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ファッション戦略会議は第4回JFW(日本発 日本ファッション・ウィーク)は日本橋で3月にCBF(クリエーション・ビジネス・フォーラム)と東京コレクションを行う。JFWのビジョンの一つである、東京をもっとおしゃれで楽しい街にする課題に挑戦する。
経済産業省は商務流通審議会の私的研究会「新流通産業研」を立ち上げた。大型店を中心とする流通産業の今後の展望を描き、新たな流通政策を検討するのが目的。流通がめざす方向性を①モノ、サービスも含めた高度な消費空間の創造②顧客との相互関係進化③ITを活用した流通効率化④高収益体質への転換⑤社会的責任の企業経営への取り込み⑥アジア大の流通産業が指摘されている。
経済産業省が「サービス産業のイノベーションと生産性に関する研究会」を立ち上げた。サービス産業は国民総生産や雇用ベースで日本経済の7割近くを占める「製造業と並ぶ双発の成長エンジン」だが、サービス産業の生産性の伸びは低く、日本では特に製造業との開きが大きい。初会合では改革に向けて、科学的・工学的アプローチ、人材育成、市場透明性の向上、地域経済の4つの視点が提起された。製造業で先行している産学官連携をサービス産業でも検討する。
中小企業基盤整備機構は、中小繊維製造事業者自立事業が07年度に最終年度を迎えるため、「もうひと押しで目的を達成する事業に対して追加支援を実施」することで成果の拡大を図る。自立事業は03年度から4年間で延べ450社が採択されているが、2ヶ年の243社中5年計画の目標を達成できる企業の32社に対して、80%程度達成できる企業が54社あり、事業を拡大していく上で、新たな課題に直面している企業などに対応して追加支援の実施を決めた。
財務省発表の06年11月の貿易統計によると、織物用糸・繊維製品輸入額は前年同月比10.7%増、衣類・同付属品輸入額は8.0%増となった。中国からの織物用糸・繊維製品輸入額11.9%増、衣類・同付属品輸入額は9.2%増だった。中国以外の主な国・地域からの衣類・同付属品輸入は、ASEAN 7.5%増、EU 6.5%増、NIES 24.9%減、米国 13.0%減。織物用糸・繊維製品の輸出の伸び率は米国 13.6%増、EU 22.9%増、中国 0.5%増、NIES 1.3%減、ASEAN 2%増、中東 20.7%増。
最後の繊維特別対策と言われた中小繊維製造事業者自立事業が最終年度を迎え、08年度以降は一般施策の活用に変わる。そのため、07年6月までに新ビジョンをとりまとめ、産地技術などを生かした中小地域資源活用促進法(仮称)などをフルに活用した「業種横断的施策活用の第1歩」となる内容になっている。
公正取引委員会の「大規模小売業との取引に関する納入業者に対する実態調査」で、納入業者が受けた不当行為は、低価格販売を志向する業態の大規模小売業者で目立っている。行為類型では「不当な経済上の利益の提供要請」「不当な返品」「不当な従業員等の派遣要請」の順。
経済産業省は、ISO(国際標準化機構)の取扱い絵表示の規格改正に関し、繊維評価技術協議会に委託して業界による事前検討を始めた。ISOは現在、取扱い絵表示(ISO 3758)の見直しと、家庭洗濯・乾燥試験方法(ISO 6330)への日本型家庭洗濯機・乾燥機の組み入れを検討中であるので、同協議会に①繊維製品取扱い絵表示等委員会②家庭用洗濯・乾燥試験方法検討委員会それぞれに消費、技術、生産流通の三つのワーキンググループを設置、生産流通ワーキンググループの事務局は日本繊維産業連盟が担当して対応する。経産省は検討結果を受けて、08年秋頃から同規程改正案の作成に着手する。
繊維関連のISO規格のうち、次の規格の2006年版が交付された。ISO 105-E16:2006
繊維関連のISO規格のうち、次の規格の2006年版が交付された。ISO 1833-4:2006
繊維関連のISO規格のうち、次の規格の2006年版が交付された。ISO 18696:2006
繊維関連のISO規格のうち、次の規格の2006年版が交付された。ISO 22196:2006
第1部:物理試験のための試験片の採取方法、第2部:く(矩)形の繊維製床敷物の寸法測定方法、第3部:厚さの測定方法、第4部:質量の測定方法、第5部:単位長さ及び単位面積当たりのパイル数測定方法、第6部:静的荷重による厚さ減少試験方法、第7部:動的荷重による厚さ減少試験方法、第8部:パイル糸の引抜き強さ試験方法、第9部:はく離強さ試験方法、第10部:水及び熱の影響による寸法変化の試験方法、第11部:磨耗強さ試験方法、第12部:ベッターマンドラム試験機及びヘキサポッドタンブラー試験機による外観変化の作成方
法、第13部:外観変化の評価方法、第14部:改良型ベッターマンドラム試験機によるカットエッジの機械的損傷試験方法、第15部:ファイバーバインド試験方法、第16部:帯電性−歩行試験方法、第17部:電気抵抗測定方法、第18部:汚れ試験方法、第19部:クリーニング方法
日本工業標準調査会ホームページの意見受付公告(JIS)規格情報参照
日本工業標準調査会ホームページの意見受付公告(JIS)規格情報参照
07/08秋冬婦人素材では、久々にエレガントトレンドが鮮明になってきた。シンプルなストレッチ素材やカジュアル素材ではなく、合繊ではマイクロファイバーを様々に駆使した高密度織物やジャージー、トリコットなどが人気である。コットンおよびウールでは、画期的な新素材も誕生しており、新たなトレンドの下地となっている。ここでは、産地企業も含めた主要企業の新素材を紹介している。
ウール原糸の価格が上昇を続けている。ウール100%60番手双糸は、市中相場が1,400円台/kgまで上昇。来年のオーストラリア羊毛の干ばつによる減産予想もあって、この上昇傾向は少なくとも年内から来年年初まで続くと予想され、07〜08年秋冬物生産に影響しそうである。とりわけここにきての急上昇は、日本向け原糸のメーン供給地である中国メーカーが①原料の高騰によって原糸の販売価を上げてきた②原毛の逼迫によって引き渡し時期を延ばし始めたため、供給がタイトになってきたことが原因。その他、国内製造によって原糸を調達してきた時代には考えられなかったリスクも表面化している。
豪州の羊毛研究開発機関オーストラリアン・ウール・イノベーション(AWI)は、07年8月から豪州産高級メリノウールの需要拡大を目的にマーク認証制度を始める。消費の多様化や、合繊を中心とした他素材の増産により、羊毛が衣料素材に占める比率は相対的に小さくなっている。そのため、AWIは豪州産に限定した新たなマーク制度で、豪州産高級メリノウールの活性化をめざす。
石川の産地企業が、多彩なテキスタイル開発を進めている。合繊メーカーの多彩な原糸群を活用するだけでなく、独自の加工や技術を原料段階から加え、極細フィルムや糸起毛商品など、バラエティーに富んだ商品開発が活発になってきた。ただ、自らリスクを負う自販については、まだまだこれからという企業が多いようである。ここでは、07/08秋冬に向けた石川産地の内容を紹介している。
帝人は、次世代ポリ乳酸繊維として飛躍的に耐熱性などを向上させたポリ乳酸繊維を開発、08年度中に事業化を検討する。次世代ポリ乳酸は、京都工芸繊維大学と武蔵野化学研究所との共同開発。米国ナチュラルワークス社から調達する従来のポリ乳酸繊維とは異なり、ポリマーから重合まで原料から自社で一貫生産する。耐熱性を飛躍的に向上させ、耐熱温度はPBTプラスチックを上回る220℃となるため、繊維製品とした時にアイロンがけやドライクリーニングなども可能となる。すでにラボレベルから年産数十トンの生産段階に入っているという。
東レは、クチュールの原点を追求した新素材「ソワニール」を開発、07秋冬向けから本格販売すると発表した。高級ゾーン、上質なエレガントテイストのコート、ドレス、ジャケット、ボトムスなどに売り込む。シルキー素材に求められるもう1つの要素を、新規海島型極細繊維とテキスタイル設計、高次加工の組み合わせで実現した。技術面での最大のポイントは、単糸繊度が0.18dtexと非常に極細であるにもかかわらず、繊維表面でのランダムなミクロボイド発現に成功したこと。島成分ポリマーに特殊な微粒子を配合することで、難関を克服した。この新技術がソフトでしなやかなハリ感、シルクのようなつややかな光沢、独自の細やかなきしみ感、なめらかで繊細な肌触りなどのいくつもの特徴を生み出している。
ユニチカファイバーは汗処理にポイントを置いた、08年春夏スポーツ向けの2素材を打ち出す。その一つ、クーリング素材「打ち水」は吸水拡散と気化促進機能の2種類のポリエステルを交編した、気化熱利用の新発想クーリング素材である。拡散した汗は、遠赤外線を持つ鉱物を練り込んだ糸で蒸発加速され気化熱を生み涼しくする仕組み。二つ目は汗もどり防止機能素材「スイコム」の進化版の「スイコムα」で、肌側の汗もどり防止層を従来の後加工から疎水性の高いポリオレフィン系繊維を使用している。前者は1m当たり700円、後者は850円。
カナダのジャックカルティエクロージャーは、ジャコウ牛の産毛、キヴィアックを手編み毛糸として販売する。キヴィアックは中空構造のため、軽く、ウールの8倍、カシミヤの2倍暖かい。キヴィアックは北極圏を中心に18万頭いるが、抜け落ちた毛を拾い集めて使うため、毎年、採集できるのは700s。収縮しにくく、ウールと同じ取り扱いができる。18色準備されており、価格は5,400円。
東レのテキスタイル事業部門は、環境配慮事業を最重要課題に位置付けて環境配慮型スポーツ新素材を来年以降相次いで販売する。2010年には、売上高を倍増の300億円に高める意向。方法には、各種リサイクルと環境配慮型素材があるが、現在はポリエステルのマテリアルリサイクルが中心。今後は新素材を含む素材販売とナイロンのリサイクルを進める。新素材は、水系ポリウレタン樹脂を使用した透湿防水素材「エントラントE」、有機溶媒を使わず溶融紡糸するセルロース繊維「フォレッセ」、バイオ法によるトウモロコシ由来のPTT繊維「フィッティE」、合繊クラスターで開発した大豆タンパク繊維「アミノス」の四つ。
東レは高速道路の遮音板用ポリエステル吸音材「シンセファイバー」を開発した。高速道路の遮音板の主要部分である標準型遮音板(略称、統一板)にはグラスウールなどが使われるが、ポリエステル繊維使いは初めて。同吸音材は3層構造の複合不織布で、表層には同社のポリエステルスパンボンド不織布「アクスター」(撥水加工、不燃加工品)、中層には細繊度繊維、下層には太繊度繊維(再生ポリエステル中心)による短繊維不織布を使用。熱融着繊維により成型している。細繊度、太繊度不織布の2層構造により、高周波、低周波の音を吸収。吸音性はグラスウールと同程度で、目付がグラスウールよりも軽い。
日本毛織は、梳毛150番双糸使いの織物を開発し、07〜08年秋冬物から高級紳士服向け中心に販売する。13.5ミクロンの細番豪州羊毛を使用し、原料特性を生かしながら150番手糸を紡績、織物はションヘル織機で2/2の綾織に仕上げた。反染め工程も時間をかけ、ぬるみ感のある手触り、深みのある色合いに仕上げている。糸だけの細番手化は、180番手クラスの開発も行われているが、実際の服作りではこのクラスが最も繊細な梳毛織物となる。
天然タンパク質の一つであるセリシンを応用した新冷却素材「フレシール・モイストチルド」をセーレンが開発した。セリシンは保温性や吸・放湿性、性電性などに優れた物質であり、繊維素材への後加工剤として応用することに成功した。ポリエステル、ナイロンを中心に複合加工も可能で、洗たく耐久性にも優れており、アクティブスポーツ用途を中心に提案。
帝人はセ氏1200度にも耐える断熱性と耐久性を両立した消防用の生地や、マイナス数十度の極寒でも使えるケーブル補強材など「極限状況」での利用を想定した高強度のアラミド繊維を開発した。大規模な災害現場や資源開発の現場などでの需要を見込む。価格は1kgあたり3千円〜4千円とポリエステルなど汎用繊維の10倍以上になるが、高い利益率を生かせる用途を開拓する。
特殊糸企画販売のビエント(一宮市)は、卓上撚糸機「ねじりっこ」を開発し、このほど繊維総合展ジャパン・クリエーション2007秋冬展(東京)で初めて紹介した。デザイナーや企画会社、手編み教室、専門学校などに販売する。価格は22,000円。今年8月に製造特許を出願し、年間約50台製造する。同機はフライヤー式の撚糸機を小型化したもの。S撚り・Z撚りのほか、甘撚りも4段階で掛けることができる。また色糸を組み合わせてメランジ調などの表現ができる。「企画開発に携わっている人が簡単に撚糸ができないか。テキスタイル開発のヒントにならないか」として開発したという。
帝人ファイバーの「エアロカプセル」は、“水に浮く繊維”をめざして開発されたポリエステル長繊維の中空糸。中空糸を作るには、紡糸後に中身を抜く方法もあるが、一気に中空の糸を引く方法を選んだ。カギは紡糸の口金にある。エアロカプセルの断面は丸に見えるが、実は四角形で異型断面の発展形。繊維に切れ目がない長繊維はドーナツの穴の部分を作ることができない。検討を重ね、円を四つに区切り四枚の壁を組み合わせた口金を開発、皮膜を一定の厚みにしたのがポイントである。05年に発表した「エアロカプセルマニフ」は、1dで中空率20%。従来より細い分、柔らかさも増した。
合繊メーカーの08年春夏向けスポーツ素材は、近年続いた薄地・軽量化の開発競争が落ち着き、吸汗速乾、冷却など汗処理機能を高めた新素材が広がっている。旭化成せんいは、特殊加工のキュプラ「ベンベルグ」を使い、汗により編目が開閉する湿度コントロール素材「バイオセンサー」と吸汗速乾ポリエステル「ミクロライン・ウィズ・テクノファイン」。ユニチカファイバーは気化熱による新発想のクーリング素材「打ち水」とポリオレフィン系繊維で汗戻り防止機能を高めた「スイコムα」。東レは吸汗速乾のシリーズ頂点素材として、ニットの「フィールドセンサー秒乾」と織物の「キュービツクセンサーEX」。
国の補助事業として、(社)化学繊維技術改善研究委員会では、全国の大学や公設研究機関で繊維関連の研究を行っている研究者とその主要な研究テーマを掲載したデータベースを作成した。同データベースには、都道府県の公設試験場で繊維関連の研究を行っている機関の研究テーマも紹介されている。中小企業などで、外部シーズを活用した繊維研究を進める上で非常に参考となるデータベースである。
(http://jnet21.smrj.go.jp/seni/06/index.html)
ポリ乳酸繊維の環境負荷特性、製造法と一般的性質、高機能性(生分解性、抗菌性、防炎性、耐光性・耐候性、期待される用途分野、今後の技術課題(耐熱性の向上)などを紹介している。
3GT繊維とは、正式にはPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)繊維である。PETがテレフタール酸とエチレングリコールから重合されるのに対して、PTTは、テレフタール酸とプロパンジオールから重合される。特徴は、適度な伸度にある。PETとPTTをバイメタル構造とした複合糸からなる素材“フィッティ”のストレッチ特性を解説している。
日東紡インターライニングは、11Dの世界最細番手加工糸を使用した最軽量芯地を開発した。「細い糸で基布を作る技術」「薄い基布に樹脂を乗せる技術」「接着後に樹脂が染み出さない加工技術」の三つが技術的要点である。同社ではこの芯地に超強力接着樹脂SDDC加工を施し、シリーズ展開する。シフォンなど透ける素材やコーティング難接着素材対応用途の他、全面接着仕様対応では、8ポイントの粗ドット樹脂を展開。従来の「薄手基布に粗いドットを乗せた芯地はアタリが出る」という業界の常識を逆転した。
すでに物作りが始まった07〜08年秋冬向けテキスタイル。人気は06〜07年秋冬に引き続き、日本が世界のトップクラスの高密度織物。遠くからは無地に見えながら、微妙な織り目の陰影がある物が増えそうである。売れ筋はツイルなど畝の立つ織物に集中。なかでも横畝が多い。横畝が強めに出るタイプが07年春夏のスプリングコート用から増えだした。光沢や上品な仕上がりが重要視される中で、ツイルは“女優コート”風に少し丸みを出すように、立体感をややつぶす感覚に向くため、引き続き人気がある。横畝は世界の流れとして定着し、輸出も含めてグログランやタッサーも増加している。
中国・商務部が06年から進める「東桑西移プロジェクト」により、これまで養蚕の主力産地であった山東省、江蘇省、漸江省から、新彊ウイグル自治区、青海、四川、雲南、広西チワン族自治区などの地域に急速に移動している。また商務部は、資本金1億元以上、年間売上高1億5千万元以上、連携農家3,000戸以上の独立企業をリーディングカンパニー(龍頭企業)として指定し、これを中心に養蚕業の産業化を一気に進める構えである。これら龍頭企業による東桑西移プロジェクトの進展により、10年には年間の繭生産量は87万トンに達し、世界総量の約75%を占める見込みである。
大正紡績は、日本の伝統的染色技法であるべんがら(紅柄)染めの糸「古色の美」を販売する。大阪府羽曳野市在住のべんがら職人、中島留彦氏と共同で紡績糸を開発したもの。衣料、ホームテキスタイル用途などを見込んでいる。同氏は、べんがらで綿を染める方法を研究、べんがらが繊維の中に入り込むほど細かくつぶし、バインダー(糊)にカゼインを使用、しなやかな風合いにするため菜種油を加える技法を開発した。洗濯してもほぼ色落ちすることはない。綿、絹、麻、和紙素材などにも染色は可能としている。また、紅色だけでなく茜(あかね)、琥珀(こはく)、蘇芳(すおう)など12色を出せるようにした。
合繊メーカーが革新的製造技術の開発に拍車をかけている。中国勢の追い上げによって、今後も日本勢の量的劣勢は避けられそうもない。中国勢は年々、質的充実にも力を入れており、日本が合繊産業で生き残りを果たすには差別化素材の開発はもとより、もっと先を見据えた先端的な素材、あるいは革新的な技術をラインアップし続けることが唯一、有効な方策といえる。ここにきて、世界初をうたう革新技術の登場が相次いでおり、メーカーは絶えざる技術の新陳代謝をあらためて加速している。ここでは、最近の合繊業界の技術開発動向を紹介している。
艶金興業は、食品の原料である果物などの廃棄物から採った色素で染めたテキスタイルを、「ツヤキンロハス染色」のネーミングで提案。このほどエコプロダクツ2006(東京)で初めて紹介した。岐阜県、愛知県の食品メーカーや菓子メーカーと取り組み、環境を配慮した染色整理の可能性を追求するとともに、地元の原料を使って染色することで、「地産地消」の地域ブランドとしても訴えていく。栗の鬼皮、小豆の皮、柿の皮、ピーナッツの渋皮や大豆のしぼりかすを用い、独自の染色方法で、アパレル業界が求める染色堅ろう度もクリア。ナチュラルなカラーと実用に耐えうるテキスタイルとして提供する。
艶清興業(一宮市)とテフコ(大阪市)、堅牢防水化学(京都市)の3社は、ウール100%素材で、水洗いにも耐えるレベルの高い耐久性能を持つ光沢(チンツ)加工「サイバーコート・チンツー加工」を開発した。特殊な薬剤による織物の樹脂加工とカレンダー加工条件の最適化、さらに耐久性を高めるための後加工を巧みに組み合わせることで「世界で初めて」、ウール100%織物の上品で高質感のある耐久光沢加工が実現したという。光沢の耐久性はドライクリーニングはもとより、水洗いにも耐えるレベルで、水滴を落として押し付けてもウオータースポットは残らない。加工料金は1m当たり500円。
フランドルの子会社で、素材やデザインなどの開発を行うイネド・ビジネス・ファッション・プランニング(IBF)は清原、三景と共同で、従来の足つきボタンよりも取れにくく、きれいに並び立つ「IBFボタン」を開発、特許を申請した。従来の足つきボタンは構造上、一つ一つのボタンが別の方を向いてしまい、美しく立つ状態を維持するのが難しかった。IBFボタンは、足の部分の形状を変えることで力点を作り、こうしたデメリットを解消した。従来のボタン付けミシンが使用できるため、型を作る初期投資以外に大きなコストはかからない。
ユニフォームメーカーのフォークとワコールは、女性看護師用のナースウエアを共同開発した。ナースウエアはゆとり量が多くシルエットの美しさが犠牲にされ、またボディーラインを強調したものは動きにくいという欠点があった。開発にあたってはワコール人間科学研究所の「皮膚伸展基準線」理論を基準にした。人体が動く際の皮膚の伸縮の多い部分と少ない部分の境界を「切り替え線」として、より伸縮する部分に素材の伸びる方向を設定するという理論である。ワンピース、チュニック、パンツはポリエステル製で従来比30%軽量化。吸汗速乾性、紫外線遮断性、帯電防止性に優れ、透けも防ぐ。
素材のさまざまな機能を十分に発揮する分野の一つがスポーツウエアである。世界でもトップレベルにある日本の素材開発技術を背景に、スポーツアパレル各社ではその機能を生かした商品開発、販売を行っている。ここでは、来春夏向けを中心に、消臭、クーリング、アンダーをキーワードとして、今注目の機能商品を紹介している。
服飾資材製造卸のモリトはアルミニウムを原料としたホックを開発、色ぶれせずに塗装することにも成功し、販売を始めた。真鍮や鉄製のホックの約半分の重量。アルミホックの開発は世界で初めてという。アルミニウムは素材としては弱く、曲がりやすいため、これまでホックの材料として使用することができなかった。同社は成型後、強度がかかる部分に使うバネを真鍮製から樹脂製に切り替え、アルミにかかる力を分散させることで型崩れを抑える技術を開発した。また染色は、アルマイト処理後、特殊加工を施した上、メタル調の塗装をすることで着色に成功、色ぶれをなくし、堅牢度もクリアした。
不動産事業のゼファー(東京)はカンボジアの首都プノンペン市近郊に、現地民間開発会社との合弁で経済特区開発事業(SEZ)による輸出振興工業団地「プノンペンSEZ」(PPSEZ)を造成する。12月から着工し、第一期は08年1月から稼働の予定で、縫製業など日本企業を誘致する。同事業は、カンボジア政府と日本開発政策研究所(JDL)が計画したもので、05年12月の経済特区法制定後で第一号の認可。法人税控除、輸出入関税・付加価値税が免除されるなどのメリットがある。
中国のアパレル工場で労働力の確保が難しくなってきた。値頃な価格の製品を製造販売してきたアパレルメーカーは、企業戦略の見直しを迫られ、華東や華南では04年ごろから工場労働者の不足が顕著になっていたが、来年2月中旬からの春節(旧正月)を控え、来春物の生産能力不足の声が強くなっている。このため東北部や内陸部に生産をシフトする動きもあるが、全国的に最低賃金が引き上げられ、人件費は大幅に上昇の気配。労働力確保のための負担増に加え、人民元の切り上げや原材料費の値上がりで生産原価アップは確実で、従来の小売価格に合わせた生産ができなくなる事態も予想される。
半導体や製薬、食品工場などで着用する防塵衣。クリーンルームの作業環境には、着用者や素材からの発じんはもとより、静電気や異物混入の防止まで、要求されるレベルは極めて高い。市場拡大の一方で、防塵衣は機能面で成熟傾向にあり、ウエア単体での差別化が難しい。そうした状況下で東洋リントフリーはマーケティングを強化、ゴールドウインやミドリ安全は他分野での実績を付加価値に転嫁する方向で、07年の市場に臨む。ここでは、業界のイノベーション(技術革新)を支える各社の提案を紹介している。
三陽商会は07年1月中旬から、百貨店コート売場で展開する紳士対応の「サンヨー」ブランドで、「花粉プロテクトコート」を発売する。同コートには積水化学工業が開発した高機能フェノール系ポリマー(抗アレルギー特殊加工剤「アレルバスター」)を小松精練が特殊加工技術によって具現化した「アレルビート」を表面に加工した素材(ポリエステル100%)を採用。同素材を百貨店紳士コートで展開するのは、同ブランドが初めてとなる。高密度ポリエステルマイクロファイバー素材は滑らかな表面感を持ち花粉や塵がつきにくく、また素材表面に付着した抗アレルギー剤が包み込み働きを抑制する特性を持つ。耐洗濯性にも優れ、撥水効果もある。
自宅や就寝用に締め付けの少ない下着を購入する女性が増えている。補正下着の利用者を中心に自宅ではゆったりくつろぎたいというニーズをとらえたようだ。ワコールの就寝用下着は、眠っているときの姿勢を考え、肌に負担をかけずに胸の形を整えるよう設計した。計画した4倍を販売するなど好調。グンゼは薄くて軽い生地を使い、総重量を従来の半分の約20gに抑えて、ワイヤーは柔らかい樹脂フレームに変更。自宅でヨガをするときに着る女性も増えているという。
東レと米パタゴニア社は再生ナイロン素材を使った衣料品を日本を含む世界12カ国で来年秋冬物から発売する。東レがナイロン生地製造工程で出る規格外の繊維を生地にしてパタゴニアに供給する。パタゴニアは登山用パンツなどに商品化し、販売する。従来の衣料品よりも製造工程で使うエネルギーや排出される二酸化炭素が3〜5割程度削減できるという。価格は通常品よりも2〜3割高くなる。将来は販売した衣料品を回収・再生し、再び販売する仕組みを両者で構築する。
商社のOEM(相手先ブランドによる生産)事業の低収益化に歯止めがかからない。素材調達から製品化、物流、商品企画までアパレル企業や小売業から求められる機能は増える一方なのに、納入掛け率は下がりっぱなし。もうけが削り取られる構図が続いている。収益性を回復するには取引先企業から機能に見合う口銭を得られる環境や認識を得るしかない。自助努力だけではもはや限界だ。一方で契約概念の緩いアパレル業界の取引慣習がコンプライアンス(法令順守)上、無視できなくなりつつある状況もあり、低収益が続けば、取引条件の見直しや存続の判断も含めた抜本的なOEM事業の再構築の動きにも広がりそうだ。
メンズファッションで自動車ブランドとの協業が増えている。どちらも男があこがれ、こだわる定番として昔から近い関係にあった。しかし最近は単発のダブルネームではなく、相乗効果を共有する関係に深まりつつある。自動車産業もブランドイメージや顧客満足を高めるうえで、ファッション分野の活動を強化している。富裕層を中心に、ファッション需要を掘り起こし、一大市場となる可能性もある。
大阪の3団体が合併し、07年4月1日に発足する協同組合関西ファッション連合(KanFA)の理事長に決まった。合併調印式で「リーディング団体として引っ張って欲しいと依頼され、根負けした。受けた以上は全身全霊をかけて業界の発展・育成に貢献したい」と語った。大阪アパレル協同組合と大阪織物卸協同組合、大阪ニット卸協同組合が合併すると企業数は724社、年間販売高(全事業所ベース、総合商社7社を除く)は3兆137億円、従業員数は3万6853人になる。
消費者へのアプローチとして従来手法を大きく覆したのが「東京ガールズコレクション」。小売りの現場を大きく変えた一大ファッションイベントはその規模を拡大、アパレル・流通協業の一つの方向を示す。20代前半から30代前半を主力ターゲットに約2万人を集客。参加を希望するメーカーやブランドも増加し、業界で影響力を強めている。携帯電話の人気サイト「ガールズウォーカー・ドットコム」を運営するゼイヴェルが、同イベントの仕掛け人。ちなみに「ガールズウォーカー」のサイトはピーク時アクセス数が30億PV(ペーパービュー)を突破した。
①これからのファッションビジネス、②アパレル生産の概要、③日本アパレル中国進出のキーポイント、特集:各企業のイチオシ商品紹介 \2,100 高見俊一・二宮清延・彭憲共著、申込先:繊維流通研究会 06-6351-8101 日本衣料管理協会会員割引多少あり
アウトレットモールは08年までに3万u超えが6カ所出来、大型時代を迎える。既存の施設での客数の伸び悩みへ対策と、競合する大型施設に対応する狙いがある。
日本百貨店協会と日本アパレル産業協会が共同で策定、普及しているビジネスモデル「コラボレーション」取引による商品取扱高が06年度に600億円を超えることが分かった。コラボ取引は、消化率と納品率を約束して機会ロスを削減、顧客満足度を最大にすることを主眼にした取引改革モデルで、衣料品分野以外にも広がりをみせている。
大手量販店がレディスのLサイズ服に力を入れている。Lサイズ売り場が消費者の目に留まるようになり、これまで売り逃がしていた客層を獲得したかたち。ただ、売り場が飽和状態で、ヤングが頭打ちのこともあり、顧客の奪い合いが強まる。
生活協同組合の衣料品取扱いが減少している。カタログから店頭販売へ90年代前半に拡大したものの、売上高が伸び悩み、大半がインナーを残し店頭販売から撤退した。同じ経緯をたどったSM企業同様「選択と集中」で、食品特化のため衣料を切り捨てた側面が大きい。
日経MJ歳末商戦や新店舗の開業に向けた人材確保についての小売り等主要53社の調査によると、パート・アルバイトが「大変不足」が10社、「やや不足」が38社で、全体の9割超が人手不足を訴えた。人手不足を補う戦力として、外国人の活用は既に77%が雇用しており、貴重な戦力となっている。
セレクトショップという“カタチ”が生まれて30年余りになる。国内外のブランドを問わず、店のテーストに合わせて仕入れて、編集して売るというのがセレクトショップの概念。しかし、その概念も大きく変化した。シーズンの端境期の商品としてスタートしたオリジナルは、今や利益の中心となり「3割が仕入れ、7割がオリジナル」と揶揄される。セントラルバイイングのセレクトチェーンは2000億市場に膨らみ、出店競争も激しさを増している。
中国の小売り販売総額(社会消費財小売総額)は04年1月以来10%超の伸びを続けており、今年は6兆元の大台に乗ると見込まれ、来年は8兆元に拡大、さらに商務部は10年には10兆元が可能と想定するなど強気の予測をしている。中でも上海市は04年の10.5%増の2454億元が、05年は21.1%の大幅増を受け2973億元を記録、今年は大台替わりの3300億元に達する勢い。このうち衣料関係は05年で381億元、12.8%を占めている。(全国ベースは9.5%)。
中堅アパレルメーカーが地方都市のファッションビルや駅ビルで、地元専門店と販売代行やFC契約を結んで出店するケースが増えている。首都圏を中心に成長したブランドが、地方で多店化する動きが拍車をかけている。3日で開業1カ月を迎え、予算を2割強上回った金沢フォーラスは、全テナントの3〜4割が地元専門店。販売員の確保や地方商圏の見極めなど、中堅アパレルが地元専門店の力を借り、ビジネスを拡大しようとしている。
販売員のなり手がない―。昨年12月、有効求人倍率が13年3カ月ぶりに1倍台になり、人材採用の市場は買い手優位から売り手市場に変わった。ファッション業界でも、都心部を中心に販売員の確保が極めて難しくなっている。求人広告を出しても人が集まらないため、出店を断念した企業もある。各社とも採用活動に躍起になっており、大手企業では販売員の正社員化の動きも活発化している。販売員を取り巻く雇用環境は大きく変わり始めた。
大手通販が今年創刊した新カタログは、40歳以上の女性を対象としたカタログが目立った。若者向けにはインターネット専門ショップや携帯電話用サイトも増えているが、ペーパーカタログでは改めて中高年代の取り込みを図っているようだ。来年発刊の新カタログについては「まだ公表できない」という企業が多いが、ホーム・ファッション、ランジェリー、メンズなどターゲットを絞り込んだカタログが増えそうだ。
「ルイ・ヴィトン」など海外高級主要8ブランドの2006年までの三年間の出店動向を日経MJが調べたところ、既存店の移転・改装は34店舗で、東京・銀座などで大型店開業が相次いだ04年の1.6倍。半面、新規出店は微増傾向。景気拡大を受けた百貨店の改装などを背景に、効率よい投資で増収を目指す格好だ。
07年もファッションビルやSC商業施設の開発が目白押しだ。繊研新聞社が調査したところによると、開業予定施設は50カ所(地域SMを核にしたNSCを除く)を上回る。大都市中心部とその近郊で開発が進み、イオン系ディベロッパーは郊外で大型開発に取り組む。百貨店も大丸や高島屋が食品に特化した新業態を出すほか、丸井は有楽町や新宿に新店を開業する。アウトレットも新設、増設が増え、ライフスタイルセンターも萌芽期を迎える。
野村総合研究所が、ネットビジネスの主軸は、パソコンから携帯電話に移りつつあり、今後は特に消費者向けネット通販など携帯電話向けサービスが大きく成長すると予測。ネット通販は06年度予測で3兆8千億円、11年度には6兆4千億円と1.7倍、そのうち携帯は1兆2千億円2.7倍伸びる。
日本チェーンストア協会、日本百貨店協会、日本フランチャイズチェーン協会の大手小売り3団体が地球温暖化防止に向けたエネルギー消費削減の取り組みを強化する。自主行動計画で、店舗当たりエネルギー消費量の08〜12年の目標数値をこれまでの「基準年の水準維持」から「削減(改善)」変更する。
今年も2日からのスタートとなった百貨店の初売り。各社オリジナルの福袋を多数用意し、販売個数を増やすなど万策を尽くして、準備を整えた。景気回復も後押しして、高額の福袋なども順調な動きを見せ、売り上げも過去最高を記録した06年をさらに上回る結果を記録するなど、07年も好調なスタートを切った。
アメリカのR・R・ストリート社が開発したグリコールエーテルで洗い、液化炭酸ガスですすぎ・乾燥するドライクリーニングシステム。洗浄に用いられる溶剤は、グリコールエーテルを主成分としてフォーミュレートされたもので、水を溶解するため水分検知機を備えて最適水分量に制御する。溶解度は、ハンセン溶解度パラメータにより3つの観点すなわち分散溶解度〈KB値に相当する〉、極性溶解度、水素結合溶解度で表され、汚れの種類に対応した溶解度を示す。廃液は生分解性で環境に優しい。生地を傷めず、残臭はない。引火点は100.4℃なので、商業地域での利用には制約を伴う。また高圧ガス保安法が適用される。
厚生労働省は06年3月末現在の施設数を発表した。総施設数は147,395件で、昨年より3,358件減少し8年連続の減少となった。クリーニング設備を持つ一般クリーニング所は41,998件で、昨年より666件減少。取次所は105,134件で昨年より2,955件減少した。
最近、夜に洗濯をして室内で乾燥する人が増えている。そこで05年5月に兵庫県の一般家庭に郵送調査を行い、室内干しの実態調査を行った。有効回収率61%で417票を回収した。その結果、8割が室内干しを行い、干す場所は半分が居間であった。浴室は26%であり、その59%は浴室乾燥機を使用していたが、居間の場合は乾燥設備を用いない者が多い。気になることは洗濯物がカラッと乾かない、臭うなど。著者はほかに室内干しに関する実験も行い、洗濯物の種類、ハンガー、扇風機の使用、脱水時間による乾燥度合いの違いを調べて、結果を報告している。
秋冬物の流行素材である多様なダウン中綿と紳士服のベルベットについて、まず構造を写真と図により紹介し、その製法とそれからくる取り扱い(特にクリーニング)の注意点が述べられている。ダウンは鳥の胸にある保温性の高い毛で、羽根部分の毛であるフェザーと区別される。フェザーは、ダウンに嵩高生を与えるために混用される。クリーニングは、ドライで洗うと油脂分が抽出されて際つき事故のもとになるので、水洗いをする必要がある。ベルベットの取り扱いでは、V字パイルのパイル抜けに注意が必要である。生地の裏側から摩擦すると抜けやすいので、洗浄やタンブラ乾燥の際に注意する。
水を使わず、高濃度の洗浄液を噴霧することで、生地から汚れを浮き出させる。洗浄液は蒸気に専用洗剤を加えたものである。節水率は40%、洗いの時間は半分、節電率が55%になる。前処理が必要な被洗物は7〜8%程度。独特のほぐし機構により、ワイシャツのからみをなくした。業務用洗濯脱水機として、三洋電機が07年1月から販売する。
東京都生活文化局では、11月27日「マイナスイオンをうたった商品」のインターネット広告の表示について科学的視点から検証を行った結果、効果・効能に関する表示は客観的事実に基づくと認められなかったと発表した。インターネット通販の事業者について、マイナスイオンに限らず客観的な事実に基づかない表示を行っている場合が多いことも指摘した。布団、携帯マイナスイオン発生器、空気清浄器、ネックレスなど8件の商品に関して景品表示法の観点から調査を実施。事業者からの報告徴収内容を科学的視点から検証した。
東京都が10月、初めて行った「子どもの衣類にまつわる危害・危険調査」によると、「上着のひもが遊具にからまり窒息しそうになった」「ファスナーで顔や首を引っかいた。皮膚を挟んだ。」など、子供服によって危険な目にあったり、けがをしたりしたことのある人が8割近くに上った。都はこの結果を踏まえて、安全基準や相談窓口の充実、消費者への啓発活動を検討し、国や業界団体などに要望する方針。
茨城県消費生活センターは、別珍商品5品目の表示や品質を調査し、着用経験などのアンケートを行った。家庭用品品質表示法においては、1品目に裏地の組成表示が無かった以外はいずれも適正であった。原産国表示は、すべてが中国で、縫製はしっかりしていた。摩擦で色落ちや色移りなどが生じやすかった。パイル糸は、抜けにくく、生地強度にも問題は無かった。別珍製品を所持した経験のある人は7割。着心地は普通、良いがほとんどで気になる箇所はひざとヒップ。摩擦に弱い点を気にしているのがうかがえた。
岩手県立県民センターは、汗を吸って(吸湿して)発熱すると表示のある肌着13商品とそうした表示の無い3商品の計16商品の保温性や吸水性についてテストした。家庭用品品質表示法で規定されている表示は全商品にあった。通気性は吸湿発熱商品が高い傾向だった。透湿性はタイプ別の差は無かった。保温性は、18.4〜32.8%あり、吸湿発熱商品の方が高い傾向だった。吸水性は、1秒で給水するものから10分経過しても吸水しないものもあった。毛玉が発生しやすい商品もあり、洗濯による首周りの伸びがほとんどの商品に見られた。厳寒時の重ね着には、吸湿発熱商品を肌側に着用した方が効果的とアドバイス。
肌着の触感に及ぼす環境温度の影響を着用感により評価した。その結果、夏用試料と冬用試料では着用感による官能評価は異なり、前者ではさらっとした感じや軽量感があり、ゆるやかなものが多いのに対し、後者では肌触りがよく、しなやかさに配慮したものが多い。嗜好性では夏用試料では34℃の環境下で、冬用試料では22℃の環境下でより快適または好きの方向にシフトする傾向があった。また因子分析によっても着用感における環境温度の影響が確認された。
暑熱環境で運動を行った場合のシャツの熱・水分移動特性と着用快適感を測定した。発汗が常時起こる暑熱環境では、ウイッキングを起こしやすく衣服表面に素早く汗を移動させるような素材着用時に体温調節が効率よく行われた。このような環境下では綿よりもポリエステル含有量が多い方が肌に張り付きにくく、快適であった。快適感は引っ張り仕事量WTと相関が高く、また好感度はせん断ヒステリシス2HGと相関が高かった。
都は従来のホームページ(HP)を一新し、消費生活に関する情報を一元化して提供する「東京くらしWEB」を1月15日に開設する。くらしWEBでは、「消費生活相談FAQ」で、都消費生活総合センターに寄せられた約400件の相談事例と対処方法を検索できるようにする。また、希望者にメールマガジン「東京くらしニュース」を月2回配信する仕組みを整え、新手の被害が相次ぐ緊急時は随時配信し、注意を呼びかける。
URL:http://www.shouhiseikatu.metoro.tokyo.jp/
流行しているにもかかわらず、その存在が意外に知られていないため百貨店やクリーニング業界が要注意信号を発しているのが「金属繊維素材」だ。ヨーロッパカジュアル製品に多く使用されており、この素材はシワ加工製品などとして独特のシワ感が消費者受けする表面変化を生み出している。当然ながら洗濯後のプレスでこのシワはとれてしまう。素材は綿・レーヨンで金属繊維をカバーした仕様であるが、事故品では内部の金属繊維の露出が発生しており、擦れやすい脇の下部分で著しく露出現象が見られることから、これは洗濯のみならず、それ以前の生活消費段階からすでに劣化露出が始まっていたものと見なされる。全ク連では受付時の入念なチェックと顧客への事前説明を推奨するとともに、国内アパレルに対しては適正な注意書き表示を求めている。
クリーニング綜合研究所では、中綿使用製品の事故鑑定結果を発表した。鑑定依頼された製品の中綿素材は羽毛、ポリエステル、毛の三種類。接着樹脂のシミ出し事故はポリエステル中綿のみの現象であり、毛素材は収縮事故のみが発生した。羽毛中綿はシミ出し以外のすべての品質事故(収縮、片寄り、硬化、伸び)が発生した。ポリエステル中綿は収縮、硬化以外のすべての品質事故を発生していることがわかった。ポリエステル中綿のシミ出し事故は接着樹脂が剥離して表地にシミとして現れる現象であるが、最近では新しい接着剤も登場しており、回避可能である。また羽毛中綿の収縮事故は吹き出しを防ぐポリオレフィン性のダウンパックの熱収縮によるものである。メーカーは事故回避のための自主的な表示をすべきであろう。
我が国では、これまでにPL法に基づく賠償請求訴訟が少なくとも90件とされている。うち、消費者が原告となったもの71件、事業者が原告となったもの22件。90件のうち06年2月末までに判決に至ったもの47件、一審で和解21件、一審で係争中20件、二審係争中1件、不明1件。判決が出た47件中、請求棄却17件、PLによる請求が認められたもの16件、PL以外で責任が認められたもの4件。認容金額は、1000万以上59%、100万以下14%。
新・繊維製品品質表示規定(19年8/1施行)及びJIS規定並びにISOのTextile -Care Labelling Code Usinng-Sinnbolsなどの最新版が収められているほか、原産国表示に関する部分の充実をはかり、収録アイテムについても、紳士用アパレル関係及び洋品・雑貨関係の新アイテムを追加(合計52アイテム)。A4版約400ページ。価格は消費税、送料込みで5,000円。03-3662-4830 FAX03-3249-7279。FAX申込書は日本繊維製品卸検査協会のホームページからアウトプットできる。
中小企業基盤整備機構は、「産地の特性を生かした繊維リソースセンターの今後のあり方に関する調査研究」を報告。①産地振興支援の財源確保と経営の自立②有効な事業への選択と集中、リソースセンター間などとの連携③産地振興の中核的な実施機関としての提案力強化を提言している。
06年4月にスタートした「地域団体商標制度」で、産地の活性化、知名度向上へ「地域ブランド」(地域団体商標)育成に乗り出す組合団体が相次いでいる。繊維関連では泉州織物工協の「和泉木綿」、兵庫県鞄工組の「豊岡鞄」が認定され、他にも登録申請している産地は少なくない。地域ブランドとしての価値をつくることで、産地の活性化や輸入品との差別化をアピールする狙い。
ユニクロは9月、1カ月間の期間限定ながら、同社で販売した全商品を対象に回収・リサイクル活動に取り組んだ。01年9月から始めたフリースリサイクル活動を、全商品にまで広げる試み。回収点数は10万点余りで、プレス発表と店頭リーフレットでの告知に限られた中での実績。約9割がリユースできるものだった。リユースできるものは国際援助団体を通じて発展途上国への援助物資として寄付。来春の衣替えの時期にはもう一度、1カ月間実施する。そのあと、援助団体との連携などきちんとした出口を確保した上で、年2回がいいのか、通年実施がいいのか判断することにしている。
日本ファッション協会が生活文化創造都市拡充プロジェクト「クリエイティブジャパン全国大会06イン東京」のシンポジウムで、①創造都市の指標化への取り組み②創造都市に向けた欧米やアジアの動向③地域ブランドなどビジネス化の取り組み④コーディネーターや市民の参加が鍵――が強調された。
①2月21日
②大阪市立北区民センター
③肌にやさしい繊維素材の開発、花粉症と繊維、自動車用の繊維材料、他
④日本繊維製品消費科学会 TEL 06-6358-1441
①3月8日〜9日
②キャンパスプラザ京都
③アパレル業界から求められる繊維の品質ならびに機能、スポーツ業界から求められる繊維機能、消費者にわかりやすい機能性表示、衣料品の家庭洗濯とその課題、繊維の難燃化技術の現状、他
④日本繊維機械学会 TEL 06-6443-4691
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男