」事業を協業化によって実現するビジネスモデルを調査、発表した。
中国など海外で生産された低価格の衣料品が多く出回っている中、「日本製」が改めて注目されている。イトーヨーカ堂が繊維製品の国内産地を全面に出した「メード・イン・ジャパン」シリーズが人気を集めている。価格は少々高めだが、国産の技術力に対する高い評価や安心感が新たな付加価値となっている。
有力セレクトショップがオリジナル商品の卸を新たに始める動きが目立つ。“業界の常識”では大量生産し、売り先が広がれば希少性が薄まって提案が弱まる。オリジナリティーとメジャー化は反比例するが、「ショップの世界観を広めたい」という認知度の向上やコラボレーションを生かしたオリジナリティーの強化を狙う。セレクトショップブームによる「輸入品の仕入れ競合で国産に切り替える」傾向や、オリジナルを維持するための生産背景の事情もありそうだ。
SCM協議会は、繊維ファッション産業の業務改革に役立つITソリーションを一覧にした「SCM−ITマップ03年版」を作成し、CD−ROMで販売する。特定業種で取りまとめた例は無く、IT導入を検討する際のガイドラインとして普及を図る。
日経産業消費研究所の衣料品に関する調査で、衣料品の購入先として消費者が今後利用を増やしたい店・方法は、アウトレットであった。利用することが最も多いとされている百貨店、専門店、スーパーについては、今後は大幅にダウンしている。
SCの運営ディベロッパーと入居テナントで利害が衝突するケースあるが、閉店時刻を巡る対立もその1つ。SCの閉店が午後10〜11時に急増しているが、ファッションを売る衣料品テナントには営業延長の効果が無く、SC側のゴリ押しに強い不信感が出ている。
日本百貨店協会の全国百貨店、チェーンストア協会のスーパーそれぞれの02年売上高は、既存店ベースで前年比2%減と、そろって6年連続で前年を下回った。ボーナス支給額の減少や雇用不安を映し、消費者の購買意欲が低迷、百貨店は法人需要の冷え込みも響いた。
ICタグ(荷札)が実用化段階に入りつつある。大量の情報を記憶させ、非接触でやり取りできるICタグは流通を変える力を秘めており、様々な企業がサプライチェーンマネジメントや物流効率化などに役立てようと活用法を模索する。世界中で通用する統一規格作成を目指す団体も活発に動き始めた。ただ広く普及するには、なお課題が残る。
1月にNYで開かれたNRF(米国小売業協会)年次大会のハイライトをIFI尾原学長が報告している。今回は「消費者の変化」が具体的に紹介され、「顧客セントリック」へのパラダイム・シフトが進んでいることが明白になったという。
温暖化による季節感の喪失、豊富な情報を駆使する賢い消費者たち、ファッション衣料の購買動向が大きく変化している。象徴的なのは、経験的に頼ったシーズンMDが通用しなくなったことだ。3月に初夏物が売れ、10月にノースリーブが動く。いま百貨店の衣料品売り場では、この変化に対応し、MDを根本から組み直すことが大きな課題となっている。
経済産業省はICチップに製品情報などを記録し、物流や在庫管理に活用できるICタグ(荷札)の普及や規格統一に向け、5日に食品、家電メーカーや関係省庁などを集めた研究会を発足する。規格統一が進めば、流通業では小売店のレジで購入した商品を一括精算したり、万引き防止に活用できるほか、在庫管理や検品作業などの物流の効率化につながる。
「30代大人の女性」を対象にしたブランド開発が一段と強まっている。ファッション消費のリーダーである団塊ジュニアが30代に差しかかったことに対応したもので、5年後の団塊ジュニア需要を見据え、35歳前後を対象にするブランドも目立つ。ファッション経験が豊富でこだわりも強い、この世代のニーズに応えるため、各ブランドとも個性的なデザインとインポート素材使い、凝ったディテールなどで上質感を前面に出している。
携帯電話を使ったインターネット通信販売で、人気雑誌と連携する動きが広がっている。雑誌で紹介したファッション商品を携帯サイトで販売する仕組み。雑誌で商品をじっくり品定めできるため、10〜20代の女性に人気だ。ネット通販に関心の薄い雑誌購読者も獲得できる。新しい販売手法として普及しそうだ。
日本百貨店協会と日本アパレル産業協会は、衣料品が各社独自に付けている商品札を廃止し、アパレルが付ける商品札に一本化する方針を決めた。年間300億円とされる商品札の経費を削減し、取引の合理化を目指す。両協会は5月に値札合理化のためのガイドラインを作成する。
テナントにとって長年の懸案事項だった保証金契約問題が一歩前進した。経済産業省が先に公表した「テナント保証金問題研究会」の中間報告書で、「保証金は原則として廃止して敷金に一本化することが望ましい」とした上で、日本ショッピングセンター(SC)協会と日本専門店協会(JSA)は「保証金契約に関する業界のガイドラインを早急に策定・普及する」ことを提言。ガイドラインは3月末までに策定される運びだ。
イトーヨーカ堂は2,000社を超える取引先を対象に産地偽装や日付の改ざんなどの不正行為に気づいた取引先社員がヨーカ堂に通報できる制度を設ける。広範な取引先社員から不正通報を受け入れるのは、産業界では初めてという。法令遵守を徹底し、消費者からの信頼を高めるのが狙い。外部の機関を情報受け付けの専用窓口とし、通報者の秘密を守る。流通業界や食品業界では、産地や品質を偽るといった法令違反が相次いで発覚した。ヨーカ堂もかつて販売した「バーバリー」のマフラーが偽物だった疑いがあるとして、昨年9月に自主回収した経緯がある。
量販店の婦人衣料品平場でブランドコーナーの導入が増えるなか、アパレルメーカーが派遣販売員を付ける動きが広がりそうだ。30代後半〜40代ミセスを対象にした売り場を構築しようという狙いだ。従来の平場より格上のファッションをトータル提案することで、客単価をアップしようというのも量販店とアパレルメーカーで一致するところ。セルフ販売が基本とはいえ、店頭人員の効率化で手薄になった接客販売を補う必要もある。
繊研による第29回「全国百貨店改装・増床計画調査」によると、03年春は66店が改装で、件数は2年間ほど高水準が続いたが、業績悪化などでここにきて計画を凍結、延期する店舗が増え、減少に転じた。 ただ、5億円以上の投資は16店であまり減っていない。
厚生労働省健康局生活衛生課は、平成14年3月末現在の「生活衛生関係営業施設数」を発表した。施設数は159,801軒で、前年から2,546件減少。機械設備を持つ一般クリーニング施設が大幅に減り続けていたが、今回は取次ぎ所が1,800件も減少した。
奈良の業者5社による「クリーニング事業開発協同組合」が、洗濯時間50%、洗剤60%を削減する画期的な新クリーニング法「SSWクリーニングシステム」の実用化に成功した。洗浄力の強い<超微粒泡状洗液噴射開発>と回転ドラムでの遠心力で濯ぎ・排水・脱水工程を連続処理する<流水洗浄>方式を採用。短時間で衣料全体に洗浄水を吹き付けることで衣料へのダメージを最小限に抑えており、背広を洗っても縮まず、シワも少ないから仕上げが楽。ネットも使わずフェザーやシルクを問題なく洗い、風合いも戻るという。
平成14年5月29日公布の「土壌汚染対策法」が本年2月15日に施行された。PPT原理(汚染者負担の原則)に基づき、人の健康を守るために土地所有者に汚染調査とその処理を義務付けるもの。クリーニング業で使われた有害物質による土壌汚染が、工場跡地や再開発事業調査で発見される事例がある。
総務省統計局の「02年家計調査報告」によると、1世帯クリーニング代支出は10,825円(前年より204円減)。10年連続の前年割れで、利用回数減も止まらず、全世帯数を掛けて算出したクリーニング総需要は5,265億円となった。
EMは、琉球大学の比嘉照夫教授が開発した、人間にとって良い働きをする有用微生物郡のことで、既に農業や畜産、ゴミの堆肥化、水質浄化、悪臭対策などに活用され、世界で107カ国、国内で600を超える自治体で導入されてきている。業界でもホーム、リネンサプライの洗浄や排水浄化に扱われだしたが、まだ有効活用は始まったばかり。EM活用の普及、拡大を目指す「21世紀のエコ・クリーニングをすすめる会(仮称)」が3月13日に開催される。
春の衣替えシーズンを前にクリーニング各社がサービスを拡充している。白洋舎は新しい溶剤を使ったクリーニングを開始する。通常の石油系溶剤に比べて衣料を傷めにくく、アンゴラ、カシミヤなど柔らかい素材のクリーニングに適している。ニックは1人の担当者が全工程を管理する高級クリーニングを始めた。汚れを落とすだけでなく、極力、 購入当初の風合いに戻すという。光栄舎は革靴のクリーニングを開始した。ナイスは受け渡し方法を工夫し、大阪市の宮原店で衣料品の受け付け、引き渡し、料金決済がいつでもできる無人装置を設置した。会員登録し、プリペイドカードやクレジットカードで決済する仕組み。
北海道消費者協会では、ホルムアルデヒドの除去加工をしたカーテン7銘柄をテスト。室内のホルムアルデヒドを吸着し、化学反応や光で分解して無害化させるもの。除去率が80%〜90%以上と10%程度のものもあり、銘柄により大きな差が見られる。洗濯で効果が落ちる銘柄もあり、除去能力が高くても室内汚染はホルムアルデヒドだけではないので過信せず、チカチカするなどの自覚があれば換気に心がけることをアドバイス。
秋田県生活センターは、家庭用ミシン5銘柄(購入価格1万9,800円)を購入し、性能や構造などを調べたところ、縫い速度で銘柄により大きな差が見られた。消費者には、自分が必要な機能や用途を考えて選び、購入前には機能や操作、速度を試みて、更にお手入れなども販売店で確認してから購入することをアドバイス。
岩手県立県民生活センターは、テンセル製品6銘柄(紳士用ジャケット2銘柄、紳士用スラックス、女性ジャケット、スカート、インナー)をテストした。その結果、家庭用品品質表示法に基づく表示、原産国表示は問題がなく、日本繊維協会が定めている引張強さの基準を満たしていた。汗と光、摩擦による変退色も問題はなかったが、摩擦で毛羽立ちが、ドライクリーニング処理でスレ現象が現れた。購入するときには、風合いだけでなく、汗に濡れた状態で長時間日光に当たっていると色が変わりやすい、しわになりやすい等の特徴も理解して選んでほしい。
独自の商品テストに基づく「消費者の立場に立った商品情報」は、買い物上手な主婦らから高い評価を得ている生活情報誌を紹介している。国民生活センターの「たしかな目」、日本消費者協会の「月刊消費者」、暮らしの手帖社の「暮らしの手帖」で、ひそかに人気を呼んでいるという。
太田区立生活センターでは、いきなりクリーニング店が閉店し、預けた洋服等が手元に戻らないと不安になり相談してくる消費者が増えている。センターでは、技術や説明が確かな店、Sマークやクリちゃんマークが表示されている店を選び、預かり証を無くさないようにし、閉鎖されていたら書面で受け取り請求をすることなどをアドバイス。
製品リサイクル事例(TRS:トライアングル・リサイクル・システム)は、帝人、日本毛織、日清紡の3社による共同リサイクル事業。ポリエステル、ウール、綿素材をそれぞれ客先から一元的に回収し、素材により3社独自の再生システムを利用。リサイクルしている製品は、ユニフォームとスクール関連。
日本品質管理学会は2000年12月にISO9000シリーズ審査研究会を発足。ISO19011「品質及び/又は環境マネジメントシステム審査のためのガイドライン」を基本として、同学会審査方法の基本に関する指針JSQC G 19011を発表した。この指針は@審査方法の基本、A審査技術、Bシステムの有効性評価、C審査員の専門知識、D品質管理の知識、E審査員の力量適正評価の6部に分かれており、審査に一定の影響を与えることが期待される。ISO19011の翻訳規格は、本年2月にJIS Q 19011が制定された。2つのマネジメントシステムに関し、共通の規格が定められたのはこれが初めて。
日本化学繊維協会が行った中国市場調査で、上海、北京、四川省在住の20代女性を対象に行った。衣料品の支出の収入に対する割合が、日本の同年代の2倍あり、購入時にはブランドよりも品質を優先することが分かった。
NECは2010年度を目標にパソコンなどの外装に使う樹脂の1割以上を植物原料プラスチックに切り替える。トウモロコシなどを原料とする樹脂に一年草の植物「ケナフ」の繊維を添加して、耐熱性や強度を高める技術を開発した。NECは代表的な植物原料プラスチックであるポリ乳酸にケナフ繊維を約20%添加することで性能を大幅に改善でき、通常のポリ乳酸は67℃で変形するが、繊維の添加で120℃まで耐え、曲げる力に対する強さも1.7倍に高めたという。植物原料プラスチックは石油を使わない環境配慮型素材として注目を集めている。
ユニチカは廃棄後に水と二酸化炭素に完全分解するおむつを試作した。おむつの吸収剤に使う高級水性樹脂(SAP)で生分解性タイプを開発。肌に触れる面のほか、保水材まで全て水や地中で分解することを可能にした。生分解性のSAPは食品の増粘剤に使うグアガムを原料とし、肌に触れる面にとうもろこしを原料とする生分解性の不織布、保水材に綿と綿不織布、表面に生分解性の不織布とフィルムを使用した。原料コストは通常の五倍程度と割高だが、使用済みおむつを土中に埋めれば肥料になる。商品化はまだ先という。
電通、博報堂が企業のブランド価値を評価する事業を今春から始める。消費者が商品を選ぶ時にブランドをどの程度決め手にしているかなどを調査し、企業価値の評価指数である経済付加価値(EVA)の手法を活用し、それを金額換算する手法を開発。これにより企業ブランド戦略を支援する。
02年の中国の繊維輸出は617億ドル、前年比15.8%と再び大幅増になった。欧米の伸びが著しく134億ドルになり、これまで最大市場だった日本の131億ドルを抜いた。WTO加盟後の初年度として、欧米向けは一部クオータが撤廃されたこともあるが、世界の縫製拠点としての地位の高まりも見逃せない。
グリーン購入ネットワーク02年に行った「第7回グリーン購入アンケート調査」によると、9割以上の団体がグリーン購入を実施、販売側では、7割以上の企業が、環境配慮型商品へ顧客の関心が高まったとしているが、購入者と販売者ともに最大の課題は価格である、という概要をまとめた。
①4月8日
②東京都立食品技術センター
③TESに対する最近の業界の反応、本年度の試験実施計画、TES会の活動状況、私のTES受験体験談、他
④日本衣料管理協会 TEL 03-3437-6416(無料)
①大阪会場:4月5日、12日、19日、5月10日、31日、6月14日(計6日間)
東京会場:4月12日、19日、5月10日、17日、24日、6月7日(計6日間)
②大阪:大阪産業創造館
東京:江東区文化センター
③基礎知識(繊維一般、製造と品質、流通と消費)、応用能力(事例、論文)の解説・講義、筆記試験(基礎知識、事例及び論文の記述)の演習と添削指導
④JTCC本部事務所 TEL 06-6339-1237
東京事務所 TEL 03-5643-5112
①4月20日、5月10日、24日、6月1日、14日、15日、(計6日間)
②新宿消費生活センター(東京)
③基礎知識(繊維一般、製造と品質、流通と消費)・論文・事例の講義と演習
④NACS東日本支部研修委員 福長
TEL 03-3999-5303 (夜間7:00〜10:00)
①4月17日
②大阪市立北区民センター
③ZARAの挑戦、他
④日本繊維製品消費科学会
TEL 06-6358-1441
①4月18日
②大阪科学技術センター
③吸湿発熱素材の開発とマーケティング、これからの快適機能肌着、快適機能寝具の開発、他
④日本繊維機械学会
TEL 06-6443-4691
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男