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経産相の私的懇談会「ファッション関連有識者会議」は、出席者から日本文化の発信、人材育成、素材とクリエーションの連携の強化などについての提言が相次いだ。この中で、前田勝之助日本繊維産業連盟会長は「これまでの繊維ビジョンはモノづくりから発想していたが、次期繊維ビジョンではファッションと素材・モノづくりの両面から組み立てる必要がある」とし、産地活性化のため「産学官連携の活用」を指摘した。
自民党の経済産業部会繊維・ファッション産業政策小委員会の山本拓小委員長は、日本製生地表示推進会議の最終まとめの報告を受理した。「4つの反省点と3つの一致点、今後の対応策として成功事例の創出」などが骨子。山本小委員長は「消費者の要求を満たすにも輸入品だけでなく、国産品が必要」と強調。「日本製に対するこだわりが海外物に対するハードルになる」と指摘し、「日本製では染色がキーインダストリーであり、繊維ではいろいろな工程があるが、全体の80%程度が日本で生産されたものを日本製と表示できるような“うまい手”はないか」と提案。
経済産業省の「05年工業統計速報」によると、10人以上の規模の製造業全体で事業所が4年連続、従業員が14年連続して減少しているものの、出荷額、粗付加価値額では3年連続して増加した。ただ、繊維工業、衣服・その他の繊維製品製造業では以上の全分野で減少を続けている。廃業の割合で、全体では2.5%に対し、特に衣服製造業で4.8%と最も高い。
経済産業省と国土交通省が認定した「06年度グリーン物流パートナーシップ推進事業」で普及事業22件を決定した。繊維関連では「アパレル製品にかかわるトラック輸送から鉄道ヘのモーダルシフトによる省エネルギー事業」が選ばれた。同事業は浪速運送の大阪配送センターと東京配送センター間の貨物輸送(主にアパレル製品)を、従来のトラック輸送から20フィートコンテナを利用した鉄道輸送にモーダルシフトし省エネと環境負荷の低減を図る。省エネ率計画は77.1%。
官民合同による「繊維ビジョンタスクフォース」の初会合が10月3日に開かれ、08年度以降の繊維政策と予算の基本となる新繊維ビジョンの検討が本格的にスタートした。業界団体などからの提案を受け、2月にも産業構造審議会繊維産業分科会(馬場彰会長)を開き、基本政策小委員会を新設して正式な審議を開始、5〜6月のとりまとめを目指す。
経済産業省の「原油価格上昇の影響調査」(8月下旬〜1ヶ月)によると、大企業では原油・石油製品の投入比率が高い繊維業界などで経営・収益への影響が若干拡大し、中小企業でも収益での影響が前回調査より増加、4分の3の企業が影響を受けている。繊維大企業は「燃料費のみならず、副資材や輸送費まで及び、死活問題」とコメント、「石油製品への参入障壁的関税の早期撤廃」の要望もある。
経済産業省は、メーカーや輸入業者に製品事故の報告を義務づける改正消費生活用製品安全法の政省令案をまとめた。事故発生を知ってから10日以内に経産省に報告することをメーカーに義務付ける。事故を迅速、確実に公表する体制を整え、被害が拡大するのを防ぐ。
経済産業省はエネルギー使用合理化繊維関連次世代技術開発に関してこれまでの省エネから07年度は環境対応に一歩踏み込むことになった。07年度に新たに加わるプロジェクトは、①次世代資材用繊維②ポリエステルテレフタレート製造エネルギー低減技術③VOC含有廃棄物の溶剤回収および再利用処理技術−の開発で、3プロジェクトとも環境対応の技術開発となっている。
経済産業省が発表した採択結果によると、繊維関連は次の3案件が選ばれた。①自動車向け近赤外線照射対応アラミド等基布製造技術及び熱可塑性樹脂積層体製造技術の開発②低コスト・短納期・高品質で環境配慮にも対応した織物試作システムの開発③新世代先端複合材料成型品のための薄層多軸プリプレグシートとその成型法の開発
繊維関連のISO規格のうち、次の規格の06年版が交付された。ISO 105-C10:2006,ISO 105-E05〜E06:2006
繊維関連のISO規格のうち、次の規格の06年版が交付された。ISO 1833-11〜19:2006,ISO 1833-2,3,5,7,8,9:2006,ISO 1833-21:2006
東洋紡グループのアクリル繊維メーカー日本工クスラン工業は、アミノ酸の一種のアルギニンを保持させたアクリレート系繊維を開発。肌の保湿性を補う機能を持つ素材として、「潤衣(うるおい)『サプリ』」の商標で販売する。サプリはアクリレート系繊維のわた段階で官能基のカルボン酸に、アルギニンを10%程度結合させた。着用時に汗をかくと繊維が膨らむため、アルギニンの一部が外へ溶け出し、肌に移行する。これが肌の角質層に移ることで肌の保湿性を高め、かさかさ肌を予防する仕組み。通常はアクリルや綿との混紡でサプリを30%程度の混率で使用。糸値は3,000円/kg程度。
オーミケンシは、糖アルコールの一種で天然の代用甘味料として知られるキシリトールをレーヨン綿に練り込んだ「リフレール」を開発した。水に溶解する際に吸熱反応を起こすキシリトールの冷却効果を生かし「クールビズ」に対応する素材として、来春夏物から靴下、肌着、ナイティーなどで展開する。リフレールは発汗による水分で、レーヨンに練りこまれたキシリトールが溶解し、溶解熱として生地から熱を奪うため、生地温度を低下させる効果が出る。水分を吸収して熱を奪うため、接触冷感に比べて持続性も高いという。練り込みであるため、後加工に比べて生地への添加量を多くすることができ、それに伴う風合いの変化もなく、洗濯耐久性も高い。同社のテストでは、生地の中にリフレールを30%使用すると、未加工品に比べて生地温度を最大1℃低下させる結果が得られた。
出光興産と出光テクノファインは、372種類の菌を抑制する抗菌・防カビ・防藻剤「コーキンマスター」の販売を開始した。繊維評価技術協議会のSEKマークを取得したのに加え、抗菌製品技術評議会の安全性合格基準を満たしている。コーキンマスターは、有機・無機系の抗菌・防カビ剤を組み合わせた。ダイオキシン発生の恐れがあるハロゲン化物を一切使用していないため、安全性にも優れている。出光テクノファインの分散化技術を使い微細粒子を均一に配合できるようになり、外観不良や物性低下を従来より抑えられるようになった。衣料品をはじめ車両内装、建材、環境対応土木分野など幅広い用途への販売を計画している。
御幸毛織は、紀元前10世紀にフェニキア人が染料として用いていた貝紫(インペリアル・パープル=皇帝の紫)によるシルクジャケット地10着分を限定発売。染色は三重県在住の染色家、稲岡良彦氏に依頼。瀬戸内海で採れるアカニシ貝のパープル腺を取り出し、直射日光に当て酸化発色したものを原染料として使う。貝紫染め糸の使用比率は15%にすきないが、ジャケット1着分の生地に150から200個分の貝が使われている。絹紡糸やネップ絹紡糸などと組み合わせ製織し、天然せっけんで洗いこみ、ラスティックに、しっとりと上品な光沢に仕上げた。1着のジャケットの参考仕立て上がり価格は90万円。
炭素繊維強化プラスチックの応用例について、最近の動向を紹介した。スポーツ用途のゴルフ分野では、チタンとの複合ヘッド、3軸組布ないし4軸組布使いのシャフトなどが注目されている。航空・宇宙用途では、エアバスに複合材料を使用する部材が増え、その使用比率が16%から40%に上がると見こまれる。機械部品では、製紙や不織布に用いられる大型ローラーが、軽量性、振動減衰性などの特徴により急速に拡大している。自動車用途では、省エネ化の観点から、一般車にも使われ始めた。土木・建築用途では、耐震補強、橋桁、架橋用ケーブルに試みられている。
ダイワボウはこのほど、アレルギーの原因となるアレルゲンを吸着する肌着「アレルキャッチャーAD」を開発した。これは信州大の研究成果を基に、ダイワボウが開発・商品化に取り組んだもので、乳児向けや成人向けのサポーターなどとして10月中旬から販売する。アレルキャッチャーADは、染色剤にアレルゲンを吸着する鉄フタロシアニンテトラカルボン酸という物質を使用。着用することでアレルギーを防ぐ。ダイワボウと久光製薬が共同で行った調査によると、80%以上の被験者がかゆみの鎮静効果を得たという。
東レは植物由来の天然素材、セルロースを使った高機能衣料生地を開発した。中心が空洞の極細糸を使い、重さをレーヨンやアセテートなど従来のセルロース系繊維の半分に抑え、強度は2倍にした。天然繊維の綿に比べ細さや糸の形状を自由に変えられるほか、レーヨンにはない機能を持たせられる。07年から婦人衣料向けなどに販売する。新製品はセルロースの持つ複数の水酸基に2種類の特殊な化合物を共有結合させた。水酸基の一部が水素結合しなくなって熱に溶け、高分子の流体ができる。これを引っ張って糸にすると分子がきれいに並んだ強い糸が作れる。従来のセルロース系化学繊維は熱に溶けにくく、同様な製法は使えなかった。
東レ合繊クラスターは、07年春夏向けに大豆から抽出したタンパク質を原料とする植物タンパク繊維「アミノス」を12月から本格販売する。人と環境に優しい新素材として高級婦人アウターを中心に提案し、紳士アウターや婦人・紳士インナー、寝装などにも用途を広げる。「アミノス」は大豆タンパク質を20%含有しており、従来の化繊や天然繊維とは違うソフトでなめらかな風合いを持つ。綿と同等の吸放湿性を有し比重が1.29と小さいため軽量感がある。大豆由来の植物タンパク繊維は中国でも開発が進められてきたが、物性や染色性で問題があり、日本国内の市場に広く浸透していない。「天然由来繊維分科会」で商品開発を進め、産地企業が培ってきた紡績技術、織物・編物設計技術、染色加工技術を結集し、衣料用テキスタイルとして実用化に成功した。
07-08年秋冬に向けたテキスタイル・キーワードとして「上質・高級感」がこれまでない得票数となった。06年春夏に2位に下がったほかは5年間首位を維持してきたキーワードの勢いが止まらない。着実に「エレガンス」の流れと歩調を合わせながら、「光沢」と柔らかさ、心地良さまで加味した物作りが進みそうである。
07〜08年秋冬テキスタイル・キーワード | |||
順位 | キーワード | 得票数 | 前春夏 |
1 | 上質・高級感 | 45 | 36(1位) |
2 | 光沢 | 34 | 25(3位) |
3 | エレガンス | 24 | 20(4位) |
4 | 軽さ | 22 | 28(2位) |
5 | ソフト | 18 | − |
6 | ニット・ジャージー | 13 | − |
7 | クラシック | 12 | − |
8 | 高密度 | 9 | 8(7位) |
8 | ハリ・コシ | 9 | − |
SRIインターナショナル(米カリフォルニア州メロンパーク市)は、脂肪族ポリケトン・ポリマー技術の使用ライセンスを旭化成せんいに供与すると発表。旭化成せんいはポリケトン繊維の事業化を進めており、同繊維の原料となるポリマーの製造上で必要な一部の特許ライセンスを受けたことになる。ポリケトン・ポリマー技術は、熱可塑性エンジニアリング・プラスチックや繊維向けに開発された(開発はシェル石油)もの。高温下にも耐性や強度が失われず、次世代に向けた高性能ポリマー材料として期待が高い。用途も自動車部品や電気・電子システム、繊維、保護塗装など幅広い応用が可能とされている。
インビスタは、9月に開催されたリヨン・モード・シティー展でポリウレタン繊維「ライクラ」の新素材を発表した。ここで発表されたのは耐塩素性に優れる「エクストラライフ・ライクラ」と、繰り返し洗濯後も美しさを保つ「スーパーホワイト・ライクラ」である。エクストラライフ・ライクラはスイムウエアコレクションで披露した。塩素水に180時間浸漬後の試験では、標準のポリウレタン繊維と比べてフィット性や形態保持性が10倍優れているとのこと。スーパーホワイト・ライクラは60℃の水温で50回洗濯にも、ポリウレタン標準布よりもはるかにしのぐ黄変防止効果があるとしている。
極細ナイロン糸(11dtex)を使った軽量ナイロン織物「シルファイン10」を東洋紡が開発した。従来は22dtexを使った目付け35gのものが一般的。この場合でも羽毛の吹き出しを押さえるために樹脂加工をする必要があった。シルファイン10は紡糸技術の工夫などで強度の高いマルチフィラメントを製造、さらに織機の改造とたて糸のりの開発、マルチフィラメントを均一に並べながら繊維を押しつぶす加工で樹脂加工をせずに羽毛の飛び出しを防止する技術。目付は26gと軽量。ダウンジャケットに特化して販売。
キュプラを複合した生地を、いわなか、鈴倉インダストリー、丸萬商店の3社がそれぞれに開発した。素材面の特徴は各社の持ち味を生かした複合素材という点。いわなかはナイロン、鈴倉は化合繊やシルク、綿、ウール、丸萬は綿との複合を提案している。柔らかさや上品さ、さらっとした肌触りなどのキュプラの特徴を生かしつつ複合化で用途の拡大を目指す。3社はさらに開発を加速させて国内素材のよさを浸透させる予定。
播州織工業協同組合は、先染め織物で色柄の変化に特徴がある「播州やたら」の販売を本格化する。播州やたらは、経糸、緯糸の残糸を駆使した織物。同組合では先染め織物、再現性が不可能、経糸には綿100%を使用、柄が不規則など定義を設け、2年前から販売を開姶した。経糸の太さは10番手から50番手までで、整経時に異番手を不規則に配列、緯糸は素材、太さ、色にはこだわっていない。新たに二重織りマルチカラーでソフトな曲線を描く「クラッシュ」加工品にも力を入れる。播州やたら、クラッシュ加工品の自販は、中小繊維製造事業者自立事業の採択を得ている。
急速に経済発展するインド。BRICsとして21世紀前半に世界の成長を支える国としても注目を集めている。繊維製品の多くを中国で生産する日本の繊維業界もインドへの関心が高い。「チャイナプラスワン」に代表される第3国への生産シフトの議論が活発化しているが、すでに生産や取引をしているメーカー、商社は「インドでしかできないもの」で実績をあげている。インド政府は、07〜12年の5カ年計画で、数量で12%、金額で16%の成長、1,000万人の雇用創出を目標としている。企業も「中国ではできない付加価値の高い多様な物作り」を特徴に輸出拡大をめざしている。
竹繊維の特性を知るため、孟宗竹を用いて単繊維に分離し、かつ紙に漉いた。また竹レーヨンも試料とした。その結果、次の主な結果を得た。得られた単繊維の平均太さは15μm、平均繊維長は1.8mmであった。繊維断面にはルーメンが見られる。赤外分光に独特な吸収を示す。竹レーヨンは、よう素・アジ化ナトリウム発泡試験で窒素の発泡を生じる。また竹は成熟度により異なる物性を見せる。坑菌性は認められず、紫外線遮蔽効果は認められた。
近未来の繊維産業を俯瞰するとして、以下の記事を掲載している。 ①日本の繊維産業の将来 長島徹(日本化学繊維協会会長(帝人(株)社長)) ②繊維戦略論 梶原完爾 (大妻女子大学 教授、元繊維学会副会長) ③経済産業省技術戦略マップの概要と繊維学会への期待 渡邊政嘉 (経済産業省産業技術環境局 企画官) ④繊維技術開発の展望 太田秀幸 (同上製造産業局繊維課 課長補佐) ⑤今後の繊維・ファッション政策の展開 高柳 大輔(同上製造産業局繊維課 課長補佐)
通気性調節素材、水溶性ビニロンを用いた軽量保温素材、相変換ポリマーを用いた温度調節素材、白色系導電繊維、クールビズ・ウオームビズ対応素材、マイナスイオン素材、花粉症対策素材(カーテン)、pHコントロールレーヨン素材、抗菌防臭アクリル素材、光触媒レーヨン素材、抗ウイルス不織布、高機能防汚加工素材、耐久撥水・撥油加工素材などを紹介している。
東洋紡は、不振が続いていたポリウレタン弾性繊維「エスパ」の自社生産を年内で中止し、旭化成せんいでのOEM(相手先ブランドによる生産)に移行する。生産移行後も自社ブランドのエスパとして販売する。旭化成せんいは、エスパ仕様糸の製造可否について技術的検証など総合的な検討を経た結果、品質、数量など東洋紡の指示に基づき、責任をもって生産にあたるとしている。合繊メーカーの多くが、汎用繊維をノンコア事業と位置付けており、合繊事業の再編論も聞かれる中での他社設備でのOEM生産への移行である。今後ポリエステル繊維なども含めた合繊産業再編劇の序章とも見られる。
佐藤繊維は07-08年秋冬向け素材で、ソフトでボリュームのある梳毛糸「ロサリオ」を開発。ロサリオの原料はクリンプの強い南米産ウールで、梳毛には珍しくスポンジのような膨らみと柔らかさがある。88色の糸のストックをもつほか、独自の加工技術により、一般的に流通する圧縮ジャージの約半分の軽さに抑えたロサリオの圧縮ジャージーの販売も始める。その他、ナチュラルカラーの麻30%・アルパカ35%・ウール35%混紡糸、フィルム糸を使った光沢シリーズ、芯のスパンデックスが切れないよう工夫したストレッチ・モヘア、カシミヤ細番手(80番双糸)も開発している。
KBセーレンは07-08年秋冬用に、綿の経編地「ラ・ペレツシュ」を販売する。ナイロンやポリエステルを使った「ハイテンション・ニット」のヒットをとらえて、綿とポリエステル、ポリウレタンの組み合わせで開発。綿のニットはカットソーやインナー向けの丸編が多いが、経編は珍しい。ニットならではのツーウェーストレッチや着心地に加え、織物のような安定性があるため、シルエットが作りやすい。天然繊維の経編は製造工程で毛羽が出る難点があるが、解消しながら編み立てている。アパレル入り価格は50番手双糸使いが150cm幅1m当たり1,500〜1,600円、80番手双糸が1,800〜1,900円程度になる見込み。
スパンレースの技術を衣料、テキスタイルの加工に使う試みは、米国のジーンズの洗い工程で挑戦が行われたようであるが成功事例には至っていない。ユニチカファイバーとアイテックスが新しい加工法として開発した「アクアトップ」は、高圧ジェット水流でテキスタイルの機能を高めたり、風合い、表面感を変化させるというもの。細く針のような高圧のジェット水流をカーテン状に織物や編物にあてることで糸の形状や生地表面を物理的に変化させ、機能性を高めたり、生地に表面変化を与える。ユニチカグループは繊維そのものと染色加工、不織布生産のそれぞれの知見を持つことでこれをものにした。合繊だけではなく、天然繊維の加工、ウオッシュデニムの加工なども可能と応用範囲は広い。
糸染めで空気触媒によって抗菌防臭効果を発揮する「TioTio」加工、吸湿発熱効果を持つ「ネオサーモ」加工を西陣染色が開発した。TioTio加工はサンワード商会と共同開発したもの。空気中の酸素と水分をエネルギーとして、抗菌防臭、消臭、汚れ分解などの効果があるという。マイナスイオンを発生、雑菌も分解除去し、耐洗濯性能も有する。光触媒と異なり光を必要としないためあらゆるところで使用可能としている。対象素材はアクリル、羊毛、綿、麻。ネオサーモ加工は空気中や人体から発散される水分を吸収して熱に変える吸湿発熱加工。未加工と比較すると1℃の発熱効果がある。対象は防縮ウール。
タオル産地である愛媛県今治地区の染色加工3社が共同で、糸や生地などの繊維製品のオゾン漂白技術を開発した。開発したのは大和染工(今治市)、アベチカ(今治市)、中央繊維(西条市)の3社。繊維製品のオゾン漂白技術は世界で初めてという。繊維製品は糸や生地の加工の工程で精練漂白を必要とする。120℃程度の高温水で約1時間、塩素や過酸化水素などの化学薬品を投入して漂白している。オゾンで漂白することで常温加工が可能となり、化学薬品の使用を抑えられる。高温水を作るための重油の燃焼を必要としないため二酸化炭素の排出が少なくなり、環境負荷も減る。
日本毛織は、07秋冬向け素材として、同社の大気圧プラズマ加工を活用した画期的ウオッシャブル素材「プラズマファインウオッシュ」を開発。これにより、従来は難しかったウール・綿交織のデニムなどの商品化が可能になる。これは、大気圧プラズマ加工により、繊維表面にナノ皮膚を分子結合させ、ウオッシャブル機能を実現した加工素材。既存の塩素や樹脂加工よりソフトな風合いになる。ウオッシャブル機能を生かした、シャツ地やパンツ地が可能。紡績工程に同社独自のマルチ交絡方式(ソロスパン)を採用し、製織でも独自の高密度技術により、ソフトで軽量、ウオッシャブル機能とストレッチ性を実現した。非塩素加工であるため環境にも優しい。
御幸毛織は、撥水・撥油性加工の紳士服地「ナノスペース」を07年春夏物から本格的に発売する。従来のナノ加工素材では難しかったウール本来の風合いを損なわないことと、機能性の両立を訴求。販売先は、全国の有力テーラーや百貨店イージーオーダー売り場を予定する。「ナノスペース」は、ナノメートル単位の極小レベルの薬剤を繊維表面に起毛状にすき間なく並べることで、水や油脂をはじく性質を持たせる加工。撥水・撥油性能としては、春夏物のモヘア10%ウール75%・ポリエステル15%の3者混トロピカルの場合で、ドライクリーニング5回後に撥水性・撥油性ともに劣化が極めて小さい。
ニット糸染工場の小澤染工は、産元のオザワ繊維(両社、西脇市)と連携し一味違った織物を開発。小澤染工は、先染め織物の播州産地の中で、ニット糸を中心に染色委託加工を行っている。そのニットの染色加工技術を駆使し、従来の先染め織物に比べて、糸に膨らみ、ソフト、ナチュラルな表情、特に光沢感が強く出るなど特徴ある織物ができたとしている。生地価格は1m当たり1,000円前後で高級ゾーンが対象。販売は両社がそれぞれ行うが、輸出を先行させる。国内は最高水準といえる2,000円/mのオーダーメードシャツ地を販売する。生地には「クロス・バイ・オザワ」の名称を入れる。
東洋クロスは07-08年秋冬に向けて、柔らかく仕上げたポンディング「ムーザ」を販売する。同社の物作りの強みである柔らかさを改めて打ち出す。ムーザは、一般的なグラビア接着とは異なるスクリーン方式を採用しており、芯が残らず柔らかい風合いに仕上がる。このタイプの機械は日本では珍しい。衣料向けに使うことで独自性が出せると見ている。柔らかく仕上げるため表地と裏地の組み合わせに応じて接着剤の量を調整する。有機溶剤を使わないため、環境にも優しい。アパレルメーカー入りで1m当たり1,400〜1,500円以上。同社はボンディングのほか、合成皮革、コーティングを主力としている。
レーザー染色とレーザー縫製の応用事例が紹介されている。レーザー縫製に関しては、綿布を試料とし、2枚の布の間に厚さ170μm、幅1mmの接着剤を挟み、ステージ上に固定して75mm/sで移動させながらレーザーを照射して接合した。糸を使用した縫い目と比較して、2/3程度の剥離接合強度を持つことが確認できた。またミシンでは縫製できないプラスチックと布の接合も可能で、点(スポット)で接合したり、連続溶着も可能である。
1)世界のウエラブルコンピュータ応用製品の最先端 志水英二 知的消防服、服コンピュータの開発などを紹介している。 2)ウエラブルファッションの最新動向 大江瑞子 光ファイバー、オーディオなどを組み込んだファッション衣料(ウエラブルコンピュータ・ファッション)を紹介している。 3)電子制御式冷暖房ウエアの技術開発と市民技術の展開 板生清 ペルチェ素子を用いた超小型冷房装置を組み込んだ冷房衣服を紹介している。
YKKはユニバーサルデザインを取り入れた金属製タックボタン(UDボタン)を開発した。ジーンズなどに使用されるタックボタンは、力が必要だったり、女性が指先を傷つける心配があった。UDボタンは勾玉(まがたま)形状を取り入れたのが特徴。ボタンを留めるときは、ボタンの先を穴かがりに通し、ボタンの先を右手側で適当な位置まで回転させればよく、外す時はボタンのつまみ部を右側に回転させて穴に押し込むだけ。ジーンズ、カジュアルなどのほか、介護服などユニバーサルデザインの分野に拡販を図る。
縫製工場のトクエーは、ミシン針を管理する「針管理カード」を考案し、中日本ジューキと共同で販売を始めた。カードは名刺大で、使用前の針を差し込んでおき、折れ針や曲がった針は粘着テープでカードに固定できる。折れ針の寸法がわかる工夫や使用日や作業者名などを記入する欄もある。現場では検針機が導入されているが、このカードを使うことによって針管理の意識が高まるとともに、取引先に対する証明にも役立つという。
アパレル企業のSPA(製造小売業)化への動きが顕著な中で、その手法は各社なりの戦術が見られる。消化取引形態などビジネスモデル改革としてSPA化を取り入れ、卸偏重からの脱却が進展を見せる。またM&Aや異業種連携も含め、より新しいアプローチの仕方で競争基盤のあるSPA化でプラスオンを狙おうという動きもある。有力アパレルの中長期展望でもこのSPAが大きなキーワードになる。
ウォームビズが二年目を迎え、秋冬物商戦が百貨店を中心に本格化している。厚手のジャケットの下にベストなどを合わせる着こなしが中心。オフィス内の厚着に対し、通勤中の動きやすさを重視してコートは薄手の素材が目立つ。三越では綿製トレンチコート、西武百貨店池袋本店では綿素材で裏地のない一枚仕立ての商品に人気が集まっている。婦人衣料でも傾向は同様である。また女性向けに衣服内の温度を調節するなどの高機能下着も続々登場している。
セシールは今年度(06年12月期)不用衣料品による産業廃棄物の排出がゼロとなり、経費面でも大幅な節減を実現する見込みだ。返品商品や不良品、サンプルなど不用になった衣料品は産業廃棄物として処理業者に依頼し、焼却や埋め立てによって処分していたが、05年10月からリサイクル・リユース契約を導入した。不用衣料品は業者に引渡し、業者が海外に輸出したり、ウェスに加工したりする。使用できないハギレは固形燃料にするなど有効活用する。
この秋、「スキニー」と呼ばれる超スリムなジーンズが注目を集めている。ここ数年、裾幅が広かったり、色落ちした古着風が人気だったが、スキニーは細く上品な脚線美を強調して新鮮だ。スキニーとは英語で「皮膚状の」「ほっそりした」という意味で、脚にぴったりくっついたような超スリムなジーンズ。裾幅は普通のジーンズが19cm前後なのに比べ、スキニーが12〜14cmと極端に細いのが特徴。スキニーに合わせるなら、トップスに大ぶりのアクセサリーやベルトでポイントをつけるとおしゃれ。足元はパンプスなどかかとの高い靴に、スキニーの裾をひっかけると脚が長く見える。
服飾副資材卸の島田商事は、シキボウが開発したレーザーマーキングファイバーを使って新しい偽物防止織りネームを開発。このファイバーはコンピューターに取り込んだ文字や画像を瞬時にレーザーでマーキングできる糸。0.1mmの細さでも、1秒間に600文字を印字できる。マーキング部は優れた耐久性をもつ。肉眼で見ることはできないが、100倍ほどの顕微鏡で印字が確認できる。ポリエステル・モノフィラメントのレーザーマーキングファイバーを織りネームの一部に織り込むことで、偽物防止ネームとして開発したもの。糸の色は今のところ白と黒。精度の高いセキュリティー商品として販売を本格化する。
レディスの07年春物でドット柄が広がっている。ドットは品のある清楚な雰囲気を出しやすく、きれいめなイメージが強まりそうな来春にぴったりだ。シンプルな水玉が多かった今年とは違って、ランダム配置、大柄や四角などの変形、多色使い、先染めとさまざまなドットが登場。ジャガードなど表面変化のある生地との組み合わせも多く、水玉が多彩に変化している。
秋冬向け紳士スーツで、新素材を使った軽くて暖かい商品が相次ぎ登場している。コナカは従来より三割軽いウールのスーツを発売、AOKIホールディングスも吸湿・発熱素材を使った軽量スーツを投入する。コナカの素材はザ・ウールマークカンパニーと共同開発した空気を多く含む素材のため暖かく、厚さは同じで重量を三割減らした。AOKIホールディングスは裏地に吸湿・発熱素材を使用して上着で従来より二割軽くした。盛夏用スーツと同様に、秋冬商品でも軽さを競う動きが広まりそうだ。
アパレル大手が販売職の雇用形態を契約社員から正社員に切り替え始めた。婦人服のサンエーインターナショナルでは契約社員約1千人が正社員になった。ワールドも販売代行子会社の契約社員6千人を同子会社の正社員にした。都市部を中心に商業施設の新設が相次ぎ、出店するアパレル各社は販売職の人材確保に頭を痛めている。安定した雇用形態によることで既存従業員の定着率を高める。
スポーツ用品各社が保温性を高めたダウンジャケットを相次ぎ発売する。ミズノは吸湿発熱素材「ブレスサーモ」を使ったダウンジャケットを発売するが、皮膚からの水分を吸収することで衣服内の温度は従来のダウンジャケットより約二度高くなるという。デサントは水溶性セラミックスを吹き付けたダウンを使用した「遠赤外線ダウンジャケット」を発売する。遠赤外線効果のため、ダウンの量が少なくても保温性を保てるといい、440gと軽くなっている。
JUKIは、従来よりも生産性を高めた本縫自動玉縁縫ミシン「APW-895」を発売する。スーツ、ジャケット、パンツ、カジュアルウエアなどのポケット口を縫う専用ミシン。ダイレクトドライプ方式の採用により、最高回転数を従来機の分速2,500回転から3,000回転に高めた。大押さえ移動速度、折り込み動作などの高速化により、マシンタイムを短縮。素材の厚みに応じて折り込み板が作動するので素材対応力が高く、平均消費電力を60%削減するなど省エネも実現した。同社はこの機種で、国内29件、海外12件の特許を出願している。3,407,000円(本体、オプションなし)で、従来機よりも価格を下げた。
YKKファスニングプロダクツ販売は、防水ファスナーなどの商品群「アクアシリーズ」をスポーツアパレルや産業資材用途に販売する。防水性能により4種類の商品がある。「ウォーターR」はテープ部分に撥水加工したもの。「アクアガード」はフィルムをラミネートすることでテープ部分の防水効果を長く持続させる。「アクアシール」はファスナーを閉めたときにエレメント(務歯)が噛み合い、左右のテープを圧着させることで、防水性を確保。「プロシール」はメタルのエレメントを使い、圧着部分を2重にすることで、最も高い水密・気密性が得られる。今年度8億円の販売をめざす。
「無印良品」を展開する良品計画は、かかとの部分が直角(90度)の靴下を発売する。通常の靴下は機械で効率的に編むための都合で120度になっている。この靴下は、足裏が引っ張られるような感じがするほか甲の部分にたるみができやすい。人間が立ったときの足と地面の角度と同じ90度にすると足に密着してはきやすく、心地が良いと判断した。同社は中国の取引先工場と共同で、特殊な機械を使って直角に編むことに成功。来秋に向けて既存の商品も順次120度から90度に切り替える。現在は1足525円であるが、数量をまとめることで生産や物流の効率化を進め、420円に引き下げることを目指す。
百貨店の紳士スーツの単価が、5、6年前まで平場の中心価格が5万9千円だったが、今年は7万円を超えているところが多い。景気回復の効果もあるが、どうせ買うなら多少高くてもいいものが欲しいという購入層の購買動向の変化が大きい。ただ、今後も07年問題やカジュアル化など総需要の落ち込みは避けられず、客数減を単価カバーする戦略は続くという。
アパレル国際SCMグリーン物流実証事業委員会が会合を開いた。06年度の経済産業、国土交通両省のグリーン物流パートナーシップモデル事業の一つで、中国の縫製工場から国内店舗のアパレル物流の全体最適による環境物流モデルの設計・検討、実証を行う。
11年に大阪市内は流通史に残る激戦地になる。梅田地区の売場面積は阪急や阪神といった既存企業の再開発や三越の新規出店で百貨店だけ合わせて現在の約2倍の25万uに達する見通し。一方、難波・心斎橋を中心とするミナミなどにも活性化に知恵を絞っている。
米大型店50社の06年度上期決算は、前年同期比で売上高が11%増加したが、純利益は1%増であった。これは昨年の大型M&Aで百貨店中心に再編が進み、合併に伴う在庫評価、減価償却の統合費用の増加が影響している。企業間格差も大きく、専門店は販売・管理費圧縮により収益率が向上。
派遣スタッフのなり手が不足しており、供給が追い付かないため、派遣社員を活用する企業が人材派遣会社に支払う料金が上昇傾向にある。一般職の平均時給は春の料金改訂時に比べ10%高く、半年間としては過去最高の上昇幅。衣料品などの販売職は時給1800〜2500円で半年前に比べ5%の上昇となっている。
ICタグの国際標準化と実用化を推進するEPCグローバルは、婦人靴など実運用をしている都内百貨店を視察した。日本でのICタグ開発や活用の取り組みは、世界的に注目を浴びている。
百貨店が、都市近郊の広域型SCなどへの出店ペースを上げている。都心部でフルラインの出店が限られてきたことを背景に、SCの核店舗として出店する小型業態に事業拡大の活路を見いだそうとしている。日本百貨店協会は、約半数の百貨店がSCへの出店を模索しているとする調査結果などをもとに、「百貨店にとっての新たな成長機会」と位置づける。ただ、低い販売効率や小型業態でいかにして百貨店らしさを発揮するかなど課題も多い。
大手百貨店の婦人コート商戦が10月から、本格化する。昨年、久々に活況だったが、各社とも前年実績の確保、上積みを狙った商品確保や販売促進の仕掛けを強めている。すでにダウンやトレンチなど非ウールが動き始めており、中旬から11月初めにかけてコートの集積を一段と高める。ただ、天候要因やウールの先行きが不透明なこともあって、各社は「顧客対象と展開時期を明確にしたきめ細かい対応がカギ」と、期初の店頭情報を踏まえた修正ポイントを実需期の品揃え、販売に反映していく。
インターネット通販の新しい仕組み「ドロップショッピング」が動き出した。零細のネット通販事業者や個人が、単に商品を紹介するだけでなく価格設定までするのが特徴。アフィリエイト(成果報酬型)広告より利潤は大きい。ただ、この仕組みが普及するかどうかは決済や物流などの仲介サービスを提供する専門会社の実力にかかっている。
通販市場の拡大を背景に「通販ソルーション」や「通販支援ソフト」と呼ばれるサービスやツールの販売が活発。05年の通販市場の規模は3兆4千億円と前年比10%も増加、通販市場への新規参入企業が増えていることが大きな要因。さらに通販支援サービスが新規参入を促進している。
大手通販各社はメンズ市場に再注目している。近年、低迷していたメンズ市場だが、「ちょい悪オヤジ」ブーム、クールビズ以降は活性化が目立ち、マーケットの潜在力が見直されている。ヤング市場ではネット販売、携帯電話用サイトが先行しているが、女性向け販売がほとんどを占める大手通販でもメンズ部門を改めて強化している。
日経MJによるeショップ・通販販売調査によると、05年度の通信販売の総合売上高は2兆円(245社)で、前年度比較可能な220社の伸びは9%となった。インターネット通販が23%増と成長をけん引、特に携帯電話を使ったネット通販が54%増と躍進。いつでもどこでも買い物ができる手軽さに加え、データ通信料金定額制の普及で画像による商品の検討が簡単になり、販売チャネルとしての重要性が高まっている。
ショッピングセンター(SC)などの通路に置かれ、「仮設」「臨時」という印象が強かったワゴン店舗が変貌(へんぼう)している。知名度を上げるためのアンテナショップから出発、通常店舗をしのぐ売り上げを稼ぐワゴン店舗のチェーンが現れた。扱う商品の分野が広がり単価も上昇している。デベロッパーにとっても、なくてはならない存在になっている。
2年目を迎えるウオームビズ商戦は、昨年のようなニットベストなど単品特化型からトータルなスタイリングの訴求が軸となっている。「クールビズほどの需要喚起は見込めない」との声が大半だが、大人の男性の来店を促進するモチベーションの一つであることは間違いない。前倒しで秋冬物が活発に動いており、11月本番の盛り上がりにかかっている。
気象庁は11月から来年1月までの3か月間、気温は高めになると発表した。消費の落ち込みが懸念されるが、衣料品、家電業界では静観の構えだ。昨季、気象庁の暖冬予想が外れたこともあり、コートのファッション性を高めて気温によるブレを小さくするなど、天候は読めないという前提に立った商品構成で影響を最小限に食い止める考えだ。
1ユーロ150円前後で推移するユーロ高を背景に、インポート卸各社が価格政策の見直しを迫られそうだ。従来のようなコスト積み上げ方式の価格設定では、為替リスクも価格に転嫁せざるをえないが、値上げで競争力を失う懸念もある。それよりも市場での適正価格を見極め、維持することで消化率を高める方向だ。各社とも小売りビジネスに進出していることもあり、最終消化率を高めていくのは至上命題。日本に進出しているジャパン社との競合や海外で直接買いつけする小売店の動きが常態化する中で、インポート卸の価格の割高解消に苦慮しそうだ。
郊外型紳士服専門店で、婦人スーツ、フォーマルウエアーの扱いが増えている。売り上げ規模は大きくないが、ここ1〜2年で取り扱い店はほぼ全店に広がった。来店客の多くが妻や娘などを伴っていることに注目し、レディースウエアの需要があると判断した。ただ、商品開発も販売・接客方法もノウハウがなく、まだ手探り状態で、リクルートやフレッシャーズ企画、フォーマルに絞り込んでいる。消費者への認知度も高まれば、売り上げが伸びる余地がありそうだ。
洗濯乾燥機が本格的普及期を迎えた。ヒートポンプを採用するなど温度に工夫を凝らして乾燥時間を短縮したり、衣類へのダメージを小さくした新製品が人気である。乾燥性に優れるドラム式を中心に、オゾンによる除菌や除臭などの機能がついた高級機種の売れ行きがよいという。日本電機工業会の調べでは、05年度の洗濯機の国内出荷台数は04年度と比べ30.9%増で06年度も二桁の増加ペースが続いている。
まぶし洗いとは、前処理剤をドラム内でまぶし、少量の水で前処理剤を被洗物全体に付着させることから名づけられた。次にスチームによるミスト洗浄を行う。その後で本洗いを繰り返す。前処理剤はテクノサット10及び18(酸化漂白)。容量14キロ〈ワイシャツ40枚〉を全工程20分で洗える。再洗いが不要で、衣類の傷みが減る。三洋電機テクノクリエイ〈株〉製作のドラム式洗濯機。ふとんの丸洗いも可能で、ドラムにふとんを貼りつけて、3Gのドラム回転力により洗濯水がふとんを通過して洗う。
アイロン掛けは主婦が嫌がる家事の一つ。スプレーするだけでシワが伸びる、ライオンの衣類用スプレー「スタイルガード」は、この負担を軽減する目的で作られた。同社リビングケア研究所の野村弘毅研究員(48)は「新しい生活スタイルを提案できた」と自信を見せる。「スタイルガード」には「シャツ用」と「スーツ用」の二種類がある。使い方は簡単だ。シャツ用は洗濯した後、干す直前にスプレーすると、乾いた時に「洗濯じわ」が取れるという。スーツ用は脱いだ後に吹きかけると、生地のよれなど「着用じわ」が改善する仕組み。いずれもスプレー剤に配合したシリコーン剤が繊維の間を滑ることで折れ曲がった繊維を真っ直ぐに伸ばす。
まずパークの弱点とされる水溶性汚れについて、種々の除去方法の効果を比較した。実験に用いた汚染布は、人工汗の成分であるL-ヒスチジン塩酸塩を綿布に付着させて作成した。汚染除去率は、ウエットクリーニングが100%、パークドライとしみ抜き〈スチームスポッター〉の併用が90%、前処理とパークドライの併用が60%、パークドライ単独が60%であった。また、すす、ほこり、土砂などの不溶性汚れには、ドライ用洗剤とワッシャーの機械力によるか、またはエマルジョン専用洗剤を用いたエマルジョン洗浄により、いずれも74%の汚れが除去できる。
「ミリオネーゼ」と呼ばれるキャリア女性が消費のリーダーとして注目されている。「年収が高くよく遊ぶ、おしゃれな働く女性」といった意味で、起業家や外資系企業勤めが中心。共通するのは自分への積極的な投資姿勢。公私とも自らを磨く手間を惜しまず、バリバリ働くためにアクティブに余暇を楽しんでいる。
西松屋チェーンは21日、同社が3月末から8月末にかけて販売した男児用ハーフパンツの一着から工業用ミシン針が見つかったと発表。同一商品約6600着を自主回収し代金を払い戻す。品番は「06S−EPD421」。問い合わせ専用番号は(0120−690099)。
10月は衣替えの季節で、この節目に増え続ける服を整理し、収納方法を見直す良い機会と、衣類を上手にしまうコツをプロに聞いている。収納はしまうためのものではなく、再び使うことが前提で、不用なものを処分し、残ったものを頻度に合わせ、使いやすい場所に収めるのが本来の姿である。
日本消費者協会は、クリーニングトラブルが一向に減少せず、海外ブランド品や輸入品の増加によってかえって苦情内容が複雑・深刻化する傾向にあるとして、このほどクリーニングトラブルの事例を公表。トラブル防止に向け事業者・消費者がそれぞれ注意すべき点を提案した。「ボールペンのインクのシミ抜き依頼をしたが、どの店でも断られた」との相談では、油性ボールペンのシミ抜きは、手間と時間と費用がかかること、シミがとれても染め直す必要があることなど、クリーニング店の十分な説明が必要だったと指摘。
国民生活センターは、9月22日、男児用水泳パンツの内側メッシュ加工が凶器となり、男児の陰茎を挟んで出血させるなどの事故例が相次いでいることから、事例を公表し注意を喚起した。関連製品についてメーカーの回収例があることもわかり指摘されないまま、事故が潜在化する恐れも推測される。事故原因は、大気中より温度の低いプールで遊泳したことで陰茎の先端部が収縮。それがインナーパンツの網目に入り遊泳後の体温上昇で膨張。網目に挟まり取れなくなったと推定された。回収対象製品の回収漏れによる事故となった。
名古屋消費生活センターは、汗をかいた時や洗濯物を干す時など便利な吸汗・速乾をうたった衣料品13銘柄、と効果をうたっていない7銘柄をテスト。結果は、吸汗・速乾性 の表示があるポロシャツやTシャツでは、綿とポリエステルの混紡品が吸水性、速乾性とも良好。ポリエステル100%の製品の吸水性は、少し低めだったが乾燥性は高かった。綿100%の製品は速乾性の表示があっても通常品とあまり変化が無かった。ワイシャツは表示の有無に関係なく速乾性は良好。表示のある吸水性では高くなく表示通りの効果は見られなかった。
襟腰に吸汗パッドを使用したドレスシャツの着用快適性を評価した。春から初夏の環境設定で官能試験と生理試験を実施した結果、吸汗パッドを付けたシャツの肌触りが良く、蒸れ感が少ない感覚を受けることが明らかとなった。
日繊,〔06・10・12(3〜5)〕、繊研,[T]繊維に関する一般知識〔06・11・1(14)〕/[U]家庭用繊維製品の製造と品質に関する知識〔06・11・2(6)〕/[V]家庭用繊維製品の流通、消費と消費者問題に関する知識〔06・11・6(8)〕/[W]事例・[X]論文〔06・11・7(8)〕
繊研新聞では07年3月卒業予定の学生をサポートするため「プロへの道〜フレッシャーズのページ」企画、これだけは知っておきたいFB業界の基礎用語(アウトソーシングからリアルクローズまで24)を紹介している。
中国目財政部、商務部など政府関係5部門は、輸出製品の増値税還付率の引き下げや廃止を内容とする調整政策を9月15日から実施すると発表した。貿易黒字幅が大きい繊維製品全般が引き下げ対象に入ると見られていたが、糸・織物などの紡織品は現行の13%から11%に、衣料品は現行の13%の還付率を維持、アパレル業界への打撃は軽減なものにとどまる予定。
世界知的所有権機関(WIPO)は、04年の世界の特許出願数は約159万9千件で、うち約54万件を出願した日本がトップ。米国が2位、韓国が3位。世界の出願数は過去20年でほぼ倍増し、WIPOは、世界経済の拡大に比例して技術革新が進んできたことを示している。過去10年間で、韓国と中国が急増し、ブラジルやインド、メキシコなどの増加が目立つという。
東京ファッションデザイナー協議会が開いた「デザイナービジネスと中国市場」で、@日本の産地は転換後の状況にあるA中国アパレル企業の悩みはノウハウと人材不足B中国人は実績を上げてから利益をシェアする発想が強いと、坂口シナジープラン代表が語った。
繊維産業流通構造改革推進協議会は、「繊維ファッションSCM2006-日本大会」を開催した。取引慣行の問題を解析して全体最適の構造を目指すと同時に、最大の課題として流通との取引問題を遡上に挙げている。
①12月9日〜10日
②文化女子大学
③3次元の原理を踏まえたシルバー用パターンの作成方法、3社の3次元人体測機の原理及び特徴とデータ処理の実際、3次元計測の国家プロジェクトとデータ提供、実習(3次元人体計測機3種の見学・操作実習、他
④日本繊維製品消費科学会 TEL 06-6358-1441
①1月26日
②神戸センタープラザ西館
③西欧のクリーニング事情、クリーニング事例と対処法、ISO国際会議報告、他
④繊維評価技術協議会大阪支所 TEL 06-6358-7747
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男