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従来の消費者保護に対して、本改正法はどこが違うのかをひと目で比較できるように表示し、各項目別に改正の狙いを克明に述べている。最後に今後の課題として、本改正法の条例への反映に及ぼす効果、その問題点、他の法令との関係、民事や訴訟への効果などを指摘している。細部まで目の行き届いた見識ある解説である。
経済産業省が発表した「企業の社会的責任(CSR)に関する懇談会」中間報告書によると、CSRはSRI(社会的責任投資)、NGO(非政府組織)、民間の研究団体や経済団体を中心に推進すべきで、政府は取組みを補完的に支援することが適当と指摘。具体的には内外のCSRの考え方、先進事例の収集、分析、普及・広報、情報交換の場の設定を促進すべきとしている。CSRは、法令順守はもちろん、安全確保、環境保護、労働環境改善、人権尊重、地域・社会貢献などに及ぶと定義、その取組みは企業価値を向上させる意義がある。
小売業における公正な納入取引の確保を目的として、公正取引委員会は大規模小売業による優越的地位の濫用行為を規制する告示を04年度中に制定する。百貨店告示で96年の一部改正を除き、規制の基本的ルールが54年の制定当初の規程が今でも維持されており、現状の実態にそぐわなくなったため。なお、今年に入っての乱用事件は、「衣料品納入業者への納入価格値引き」(ポスフール、勧告措置)や「納入価格の値引き、返品、従業員など派遣要請、押し付け販売」(山陽マルナカ、同)がある。
経産省が発表した03年工業統計速報によると、「衣服・その他の繊維製品製造業」(衣服製造業)の事業所数は前年比2.3%減、従業員数は7.0%減、製造品出荷額等は7.9%減となった。衣服製造業はここ数年縮小傾向が続き、前年はいずれも2桁台の減少だったのに比較して、落ち込み幅は低下した。
特許庁の04年特許行政年次報告書によると、世界の特許出願件数は90年代に急増、01年には約1,190万件に達しているが、近年の伸びは比較的緩やかになっている。逆に、世界の意匠登録出願件数は増加傾向にあり、99年以降中国が日本を押さえて1位に、01年には2割強の割合になっている。他に、日本のライセンス収支が収入超過になることなども報告されている。
経済産業省の産業構造審議会割賦販売分科会は個人信用情報小委員会での「経済産業分野のうち信用分野における個人情報保護ガイドライン案」の審議を終了した。調整後に告示される予定。同案は①目的②法令解釈指針③勧告・命令・緊急命令の考え方で構成し、規定違反と判断する場合には勧告することができる。ガイドラインは1年ごとに見直し、関係団体・事業者ごとに自主ル−ルの策定を促進し、実効性を持たせる。
経済産業省の産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会国際資源環境ワーキング・グループでは「持続可能なアジア循環型経済社会圏の実現に向けて」の報告書案をまとめた。基本的な視点として廃棄物の不適正処理の根絶と資源有効利用の促進を柱に、アジア各国が循環型経済社会構造に転換するための基盤整備とアジア域内での資源循環システムの構築が課題だと分析。今後の日本の施策展開としては、アジア各国との政策対話の推進、情報の共有化、アジア各国への支援と域内資源循環ネットワ−クの構築に取り組むべきと提案している。今後、一部修正したうえで公表し、05年4月に東京で開催される「3Rイニシアチブ閣僚会合」などでも活用される予定。
政府は、個人に代わって消費者団体が企業を相手取って裁判を起こす「消費者団体訴訟制度」を整備する方向で検討に入った。内閣府は国民生活審議会の議論を踏まえ、早ければ06年度中の導入を目指す。まず不当な契約や勧誘行為を無効にする差止め請求を可能にし、急増する消費者被害の拡大を防ぐ。個人を救済する手段としては、PL法やクーリングオフ制度などもあるが、一個人が企業相手に訴訟を起こすのは難しいのが実情。そこで内閣府は団体訴訟制度の導入によって、被害を受けた個人の救済に道を開く必要があると判断した。
経済産業省は今年度から「人間特性基盤整備事業」の一環として、数千人規模の人体寸法・形状計測を実施する。日本人の体格調査は約十年ごとに行われ、最近では92〜94年に実施された。同事業は経産省から人間生活工学研究センターへの委託事業。今回の体格調査は、今年度から三年間かけて、首都圏や近畿圏を始め、全国数カ所に計測施設を設置し、数千人の計測をする計画である。
経済産業省の第10回繊維製品3R推進会議が開催され、各団体のアクションプランの経過が説明された。日本羊毛紡績会、全日本寝具寝装品協会、日本古着小売業協同組合、日本被服工業組合連合会の事例が紹介されている。
経済産業省繊維課は、05年度の技術開発プロジェクトとして財務省に8億9,700万円を予算要求しており、うち5件の3億1,900万円が新規で、それはすべて非衣料分野が対象となっている。質量ともに急速に進化する中国繊維産業に対して、現在のリ−ドを維持するには「技術開発が絶え間なく継続されることが、わが国繊維産業全体の維持発展のために不可欠」としており、日中すみ分けに向けて今後も技術開発を強化していく。05年度の新規プロジェクトは、植物繊維を原料とした炭素繊維製造技術の開発(3,000万円)、ウレタンを用いた軽量クッション材の開発(3,000万円)、土木工事用繊維資材の耐疲労性改良技術の開発(1,900万円)、活性炭の高性能化技術開発(7,000万円)、繊維型DNAチップを利用した遺伝子検査・診断ト−タルシステムの開発(1億7,000万円)の5件。
内閣府は、海外経済の情勢を分析したリポ−ト「世界経済の潮流−04年秋」を公表。世界経済の長期展望に関連し、2030年までの主要国・地域の平均経済成長率を独自に推計。中国やインドなどアジア諸国が高成長を続ける反面、人口減少を背景に日本は1.5%成長にとどまり、米欧をも下回ると予測した。30年までの平均成長率では今後も人口増が見込まれる中国(6.9%)、インド(4.1%)が高成長を維持。シンガポ−ルや韓国などNIES(4.1 %)も米国(3.1%)、EU(1.8%)より高い伸びを続けると予想した。
経済産業省は、APEC・IPRサービスセンターを製造産業局内に設置。同センターは特許権、意匠権、商標権、著作権など、知的財産権の侵害を受けている企業や個人のために情報を提供し、相談の受付窓口になる。HP(ホームページ)は今年8月に設置した政府模倣品・海賊版対策総合窓口のHPを兼ね、関連する情報を提供する。同センターの開設は03年6月のAPEC貿易担当大臣会合での合意に基づく。APEC域内の知的財産権(IPR)保護を狙いに、各国・地域に模倣品・海賊版対策の情報・相談の窓口を設置するもの。同センターの連絡先 TEL 03-3501-1701、HP(日本語版)www.meti.go.jp/policy/ipr/index.html
中小企業基盤整備機構は04年度に「繊維産業における最適な生産・在庫管理についての調査研究」事業を川中製造事業者に対して実施する。事業は各工連に委託し、10社程度の実施企業を選んで事例実証に取り組む。これは日本の繊維産業の製造段階が抱える多大な在庫を圧縮する管理のあり方の調査研究が目的。新繊維ビジョンも生産や流通のロスの大幅削減が国際競争力に必要と指摘している。
この規格は、織物及び編物のバキング試験方法について規定したものであるが、最近の生産及び使用の実態をふまえて、規格内容の充実を図るために改正を行うものである。主な改正点は、次のとおりである。①バギングの定義を改正した。②資料の採集及び準備について、JIS L 0105を引用した。③試験の条件について、JIS L 0105を引用した。
この規格は、ウレタン衣料生地試験方法について規定したものであるが、最近の生産及び使用の実態をふまえて、規格内容の充実を図るために改正を行うものである。主な改正点は、次のとおりである。①試験方法の関連規格が整備されたのでこれらを引用することにした。②浸透浸せき法での浸せき時間を30分に改めた。③試験報告書の項を追加した。
この規格は、繊維製品の吸水性試験方法について規定したものであるが、最近の生産及び使用の実態をふまえて、規格内容の充実を図るために改正を行うものである。/同JIS規格の解説 今回の改正は、試験の合理化を主眼に行われた。吸水速度法の沈降法では、沈降現象が比較的に短時間に現れるという試験機関等の実績から、吸水性の最長評価時間を3時間から1時間に短縮すると共に、試験片に表裏がある場合の測定面を明確にした。最大吸水速度及び最大吸水速度時点の吸水量の試験結果について、平均値の丸め方を小数点以下3けたから2けたに改めた。
欧州最大のセルロース繊維メーカー、レンチングは05年6月以降、生産するリヨセル素材ブランドを「テンセル」に統一すると発表した。今年5月に吸収合併したテンセルの持つブランド力を活用する考えであるが、日本市場ではマーケットの特殊性と輸入代理店をはじめユーザーの意向を踏まえ、これまでも使用していた「リヨセル・バイ・レンチング」と並行して展開する。
布の光透過性は衣服の透けとして肌の色や重ね着の透け効果などと関係を持つ。本研究は平織物の光透過性の異方性測定を行い、構造との関係を検討している。光の入射方向が大きくなると異方性が表れ、たて糸とよこ糸の違いが大きくなると、異方性が顕著となる。この異方性はπ/4周期で極値が表れた。3ヶ所の透過率を測定するか、Peirceのクリンプモデルを利用し織物の正面から光を照射したときの透過率を測定することにより、光透過異方性を推定できる。
多品種・小ロットを実践する大正紡績。大量生産の伝統に立つ綿紡績の中で1ケース24kgの別注に応える稀有な存在。店頭と向き合い、目新しい糸を次々に送り出す。しかも、原料の生産者や土地のにおいがする物語付き。数多い糸の中で、オーガニックコットンは同社の看板シリーズの一つ。そのわたの輸入量は月に100コリのペース。1年で約200tだが、日本の輸入量の90%ほどを占める計算になる。中小紡績の範疇にある同社だが、オーガニックコットンの世界で見ると堂々のトップの位置にある。畑から始まる物語として、人々を引きつける物作りが紹介されている。
韓国政府が「夢の先端新素材」といわれる「スマート繊維」の開発に本腰を入れる。産業資源部は、「スマート繊維技術ロードマップ」の作成を終え、今年から13年までの10年間、集中的に育成する。同マップの骨子は、スマート繊維を@スポーツ・レジャー繊維Aメディカル・ヘルスケア繊維B環境用繊維Cデジタル繊維、の4分野に区分し、それぞれの技術開発の課題を選定した。特に、デジタル衣類の開発は、中期の中心課題とし、ハードとソフトの応用技術を、繊維・ファッション技術に接合して商品化する場合、携帯電話やインターネットモバイル、身体状態の感知機能などを持つことになる。
レーヨン、「テンセル」、「リヨセル」などのセルロース繊維は、クリアな表面感、発色性、ドレープ感などの流れから追い風を受けている。品質保証の「竹マーク」の竹マーク推進事務局によるバンブー・レーヨン素材では、東レが前期の倍増、クラボウが3倍増を計画している。レーヨンを繊維事業の主力とするオーミケンシはテキスタイル分野の再強化を進める。新内外綿や日東紡ではセルロース系が主力商品となってきた。旭化成せんい、富士紡績、ダイワボウを含め、改めてアウター用途の素材開発も活発化しており、「きれいめ」の傾向に合わせ、各社とも工夫を凝らしている。
透湿防水織物に保温性を付加したスポーツカジュアル素材「リッチテックネオ」をNI帝人商事が開発、05年秋冬物から販売する。ヨコ糸にポリプロピレン長繊維、タテ糸に異繊度のポリエステル長繊維複合糸を使用した高密度織物である。ポリエステル複合糸が織物表面に微細なループを発現することにより、スパンライクな風合いと、熱伝導度の小さいポリプロピレンを使用することによって従来品より、約30%の保温機能がアップしている。用途はカジュアル、スポーツなど。輸出が主力になる。価格は1ヤード当たり700〜800円。
帝人ファイバーと信州大学繊維学部はこのほど、ポリエステル長繊維のナノファイバーを実用化する技術を開発した。従来の極細繊維の2倍の強度と伸度を確保し、幅広い製品に対応する。糸の製造技術には、帝人ファイバーの精密複合紡糸技術に、信州大学繊維学部のレーザー超延伸技術を組み合わせている。単位体積当たりの表面積は300〜1,000倍となり、外の物質を吸着・接着する力が大きくなるため、吸湿速度は2倍になる。高い強度は、少ない繊維量でも衣料用途の基本性能を満たすので、軽量・薄手の暖かい素材を作ることができる。また、繊維直径は、タバコの煙やウイルスなどの粒子と同等のサイズになるため、フィルターの性能は向上する。(参考:ナノファイバー実用化へ大きく前進 日繊,〔04・10・5(1)〕)
繊研新聞社のアンケートによると、05〜06年秋冬にテキスタイルのキーワードは「上質・高級感」が引き続き1位になった。支持率では前回を上回る勢いで、01〜02年秋冬以降の必須条件を改めて印象づけた。ただ、前春夏まで丸2年、「上質・高級感」とセットでトップの座を維持していた「エレガンス」が5位まで順位を下げ、他の要素がいくつも並立する。より「手仕事風」(8位)な味付けや「ソフト」(7位)が重視されると同時に、「ストレッチ性」(10位)に代表されるような、心地良さをサポートする機能や素材の豊かさに視点が移る気配。(関連の詳細記事7面)
小松精練、豊田通商、トーメンは、豊田中央研究所が開発した“可視光応答型光触媒”を繊維表面に耐久固着させた「V−CAT」加工テキスタイルの販売を開始した。光触媒は、大気汚染、脱臭、水浄化、抗菌、防汚の5つの機能を有し、台所用品から建物外壁まで幅広い用途に使用されている。しかし、従来品は自己分解のため、繊維の脆化や変化を引き起こす欠点があった。これらの点を是正し(2件の特許を出願中)、ファッション衣料、スポーツ衣料、ユニフォームなどに展開する。
航空、宇宙、IT(情報技術)、環境、エネルギー、特殊な産業用途。これらの分野で活躍する高機能・高性能な繊維・素材は日本の合繊産業を培ってきた。その高い技術力で世界市場を牽引している領域である。環境への負荷軽減や安全志向などが求められるなかで、引き続き高い成長が期待される、日本の合繊産業の未来を拓く分野である。ここでは、東レ、帝人、ユニチカ、三菱レイヨン各社の繊維・素材を紹介している。(No.1:炭素繊維〔04・10・1(4)〕,No.2:アラミド繊維〔04・10・5(4)〕,No.3:ポリ乳酸〔04・10・6(4)〕,No.4:その他スーパー繊維〔04・10・7(4)〕)
布構造と紫外線遮蔽との関係について、乾燥状態では、布の直通気孔率が小さいほど紫外線遮蔽率が大きいことを既に報告した。本報では、紫外線遮蔽が要求されるスポーツなどのとき、布が汗などで濡れた場合の紫外線遮蔽率を検討した。試料は糸の太さが同じものを1グループとし、グループ内で糸密度を変えて作成。綿織物2グループ8点およびポリエステル長繊維織物1グループ4点を対象に、水分率を変えて実験した結果、水分率の上昇と共に紫外線遮蔽率が低下し、湿潤時の紫外線遮蔽率は、水分率と、標準状態の直通気孔率から予測できることが判明。
シキボウのマイナスイオン繊維「HOLIC」の紹介記事。自然界のマイナスイオンは①紫外線による気体のイオン化②宇宙線や自然界にある放射線③滝に見られるレナード効果④空気中の微粒子同士の衝突で作られる。主流は放射線によるものであり、HOLICも微量な放射線物質を含むレアアース鉱石をμm以下に細かく粉砕してレーヨンに練り込んでいる。HOLICの効果例として、(社)産業健康振興協会での着用テスト結果を掲載。自律神経系への作用では、心拍数・血圧ともに有意に低下。代謝への作用でも、基礎代謝量が有意に増加し、マイナスイオン効果が予測できるとしている。
東洋紡績が開発した高吸放湿ポリエステル短繊維「アクアマーブル」は、ポリエステルに親水基を多数導入することにより、綿の吸湿率(8%)より優れた10%の吸湿率(20℃、65%RH)を実現した繊維。主な用途は布団の中綿であり、繊維の断面形状として中空丸形と中空異形とがある。中空異形は硬綿用母材として用いられ、硬綿の硬度を上げる効果がある。同繊維の吸放湿特性、吸湿の耐洗濯性、比容積に関するデータと共に、寝床内湿度、乾燥曲線が示されている。吸湿発熱性は、吸湿率がほぼ同等のレーヨン、綿と同じレベルであった。
パールヨットは「極細レーヨンミシン糸」を発売した。この刺繍糸は、50D(デニール)の二子撚り(112dtex)で、75Dの二子撚りに比べ3割程度細く、加工方法の工夫で強度アップを図った。レーヨンミシン刺繍糸では75Dが最も細い糸として使われてきたが、極細糸の開発により、小さな文字やマーク、クルミボタン、小ワッペン、細かい模様が鮮明に刺繍できるのが特徴である。
帝人ファイバーはこのほど、ナノテクノロジーを活用した新感覚スエード調ポリエステル長繊維素材「ケリカ」を開発した。極細糸でありながら高深色性を持つのが特徴で、05/06秋冬向けから織・編物で幅広く展開する。同素材は直紡による極細糸ながら、割繊糸並みの極細タッチを実現。さらに、ナノテクノロジーによる新ポリマーを使用し、アルカリ減量加工で、糸表面にナノサイズの凹凸を付与。ソフト性のほか、染料の吸着量を高めて割繊糸では困難であった高深色性を両立させた。織物、編物はもちろん、薄地から厚地まで対応し、綿、レーヨン複合素材もそろえ、婦人、紳士の全アイテムに投入する。
カネボウは10月27日、ポリ乳酸繊維「ラクトロン」事業の売却先を東レに決定した。ユニチカと並び、日本のみならず世界に先駆けて取り組んできたポリ乳酸繊維事業の売却は、コア事業への経営資源集中などを柱とする経営再建を行う同社にとって象徴的な出来事である。これにより日本で、米カーギル・ダウ社からポリ乳酸繊維「インジオ」の原料供給を受ける企業は、ユニチカ、クラレ、東レの3社に絞られた。特許などカネボウの生産ノウハウを東レが吸収することで、今後はユニチカと東レが、日本でのポリ乳酸繊維市場で覇を争うことになりそうである。
東レは中空ナイロン長繊維を使った軽量で保温性に優れる織編物「エアリーサムロン」を開発。原糸は、鞘部にナイロン6繊維、芯部に業界では初めてPLA(ポリ乳酸)を配し、織編物にした後、原糸芯部のPLAを溶出する。中空ナイロンとして長繊維は初めてで、中空率は業界最高クラスの45%。従来品に比べて45%軽く、保温性は2倍。長繊維ならではのしなやかな風合いや光沢感がある。PLAを使ったのは紡糸や溶出時におけるナイロンとの相性の良さや環境負荷低減のため。糸種は78dtexと155dtexの2種。アパレル入り値は1m当たり800〜2,000円。
世界で最初にアセテートを事業化したセラニーズは、アセテート長繊維事業から撤退すると発表。05年年央には生産を中止する。帝人の事業撤収以降、セラニーズからアセテート長繊維糸を独占的に輸入、販売しているNI帝人商事は対応策を検討している。世界のアセテート長繊維の生産規模は約10万トン。他素材との競合などから5年前の20万トンから半減している。三菱レイヨンは、当初、セラニーズから技術を導入してアセテートを事業化したが、ジアセテート、トリアセテート、アセテート・トウの3素材を持つ国内唯一のアセテート総合メーカーとして将来的にもがんばっていくとしている。
東レは、レーヨンや絹のような上品な光沢としなやかさを持つポリエステル長繊維「シルックラフール」を開発。繊維の断面形状は、レーヨンの断面(菊花状)に似せた楕円八葉。三角断面のように光が一面に集中せず、どの角度でも光が均一に反射するため、ぎらつかない上品な光沢がある。楕円形状によって折り曲げ剛性が小さく柔らかい。肌との接点が広いため、接触冷感が得られる。繊維方向の溝によって吸水速乾性が丸断面の4倍に高まる。糸種は125dtex(72F)のほか、近く56dtex(36F)を加える予定。価格は通常品の100〜200円高。05年春夏からレディスインナー向けに販売する。
デニム産元のダックテキスタイル(広島県)は、「牛革クロッキー」「箔デニム」を開発。牛革クロッキーは牛革をパウダー状に砕き、デニム地全面に張り付けるもの。洗い加工も可能で、生地がすれてアタリが出る所は、下のデニム地が表れる。レザーパンツのビンテージ風に見えるのが特徴。素材は綿100%とストレッチで12.5オンスが中心、色はブラウン、黒、ベージュなど。箔デニムは、ムラ糸使いのデニムに、金や銀の箔のようなコーティングをした。ムラ糸の表面に箔が付き、タテ筋が出る。洗いをかけ、タテ筋をより強調することでゴージャス感を出せる。顔料コーティングによる多色展開も可能。
第一紡績はこのほど、快適な温度に調節する機能を持った加工素材「サーモプレイン」と、ナノ技術を駆使した「ナノ柔軟」加工を相次いで開発した。05年春夏向けに発売する。サーモプレインは特殊ポリマーを包含するマイクロカプセルを生地に付着させた温度調整加工。温度の上昇や低下にPCM(相変化物質)と呼ばれる特殊ポリマーが作用し、温度変化を抑えることで衣服内の温度を快適に保つ。ナノ柔軟加工は、ナノレベルの超微粒子成分を利用し、ソフト感を追及した加工である。両加工とも後加工のため、綿や合繊との混紡、交編素材などに対応できる。
東レは繊維の表面に「静電気防止」と「はっ水」の相反する機能を同時に持たせることができる新しい加工技術を開発した。この加工技術は繊維の表面に薄い膜をつける手法で、膜の材料の種類により様々な機能を付加できる。従来の技術では二つの加工を完全に両立させることが難しかったが、新技術では両方の材料の分子がきれいに交互に配置され、同時に両方の機能を出せる。適切な条件を与えると、材料分子が自然に規則正しく整列する「自己組織化」と呼ばれる現象を利用して処理している。膜の厚さは10〜30nmで、東レは新技術を「ナノマトリックス」と名付けている。
カジュアルウエアメーカーのハワード(東京)は、ナノテクを応用したはっ水・防汚加工「ナノマックス」を開発。縫製品の段階でも加工できることから、自社品だけでなく他社製品の加工も受託する。加工は、欧州の企業から薬剤と技術をライセンス導入し、中国・大連にある自社工場の形態安定加工設備を活用したもの。はっ水・はつ油性、防汚性、通気性、イージーケア性のほか、汚れが落ちやすくなるなどの特徴もある。ニット、布帛、合繊、綿、ウールなどすべての素材に加工が可能で、ポリエステル素材の場合、洗濯30回後ではっ水度4の性能が得られる。加工能力は1日1,200本で小ロットでも対応できる。
今泉繊維は群馬県繊維工業試験場と共同で、毛や絹の生地に「ほつれ」を起こさずに、低コストで穴を開ける加工技術を開発した。開発した穴あけ加工の新技術は、織物にすかし状の模様をつける「抜食加工」を応用したもので、穴を開ける部分に特殊なのりを付け、蒸気で加熱処理して穴を開け、この部分のほつれを防ぐ処理をする。このための処理は、毛ではもみ洗いで生地が縮んで戻らなくなる「縮絨」、絹は塩化カルシウム溶液に浸す「塩縮」による。今回の方法は生産コストは従来の半分以下で、素材の風合いも損なわないという。
愛知県産業技術研究所・尾張繊維技術センターは、パルプから作った改質セルロース樹脂を綿糸に固着する技術を信越化学工業、一宮地場産業ファッション・デザインセンターと開発。加工した綿糸は、遊び毛が少なく、光沢があり、さらりとした麻のような感触になる。また、単糸の状態で織物のたて糸に使えるほどの強さも付与できる。改質セルロース樹脂をアルカリ溶液に溶かし、酸で中和した後に水洗いする工程で綿糸に付着させ、架橋剤で固定させる。安全・簡単に加工できる。加工賃は1,000円/kgを想定している。染色整理の一陽染工(愛知県一宮市)が事業化への取り組みを始めている。
機能性を売り物にする素材は数多い。ただ、実際に着用すると、効果を体感しにくいこともよくある。そんな中、機能をはっきり実感できる素材が、ナノテク技術を駆使して開発した日本毛織の吸湿発熱ウール「ウェルウォーム」。ウールは湿気を吸って発熱する性質を持っている。ウールの親水基が、体から出る汗などの水蒸気と反応して吸着熱を出す。ウェルウォームは、元々ある親水基に、ある薬品メーカーが開発した助剤を付与、さらに独自ノウハウによる還元剤を加えることで、親水基を増やして反応を増幅させた。同社の試験では、衣服内温度は通常のウールに比べて1〜2℃上昇するという。
ノアテックス・ジャパン(神戸市)は、韓国の太勁産業が開発した、ポリウレタンフィルム・ラミネートによる透湿防水素材「ノアテックス」(商標登録作業中)とその高機能素材の国内販売を開始する。日本では高度な透湿防水性能に加えて、遠赤外線放出、抗菌、消臭、マイナスイオン放出機能を持つ「ニュー・ノアテックス」、さらに発冷、発熱機能も付与した「ノア・ヒートコントロール」を展開。発冷では、外部温度が30℃度の時に10℃遮断して涼しく、発熱は外部温度が−5℃の時に7.5℃上げて暖かくなる機能としており、韓国科学技術研究院でその性能は検証されたとしている。
繊維ファッションSCM推進協議会が設置しTAプロジェクト委員会はTA(テキスタイル・アパレル)間の「取引ガイドライン」案を取りまとめた。指針で示される取引モデルは、取引内容の明文化とリスクテイクに見合うリターンを考慮した取引条件設定の二つを基本に据えている。
アパレルCADデータ互換システムのニューバージョン「TIIP/DXF Ver 1.10」が開発された。国内でアパレルCADを販売している主要6社が昨年12月にCADデータ互換システム研究会を設立・検討を重ねてきたもので、線種、文字、線質の互換性向上を図った。
防透けに代わり来年は透け透けレイヤード。キーワードは「薄軽」である。アウター、ボトムスともにシフォンや透明感のある光沢素材に注目が集まっている。合繊メーカーもポスト「美脚パンツ」の開発に向けて動き出しており、「ソリュートペルラ」(東レ)、トリアセテート「アドレム」(三菱レイヨン・テキスタイル)、「KSS」「RYU」「ARU」(帝人ファイバー、ともに仮称)など薄地の開発が相次いでいる。
戦争やテロの不安からやっと開放されたアメリカ女性は、この夏、花柄のスカートを着て、久しぶりに華やいだファッションがNYの街に戻ってきた。そんな社会状況を反映して、05年春夏ニューヨーク(NY)コレクションは刺繍のドレスや、花柄、レースのスカートなど、華やかな素材やディテールをYゼネレーション向きに若々しくデザインしたものが目立った。また、甘さや可愛らしさ、スポーツやハードな感覚をミックスしたラインが主流となった。
学生服最大手の尾崎商事は、中国沿岸、都市部を主体に今年2月から進めていた現地の学校、学生衣料の調査活動が大詰めを迎え、年内に第1段階のリサーチを終了、来年から本格的な提案営業活動に入る。上海・青浦にある独資工場、上海尾崎商事服装有限公司は、昨年8月から生産をスタート。「カンコー」ブランドで知名度アップを狙う。
百貨店やアパレル各社が流行のレトロな貴婦人調ファッションを反映したリボン付のファーマフラーなど服飾雑貨に力を入れている。プランタン銀座モード館、伊勢丹本店、三越銀座店、高島屋が強化している。オンワード樫山、三陽商会など、アパレル各社も品ぞろえを強化し、ファーマフラー、カシミヤとファーを組み合わせたストールなどが好調である。
コンピュータを用いた数値計算シミュレーションにより密着型スポーツウエアの衣服圧分布が求められた。この結果から衣服圧は、他の身体部位のどれよりもウエスト回りで有意に増加する。シミュレーションにより計算された圧力は大まかではあるが、直線的に主観的な衣服圧快適性の評価と相関した。改良された数値計算法を適用すると、予測衣服圧と実験的な衣服圧快適性の評価との間に強い直線関係を得ることができる。
ユカアンドアルファは、身頃のアームホールの写真をCADに取り入れ、その袖の形状に合わせて袖を設計するシステム「アルファi」を開発した。アンティフリーズと共同開発したもの。アルファiは出来上がった身頃のアームホールをデジカメ画像で取り込み、このアームホールに合わせて袖の設計を行っていく。従来の袖設計では、計測・計算・パターン作製を繰り返し、時間がかかったが、このシステムではリアルタイムにイセ量などの数値が表示される。
新田工業は回路を独自の樹脂で保護するICタグを開発した。このICタグは独自開発した樹脂でICチップやアンテナからなる回路を埋め込んだもの。厚さは約0.4mmで、曲げたり水の中に入れたりしても故障しにくく、このタグを付けた衣類は百回以上のクリーニングに耐えるという。従来のタグはリサイクルができないうえ、はがれたり壊れたりする問題があった。
大阪アパレル協同組合(130社)、大阪織物卸商業組合(280社)、大阪ニット卸商業組合(375社)の3団体は将来の合併に向け、06年4月を目処に完全機能統合することで合意した。大阪・近畿圏の素材から最終製品まで包含したファッション産業の振興を目的に、その達成のため、04年2月に策定した「ファッション産業新生ビジョン」を推進する。完全機能統合は、3団体の上に受け皿となる連合組織を設け、事業、資金、事務局などの機能を新組織に集める。3団体は存続するが、活動の主体は新組織に移す。合併は完全機能統合を果たした後に検討を開始する予定。
グンゼは一枚布で編み上げ縫い目が全くないシャツや、どこで裁断しても糸がほつれないパンツなど、機能に特徴を持たせた男性用の下着を開発し、来年2月より発売する。縫い目のないシャツは袖と胴体の部分を一枚の布で編み上げており、肩や首の部分に引っかかりがなく、着心地がよい。無縫製の衣料はセーターなどにはあるが、男性用下着は初めて。ほつれない下着は独自開発した生地を使い、どこで切っても糸が飛び出て生地がほつれることがないという。いずれも価格は従来品より3〜4倍ほど高くなる。
動物のからだの模様をデザインに取り入れたアニマル柄の人気が今秋、再燃している。なかでもヒョウ柄は海外ブランドから国内の少女向けブランドまで、こぞって採用。洋服ばかりでなく、ベルトや靴など服飾雑貨にも広がっている。地色は茶やベージュ系が主流だが、ピンク系の色でかわいさを強調したものもある。需要層や対象商品の多様さで、今年はかつてない規模の流行になると予測されている。
東京・渋谷に新しい人の流れができた。エレガントでセクシーな女性たちが、ハチ公前交差点から公園通りの坂下の方向に向かう。渋谷109に集まるハイティーンとは違う、20代半ばの女性たち。服を買うのに「ぴったりの場所がない」と、分散していた彼女たちを一気に引き付ける場所ができ、この秋、渋谷が変化した。
繊研新聞社の有力専門店の調査によると、客数減には下げ止まり感があるものの、客単価と商品の一品単価が下がったと4割が回答している。また、増収企業は客単価の下落を客数で補っているという。
「コレド日本橋」に次いで三越日本橋の本店の新館オープン、さらに来年の「日本橋三井タワー」竣工などで日本橋エリアは装いを一新。新しいトレンドゾーンに生まれ変わる。一方、日本橋地区とは目と鼻の先の東京駅を挟んだ丸の内と八重洲でも再開発は続く。どちらも東京を代表する古い街。日本橋が先進性と古き良き面影を調和させた街を創出すれば、丸の内は最先端のオフィス街・商業エリアをアピールする。古くからの老舗エリアは、最先端のトレンドエリアに変ぼうしようとしている。
繊維ファッションSCM推進協議会が「繊維ファッションSCM04−日本」を10月に開催した。TAプロジェクト・取引ガイドラインに焦点を絞り、その実行がSCM実現への第一歩と訴えている。
NPO法人と連携し、買い物客に店舗を案内したり、地元に住む高齢者の生活支援をしたりする「コンシェルジュ」サービスを始める商店街が東京都内で増えている。6月から始めた吉祥寺地区に続き、神楽坂(新宿区)、中延(品川区)でも準備が進んでいる。商店街の魅力と利便性を引き上げ、集客増や地域の活性化につなげる狙いがある。
アパレル、雑貨メーカー、専門店が新しい雑貨ショップを次々開発している。雑貨であれば小さなスペースでも出店できるので、人気の駅ビルなどにも出やすい。もともとレディスウエアのブランドだが、服飾雑貨だけを取り出して出店していくというパターンも見られる。ディベロッパーにも幅広い客層を集める雑貨は導入したいという思いがあり、ブランドとして人気が出れば、雑貨以外のアイテムを取り入れライフスタイル型も展望できる。小さく生んで大きく育てるビジネスモデルが注目されている。
日経MJがまとめたeショップ・通信販売調査の03年度総合売上高は5.8%増の1兆4千億円であった。インターネット通販は2年連続して40%台の高い伸びで市場をけん引。商品別売上の伸びは、玩具・ホビー・スポーツ42%、家電・パソコン19%と高いが、衣料品は1%減少した。
百貨店8社(高島屋、三越、西武、そごう、大丸、松坂屋、近鉄、東急)の中間決算が出揃った。単体ベースで東急百貨店を除き軒並み減収となり、東急も前期に吸収合併したあおば東急を除くと4.7%減となる。天候要因も大きく影響し減収となった一方で、本業のもうけを示す営業利益は近鉄百貨店を除き各社で増益を確保した。売上が回復しない中で、販管費を圧縮し、売上総利益率を改善させ、利益を確保する減収増益パターンが続く。
レディスで急成長してきた米国製の高級インポートジーンズ、いわゆるプレミアムジーンズがメンズでも売れ出している。有力百貨店の自主編集売り場が今秋あたりからこぞってデニムを強化。各店総じて大幅な伸びを見せている。潜在需要があるといわれながらも、売り場の受け入れ態勢が整っていなかったメンズプレミアムジーンズだが、レディス同様に大きな市場を形成できるか、注目される。
米消費財大手P&Gは米国で米小売最大手ウォルマートとICタグを本格的に導入した。工場の出荷から店頭への品だし直前までの各段階でICタグの情報を読み、在庫量を把握することで、流通段階の過剰在庫や店頭での品切れを防げる。日本を除く各国では品切れ発生率が10%前後に達しており、販売機会ロスを減らせば、小売もメーカーも利益を3〜5%は押し上げられるとしている。
1,000を超える‘マイブランド’を集めた物作りの大型イベント「もの作りビッグギャラリー」が、初めて東京・有明のビッグサイトで開かれた。見て習って買うをうたう多彩な内容で、600ブースにプロ、アマチュア約1,200人が自信の作品を展示し、販売した。来場者は2日間で2万5,000人を上回り、手作り市場の可能性を示した。
PTT繊維は組成表示が「ポリエステル」であるため、アイロン事故でトラブルを起こすケースが出ている。そこで東レでは組成表示の下に「ポリエチレンテレフタレート」と文字の大きさを変えて記載し、絵表示はウォッシャブル対応素材では洗濯が40℃、アイロンが中か低,ドライは石油系とした。また顧客に対して「取扱説明書」を発送し,アイロンがけの温度や当て布の必要性を説明した。
天然油脂を原料とするノニオン系洗剤(ニッコー技研製)を使い、静止水に服を浸漬するだけで、水性、油性の両方の汚れが除去できる革新的な装置。したがって服を傷めず、柔軟性や風合いも向上する。シリンダーで被洗物を上下し、仕上げまでを12分で行うシンプル構造。試作機作りを続けてきた潟Gスアールエンジニアリング(神戸市西区 升光常雄社長)では、アドック神戸の協力を得て、来年3月を目処に400万円の価格で商品化を目指す。
平成15年における全国・全世帯の支出は、平成10年を100としたとき、クリーニング支出が64.8、洗濯用洗剤が106.9であった。また勤労者世帯では、それぞれ88.2、107.7であった。これらの数字から、洗濯は家庭で行うようになったこと、勤労者世帯の方がキレイ度の高いことが分かる。
大日本印刷が「ICタグを使ってユーザーに衣料の適切な洗いを指示する洗濯機(スマートマスター)」を開発した。洗濯機の開閉ドアにICタグ読取りリーダを取付け、インターネットへの接続が可能な液晶パネルを内蔵した。ICタグ付き衣料を入れると読取りリーダが反応し、@衣料品の基礎情報=種類・サイズ・製造年月日・干し方・アイロン情報等、A洗濯関連情報=素材・色や柄・特殊加工・洗濯の回数・注意情報、Bメーカー情報=商品名・商品番号・原産国・HPへアクセスなどが液晶画面に表示される。現在は家庭洗濯を想定しているが、今後商業洗濯対応も検討。
代理人と称する人物が伝票を持たずに来店し、仕上がり品を受け取っていった後、預り証を受け取った本人が引き取りに来て、「品物がない」と高額な賠償金(30万、50万、100万円等)を請求する事件が春ごろから関西方面で起きているという。代理人は取りにいけなくなった本人から依頼を受けたとして、品名やブランド名等の情報を事細かく説明し品物を引き取っていくが、預り証を持った本人は「代理人など知らない。品物がないなら弁償金を支払え」と請求するという。
国民生活センター「消費生活年報2004」によると、全相談件数は前年に比べ50万件増加し、137万件。そのうち、商品・役務別相談件数でクリーニングは17位、相談別分類では、「品質・衛生」では依然ワースト1位、「接客対応」では3位であった。
中高年女性の服装に対するおしゃれ意識と規範意識を近畿圏在住の50〜70歳代の女性を対象にして調べた。中高年女性のおしゃれ意識と規範意識はともに高く、特に規範意識は年齢によって高くなった。おしゃれ意識の高い人でも規範に応じた服装を心がけており、服装規範から逸脱していない。服装のふさわしさに対する社会的評価と個人的評価との評定平均値の差は、規範意識の低い人ほど大きかった。この傾向は年齢が低いほど、中都市よりも大都市に住む人ほど大きい。
東京都消費生活講座で谷本寛治一ツ橋大学院商学研究科教授は指摘。欧米では、企業活動をただ批判するばかりでなく、第三者として正しく評価し情報提供する専門家集団が現れた。こうした団体を消費者や一般投資家が支持し、商品・株の購入時に反映させるという新しい市場ルールが広がっている、との例を紹介。日本では、企業がどう行動するかが議論の中心となっているが、市場がCSRを評価するシステムがなければ根付かない。市場の中心である消費者がCSRに積極的な企業の商品を購入するなどの行動が必要。消費者が行動するために必要な評価情報を提供する市民団体が必要などの課題をあげた。
記者が、ドラム式:松下電器「ななめドラム」、三洋「トップオープンドラム」、東芝「ザ・トップインドラム」、シャープ「新乾洗」、ビートウォッシュ式:日立「ビートウォッシュ」、かくはん式:三菱「新・選べるカラット」以上6社のメーカーの工場へ行き、@音や振動A汚れ落ちB使い勝手・操作のしやすさC乾き具合・シワDかかる時間について、実際に標準コースで洗濯をして調べた。それらの結果を比較し、サイズ・洗濯容量・価格もあわせて表にまとめている。
「オタク」という言葉にどのようなイメージをもたれるであろうか。もともとはアニメマニアなどを指す呼称として定着したものであったが、もはや「ヘビーユーザー」や「マニア」と同じ意味を持ちつつ一般にも浸透しているといえよう。アニメやゲームなどの分野で日本のコンテンツが持つ力に注目が集まって久しいが、コンテンツ市場の中核に位置する「オタク」は実際に何人いてどのくらい消費しているのか、ビジネスシーンにおいて興味を持たれる機会も多くなったのではないだろうか。オタク層の消費はコンテンツ市場をけん引、主要五分野で2,900億円の市場規模、オタク層の消費が生み出した家電のヒット商品も出てきた。
埼玉県消費生活支援センターは、エプロンや割烹着の他、寝巻き、パジャマ、フリース上着などの17銘柄について「防炎衣類」と「一般衣類」別に燃焼性の比較テストを行った。テスト方法は、テスト商品から採取した試験片を45度の傾斜で設置し、下からバーナーの炎で3秒間加熱して燃焼状態を観察した。その結果、「一般衣類」では9銘柄のうち8銘柄が全焼またはほぼ全焼した。一方、「防炎衣類」は1銘柄を除く全銘柄がバーナーを消すと消化し、残炎時間・残じん時間ともに0秒であった。「防炎衣類」の防炎性能は高く事故の未然防止に有効と考えられる。
国民生活センター編・発行,〔04・10〕
03年度の全国消費生活相談件数は137万件。内容は、「電話情報サービス」が約47万件で「架空請求」の相談が急増し、「サラ金・フリーローン」が約20万件と前年に比べて倍増した。年報では1年間の消費生活相談の特徴、危害・危険情報、主な商品テスト、国民生活センターの事業を紹介するほか、製造物責任法による訴訟一覧、消費者契約法に関連する訴訟一覧などを収録する。189ページ 2,520円
三越が品質管理の態勢を強化する。旧名古屋三越などの子会社合併を機に、全店、全事業部の品質基準標準化をめざして昨年発足した品質管理委員会の活動が軌道に乗ったことを受けて、今後は、各店舗や商品分野での品質管理にかかわる好事例を全社に波及させる活動や、品質に問題がある取引先への対応などをさらに強める。通信講座なども活用した人材育成の活動内容も充実させていく。今年3月には、品質向上委員会に改称。顧客ニーズとMDのサイクルの統一を主眼とする三越のCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の活動と、品質管理の活動のサイクルとの連動を強めてきている。
05年4月の個人情報保護法の完全施行を前に、日本百貨店協会が10月上旬にガイドラインとそのマニュアルを査定・公表し、これを基に日本アパレル産業協会や海外ファッションブランド協会が年内に自主基準をまとめるなど、繊維ファッション業界は指針策定作業や企業の情報漏洩対策に追われている。
用語解説
個人情報保護法
個人の権利と利益を保護するため、個人情報の適切な取り扱いを企業や行政に義務づける法律。03年5月に成立し、現在国や自治体に限って施行、05年4月から企業も含め、完全施行になる。5千を超える個人情報データベース等を事業に用いている企業に対して、個人情報の目的外利用や本人の同意のない第三者への提供などを禁じ、本人から請求があった際には内容の開示などが、義務づけられた。この法律は、業種や規模による義務付けの違いがない、初めてのものでる。
繊維製品品質管理士の04年度の試験問題と模範解答が紹介されている。
日本化学繊維協会と日本化学工業協会、石油化学工業界、日本ソーダ工業界、塩ビ工業・環境協会の5団体は「化学産業団体・地球温暖化対策協議会」を設立、環境と経済の両立を図る適切な気球温暖化策を検討し、実施することが狙い。昨年改正された石油石炭税に継いで、地球温暖化対策税金の新設などの増税、企業にCO2の割り当てを行う「国内排出量取引制度」の提案に対処する。
日本繊維産業連盟は、10月に開いた第1回日中繊維産業発展・協力会議に日米欧中の4極繊維業界会合を提唱、中国紡織工業協会も了承した。繊産連はすでにWTOについての民間協議で、日米欧の繊維業界の3極会議を実施しており、WTO繊維・繊維製品に関する協定の失効に伴い、秩序ある自由貿易の枠組みを維持する狙いがある。
04年度のTESの出願数が、昨年比で23%増、5年前に比べ46%増と急増している。業種別ではアパレル・商社・卸、職業別では営業や商品企画担当が新たに主流となっており、企業の組織的取り組みがみられる。
①12月7日
②大阪科学技術センター
③練条とスライバー、リング精紡と新しい紡績法、糸の構造と物性、ワインディング、他
④日本繊維機械学会 TEL 06-6443-4691
①12月7日〜8日
②大阪市立大学文化交流センター
③ナノ構造制御によるスーパー繊維の高性能化、綿繊維のナノテク加工:基本的な考え方と最新動向、高分子・繊維構造に関する最近の三次元評価・解析技術、他
④繊維学会関西支部 申込先:京都工芸繊維大学工芸学部物質工学科内 第29回関西繊維科学講座係 TEL 075-724-7567
①12月9日
②日本紡績検査協会大会議室(大阪)
③百貨店における機能性商品の考え方とリスクマネジメントについて、景品表示法について、薬事法について
④日本繊維製品消費科学会関西支部 申込先:京都女子大学生活造形学科 矢井田修
TEL 075-531-7174
①12月10日
②大阪科学技術センター
③行動とコミュニケーション、企業心理と消費者心理研究会の活動報告、社会心理学と私たちの暮らし
④日本繊維機械学会
TEL 06-6443-4691
①12月10日
②生物資源フィールド化学教育研究センター
③生分解性プラスチックと生分解性繊維の最近の動向、繊維資源植物「ケナフ」のバイオ改変の展望、繊維材料としての天然素材
④生物資源フィールド化学教育研究センターTEL 075-861-0714
①12月14日
②大阪科学技術センター
③LCA総論、繊維メーカーの環境ビジネスの現状とLCAへの取り組み、他業種のLCAへの取り組み
④日本繊維機械学会
TEL 06-6443-4691
①12月18日〜19日
②文化女子大学
③国際繊維染織事情、百貨店における機能性商品の考え方、最近のアパレル生産システムの傾向、袖原型背景理論と作図理論、他、実習(新しいCG・CADによるアパレル設計システム、他)
④日本繊維製品消費科学会TEL 06-6358-1441
①17年1月18日
②東京工業大学百年記念館
③ここまで来ている世界のナノファイバー、ヨーロッパにおけるナノファイバー技術の現状、生体に学ぶ健康ナノファイバー産業への道、アメリカにおけるナノファイバー技術の現状、ナノファイバー産業化を目指す新しい流れを(総括)
④繊維学会「ナノファイバー技術戦略研究会」TEL 03-3441-5627
■東京①17年1月28日
②昭和女子大学学園本部館
■大阪①17年2月7日
②大阪市立工業研究所
③吸放湿ナイロン素材の開発、セルロースの抗菌・消臭加工、三次元立体編物「フユージョン」介護用商品の開発、通気コントロール素材「ベントクール」、高度耐熱性繊維「ペイクエント」、他
④繊維学会 TEL 03-3441-5627
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男