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経済産業省は、7月17日、産業構造審議会(経済相の諮問機関)繊維産業分科会を開き、基本政策小委員会が審議してきた繊維ビジョン「日本の繊維産業の進むべき方向ととるべき政策について」を了承した。このビジョンを受けて「共通の理解と共通の認識の中で、工商が一体となって改革を伴った創造を実行しない限り、繊維産業の再活性化はない」としており、経済産業省でも「スピ−ドと実行をもってこの提言を実現」すると抱負を語った。
経済産業省は、7月11日付で着任した北村俊昭製造産業局長は、今井康夫前局長とともに会見し、「繊維政策の大きな方向が定まり、業界の体制もできた。これからは業界と呼吸を合せて実行していく」、また「繊維業界では役所が旗を振るのではなく、業界が強い危機感をもち、一丸となって改革に当たろうとしている。業界と呼吸を合せて実行してゆくのが私の役割」と意欲を示した。また、「もともと国際競争力を持っていた繊維産業のポテンシャルは高い」とし、一連の政策による高い競争力を持った繊維産業再生への確信も示した。
知的財産権の特集の中で紹介されているが、財務省による日本の輸入差し止めの点数は年間100万件前後で推移し大きな変化はみられないが、02年の件数は7,000件と前年比2.5倍になった。急増理由は、偽ブランド商品の輸送形態が国際郵便を利用し、小口化になったことによる。このうち、衣料品に限ってみると、件数774件(同2.9倍)、点数22万点(同1.6倍)となる。
経済産業省は、東京で中国商務部との次長級の繊維協議を開いた。日本からは豊田製造局次長、山本繊維課長ら、中国からは孫対外貿易司副司長らが出席、この協議を開く契機となったタオル貿易のみならず、日中間の繊維貿易全般、WTO新ラウンド非農産品の関税交渉など意見交換した。今後は年2回、日本と中国で交互に開く予定。
経済産業省は、7月31日、「中小繊維製造業者自立事業」の補助金交付先を決めた。575件の申請から、110件を採択した。採択案件は、単一企業による申請が83件、複数企業は22件、組合が5組合である。共同事業者を合せて、145社・組合が今年度の自立事業に参画することになる。1件あたりの助成額は平均3,000万円。化合繊織物12件12社などが多い。経済省は04年度以降も数年間、同様の事業を実施する考えで、繊維関連基金の取崩しや必要な法律改正を検討している。
経済産業省は、来年度から3ヵ年計画で工業デザイン分野を対象にデザインマネジメント人材育成支援の事業を本格化する。繊維分野については、IFIへの委託事業として、高度な専門的人材やスーパーコーディネーター育成の教育システム造りを進めており、来年度はカリキュラムなどを活用した人材育成支援事業を始める。
経済産業省の山本健介繊維課長は、第4回川中研究会で中小繊維製造事業者自立事業に触れ、03年度30億円の予算規模に対して「04年度は40億円と厚めに考えている」ことを明らかにした。自立事業は、繊維産業構造改革事業の基金などを原資に、初年度30億円でスタートしたが、全体として3〜5年で150億円前後を想定。また、初年度575件の応募に対して、採択した110件の内容について「上位から60番までは中堅以上の企業で、1年以上前からその方向で準備を始めていたようだ」と語った。
中小企業総合事業団は、中国などの富裕層を対象とした市場開拓に不可欠な差別化戦略構築の参考とするため、「英・独・北欧4ヶ国を対象国とする欧州繊維産業の実態と日本の繊維産業のグロ−バル展開の可能性」をまとめ、事前の徹底した市場調査の必要性などを提言した。この調査は、我が国繊維製品が世界に発信するだけのファッション性を備えるため、米国やイタリアなどの繊維産業とは全く異なる英・独・北欧4ヶ国の繊維産業の実態を明らかにすることで、輸出による市場開拓の可能性を探ったもの。
合繊メーカーの春夏向け婦人服地で、透け防止の素材(防透素材)が好調に推移している。近年の春夏のトレンドカラーである白$l気が背景にあるほか、アウターの薄地・軽量化や、蒸れないように裏地なしでもインナーや体のラインが透けないよう求められていることが要因。美白意識の高まりから求められるUV(紫外線)カット機能が併せて得られるメリットもある。防透素材は、市場で一定の地位を築きそうである。東レ「ボディシェルSP」、帝人ファイバー「ウェーブロン」、クラレトレーディング「レクチュール」、旭陽産業「サンペイク」、ユニチカサカイ「ヴェルダム」の状況が報告されている。
セルロース繊維の植物系新原料がテキスタイル業界で注目を集めている。イラクサやマニラ麻、ケナフ、バナナ繊維などさまざまな原料を使った素材が商品化され始めた。原料の新しさを強調することで「アパレルメーカーの商品開発やブランドの差別化に役立つ」とアピールできることが最大の理由だ。こうした中で、最近脚光を浴びているのがバンブー(竹)。アジア圏に広く分布する竹は生産量が多い。加えて生育が早いことによる環境保護の面での利点、吸湿・放湿性の高さ、ドライな着心地感、適度なハリなど素材としての性能の高さ、などがセールスポイントとなっている。
東レは23日、吸水速乾ポリエステル長繊維「セオ・α」の新シリーズを発表した。紳士・婦人物のインナー用途を狙ったもの。先行する旭化成と帝人に加えて東レがこの分野に本格的に入ることで、新しい動きが予想される。紳士インナーに展開できるようにしたのは、フィラメントの形状を変化させ、フィラメントとフィラメントの間に微細な空間をつくり、毛細管現象で水分をすばやく吸収、発散できる技術を確立したことによる。
衣料用途で今ナイロンが見直されている。ここ数年合繊メーカーが特化糸に絞り、開発を進めてきた成果がようやく形になってきた。柔らかさと強さ、軽さはやっぱりナイロン。婦人服のトレンドに生かされる一方で、ポリエステルに侵食されていたカジュアル衣料でも復活してきた。スポーツ向けの織物の輸出が拡大しそうである。
カネボウ合繊は2タイプのポリエステル新素材を開発した。いずれもブランド名は未定。一方はポリエステルマイクロファイバー使いの超軽量タフタ。もう一方は高級スエード向けのマイクロファイバーで、これまで9分割で超極細糸を構成していた技術を、17分割できる水準まで引き上げたものである。
野村産業と東レ、クラボウの3社は竹を原料としたバンブーレーヨン事業について提携した。業界先駆者の野村産業は今年7月、バンブーレーヨン糸と織編物の特許を確立した。東レとクラボウは、野村産業とライセンス契約を締結し、品質維持や多数乱立を回避することで、バンブー市場の育成を目指す。この特許は「竹を原料とするセルロース繊維を含む糸」(混紡を含む)で「単繊維の繊度が0.5〜20D」の紡績糸、1m当たり400〜1,500回の撚りをかけているセルロース繊維糸やそれを使った織編物。これは主力の短繊維関係すべてをカバーしており、04年春夏服地の商談前に注意を喚起するという。
毛羽立ちの少ない「きれいな糸」として台頭しているコンパクト糸。綿のコンパクト糸では商社による輸入糸が先行、国内の紡績でも参入が相次いだ。国産糸は輸入糸とは一線を画し、高級ドレスシャツ地を中心に好評だ。しかし、一部では輸入糸と差別化が難しいことから販売戦略を見直す動きも出ている。最近ではウールや麻でもコンパクト糸タイプが登場してきている。しかし、「紡績の革新」と称されて上質商品やエレガンスゾーンなど幅広い用途に急速に拡大した綿に比べ、ウールの広がりは遅い。コアスパンや延伸ウールなどさまざまな紡績法が世に送り出されている、見た目のインパクトが綿より弱い、染色整理まで含めた開発が求められる、など解決すべき課題が多いためだ。
帝人が開発したファッション衣料用の超軽量ポリエステル織編物「パラドックス」が紹介されている。ポリエステル素材の軽量化には、原糸および構造体でのアプローチがあるが、パラドックスは後者であり、東邦レーヨンと共同開発したアクリルの溶解素材が利用されている。このアクリルは、ポリエステル織編物の風合いを出すときには、湿熱処理で溶解せずに大きく収縮し、後のアルカリ処理で溶解する。その結果、織物の空隙率は、従来の中空断面ポリエステル織物の10%、中空構造糸ポリエステル織物の42%に対し、パラドックスの中空スパン混紡糸織物が70%となるという。
東洋紡は04〜05年秋冬向けのスポーツ素材で、接触温感を高めた2素材を開発。接触温感を高めた素材は、フルダルのY字断面ポリエステルを撚り合わせた「ウォームフィール」。肌への接触面積が小さいために体熱の移動が少なく、「着用したときのひんやり感を和らげる」。生地価格はレギュラーの20〜30%高。もう一つは、発汗後の冷え感を抑える編物「ヒートコントローラー」。肌側の繊維は、ポリエステルよりも軽量で疎水性のポリプロピレン。熱の伝導率が低いのが特徴。汗は表側の吸汗ポリエステルに移動、拡散するため、濡れ感がなく、衣服内をドライに保つ。生地価格はポリエステル100%編物の約1.5倍。
旭化成は04〜05年秋冬インナー素材で、吸湿発熱素材「サーモギア」のバージョンを広げる。新タイプは軽量の「サーモギアAR」、ストレッチの「サーモギアST」、制電の「サーモギアAS」。秋冬の基幹商品であるサーモギアは、マイクロアクリルとキュプラの複合素材。サーモギアARは、特殊紡績で糸を中空化し、従来品と同じかさ高で20〜25%の軽量化を実現した。サーモギアSTは、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)繊維で、ソフトストレッチ性を持つ「ソロ」のわたを使用。サーモギアASは、アクリルわたを制電タイプに変えた。
富士紡績は、これまでにない精紡3子交撚糸を開発した。毛羽が少なく、上品な光沢や色出しが可能で、シルキーな膨らみ感がある。エジプト「ギザ」超長綿使用の「エジピュア」ブランドで、織物から販売する。新開発糸は、縫い目の美しさが求められる3本撚りの縫糸にヒントがあり、リング精紡機に独自開発の特殊部品を付けることで開発に成功。交撚糸紡績工程を特許申請した。コンパクトスピンの対抗差別化素材としても注目される。エジピュアは、120番手、150番手の薄地織物から先行発売するもので、価格は1m当たり700〜1,000円。シャツ、ブラウス向けに初年度3億円の売り上げを目指す。
富士紡は、アミノ酸加工の2素材を新たに打ち出した。皮膚に含まれる成分機能をヒントに、シルクのセリシン、フィブロイン部分からそれぞれ抽出したアミノ酸を活用。市場での美容・健康志向に伴い、織物(「シルチャーム」)・ニットで提案していく。織物で打ち出す「シルチャーム」は、シルクのフィブロインを特殊加工で生地に付与。同成分にも人の肌に近いアミノ酸が含まれており、保温・保湿性に優れることが判明している。また、シルクのセリシンは、角質層内のアミノ酸組成と非常に似た成分のアミノ酸が含まれているので、ニットに付加した新製品も開発している。
ユニチカファイバーは繊維経営コンサルタント会社ITMCの協力で、米国のナノテックスLLCが開発した加工技術を導入したと発表した。ナノは10億分の1mを指し、原子や分子に働きかける超微細な先端技術として注目されている。ナノテックス加工技術は、繊維の分子に直接作用させることにより風合いを損なわず、耐久性を飛躍的に改良できる。撥水・撥油など3種類の加工(ナノペル、ナノドライ、ナノタッチ)がある。まずスポーツ生地を販売。
ユニチカファイバーは、04〜05年秋冬スポーツ向けに、新たに3新加工を加える。「プロテクサ」はポリエステル織物中心の制電・撥水加工。従来、撥水加工のポリエステル織物は静電気によるホコリの付着やまとわりが生じたが、制電と撥水加工の両立を可能とした。「スプラッシュガード200」は、洗濯200回後の撥水度が80点(従来は洗濯100回で80点)の耐久撥水加工。「ナノ・テックス」は、ナノテックスLLC(ノースカロライナ州)の加工技術導入による耐久性改質加工。撥水・撥油加工「ナノ・ペル」、親水加工「ナノ・ドライ」、合繊をセルロースで合成被覆する加工「ナノ・タッチ」を揃える。
伝統的な染織の地、京都で、最先端の染色装置が開発され、実用化に向けた作業が進んでいる。京都市産業技術研究所繊維技術センター(今年4月に京都市染織試験場から改称)が中心となり、産学5者共同で開発した、複写機技術を使った世界初の装置である。プラスに帯電させた感光体ドラムにデジタル画像を作り、マイナスに帯電した染料を画像に吸着させ、生地に転写する。高速、低コストの次世代技術として、従来の捺染工場での代替や、新しいビジネスモデルを構築するツールにと期待されている。
プリーツ加工、縫製業のオザキプリーツはプリーツの新しい加工法を開発した。1枚の生地にプリーツと非プリーツ部分を施せるのが特徴。2つの境目がきれいに現れる。そのしくみは単純で、平織の生地は、たて糸およびよこ糸に対し45度の角度で1回折りたたむと折り目を境に生地のたて糸とよこ糸が平行に走った形で重なり合う。繊維の組み合わせをポリエステルと綿を使うことにより、プリーツが天然繊維やレーヨンに弱く残り、ポリエステルは強く残る。この組み合わせの織物を折り畳んで加工すると、洗った後は天然繊維の部分のプリーツだけ消すことができる。
セーレンは04〜05年秋冬スポーツ向けに次の加工を本格販売する。「アウトラスト」は、温度調整機能を持つマイクロ・サーマルカプセルを付与した素材。新たにファブリツク・コーティングタイプを投入。あらゆる素材に加工でき用途拡大ができる。「ベリースリム」は、ラズベリー抽出物や共役リノール酸などを付与。脂肪分解・燃焼促進効果が期待できる。「サーモシップ」は、湿布剤と同成分の薬剤を生地に固着させた。ビスコテツクスは、凸凹立体加工の「V−マジック」、極細線も表現可能な先染め調「V−ファイン」、綿・ポリエステルの両染め可能な「V−メランジ」とバリエーションを増やした。
プリントメーカーの日興染織(本社京都府城陽市)は、捺染後にパール状の樹脂系粒子を付着させる新しい加工を開発、来春夏物から受注を開始する。生地の全面や一部にパール状の粒子をちりばめて、光沢感が加わることでプリント柄にエレガントさが加わる。色調が落ち着き、優しさと深みをもった高級感が出るほか、さらっとした風合いに変化する。粒子は多彩なカラーに対応でき、加工する範囲や粒子の大きさ、カラー変化でヤングからミセス向けまで幅広い表現が可能。同社はこの加工のために今年、日本初という機械設備を導入。すでにアパレルメーカーから見本反の発注が相次いでいるという。
コーテックスによる加工技術の解説。木炭は、炭焼き方法により黒炭と白炭の2種類に大別される。白炭の中で、ウバメガシを原木として硬度15度以上のものが備長炭である。多孔質のため内部表面積は1g当たり約300uであり、種々の特性を持つ。この備長炭を数μm〜十数μm微粉末にし、ペーストドットコーティング方式または全面コーティング方式で織物、編物や不織布に付与して商品化した。遠赤外線効果、消臭効果、吸湿・放湿効果、マイナスイオン効果および抗菌性に関する試験結果ならびに住宅関連、寝装材や家庭雑貨分野へ販売されている商品が紹介されている。
富士紡は04年春夏向けから「着る化粧品」シリーズを発売する。キャリアからミセス向けの「コスメプラス」と、ヤング版の「スハダカラ」で構成。それぞれ、「スキンケア」「ヒーリング」「エチケット」「スリミング」の4種類の機能加工から選べる。スキンケアでは「日本酒エキス」「スクワラン」「UVカット」「ビタミンCプラスE」「セラミド」を揃えた。ヒーリングは「アロマテラピー」と「マイナスイオン」。エチケットでは、安全性の高い抗菌剤「ゼオミック」による銀イオン加工を開発。スリミングは既存の「ワンダースリム」と同様に、海藻エキス使用している。一部、成分と効果の説明がある。
梅雨明けの遅れで夏物商品の販売が振るわない。夏物商戦は歳末に次ぐ大型商戦だが、夏物衣料などのセールも客足が伸びず、高島屋は21日までの累計で7月の売上高は前年の同時期に比べ2.0%減。関西の0.7%減に対して、関東が2.8%減と苦戦が目立つ。三越は若干のプラスを維持しているが、そごう、西武百貨店はともに前年並み。商品で目立つのは水着の不振だ。伊勢丹ではビキニが売れてはいるが、全体では前年実績割れが続く。阪急百貨店梅田本店では水着販売は1割減で推移している。スーパーも同様で、イトーヨーカ堂では、7月は前年割れの状態で、イオンも横ばいか微減になる公算が大きい。
日本アパレル産業協会は、消費税の総額表示義務付けが来年度から実施されるため、税制改正セミナーを実施した。総額表示の概要、財務省や経済産業省など行政側の考え方、日本百貨店協会や日本チェーンストア協会など関連業界の姿勢を説明、その上でアパ産協の基本を示した。ガイドラインは、遅くとも9月末にまとめる予定。
ビーエム・ディシステムはバーチャル・フィッティングシステム「3Dフィットビュー」を開発した。三次元人体計測から体形分析した体形別人体モデルに三次元CADで着装し、客観的に評価するもので、第1弾として婦人ボトム版を発売する。このシステムはテクノアの三次元デザインシステムを使い、アパレルCADで作成した型紙に生地特性を加味して、体形別人体モデルに着装するもの。成人女性のボトム体形調査・分析に基づいた体系別人体モデルをデータベース化しているのが特徴で、今回の婦人ボトム版では20代、30代のそれぞれ5体形を揃えている。フィッティングは、ゆとり、生地の伸び、圧力の3つの尺度でチェックし、カラーの変化で着心地感が把握できる。
ワコールは9月から医療用女性下着を発売する。リバーストーンと組み、磁石治療器を背中と腰に縫いつけるなど健康に配慮した商品を企画したもの。綿素材とシャツ、ひざ上丈のパンツで、それぞれの商品に肩コリや腰のコリをほぐす、軽量で薄型の磁石を8個ずつ付けている。
三陽商会、東京スタイルは商社などと協力し、婦人服の秋冬商戦で無縫製ニット(ホールガーメント)製品を売り込む。1本の糸で接ぎ目なく編んでいく製品で、手編みに近い複雑なデザインも可能である。三陽商会はホールガーメントの編み機を生産する島精機製作所、三井物産などと組み、東京スタイルも三菱商事、島精機と共同で製品を企画する。いずれも主力商品として拡大を狙っている。
ワールドは新潟の五泉ニット工業協同組合と組み、同組合に加盟する婦人ニットメーカー3社が企画開発したブランドを今秋冬から専門店向けに販売する。同社がファクトリーブランドを手掛けるのはこれが初めて。国内産地企業と大手アパレル企業の新しい取り組み形態として注目される。
アパレルメーカー各社が秋冬向けに快適さを高めた衣料を相次ぎ発売する。オンワード樫山は摂氏10度以上になると通気性が良くなり、逆に10度を下回ると保湿効果とともに保温性を増す形状記憶素材を使ったジャケットとベストを発売した。三菱重工業が開発した「ディアプレックス」を使用したもの。三陽商会が採用したのはミズノの吸湿発熱素材「ブレスサーモ」で、体から出る水分を吸収して発熱する機能を持っている。東京スタイルは東レと共同で、毛髪の20分の1という超極細ポリエステル繊維を加工した編物を婦人服に採用した。柔らかな風合いと発色の良さが特徴という。冬場の静電気の抑制と撥水性にも優れた素材(小松精練の「テフロンHT」)をレナウンは婦人服に使っている。
百貨店各社が秋物衣料品の販売を昨年より2〜3週間早め前倒しする。今夏は人気ブランドのバーゲンセールが7月1日に集中し、一部のブランドで売り上げが伸び悩み、セール品の再値下げも前倒しする一方、秋物衣料品を定価販売し、利益を確保する。
日本チェーンストア協会は、来年度実施される総額表示制度について店頭で混乱が起きないように説明責任を果たすよう告知ポスターの発行の要望、外形標準課税の実施時期の先送りなどを財務省に申し入れする。
大手量販店は、長らく前年割れが続いており、低迷から抜け出せず、衣料品MDの再構築に頭を悩ましている状況を説明している。自ら進めた低価格化と出店という2つの競争で、「安いが近くの店と似たような商品しかない」などの同質化も顕著になり、同SC内の専門店に客を取られ、平場の存在意義が問われているという。
東京の中目黒は目黒川を挟んで左右にショップが立ち並ぶ。ファッションをはじめ、インテリア、小物雑貨の店が多い。中でもファッションでは新興・個性派メーカーの直営店が中心だ。近年、ヘアサロン、レストランの出店も目立ち、新規物件の開発も活発で、街の魅力に引かれて新たにエリア内に入ろうとする動きが強まっている。
日本アパレル産業は、アパレルをはじめ、百貨店、縫製工場、ベンダー企業などと共同で「アパレルRFID推進委員会」(仮称)を設置、具体的な検討作業をスタートする。年明けから縫製工場−アパレル・物流センター−百貨店の間で実証実験を行い、来年3月をめどに成果や課題などをまとめる。
「保証金や敷金、減価償却など経済条件の整備が必要であり、ディベロッパーに圧倒的に有利な内容なので今後が不安だ」 繊研新聞社は全国の専門店70社に「定期借家契約」(定借)についてアンケートと聞き取り調査を行い、その実態が明らかとなった。契約期間の終了後にテナントを自由に入れ替え可能な定借の導入が大手ディベロッパーを中心に進んでいるが、テナント は導入に対して評価の一方で不安や反対を唱える声があがっている。全国の専門店が加盟する日本専門店協会(JSA)でも定借の研究会をスタートさせ、問題解決に一歩踏み出した。
日本百貨店協会(小柴和正会長)と日本サービス・流通労働組合連合(南雲光男会長)が共同で実施する新資格制度が本格的に立ち上がる。第1弾となる、衣料品の販売員を対象とする「フィッティングアドバイザー」の資格試験を今秋から実施する。来春には有資格者が各百貨店の店頭に立つ予定。今後ギフトや靴の販売員向け資格なども順次拡大していく。
今年度下期は店舗面積1,000平米超の店舗が全国で400店を超え、前年同月比で約4割増える。大手スーパーなどが郊外を中心に出店攻勢をかけるためで、大店立地法施行後最多となる。外資が日本で本格的な店舗展開をする前の対抗措置の狙いもある。
国内の若手、中堅デザイナーの営業を代行する日本型レップといえる企業が増えている。小売店へ営業活動からショールーム機能やプレス機能までを包括的に行うもので、海外のセールスレップとも少し異なった業態といえる。
用語解説
セールスレップ セールス・レプリゼンタティブ(Sales Representative)の略称で、メーカーに代わってメーカーの商品を代行するセールスパーソンのことである。セールスレップは、メーカーの社員ではなく独立自営で、メーカーとの契約に基づいて商品を販売する。最近は、繊維ファッションのモノづくり企業が、国内外に販売したいが、確固たる販売ルートを持たない場合にリスク分散を兼ね活用する例が出てきている。
日本通信販売協会の推定による02年度通販業界の売上げは、2兆6,000億円、前年度比6%増と4年連続して増加した協会員では3%、兼業が横ばい、専業が4%の増加。百貨店、スーパーなどの小売業が苦戦するなか、テレビやインターネットを介した販売が伸び、全体を底上げした。時間と場所を選ばず、多様なメディアを活用する消費者の購買行動が浮かび上がっている。
繊維ファッションSCM協議会は、アパレル−商社・コンバーター−テキスタイル・染色間の情報共有を進めるためのプロジェクトを着手する。変化の激しい婦人服市場を対象に取り上げ、中小企業総合事業団の03年度「繊維中小企業構造改革支援事業」に採択され、双方向の情報共有化を軸にSCMの構築をめざす。名称は「L−ACT(レディス・アパレル・コンバーター・テキスタイル)プロジェクト」となっている。
ミセス服が大きく変化しようとしている。かつて新大人服として登場した商品が一般化したことが背景にあるが、ここにきて股上の浅いカーゴパンツや足が細く長く見える美脚パンツ、お尻を隠さない丈のジャケットやカットソーなどを仕入れる婦人服専門店が増えている。店側よりも早く変わったのは消費者の感覚だ。より鮮度を感じる商品を求める大人の女性が増えている。
流通各社が衣食住の商品を大量に揃え、低価格で販売する新しいタイプの複合型大型店舗「スーパーセンター」の出店を、05年末までに100店出す計画がある。世界的に伸びている小売形態で、米ウォルマート・ストアーズなどが出店を拡大しており、日本の企業も外資の攻勢に備えるためである。
用語解説
スーパーセンター 食品スーパーとホームセンターを組み合わせた複合型大型店舗をいう。米ウォルマートが開発、90年代から本格展開している。総合スーパーの2〜3倍の10万品目超の品揃えがあり、生鮮食品から衣料品、日曜大工用品、園芸品までを低価格で販売。郊外などに平屋建てで1万平米以上の売り場を構える。ワンフロアで、原則1社で運営し、レジでの支払いは1度で済む。
ティーンマーケットが目まぐるしく変化している。従来、20歳前後を対象としていたブランドに中学生が押しかけ、それと入れ替わるように、ジュニアブームで人気の的になったブランドに小学校低学年の女の子たちまでがやってくる。ヤングカジュアルショップでは、低年齢化を嫌って企画を大人っぽくする店、“来る者は拒まず”で受け入れる店と両方の対応が見られるが、このところ後者が売り上げを伸ばしている。
中学校にゆかたの縫製や着付けを導入する和装教育運動が全国的に広がりを見せている。01年4月、中学校の教科書(技術・家庭科)に和装の項目が編纂され、昨年4月から各地の中学校で和装教育が取り入れられており、今年度も群馬、岐阜、山口、岡山、福井、愛知などの中学校ではゆかたの縫製と着付けを中心とした授業が活発に進められている。
ポニークリーニングの穂高(株)は、精油の成分をマイクロカプセルに包み、それを糊剤に含ませる加工方法を「ひのきの香り」と称して実用化してきた。今回、特許を取得できたので、この技術を業界に公開する。同社は高品質のクリーニングを特色としている技術志向の経営で、TESは業界トップの6名を擁している。
全ク連・CL綜合研究所が平成14年度に鑑定した事故をまとめた。以下に分類別の件数を記す。ただしかっこ内は平成13年度の件数である。洗浄方法別では、ドライ321(307)、ランドリー92(65)と、いずれも増えた。責任所在別では、顧客288(327)、クリーニング業者56(21)、いずれか不明81(64)、メーカー37(39)と増減まちまちである。事故原因別では、洗浄・処理の不適切26が多い。水処理の事故は50%を越え、安易な取り組みを警告している。事故例別では、色の変化が1位で201(150)と急増した。
東京都生活衛生指導センターによる調査結果の発表。クリーニング店の利用頻度を年齢別に集計すると、月1回以上の利用は30代で48%。以降、年齢と共に増えて60代では57%に達する。しかし20代以下では18%と低く、この世代はクリーニング店の対応の評価も低い。クリーニング業は若い層から支持されておらず、将来への危惧が指摘された。
兵庫県生活科学研究所の平成14年秋調査の結果紹介で、主な内容は次の通り。消費者は、61%がポリウレタンに寿命があることを知らなかったが、81%が靴下で経時変化を経験していた。アパレルメーカーは、56%が1年以内にポリウレタンに関する苦情を受けたが、経時変化を知るための剥離、ジャングル、もみ等の試験実施率は3〜29%と低かった。縫製年月の表示は、販売店調査では1件も見あたらなかった。
消費者が自分の衣服の色や柄を覚えていないために、実際は「事故は生じていない」のに、クレームが申し立てられる。この種の件数が、全ク連の事故品鑑定で増加傾向にある。苦情を受けてメーカーに照会し、新品と変わらないことを確認した実例を、8枚の写真により紹介した。もともとむら染めであったスカーフ、実は収縮していなかったズボン、柄をシミと感じたシャツ、始めから風合いが堅かったスエットなど。
ネット関連ビジネスの夢大陸はクリーニング店が季節の変わり目などに顧客から預かった衣服などを管理・保管するシステム「マイクローゼット」を開発した。コートなどの衣類や布団をクリーニング店が保管する際にデジタルカメラで撮影した写真を顧客がいつでもインターネット上で見られるようにした。顧客はクリーニングして一定期間預かってもらった季節衣料をネット上で確認、必要なときに引き取りの注文を出せるというものである。
大阪府消費生活センターでは、ホルムアルデヒドを除去するカーテンについて除去能力を調べた。光触媒方式、吸着方式を用いたものをそれぞれ3点ずつ、H14.11〜H15.2の時期にテストした。製品による差はあるが除去効果は見られた。徐々に低下するが洗濯により一定能力回復する。選ぶ際、表示を見て使用目的にあったものを選ぶ必要がある。
愛媛県生活センターは,学童用傘の強度・耐久性等について15銘柄をテストした。手開き傘3、ジャンプ傘12。販売社名、住所、電話番号等表示が不十分な製品もあった。中国製14銘柄、タイ製1銘柄、日本製なし。生地の組成は、ナイロン100%が6銘柄、ポリエステル100%が9銘柄。日本洋傘振興協議会の認定基準である「JUPAマーク」は8銘柄にあったが賠償責任保険が付いている「SGマーク」製品はなかった。石突きの先端部分の強度は、14銘柄は、SG基準内であった。傘を500回開閉、コンクリート上に50回落下する耐久テストは、どの銘柄も異常はなかった。
青森県消費生活センターは、「塗料タイプ」「フィルムタイプ」の自動車用遮光製品8銘柄と参考品として「家庭用遮光フィルム」4銘柄の性能と使い勝手をテストした。多くは紫外線の遮へい率80%以上カット、可視光線の遮へい率は、50%以上で黒っぽいものに遮光効果があった。フィルムタイプは、強度に問題ないが塗料タイプは、傷つきやすい。スプレー式、塗料タイプは、ムラになりやすい。フィルム式は、貼り直し可能だが接着剤が残ったり、視界が悪くなったりするものもあった。購入時は使用方法等を確認するようアドバイス。
メード・イン・ジャパン重視と産官連携の共同事業で、縫製工業の雇用を増やし地方経済を活性化しようと、繊維アパレル業界の改革を目指す動きを岩手、秋田、青森といった東北地方の製造現場を紹介している。脱下請け加工へ、企画設計から製造、販売、物流まで一気通貫の機能により、短納期対応で国産の優位性を高めようとしている具体的な事例を挙げている。
日本化学繊維協会の02年度化学繊維ミル消費(国内川中投入)量調査によると、106万トン、前年比4%減と99年度から減少傾向が続いている。このうち8割を占める国産品は同9%減に対し、輸入品は25%増加し、輸入比率は前年度の15%から19%に拡大している。用途別では、家庭・インテリア用が増加しているのに対し、29万トンの衣料用は5年前の半分に近くなるほど減少している。
03年版ジェトロ貿易投資白書によると、日本の対中輸入総額に占めるシェアは繊維製品がそれまでトップであったが、02年には機械機器がトップになった。繊維製品シェアは01年29%から02年26%に低下した半面、機械機器が29%から34%になった。中国からの輸入構造も労働集約的品目から資本集約的品目への移行が伺える。
高島屋は百貨店業界で初めて独自に回収に乗り出す。まず9月3日〜23日に東京店で不要になったスーツ、ジャケット、スラックスを無料で回収し、提携業者に提供。コスト負担や処理能力などを検証し、常設化や関西の店舗での実施も検討する。高島屋は経済産業省が実施したリサイクル事業に協力したが、今回は独自に展開する。集めた紳士服は回収業者のナカノに運び、反毛工場で再生毛に加工、フェルト工場で自動車の断熱材に仕上げる。
全日空と大阪ガスケミカルは環境に配慮した航空機用の座席クッションを共同開発した。ウレタンの代わりに耐熱性に優れた炭素繊維を使用し、機内の安全性を高める。素材の軽量化で燃費を改善でき、リサイクルもしやすいという。新クッションは直径13μmの炭素繊維に特殊な加工を施してマット状の綿を作り、座席の形に成型する。炭素繊維は燃えにくい上に燃えた場合でも有毒ガスをほとんど発生しない。また軽いために燃料も削減できる。クッションを繊維の状態に戻せば、再びクッションの材料などに使用できる。
①10月16日〜17日
②名古屋工業大学講堂
③高分子の合成−精密設計の考え方と最近の進歩、高分子の一次構造とキャラクタリゼーション、環境調和型高分子の設計、高分子の固体構造と物性、他
④高分子学会東海支部 申込先:中部科学技術センター内高分子学会東海支部 TEL 052-231-3070
①10月16日〜17日
②東京都立産業貿易センター内台東区民会館
③皮革の種類と特性、革・革製品の品質管理の仕方、皮革の苦情品の種類と対策、他、栃木皮革株式会社見学
④日本皮革技術協会東京講習会係(月水金のみ) TEL 0792-84-5899
①10月17日
②大阪科学技術センター
③染色加工の最新動向(天然繊維、合成繊維)、合成皮革の最新動向、色剤の最新動向、最近の品質クレーム事例、他
④日本繊維機械学会 TEL 06-6443-4691
①10月17日
②東京工業大学大岡山キャンパス百年記念館
③ナノファイバーテクノロジー、ナノ無機フィラー含有繊維の構造と物性、溶融構造制御によるPET繊維の高強度化(ナノ構造制御を目指して)、他
④高分子学会繊維材料研究会係 TEL 03-5540-3770
①10月23日〜24日
②信州大学理学部
③環境保全のための分析法・廃棄物処理とリサイクル、電気化学計測法による水質検査とその管理等の講義及びデモンストレーションと実習、他
④日本分析化学会中部支部 申込先:信州大学理学部化学科 中村俊夫 TEL 0263-37-2507
①10月27日〜28日
②京都工芸繊維大学大学センターホール
③反射率法による洗浄率の評価について、家庭洗濯における皮脂洗浄に関する研究、漂白剤配合衣料用洗剤の洗浄挙動、水系超音波による布からの油性汚れの除去、他
④日本油化学会 申込先:京都工芸繊維大学工芸学部物質工学科界面材料学研究室 Fax:075-724-7515
①11月1日
②ATC オズ南館
③クリーニング機材・資材−最近の動向とその活用法、クレームの宝庫?クリーニングの裏話、他、クリーンライフビジョン21(全日本クリーニング研究大会・機械資材展示会)の見学
④日本繊維製品消費科学会 学会センター関西内「日本繊維製品消費科学会」係 TEL 06-6873-2301
①11月11日〜21日(全課程8日間、課程選択可)
②QTEC西部事業所
③織物の基礎、ニットの基礎、染色加工、性能試験と品質基準及び安全性、家表法による表示及びその他必要な表示、商品クレーム事例と対策、他
④日本繊維製品品質技術センター西部事業所 TEL 06-6946-4811
①11月25日〜26日
②東京理科大学森戸記念館
③溶液物性の測定法、ぬれ・浸透性の測定法、起泡・消泡の測定法、界面電気測定法、乳化・可溶化の測定法、他
C日本油化学会
(03-3271-7463
①11月28日
②名古屋市工業研究所
③界面活性剤概論、界面と接着反応、泡について、界面活性剤の基礎と工業用洗浄剤について、他
④日本油化学会東海支部
申込先:中部科学技術センター内日本油化学会東海支部 TEL 052-231-3070
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男