ミニ情報TOP→ 日本衣料管理協会TOP→ バックナンバー一覧(2003年度:第20巻〜)→
06年4月から改正高齢者雇用安定法が施行され、企業は65歳までの雇用を制度化しなければならない。アパレル企業の総務・人事担当者の任意団体P.D.C.(会員28社)の会員企業の取り組み状況を調査した結果、大半の企業が継続雇用制度の導入で対応しようとしていることがわかった。
経済産業省は製造産業局にファッション政策室を新設、室長は宗像直子繊維課長が併任となった。ファッション産業に関する現状分析に基づき、同産業の国際競争力強化に資する総合的な政策の企画立案を行うのがねらい。繊維課では通商室と同格の位置付けで1課2室体制となるが、室長を含め全員併任の13人体制となる。
特許庁が発行した「特許行政年次報告書05年版」によると、繊維分野の特許公開数で東レが2位の東洋紡・松下電気産業に2倍以上の差をつけて1位となった。合繊メーカーは、繊維分野以外にもバイオや高分子などに東レや東洋紡がトップ10にランクインした。合繊メーカーは特許戦略で高分子やケミカル、バイオなどへシフトしており、東レは高分子、プラスチック加工など、東洋紡はバイオ、高分子などでもランクインした。知的戦略に力を入れている電気メーカーは松下をはじめ、三洋電機や東芝が繊維分野にも顔を出した。
経済産業省は06年度繊維関連予算として技術開発を重視、05年度予算と同規模の約18億円を要求する。この中には中小繊維製造事業者自立事業の助成額は含まれていない。技術関連支援では先行的に実施している5プロジェクトに加え、新たに「廃水処理における余剰汚泥の減容化技術開発」の支援を行う。他にはSCM推進対策、輸出振興対策、人材育成対策、ファッション・クリエーション強化対策などがある。
公正取引委員会の06年度概算要求は約85億9,700万円(前年度費約5.7%増)となった。06年1月から施行される独占禁止法改正法の基本方針を実施するため、@迅速かつ実効性のある法運用A競争環境の積極的な創造Bルールある競争社会の推進C競争政策の運営基盤の強化−に取り組む。執行体制を整備するため50人の増員を要求。重点対策としてIT・公益事業や知的財産権分野の事案に積極的に取り組む。景品表示法に違反する不当表示行為や、中小企業に不当に不利益を与える優越的地位の乱用や不当廉売などの行為、サービス分野での下請法違反行為に対して迅速に対処する。新設された大規模小売業告示の厳正な執行を行う。
ISO 16322(洗濯後のねじれ率の測定)が発行された。1部:ニット衣料のタテ目の斜行度 2部:織り生地とニット生地 3部:織り、ニット衣料(Textiles-Determination of spirality after laundering-Part1:Percentage of wale spirality change in knitted garments、Part2:Woven and knitted fabrics、Part3:Woven and knitted garments)
天然セルロース繊維は、種子毛である綿やカポックを除けば、ほとんどが靱皮や葉鞘(葉柄)を利用する繊維である。そのなかから麻、葛、しなのき、芭蕉、ケナフ、サトウキビ、パイナップル、月桃などの特徴および繊維製品への利用を概説している。
バンブーを使った芯地を、東海サーモが初めて開発した。吸湿性が高く、ムレにくいほかソフトでさらっとした風合い、抗菌防臭効果やマイナスイオン効果もあるという。ウールとバンブー、綿の複合の毛芯地とバンブー、綿・ポリエステル混の接着芯地。混率を変えて薄地や厚地、ハードタイプやソフトタイプがあり、紳士、婦人服、ユニフォームに対応できる。
日清紡はトリコット、ラッシェルなど経編に細番手単糸、甘撚りの綿糸が使える技術を開発。ニットメーカーに糸を巻いたビームで供給・販売する。合成繊維の長繊維使いの商品が多い経編に100番、80番など細番手の綿糸が使えることで、経編メーカーは綿交編から綿100%の婦人インナー、レースなど差別化商品の生産が容易になり、経編に新たな市場を切り開くことになりそうである。同社では、経編ニットメーカーが「必要な時、必要な本数・巻き長さのビーム」を供給する。このため、ニットメーカーは「無駄な原糸ロスが発生せず、短納期対応が可能になる」としている。
物理処理による繊維表面の改質として、エキシマレーザー、低温プラズマ、紫外線、電子線などによる処理方法とその応用例を紹介している。このうち繊維への応用として期待されているのは、低温プラズマであるが、減圧下で の処理は設備面の問題から制約があり、大気圧プラズマ処理が検討されており、今後の発展が期待されている。
近年、温度調節素材や通気コントロール素材など、冷・温の調節機能を備えた素材が人気である。温度調節の仕組みは、繊維に練りこんだり、生地に付着させた特殊カプセルやポリマーが、周囲の温度変化に応じて吸熱や発熱を繰り返すことによる。また最近は、汗を吸収すると編み目や織り目が開いて通気量が増え、乾燥すると編み目や織り目は閉じて通気量を抑える「通気コントロール素材」が注目されている。素材メーカーによる開発はもちろん、アパレルメーカーの独自素材まで登場している。ここでは、市場拡大の背景や各社の販売戦略を追っている。
ヤシ殻から繊維を抽出した繊維と綿との混紡糸をシキボウが開発し、販売する。「クールビス」対応のかりゆしウェア、インテリア、寝装用途に展開。ヤシの実からジュース、果肉、油脂を採取した後に残るヤシ殻から細く柔らかい繊維「ココナッツ繊維」のみを抽出して、解繊することに成功した。商品は、ココナッツ繊維30%混の10番手、20%混の20番手、10%混の30番手の3品種。将来は細番手も予定している。
大手紡績による開繊型竹繊維の商品化が相次いでいる。竹パルプを薬品に溶かして紡糸するバンブーレーヨンと違い、竹を解きほぐして繊維質を取り出したもの。各社は中国でわたを買い、日本で紡績、テキスタイルにする。開発が続いた背景には、①成長、再生の早い竹を原料としたエコロジー素材で、クールビズ対応ウエアに適している②今年人気の麻に似た触感や吸放湿性、天然の抗菌性などの機能がある③バンブーレーヨンが特許により販売元が限られていたのに対し、開繊型は特許による制約がなかったことなどがある。来春夏に向け、ユニチカテキスタイル、日清紡、富士紡、クラボウの取り組みを掲載。
第一紡績はポリウレタンのベア編み込み天じくで、丸取りニットが可能な生産システムを開発。インナーウエア、肌着の素材のフライス、スムース、天じくなどには、サイズ通りの幅で編む丸取りとカットソーがある。生地が薄いベア天じくは①生地にしわが残りやすい②幅にばらつきが出やすい③ストレッチの程度を調整しにくい−などから丸取りは難しかった。これに対し、自社一貫工場で生地のプレセットマシンを独自設計で開発、さらに天じく編機10台強を28〜48の各種インチサイズに対応するように改造し、編工程の改善、検反から加工までの作業手順の見直しなどでベア天じくの丸取りを実現した。肌着の各サイズに合った幅で編み上がるため、脇の縫い目が発生せず着心地も向上する。
東レは、モールドブラジャー専用のニット素材「マイクロムーブ」を開発、06年秋冬物から販売する。伸縮性の良さやきれいなカップ形状が得られることが特徴。ポリエステル/ポリウレタン(PU)交編の場合、通常のポリエステルは分散染料を使うため、PUを汚染し、熱のかかるモールド成型時の変色問題などが課題になっていた。また、ナイロン/PU交編では、成型性や形態保持性が劣るという。同社で成型時にかかる諸条件を分析した結果、単糸1dtex以下で構成するカチオン可染ポリエステル長繊維とPU「ライクラ」の組み合わせで、ソフトさや滑らかさを得るとともに、変色問題もクリアした。
繊維原料専門商社の長尾商事(名古屋市)は、ニュージーランドの羊毛企業のHドーソン、ニュージーランド羊毛研究機関と共同で、防縮機能を付与し、弾力性を高めた新しい布団用羊毛「サンライズ」を開発。サンライズは原毛の洗いを2回繰り返し、その途中で防縮加工を行う。そのため、原毛が全体的に均等に加工され、残留塩素が洗い流されて、においが残らない。洗いの後にポリマーで加工し、弾力性を20%以上高める。家庭で洗濯できるという特徴を持つ。通常の布団用羊毛が1kg当たり300〜400円、サンライズは800円程度。それでも安全性や機能性などの評価は高いという。
日本毛織が開発した快適涼感素材「クールツイスト」と可視光応答型光触媒「V-CAT」による加工素材の解説。前者について、原糸は2段撚糸法「トルネードツイスト」を用いて作る。毛糸の毛羽を抑え込むようにポリエステル長繊維を巻き付け、次いで全体に撚りを掛けるので、ポリエステルが表面へ出にくく、均整のとれたシャリ感を抑えた糸が得られる。また、酸化チタンは赤外線反射効果があるので、その物質を多く含む高機能ポリエステルを用いて熱遮蔽性を持たせている。特徴は、①従来の盛夏織物の150%の通気性②優れた太陽熱遮蔽性③毛羽が少なく美しい織物表面感である。
日清紡績では、ナノテク素材群を「ナノサイエンスシリーズ」としてネーミングしている。同素材群は、ナノテクノロジーの範疇に入る同社の機能性素材群の総称で、撥水、防汚、形態安定、銀微粒子による抗菌、スキンケアー加工など各種の素材があり、これの概要を紹介している。
小松精練と東海染工が商品開発、生産委託などで連携する。前者は合成長繊維織編物染色加工、後者は綿を中心にした短繊維織編物染色加工の最大手。すでに共同で商品開発を進めている。両者はこれまでは交流することがなかったが、委託加工にとどまらず、自販を強化し、海外品との差別化のための特徴あるテキスタイルの開発をめざしている。染色加工業界はセーレンがカネボウの合繊、KBセーレンを傘下にしており、染色加工の二つのグループができ今後の動きが注目される。
住友化学の新製品紹介。一般に、赤色の反応染料は、他の色に比較して汗日光堅ろう度が低く、黄色染料や青色染料との配合染色で得た染色物が、赤色の消色が原因で変退色しやすい傾向がある。近年、この堅ろう度を向上させた赤色染料が出されているが、化学構造に起因して塩素堅ろう度が低い。今回、同社が開発した赤色反応染料Sumifix HF Red 3G gran.は、これらの両堅ろう度に優れ、他の染料との堅ろう度バランスにも優れる。Sumifix HF Yellow 3R gran.、Sumifix HF Blue 2R gran.との組合せにより、従来の反応染料では困難であった高いレベルの堅ろう度が得られるという。
東レのナノスケール技術の考え方と事例の紹介。多くのナノテク加工繊維製品の中には、科学技術分野でのナノテクノロジーとの間に大きなギャップのあるものもあり、ユーザーの疑問や指摘も出ている。同社は「処理対象、処理薬剤、処理後の構造のいずれかがナノスケール(100nm以下)で自在に制御された加工」であり、「新たな機能の発現、あるいは通常加工対比その特徴・機能・適用範囲が格段に向上した加工技術」と定義。実用化に成功した技術の一つ「ナノマトリックス」を説明し、実用例として、化粧品汚れ対応の「ルージュオフ」と花粉対応の「アンチポラン」NTを紹介している。
繊維の表面加工による機能性付与技術について紹介している。物理的方法としては、紫外線、レーザー、低温プラズマ及びスパッタリングなどの方法、化学的方法では、繊維表面への官能基の導入、表面グラフト重合、有機修飾ケイ素ポリマーによる表面改質などがある。また、近年、機能性分子として超分子やバイオポリマーを繊維表面に付与することによる表面機能化研究が盛んである。最後にセルロース繊維表面の活性化とその応用例を紹介している。
西陣染色は、サンワード商会が開発した空気触媒の新加工剤「ティオティオ」を使用した糸の段階での加工を開発した。この加工は抗菌防臭、消臭加工で、アンモニア、汗臭などが1日で90%以上分解される。糸に染色した後、チーズ、かせの段階で加工を進める。黄色ブドウ球菌、大腸菌にも効果があり、分解過程で、マイナスイオンの発生、防かび性も確認されている。分子間力により結合するため、効果は長時間持続し、風合いや色は維持されるという。
昨年、ブームとなったナノテク加工。素材メーカーの新規参入が相次いでから1年。ブームで終わらせないために、シリーズの充実、ベースとなる素材や得意用途での差別化、コストダウンなどを進めることで定番商品へ位置付けられてきた。ここでは、ナノテクを扱う企業の動きを見る。
一方社油脂工業は、ポリエステル用耐久帯電防止剤「エレタットMS-8」を開発。ポリエステルの静電気対策として後加工では通常、一時性の帯電防止剤が使用されるが、こと洗濯耐久性については十分に満足する良好なものがないのが現状である。「エレタットMS-8」は「エレタットMS-5」と併用して連続加工法で処理し、乾燥するだけで耐久性に優れた帯電防止効果が得られる。推奨処方はMS-8が5%、併用するMS-5が0.7%の水溶液で、絞り率70%以上。洗濯を繰り返して、JIS L 1094の摩擦帯電圧で評価したところ、洗濯30回までは良好な耐久性を示す結果を得た。
小規模のプリント工場がアパレルへ脱皮、さらにSPA(製造小売業)事業まで手掛けて成長している企業がここ数年増えている。製造業の空洞化が奥深くまで浸透しているにもかかわらず、アパレルメーカーの低迷を尻目に国内市場に対応した製品事業へとうまく進化させている。店頭は一段とめまぐるしく売れ筋が変わり、かなりの短納にも応じる海外メーカーでも対応しきれない。国内自社精算を武器に、そのすき間を突いたものだ。
原宿LOHAS(ロハス)倶楽部が先ごろ都内で開いた初の展示会には予想を上回る来場者が見られた。特に百貨店関係者が目につき、「ロハス」への関心の高さが伺える。「カルチャー発信に努める百貨店は、ロハスの考え方に興味は示すが、実際にどんな商品を提供できるか手探りの状態」(斎藤章副幹事=ポストアップ社長)。そこを解決するべく様々な切り口からロハス商品を披露した。
アパレルや百貨店が共有するデータベースを使って品ぞろえや販売・購入計画などを決め、在庫削減などに生かす―。CPFR(需要予測と在庫補充のための共同作業)が発達した米国ではインターネット上でのこんな製販の協業を支援するITベンチャーが誕生している。セブンスオンライン(ニューヨーク)もその一つ。社員数20人強の中小企業だが、衣料品業界で存在感を増している。
帝人と米国パタゴニアは16日、9月からポリエステル繊維製品の完全循環型リサイクルプログラムを共同で展開することを明らかにした。パタゴニアが主力商品である機能アンダーウエア「キャプリーン」の使用済みとなった物を消費者から回収し、帝人ファイバー(TFJ)の松山事業所の「繊維to繊維」リサイクル施設で高純度なポリエステル原料、テレフタル酸ジメチル(DMT)に再生する。TFJがDMTから新たなポリエステル繊維を作り、パタゴニアに供給。パタゴニアは再生された繊維を使いキャプリーンを生産する。経済産業省の「繊維製品のLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)調査報告書」によると、TFJのリサイクル方法は石油からDMT生産する場合に比べ、消費エネルギーで84%、二酸化炭素排出量で77%それぞれ削減できる。
YKKは従来のファスナーより大幅に軽量で、カラー表現が可能な新しい金属ファスナー「ルミナ」を開発。ルミナは、プレミアムブランドファスナー「エクセラ」の新タイプで、エレメント部分にアルミ合金を使っているため従来の3分の1に軽量化された。ファッション素材のソフト化・軽量化に対応したもので、生地への負担が少なく、製品のラインを崩さずに使用できる。エレメント表面にアルマイト処理を施して耐久性を高めたうえ、着色を可能にした。ゴールドやシルバーの定番品に加え、レッド、オレンジ、パープル、グリーン、ブールー5色からセレクトでき、ミックスカラーも提案する。
環境省、「秋冬のクールビズ」委員会で、夏のクールビズに続く、秋冬の新しいビジネススタイルの名称を「ウォームビズ」に決定した。地球温暖化防止のため、秋冬も適切な室温設定(20℃程度)を呼びかける。
西友は9月中旬から、「クールビズ」の発展版として「スマートビズ」と名付けたキャンペーンを始める。「スマートに重ね着してもかさばらない」意味で命名した。クールビズをきっかけに着こなしが変わったのを受け、さらに新しいビジネススタイルを提案する試み。小売業の多くは22日に環境省が発表した「ウォームビズ」を軸に動くものとみられ、早い出足と独自のネーミングが功を奏するか、あるいは埋没するか評価が分かれそうである。
11月15日の七五三祝いの女児用晴れ着で赤やピンクを基調とする伝統的な色柄に代わり、青が人気となっている。果物など従来にない色柄をあしらった商品も売れている。祖父母が選んで買い与える従来の習慣が変わり始め、百貨店などでは子供の意見を重視する客が増えた。子供が着慣れた洋服の流行が和装選びにも影響。子供の人口が減る中でも売り上げは伸びている。
「手が届く高級」と呼ばれる価格帯のカジュアル衣料が人気を集めている。高級ブランドと定番品にはさまれた市場で、高品質だが値ごろ感を打ち出しているのが特徴。金銭感覚に厳しい団塊ジュニア(25〜34歳)が消費をけん引しており、海外有力ブランドの対日進出も相次いでいる。
繊研調査による主な量販店14社の04年度の衣料品売上高は、前年比べ6.2%減少であった(前年比較可能な13社)。衣料品の構成比も低下、厳しさが浮き彫りになった。特に単価の下落が厳しく、消費税の総額表示導入の影響が輪をかけた。
繊研による百貨店売上高調査では、04年度の上位100社の総売上高は前年比3.4%減、上位20社でも5.1%と減少。03年度では上位店舗が改善したが、衣料品の不振が影響している。
日本百貨店協会は、今秋にギフト・アドバイザー資格制度を立ち上げる。フィッティングアドバイザー・レディス、メンズに続く、3番目の百貨店プロセールス資格制度で、全部門の販売員を対象に講座・試験を実施する。資格は1〜3級で、最上位の1級は企業推薦と面接・口述試験で選ぶ。
衣料品を充実したNSC(近隣型ショッピングセンター)が増加している。オーバーストア化で大商圏の立地が少なくなったことに加え、不振のGMS(総合小売業)出店を手控え、代わりにショッピングモールを核に専門店を集積した新タイプのNSCの新設が目立つ。
繊研新聞社が全国の衣料品専門店を対象に実施した「04年度専門店売上高ランキング」調査で、専門店の業績は増収増益となった。売り上げが伸び悩む中、大手を中心に収益性を向上・改善した企業が多い。特にSPA型企業の成長性の高さが目立つ。また、カジュアル、レディスなど各分野の上位企業の伸びが高く、停滞が目立つ中堅企業との格差が広がっている。
カタログ通販各社がインターネットを経由した販売への傾斜を強めている。低価格衣料チェーンや郊外型ショッピングセンターの増加などでカタログ販売は伸び悩み傾向。各社が、消費者が商品や価格を見比べられる比較サイトへの情報提供に踏み切るなど、カタログで顧客を囲い込む従来の手法から客層を広げる姿勢を鮮明にしている。
百貨店各社が東京、大阪の両都心で大規模投資に動き出す。東京では07年度の地下鉄開通に合わせて、沿線の池袋、新宿の大型店が全面改装に着手。大阪でも新規開業や既存店の建て替えが進む。都心部の主要店舗に経営資源を集中し、強い店舗の集客力に磨きをかける戦略である。
中国の小売業の年間売上高は、現在の規模は日本の1/2程度であるが、年率15%以上で成長しており、日本のゼロ成長で人民元の切り上げが進むと、08年にも日本の売上高を凌駕する。けん引するのは再編によって規模を拡大する上位30社で、04年の売上高は前年比33%増えている。
大型化、グレードアップが急速に進み、集客力を強める郊外SCへ出店の軸足を移す専門店が増える一方で、客層の違いや長時間営業を理由に出店を控える専門店が依然少なくないことが、繊研新聞社の専門店アンケート調査(回答147社)で分かった。活発にSC開発を進めるディベロッパーにとって、同質化を回避するために新規テナント専門店の発掘は欠かせない。打開策として、百貨店の誘致や専門店街の営業時間を短縮する動きが出てきている。
欧米の小売業で、買い物をより快適で便利にする最新のIT(情報技術)を導入する動きが盛んだ。買い物ナビゲーション機能を持たせた端末や精算時間を短縮するセルフチェックアウト(無人レジ)など機器は様々だが、サービス向上で価格だけの競争を脱し勝ち残りをめざす点は各社共通。IBMやNCRなどの機器メーカーもそこに商機を見出している。
サーフィン、浜辺のバーベキュー、海まで自転車で行ける家―あこがれのライフスタイルで人気の湘南。団塊ジュニアファミリーや若い感度の“オヤジ”、スローライフなどマーケットが大きくなる中で、そのブランド力がますます高まっている。地元のSCやショップもライフスタイルに根差したMDで成功している。ファッション消費のキーワードとして、湘南スタイルが注目されている。
「商品寿命が短くなった」「ビッグヒットが出ない」−トレンド商品をスピーディーに安価で提供する店が増える中、婦人ヤングカジュアル専門店チェーンでMD見直しの動きが広がっている。高回転で売れ筋を追いかける手法では売り上げが伸ばせなくなり、各社が力を入れているのがスタイリングを基にした企画と打ち出しの強化。分かりやすい提案で消化率とリピート率を高めようという戦略だ。
第12回アジア太平洋小売業者大会が9月上旬、北京国際会議センターを主会場に開催された。日本からの千人をはじめ、中国、韓国、豪州などアジア、オセアニアの16カ国・地域の流通小売表の代表3千人が参加、過去最高になった。中国小売業博覧会が併催、有力小売業1,700のブースを出展している。
無線で情報を読み取りができるICタグ(荷札)は、これまで物流や在庫管理などに使われることが多かったが、店頭での予約・料金精算や服飾雑貨のコーディネート提案等にも活用されている。買い物客の利便性の向上や店の売り上げ拡大に一役買っている。
高齢化の進行とともに全国総ベッド数が増加し、病院・介護施設・自宅のほとんどのベッドがマットレスを使用している。今後も急増が予想される市場だが、これまで表面の消毒程度で過ごされてきた。ようやく水に浸漬する洗浄が要求されるようになり、新システムが開発された。マットレスを4枚一度に洗え、水を通しながら30〜35分で中まで洗う。乾燥は1枚ずつ10〜15分の高能力。途中でサニタイズ加工を加えて、抗菌・防臭加工ができる。開発したのは、ふとんの丸洗いで実績のある潟tレスコ(本社大阪市)。
6月23から26日、アメリカフロリダ州オーランドで開催された世界最大の国際クリーニング展。約500社の出展があり、来場者2万4千人が見込まれた。めぼしい展示は次のとおりである。水洗機では、オゾン発生装置を組み込んで、一体化したワッシャーが多く見られ水の浄化や微生物の殺菌もでき、仕上りもソフトである。ドライ機では、57台の展示機中、27台がパークで、昨年同様、パーク中心の展開が予想される。機械の価格も、同容量で比較すると、石油系の半分以下であった。石油系のほとんどの機種が、シリコーン兼用機であった。液化炭酸ガス洗浄機は、1社のみで話題にもならなかった。
三菱重工産業機器では、同社の夏季セミナーにおいて、新溶剤「フルーツドライ」の最新情報を発表した。フルーツドライはオレンジ類の皮を抽出して得られるオレンジオイル(d−リモネン)である。油性汚れの溶解度の尺度KB値が67で、石油の25の3倍に達する。また天然の抗菌性を持ち、毒性や環境汚染がない。短所は引火点が48℃で、石油の54℃より低い。溶剤価格も高い。この短所を克服するため、同社は完全密閉式の窒素置換装置つき専用ホットマシン(16kg)を開発中である。ただし現行の石油機でも利用可能という。この溶剤は同社独自のアイデアで、特許出願中である。
日本繊維製品・クリーニング協議会は、02年発足の「クリーニング事故防止システム」普及のため、アパレル企業・教育機関などを対象に会員を拡大する。同システムは、消費者の利益保護を目的に構築されたインターネット利用の会員制ホームページ。現在、衣類の事故情報データは約3,500件、すべてが写真付き。このデータベースを利用すれば、アパレル企業ではクリーニング事故を防止する製品づくり、クリーニング業では事故を起こした同一・類似製品への適切な対応が可能となる。年会費は株式会社が1万円、有限会社・個人は3,000円、初期費用はそれぞれ1万円、2,000円。
埼玉県生活科学センターでは、クリーニングに関する苦情から、絹やポリエステルやナイロンなどの合成繊維など、ツルツルした糸を使用した製品では、目寄れや縫い目滑脱などが生じる場合があるので、ある程度ゆとりあるデザインやサイズのものを選ぶことを心がけるよう呼びかけている。
抗菌・消臭機能を高めた枕や布団などの寝具の販売が好調だ。清潔志向に加え、夏場の手入れが楽になることや、共働き世帯の増加が利用拡大を後押しする要因になっているようだ。東急ハンズは抗菌・防臭効果の高い寝具を昨年から拡充、各種通販サイトでも防ダニ加工の敷き布団や抗菌枕などが増加している。メーカーの商品開発も活発で、西川産業は「スリープ アルファ」を発売する。酸化チタンをベースにした光触媒による抗菌・除臭に加え、アパタイト加工による細菌の吸着効果も持たせた。ビーズの「天然緑茶カテキン入り低反発マット・枕セット」は緑茶成分のカテキン粉末を配合。アスカムはセラミック炭を使った枕とアイマスクのセット。
赤ちゃんを包んだ一枚布をリングに通すなどして、たすき状に肩から下げる抱っこひも「スリング」が広がっている。「おしゃれ」「簡単に手作りできる」「赤ちゃんと密着でき、授乳の目隠しになる」などが人気の理由。だが選び方や使い方を誤ると、事故につながる危険もある。リングの素材、大きさや幅と布の厚さの相性もある。安全性の指針を販売店が検討している。
五輪代表選手やプロスポーツ選手向けが中心だったスポーツウエアのハイテク技術が一般向けにすそのを広げ始めた。スポーツ用品メーカーが繊維メーカーと組み、汗をかいた時のべたつき感や体臭を抑える新素材を使った高機能ウエアで、技術を競っている。安価なアジアメーカー製ウエアとの違いを消費者にアピールする狙いだ。ポリエステル繊維なのに水分を吸うと伸び、乾くと縮む。この性質を生かし、汗を吸うと生地に凸凹ができて肌にべたつく感触を抑えたり、網目が広がって通気性が増したりするウエア。熱伝導率が高く着心地の冷たい繊維と水分で伸縮する素材など。
埼玉県消費生活センターは、素材が綿100%の子供用半そでTシャツ(サイズ130cm)16商品について品質、性能、安全性(ホルマリン)、耐久性等をテストし、あわせて被服製造業者等へ価格差等について、アンケート調査を行った。テスト品は購入価格帯を1,000円以下、1,001〜2,000円、2,001〜5,000円、5,000円以上の4段階に分け、各価格帯で4商品ずつ選んだ。結果注意すべき点としては、同一サイズでもデザインによって差があるので購入時に確かめること、汗をかいたら早めに洗濯すること、洗濯を繰り返すと襟口は10%前後伸びること等があげられる。また、商品の価格が高くなる理由として業者は、高価な原材料、織りや刺繍の費用をあげた。(22巻3号関連記事の詳細版)
全日本婦人子供服工業組合連合会がとりまとめたレポートでは、「縫製不良」を筆頭に「付属品不良」「色トラブル」のワースト3がそれぞれ枠を拡大している。縫製不良のうち、77.4%が「ほつれ」、ついで袖付けのクレーム、裾あげ、縫い目の破損が続く。件数は少ないものの、基本以前のミスも報告されており、海外生産やクイック対応下におけるメーカーの品質管理体制が問われている。クレーム関数が右肩上がりで、なおかつワースト3位を占めるのが、岐阜、愛知、大阪。中でも岐阜県が多い。
繊維製品技術研究会(ATTS)の研究報告で、ISO乾燥機と家庭用洗濯乾燥機を、シワと寸法変化について比較した。主な結果は次の通りである。シワは10種類のワイシャツ、ブラウスについて評価され、ISOに最も近いのはタンブル乾燥機、最もシワがつきやすいのは全乾燥コースであった。またドラム式は、容量が小さいのでシワがつきやすかった。次に寸法変化は綿ニット生地3種類について評価され、洗濯乾燥機と同等の結果を与えるISO乾燥機の使用条件(衣料質量と衣料水分)が得られた。
繊維製品の原産国表示にかかわる研究会(座長=中瀬雅通・日本アパレル産業協会理事長)は、報告書「繊維製品の原産地表示のあり方について」と、業界宣言「繊維製品の適正な原産国表示の推進に向けた繊維業界の取り組み」を策定した。報告書は、早急な対策として法令の順守徹底、全繊維製品に対する原産国表示の推進、原産国表示のマニュアル整備。長期的対策として国産品のアピールやICタグを用いた生産履歴による原産国表示の可能性の検討。業界宣言では、同研究会の参加27団体名で法令順守、原産国表示の推進と原産国表示のマニュアルの整備、会員企業に実施を求めていく。
繊研がこの秋から始まる「東京発日本ファッションウィーク(JFW)」について、55の日本のデザイナーブランドにアンケートした。結果は、この企画に対して8割が「賛成」「意味のある計画」と前向きに判断。ただ、「全体像が見えない」「企画の形や資金面が不明確」などで、その時点で企画に参加すると明言したのは3割に満たなかった。
中国紡織工業協会は、製品検査機関の全国組織である「検測センター」を8月に設立した。中国繊維アパレル産業の最大課題である国際競争力の強化に向けた品質の向上をめざす商品検査機関の全国組織になる。
アパレル輸入量が今年5月までで中国が1%増と、電力や労働力問題、元の切り上げなどチャイナリスクが高くなってきているため、頭打ちになっている。一方、インドが品質や納期管理に課題があったものの、日本の技術者が関与するなどで生産拠点としての機能を高めつつあり、注目度が増している。
プルミエール・ヴィジョン(PV)に出展しているテキスタイル企業13社が結束し、「ジャパンプルミエールクラブ(JPC)」を正式に立ち上げた。国内外での展示会開催もうたっており、テキスタイル産業のトップ集団として、今後の活動に関心が集まっている。
伊藤忠商事は、ケニアの環境副大臣でノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイさんが提唱する「MOTTAINAI」(もったいない)運動に賛同し、その標語をブランド化。リデュース、リユース、リサイクルの3Rを企画基準に、世界初の循環社会型環境ブランドとしてライセンスビジネスを展開する。利益の一部は、マータイさん創設のケニア植林推進「グリーンベルト運動」に寄付する。「MOTTAINAI」は、マータイさんが2月に来日した際、「もったいない」という日本語を知り、国連「婦人の地位委員会」で環境保護の世界共通のキーワードとして訴えたことから始まった運動で、毎日新聞社が事務局。
繊研調査による7月の中国人民元2%切り上げの繊維関連企業の影響は、「想定の範囲内、実際の影響は少ない」としたのは45%、「影響を受ける」としたのが41%となっている。さらに、再度の切り上げを予想する見方も少なくないだけに、中国の安価な労働力に収益の多くを依存してきた労働集約業種への影響は無視できないとしている。
衣料品や枕など使い心地の満足度に個人差が大きい商品を扱う店舗で、顧客の体を精密に測ってぴったりの商品を選ぶサービスが広がっている。スキャナーなど最新技術を用いるものが増え、無料かつ短時間で済み「安心感」にもつながるため、消費者には好評という。
①10月14日
②大阪科学技術センター
③可視光応答型光触媒「V-CAT」、光触媒抗菌・消臭素材「シャインアップ」の現状と今後、光触媒消臭加工「ホトフレッシュ」とその後の新技術、我が国の光触媒製品と性能評価の現状、他
④日本繊維機械学会 TEL 06-6443-4691
①10月20日
②大阪市立北区民センター
③酸化チタンの光触媒について、珪化木に学ぶ(天然セルロース繊維の中にゼオライトを作る)、他
④日本繊維製品消費科学会 TEL 06-6358-1441
①10月21日
②ペガサスミシン製造
③■講演:環縫いミシンの基本について、縫製におけるクレーム紹介
■見学・実演:各種環縫いミシンの紹介、各種環縫いミシンの基本操作
④日本繊維製品消費科学会関西支部 申込先:京都女子大学生活造形学科 矢井田修 TEL 075-531-7174
①11月10日
②メルパルク東京
③靴とバッグに関する調査結果と活かし方について、靴による健康被害と当調査の意義について
④日本衣料管理協会 TEL 03-3437-6416
①11月11日
②大阪科学技術センター
③機能加工とナノテクノロジー、色剤の動向、染色加工機械の動向、環境対応テクノロジー、他
④日本繊維機械学会テキスタイルカレッジ委員会 TEL 06-6443-4691
①12月9日
②大阪科学技術センター
③紡績準備、リング精紡と新しい紡績法、糸の構造と物性、ワインディング、他
④日本繊維機械学会テキスタイルカレッジ委員会 TEL 06-6443-4691
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男