ミニ情報TOP→ 日本衣料管理協会TOP→ バックナンバー一覧(2003年度:第20巻〜)→
中小企業庁は04年度の第1回新連携対策委託事業として55件を採択した。これは技術、ビジネスノウハウ、知的財産などを持つ中小企業や研究機関、NPO、組合、大企業が連携し、新市場創出をめざす取り組みを支援するのが狙い。繊維関連では、片岡毛織と斉藤タオルの2件採択された。
経済産業省と中小企業基盤整備機構は、04年度の中小繊維製造事業者自立支援事業の審査結果を発表。採択者は169件で助成総額は約50億円に達する。今年度は質的に昨年度より若干高いレベルにあるとしている。
経済産業省は、人に優しいものづくりを推進するため、広範囲な産業界・学界の強力を得て、数千人規模の人体寸法・形状計測を行う「人間特性基盤整備事業」推進委員会の会合を開く。人体寸法は10年前のデータが最新で、アパレルや自動車業界からその更新を強く要望されていた。初年度8千万円の規模で06年度に終了の予定。
04年度の経済財政白書によると、全世界で自由化、アジアの自由貿易協定による日本経済へのプラス影響を試算している。特に、輸入浸透度が上昇している衣料に関して、その影響で02年の国内価格が91年比で25%低下したものの、未だ内外価格差が約7兆円残っていると指摘している。
文部科学省の推進する専修学校先進的教育研究開発事業の委託をマロニエファッションデザイン専門学校、大阪文化服飾学院、上田安子服飾専門学校が受け、地域商店街の活性化のため、商官学の本格的な連携事業を実施する。
経済産業省は欧米企業約160社が中心となって標準化を進めているICタグ(荷札)の規格を日本の流通業界で普及させる。今秋から百貨店など小売りや卸の業界団体などが実施する実験を支援する。国際規格「EPC」は米ウォルマ−ト・ストア−ズなどが採用を決め、国内では経産省所管の流通システム開発センターが管理・普及を担っている。経産省は日本百貨店協会、日本アパレル産業協会、日本靴卸団体連合会などに、約3億円の委託事業費を出し、半年かけて実験する。
経済産業省の05年度繊維関連予算概算要求は約18億円で、技術開発支援を主力に前年度比約3割増となった。技術開発9件のうち新規5案件はいずれも産業資材関係であり、衣料関係は「質的向上に向けての転換期」と位置づけ、自立事業は40億円前後になるもよう。
経済産業省が8月末に「政府模倣品・海賊版対策総合窓口」を開設した。企業などが模倣品・海賊版による被害を受け、法令などの問い合わせや外国政府への働きかけなどを求める際に、窓口が政府として相談を受け、関係省庁と連携し、原則として10日以内に回答する。
経済産業省の05年度産業技術関連の概算要求は6,309億円で、前期予算額の4.2%増。来年度の重点を①研究開発プロジェクトの戦略的重点化と相互の連携強化②産学連携の多面的な展開③民間企業のイノベ−ションシステムの改革④地域における科学技術の振興⑤競争的研究資金制度の拡充⑥独立行政法人における研究開発の推進など研究基盤の整備−の6点に置く。
JIS L 2501 ビニロン畳糸、JIS L 2504 ポリプロピレン畳糸、JIS L 2505 ポリエステル畳糸が廃止された。
同興紡績は、スッセン製の最新型精紡交撚機「エリツイスト」をインドの提携先に導入して、綿コンパクト糸の精紡交撚タイプの「アルティマ・デュオ」を開発。エリツイストは精紡交撚する2本の粗糸を供給する際に、撚るまでの距離を最小化し、毛羽立ちを一層抑える。従来のコンパクト糸よりもさらに表面がクリアで、引き締まり、強力が向上する。伸度も低減され、糸断面は円形になる。コストも通常より50%削減。現状はインド超長綿使用の80番、100番双糸から開始しており、シャツ・ブラウス向けを主体に原糸販売する。さらに200番双糸では最高級原綿の一つであるスビン綿を投入する予定。
デサントは赤外線カメラを悪用した透過撮影を防ぐ素材を初めて開発した。第一弾としてアテネ五輪に出場する競泳日本選手の水着に採用する。12月から販売する一般向けにも採用する。開発した「ビデオプルーフ」は、糸の中に赤外線を吸収する素材を入れたもので、水着の裏地に使い、赤外線カメラによる透過撮影を防ぐ。赤外線カメラを使うと水着が透けた画像を撮影できる場合があり、日本水泳連盟はスポーツ用品メーカー各社に対策の開発を要請していた。市販品では05年春夏モデル13万点の裏地に採用する。
伊藤忠商事は帝国繊維と共同で、綿麻混紡糸のコンパクト糸「リネデラン」の糸とテキスタイルを発売する。綿、ウールに続くコンパクトシリーズの第3弾として来初夏の麻トレンドに対応。リネデランは、世界最高級のノルマンディー・リネン60%とスーピマ綿40%を混紡したもので、糸は10番(綿番手)、16番、20番の単糸。麻素材特有の節や大きなスラブ・ムラ形状、毛羽が抑えられ、滑らかで美しい表情がある。一方、シャリ感や麻の手触り感は残る。コンパクト糸の特性と上質な原料使いでリネンの光沢が一層引き出された。麻のカジュアル感とコンパクト糸のエレガンスが合体した素材に仕上がった。
参考:麻への期待高まる 繊研,〔04・8・11(4)〕
ビッグトレンドとヒット商品の不在が続くファッション業界で、久しぶりに活躍が本物になりそうな素材がレーヨン長繊維。日本が生産量・品質ともにトップといわれた時代もあったが、01年秋に完全に生産が止まった糸。自給を諦めるという選択を、一大事と受け止める空気が希薄なまま2年を経過。旭陽産業(福井市)・増井(京都市)・サイボー(川口市)の大手3社が、ドイツのエンカ、中国の吉林化繊・新郷化繊などからの輸入を増やしている。レーヨン長繊維は「ニュー・ベーシック」になる可能性もあるといわれ、店頭で面積を広げ始めたこの素材の周辺が報告されている。
シキボウはこのほど、沖縄県、新内外綿、三菱製紙と共同で、沖縄県特産のさとうきびから繊維を抽出して、これをバイオマス資源として衣料用に活用する技術を開発した。この技術を活用してできた繊維を沖縄県特産の衣料「かりゆしウエア」として発売する。三菱製紙の技術(ケーンセパレーションシステム)により、さとうきびの搾汁を含む内部繊維部分(ピス)、外皮部分(ラインド)、表皮(ワックスを含有)の3層に分離。シキボウがこのうちの外皮部分を特殊技術で衣料用繊維に開繊することに成功し、新内外綿がこの開繊した繊維を独自技術で米国超長綿との混紡糸(20〜40番手)として紡績した。混率はさとうきび繊維が8%。繊維や混紡糸には抗菌防臭性が確認できたという。
オーミケンシはこのほど、温度調節機能を持つレーヨン繊維「華氏キュウナナロク」を開発した。同繊維はレーヨンに相変化を伴うパラフィン系物質PCM(Phase change material)、快適な環境を実現するのが特徴である。同素材は、PCMの相変化を利用して温度調節を行う。相変化とは固体から液化、さらに気化する変化のことをいう。このPCMの温度調節メカニズムを利用し、外界の気温に関係なく、衣服内の温度を25〜29℃の間に温度調節を行う機能を持たせる。華氏97.6は摂氏に直すと36.4℃となる。
参考:ポリエステルの自動温度調節原糸 繊研,〔04・7・30(4)〕
日清紡はポリウレタン「モビロン」で、熱融着糸の「モビロンR」、保湿タイプ、かぶれ防止タイプを開発した。同社はレッグ用比率が高く、その需要減やアパレルの海外移転による販売減をカバーするため、熱融着糸の投入などでインナー用途を強化する。モビロンRは交編生地を熱セットすると、ポリウレタン同士がくっつき、裁断してもほつれない。ショーツや肌着のすそ、襟・袖口のかがりが不要のため、美脚パンツなどのアウターに響かないのが特徴。グンゼなど大手アパレルのショーツや肌着で採用されている。かぶれ防止や保湿タイプは、それぞれ効能のある薬剤を練り込んだ。
北陸産地発で世界シェア80%の糸がある。小田ゴウセンのポリエステルウーリー分繊糸「小田ヤーン」、「シルストロン」である。シルクのような光沢があり、オーガンディやウエディングドレス、カーテンに使われている。分繊糸とは1本のマルチ糸を複数本に分割した糸。ストレート分繊糸もあるが、小田ゴウセンの糸は、1本220Dの親糸を仮撚りしながら10本に分割したウーリー(羊毛のような縮みのある)分繊糸。高いシェア確立には、「一度使ったら他社の糸は使えない」といわせる商品力と販売網・技術サポート・ストックオペレーションなどの販売力との合わせ技が寄与している。
梳毛ニット糸の生産は大阪、東京に本社をおく毛紡績が縮小、撤退する中で、茅ヶ崎紡織と山形県の佐藤繊維、ヒラシオが大手になってきた。そのうち、佐藤繊維、ヒラシオ2社合わせた昨年の生産実績が1,300t。全国の2,135tに比べると6割になるが、合繊混なども含まれるため、実質シェアは約半分の規模となる。両社とも多彩なニット糸を開発、企画提案型の紡績として商社、ニットメーカーなどへの販売を強化している。
三菱レイヨン・テキスタイルは、安全性と性能が高く、持続性がある抗菌防臭・制菌アセテート「パステクリーン」を開発。パステクリーンは、耐熱水性ジアセテート「リンダ」の製造工程で銀系無機抗菌剤を練り込んであり、繊維上に付着した微生物の増殖を抑制する。抗菌防臭・制菌性能の対象とした菌種は、黄色ぶどう球菌、肺炎桿菌、緑膿菌およびMRSAであるが、いずれの菌にも有効であり、洗濯10回後も効果が持続している。本稿では、パステクリーンの特徴ほか、抗菌防臭・制菌性能、安全性試験、SEKマーク認証、用途展開につき写真・図表を添えて解説されている。
富士紡績と東レがメンズインナー用ニット「エアロブレス」を共同開発。東レの中空率45%のナイロン66短繊維と富士紡績の綿を中心とした天然繊維を混紡した素材で、ソフトな風合い、軽さ、保温性、吸放湿性、速乾性がそれぞれ優れ、すべてがバランス良く組み合わさっているのが特徴。複合する天然繊維や紡績・編み方を変え、オールシーズンに対応。秋冬は毛混やスムースで保温性を、春夏はレーヨン系「レクセル」や強撚糸使いで清涼感を強調した素材を開発中。ナイロンは30%前後複合する。この用途は、綿100%がほとんどで、ナイロン66短繊維の中空糸使いは珍しい。
シキボウはこのほど、フジッコとの共同開発により、大豆成分イソフラボンを配合した新素材「アクアフラーナ」を開発した。綿などに後加工した新素材で、洗濯耐久性に優れ、抗菌効果、消臭効果を備えているのが特徴。天然成分であるイソフラボンは、大豆はい芽に多く含まれており、骨粗しょう症や前立腺がん予防に効果があるという。女性ホルモンに近似することから美白、保湿効果を持ち、老化防止効果もある。繊維と結合させるのは今回が初めての試みとしており、レディス中心に展開し、メンズにも広くアピールしていく。
小松精練の新感覚合繊「ビンテージ繊意」は、合繊でも、化繊でも、綿でもない独特の触感と表情を持つ素材として02年の春に発表され、瞬く間に大ヒット素材に成長した。天日干し風のナチュラル感と膨らみ感などが特徴。精練、減量、染色、セットなど均質な製品を安定生産するための加工工程を崩し、「ポリエステル加工の教科書にない加工や工程の組み合わせ」で生み出した素材。トップの強い意志とプロジェクトチーム全員の力が結実したもの。今後はこの技術をベースに様々な素材、加工との組み合わせを目指し、この加工専用のビンテージ機と組み合わせやすいマシンの開発なども進めている。
ブルーウエイは、本革の粉末をデニムにコーティングした「レザーデニム」を今秋冬物で提案し、メンズでは一番の人気素材になっている。牛の本革の粉末をフロッキープリント状にデニムにコーティングした後、ハードなストーンウオッシュを施すことで、アタリの部分にデニム地がのぞく。レザーともデニムともつかない新しい素材感が、セレクトショップのバイヤーから評価され受注好調という。同社は以前から、レーヨンの粉末をフロッキー風に加工した素材を用いていたが、革で応用した。
最近の肌着の多様化には、抗菌防臭機能、消臭機能、スキンケア機能、発熱機能など目を見張るものがあるが、エコロジー対応のものは意外と少ない。グンゼの「エコマジック」は、水だけの洗濯でも皮脂汚れを洗い流せ、黄ばみも少ない肌着として開発された。綿(セルロース)繊維をナノレベルから特殊改質する新たな加工技術を開発し(綿をさらに親水改質する)、汗汚れが落ちやすい改質素材を完成させたもの。黄ばみの原因となる皮脂汚れが水だけでも落とせることから白さを長持ちさせる機能も付与され、同時に着用快適性も向上する。
日本毛織はナノ技術を応用した吸湿発熱加工「ウェルウォーム」とスキンケア加工「ビキュート」を開発。これにプロテイン加工など既存6商品を加え、ナノテク素材「ナノミラクル」シリーズとして打ち出す。ウェルウォームは羊毛の分子構造を操作し、ナノサイズの特殊親水性物質を反応させて、羊毛が持つ本来の吸湿発熱機能を向上させたもの。ビキュートは日本油脂が開発した生体細胞膜に近いリン脂質ポリマー「リピジュア」を使い、羊毛繊維にナノレベルでコーティングした。リン脂質ポリマーはコンタクトレンズや化粧品にも広く使用されており、外的刺激から肌を守り、保湿性もある。
セーレンのデジタル染色システム「ビスコテックス」は、インクジェットプリンターを核にした一連のテキスタイルの染色加工システム。製版工程が不要なため多品種・小ロット短納期対応が可能で、あらゆる色や柄に対応できる。デジタルデータで生産、再現性も高い。ただ、生産速度が遅いことや、でき上がった生地の品位が低いなどの欠点が指摘されていたが、画像処理からプリンター機器、インク、染色加工のすべての技術を自社一貫で開発することで欠点を克服。トップの執念、200億円以上の投資、合繊から天然繊維までの各素材に使える全方位システムの開発が成功を生んだという。
イタリアの大手毛紡績のゼニア・バルファ(本社ビェラ)は、中国でのストックサービスと中国国内での染め上げ納品サービスをスタート。ストックサービスは現物ヤーンを上海に在庫して、1s単位から注文に応じる。染め上げサービスは、本国で作った生成り糸を中国に在庫し、顧客の要望に応じて中国内の提携染色工場で染める。30sの最小ロットから注文に応じ、10日間以内に納品。このシステムは、このほど開かれた上海国際ヤーン展で発表され、「中国現地紡績に比べコストは高いが、ファッション性のある付加価値品を適正なコストで、クイック納入できる仕組み」と強調している。
文化・服装形態機能研究所は、現代青年男子の体形の特徴をリアルに反映した「文化メンズヌードボディ」を発売する。今回開発したのはJISメンズ「92JY5」サイズで、00・02年度文化服装学院在校生約3千人の男子学生から該当する被験者を選出し、その中からねじれ・ゆがみ・左右差の少ない64人の精密測定を行った。
伊藤忠商事は携帯電話を入れる専用ポケットが付いた紳士用ワイシャツを売り出す。見た目は普通のシャツとほとんど変わらないが、走ったり、かがんだりしても、携帯電話が滑り落ちにくいという。ポケットの構造はテーラーヨシムラが開発し、実用新案として認められており、伊藤忠がシャツ向けの独占使用権を取得し、メーカーにライセンスを供与して商品化する。伊藤忠は今後、作業服などでも専用ポケットを付けた商品を扱う。
企業のロゴや商品ブランドマークを使った「企業コラボレーションTシャツ」が広がっている。カジュアル系専門店からレディス専門店にも拡大中。売れ行きも好調で、新しいロゴイメージを使った商品など、Tシャツが異業種の商品開発を促すことも考えられる。
「工場の国内回帰」の論調が昨年後半あたりから目立っている。アパレル業界においても、国内重視をうたうところが今年初めあたりから増えている。だが国内工場では、いま「国内重視」の掛け声に違和感を覚えているところが多い。国内工場ということで、発注側が手の込んだ商品や、納期が極端に短いものを投入したり、投入の山谷が多い。こうした状況が続くと、生産現場はますます体力を消耗し、国内工場を有効利用しようというアパレル側の願望は実現しない。縫製工場との血の通った対話が求められている。
オンワード樫山は脚を長くスマートにみせる「美脚パンツ」に合わせ、上半身もスリムにみせる上着のパターンを新たに開発した。紳士用スーツの上着は従来より胴回りを絞り、ボタンの位置は高く、ベントも深くした。腰の位置が実際より高くなる。胸の襟の開き幅も狭め、美脚パンツを上下で着ると、よりスマートな体形に見える仕組み。同様のパターンは婦人用ジャケットにも採用する。
アテネ五輪では日本人選手が活躍したが、水の抵抗を極限まで減らしたハイテク水着とは逆に、水の負荷を高めて筋力アップする練習用水着に水泳愛好家が着目している。デサントの「ハニカムエステル」は蜂の巣状に加工した素材で、表面に無数の凹凸がある。水着自体も水分を吸収し、重さは水中で約2倍になる。流水抵抗も増加し、推進力をそぐ効果がある。ハイテク水着とは逆の発想で、筋力アップやダイエットを志向するユーザーに受け入れられている。
アパレルパーツの製造卸ナクシス(本社京都市)は、角を丸くした織物のケアラベルを開発。「ラウンドカットレーベル」の名称で今秋から販売する。角を丸くすることで、ラベルの角が肌に触れた時に起きるチクチクした不快感を解消。下着、Tシャツ、スポーツ衣料など、ケアラベルが肌に直接触れるアイテムで効果を発揮する。大手、中堅の下着メーカーとの取り組みから開始。コストは従来と大きく変わらず、シングルとダブル(二つ折り)の2タイプがある。生産能力は機械1台で年間約700万枚で、既に福井工場に設置、年内をめどに同社の上海、タイ、青島、香港の海外工場にも随時導入、約30台を設置する。
三越は、明治・大正時代などのデザインを基調にした復刻版の呉服を発売する。呉服屋を起源とする同社の過去の資料などを基に図案を起こし、現代風のアレンジを加える。
株式を公開している94社の最新決算では、売上高が前年同期比で0.3%増と、2年半前の調査以来のプラスで、経常利益も増加、衣料品関連小売業の業績に、ようやく明るさが見えてきた。要因は、量販店の店舗閉鎖による全体の規模縮小のペースが落ち着いてきたこと、専門店の好調さがある。
繊維アパレル流通の企業取引で「一括ファクタリング方式」が広がりつつある。従来の「手形」を廃止、仕入れ先(債権者)の売掛債権をファクタリング(金融機関)に譲渡・売却し、資金化する方式で、コスト削減効果も見込める。
慶応大、流通システム開発センター、電子商取引推進協は、関係企業・団体を会員とするICタグフォーラム設置、利用システムの円滑な導入のための検討を行い、啓蒙・普及を図る。日本で主流のネットワーク発想を活用したオープンなシステムを狙う予定。
スポーツメーカーは「健康」を切り口とした商品開発に本腰を入れ始めた。部活動など若年層が主役だった競技スポーツ市場は縮小の一途。反対に団塊の世代の定年退職ラッシュが間近に迫り、超高齢化社会に突入することで「健康」に対する関心が高まるばかりだ。だが、単に体を鍛えたいというのではなく、世代や趣味・し好による多様性にも応えなければならない。各社の試行錯誤が続く。
衣料品専門店の中で、店舗の内装や什器のリース取引を見直す動きが表面化しそうである。リースなら資産計上も必要なく、賃貸借による全額損金処理が認められており、設備投資のコストも平準化できるメリットは大きい。売り場の過当競争などで、確実に店舗の寿命が短くなったことが要因。
都心や都市近郊で、“上質”や“こだわり”をウリにした商業施設の開発が相次いでいる。従来多かったヤング〜キャリア狙いのファッションビルとは異なり、都心の富裕層やライフスタイルにこだわった大人がターゲット。エンターテインメント施設や高級スーパーの導入も目立つ。
繊研新聞社がこのほど実施した、第32回「全国百貨店改装・増床計画調査」によると、今秋は70店が改装する。5億円以上を投じる改装は12店あるが、全館レベルの大型投資は減少し、改装の規模はやや縮小傾向にある。ただ、今秋以降に改装・増床を予定している店舗は多く、全体に減収基調が続く中で、改装への投資を優先する姿勢がうかがわれる。今秋は三越が本店の新館を開業し、西武百貨店が船橋店と高槻店を全館改装する。
専門店のインターネット通販が広がりを見せている。繊研新聞社が専門店を対象に実施したアンケート調査によると、157社中26.1%にあたる41社がネット通販を行っていた。さらに30社が検討しており、そのうち9社は1年以内にサイト開設を予定している。現在、行っていない企業もネット通販市場は広がると見ているところが多い。一方でファッション商品の仕様の複雑さ、物流・返品などのコスト増、個人情報の保護などの課題や問題が指摘されており、解決までには試行錯誤が続きそうだ。
商社のホームファッション分野で、中国内販事業が勢いを増している。日系メーカーと連携したり、自らリテール事業を手掛けたりと方策はさまざま。ホームファッション分野の内販事業では、トレンドが日々変化する衣料に比べ市場性を読みやすいことに加え、中国国内で沸騰する建設ブームなども追い風となっているようだ。
青山から銀座へ。東京・銀座の開店ラッシュで、大人の女性たちの流れが変わりそうだ。バーニーズ・ニューヨークやプランタン銀座モード館、「ルイ・ヴィトン」に加え、「クリスチャン・ディオール」や「シャネル」「セリーヌ」の開店も控えている。いずれも大人のおしゃれな女性を対象に、青山や新宿、丸の内にはない銀座ならではの仕掛けを放つ。
東京・原宿が再び古着で盛り上がっている。古着の大型店が1年前から相次いで出店し、買い回り客も増え、各店とも売り上げを伸ばしている。1,000円以下からの価格設定で、常に店頭に1万点以上の多様な商品が揃う点が人気。競合が進んだ結果、市場の売れ筋を反映した品揃え、スタイリングによるファッション性の強化など店作りも進化し、若い世代には“衣料品のスーパー”のような身近な存在として浸透。全国に広がりそうな勢いだ。
子供服分野で話題を集めたジュニア市場が沈静化、今、百貨店やGMSの小売業界は、再度ベビーに注目し始めている。それも、新生児を含めた出産前後が切り口になっている。ギフト需要に加え、特に子供市場の入り口を押さえることが、サイズアップしながら連続性ある顧客につながるというもくろみもある。しかし、ベビーは一連のカテゴリーキラーのチェーン大型専門店に先行され、むしろ侵食されてきたうえに、昨今郊外の大型SCの侵攻を受けている。
日本通信販売協会は、来年4月の個人情報保護法の施行に伴うガイドラインを作成した。通販はデータベースを活用した事業特性から、最も個人情報にふれる機会の多い業種で、事例なども豊富に盛り込み、実践的に作成されている。
クリーニング総合研究所が87施設を調査し、次の主な結果を得た。ドライ機のタイプは、コールド型86%、ホット型14%であった。ドライ機の負荷は、台数の多い順に10kg(23%)、16kg(21%)、22kg(18%)であった。年間の処理量1kg当たり石油系溶剤の平均使用量は、回収機なしで80g、回収機ありで45gであった。回収機ありのうち、ホット型だけを取り出すと平均使用量は36gに減るので、完全密閉型への転換が重要である。
カビは通常のシミ抜き方法では除去困難なので、種々の条件で除去実験を行ったところ、主な結果は次の通りであった。今回は予備実験として、一般的な染み抜き溶剤と漂白剤のシミ抜き効果を調べた。その結果、トリクロロエチレン等の油性処理剤、アンモニア水等のアルカリ性薬剤、ホウ酸等の酸性処理剤は、すべて効果がなかった。また漂白剤は、酸化漂白剤のみが使用条件によって効果を現した。
フランクフルトで開催された国際テクスケア委員会で発表された、16カ国のドライクリーニング溶剤の使用比率である。パークが9割を超えるのがイギリス、フランス、チェコ、ハンガリー、ノルウエー。少ない国でも7割を超えている。ただし日本だけは異常に少なく、14%に過ぎない。一方、石油が82%を占める。ほかは石油が多い国でも、ギリシャ30%,アメリカ15%,オーストラリア13%,ドイツ13%に過ぎないから、日本の石油の使用比率はきわめて高い。パーク、石油以外は水(ウエット)によるもので、ベルギーの24%、オランダの14%、ドイツとオーストラリアの13%が高い。
クリーニング事故ゼロを目指して、クリーニングとアパレルの業界団体が協力した「事故防止システム」がスタートした。これはインターネットでクリーニング事故例を参照できるデータベースシステムで、素材、アイテム、加工方法、メーカー別またはトラブル例など様々なキーワードで事故内容を検索できる。現状はクリーニング側の責任よりも、企画設計段階でのミスにより発生するトラブルが無視できない状況にあり、関連企業にこのシステム活用を強く訴えている。システムの利用は会員制。問い合わせは下記の日繊ク協ホームページへ。www.nichisenku.jp
国民生活センターは洗濯槽の配置が異なる洗濯乾燥機4社4銘柄をテストした。乾燥できる容量、かかる時間、残り時間の表示は適切か、消費電力量や水量について、汚れ落ち、乾き具合、シワや衣類の傷み方、騒音等について調べた。その結果、業界への要望として、乾燥容量・表示時間を見直し、乾燥性能を向上させて、エラーや途中停止をなくしてほしいこと、また、洗濯のみの時間を短縮し、全工程では水使用量が必ずしも少なくないことを明確にしてほしいということ、それから、糸くずなどが、排水口に流失しない構造とふたのロック機構の改善をしてほしいことなどがあげられる。行政へは、規格基準の制定を要望する。
大阪市消費者センターは、水洗い可能と表示のある紳士スーツ5銘柄とジャケット4銘柄について、家庭洗濯と商業水洗いを20回繰り返し、各回数別に寸法の変化を調べた。いずれも収縮は基準値内でしかも、家庭洗濯の方が小さかった。なお、ネットに入れる、蛍光増白剤や漂白剤が配合されていない中性洗剤を使う、洗濯機は弱水流で使用、脱水は20〜30秒、乾燥は形を整えハンガーに掛け陰干しし、アイロンかけはあて布をして素材に応じて適切な温度で行なうことなどに注意すれば色落ちについても問題ないと思われる。
愛知県県民生活部県民課は、ポリ乳酸繊維がポリエステル繊維とほぼ同じ強さを持ちながら生分解性を持つ繊維として注目されていることから、同繊維の表示と性能について、Tシャツ、ポロシャツ、フェイスタオル、水切りゴミ袋を試買テストした。シャツはポリエステル繊維のものより柔らかいが、吸水性はやや吸いにくいという結果だった。洗濯30回後も寸法変化2%以内で強度の低下もなかった。同繊維の融点は170度で高温アイロン(180〜210℃)では融解する。タオルは、吸水性、寸法変化等すべてJISの基準を満たしていた。水切りゴミ袋の強度にも変化はなかった。生分解性については、高温バイオ方式の家庭用生ゴミ処理機の条件で30日間静置。シャツや水切りゴミ袋の強度は大きく低下した。同課ではポリ乳酸繊維は、環境に優しい反面熱に弱い欠点があり、アイロンに注意が必要。生分解はするが、高温多湿の条件が必要であり、ポイ捨てはしないよう呼びかけた。
静岡県環境衛生科学研究所は、「100円ショップ」で売られている商品について、ホルムアルデヒドが含まれているかどうか、乳幼児用衣料16銘柄と木製食器類15銘柄(なべふた3銘柄含む)を市内の100円ショップで購入しテストした。結果は、テスト商品にホルムアルデヒドが含まれているものがあった。衣料品は一度洗濯するとホルムアルデヒドを除去できるが木製品(接着剤を使用しているものや表面がコーティングされているもの)は3回洗っても除去できなかった。
群馬消費生活センター商品テスト情報No.19から。6歳男児の海水パンツを脱がせようとしたら内側についているメッシュ生地の網目に性器の先端の皮膚がはさまり、腫れて脱げなくなってしまった。これまで同様の事故が8件あった。子供の場合2〜3o程度の網目でも外気温と水温との差、海水の影響などいくつかの条件が重なると、このような事故が起こる。メーカーは来期生地の見直し改善をする。事故が起きたらむりやり皮をはずそうとせず、メッシュ生地を刃物などで切る応急処置すること。
「昨年夏の終わりに夏物のスーツをクリーニングに出し、そのまま洋服ダンスに入れていたが、着用しようと出したらテカリがひどいことに気づき、この場合弁償を要求できるか。」弁償できるかどうかについて、法的には、衣類を受け取って1年以内であれば損害賠償の請求はできるが、トラブルの原因を証明する責任は申し出側(ユーザー)になる。無用なトラブルを避けるには、返却後速やかに衣類の状態をチェックすることが大切。
全日本婦人子供服工業組合連合会は、同連合会のIDコ−ドを取得している企業403社に対してクレ−ム等受付処理状況調査を実施、報告書にまとめた。クレ−ム数は、消費者から2,489件、商業クリ−ニング業者から1,656件、計4,145件だった。内容別では、外観変化9件、縫製不良412件、付属不良257件、色の変化215件、その他436件となった。処理方法は、商品交換が最も多く246件、代替品送付318件、説明納得217件、付属品送付193件、修理返却162件、返金104件だった。[全婦連事務局 03-3866-8920]
繊維製品の黄変は多くの原因で起こり得る。天然蛋白繊維の黄変やアセテートのガス退色などは古くから知られているが、「NOx黄変」などは繊維種別や製品形態に関係なく発生するのが特徴である。NOx黄変の主な原因物質とされるのは、酸化防止剤(AO)であるが、現状はあまり知られていない。本稿では製品の黄変(色の変化)を分類し、具体的に解説するとともに、最近の黄変事例についても触れている。黄変関係の苦情の観点からよくまとめられている。
6月24、25日に開催されたISO/TMB会議で、ISOにおいてSR規格を作成することが決議された。報告内容(英文)はISOのホームページで閲覧可能。SRは企業や組織の公共性、社会的責任を求めるもので、最近の企業の相次ぐ不祥事にも刺激され、ISO規格に定めることが決まった。ISOは顧客に対する品質保証、顧客満足、環境問題と順次発展して来たが、更に進んで社会的責任が規格化されようとしている。標準化と品質管理誌では、6〜10月号までこの問題を連続して取り上げている。
工業統計、商業統計、通関統計を組み合わせた02年の繊維生産・加工・流通・消費のフローが5年ぶりに作成された。繊維全体の市場規模は44兆円、97年比23%縮小、最終消費の縮小と輸入の拡大による川上や川中が抜けるのがその大きな要因とされている。
日本ユニフォームセンターが与える「ユニフォーム専門資格認定制度」は、制服の選定に際して、各企業ともそれぞれ職場に最適を求めるため、これを専門の立場からサポートする担当者を養成し、一定の資格を与えるもの。98年度からスタート、現在初級206人、中級30人が資格を取得している。
ユニバーサルデザインフォーラム(UDF)の調査によると、33の自治体でUDを何らかの形で取り組んでいるという。UDに配慮した街づくりなどとともに、地場産業の活性化に役立てるのが狙い。
シキボウは浜松工業技術センターなどと共同で繊維に印字する技術を開発した。直径が0.1mmの黒いポリエステル繊維にレーザー光で印字する技術で、特殊な顔料を繊維に混ぜ込み、レーザー光にあたった部分が白く変色する。印字した繊維は普通のミシン糸と同じように縫ったり、洗濯を繰り返したりできる。字の太さは60μmと微細で、肉眼では判別しづらいが、通常の光学顕微鏡などで読み取れる。印字速度は1時間あたり20〜25m。印字の有無で偽造品かどうかがわかるため、海外高級ブランド品メーカーなどへの販売を目指す。
大橋正男編著 協力/東レ経営研究所
繊維ファッション産業のこれまでの変遷と現実の姿を、消費・流通・製造・国際の多角的側面から、様々なデータを基にグラフを駆使して分析し、21世紀への課題と展望を探っている。繊研新聞出版局 \2,000 TEL03-3661-3681
①10月15日
②ミズノ椛蜊纐{社地下ホール
③ランニング・シューズの官能評価について、天然繊維を利用したスポーツウェア〜利用とエコロジー、運動時の体温と循環調節、他
④日本繊維製品消費科学会 TEL 06-6358-1441
①10月21日
②JR大和路線「志紀駅」改札口集合
③アングル・ミユキ株酔エ工場(高級肌着の商品の企画から生産を一貫して行う工程)の見学、「下着についてのQ&A」の講演
④日本繊維製品消費科学会関西支部 申込先:京都女子大学生活造形学科 矢井田修 TEL 075-531-7174
①10月26日
②大阪科学技術センター
③不織布概論、短繊維不織布の製法、長繊維不織布の製法、不織布の用途、他
④日本繊維機械学会 TEL 06-6443-4691
①11月5日
②大阪科学技術センター
③天然繊維の染色加工最新動向、合成繊維の染色加工最新動向、光触媒の最新動向、色剤の最新動向、機能加工剤の最新動向、他
④日本繊維機械学会 TEL 06-6443-4691
①11月11〜12日
②大阪科学技術センター
③綿−綿繊維の特徴・用途、麻−リネン・ラミー・ヘンプの原料から製品まで、羊毛−原料から織編物まで、獣毛−カシミヤ・アンゴラ・モヘヤ等の獣毛繊維から製品まで、絹−家蚕・野蚕の原料から製品まで、天然繊維の改質−現状・展望、新植物系原料繊維−バンブー・ケナフ・月桃・い草など、消費からみた天然繊維
④日本繊維機械学会 TEL 506-6443-4691
@11月24日〜25日
②江戸川区総合区民ホール
③家庭用洗濯機の性能試験法のグローバル化の取り組みとその課題、油性よごれとドラム式洗濯機の洗浄方式、機能性テキスタイル素材の動向、高性能衣料用液体酸素系漂白剤の開発、他
④日本油化学会洗浄・洗剤部会 TEL 03-3271-7463
①11月27日
②東京ビッグサイト
③皮革と毛皮のクリーニング事情、洗浄用酵素の最新動向、品質性能−対クリーニング性を考えて、クリーンライフビジョン21展示会の見学
④日本繊維製品消費科学会 TEL 06-6358-1441
①12月1日
②江戸東京博物館
③輸入衣料品における取扱い絵表示調査、家庭洗濯に絡むトラブル防止の工夫、ISO指定乾燥機と市販乾燥機との関連、他
④繊維評価技術協議会 TEL 06-6358-7747
東京都ミシン商工業協同組合と東京都が主催する東京ファッション産業機器展が12月3、4日の両日東京ビッグサイトで開催。同時期(12月1〜3日)に行われるジャパンクリエーションとの相乗効果を期待している。
①12月3〜4日
②東京ビッグサイト
③ジャパンクリエーションと同時開催
④東京都ミシン商工業協同組合、東京都
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男