ミニ情報TOP→ 日本衣料管理協会TOP→ バックナンバー一覧(2003年度:第20巻〜)→
経済産業省は炭素繊維の所管を製造産業局住宅産業窯業建材課から繊維課に移行した。炭素繊維を使った部材は航空機や自動車など、非衣料の産業分野で使われている。石毛博行製造産業局長は「繊維の概念を広げ、新しい事業展開や比衣料分野の展開が大切」と指摘、衣服と同様に非衣料分野の製品開発でも「機能性だけでなく、日本の感性や文化、ブランド力を反映させた快適なもの作りが重要」と強調した。
政府の知的財産戦略本部の「知的財産推進計画06」の原案が示された。ファッション分野で重点となるのは①新進デザイナーの事業活動の支援②国内の優れた中小繊維製造事業者と海外新進デザイナーが共同製作する機会の設置と受け入れ制度の整備③免税エリアのファッションも含めた日本ブランドへの開放④在外公館でのファッションショーの実施⑤ストリートファッションの世界への紹介の5点。
経済産業省は自民党の経済産業部繊維・ファッション産業政策小委員会での関連業界の要請で「日本製生地表示委員会」(仮称)を新設立。日本製生地の良さをPRする方策を検討する。昨年の二次製品に続き、染色加工や生地でも原産国表示自主的ガイドラインを作る動きがある。
経済産業省は「06年度地域新生コンソーシアム研究開発事業及び地域新規産業創造技術開発費補助事業」で203件を決めた。繊維関連企業が研究実施者に参加している案件の一部は、自己整合技術を用いた有機光高度機能部材の開発、超微量バイオ分子間相互作用測定システムの開発、3次元編み機技術による骨・皮膚・口腔再生医療のための新期材開発など13件となっている。
中小企業庁が「06年度JAPANブランド育成支援事業」支援プロジェクト67件を決めた。「戦略策定段階」と「ブランド確立段階」を区分して、最大3カ年にわたる継続支援も可能にした。採用された繊維・雑貨関連の20件は、毛皮・鹿革を活用した地域ブランド構築プロジェクト、泉州こだわりタオルブランドの構築、神戸ブランド・ミーツ上海など。
経済産業省の「未来型店舗サービス実現のための電子タグ実証実験報告書」で、ICタグ活用により削減される商品製造・輸送の消費エネルギーは、年間2万6千kcal、原油にして2万8千kcalと試算されている実証実験は、百貨店、ファッションアパレル専門店チェーンなどで実施された。
経済産業省が発表した「06年版模倣品・海賊版対策総合窓口年次報告書」によると、開設された04年8月〜06年6月まで373件の相談を受理。そのうち、模倣品・海賊版の製造国が判明したものの約5割は中国が占めている。商品内訳では、繊維が20%で雑貨を加えると約5割を占める。
経済産業省の石毛博行製造産業局長は「日本繊維産業の構造改革はファッションをテコに取り組んでゆく。繊維の製造業、産地は他産業のように試作品でグローバル市場を開拓するなど、新ビジネネスモデルの構築で活路を開く必要がある」など、今後の繊維施策の方向性について語った。日本繊維産業の活性化では、「素材産業など製造業の強化も不可欠」とし、試作品ビジネスのグローバル展開では「他産業では設計こそ価値の源泉」を前提にしており、繊維でも国際的な機能分業に対応した新ビジネスモデルの構築に取り組む重要性を強調した。
中小企業基盤整備機構は、アパレル業界での電子タグ実用化への方向性を示した報告書「電子タグ活用による繊維業界SCM基盤整備」をまとめた。アパレル業界での電子タグ活用業務モデルや情報基盤が未整備なことから、普及のための対応策として 電子タグ活用のための標準システム仕様 ネットワーク情報基盤整備モデル−などを策定するとともに、電子タグの低価格化、情報基盤の整備などの必要性を訴えた。
デサントはユニチカファイバーと共同で開発した新素材「クールトランスファー」は太陽光に反応して汗の蒸発を促進する素材。水が蒸発すると熱を奪う仕組みを利用し、衣服内の温度を平均2℃下げることができた。ミズノのシャツや靴下として使い始めた素材は熱伝導性が高く湿気を吸収しやすいエチレンビニルアルコール繊維と呼ばれるもので、1998年からクラレと共同で涼感素材「アイスタッチ」として開発。アシックスの涼感素材「ナノクール」は肌に接する面にレーヨンを採用した。水分を保持するため肌に触れると冷たく感じるという。これまでの汗をすばやく乾燥させる「吸汗素材」とは異なり、蒸れにくさなど快適性を追求。
ダイワボウノイは07年春夏婦人衣料向けに、ミルクプロテイン練り込みレーヨン・綿混紡・交織の「ミルククラウン」、製品染めをしても撥水・防汚機能を持つ綿織物「タフディープ」を開発した。ミルククラウンは、北海道産限定の牛乳から抽出したミルクプロテインをレーヨンに練り込み、綿とミックスした新素材。保水性、吸湿性に優れ、風合いはソフトでしなやか。タフディープは、綿高密度織物にナノレベルの加工剤で撥水、防汚性を高めた生地。製品染めを施しても、その性能を保持するのが特徴。用途はコート、ジャケットなどを見込んでいる。
テキスタイルメーカーの中外国島は07年春夏向けからウールデニムを販売する。ザ・ウールマークカンパニーとの共同企画による、家庭洗濯・乾燥が可能な「トータル・イージー・ケア」(TEC)製品として開発された。この素材は縫製が難しいほか、TEC加工により製品のバイオ加工が必要なため、アパレルメーカーや小売店などを販売対象に製品納入する。メンズ向けを主力にするが、レディスにも提案するとのこと。
新規製法、新規原料による不織布を企業化しようという取り組みが相次いでいる。クラレクラフレックスはこのほど、「おそらく世界初」というスチームジェット法による新型不織布を企業化。旭化成商事サービスも「当社が世界で初めてではないか」というバサルトファイバー使いの湿式不織布を商品化した。帝人ファイバーは、ストルート法による商品開発を進めている。日本の不織布業界には、規模で中国に対抗しようとする動きは見られず、あくまで付加価値や独自性で勝負しようとする機運が強く、メーカーは新規製法や原料による新商品で市場活性化、事業拡大を目指そうとする取り組みを加速している。
奈良県繊維工業共同組合はウール100%の発熱素材「ミラ・テイン」の靴下、インナーなどを販売する。ミラ・テインは食品会社の両双がシルクプロテインの研究を進める中で、ウールの発熱に効果があると東亜紡織と共同開発した。普通のウールに比べ2℃前後の発熱効果を発揮し、抗菌・防臭、消臭、抗ピリング性の効果も得られるという。昨年12月にネット販売を先行させた結果、2ヶ月で1万2000足売れた。今秋冬向けから、靴下、サポーター類、着圧ソックス、インナー、セーター、帽子、手袋向けに販売する。
ふつう植物原料繊維といえば綿、麻を多くの人は想像する。また、一般人でも少し繊維に詳しい人ならレーヨンや「テンセル」(リヨセル)も木材パルプから作られた植物原料繊維だと知っているだろう。しかし、植物原料繊維はそれだけではない。沖縄の伝統工芸品にはイトバショウの繊維を用いた芭蕉布があり、さらに古いところではエジプトで発見された6000年前のミイラを包んでいるのはケナフ繊維の布だ。そんな植物原料繊維が注目を集めている。紡績各社は竹、バナナ、月桃などの繊維を商品化している。合繊メーカーもトウモロコシを原料としたポリ乳酸(PLA)繊維の開発と販売が加速している。そんな古くて新しい植物原料繊維の可能性を探る。
ダイワボウはアトピー性皮膚炎に伴うかゆみを鎮静化する機能性繊維を開発した。科学技術振興機構(JST)の独創的シーズ展開事業として、2002年3月から企業化開発(受託事業会社、ダイワボウノイ)に取り組んできたが、JSTがこのほど成功と認定した。同繊維は信州大の小宮山淳学長、白井汪芳理事、花園病院の横関徳二元院長、神村製作所の神村昌孝社長の研究成果をもとに開発した。鉄フタロシアニンテトラカルボン酸により繊維を染色することで、かゆみ鎮静化機能を付与する。かゆみの悪化因子であるダニアレルゲンやハウスダスト、汗抗原を吸着・除去するほか、アトピー性皮膚炎患者の湿疹病変に100%近い割合で検出される黄色ブドウ球菌の異常繁殖を防止して毒素を低減し、かゆみを鎮静化する。
同興商事は独自に開発したシルクのストレッチ糸「ダイナミーシルク」の中国生産を本格化、グローバルな販売を開始する。ダイナミーシルクは、絹の製糸時に、中心部分でストレッチ糸を同時にひきあげたコアヤーン。ストレッチ糸が表面に出ないため、風合いや質感はシルクとまったく変わらない。素材に20%ほど使用することで適度なストレッチ性とふくらみ、ソフト感、ハリ感が得られる。約10年前に当時の東レデュポンと共同で開発を始めた。3年前から中国・山東省に合弁工場を設立、糸染め、織物、ジャージー、横編まで一貫の技術開発とコスト削減への対応を進めてきたもの。
日本麻紡績協会の麻原料動向によると、05年に海外から日本市場へ輸入された麻糸は前年比約17%減で、輸入麻織物は72%増と大きく伸びた。織物輸入の国別ではアイルランド、ベルギー、イタリアが微増で、中国がリネン、ラミーともに大幅に増加。リネン潤紡糸(湿式紡績糸)の日本市場への総輸入数量は、05年は1,107トンで2年連続1,000トンを超えた。従来は欧州からの輸入が大勢を占めていたが、04年から中国輸入が急伸し、05年は430トンで全体の約40%。中国の潤紡績メーカーは75社、合計錘数は726,000錘にまで拡大し、約21%増。リネン生地生産の織機台数は05年は7,647台で、04年比約43%増加している。
東レはこのほど、特殊複合ポリマーによる世界最高水準のポリエステルを使用したシルキー織物「シルックデュエット・ミュー」を開発した。国内外に向け07年春夏から本格的に販売する。「シルックデュエット・ミュー」は、異なる成分を持つポリエステルの特殊ポリマーを同時に複合したもの。また、特殊ポリマーは、ランダムな収縮と柔らかさを持つように配向結晶化されている。このため紡糸およびテキスタイル化により、柔らかく繊細な凹凸を持ち、従来にはなかった優しいタッチや上品な光沢、エアリーなふくらみを表現できる。フェミニンなエレガント素材として打ち出し、ドレスやブラウス、ワンピース用途で展開する。
モリリンと東レ、丸一繊維は共同で芯鞘構造の長短複合紡績糸「ミリオンダイヤ」を開発した。鞘部分にモリリンが輸入する「リヨセル」「モダール」、芯部分に東レのポリエステル中空糸、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)繊維複合糸を使い、丸一繊維が独自の三次元特殊複合紡績技術によって紡績糸を製造する。既存の紡績糸特有の太さムラや毛羽立ちが少なく、生地はソフトな風合いと適度なハリ・コシを兼ね備え、均質な表面感を実現。寸法安定性に優れ、単糸使いでも斜行が起きにくい。今後、芯と鞘の素材の組み合わせを広げる考え。ファッション市場で環境への配慮を求める傾向が強まっていることから、鞘にリヨセルを使っている利点を生かし、芯に再生ポリエステルやポリ乳酸繊維を使ったタイプの開発を視野に入れている。
NI帝人商事はレンチングの子会社、レンチングプラスティクスのフッ素繊維「レンチング・プロフィレン」の衣料用途の販売を開始する。摩擦係数が小さく、撥水・防汚や難燃性などに優れた特性を生かし、アウターやスポーツウェア、防護衣料関連で、OEM(相手先ブランドによる生産)受注を中心に拡大ずる考え。同社はレンチングプラスティクスから原糸の供給を受け、魚網や釣り糸など産業資材分野での製品をすでに展開しており、衣料用途については3年前から開発に取り組んできた。「IKAE2006国際ニット技術展」で、低収縮性、耐薬品性などの機能も備えたプロフィレンのニット製品を提案する。
「マザー・オブ・オーガニック」−有機栽培による綿花を使った商品を証明するタグがお目見えする。原料の大正紡績を中心に、テキスタイルからアパレルメーカーまでの12社が4月に設立した「サリー・フォックス・クラブ」が発行。地球環境に配慮した物作りで先行した運動を改めて、さまざまな商品を消費者に届けることになる。同クラブはオゾンコミユニティやシーアイファブリック、内野、吉河織物、山崎などが加盟。綿の有機栽培を提唱した米国人、サリー・フォックスさんをオーガニック・コットンの象徴とし、フォックスさんと数万ドルで契約し、写真とサイン入りのタグを作成、今月から配布している。
帝人ファイバーは、高級極細ウールのしなやかさと、高深色性を合わせ持つブラックフォーマル用ポリエステル新素材「バートレット」を開発した。新素材はナノテクノロジーを駆使し、分子結晶間にすき間をつくることで、従来にない黒の高い深色性を持つポリマーを新規開発し、さらに特殊仮撚り技術を用いたもの。ナノサイズの糸表面の凹凸と繊維間空隙による反射制御、ソフトタッチを発現する鞘糸と高反発性の芯糸との仮撚り技術ほか、高級極細ウール調の外観(細さはウール同等の10μ)をもたらす後加工技術も盛り込まれている。仕立て映えやイージーケア性にも優れた素材。
YKKは、ポリ乳酸樹脂を使った生分解性ファスナー「リ・アース」の販売に着手した。同社はこれまで、リサイクル可能なポリエステル製ファスナー「ナチュロン」を販売していたが、生分解性樹脂を使用したファスナーへの要望が強いことから開発した。リ・アースは、ファスナーのエレメント(かみ合わせの部分)にポリ乳酸系の生分解性樹脂を使用した。テープは綿を使う。強度の問題があるため、上止・下止にはポリアセタールを、スライダーにはPBT(ポリブチレンテレフタレート)を使用した。植物系の生分解性樹脂は熱に弱いため、アイロンやドライクリーニングをしない、バッグ、レインコートなどの用途に適する。耐熱性の問題を解決するため、石油系の生分解性樹脂を使用したコイルファスナーを開発中で、8月に発売を予定している。
東レの長繊維事業部は、ソフトで膨らみのあるパウダータッチのポリエステル長繊維「フェミニッシュ」を開発した。重合技術、製糸技術などを高度に複合し、「こだわりの質感を表現した」という。フェミニッシュは、綿や絹にない合繊独特のパウダー調のソフトな触感、体の線や動きに合うしなやかなドレープ性、軽やかな膨らみ、優れた発色性が特徴。重合、製糸、糸加工それぞれの技術を駆使した芯鞘構造によって生まれた。芯糸は特殊ポリマーと新しいフィラメント設計により、剛性が低減したためしなやかに、鞘糸は最適フィラメント設計と配向結晶化をコントロールすることで従来品よりも繊維内の空隙が増したため、膨らみや高発色性、パウダー調の風合いを実現した。
東大と東洋紡は共同で、遺伝子組み換え微生物を使って耐熱・高強度繊維の原料を作る技術を開発した。石油原料を用いずに、微生物の栄養だけで製造でき、精製の手間もかからない。大西康夫助教授が土壌に住む放線菌に耐熱・高強度繊維の原料「AHBA」を合成するタイプがあることを発見、遺伝子組み換え技術で効率よく目的の物質を合成できるようにし、東洋紡が原料を高分子化して繊維に加工した。600℃程度の耐熱性があり、引張り強度もアラミド繊維の2倍もある。東洋紡は原料から繊維加工技術の開発に取り組み、4〜5年後の実用化を目指す。
帝人ファイバーは07〜08年秋冬向けスポーツ素材で、ソフトでスナッグが起こりにくく、ストレッチに優れたニット「デルタ」を開発。これまでニットでソフトな風合いや伸縮性を追求すると、引っ掛け強さ(抗スナッグ性)が劣ったが、デルタは新しい特殊仮撚り技術により、質感、物性、機能ともに高次元でバランスがとれた。生地表面はフラットに、ループ間が緻密になることで引っ掛けに強く、UVカット性や防透性が生まれた。さらに伸縮性が向上し、定番的な丸編の伸長率は、たて方向で42%(従来比20%増)、よこ方向で125%(同10%増)となった。価格は来品に比べ20%ほど高い。
東レは07〜08年秋冬向けスポーツ素材で、PTT繊維「フィッティ」の織編物を拡販する。フィッティはハイパワーのスパンデックスと違った緩やかな伸びのソフトストレツチ≠ェ特徴。同社では織物から先行し、ツーウエイストレッチ織物はスキーやアウトドア分野で好調。30D、50D糸の量産体制が整ったことから、ニットでもフィットネス分野などに広げる。ニット新素材は、吸汗速乾ニット「フィールドセンサー」をハイゲージ化し、速乾性を高めた「フィールドセンサー秒乾」、フィッティの長短複合糸「フィールフィット」、シルキーな光沢としなやかな風合いのポリエステル「ボディフィール」。
ダイワボウレーヨンが世界で最も細い極細レーヨンの量産化に成功した。これまでの最細繊度は0.6dtexだが、新たに開発したものは0.3dtex。同社によると0.3dtexは研究室レベルでの生産は可能だが、紡糸中に繊維が切れる、繊度が安定しないなどの問題があった。このため、繊維の後加工による極細化も検討したが、コスト面から断念。今回は特別な後工程を経ないことを前提に、紡糸原液(ビスコース)の成分組成やノズルの孔径など複数の技術を細かく調査、検討し、量産化に最適な条件を見出した。10月から特殊用途向けに本格生産する。初年度1億円、5年後10億円の売り上げを見込んでいる。
艶金興業は、水やエネルギーコストを大幅に削減する環境保護を主眼として、特殊顔料による無水染色方法のテキスタイルブランド「ナノピグメントカラー」を三菱鉛筆、デンエンチョウフ・ロマン、インクマックスと共同開発した。三菱鉛筆が開発したナノ状態の顔料を染料として使い、デンエンチョウフ・ロマンが特許を持っている環境配慮型顔料固着システムを応用。染色工程での工夫や設備の改良などを行って、顔料を使った無水システムを開発した。洗浄などで大量の用水を使う通常の染色システムに比べ、水の使用量を99%削減。また電力などのエネルギー使用量も76%削減できるなど、「環境を配慮したエコロジカルな染色システム」が特徴。
ユニチカファイバーは、密度を高める効果がある高圧ジェット水流加工素材「アクアトップ」を開発した。07〜08年スポーツ素材として主にウインドブレーカーなどアウター用途で販売する。アクアトップは、カーテン状の高圧ジェット水流を織物に当てることで、糸が一本ずつ膨らみ、糸と糸との微細な隙間を埋める。これにより、生地の密度を高め、耐水性を持たせることに成功した。また、高密度織物に同加工を施すと糸が膨らんだ状態となるため、耐水性を持たせたままで、通気性を高める効果もある。加工に薬剤等を使わないことから、環境にもやさしいという。同社の染色子会社アイテックスに設備を入れ、加工を行っており、現在はポリエステル織物だけであるが、今後はナイロン織物やニットでの展開も予定している。
奈良県繊維工業共同組合は葛根繊維を使った織物の草木染め「彩りの宴」を加えて「吉野の葛」繊維使い商品を広げる。彩りの宴は奈良時代の人が着ていたと思われる色彩を再現した。素材は葛根繊維20%、綿50%、シルク30%の混紡。アウター、インナー、寝具、グッズ、壁紙、ふすま材、漆喰原料、カーテンなどインテリア用品の商品化も進めている。今後はパリなど海外展にも参加する予定。
「植物ならなんでも繊維にします」。シキボウは植物原料を繊維化する技術を確立、需要家の要望に応じて様々な植物を糸にし、製品化を進める。来夏からは新たにハイビスカスを植物原料素材群「トロピカルコットン」の中で商品化し、シャツやサーフパンツ、ニットなどの用途に投入する。トロピカルコットンはすでにサトウキビ、ココナッツ、バナナ、竹などで商品化している。これらは通常は廃棄されている部分を利用した環境配慮型素材である。ハイビスカス繊維は廃棄されていた枝葉を繊維化した素材。柔らかくて細い繊維が得られるという。衣料用途を主体に、原糸は10%混で40番手まで紡績が可能という。
東レは、砂の付着を防止する水着素材「サンドプルーフ」を開発。07年春夏向けから販売する。従来の遊泳水着は、濡れたまま浜辺に座った際、水着に砂が付着する問題があった。砂を手で払ったり水で洗い流してもとれにくく、着心地や見た目の低下、煩わしさなどにつながっていた。この素材はナノテクを使った加工技術「ナノマトリックス」を応用、単繊維一本一本の表面に撥水剤と撥油剤をバランスよく被膜。そのため、砂や泥が生地に浸透することを防ぎ、海水と一緒に砂を弾き落とす。生地の性能の低下につながるサンオイルなど油系の汚れも付着しにくい。生地価格は従来品より20〜30%高くなる。
東海染工の光触媒加工「Catlight」の技術紹介記事。これは同社の独自加工技術と、豊田中央研究所が開発した可視光応答型光触媒「V-CAT」との融合により生まれた光触媒加工である。項目として、光触媒とは、光触媒の反応機構、繊維製品への応用、消臭機能、汚れの分解機能、UVカット性能がある。消臭機能では、酢酸ガス、アンモニアガスおよびイソ吉草酸ガスの消臭試験データが示され、いずれも優れた消臭性能を有する。また、汚れの分解機能では、汗汚れ想定してL-ヒスチジン塩酸の水和物(人工汗液の成分)について試験し、分解効果が認められている。
中国のアパレル企業が生産地を内陸部に移す動きが目立っている。労働力は無尽蔵といわれた中国だが、経済成長に伴って、沿海部の労働力不足、賃金アップが避けられないほか、都市部ではハイテク産業の誘致を重視して、繊維、アパレル産業をより内部へシフトさせようとする政府の方針による。
大手・上場アパレルメーカーがレディスで、新ブランドの開発を加速している。昨年秋冬から市況が回復、攻めの時期に入っていることに加え、百貨店を中心に、新しい売り場作りが進んでいることが背景だ。今秋は、百貨店向けで、30代後半から40代を対象にしたブランドがいぜん多いほか、ファッションビル向けを含め、20代後半の「赤文字系雑誌卒業生」狙いのブランドが目立つ。百貨店を主力とする企業が販路開拓のための動きも活発だ。新しい発想を取り入れるため、外部の企業やデザイナーとの」協業で開発したブランドが大半を占めている。
百貨店が本部一括の仕入れや別注企画の要望を強めているが、取引先のアパレル企業の多くは対応に苦慮している。本部仕入れについて、「実態は地方や中小規模の店舗への商品供給の強化と、納入掛け率の引き下げなど差益還元の要求」と指摘するところもある。百貨店側の要望を丸のみすると、販売効率が悪化し、在庫が膨らむ恐れがある。だからといって、主力の販路を失うわけにはいかない。対応に苦慮するアパレル側からは、「経費削減はすでに限界」「強い百貨店グループとだけ付き合いたい」と売り場の選別を示唆する声も聞こえる。
欧米からの中古輸入量が、ブームの95年の水準を04年で上回り、05年も前年比8%増加している。米国がけん引だが、欧州からの輸入の増加も目立つ。着古したファッションの流行で、東京・表参道などにも輸入古着ショップが集積している。
衿とラペルを一体化したサンリット産業の健康快適ウエア「ビズラベル」が特許を登録した。同商品は従来品に比べて衣服圧が低減することが東レ「テクノラマ」での試験結果で証明されたことにより、本格的な販売を開始した。「ビズラベル」は衿の折り返しを行わず、身頃と一体化させることのより、着崩れしにくく家庭洗濯対応などの消費性能が高まるとともに、着用時に頚椎部・肩部への圧迫が減少するなどの大きなメリットをもたらすという。
クールビズ運動を盛り上げるためのファッションショーが、東京・表参道ヒルズで開催された。今回のテーマは「クールアジア」。アジア各国にそれぞれある伝統的な夏の着こなしを紹介しようというもので、6カ国の駐日大使が出演した。日本からも現職閣僚10人が出演するという力の入れようだった。
この春夏、ジーンズNB企画が仕掛けた裾細りのスリムなパンツ企画が順調に販売を伸ばしている。この動きを受け、今秋冬でも該当商品の企画を強めるジーンズNBは、これらスリムを美脚に代わる「イチ押し商品」と見る。なかでも腰から裾にかけて超細身のシルエットが特徴の「スキニージーンズ」は各社の目玉企画になっている。スキニーとは、その名の通り肌にぴたぴたとはりつくような感じから「スキン(肌)」から名がついたとされる。1〜5%のポリウレタンが入ったストレッチデニムが多い。従来のスリムとは異なる、いわばタイトストレートなシルエットで、ブーツとの相性がよい。
厚生労働省がこのほど発表した05年の合計特殊出生率(一人の女性が一生の間に産む子供の数)は1.25人で、過去最低を更新した。少子化社会をさらに鮮明化し、日本の今後を考える上で深刻な問題と受け止められている。政府はこれに歯止めをかける対策に本腰を入れる姿勢だ。対象人口が減る中で、ベビー・キッズ業界はこの少子化社会を背景に一段と厳しい競争状況となり、各社の販売戦略や需要拡大策がさらに問われることになる。
ユニクロと東レは衣料品の開発・生産で提携する。ユニクロはこれまでも個別商品ごとに東レに生地などを発注していたが、提携後はユニクロが世界中で集めた流行予測の情報と店頭の販売データをもとに共同で衣料品の企画などにあたる。ユニクロは欧米、アジアで店舗を拡大しており、最先端の生地を安定調達するには東レと提携することが有効と判断した。東レは長期的な視点で新素材の研究開発に取り組める。衣料品専門店と繊維国内最大手同士が素材開発から販売まで一貫した協力体制を築き、海外の衣料品大手に対抗する。
体形にあったサイズを見つけやすいパターンオーダー(PO)を利用して、婦人スーツを買う人が増えている。デザインが複雑な婦人服はPOが難しく、完全な注文服では十万円以上するため既製服が一般的だった。紳士服専門店などが3〜5万円で取り扱いを始めたのを機に購入者が拡大した。アオキでは06年3-5月の販売実績が前年同期の2倍、青山商事は全693店で婦人スーツのPOを始めた。20代から40代まで客層が広いのがタカキュー。既製服並みの値段でサイズや生地を選べるPOの利点が少しずつ浸透してきた。
中国のアパレル企業が、中国内販や海外市場を視野に入れたプレゼンス(存在感)を強く発揮した。先に北京市で開かれたアジアファッション連合会(AFF)中国大会を通じて、大掛かりなファッションショー(モデル100人のショー)を開いたり、各国代表団を巨大な縫製工場に招くなど、大会の随所で「OEM(相手先ブランド生産)企業」から「ブランドメーカー」に急成長する自社や自社ブランドをアピールした。
アパレルメーカー大手がバッグやアクセサリーなど服飾雑貨の販売に力を入れている。ワールドは業界に先駆けて雑貨販売を強化し、2006年6月に専門組織「雑貨グループ」を設立し雑貨業態の開発を加速している。オンワード樫山の婦人服「メゾン・ダジュール」も服飾雑貨の品揃えを充実させた。総務省家計調査によると05年の「身の回り用品」への支出額が前年より4.9%増。ファッションに変化をつける服飾雑貨への関心度が増している。
ランジェリーブランドが作るルームウエアが売れている。色も柄も形も新しくおしゃれで、ちょっとセクシーな魅力もあり、従来のパジャマやスエットなどとはまるで違う。家にいる時も可愛くいたいと購入する若い女性が急増中だ。リードしているのは20代の女性たちが作るSPA(製造小売業)ブランド。大手メーカーもこの市場に注目していて、デザイナーブランドのライセンス物にも動きがある。
量販店を主力販路とする婦人アパレルは、小売市場の激しい競争で量販店衣料部門が改革を志向する中、新たな対応でどう一体化を図るのか重要な局面となっている。アパレルらしさではトレンドを取り込んだ企画提案力が重要となるし、素材・縫製での上質化への対応も問われてくる。スタイリング重視の売り場づくりが方向性となれば、トータルコーディネート企画(ブランド)の組み立て、売り場取りが必然性をもたらす。販売先がPB(プライベートブランド)拡充の動きに対しては、チームMDの中で参画できるかどうかが焦点とされるし、PBとは違った特徴ある商品、スピードある企画提案など自社路線の主張を重視する動きだ。
ナイキジャパンは、汗をかくと自然に通気孔が開き、汗が乾くと閉じるスポーツウエアを7月中旬から発売する。外側にうろこ状の通気孔をもつ素材と、肌側に軽量なメッシュを配した2層構造の生地を使用。ウエアの背中にある通気孔の部分に、水分で伸びる糸と伸びない糸が組み合わせて編んであり、汗をかくと、うろこが持ち上がって通気孔が開く。この技術は「ナイキ・スフィア・マクロ・リアクト」と呼ばれる。ウィンブルドン・テニス2006で、マリア・シャラポワ選手とロジャー・フェデラー選手が着用する。価格は、メンズのテニス用半袖シャツ7,200円、レディスのテニス用ワンピース11,800円。
二年目に入った「クールビズ」向けの紳士服商戦がピークを迎えている。今年はジャケットの販売が好調で、昨年売れたシャツに代わり市場を牽引している。そごう横浜店では6月のジャケットの売れ行きは前年の5割増、高島屋東京店では、前年より約2割増えている。オンワード樫山、レナウンなど大手アパレルメーカーは追加生産に追われている。紺のブレザーは「ネクタイの有無にかかわらず着こなせる便利さが好評」という。吸湿速乾素材、接触冷感素材などの機能性素材を使った下着や小物類も好調である。
繊研新聞の百貨店を対象にした「自主MDの現状と今後」のアンケートで、ほぼ全社が自主MDを必要とし、今後も強化する方向にあるとわかった。売り上げの長期低迷が続く中で、他店との差別化などの目的。
百貨店や高級ブランド店などで働く販売職の人材派遣料金が昨年に比べ3〜5%上昇している。景気回復やブランド店の出店増に伴う需要拡大に加え、アルバイト販売員労働者も活用し始めたため。
ホームセンター各社が販売員に取得を促す資格の種類を広げている。独自の資格を新設や、リフォーム関連の資格など専門性の高い技能を身につけさせ、接客面で他社との違いを出す狙い。
アパレル大手で百貨店向け50〜60代女性用ブランドの販売方式を見直す動きが進んでいる。従来商品ごとに別々の売り場で販売されてきた自社ブランドを1ヶ所に集約し、販売拡大を狙う。
梅雨入りを思わせるぐずついた天候が続いている影響で、傘や長靴、レインコートなど雨具の売れ行きが好調。紳士服でも、半袖のポロシャツより長袖のジャケットやパンツが好調となっている。
大手量販店は、05年度に実施した減損会計の重しが取れたため、06年度は設備投資意欲が高まっている。また、改正まちづくり3法が完全実施となる08年から郊外への出店が困難になるための前倒しもある。一方で、既存店の価値が上昇するため、改装投資の増加も目立っている。
きもの業界は、マーケットの縮小傾向の中で厳しさを増している。「リサイクルきものブームはピークを過ぎた」と言われ、これといったホットな商品が見当たらない。経営者の多くは、これを機に原点に戻り「消費者に信頼され必要とされる店の在り方」を模索。その一つとして、にぎわいのある店づくりをどう展開していくかが課題になってきている。
若いクリエーターが新しい文化を生み出す街から、おしゃれな大人がショッピングを楽しむ街へ―東京・表参道が新しい時代の幕を開けた。今、世界から「オモテサンドウ」に熱い視線が集まる。表参道ヒルズやエチカだけでなく、海外高級ブランドの旗艦店オープンも相次ぐ。表参道をラグジュアリー路線の旗艦店に選んだラルフ・ローレンは「エキサイティングで、米国と比べても面白いエリア」と強い期待を寄せる。その一方で洪水のような報道と爆発的な来街者増が巻き起こす“狂騒”は周辺にも飛び火。地価上昇や観光地化無秩序な出店など“狂奏”も懸念される。それでも多くの関係者は街の変貌を歓迎する。
日本百貨店協会は百貨店の将来像を描くため、次世代百貨店研究会を立ち上げた。議論のスタンスは、@業態特性を正しく認識しそこを起点とするA新たなチャレンジを促進するBボトルネックを突破し具体策を構想するなど。
“お兄系”“渋原系”といわれるワイルド・アンド・セクシー・ヤングメンズカジュアルの小売店、メーカーが、雑誌と携帯電話(ケータイ)を利用したメディアミックス戦略で大きな成果を上げている。雑誌を見てケータイ通販で購入する若者の消費動向をついた形だ。全国にはまだショップが少ないため、ケータイからのアクセスがかなりの数に上がっており、まだまだ増える勢いだ。今後、各社は既存の人気雑誌にも露出し、ブランド認知度の向上をめざす。
日本百貨店協会が開いた「百貨店ITフォーラム」でIT活用が量的・質的に大きく広がったと分析している。ICタグについては、導入効果がリアルタイムで在庫管理や潜在需要顕著化など「見える化」を図ることで、5年後にはバーコードとの比率が逆転すると紹介されている。
6月にスタートした駐車監視員制度で、物流業にとって2名乗車体制や台車や自転車などを使い集配達する小規模のサービスセンターを開設するなどコストアップが確実。その負担でファッション業界も問題が出てきている。
デロイト(米国際監査法人)が、世界の小売業界を1つの基準で比較したデータと傾向のリポートを作成した。99〜04年の成長率上位50位に、近鉄百貨店、ファーストリテイリングなど日本企業が6社食い込んでいる。上位250位のほとんどが売上、利益とも伸ばしており、占有率を高めていることが判明。
大手郊外型紳士服各社は、団塊世代の定年退職が始まる“07年問題”や少子高齢化といった紳士スーツ市場の縮小トレンドを、間近に迫った切実な問題として受け止めている。そのため、新たな顧客層として20代から団塊ジュニア世代、あるいは女性客などの取り込みやスーツ以外のコーディネートアイテムの需要を促進する売り場作りを、主力業態や若年層ターゲットの店舗で強化している。
ファッション系eコマースの高成長が続いている。スタイライフが7月に上場し、ゼイヴェルが7月にパリ、9月に東京でファッションショーを開催するなど何かと業界に話題を投げかける。一方、ラグジュアリー系ブランドもインターネット販売を開始するなどファッション系eコマースは一段と広がりを見せている。
これからが夏本番なのに、早くも夏バーゲンの季節になった。不安の心理と駆け抜けの発想が、開催時期を早めてしまった。開催時期を見直すことで、夏本番のプロパー商戦の再構築を提案している。
メリハリのきいた価格戦略で顧客の購買意欲をかき立てろ―。日経MJがまとめた2005年度小売業調査では、商品価格を転換した企業の健闘が目立った。なかでも雇用・所得環境の改善を背景にした「ちょっとぜいたくしたい」という消費者心理をとらえ、高価格帯の品ぞろえを拡充した企業が業績を伸ばした。勝てる売り場づくりに向けて、価格を上げるも下げるも攻めの姿勢が求められている。
ライフスタイルセンター(LSC)がSCの新たな成長戦略として注目されている。90年代に米国で生まれたLSCは、上質なライフスタイルを提供する場として急成長しているが、日本ではまだ産声をあげたばかり。「ライフスタイルパーク」と独自の呼称で先行する三井不動産はすでに立地の異なる3カ所で開設、高島屋グループの東神開発も東京・立川に1号施設を開業している。
繊研新聞社が調査した小売業の05年度衣料品売上高ランキングは、前年に続きイオンが首位を守った。トップ10圏内では、しまむら、ワールドが売上を2ケタ伸ばした。業態別にみると、専門店、量販店の伸びが目立ち、無店舗は前年割れとなった。
(有)シンセン(埼玉県加須市)はマットレス洗いの市場を拡大している。特養老人ホーム、介護会社、介護レンタルなどを顧客として、平成15年から専用機(販売:アサヒ製作所)を導入して取り組んできた。この専用機の処理能力は、ファイバーマットで1日64枚だが、現在の平均稼働率は70%である。しかし受注は月々伸びつづけており、来春にはフル稼働を見こんでいて、ふとんと同等の規模に育てたいという。一般家庭用は集配費用が高価につき、特にマンションでは搬出・搬入も困難なので、無理に受注しない。
クリーニング業界100社に対する第1回調査報告。団塊世代の定年〈07年問題〉に対する業界の考え方を探り、次の結果を得た。影響がある76%。スーツやワイシャツの点数減が予想されるため。対策は(1)単価アップ:水洗いの推進、リフォームメニューの追求、ふとん・靴・バッグなどの特殊品の拡大、(2)顧客層のシフト:富裕層、おしゃれ層の取り込み、(3)商圏の拡大:インターネットや携帯電話の活用など。ほかに、07年問題の影響はサラリーマンの多い都市圏に大きい、カジュアル衣料の受注増が必要などの意見も見られた。
布を貼り合わせたボンディング加工布は、接着剤としてポリウレタンが主に用いられている。これが経時変化して、ドライ溶剤によって剥離やシミが発生する。クリーニング事故防止システムには64件のボンディング加工布の事故が登録されており、洗浄方法別では石油系溶剤が43件、パークが5件、水系が6件となっている。この結果から、ボンディング加工布の接着剤の劣化によるシミ出しは、クリーニング方法に関係なく発生することが分かった。
シワ加工のプロセスを解説し、それに適したクリーニング技術を述べた。プロセスは与えるシワの形状により異なる。タテ方向のシワならばロープ状に絞る、方向性のないシワの場合は円筒内に押し込む、特定のシワは紙に挟むなど。これらのシワ形状の固定は、セルロース繊維は樹脂やアルカリで、毛繊維はシロセットで、合繊は熱による。クリーニングに当たってはシワを伸ばさない配慮が必要で、スチームトンネルは使わず、タンブラー温度は40℃以下に。誤って伸ばしたシワは、湿った状態でねじって回復させるなど。
日本は05年から人口減少社会になった。15年までの10年間に1%減少するが、15〜64歳の生産年齢人口(ほぼ消費年齢人口)はその間9%、730万人減少する。その影響は数量消費に顕著に表れるが、客単価を高める「量より質」のマーケティングが必要と説く。
カーテンの遮蔽性は官能評価により、カーテンのテクスチャは画像解析により求め、両者の関係を求めた。官能評価用の試験箱が製作された。その内部には、内部光源、視標、試料〈カーテン〉が置かれ、外部からカーテンを通して視標を見る。異なる外部照度の下に置かれた被験者が、次第に内部光源の照度を上げる試験箱を見て、箱の中の視標が判別できたとき、その内部照度を遮蔽の限界値と定めた。一方、テクスチャは画像処理のデータから、明るさ、一様性、コントラスト、縞状性などの特徴値を算出した。官能値と特徴値の関係、ドレープカーテンとレースカーテンの違い、外部照度の影響などを知った。
断熱保温素材、透湿・防水素材、発熱保温素材、吸湿・吸汗素材、紫外線遮蔽繊維、難燃性繊維・防炎性繊維、制菌・抗菌防臭加工素材、消臭加工素材、制電性素材・導電性繊維、形態安定加工、について紹介。このほか「ドライ表示衣料品の水洗いテスト」「はっ水加工の衣料品の効果は?」「衣料のリサイクルと機能をもった古布の行方」についての調査結果を紹介している。
市販浴用タオルの洗浄感と洗浄性能に関して、5種類の素材の市販浴用タオルで検討を行った。そして顕著な差がみられたレギュラー合繊と極細繊維性の浴用タオルについて洗浄効果と皮膚角層への影響などを調べている。レギュラー合繊浴用タオルでは肌触り感の評価が低く、汚れ落ち感など総合的快適感の評価は高かったが、実際の汚れを除去する洗浄効果は低かった。一方、極細繊維浴用タオルでは、肌触り感の評価が高く、汚れ落ち感などの評価は低かったものの、高い洗浄効果を示した。
リヨセル繊維の研究の現状とフィブリル化について説明した後、ピリング現象について述べている。洗濯乾燥に関しては、フィブリル化は湿潤状態で起き、ピリングは湿潤状態と乾燥状態で布が摩擦されることで発生する。水に対する体積膨潤度に着目すると、体積膨潤度の高いリヨセルほど湿潤時の繊維間摩擦力も大きく、ピリング発生量が多かった。ピリング発生の機構としては、摩擦による毛羽発生、毛羽の洗濯時の膨潤と繊維摩擦間力の増加による繊維の絡みあるいはフィブリル化、毛羽およびフィブリル化繊維の絡み、のように進展すると考えている。
カジュアル衣料チェーンのユニクロは26日、乳幼児用衣料の一部から国の基準を超える有害化学物質ホルムアルデヒドが検出されたため、約1万5千点を回収すると発表した。回収の対象は全国の店舗やインターネットで3月から6月20日まで販売された、おむつや下着の上にはく「B1ストレッチカットパンツ」(迷彩柄、790円)。さいたま市保健所の検査で12日に違反が判明した。
兵庫県立生活科学研究所は、「晴雨兼用傘」と表示されていて、柄の少ない無地に近いものでしかも、生地の組成と色の違いを考慮して10銘柄(値段は1990〜6300円)を選び、耐候性をテストした。調査項目は紫外線カット率・耐漏水性・撥水性・変退色の4項目である。まとめとして、晴雨兼用傘はいずれも優れた紫外線遮蔽性能があり日傘より撥水性や耐漏水性に優れている。しかし、とっさの降雨時に使用できる程度で雨傘には適さない。また、濃い色の商品には退色が著しいものがある。
まず「睡眠と脳の動き」として生理学的な解説を行い、次に寝具に求められる性能を概説した。さらにこれらの性能を掛け寝具、敷き寝具、枕の別に、利用時の測定データを示し、そこから着心地、寝心地、住み心地、乗り心地に分けて快適性を分類し、ここから寝具・寝装品に対する要求機能を導き出す。最後に最近の機能繊維、防ダニ寝具、アレルゲン抑制寝具などを紹介する。基礎から最先端の応用に及ぶ寝具・寝装概論とも言える行き届いた解説である。
昭好(埼玉県八潮市)は、米通信機器メーカー、モトローラの子会社、マイクロタグ・テムドの技術を活用した、低コストで運用が簡単な偽造品検知システムをアパレル業界などに売り込む。このシステムは、特殊な磁性粉体を織ネームやタグなどに混ぜてアパレル製品や雑貨などに付け、専用の検出機を使って粉体のあるなしを確認し、偽物を識別する仕組み。磁気共鳴システムの技術を活用したもので、検出器からシグナルを送り、粉体から戻ってくるシグナルで粉体の存在を確認する。わずかな粉を使うだけなのでコストが安く、検出機があれば誰でも簡単に偽物を識別できるメリツトがある。
日本防炎協会の大阪事務所と大阪試験室は、中央区に移転し統合。各種ラベル印刷機、燃焼試験機、恒温乾燥機などに加え、パーク・ドライクリーニング機と水洗い洗濯機を新たに設置する。これよって、従来は東京試験室に送付し行っていた洗濯試験を大阪でも行えることになり、試験日数が短縮できる。同事務所では、防炎物品や防炎製品に関して、防炎表示者登録や認証、防炎ラベルの交付作業を実施。試験室は防炎物品と防炎製品の試験受付及び防炎物品の試験業務を行つている。05年度の防炎ラベルの発行枚数は全国で2893万枚、大阪は574万枚。毎年10%程度増加している。
リクルートの07年3月卒業予定者を対象に「大学生の就職志望企業」によると、ファッションビジネスで上位100社入りしたのは、78社のミキハウスだけだった。前年では3社が入ったが、他産業有力企業の精力的な新卒採用のあおりのため。また、企業選ぶ基準は「やりがい」「可能性」が高い。
地域名と商品名などを組み合わせてブランドとして登録できる「地域団体商標」制度が4月からスタート。1ヶ月で出願件数は約370件に、全国的な関心の高さが伺える。例えば、大島紬を出願、ブランド化で苦境脱出を目指し、他産地との差部化を進める。
日本繊維輸入組合の「インド・タイからの繊維輸入に関する調査結果報告会」では、中国プラス1として注目されているインドは、日本との距離やリードタイムの違いなどで、衣料品の委託加工になじまないとしている。
ジェトロの「在アジア日系製造業の経営実態〜ASEAN・インド」で、①ASEAN・インドへの生産移管はその域内からが最多②中国リスク分散の受け皿はベトナムがナンバーワンだが中長期的な最適生産拠点はタイ、ベトナムを評価など。が示された。
ソウルで開かれ9カ国・地域の代表者約180人が参加したアジア化繊産業連盟主催の「第6回アジア化繊会議」が「アジア化繊ビジョン」や共同コミュニケなどを採択した。ビジョンによると、10年後に1090万トン供給過剰となることの確認と是正、非衣料分野の市場拡大、技術開発、秩序ある貿易体制と知的財産の法令遵守などを盛り込んだ。
ワコールはショーツに縫い付けられた紙ラベルの糸を簡単に外せる技法「楽取れ」を開発。これは①肌側の下糸の先端に引っ張り用の糸を約1cm残し、指でつまんでワンタッチで取り外せるようにした。②抜き取る糸は識別しやすいように肌側のみ本体と違う青色糸を使うB糸調子を、上糸を緩くして下糸をほぼ一本調子にし、糸を抜きやすくした−の3点を変更したもの。これにより、肌側の青糸をつまんで横に引けば下糸のみが抜け、紙ラベルが上糸とともに外せる仕組み。ミシンにアタッチメントを取り付けることで可能となり、コストアップにはならない。
前田勝之助・日本繊維産業連盟会長は8日の自民党経済産業部会第5回繊維・ファッション産業政策小委員会で、8項目の「日本の繊維産業復権のためにとるべき政策」を提言した。8項目は①構造改革の推進②技術開発力・製品開発力の推進③環境技術開発④アジアとの連携強化⑤通商面での共通土俵の確保⑥川下(ファッション産業)の強化⑦輸出振興⑧人材の育成と確保。人材の育成と確保の項目では、資格制度の拡充(繊維製品品質管理士(=TES)の国家資格への格上げ)が求められている。
①8月24〜25日
②JR新大阪駅団体待合室集合
③訪問予定先:尾崎商事梶A豊和(玉野工場、HOWP-21小川分室)、カイハラ(株)
④日本繊維製品消費科学会関西支部 申込先:京都女子大学生活造形学科 矢井田修 TEL 075-531-7174
①9月15日
②文化女子大学
③快適性研究(ヒトと衣服と環境を系としてとらえる、商品開発の立場から、生理学的アプローチから)、ポスター発表、他
④日本繊維製品消費科学会 TEL 06-6358-1441
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男