ミニ情報TOP→ 日本衣料管理協会TOP→ バックナンバー一覧(2003年度:第20巻〜)→
内閣府は景気の方向性や転換点を把握できる景気動向指数を見直し、10月速報値から百貨店販売額を外す。小売業の構造変化などを受け、高級品を中心に扱う百貨店の売れ行きが「景気との連動性を示しにくくなってきた」ためだ。今後はスーパーやコンビニエンスストアも含む小売業の商業販売額を代わりに採用し、個人消費の動きを幅広く把握し、指標の精度向上を狙う。
川中自立加速化委員会は、05年度の中小繊維製造自立事業の改善策を討議した。@審査方法では事業計画に対する申請前アドバイスを実施するためのアドバイザー制度を設けるA申請者の対象を広げ、自社内に製造設備を持たなくても、100%子会社が製造設備を持つ親会社の申請を認める、などの案が出された。
経済産業省の産業構造審議会流通部会・中小企業政策審議会商業部会合同会議の第4回専門調査会で、生活環境の範囲と対応、公的計画、深夜営業、地域の実情に応じた地方自治体の弾力的な運用の確保など大規模小売店舗立地法(大店立地法)指針見直しの方向性が討議された。定量基準の見直しでは、ピーク率と自動車分担率、廃棄物の保管施設容量が検討される予定。
内閣府の「日本21世紀ビジョン」の専門調査会生活・地域ワーキング・グループで、10年には首都圏でも高齢者が増加し、小売業は高齢者の顧客にシフトする必要を指摘している。これまでの首都圏で相対的に高齢者が少ないとしていた前提による社会サービス構造の見直しが必要としている。
政府の知的財産戦略本部は、ファッション分野などを対象にした「ブランド保護・育成戦略」の取りまとめに乗り出す。独創的なデザインを守る意匠登録の利用を促すため、平均して8ヶ月かかる審査期間を半分程度に短縮する方向で、意匠法の改正や新法制定を検討。同時に各地の特産品の知名度アップに向けて、知的財産権を守るノウハウを持つ「ブランドプロデューサー」を地域ごとに育成する。
内閣府は国内総生産(GDP)統計の精度向上策の一環として、個人消費の推計方法を見直す方針。家計最終消費支出を推計する際、基礎統計として「家計調査」を使っているが、一部品目のデ−タを情報技術(IT)関連や高額商品・サ−ビスの動向をより詳しく把握できる「家計消費状況調査」に置き換える。内閣府は新たな推計手法で、家計調査で推計していた個人消費のデ−タ約500品目のうち、ピアノやデジタルカメラなど42品目について、02年1〜3月期以降のデ−タを消費状況調査で置き換える方針だ。
経済産業省は次世代の産業基盤として期待されている超微細技術(ナノテクノロジー)分野で、製品の評価方法などに関する標準規格作りに乗り出す。欧米が独自に規格作りに乗り出しており、日本に不利な国際規格が成立する可能性もあることから、日本規格が必要と判断した。ナノテクは家電や半導体、服地などに使う新素材の他、医療や化粧品分野でも応用が進み始めている。経産省は公的機関、ナノテク製品メーカー関係者ら専門家が参加する標準化委員会を設置し、 検討を始める。
経済産業省の日本工業標準調査会標準部会で報告された「標準化に関する最近の国際動向」によると、ISO(国際標準化機構)がCSR(企業の社会的責任)国際規格策定に向けて、今年1月からガイダンス文書作成に着手し、07年度末頃の発刊をめざしている。米国では国家標準化戦略を改定中で、対中政策では「対話・圧力・協力」姿勢を強化している。中国でも国家標準化法の見直しなど標準化戦略策定や適合性評価制度の運用、個別分野における国家規格策定の動きが活発化している。
政府与党が決めた05年度税制改正大綱のうち、経済産業省関係の税制改正の特徴は産業競争力の源である人材に対する企業の投資を促進する人材投資促進税制の創設だ。人材投資促進税制は教育訓練費を増加させた企業に、増加額の25%を法人税から控除する。中小企業では教育訓練総額の2分の1を乗じた額の控除を選択的に認めるもので、これは3年間の措置。
経済産業省の石毛製造産業局長は05年の繊維産業と行政の課題について「1月1日からWTO(世界貿易機関)繊維・繊維製品に関する協定が失効し、繊維貿易が自由化される。これを機会に輸出拡大と国際競争力強化に大いに取り組んでほしい。輸入面では大きな変化はない」と語った。繊維行政については、「引き続き実行の年」と位置付け、繊維ビジョンに基づいて中小繊維製造事業者自立事業やSCM取引ガイドラインの取組みで「成果をあげる」必要性を指摘した。
総務省は、微細なICチップを使って情報をやり取りするICタグ(荷札)に対して新しい周波数を割り当てる方針。950メガヘルツ帯を想定しており、4月にも利用できるようにする。この周波数帯を使えば5〜10m離れた場所にまで電波を飛ばすことができ、倉庫の物流管理などへの利用に弾みがつく。これまで割り当ててきた周波数帯は数十cm程度しか電波が飛ばないため、読み取り機をタグに近づける手間がかかった。
経済産業省は中小企業庁、特許庁、日本貿易振興機構(JETRO)との連携を強化し、模倣品対策も含めて「JAPANブランド」育成強化支援事業を拡充する。「JAPANブランド」は、地域の特性を生かした製品の魅力をさらに高め、全国さらには海外マーケットでも通用する高い評価(ブランド力)を確立するのが狙い。05年度予算も、中小企業の活性化と地域経済の再生で10億3,000万円と前年度比約11%増。また特許庁でも、日本ブランド品の確立と模倣品対策を強化する計画で、デザインやブランドの保護・活用により、わが国産業の国際競争力の維持・強化を図るため、意匠・商標にかかわる施策の拡充を行う。05年度予算も意匠・商標の迅速かつ的確な権利付与で12億円(前年度8億5,000万円)、アジアにおける模倣品対策の強化で9億円(8億6,000万円)にそれぞれ拡充している。
05年度予算の政府案で経済産業省の繊維産業対策費は、概算要求どおり3割増の約18億円を確保。約5億円の増額分は技術開発支援関連で、先行的に実施している4プロジェクトに加え、新たに4プロジェクトの技術開発を支援する。4プロジェクトは、①エネルギー使用合理化繊維関連次世代技術開発②活性炭の高性能化技術開発③繊維型DNAチップを利用した遺伝子検査・診断トータルシステムの開発④アクリル樹脂製造エネルギー低減技術の研究開発で、いずれも非衣料分野だ。
東レは竹を原料にビスコース法で製造されたバンブー長繊維を開発、同素材を複合したテキスタイルを「爽竹フィルーナ」として、05年3月から発売する。「爽竹フィルーナ」はバンブー長繊維を20%以上含んだ、ポリエステルやナイロンなど合成繊維との複合織編物。心地よいドライ感や適度なハリとドレープ性、上品なツヤなどが特長。優れた抗菌防臭性も持ち、高次加工技術のサポートにより洗濯20回後の制菌活性値2.2以上(SEK基準)の性能を安定的に発揮する。婦人衣料用を中心に展開を開始し、ジャケット、ブラウス、カットソーに対応する。
神戸生絲はポリ乳酸繊維100%でストレッチ糸を開発した。これまで、ナイロンやポリエステルのような熱可塑性のある合繊をスパイラル状にセットすることによりストレッチ性を持たせるブーメロン加工を手がけてきており、この加工によるもの。ポリ乳酸繊維は熱に弱く耐久性も低いが100度以下でセットする低温の撚糸機で温度や時間を整えることにより可能となった。天じくやフライスを完成させ、現在は織物開発を進めている。今後は他社の加工を行う他、自社製品の販売もめざす。
クラレは、高純度エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)繊維の生体適合性に関する実証研究結果を発表した。研究は信州大学医学部の研究グループが行ったもので、アトピー性皮膚炎の患者を対象に肌側に高純度EVOH繊維素材を使った肌着を着用した場合の臨床試験。夏、冬2度の試験の結果、計73%の被験者が「着用後、かゆみが軽減した」と回答した。EVOH繊維の止痒効果の発現に関してクラレでは、EVOHの熱伝導性の高さによって皮膚の温度上昇を抑制する効果や発汗のすばやい除去による皮膚表面の微小環境保持、ポリエステルやナイロンと比べて極めて低いストレス性発汗、ナノサイズの相分離構造での生体への異物認識の抑制などが関係しているのではと見ている。
南通帝人は、オリジナル素材として耐久はっ水加工素材「RD」(仮称)を開発。インターテキスタイル上海で披露した「SE」、「HC」(同)に次ぐ第2弾となる。RDは、耐久はっ水、UVカット、つや消し外観、パウダータッチ、ハリのある風合いが特徴のスポーツ向け高密度織物。同敷地の帝人加工糸が、日本の原糸を複合加工糸にして使用している。「単なるハイマルチ糸使いの高密度織物だとすぐにコピー商品が出る」という中国の状況下で、糸から差別化し、独自性の高い商品を生み出した。販売先は、欧州のスポーツメーカーや日本のアパレルが先行する見通し。アパレル入り価格は、600〜1,000円/m。
ユニチカファイバーは、導電性繊維「メガーナ」シリーズで、ポリエステルの導電糸としては世界で初めて1cm当たりの線抵抗が105オームの「メガーナE5」を開発、静電気対策用資材向けに拡販している。繊維の一部に高濃度の導電性カーボンを練りこんだ。メガーナE5は従来の糸に比べて導電性が2ケタ優れている上、生地の一部に使用することで摩擦帯電性能が向上。洗濯による機能劣化も少ない。開発に当たっては同社のポリマー改質技術、導電性カーボン分散技術、高度複合紡糸技術を活用。ポリマーの分子構造を設計して導電性カーボンをポリマー中に高濃度で均一に分散。独自の糸の断面形状を考案し、導電ポリマー部と非導電ポリマー部の溶融粘度をコントロール。安定した形状で高レベルの導電性を実現した。
旭化成グループの生活用品メーカー、旭化成ライフ&リビングは温度で色が変わる繊維「サランアート」を発表。繊維に顔料を練り込む新技術を開発し、セーターやぬいぐるみなどの立体的に編まれた生地でも利用できる。従来は生地表面に顔料を塗る方式が一般的で、スキーウェアなどの平面的に織った生地でしか利用できなかった。新しい繊維には変色する顔料と、しない顔料の2種類を練り込む。変色顔料には色素と発色剤が入っており、高い温度では白いが、温度が一定以下に下がると色素と発色剤が結合して色を出す。
ダウ・ケミカルのポリマー製造技術と東洋紡の製糸技術によるオレフィン系弾性繊維「ダウXLA」の特徴と開発状況の紹介。まず、優れた耐薬品性と耐侯性、220℃の温度に耐える耐熱性がある。染色について、一般的に使用される染料・染色条件では染まらず、逆に汚染することもないという。ヒステリシス曲線で、伸長・回復とも低応力であることから、ソフトなストレッチ性がある。比重は0.9で軽量である。用途として、XLAが持つ仮セット性を生かした2ウエイのストレッチ素材、タンブラー乾燥でストレッチ性が低下しないインナー向け素材などの開発が進んでいる。
アオキインターナショナルが信州大学と共同で開発したスーツ「癒しα波スーツ」の素材が、データに基づいて解説されている。原料に全オーストラリア産毛量のわずか0.01%のソフトローリングウールを採用し、光沢・表面の綺麗さ・弾力性に優れた織物を生産。その織物に、芳香剤としてリナロール、酢酸リナリル、βカリオフィレンが主成分であるラベンダー製油を封入したマイクロカプセルを固着してある。官能検査で、癒し・落ち着く・さわやか・清潔感の心理的快適性が連想され、また、脳波を測定して、マイクロカプセルの固着量を決めている。
クラレトレーディングは、精密機器の製造現場に必要な防塵衣用のポリエステル織物「アクアサニー」を開発。高度な基本性能と同時に通気性を高めたことで、作業者が快適に従事できる環境作りに貢献できるとしている。一般に、微粒子が付着する際には液架橋力が働くことが知られているが、その付着力を応用し、ポリエステルに含水系の無機微粒子を練り込み、それが糸の鞘部分になるように設計した。わずかな水分で液架橋力が働くため、織り目が甘くても、クモの巣のように糸を覆う水分の膜が1μm以下の微細な粒子(塵)を捕まえる構造。価格はアパレルメーカー入りで1m当たり700円。
東亜紡織はニュージーランド・メリノウール使いを拡充し、メンズ重衣料向けテキスタイルの差別化を図る。素材開発はイタリアの有力ヤーンメーカー、シュナイダーと共同で行う。最新の測定技術による原毛選別工程を通じて18〜18.5μmの原料だけを使用するのは「シーランドウール」。ウールの特徴を最大限に引き出すためにハンドシアリング(ハサミによる毛刈り)を採用。同じく細番手原毛「ディープクリンプ」は、深く大きなクリンプが特徴で、長い繊維長とソフトな触感もある。ニュージーランド・メリノウールの年間生産量は約8,000tで、全世界のメリノ生産量60万tの1.33%と、希少なもの。
東レは竹を原料にビスコース法で製造されたバンブー長繊維を開発、同素材を複合したテキスタイルを「爽竹フィルーナ」として、05年3月から発売する。「爽竹フィルーナ」はバンブー長繊維を20%以上含んだ、ポリエステルやナイロンなど合成繊維との複合織編物。心地よいドライ感や適度なハリとドレープ性、上品なツヤなどが特長。優れた抗菌防臭性も持ち、高次加工技術のサポートにより洗濯20回後の制菌活性値2.2以上(SEK基準)の性能を安定的に発揮する。婦人衣料用を中心に展開を開始し、ジャケット、ブラウス、カットソーに対応する。
神戸生絲はポリ乳酸繊維100%でストレッチ糸を開発した。これまで、ナイロンやポリエステルのような熱可塑性のある合繊をスパイラル状にセットすることによりストレッチ性を持たせるブーメロン加工を手がけてきており、この加工によるもの。ポリ乳酸繊維は熱に弱く耐久性も低いが100度以下でセットする低温の撚糸機で温度や時間を整えることにより可能となった。天じくやフライスを完成させ、現在は織物開発を進めている。今後は他社の加工を行う他、自社製品の販売もめざす。
クラレは、高純度エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)繊維の生体適合性に関する実証研究結果を発表した。研究は信州大学医学部の研究グループが行ったもので、アトピー性皮膚炎の患者を対象に肌側に高純度EVOH繊維素材を使った肌着を着用した場合の臨床試験。夏、冬2度の試験の結果、計73%の被験者が「着用後、かゆみが軽減した」と回答した。EVOH繊維の止痒効果の発現に関してクラレでは、EVOHの熱伝導性の高さによって皮膚の温度上昇を抑制する効果や発汗のすばやい除去による皮膚表面の微小環境保持、ポリエステルやナイロンと比べて極めて低いストレス性発汗、ナノサイズの相分離構造での生体への異物認識の抑制などが関係しているのではと見ている。
南通帝人は、オリジナル素材として耐久はっ水加工素材「RD」(仮称)を開発。インターテキスタイル上海で披露した「SE」、「HC」(同)に次ぐ第2弾となる。RDは、耐久はっ水、UVカット、つや消し外観、パウダータッチ、ハリのある風合いが特徴のスポーツ向け高密度織物。同敷地の帝人加工糸が、日本の原糸を複合加工糸にして使用している。「単なるハイマルチ糸使いの高密度織物だとすぐにコピー商品が出る」という中国の状況下で、糸から差別化し、独自性の高い商品を生み出した。販売先は、欧州のスポーツメーカーや日本のアパレルが先行する見通し。アパレル入り価格は、600〜1,000円/m。
ユニチカファイバーは、導電性繊維「メガーナ」シリーズで、ポリエステルの導電糸としては世界で初めて1cm当たりの線抵抗が105オームの「メガーナE5」を開発、静電気対策用資材向けに拡販している。繊維の一部に高濃度の導電性カーボンを練りこんだ。メガーナE5は従来の糸に比べて導電性が2ケタ優れている上、生地の一部に使用することで摩擦帯電性能が向上。洗濯による機能劣化も少ない。開発に当たっては同社のポリマー改質技術、導電性カーボン分散技術、高度複合紡糸技術を活用。ポリマーの分子構造を設計して導電性カーボンをポリマー中に高濃度で均一に分散。独自の糸の断面形状を考案し、導電ポリマー部と非導電ポリマー部の溶融粘度をコントロール。安定した形状で高レベルの導電性を実現した。
旭化成グループの生活用品メーカー、旭化成ライフ&リビングは温度で色が変わる繊維「サランアート」を発表。繊維に顔料を練り込む新技術を開発し、セーターやぬいぐるみなどの立体的に編まれた生地でも利用できる。従来は生地表面に顔料を塗る方式が一般的で、スキーウェアなどの平面的に織った生地でしか利用できなかった。新しい繊維には変色する顔料と、しない顔料の2種類を練り込む。変色顔料には色素と発色剤が入っており、高い温度では白いが、温度が一定以下に下がると色素と発色剤が結合して色を出す。
ダウ・ケミカルのポリマー製造技術と東洋紡の製糸技術によるオレフィン系弾性繊維「ダウXLA」の特徴と開発状況の紹介。まず、優れた耐薬品性と耐侯性、220℃の温度に耐える耐熱性がある。染色について、一般的に使用される染料・染色条件では染まらず、逆に汚染することもないという。ヒステリシス曲線で、伸長・回復とも低応力であることから、ソフトなストレッチ性がある。比重は0.9で軽量である。用途として、XLAが持つ仮セット性を生かした2ウエイのストレッチ素材、タンブラー乾燥でストレッチ性が低下しないインナー向け素材などの開発が進んでいる。
アオキインターナショナルが信州大学と共同で開発したスーツ「癒しα波スーツ」の素材が、データに基づいて解説されている。原料に全オーストラリア産毛量のわずか0.01%のソフトローリングウールを採用し、光沢・表面の綺麗さ・弾力性に優れた織物を生産。その織物に、芳香剤としてリナロール、酢酸リナリル、βカリオフィレンが主成分であるラベンダー製油を封入したマイクロカプセルを固着してある。官能検査で、癒し・落ち着く・さわやか・清潔感の心理的快適性が連想され、また、脳波を測定して、マイクロカプセルの固着量を決めている。
クラレトレーディングは、精密機器の製造現場に必要な防塵衣用のポリエステル織物「アクアサニー」を開発。高度な基本性能と同時に通気性を高めたことで、作業者が快適に従事できる環境作りに貢献できるとしている。一般に、微粒子が付着する際には液架橋力が働くことが知られているが、その付着力を応用し、ポリエステルに含水系の無機微粒子を練り込み、それが糸の鞘部分になるように設計した。わずかな水分で液架橋力が働くため、織り目が甘くても、クモの巣のように糸を覆う水分の膜が1μm以下の微細な粒子(塵)を捕まえる構造。価格はアパレルメーカー入りで1m当たり700円。
東亜紡織はニュージーランド・メリノウール使いを拡充し、メンズ重衣料向けテキスタイルの差別化を図る。素材開発はイタリアの有力ヤーンメーカー、シュナイダーと共同で行う。最新の測定技術による原毛選別工程を通じて18〜18.5μmの原料だけを使用するのは「シーランドウール」。ウールの特徴を最大限に引き出すためにハンドシアリング(ハサミによる毛刈り)を採用。同じく細番手原毛「ディープクリンプ」は、深く大きなクリンプが特徴で、長い繊維長とソフトな触感もある。ニュージーランド・メリノウールの年間生産量は約8,000tで、全世界のメリノ生産量60万tの1.33%と、希少なもの。
小松精練(蘇州)の開業式が11日開催された。中国繊維産業の「ボトルネック」となっている染色加工への日本のトップメーカーの参入とあって、日中双方での関心も高く、中国側からは地方政府幹部らが、日本側からは同社幹部のほか、出資各社首脳や日系企業幹部ら総勢280人が出席した。小松精練(蘇州)は資本金2,950万ドルで昨年4月に設立、年産2,400万mの規模で、ポリエステル、ナイロンを中心とした合繊織編物の染色加工を手掛ける。国際的に通用する安定した品質を維持する管理力や技術力、加工開発力などが不十分な中国への、本業での進出は日中の繊維業界にとって大きな意義を持つことになる。
クラボウ羊毛事業部は、防縮加工ウール「エコ・ウォッシュ21」使いの生地をビエラ・シャツ向けに打ち出す。世界初の家庭洗濯できる、高品質・高機能のウール100%素材として、ビジネス・カジュアル両方に向けていく。エコ・ウォッシュ21は、世界で初めてオゾンを使った防縮ウール。これまでの防縮加工はスケールが剥離する塩素加工や、繊維の表面を樹脂で覆う樹脂加工(BAP加工)が一般的であった。しかし、それらの方法ではスケールに損傷を与え、ウール本来の性質が低下し、風合い変化をもたらす。同素材は、オゾンの力でスケールの先端部分だけを改質し、ウールそのものの性質を保ちながら縮みを防ぐことができる。さらに加工時の環境負荷も少ない。
クラボウは、染色加工の徳島工場に福井県立工業センターと共同で開発した電子線により繊維に特定の機能を付加できる布帛加工装置を導入し、新加工技術の確立を目指している。同装置はグラフト重合と呼ばれる技術を活用。それまで原糸段階でのグラフト重合を利用した加工は行っていたが、生地段階では不可能だった。放射線照射や触媒によるグラフト重合が一般的に知られるが、今回開発した電子線照射によるものは日本で初めてとなる。クラボウは機能素材「コスモシャワー」として、抗菌、消臭、防炎、形態安定などへの応用を検討中である。
三木理研工業が04年に発売した樹脂加工剤「リケレジンMS-250」は、新しい低ホルマリンのグリオキザール樹脂。従来、遊離ホルムアルデヒドが200〜300ppmになる加工を、75ppm以下に抑えることを目的としている。新開発の触媒「リケンフィクサーMX27」との併用により、バランスに優れた加工が可能。定番の「リケンレジンRG−85」と比べて、同物性であれば遊離ホルムアルデヒドは50ppmと1/3に低減できる。その他、同社の低ホルマリングリオキザール樹脂、触媒、ノンホルマリングリオキザール樹脂およびメラミン樹脂について、特徴が解説されている。
野村産業は、森技術士事務所、茶正染色、ソトーと共同で、食品用染料を使った安全な染色整理技術を開発。染色助剤や仕上げ剤も天然由来のものを使い、乳幼児が口に入れても安全・安心な衣料向け素材として販売する。染色技術は森益一氏が開発、食品衛生法第14条に適合した染料を天然の助剤で染め上げる。ウールや獣毛、シルクなどの動物性繊維では3級以上の染色堅ろう度を実現しており、綿の染色技術もまもなく完成する。子供服を想定して、きれいで鮮明な色が中心だが、要望に応じてほとんどすべての色出しが可能という。染色コスト分として通常の生地や糸に比べ20〜30%割高になる。
東レが、口紅やファンデーションが付いても家庭洗濯で落ちやすい機能素材「ルージュオフ」を開発。婦人服向けに販売する。10月に確立したナノスケールの皮膜加工「ナノマトリックス」を応用し、オンワード樫山、資生堂の協力でテキスタイル化。消費者ニーズや生地の選定などをオンワード樫山と共同し、油汚れの中でも化粧品の付着の除去に特化したSR剤と促進剤を使い、ナノマトリックスで単繊維1本1本に複合加工している。資生堂の評価方法を取り入れ、洗濯除去性を確認。あらゆる素材に効果があるという。アパレル入り価格/mは、ダブル幅で1,400円以上、シングル幅で1,100円以上。
清川ほか12社が、天然鉱石のゲルマニウムを練り込んだ素材を使った製品の開発、販売を進める企業が「ゲルマニウム推進委員会」を発足。今後グループとして情報交換を密にして開発、販売をさらに促進し、商品の安定拡大をめざす。ゲルマニウムは表面をマイナスの自由電子が浮遊する半導体物質で、温度が上がると電気が流れる。人間の肌に触れると電子が移動し、マイナスの電流が流れて、プラス化された生体電流とのバランスを整える。実験結果ではゲルマニウム繊維を使用した製品を着用するとドロドロに重なり合った赤血球が30分間でさらさらの正常な状態に戻るという。
ユニチカテキスタイルはこのほど、純綿ツイル織物で洗濯200回後のはっ水性が4級(最高値5級)、はっ油性が6.5級(同7級)の性能を示す半永久的なはっ水・はっ油加工「エーキューガード」を開発した。綿だけでなくポリエステル、ナイロンなどの合繊にも応用ができる。同加工はフッ素系薬剤の組み合わせと、熱処理による乾燥工程で、繊維表面のはっ水・はっ油基を規則的に配向させたものである。最も高いはっ水・はっ油性を示す「-CF3」基が最外部になるように操作。薬剤を確実に繊維と結合させることで、はっ水・はっ油性を実現した。風合い面でも従来の加工とほとんど変わらない。
旭化学工業の提案である。デニムを中心としたセルロース系衣料のビンテージ調洗い加工は、当たり前のようになっている。さらにウール製品でも同様の表情を出すようにとの要求が出てきた。しかし、従来から行われている方法は、ウールをカチオン化して水溶性硫化染料を顔料のように表面に染着するというものであり、目的とする表面染着やムラ染め風の感じは得られるが、濃度が出にくく、淡色のみに限定される。そこで、カチオン化後、低温・弱アルカリでウールを痛めない方法で染めると、表面染着と濃色が得られたという。処方例と具体的な染色方法が示されている。
シキボウは、タバコの臭いがしみ付きにくい防臭素材「ニオネード」を開発。ナノテク技術で繊維表面に薄い皮膜を後加工で生成、生地表面でにおいをガードすると共に、生地表面に付着したにおいは消臭成分が分解する。これまで同社は、消臭に重点を置いていたが、特定のにおいを消せても、逆にその他のにおいが強まるケースも多いことから、消臭の方向に切り替えて開発。通常品ではタバコ臭は1時間後も大半が残るのに対し、ニオネードは試験者6人がかすかにしかにおいを感じないという結果が得られた。洗濯30回でも効果が持続し、風合いもほとんど変化しない。価格は約20%アップになる見込み。
05年春夏東京コレクションで、楽しい気分を伝えるような色柄が広がっている。さまざまなタッチのフラワーモチーフやトロピカル調、エスニックなどプリントや織り柄、刺繍で今シーズンらしい彩りを加えている。今シーズン、最も多く使われているのがナチュラルな花柄である。小花柄から植物図鑑に載っているようなリアルな花、白地に黒い線描やステッチ、パステルカラーの抽象的なプリントなどタッチもさまざまである。華やかさよりピュアで素朴なイメージが強く伝わる花柄がメインとなっている。
オンワード樫山とダイドーリミテッドは7日、業務提携および資本提携することで合意し、事業提携協定書を締結した。オンワードはダイドーの発行済み株式総数の8%程度を、ダイドーはオンワードの株式総数の1%程度をそれぞれ取得する予定。営業・商品開発力の強化を狙うほか、生産体制を共有することで両社のシナジー効果を期待する。オンワードはトレンド情報や企画力、生産、物流、販売などにかかわるノウハウを提供する。ダイドーはオンワードに高品質な素材を提供し、中国の一貫生産工場でオンワード商品を受託生産する。
05年1月からのクオータ(輸入割当)撤廃で、中国アパレル企業の欧米輸出に拍車がかかりそうである。7日、大阪で開幕した「チャイナファッションフェア2005」に出展している中国のアパレル企業の中には「今年後半から米国向けの商談は増加している」というところが多く、クオータ撤廃を「対欧米市場開拓のビジネスチャンス」と声を揃える。セーフガード(緊急輸入制限)の発動など輸入規制の動きもあり「今後も一定の制約を受けざるを得ない」などの不透明さは残るが、アパレル輸出大国、中国の地位が一層、強化されるのは確実。中国側の欧米シフトで、アパレル輸入の7割を中国に依存する日本企業の生産拠点確保が課題になりそうである。
日本百貨店協会と日本製靴卸団体連合会などが取り組む婦人服を対象とした実験でも、日本アパレル産業協会などが取り組むSPA型ショップの実験でも、バーコーダーに比べ、相当の効率改善が見込めると報告された。来年2月にはUHF帯(電波が遠くへ飛ぶ)を使った実験などを実施、来年3月に開く本委員会で報告書を取りまとめる予定。
服飾資材のモリトは大嶋縫製と共同で、超音波、レーザー、シームテープなどの技術を組み合わせた新加工「トランスファーシステム」を開発。同システムの中で実現した超音波を使ったカーブファスナー加工は世界で初めてという。同加工に使う「カムローラー(金型)の開発」で、両社は国内外に特許を出願中。従来の直線ではなく曲線のファスナー加工を実現することにより、今まで不可能なラインでの開け閉めを可能にした。既存のファスナーも使えるが、同加工専用の特殊なファスナーも開発した。同加工にはミシンではなく、超音波無縫製機器を使用する。同システムは来春から販売を本格化する。
日本アパレル産業協会は「アパレル業界における個人情報保護ガイドライン」を公表した。今回の公表内容は、業界全体のスタンスを示したもの。各企業が今後これをベースに独自のガイドラインを作成する。
御幸ホールディングは「究極のオーダースーツ」と銘打ち、1着70万円〜200万円程度の企画商品を05年1月8日から売出す。生地段階から好みの素材を選び、採寸から縫製まで専属のデザイナーや職人が1着ずつ仕立てる。御幸HDは「高級志向を背景に自分だけのものへのこだわりを持つ人が増えてきた」とし、創業100年を記念し、顧客と共同開発する商品を企画した。
国内外の展示会・ファッションショーの実施日程・場所を明記したもの。中国33件を除く、海外は248件、国内は59件を挙げている。
王子製紙の王子ファイバーがパルプから作る「紙の糸」がルイ・ヴィトンの今秋の紳士服製作に採用される。紙の糸の重さは綿糸の半分で繊維が長く、糸の端が皮膚を刺激することが少ない。ランバンも使用予定があり、欧州の有名ブランドで採用の動きが広がっている。紙の糸は、繊維の方向をきれいにそろえる特別なすき方で作られ新聞用紙の3分の1ほどの薄い紙を1〜4o幅に切る。02年11月に王子ファイバーが発売開始して04年の生産量は70t。製造費が綿糸の4倍と高い。現在、国内産の衣料、サッカーのゴールネットなどに使われている。
20〜30代のOLや男性を中心に、着物の需要が高まっている。合成繊維を使い5万円台からそろうカジュアル製品が好調なほか、1〜5万円程度のリサイクル品やアンティーク着物も人気。松屋銀座本店は「きもの初市」を開催したが、主なターゲットの一つが「ファッション感覚で和装を楽しむ20〜30代OL」。新装大橋が展開するプレタ着物売り場でも売り上げ高は4割以上の伸び。高島屋東京店は、男性用着物の売り上げが2倍以上伸びた。気軽に着物を楽しむ新しい需要を取り込むための売り場の改革も進んでいる。
全日本スポーツ用品卸商連合会が、スポーツメーカー・関連団体など15社あて意見書「流通正常化のお願い」を出した。メーカー各社が運営するアウトレットやコンセプトショップで販売する商品が、公正競争規約に無視して、消費者に混乱と不振を生じさせていると、警鐘を鳴らす目的。本来シーズン遅れや規格外品を処分する業態であるはずが、実際にはシーズン中の商品だったり、二重価格表示やB級品を説明する表示がないことによる。
MJのインターネット「千人の家計簿調査」で、魅力を感じる百貨店がない人が24%に達し、7年連続で既存店売上高が前年割れする要因としている。ひいきの百貨店の優れた点は、高級感38%、立地の良さ28%、品揃えの多さ26%となっている。他に、買い物単価、魅力を感じる百貨店名が挙げられている。
MJ調査で、ファッション商品の海外ブランドメーカーの在庫処分店を集めたアウトレットモールの人気が続いているという。街の楽しい雰囲気作りが奏功、首都圏・近畿圏では2割の消費者強が海外ブランド購入を経験している。テナントの充実した施設が増えて、市場拡大が見込まれる。
独自のスタジオとチャネルを持つ24時間放送の専門企業の好調が目立つ。今秋で8周年を迎えるジュピタープログラミング、00年に設立されたQVCジャパンなどが紹介させている。
ヤマト運輸子会社のドリームクリエイトは大手出版社と組み、雑誌に掲載された全ての商品を通信販売する新サービスを始める。同社が手数料を取り、メーカーや小売店から商品調達し、自宅に届ける。地方の読者中心に需要が大きいと見ている。第一弾として主婦の友社と提携、月刊誌「Ray」で始める。
日本百貨店協会は「百貨店の個人情報保護ガイドライン」をまとめた。百貨店への顧客の信頼度や期待度を踏まえ、経済産業省のガイドラインより厳格な自主基準を定めた。取引先の監督などを明確に想定したのも特徴となっている。
ラビット(ウサギ)のブルゾンやフォックス(キツネ)のコート。冬本番を迎えるにつれ、こうしたファー(毛皮)をまとった若い女性が街に増えそうだ。これまでファーといえば裕福な女性が着る、ちょっとフォーマルなイメージだったが、今年はカジュアルな服装に合わせた気軽なファーが店頭にあふれている。軽快なデザインの上着やマフラーをジーンズに組み合わせ、決してゴージャスになりすぎないようにするのが今風のファーの着こなしだ。
百貨店の顧客政策として長い歴史を持つ友の会。超低金利とカード時代の到来で、友の会制度は時代遅れになってしまったのだろうか。だが、今なお、大手百貨店では10万を超える会員を抱え、多数の上顧客を囲い込んでいる。毎月一定額を12ヵ月積み立てた後、1ヵ月分のボーナスを付与することからコストの高さが問題視されるが、その恩恵は大きい。今夏、日本百貨店協会は「友の会経営改善プロジェクト」を立ち上げた。会合ではボーナス特典の見直しも議題に上がるが、多くは会員減の不安から踏み切れないのが実情だ。百貨店友の会が今、迷っている。
「渋谷109」と「ラフォーレ原宿」といった有力ファッションビル(FB)が、ネットショッピングへの取り組みを強めている。アパレルメーカーがインターネットを介して自社ブランドを販売することはあるが、商業施設を管理・運営するデベロッパーが独自に自社内のホームページ上などで商品を販売することは珍しい。
地域卸業態の大手や有力企業が、過去10年に数多く業界から姿を消した。アパレルも流通の大手資本も、同様にその間の時代の荒波にのみ込まれ、繊維ファッション産業の地盤は、依然として不安定である。本紙が実施した「流通最前線・エリア商圏に取り組むファッション産業」には、最終消費者や取引先に対する、地域卸業の新たな役割が示唆されている。人と人とのサプライチェーン・マネジメントの展開だ。
①自然災害・天候不順がSCの売り上げに影響②東京と大阪における都心の活性化③SCに新しい流れ④百貨店がSCに接近。ダイヤモンドシティ・プラウやモザイクの阪急百貨店、新宿三越の専門店ビル化⑤産業構造審議会で「街づくり審議」始まる⑥SCの安全対策が問われる(回転扉、エスカレーター)⑦消費税総額表示スタート⑧個人情報保護法施行⑨「日本SC大賞」創設⑩協会機関紙のタイトル・デザインが変更
ショッピングセンター運営大手のダイヤモンドシティは来店客の性別や年齢層を自動判別するシステムの実証実験を始めた。出入り口に設置したカメラで顔などの画像を撮影、必要な情報だけを抽出・分析する仕組み。プライバシーに配慮し画像はすぐ消去する。品揃えに生かすほか、テナントの誘致・入れ替えにも役立てる。
05年春夏ファッションの最大のニュースは、新しいリアルクローズの広がりだ。生活の中で普通に着られそうな服が、デザイナーコレクションにこれほど並んだことはなかった。女性像はゴージャスな“女優”からナチュラルな“普通の人”へ。服は、他人の視線を意識したものではなく、自分自身が気持ちよく幸せに過ごすためのツールに変わった。半年単位でトレンドを消費する流れが弱まり、夏服と冬服の際もさらに薄くなった。
今年の初売りは、百貨店やファッションビル(FB)などでいずれも活況となった。1、2日と天候に恵まれたことに加え土日に重なったこと、ここ数年提案を強化している福袋、セール同時開催などが重なった。特に、百貨店の好調ぶりが目立ち、各社で売り上げ、客数とも前年を上回った。
企業が自治体に事前に届けた出展計画を日経が全国集計したところ、04年は売り場面積1万u超の大型店が前年に比べ5割以上増え百件を超えることがわかった。小売り各社は有力専門店を集めた大型施設出店を競うが、過当競争や既存の商業地の空洞化を懸念する声も出ている。
厳しい状況が続く百貨店業界。売り上げの減少には歯止めがかからず、コストを削減することで、利益を確保している状態が続いている。とはいえ、昨年は、三越が日本初の百貨店として100年を迎え、百貨店業界にとっては節目の年となった。同時に、各社で新たな試みも見られた。業種業態間を超えた競争の中で、常に移り変わるニーズを、また、潜在的なニーズを浮かび上がらせようと懸命だ。
日本百貨店協会は、百貨店の今後の店舗像を3〜4タイプに類型化する作業を本格化し、5月の総会で発表する。郊外の大型SC出店などで苦境に立たされている地方百貨店に、生き残りのヒントを提供するのが狙い。
英国でも、セレブファッションが加熱している。週刊ゴシップ誌やファッション誌に掲載されたセレブの写真を見てスタイルをコピーする若い女性が急増中だ。人気セレブが着たアイテムのそっくり商品を、セレブの名前を売り文句に販売するオンライン・ショッピング・サイトまで登場している。
WTO繊維・製品に関する協定(ATC)が失効し、クオータが撤廃されたが、米国のアパレル・小売業界と繊維業界の対立が激化している。63万人の潜在的失業者を生むと予想される繊維業界にとって、クオータ撤廃が死活問題である一方、激しい価格競争とバリュー競争を経験したアパレル業界も、セーフガードにより、商品原価削減の好機を妨げられるわけにいかないため。
三菱重工産業機器販売・鈴木武取締役の欧米のクリーニング機器展示会その他を歴訪された報告。ラスベガスのクリーン03の展示機台数は、パーク、石油、マルチ溶剤機の順。マルチ溶剤機は、石油、グリーンアース、ライネックスの共用。アメリカではパークの使用量規制が行われ、新設店舗ではパークを採用せず、石油ホット機で代替。ほかにアメリカでは他人と同じ浴で洗うのが嫌という人が増え、コインドライの売上が伸びている。ドイツでは数字で洗濯品質を判断して認証マークを発行する品質保証制度(RAL)が普及し、ISOより社会的評価が高い。
6社の家庭用洗濯機の企画・開発の担当者が、自社の最新機種の特徴を次のように述べた。①三洋電機:スチームを洗浄と乾燥に用い、高い洗浄効果を発揮、さらにドラムからの温風吹き出し量を2倍にして乾燥時間を短縮②シャープ:Ag+イオンによる除菌・防臭・黒カビ抑制③東芝:ドラム式では4個の三角錐による絡みつき防止。全自動式では泡洗浄による洗浄力の向上④日立:回転羽根、洗浄液、被洗物に機械的作用を増して、洗浄力を向上⑤松下電器:被洗物に注ぐ洗浄液シャワーの洗浄力向上と節水を達成⑥三菱:新開発の発泡ノズルによる気泡洗浄で、洗浄とすすぎ能力を向上。
繊維商品めんてなんす研究会は、「クリーニング・アドバイザー」資格制度設立への挑戦を打ち出した。消費者に直接対面するカウンターの充実を図ることで「業績の向上に繋げる」という構想。
矢野経済研究所は「リネンサプライ白書2004」を発行した。市場規模は5,616億円強(前回調査比2.4%減)。部門別では、ダストコントロール2,838億円、ホテルリネン776億円、病院リネン620億円、タオルリネン385億円、フードリネン278億円、貸おしぼり280億円、産業リネン210億円。
石油に柑橘系植物皮の絞り液を0.5%混合した溶剤である。KB値が67に上昇して洗浄力が向上するので、しみ抜きの手間が省ける。また石油の臭いを消す効用もある。溶剤価格が980円/リットルでやや高い。溶剤(三菱重工産機販売)の販売開始後半年たち、機器は三菱重工の洗濯機、東静電気の乾燥機が対応し、洗剤はゲンブが対応して、普及が本格化してきた。
東静電気は石油ドライの環境問題解決を目的とした3種類の機器を提案した。まず洗浄機(コールド式22kg)では、溶剤のタンク容量を従来の400リットルから300リットルに減らした。次に乾燥機(22kg)では、溶剤の回収率が従来の75%から95%に向上した。最後に蒸留機では、真空性能を0.5から0.3MPaに減圧して、蒸留温度を大幅に低下できた。とくに乾燥機は、溶剤ガス濃度を爆発限界60%以下に保つ制御装置を開発し、窒素ガスの封入なしで安価に安全性を確保した。この乾燥機は、フルーツドライにも対応できる。
セブンイレブンがクリーニングの取次ぎに本格参入した。客は入会金ゼロで、磁気会員証と専用バッグ、申し込み伝票、利用案内などのセットをもらい、これらを用いて依頼する。24時間受け付け、最短翌日仕上げ、料金後払いである。料金例はスーツ上下820円、ワイシャツは立体168円、たたみ210円。今年は全国一万店舗に、どのように広げるかが注目されている。
電解還元水(アルカリイオン水)と酸性水の2種類を併用する水洗機(22kg)が開発された。水溶性・油溶性双方の汚れに溶解力が高いので、洗剤を使用しなくても汚れが落ち、前処理も不要になる。色物の同時投入が可能で、除菌・漂白効果も高い。洗剤を使わないので,水処理施設が不要になり、軟水設備もいらない。既存の還元水、酸性水の発生装置をそのまま利用した。これらの理由で、低コストが実現できた。洗浄は水温60℃、洗浄時間20分、すすぎ3分、糊付け3分、脱水4分でよい。開発者の(有)ワタナベ(本社東京都品川区、渡辺宗孝社長)は、全国のホームリネン業者に販売を始める。
TES会に加盟する会員のうち、クリーニング関係者だけで組織する「TESクリーニング会」が11月26日に設立された。クリーニング業界を代表するとの意識を持って、積極的にTES会の運営に参加すべきとの趣旨から、TES推進委員の五十嵐素一白洋舎社長と柴田健吉全ク連専務理事が設立世話人となって設立に至った。開会に当たり、大谷芳男日本衣料管理協会事務局長から「業界の生の声を頂きたい」と期待の言葉が寄せられた。設立時点の入会申込者は112名。出席者は36名。本会は今後、TES制度の普及活動、会員相互の技術・情報の交流事業を行う。
名古屋市消費生活センターは、市販の衣料用洗剤の洗浄力のテストをした。対象は合成洗剤20銘柄(漂白剤無し粉末5銘柄、漂白剤入り粉末4銘柄、百円ショップ粉末6銘柄、液体3銘柄、中性2銘柄)、粉石けん5銘柄、洗濯ボール2銘柄の計27銘柄。テスト方法は、全自動洗濯機の標準コースで、たんぱく質などの汚れを付けた「人工汚れ布」と、しょうゆやケチャップを付けた「食品汚れ布」を洗濯。10℃と30℃の水温による洗浄度もテストした。テスト結果は、人工汚れでは、水温が低くても汚れ落ちの良い銘柄がある一方、一部の百円洗剤の中には、洗浄度の低いものもあった。水温による洗浄度は、殆どの銘柄で水温が高いと汚れ落ちが良い。食品汚れのテストでは洗剤による差は無かった。衣料用洗剤は種類も多く洗浄力に差があるものもあるが、水温を上げたり、洗濯前に前処理をするとかなり洗浄力は上がると指摘。
米消費者製品安全委員会(CPSC)は、11月4日ニュージャージー州のフランス系ベビー服老舗メーカー、プチバトーが子供用バスローブ2,700着を、子供用寝巻の可燃性基準を満たしていない為、着火による火傷の危険があるとして自主回収すると発表した。同社は、日本国内でもブティックを展開しているが、現時点で事故の報告は無い。回収されるバスローブはテリー織の布製。綿90%、ポリエステル10%フードつきで、長めの袖とフロント部分の二つのパッチポケットが特徴。
運動機能に障害がある人は、約9割が既製服を中心とした衣生活を送っている。しかし既製服の着脱には多くの問題があり、着にくさを訴える部位に違いが見られた。着脱が一応自立している人は、指先の動きとの関連で留め具の改善が必要で、介助を要する人は腕を袖に通す点で、改善が求められた。制服のデザインを生かしながら修正するとの考え方は、調査対象者の8割以上に賛同された。このためには既製服を対象にした簡便な修正方法の開発が必要である。
○消費者基本法が成立 ○公益通報者保護法が成立 ○消費者団体訴訟制度導入の検討始まる ○オレオレ詐欺の被害倍増 ○架空・不当請求件数が急増 ○政府がBSE全頭検査を見直し ○裁判員制度が確立 ○改正特定商取引法が施行 ○改正金融先物取引法が成立 ○京都議定書の発効が確定
東京都消費生活総合センター『東京くらしねっと92』安全シグナルから。気温が低く乾燥した冬は、人に帯電し、その電圧は数千〜1万ボルト以上といわれている。対策は、①周囲を加湿するA金属に触れる時は革製品などを合わせ触れるB車の乗り降りや衣服の着脱は金属に触れ静電気を逃しながらC市販の静電気除去グッズを利用など。
福島県消費生活センターは、長袖の男性用シャツ6銘柄(中国製)をテストした。ポリエステルと天然繊維との混用が4銘柄、アクリル・綿・ポリエステルの混用が1銘柄、また、綿100%を比較対照品とした。混用品は綿だけの製品より価格は高いが、速く乾燥し、型崩れしにくいことがわかった。アウトドアでポリエステル混用品を着用する場合、肌着の素材にも混用品を着用することで、サラッとした感触が長時間続くと思われる。
クレーム苦情品は、大手有名メーカーの日本製で、縦方向に5o程度のプリーツが入った長袖のセーター。価格は1万8千円。素材はレーヨン70%、ポリエステル30%、手洗い不可、アイロンは中温との絵表示があった。クリーニング店は絵表示どおりの方法で仕上げたがプリーツが広がってしまった。一度しか着用しておらず、初めてのクリーニングだった。メーカーに調査依頼したが結果は「しかたがない」とのこと。この場合のようにクリーニング店、メーカーともに事故の責任を取らない場合どうしたらよいか。国民生活センターは、アパレルメーカー4社に聞いた。4社とも苦情を受けた後、デザイン・商品企画関連部門へフィードバックする体制があるという。消費者はあきらめずに、対応を求めることが肝心だ。
伊藤忠ファッションシステムは1日、中国・上海に繊維製品の試験検査室を開設した。日本や欧米向け商品の試験検査、繊維技術全般に関するコンサルティング、技術指導などを手掛ける。伊藤忠ファッションシステムが53%を出資する合弁企業、上海中紡伊紡織技術検験服務有限公司が主体となって進めるもので、従業員8人でスタートする。各種の染色堅ろう度試験機器、物理性能試験機、ホルマリン測定機器など、日本、米国、欧州、中国に対応可能な試験機を設置する。試験検査のほか、検査結果、品質不良と判断した素材や商品の改善方法のコンサルティングも行う。
世界の繊維産業の最大関心事が「ポストATC」であるが、中国商務部が公表した「繊維製品問題について」の要約によると、世界の貿易は、まさに自由貿易と公正競争の機会を迎えると、5項目の効果を挙げ、中国側が評価している。米国は、段階的に自由化できるよう、特別セーフガードを申請、発動。また、ASEANなどは中国の一人勝ちを懸念、65カ国115繊維団体が「イスタンブール宣言」に署名し、現行のクオータ体制の3年間延長を要求している。
用語解説
ポストATC
世界貿易機関(WTO)の繊維・繊維製品に関する協定(ATC:Agreement on Textiles & Clothing)が発行10年間で切れ、05年から自由化され、現行のクオータ(枠)が全廃される。ウルグアイラウンドの多国間貿易交渉で、世界の繊維貿易を①95年から16%②98年から17%③02年から18%④05年から残り49%を段階的に自由化するといった4段階でクオータが削除されるもの。この完全自由化に、各国は旧体制の利権を何とか守ろうとしている。
官民共同の繊維FTA研究会を発展・解消して発足した繊維通商問題研究会の第1回会合が開催。WTO繊維・繊維製品に関する協定(ATC)失効に伴う05年1月からのクオータ(輸入割当)制撤廃後の戦略構築などに取り組むことを決めた。今後ポストATCへの戦略と対応策をまとめる。
日立製作所は鏡に映ったものに関連した映像やデータを鏡面上に表示することができる、新型ディスプレイを開発した。光を一部透過するハーフミラーの背後に、プロジェクターを組み合わせた。鏡の表側に無線ICタグの読み取り装置を付け、タグを付けた品物をかざすと、関連した映像やデータを鏡の上に表示する仕組み。
商品・サービスに対する消費者の目は厳しさを増し、クレームは増加の一途をたどっている。しかも携帯電話やインターネット掲示板など、クレームの伝達・表現手段は多様化し、対応を誤れば企業に大きな傷を残す。IT時代のクレームをどう受け止め、悪質なものとどう戦うか、解説している。
中国が導入を決めていた繊維製品に関する輸出税の概要が明らかになった。対象はアウター・インナーウエアなどの148品目で、税額は1点当たり0.2〜0.3元で、輸出先に対して一律の課税政策をとる。実施期間は05年1月から3年間。中国政府は大部分の企業が負担できる額としているが、低価格品では一定の影響がでるのは必至である。
18歳人口の減少とアパレル産業の不振が服飾系専門学校を直撃している。各校は大学全入時代となっても専門性を発揮すれば生き残れる、とみて業界のニーズに応える取り組みに必至である。淘汰される中小校が出る一方、大手校の改革が顕著に。その対応が紹介されている。
①2月8日〜9日
②大阪科学技術センター
③化合繊概論、再生セルロース繊維、スーパー繊維とその用途展開、合成繊維の高次加工(染色加工)、特化化合繊の開発動向、他
④日本繊維機械学会テキスタイルカレッジ委員会 TEL 06-6443-4691
①2月17日〜18日
②マイドーム大阪
③世が変わる 人が変わる ビジネスが変わる、人口減少社会のマーケティング、パリ国際ランジェリー展トレンド
④NBF JIMS実行委員会 TEL 03-3663-5021
①2月22日
②大阪科学技術センター
③強化繊維の将来展望、医療用繊維の世界趨勢、宇宙・航空用途における繊維産業の展開、他
④日本繊維機械学会
TEL 06-6443-4691
①2月23日
②大阪市立北区民センター
③ワコールにおけるリマンマ事業、アパレル流通の取り組み(ICタグの活用)、水だけで洗えるエコマジック
④日本繊維製品消費科学会 TEL 06-6358-1441
①3月3日〜4日
②日本規格協会本部大講堂
③品質管理とは何をすることか、ばらつきがあるデータ、データをとる目的と種類、平均値とばらつきの数量的な表し方、工程の管理と標準化、他
④日本規格協会 TEL 03-3583-8008
①3月7日〜8日
②福井大学文京キャンパス
③我が国の繊維産業への施策、中国の最新繊維産業事情、スポーツウェアの最新技術、インクジェットプリンター捺染、ナノファイバーの製法と応用、最近のスマートテキスタイルの開発動向、他
④日本繊維機械学会 TEL 06-6443-4691
①3月8日〜9日
②キャンパスプラザ京都
③■実習:着心地や使用感を左右する素材の熱水分移動特性、表面特性、圧縮特性の測定
■講演:布の力学特性・表面特性に関して、ヒト皮膚表面摩擦特性と感触、他
④日本繊維製品消費科学会
TEL 06-6358-1441
①3月16日
②東洋紡績総合研究所NKT棟
③■講演:AFMで絹フィブロイン薄膜のナノ構造を視る、生体内消化性低毒性繊維を造って診る、X線回折と熱分析で微生物産生ポリエステル繊維を観る、他
■見学:総合研究所の展示室と分析物性研究センター
④高分子学会繊維材料研究会 TEL 03-5540-3771
①3月17日
②サンピア和歌山
③■見学:クリーニング工場(クリーンサワ)の見学および実技体験
■講演:絵表示の国際化(ISO基準によるJISの見直し)、新洗浄理論(グリーンDry)
④日本繊維製品消費科学会 TEL 06-6358-1441
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男