ミニ情報TOP→ 日本衣料管理協会TOP→ バックナンバー一覧(2003年度:第20巻〜)→
経済産業省は、04年度から06年度までの3ヶ年計画で実施中の人間特性基盤事業の一環として首都圏での人体寸法・形状計測を開始する。これは人間の寸法や形状などの特性を踏まえた製品開発や設計に必要な基礎データを整備するのが目的。数千人規模の人体形状計測と、人体形状データから人体寸法を自動的に算出するシステム開発が重点事業となる。得られたデータは、衣料品、自動車、家電、家具、住宅などの製品開発、工場やオフィスなどの職場環境、駅や公園など公共施設の設計、ISOやJISを作る際などに役立てる。
経済産業省は8月下旬から9月上旬に行った「原油価格上昇の影響調査」で、7月の前回調査に比べ、総じて影響の深刻化がみられなかったが、繊維、化学などの業種、企業への影響が懸念されている。繊維業界への影響は「深刻」2割(前回1割)、「一定」5割(8割)、「ほとんどなし」3割(1割)となっている。他に、価格転嫁、収益への影響、05年度の収益見通しを聞いている。
経済産業省の産業構造審議会環境部会は品目別・業種別廃棄物処理・リサイクルガイドラインの改定とフォローアップ案を提起した。今回の改定では03年度からの状況変化を踏まえ、3Rの推進に向けて目標値の新設・改定を行った。業種別ガイドラインでは繊維工業の「国産エコ・ユニフォームマーク」と「海外縫製エコ・ユニフォームマーク」とを合わせて05年度目標80万枚、09 年度目標100万枚とする。国産エコ・ユニフォームマークは国内生産の再生ポリエステル繊維生地を使用し、国内事業所で縫製された製品に添付する。海外縫製エコ・ユニフォームマークは国内生産の再生ポリエステル繊維生地を使用し、海外で縫製された製品に添付する。今後の技術開発では、染色整理業の活性汚泥処理設備の運転方法を改良することにより、発生汚泥量を削減する。一般にポリエステル・綿が用いられているベッド・パッドについて、側地・中わたとも綿100%の製品の開発。家具・自動車のクッション材については、リサイクルが可能なポリエステル系繊維から、ウレタンと同等レベルの製品を製造する技術開発を行う。
経済産業省は「知的資産経営の開示ガイドライン」を公表。これは人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランドなどの知的資産を活用した経営を評価し、今後、さまざまな企業への活用を促進する。ガイドラインの特徴は、経営者の方針を分かりやすいストーリーで示すことを促し、信憑性を高めるため裏付け指標を入れるやり方を提示したこと。指標の目安として「経営理念等の社内浸透度」や「環境関連支出投資額」など35種類を例示し、評価側にも指針を示した。
経済産業省の産業構造審議会環境部会・廃棄物・リサイクル小委員会第27回包装容器リサイクルワーキンググループで、日本百貨店協会、日本フランチャイズチェーン協会、日本スーパーマーケット協会から取り組み状況と要望の報告があった。百貨店の包装紙や再生紙の使用量の自主行動計画による数値目標は超過達成させた。レジ袋に関しては、コンビニの負担が大きい、有料化の法制化は必須条件と要望した。
中小企業 基盤機構の「繊維産業における最適な生産・在庫管理についての調査研究」で2ヶ月半の間、7企業を観察した結果から、 進展情報が目で見える管理の必要性などを強調している。繊維行政が現場での生産・在庫管理の改善事業を実施したもの。
繊維関連のISO規格のうち、次の規格の2005年版が交付された。
ISO 3071:2005 抽出水のpH測定
Textiles-Determination of pH of aqueous extract
旭化成せんいは、キュプラ「ベンベルグ」の新素材「ベンベルグFF」を開発、06〜07年秋冬からアウター、インナー用として販売に入る。ベンベルグFFは、単糸の太さを従来の半分の0.93 dtexにした糸。1dを切る細さの糸はベンベルグでは初となる。フィラメント数が増え単糸の表面積が1.5倍になるため、ベンベルグの持つ吸放湿性が従来品や他素材より高い。着用してから短時間で機能を感じられる点を訴求する。柔らかさやしっとりとした手触り、膨らみも特徴。
モリリン一宮原糸グループは06年春夏向けから、オーストリア・レンチングのセルロース繊維「プロビスコース」の原綿、原糸、生地の販売を始める。プロビスコースは、「縮みやすい」など再生セルロース繊維であるビスコースの弱点を、リヨセルを原綿段階で30%混ぜることで解消したハイブリツド繊維。ドレープ性、風合いのよさや優しい着心地、通気性と吸汗性に優れるなど の特徴を持つ。同グループでは日本でのこの原綿独占販売権を取得、自社開発による原糸の販売、帝人、東邦レ、三菱レなど原糸メーカーとの取り組みによる共 同販売も加え、高級感のある新たな差別化繊維として市場を開拓する。
東洋紡と日本工クスラン工業は、光触媒アクリル繊維「セルフクリア」を開発し、来春から販売を開始する。セルフクリアは、繊維表面に直径数10nmのミクロボイドを形成するポリマーと、従来の10分の1の直径のナノサイズの光触媒酸化チタンを練り込んだポリマーとが交互に層を作る2成分多層アクリルわたを使った紡績糸。幅広い物質に対する分解、消臭機能が特徴。また、抗菌防臭、防汚機能も併せ持つ。練り込み型にして、耐久性も高めた。消臭機能を持つわたを30〜40%混紡することで必要な機能が得られるとしている。販売は紡績糸だけで、わた売りは行わない。糸の平均価格は1,000円/kg。
光触媒繊維の販売が本格化している。抗菌・消臭機能だけでなく、UVカットや耐久性など、用途に合わせた切り口で各社が提案に力を入れている。試験段階を経て、今年に入って商品化を進める企業が多く、光触媒繊維を使った製品が店頭で増えそうである。光触媒は光で化学反応を促進する物質で、主に酸化チタンが用いられる。酸化チタンの有機物を分解する作用を利用して抗菌・消臭・防汚などの機能を持たせたのが光触媒繊維である。酸化チタンを繊維に付加する方法によって後加工型と練り込み型の2種類がある。これまで後加工型が多かったが、耐久性が優れた練り込み型も品種が増えつつある。澤村は、練り込み型では初の短繊維のポリエステル「フォトカ・SS」を開発している。
伊藤忠商事名古屋繊維部は、廉価版の綿シルク原糸の販売を始めた。06年春夏向けに、尾州産地のニッターやテキスタイルメーカーが主対象。単価の安い原糸への要望や、綿麻複合から綿シルク複合に移ると予想される素材トレンドに対応する。製造を中国・青島の有力綿紡績に委託。国内紡績糸と同等クラスの品質を維持しながら、国内糸の10,000円以上/kgに対して5,900〜6,900円で供給できる。綿80%、シルク20%の混紡で、シルキータッチを表現する。綿の原料は新彊ウイグル自治区産の長綿・超長綿を使用。またシルクは中国国内製造の絹紡糸向け原料を使用する。番手は30、40、50、60番の4種。
協和テキスタイルは、越前和紙を原料にした糸を開発。100%使いのインナーの販売を開始する。同社が糸の製造から縫製まで一貫生産し、通販や小売で販売。和紙糸は、紙縒り(こより)と同じ製法で作った強撚糸。和紙の持つ吸放湿性や保温性などの機能を十分に発揮させるため、100%で使える糸の開発に取り組んできた。仕上げの段階で手作業を取り入れ、強度と伸縮性を持たせている。従来の和紙素材と比べて柔らかく、着脱もしやすい。織物はタオル、編物はインナー、アトピー性皮膚炎に悩む人や乳幼児などに向け、肌に優しい商品として訴求していく。タオルは「素肌美人」のブランドで自社販売している。
パリのテキスタイル見本市プルミエール・ヴィジョンや糸のエクスポフィルで、出展した日本企業が国内に先駆けて来秋冬向けの素材を披露。海外有名ブランドのバイヤーも訪れる両見本市で、注目された素材を紹介する。その一つが、ショーワの「ネガデニム」。白いデニムをひっかくと現れる黒い色。表も裏も白い生地から、なぜ黒がと驚かされる。これは真っ黒に後染めした生地の表面をブリーチし、表面をひっかくと、生地内側の染色部分が露出するため。表面だけブリーチしても同じ効果が得られるが、黒がどこからも見えない方が、不思議に思われるので両面をブリーチした。色は黒のみ。約1,500円/m。
高強度または高耐熱性繊維であるアラミド繊維、ポリイミド繊維、PBO繊維などのスーパー繊維の開発過程を紹介している。筆者は帝人に在籍し、同社が開発したメタ形アラミド繊維「コーネックス」とDuPont社の「ノメックス」、パラ形アラミド繊維「テクノーラ」と「ケブラー」の製法の相違点などを詳述している。
三菱レイヨンは、芯鞘複合紡糸による湿式アクリル繊維「コアブリッド」(紡糸技術と繊維の総称)を開発した。06年秋冬向けから温度調節、制電・抗ピル、蓄熱、アセテート複合の4新素材を投入する。コアブリッドは湿式アクリル初の芯鞘複合紡糸。湿式は紡糸速度が遅いため芯と鞘の成分が混ざりやすかったが、特殊ノズルや紡糸制御技術で実現した。アクリルと異種ポリマーの組み合わせや機能剤練り込み、後加工による芯部溶出や改質など機能の複合化や高度化、耐久性の向上が図れる。この技術を使って完成させたのが温度調節ポリマーを芯に練り込んだ「コアブリッド・ルーモ」、白色系導電微粒子を芯に分散させた「同エレキル」、芯に光吸収発熱微粒子を練り込み、鞘に抗ピルアクリルを使った「同サーモキャッチ」、芯にアセテートを複合した「同プロパール」のシリーズ4素材。
タオルメーカーの成瀬は今秋から真珠パウダーを加工したタオル「真珠の恵み」を販売し、自社ブランドを拡充する。タオル用に開発した繊維で、インナーウェア、寝装品など多彩な用途にも展開する。真珠パウダーは保湿効果、皮膚細胞の活性化効果があり、肌荒れや乾燥を防ぐ化粧品の成分などに使用。これを練り込んだ繊維は抗菌性があり、紫外線遮断機能を持つ。肌触りが良く光沢もあるという。
ポリオレフィン系の新タイプ弾性糸「ダウXLA」を展開するダウ・ファイバーズ・ソリューションズ(DFS)は28日、インターテキスタイル上海の会場で記者会見し、ルータイ社と共同開発したノーアイロン・ストレッチシャツとともに、耐塩素性をさらに引き上げた新原糸「ダウCP」を発表した。「XLA」はスパンデックスと比べ、@220度以上の高温に耐えるA耐薬品性に優れるB伸縮性で多少劣る、というのが特徴。また、水着向けには耐塩素性を高めた「CP」を9月から導入。スパンデックスの200時間に対して、1,000時間も当初のストレッチ性を保持するという物性を競技用水着のゾーンに打ち出す。
帝人ファイバーは、スーパーブライトでも紫外線遮蔽に優れた四つ山へん平断面のフルダル・ポリエステル長繊維「ウェーブロンUV」を開発。フィルムで使っていたUVカット剤をポリマーに共重合することで、遮蔽率を84%に高めた。同等の遮蔽率の無機粒子練りこみフルダル糸は、紫外線が当たるとポリエステルが分解され劣化しやすいが、新素材は、紫外線を熱に変換するメカニズムのため、強度を維持できる。深色性も高い。畳や家具を紫外線から守る「お部屋を守るカーテン」用素材として販売。今後、アウター衣料や耐光劣化防止が求められる屋外用産業資材へ展開する方針。価格は1,000円/kg。
毛染色整理のソトーはアメリカの加工溶剤メーカー、ナノテックスとライセンス契約を結んだ。ナノテックス加工は撥水・撥油などの機能加工である。ソトーでは、ウールを中心にメーカーの委託加工に応じ、少ロット、短納期に対応し、コストダウンした単価をめざす。テキスタイルメーカーは売り先やブランド、混率、加工数量、適用アイテムなどの情報をソトー経由でナノテックスに照会。このデータをもとにナノテックスは加工指示をソトーに出し、専用ラベルも無償で配布する。
最近「ナノテク」の言葉をあまり聞かなくなったという声を耳にする。それはナノテク加工素材が売れなくなったためであろうか。ナノテクは有効な手立てではなくなったのであろうか。売り上げを伸ばしているナノテク商品がある現状を見れば、差別化素材を打ち出すためにはナノ技術は有効である。ユーザーから新機能を求められる以上、いい商品を作るために必要となれば、メーカーはナノテクを活用して開発する。ナノテクは全く新しい素材を生み出す可能性を秘めている。ここでは、10億分の1メートルの世界でしのぎを削るナノテク加工素材の現状を紹介している。
東レは、高密度織物「アーティローザ」を改良し、適度なシワを維持する保型性を持たせた「アーティローザ・ニューグ」を開発、06年春夏向け婦人服地として販売を開始する。アーティローザ・ニューグは、繊維の表面を特殊な加工で固くすることで、摩擦力を高めた。繊維の表面を改質することにより、形状を保持する機能を持つ。耐久性も高い。ステンレスなどの金属糸を混ぜたものや先染めなど、握ると跡が残る素材が形状記憶織物として人気であることから、これらを意識した素材の開発に取り組んできた。極細糸を使ったアーティローザならではのなめらかな手触りや柔らかさは、ステンレス混素材にはない特徴。金属アレルギーの人にも配慮した「人と環境に優しい」素材として訴求する。
超臨界点(温度31℃、圧力7.4MPa)を超える雰囲気中にある二酸化炭素流体は、液体に近い溶解性と気体に近い拡散性を持つ溶媒として優れた性質を有する。容量30リットルの洗浄層を持つ試験機で洗浄性を調べたが、石油系よりも高く、パークレンと同程度の洗浄力であった。洗剤を用いないので化学物質過敏症の人の衣類の洗浄で効果があるかをモニターテストしている。装置が高圧容器であるため、実用化には時間がかかる。
親水性ポリウレタン無孔質膜からなる乾式ラミネート布帛、同乾式コーティング布帛、ポリウレタン樹脂による湿式凝固法布帛、同W/Oエマルジョン型加工布帛について、その特性と問題点を解説している。ウインタースポーツ、マウンテン用衣料として着用する場合には、急激な運動による発汗と低い外気温によって起こる結露現象による冷え感、濡れ感などの対応が必要とのことで、多層構造の膜加工モデルを提案している。
出光テクノファインは、卵穀膜を使ったデニム製品への耐久付与加工技術を確立した。ビッグジョンがレディス「ブラッパーズ」の美脚ジーンズで採用、9月から全国の百貨店や専門店で販売している。同社は、キューピーから供給を受けた卵穀膜原料(卵の殻の内側の薄膜)をパウダー化、繊維加工用に製剤し、クラボウ、伊藤忠商事と共同で、卵殻膜加工素材「キューピッドのたんじょう」の開発・販売を行っている。卵穀膜は、アミノ酸を豊富に含み、肌のみずみずしさやハリを保つコラーゲンの生成を促す効果がある。現在、卵穀膜加工はロフテーの抱き枕やピロケースなどで採用されている。
捺染機メーカーの東伸工業は、テキスタイル用トータルプリントシステム「TPS」を展開する。インクジェット・プリントでサンプル作成、デジタル製版、スクリーンプリントで量産をするもの。型数は8枚でしかも1日で製版が完了、色糊も8色のため、製品化までの時間短縮、コスト削減につながる。同社がTPSに必要なノウハウを染色工場などに提供する形で広げる。インクジェット・プリントは、小ロット生産には有効なものの、生産量があがらないため、ランニングコスト削減を追求する染色工場のニーズとマッチしない面もあったが、今回のスクリーンプリントとの融合で量産に結びついたことになる。
日本毛織は06〜07年秋冬紳士服地で、主力素材の「ニッケ・ナノミラクル」シリーズに、新たに2素材を加えて計12素材に拡大。「トラベルック・エクストラ」は、防シワのトラベルックの機能をさらに向上させたもの。JISのサンレイ法に基づく同社独自の試験では、防シワ性が0.5級上がり4.5級になった。細番原料、撚糸、独自の織物設計に加え、他用途で活用していた架橋剤で分子を強固に結合した点がポイント。「キングブラック」は、黒さを追求したフォーマルねらいの新素材。低屈折率のナノ皮膜を繊維1本ごとにバインディングすることで、光を吸収し反射を抑えてある。
カチオン可染ポリエステルとギュラーポリエステルとの交織品の染色加工では、カチオン染料の後者への汚染が問題になる。汚染原因を調べた結果、両繊維の減量加工による分解物とオリゴマーであることが分かった。そこで、これらを除去できるポリエステル用染色助剤を第一工業製薬の協力により開発。目的に適った助剤として「Colorsol CD-J」が生まれた。この薬剤を用いて中性浴で前述の交織品を染めると、カチオン染料のレギュラーポリエステルへの汚染が軽減され、中性浴のためカチオン可染ポリエステルの強力低下も抑えられる。
グラフト重合は高分子素材に生成したラジカルにモノマーを接ぎ木状に結合させ成長させる技術である。グラフト反応を誘起する基材活性化手段として電子線を用いた連続加工装置について解説している。基材とモノマー水溶液を2枚のフィルムに挟み込み、電子線照射する方式で各種のグラフト加工による機能加工(抗菌、難燃、消臭加工など)が実現できた。
環境省が提唱した冬の省エネ運動「ウォームビズ」を踏まえた秋冬物の衣料品商戦が火ぶたを切った。高島屋東京店はウォームビズ関連商品を集めた専門コーナーを新設した。全国18店にウォームビズ売り場を拡大し、紳士服全体の売り上げで前年比1割増を意気込む。三越も日本橋本店に専門売り場を開設する。重ね着しても着ぶくれしない薄手のベストやカーディガン、保温機能付き肌着など例年以上に揃える。アオキインターナショナル、はるやま商事などもそれぞれウォームビズ関連製品を投入する。また女性下着でもトリンプ・インターナショナル・ジャパンは海底火山の天然石を練り込み、遠赤外線を放出する素材を使ったインナーを発売する。日経,〔05・9・23(27)〕には「ウォームビズ」スーパーでも、の記事が、日経,〔05・10・29(31)〕にはアパレルや紳士服専門店がウォームビズ向けの専用サイトを相次ぎ開設しているとの記事も。
大人顔負けのリッチな子供服が登場している。従来以上に生地や製法などにこだわった商品をそろえ、価格も大人用とほぼ同じ水準に設定した売り場も目立つ。少子化が進む中、子供市場全体は縮小すると指摘されているが、保護者が1人当たりにかける費用は高まるとみる企業も多い。主に富裕層向けに売り込むが、今後、高級子供服を品揃えの参考にする小売店はさらに増えそうだ。
四つのテキスタイル見本市が同一会場で開かれているミラノ・ウニカ(MU)。06〜07年秋冬に向けたテキスタイルは前秋冬に引き続き、上品で女性的な雰囲気に包まれている。前年には春のような明るい色を乗せた毛織物などが目立ったのに対し、ベージュや茶、濃いオレンジからボルドーなど秋冬らしい温かみのある色が多い。誰にもなじみ深い素材や生地に新しい手が加えられながら、自然に見える工夫が凝らされる傾向である。
プレコレクションを強化する欧州ブランドが増えている。年2回の正式なコレクションより前に発表するライン。バカンス対応のクルーズラインと共に急激にシェアを拡大し、発表時期もどんどん前倒しになっている。デリバリーが早く販売時期が長いことから売上げが確保でき、新鮮な商品を常に求める消費者ニーズにもあっている。その一方で、早まり過ぎるサイクルや、気候の温暖化の中で実際の季節感とのズレが、消費者との意識の乖離と指摘する声も出ている。
04年工業統計速報によると、「衣服・その他繊維製品製造業」の事業所数は前年比14.7%減の1万5千事業所、従業者数は8.9%減の25万8千454人、製造出荷額等は7.8%減の2兆2千526億円、付加価値額は9%減の1兆626億円となった。調査対象は2004年12月31日現在で、従業者4人以上。衣服製造業は依然として縮小傾向に歯止めがかかっていない。
服飾雑貨企業のアパレル分野への進出が相次いでいる。卸、小売りとも雑貨の単品では競争力が弱いとして、アパレルを含めてトータル化、ライフスタイル化することでブランドのイメージや知名度を上げようとしている。しかし、アパレルは雑貨以上に競合が激しいため、バッグや靴ならではの素材や加工を生かすことで独自性を出すブランドが多い。ここ数年、アパレル企業の雑貨進出はすさまじく、相互乗り入れも始まった。
三陽商会は、婦人のサンヨーコートで、帝人ファイバーと共同開発した新素材「メガトップ」を採用したダウンコートを販売する。今月中旬から全国百貨店約100店舗のコート売り場で展開していく。メガトップは、コートに求められる高い撥水・透湿性などに加え、 静電気を軽減する静電加工を施した新しい高機能素材。三陽商会では来期以降も継続して使用する考え。また同社は、制電性を併せ持つ素材開発を「サンヨーコート」素材供給メーカーである帝人ファイバーに依頼、今回の開発に至った。
「ウォームビズ」商戦が佳境を迎える中、繊維各社が早くも来年夏の「クールビズ」向けの素材開発に取り組み始めた。帝人ファイバーと日清紡、日本毛織は共同で、クールビズ対応ブランドを立ち上げる。銀の抗菌効果がある日清紡の綿素材や日毛の竹を原料とした混紡素材、帝人ファイバーの吸水速乾ポリエステル素材をまとめ、シャツやスーツ地として販売する。東洋紡はシャツ地向けにはイグサを使った糸を開発中。綿との混紡糸で、通気性がよく吸湿効果も高い。シキボウは麻や椰子の実の天然繊維を使った素材を開発。東レは今期、クールビズ対応素材の売り上げは15億円だったが、来期は50億円を目指す。
ベテランオペレータの技術をミシンに埋め込む技術を、岐阜県の研究グループが開発した。開発は4段階に分かれる。第1段階はデジタルマザーミシンと称する縫製条件を自動計測するミシンの開発である。ベテランの押え圧力や糸張力が測定され、ミシンがその通りに制御される。第2段階はハンディタイプ測定装置による同様の項目の測定である。第3段階は,この測定結果を普通のミシンに設定する。これらの縫製結果は、目視ではベテランの結果と差が見られなかった。第4段階は縫製条件を自動設定できるミシンを完成し、これを「知的縫製ロボット」と名づけた。
フルカウント(大阪)が「プラチナデニム」を発売した。その名の通り、本物のプラチナデニムを使ったキラキラ光るジーンズ。小売価格は409,500円。たて糸にジンバブエコットンを使用。よこ糸は、レーヨンを芯にして、真空状態のなかでプラチナを蒸着した。素材はテキスタイル企画販売のコレクトとの協業。06年春夏物は1型で展開。直営店、インショップ、専門店などを窓口に受注生産する。一方、レディスでは、ほぼ同様の手法で作ったシルバーデニム(50,000円)を販売する。「プラチナは話題こそ集めているが、20本売れれば上出来。シルバーの方がビジネスとして現実性がある」と見ている。
ナイガイは筑波大学と共同で、新しい機能を付与した靴下を開発した。昨年から同社の技術部開発課と筑波大学大学院人間総合科学研究科の宮本俊和助教授のチームが共同研究を始め、今秋から商品化した。共同研究内容は、足の構造や歩行の形態に着目し、科学的評価手法を用いて機能的な靴下を開発すること。歩行メカニズムの分析により、足の縦と横のアーチ構造に着目して研究を進めた。とりわけ、足内側の縦アーチ(土踏まず部分)の舟状骨が長時間の歩行に伴って下がることに注目し、舟状骨部分にテーピングと同様のサポート機能を持つハイパワー編みを採用した。この編みの形状について、部分特許を申請している。
オンワード樫山は06年春夏、副資材を軽量化したテーラードジャケットとシルエットをスリムに見せるドレスシャツを開発し、紳士服商戦の中心商品としてブランド横断で販売する。ジャケットは肩パッドをメッシュ状にし、芯地、裏地も軽く、ボタンの裏面に削りを入れるなど、副資材の重さをこれまでの約半分(同社比)の185グラムにした。3次元接着芯を使い、立体的なフォルムを維持するなど、軽量でありながらテーラード仕立てにこだわった。シャツは今秋から一部で販売していた、背中のシルエットをきれいに見せる「美背中」シャツをベースにした。肩甲骨から裾に向かって長いダーツを入れ、アームホールを小さく、着丈を短くしたシャツで、ジャケットなしの着用に対応した作りである。特にクールビズに向けては、吸水速乾性のある襟芯を使った、カットソー地のタイプも開 発した。
好調を続けてきたプレミアムジーンズが踊り場を迎えている。ブランド間競合や淘汰が強まり、従来の主力ブランドの売上げが低迷し始めている。レディストレンドのデニム離れも始まった。今年、プレミアムジーンズの市場規模は前年を上回ることは間違いないが、来年は売上げの縮小を予想する声も出てきた。
ニッポン・オリジン―自分たちにしかできない物作りで世界をめざすテキスタイルが増えてきた。国内で消費される衣料のうち90%が輸入製品といわれる中で、生きる道は限られる。海を越え、買ってくれる客を探すことは、欠かせない選択肢の一つだ。必要に迫られて海外に向かう流れは、同時に国内でも、糸や生地の作り手たちが直接に服の作り手たちと商売する仕組みを加速させている。
「アジア太平洋小売業大会」で、中国のトップクラスが、急発展する中国小売業は地域間の協力、テナント誘致、人材不足の解消、業態の多様化、消費者ニーズの対応など山積みしている課題をあげている。
中国の流通解放を巡り、もう一段の規制緩和が期待されている。昨年6月に「外商投資商業領域管理弁法」に基づき大幅に緩和され、「商業企業」の認可など日本商社で本格的な流通参加への基盤整備が進んでいる。さらに、上海で既存の保税区企業でも新管理弁法が適用されると話題に。
中国の大手小売業が出店ペースを加速させている。国内企業間の競合激化に加えて、ウォルマート、カルフールなど外資企業への対抗策といった側面もある。中国の消費は08年の北京五輪、10年の上海万博までは、間違いなく成長すると言われているが、出店計画も尋常ではないハイペースだ。過当競争が懸念されている。
米国の大型小売業界は、好調な株式市場と投資先を求め資金力を背景に、M&A(企業の合併・買収)が活発化している。小売り・アパレル業界内にとどまらず、ニーマン・マーカスのように投資家グループや一般投資家、ベンチャー・キャピタルが買収に加わり、「まさか」と思われるM&Aが、いつ起きてもおかしくない状況にある。その半面、株主利益に応える経営陣の流動も激しい。
老舗のレディスチェーン店に底打ち感が出てきた。これまで何度も売上げの回復、黒字転換を目指しながら,ジリ貧を続けてきたキャビン、マミーナ、三愛グループといった企業だ。共通するのは、本部主導ではなく店の主体性を引き出し、ヒットを生むための仕掛けをしているところ。今時当たり前ともいえる取り組みだが、リストラがほぼ終わったか、最終段階を迎え、この間交代が相次いだ3社の社長は「次への攻めの実行段階」と口を揃える。
日本通信販売協会とネット関連企業16社はネット通販の有力企業が集まる初めての団体「インターネット通信販売推進協議会(仮称)」を発足。ネット通販の不正取引や表示問題の対策を話し合う場とし、取引ルールや対応サービスを導入する狙い。
都市部の百貨店で、従来特選ショップなどで販売されてきた10万円以上のインポート商品を、1階のハンドバッグ売り場に導入する動きが出てきた。団塊ジュニアを中心に、高級バッグの消費が盛り上がっているためだ。この間、多くの百貨店は3万〜7万の品揃えを強化し、売上げを拡大してきたが、この流れはさらに加速しそうだ。
日経MJの05年版「eショップ・通信販売調査」で、04年度の通信販売の総合売上高(前年度と比較可能な231社)は5.1%増の1兆6896億円だった。約2割を占めるインターネット通販が32.4%増と市場を牽引し、なかでも携帯電話を使ったネット通販が46.6%と伸びた。今後も通信料金定額制など追い風に携帯ネット通販は本格的に普及するとみられ、流通業の重要な販売チャネルになりそうだ。
繊維ファッションSCM推進協議会は第6回「経営トップ合同会議」を開催、「第2次TAプロジェクト」での成果を受け、アパレルなどの製品、副資材、ニット製品のそれぞれの取引ガイドラインを了承した。また、「間接発注」による取引、品質問題、小売業との連携に向けた取り組み、IT活用推進の4つの検討すべき問題を確認した。
商社の繊維ビジネスで、検品・検針、補修など品質管理や物流加工への投資が活発になっている。アパレルOEMを主力とする商社は発注側の適時・適品ニーズもあり、小ロット、短サイクル、コスト競争の3重苦にあえいでおり、中国の水際での品質管理、物流の効率化は避けて通れない。
アパレル大手や衣料品専門店が中高年男性を対象にしたカジュアル衣料のブランドや店舗を相次いで展開し始めている。ワールドは40〜60代を対象にした紳士服専門店を東京・南青山に、ダーバンも50代以上の団塊男性を対象にしたカジュアル衣料専門店を展開し始めた。またユナイテッドアローズは45〜60歳向けの紳士服専門店を東京や名古屋で二店オープンした。「豊かな時間を楽しむための服」がテーマ。コックスは団塊男性を対象にした店を横浜市内に開設、ポイントも来春から中高年向けのカジュアル衣料の直営店三店を開店する。いずれも団塊世代が2007年から定年期に差しかかり、スーツに代わって日常着や外出着が必要になることなどをにらんだ動きだ。
独占禁止法の優越的地位の乱用を禁止した大規模小売業告示が11月に施行されるのに合わせ、新たに規制対象となる小売業者が対応に追われている。メーカーなど商品納入業者とのリベートの会計処理に透明性を持たせるなど、疑いをもたれる可能性がある取引の見直しに動いている。ただ、長年の取引慣行として定着したことも多く、不公正取引の排除が一気に進むかどうか疑問視する指摘も根強い。
レディス店の手掛けるメンズセレクト店が手応えをつかんでいる。高級インポートを着崩すスタイリングを発信したり、シルエットを細かくまとめたり、女性っぽさや華やかさなどが特徴。カップル需要の取り込みだけでなく、トレンドの取り入れ方やスタイリング応用など、レディスで培ったノウハウも生かしている。
〔ICタグ〕
大日本印刷はICタグで制服の所在を管理するシステムを開発した。制服が部外者に渡った場合に保安上の問題がある企業を対象に11月から提供する。防水用樹脂で覆ったタグを制服に縫いつけ、制服を従業員に貸す時と回収する時に専用機器でタグの情報を読み取る。いつ誰に貸した時に制服が紛失したかがすぐにわかる。読み取ったタグの情報はインターネットを通じて大日本印刷のサーバーに集約する。制服を管理する人はネットでサーバーに接続して制服の所在を把握する。
いつでも快適な温度を維持できる衣服を奈良女子大学と神戸大学の研究グループが開発した。服に内蔵したセンサーで室温と体温を測定しながらヒーターのスイッチを切り替えて適温に保つ。服を着る人の好みに合わせて条件を設定しておけば、夏の冷房の利きすぎによる女性の冷え性などを防ぐ事が出来る。肩の部分などに温度センサーとニクロム線ヒーターをそれぞれ3個ずつ組み込んである。センサーは外気の温度と服を着ている人の体温を両方測定し、fデータを集積回路に送信。ICが最適な温度を判断してヒーターのスイッチを入れる。
フューチャーストア推進フォーラムは「未来型店舗サービス実現のための電子タグ実証実験事業」が本格的に動き出す。百貨店、ファッション専門店チェーン、量販店、食品スーパー、コンビニエンスストアの5業態で、ICタグを使い、消費者への商品情報提供や在庫管理のシステム実証を行う。
日本百貨店協会は、ICタグシステムの普及、標準化を推進する活動を本格化する。三越や阪急百貨店、高島屋などの会員企業は既に婦人靴売り場で稼働させており、対応する靴卸も増えている。これら先行した企業の経験を踏まえた運用ルール作りに着手し、アパレルなど他の分野にも利用できるコード体系の検討を始めた。
全ク連の受けた鑑定依頼品は、海外製品の比率が年々増加し、平成16年度にはついに日本製とほぼ同数になった。今回はその統計的な側面を紹介。次回から品質的な内容に入る。事故品の平成16年度の国別受付け件数では、中国116、イタリア54、イギリス8、フランス7、韓国7で、それ以下の件数が12ヶ国に及ぶ。国別の1kg当たり概算価格は、イタリア、フランスが2.5万円、イギリス、ドイツが1.5万円、スペイン1万円、アメリカ、香港が600円であり、それ以外は200円前後であった。
三菱重工産機鰍ヘ、フルーツドライ溶剤(既報)の専用機「MM16」を開発し、ついに石油系に進出する。従来から引火性がある溶剤は扱わない方針で石油機を避けていたが、発売した溶剤「柑橘オイル・d-リモネン」に対する専用機の要望が強いので、引火性溶剤の洗浄機に踏み切った。安全を確保するため、酸素が8%を超えたら窒素が封入される方式を備え,静電気のスパークを避ける濃度センサーを搭載、さらに爆発時には機械上部に爆風が抜ける安全装置もつけた。
クリーニング綜合研究所は、鑑定した事故品から今年多い金属と酸素系漂白剤の相互作用によるものに注意を喚起している。たとえば色糸をクリーニングしたとき、色糸部分が変退色すると同時に糸が消失することがある。これは含金属反応染料中の金属が触媒作用を果たし、酸素系漂白剤による染料と繊維の分解を促進するためと考えられる。この種の事故は家庭洗濯ではほとんど発生しない。その理由は、クリーニングでは洗濯や乾燥の温度が家庭より高いためである。金属を含む衣料には、「酸素系漂白剤の使用禁止」表示が必要である。
「消費生活年報2005」が発表され、苦情相談件数は183万件。うちクリーニングは少し減少傾向にあるが、依然1万件台にあり、相談別分野において「接客」がワースト1であった。
日本羽毛協会が「羽毛ふとんリフォームビジネスの普及拡大講座」を開催した。羽毛ふとん市場は「世帯の85%」が持っており、10〜20年の長いスパンで捉えられている。羽毛協会の調査によると、購入後10年経過したときに、「新品に買い換え」をしたのは11%(満足度68%)、「丸洗い(リフォーム)」したのは22%(満足度32%)、「ゴミ処分した」のは49%、「仕舞っておく」は18%。リフォームの満足度が高く、コストを調べると新品の27.4円に対してリフォームは17.8円で、丸洗いの優位性が示されている。10年経過した時のリフォーム・ターゲットは2,200万世帯に達する。
本年4〜6月に436件のデータが集まった。洗浄率の平均値は、石油26.8、パーク30.7で大差ないが、最大値と最小値の比較をすると、パークは3倍だが石油は5倍を超えた。この差が生じた原因は、洗浄時間の差がもっとも大きい。次に再汚染率を調べたところ、綿、ポリエステルの織物は、いずれも石油1に対してパーク1.7であった。パークでは洗浄率が低いほど再汚染率が高かった。高い洗浄力は、再汚染に対しても効果的であること、そのためには洗浄システム全体の的確な管理が必要であると指摘している。
事故が最も多かった品目はコート類で20件あり、そのうち12件はイタリア製であった。次いでセーター、ジャンパー、ジャケット、パンツの順に多く、いずれも欧米の中ではイタリア製が多数を占め高価である。これら品目ごとの事故項目を調べると、コート類、ジャンパーには剥離が多く、セーター、パンツは変退色が多い。前者はコーティング素材、後者はレーヨン使いに要注意である。ゴム引きコーティングのコートが、石油ドライによってひび割れした事故が、写真で紹介されている。
2年前と比較し、クリーニングの取次ぎがファミリーマートは125店舗と急拡大。セブンイレブンは約80店舗、CVSベイエリアは71店舗。コンビニ側では、「やはりニーズはある」との感触を強めるとともに、「クリーニング業者とは共存共栄でいきたい」としている。
石川県消費生活センターは、「吸汗・速乾性」のタグ表示のあるTシャツの素材の違いによる商品テストをした。テスト対象は、ポリエステル100%が4、ポリエステルと綿混紡が4、綿100%が1、比較品として吸汗・速乾性をうたっていない綿100%が3。吸水性は毛細管現象による水の上昇高さを測定。その結果、ポリエステルと綿の混紡が最も吸収性が高く、次いで綿100%、ポリエステル100%は最も低かった。速乾性は、Tシャツを洗濯・脱水後、風通しのよい室内に干し、水分含有量を測定。その結果、早く乾燥する傾向にあったのは、ポリエステル100%、次いでポリエステルと綿混紡。試験方法や基準は無く各メーカーは独自に判断してタグに表示しているのが現状。
松下電器産業と東芝は相次いでエアコンなどに使うヒートポンプ技術を洗濯機などに応用し、省エネ性能を高める。松下の新型洗濯機は乾燥工程にヒートポンプ乾燥方式を採用しており、電気代、使用水量、乾燥時間を従来機の約半分に抑えた。熱交換器と冷媒の力で加熱と冷却・除湿を行うので、消費電力や乾燥時間が節約できる。東芝はヒートポンプを利用した小型乾燥システムを完成し、洗濯乾燥機に使えば従来のヒーター式に比べ衣類の縮みやしわが少なく、電気代も半分になるという。両社とも電気代が半分になるなどの効果を強調しており、白物家電の付加価値競争が激化する。
日本繊維新聞社の日本ブランドの中国の消費者調査では、日本ブランドの優れる点がデザイン、品質であった。不満な点は、価格の次にブランド力があがっており、わが国アパレルのブランド認知・浸透に向けた取り組みが望まれている。
衣類の年間廃棄量は、100万トン。そのうちリユース、リサイクルされているのは、12%。繊維製品のリサイクルには、法的枠組みが無く業界の自主行動に任されている。日本アパレル産業協会は4つのエコメイトマークを設け、古着の回収と再資源化をはかっているが小売店の認識は希薄で商品が店頭に並ばない。そんな中、イオンはエコメイト商品を店頭回収する画期的事業を展開。アパレルリサイクルが進まない世間の4つの誤解とは、1.「衣料品のリサイクルは行われている」2.衣服の廃棄量は少ない」3.「自分の責任ではない」4.「ペットボトルリサイクル繊維を使用することがアパレルリサイクル」である。ファイバーリサイクル研究会代表幹事の木田氏は、リサイクル策としてグローバルスタンダード作り。環境配慮の視点を入れたアパレル専門職の教育。供給者および購入者の啓発等をあげている。
06年春夏は、大人の雰囲気を表現する色彩が台頭してくる。そのため装飾的な素材や柄域、また華美な色使いは抑えられ、精神的な感覚を呼び覚ますような穏やかな色合いや陽に晒されたような柔らかな色彩が求められる。色相では、暖色系の茶、白っちゃけた感覚の有彩色、寒色系の青や青緑などが注目されている。色調は、ペールからモデレートトーンの色褪せたような色である。落ち着いた穏やかな色味のミッドトーンなどが多出している。配色では、曖昧な色味を演出するフォ・カマイユ配色やグラデーションを用いたトーン・オン・トーン配色などが用いられる。
栃木県・茨城県・群馬県の消費生活センターは、平織り添付白布類11種、織り方に特徴のある市販の布25種をテスト材として選び、損傷を加えた後、商用クリーニングを行い、生地がどのように変化するかを、デジタルカメラやCCD付き実態顕微鏡で観察し記録した。繊維の種類、織り方、密度、色の濃淡、生地に施された表面処理などによって、損傷の現れ方が異なることがわかった。衣類を選ぶ際は、用途を考慮し表示を確認して購入し、クリーニングに出す前には、衣類の傷やシミを確認してから出そう。
JISマーク制度は、49年の工業標準化法制定以来、50年以上にわたり@規制法規や公共調達での引用A企業間取引での購入条件Bメーカーの消費者に対する情報発信ツールC消費者の判断材料などの役割を担って活用されてきたが、基準認証制度の国際整合化の要請、規制改革の一環としての民間活力の活用、国がJISマーク表示対象製品を指定することによる制度の硬直化などの課題が顕在化してきた。このため50年ぶりに同法を改正。制度の国際整合化や民間活力の活用、指定品目制度を廃止した。旧制度では、国が工場などの認証を行ってきたが新制度では、国に登録された民間機関が認証を行う仕組みへと転換。これにより、迅速で多様な認証サービスの提供が期待されている。今回4機関が登録された。
大阪市立環境科学研究所の濱田信夫博士によると、原因は、@洗濯槽のかび A長時間乾きにくい場所に衣類を置くことで雑菌が繁殖。汚れが雑菌によって分解することでにおいが発生すると説明。雑菌の繁殖は気温25〜30℃、湿度100%が最適。解決方法は、乾燥を早くし、日に当てることで雑菌が死滅してにおいを防止する効果がある。乾燥機、除湿機が有効とされている。除菌方法として漂白剤、消臭つき柔軟剤なども効果的。2回目のすすぎに、洗濯機にお酢、重曹を大さじ1杯いれるのも効果がある。
製品評価技術基盤機構の「消費生活用製品の誤使用事故防止ハンドブック」(事業者用)によると、製品事故の1/3以上を占める「消費者の誤使用が関連する製品事故」の防止策に、偶発的ハザードの防止、製品の使いやすさの向上、エラー・プルーフなどの仕組みを必要としている。
名古屋の専門商社が、アパレル製品の品質管理を一斉に強化している。売り上げに占めるアパレル製品の割合が高まる一方で、日本国内と比べて管理が難しい中国が生産地の中心となってきたことや、最終納入先であるアパレルや小売店が、品質だけでなく納期も含めた管理基準を厳しくし始めていることに対応。品質管理の徹底で、事業の拡大をめざす動きが目立っている。出来上がった製品の検査だけでなく、縫製委託先である工場の管理徹底も図っている。具体的に、モリリン、豊島や瀧定名古屋の体制が紹介されている。
日本環境協会のアンケートによると、消費者の約6割がメーカーなどの企業に対し「(法令順守などの)社会的責任を果たしていない」との不満を感じているという。さらに、企業が社会的責任を果たすために必要なこととして、「責任を果たさない企業の商品を買わない」44%、「法律や取り締まりを厳しくする」20%、「企業の自発的な管理強化、取り組み」14%と続いている。
繊維ファッション関連資格・検定は、総合系と技術・販売系に分類ができ、総合系にはファッションビジネス能力検定((財)日本ファッション教育振興協会)と繊維製品品質管理士(TES、当協会)があると、紹介している。どちらも繊維・衣料品及び流通・ビジネスの特性の基礎知識の習得を試すものである。
三菱総合研究所の「FTA(自由貿易協定)・FPA(経済連携協定)に関する調査」で、優先的に合意を図るべき相手国は、トップが韓国、中国、米国、ASEANの順。アジアでの主要国間の複数が共存する世界が到来すると予想されている。
日本流通自主管理協会は10月に「並行ブランド品Q&Aセンター」を開設した。偽物問題をはじめ一般消費者からのブランド品に対する疑問、不満、相談などに対応するため、専門スタッフを配置する。同協会は、並行輸入品を取り扱う輸入卸や大手量販店などの小売り企業24社が偽造品の排除を目的に設立した。
この夏に衣料管理協会が実施したTES試験の問題と模範解答が紹介されている。
ジェトロの「在米日系製造業の経営実態05年度」では、米国市場への中国製品輸入については、5割強の企業が「影響ない、または、軽減」と答えたが、繊維・衣料品企業では「販売価格の下落」を挙げる企業が5割を超えた。米国の締結しているFTAの中ではNAFTA(北米自由貿易協定)に対する評価が非常に高く、日米FTAを期待する声も5割を超えた。
資生堂は、毛髪や衣服に吹き付けると花粉の付着する量が3分の1に減る高分子「ベタインポリマー」を発見。化粧品、シャンプーなどに使われている保湿剤で、静電気が起きにくい分子構造を持ち、滑らかな皮膜を作る性質がある。毛髪や布にこの高分子の溶液をスプレーし、乾かしてから花粉と一緒に容器に入れてよく振って調べた結果、花粉がつきにくくなることが分かった。室内に花粉を持ち込むのを防ぎ、花粉症の症状を和らげるのに役立つとみている。少ない量で花粉の付着を防止する噴射方法なども研究済みで、効果は最低1日持続するという。花粉の付着防止スプレーとして商品化を目指す。
富岡製糸場の世界遺産登録をめざす群馬県富岡市が、同製糸場で世界遺産講演会を開き、初めて繰糸工場内部を公開。同製糸場は1872年に官営模範工場として完成、操業を始めた。平屋建てで内部には柱がなく、屋根のハリや窓の鉄製サッシ、ガラスは当時のまま。完成時はフランス製繰糸機150台をレンガ床の上に設置していたが、現在はコンクリート床に1987年まで稼働していたプリンス製操糸機「SRS」が据え置かれている。初期の建物がよく残っている。明治維新から5年目で、ちょんまげの日本人が当時世界一の大製糸工場を造るという、とんでもないことをよくやったと感心させられる。
米中両政府は、中国製繊維・衣料の対米輸出の急増を抑える包括繊維協定で合意した。中国は協定の綿ズボンなど対象21品目を、08年までの輸出量の前年比伸び率を10〜17%に抑制、米国はセーフガードの発動を控える。
日本、中国、韓国のカラー関係者は、「アジアカラーフォーラム05」を開き、日中韓のファッションにおけるベーシックカラーを発表した。3国の共同研究の成果で、アジアから世界に向けてアジアカラーを発信する第一弾となる。
第1回日本発東京ファッション・ウィーク(JFWイン東京)が10月31日から11月9日開催された。東京コレクションとクリエーション・ビジネス・フォーラム(CBF、素材展・デザイナー連携企画展など)、世界に向けたJFの発信シンポジウムが主に開催された。その検証を紹介している。
①12月6日
②品川区総合区民会館「きゅりあん」
③テキスタイル素材とその取り扱い、染色および機能加工とアパレル製品の事故、消費者クレームの具体的な事例とその原因、他
④日本繊維機械学会 TEL 06-6443-4691
①12月8日
②日本紡績検査協会大会議室(大阪市)
③洗剤に関する最近の動向について、洗濯機に関する最近の動向について、衣料品の取り扱い注意表示ガイドについて、他
④日本繊維製品消費科学会関西支部 申込先:京都女子大学生活造形学科 矢井田修
TEL 075-531-7174
①12月13日
②江南商工会館
③最近の天然素材繊維開発について
④日本繊維製品消費科学会東海支部 申込先:愛知県産業技術研究所尾張繊維技術センター TEL 0586-45-7871
無料
①12月21日〜22日
②文化女子大学
③高齢者のサイズ・体型の分布、加齢による体型変化、ヤング世代・ミセス世代の美脚・美尻パンツのパターン、他、講演・実習(CGデザインによるテキスタイルプリント)
④日本繊維製品消費科学会
TEL 06-6358-1441
■岡山:①06年1月19〜20日
②岡山コンベンションセンター
■名古屋:①06年2月2〜3日
②白川ビル別館
■東京:①06年2月23〜24日
②東織厚生年金会館
③製品と生地の事故紹介「事故原因と対策」他15項目、入場無料
④日本紡績検査協会
TEL 06-6762-5881
■東京:①06年1月31日
②昭和女子大学
■大阪:①06年2月6日
②大阪市立工業研究所
③光触媒を利用した繊維加工「クリーンテクター」、「吸汗パッドシャツ」評価試験、ナノテク汗消臭機能加工「パーマフレッシィ」、ポリ乳酸繊維「テラマック」の開発への取り組み、他
④繊維学会 TEL 03-3441-5627
①06年2月1日〜2日
②日本規格協会
③品質管理の要素(基本となる考え方、品質管理的な方法)、データをとる目的と種類、データを活用するための道具、工程の管理と標準化、他
④日本規格協会
TEL 03-3583-8008
①06年2月22日
②大阪市立北区民センター
③抗菌・抗黴・消臭(含光触媒)、最近の機能性試験方法、パネルディスカッション(衣料の品質要求について、数値化できない規格について)
④日本繊維製品消費科学会 TEL 06-6358-1441
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男