ミニ情報第24巻2号

行　政

改正消費安全法5月施行

日経,〔07･3･21(5)〕

ガス機器や家電など製品事故の多発を受けて、5月メーカーに国への事故報告を義務づける｢改正消費生活用製品安全法｣が施行になる。だが、情報開示の基準にはあいまいさが残り、消費者には適切な情報が伝わるかは未知数である。

JFW報告

繊研,〔07･3･21･26(5)〕

3月12〜20日第4回東京発日本ファッション・ウィーク(JFW)は日本橋特設テント、東京ビル、東京国際フォーラムを主会場に、東京コレクション・ウィーク、デザイナー合同展示会、テキスタイル展とスペシャルイベント等を行った。会期中の総来場者数は2万2千人、海外メディアは160人、海外バイヤーは60人だった。今回の特徴は、政府がファッション振興とJFW強化に積極的な姿勢を示した点。今後の課題は財源確保、人事配置、個々の事業の独立採算化などである。

東京都、子ども用衣類の安全確保へ

日繊,〔07･3･28(1)〕

東京都は、商品等の安全問題に関する協議会がまとめた報告書｢子ども用衣類の安全確保について｣の提言を基に、国や業界への要望、消費者への注意喚起など普及に乗り出すことにした。報告書は米英などは子供用衣類の安全規制を設け、反する衣類はリコールできる。その上で、安全基準の策定など7項目の提言を盛り込んでいる。

偽ブランド押収品5年で5倍

日繊,〔07･3･30(1、5、6)〕

警視庁によると、06年の偽ブランドの押収品は32万点と5年前の5倍。それに対して、知的保護団体に加盟する著名ブランド51社の知的担当者はあわせて46人に過ぎず、増加の一途をたどる知的財産侵害に対してブランドの権利者側が有効な手立てを打てていないのが現状である。

暖冬も追い風

日経,〔07･3･31(3)〕

総務省が発表した2月の全世帯の家計調査によると、消費支出の季節調整済み指数は実質で99.3(2005年=100、季節調整値)と前月比0.2％上昇した。上昇は2ヶ月連続。消費財の出荷も堅調で、国内総生産(GDP)ベースの個人消費が2･4半期連続で前期比プラスとなる公算が大きくなった。消費を支えているのは雇用情勢の改善に加え暖冬効果である。春物衣料の出足が好調で、家計調査の被服・履物は2ヶ月連続で前月比プラス。衣料品販売の比重の高い百貨店の売上高も前年同月比1.7%増と2ヶ月連続で増えている。消費の持続力は賃金の動向がカギを握る。

サ−ビス産業の生産性向上へ総合策−顧客満足度の指数開発

日経,〔07･4･1(3)〕

経済産業省はサ−ビス産業の生産性向上を目指す総合対策をまとめる。2007年度にも産学官協同で顧客の満足度を示す指数（CSI）を開発し、消費者の「満足度」などを把握してサ−ビスの質を高める狙い。CSIは消費者に直接聞き取り調査したデ−タを統計処理して、顧客満足度を100点満点で指数化。企業ごとにサ−ビスの質を示す。CSIは米国でミシガン大が政府支援を得て開発し、効果を上げている。

日タイEPA署名

繊研,〔07･4･4(5)〕

日本とタイの経済連携協定(EPA)が4月3日、両国首脳間で署名された。発効のめどは「早ければ今年中、遅くとも08年度」になる見通し。同協定で繊維製品の関税はすべての品目について撤廃(一部の品目を除いて即時撤廃)、原産地規則では日本が提案する2工程基準やASEAN(東南アジア諸国連合)累積規則を容認する内容となった。

経産省・特許庁、繊維関連地域ブランド登録26件

繊研,〔07･4･5(5)〕

経済産業省・特許庁が06年に始めた地域団体商標(地域ブランド)制度による3月末現在の出願件数は698件、登録件数は185件となった。そのうち繊維関連は登録で26件、14％を占めている。

経産省の「産業遺産」認定−地域活性化をねらう−

繊研,〔07･4･11(5)〕

経済産業省は07年度に「産業遺産」を認定し、地域活性化に役立てる。繊維では「日本の産業革命の原点としての富岡製糸場と絹産業遺産群」「羽二重産業から人絹製造産業への変遷を映し出す福井県等における近代産業遺跡群」などの事例が示された。認定された産業遺産ごとに10月をめどに認定証を発行する。産業遺産を活用し、自ら地域活性化を行っている地域を顕彰･支援し、産業遺産の価値を全国に普及する。

次世代技術戦略を策定−産構審「技術戦略マップ07」で−

繊研,〔07･4･12(5)〕

経済産業省は繊維産業の国際競争力強化を図るとともに、新市場創出と社会ニ−ズへの積極的な貢献を果たすため、2020年までの次世代繊維技術戦略を策定。ファイバ−分野は繊維技術を絞り込み、重要な出口分野として①マテリアルセキュリティ−(環境･エネルギ−対応)分野②炭素繊維(移動体)分野③建設･IT(情報技術)･生活分野を設定し、技術マップを策定した。重要技術の評価軸は①社会的ニ−ズに応える技術②技術優位性③市場インパクトの3つから抽出、3分野ごとに研究開発課題を達成するために必要となる手段と目標を整理し、20年までのロ−ドマップも策定している。

経産省、次世代繊維技術戦略を策定

日繊,〔07･4･12(1)〕

経済産業省は、繊維産業の国際競争力強化を図るとともに、新市場創出と社会ニーズへの積極的な貢献を果たすため、2020年までの次世代繊維技術戦略を策定した。繊維産業が本来有しているポテンシャルを顕在化させ、先端素材産業のフロントランナーとしての地位確保を目指す。①マテリアルセキュリティ(環境・エネルギー対応)②炭素繊維(移動体)③建設・IT・生活の3分野を重点的に取り上げ、効率的・効果的に研究開発課題を達成する。

「アジアからの国際標準の発信」で一致−中国検験総局と製品安全の協力覚書−

繊研,〔07･4･14(5)〕

経済産業省は中国検験総局と、「製品安全、認証、標準化活動にかかわる協力に関する覚書」を締結。覚書に署名した甘利明経産相は「貿易の発展のためにも、製品安全の確保や知財権の保護は大切。日中が連携してアジアから国際標準を世界に発信したい」と述べたのに対して、温家宝首相に同行して来日した李長江総局長も「国際標準は現在、欧州中心になっているが、アジアからの発信に大変関心がある」と共感を示した。

模倣品・海賊版問題解決に取り組む−経産省の07年版不公正貿易報告書

繊研,〔07･4･17(5)〕

産業構造審議会で了承された07年版「不公正貿易報告書」によると、主要相手国を対象に全体で112件の貿易政策・措置の問題点を指摘している。経産省の方針では中国やアジア各国・地域の「模倣品・海賊版等の不正商品に関する問題」の解決に取り組む。中国では知的財産権の侵害に対する刑事訴追件数が増加の兆しが見られるが、日本企業が受けている被害は甚大で、今後も法制度の適切な整備・運用、刑事・行政上の取締り強化、法令執行にかかわる情報の提供を求めてゆく。

感性を磨くには自立、意欲、好奇心−安藤忠雄氏が経産省で講演−

繊研,〔07･4･19(5)〕

経済産業省は感性価値創造イニシアチブ大臣懇談会で、「感性を磨く」をテ−マに建築家安藤忠雄氏の講演会を開催。安藤氏の発言の骨子は①日本人の感性はもともと豊かだが、最近は若い人を中心にだんだん落ちている②感性を磨くためには自立と意欲、好奇心が必要③日本人の民度やモノづくりの技術は最高レベルで、ちょっと感性や創造力を足せばすごい民族になり、魅力的な商品もつくれる④日本企業は“社会への還元”を本気で考えるべきである。−など。感性の落ち込みに加えて、「誇りを持った職人や作り手」が減り、「売れるモノばかりを追求して、面白いモノづくりという危険な賭けに挑戦しなくなると日本は危なくなる」と警鐘も鳴らした。

女性労働力率じわり上昇−2006年版女性労働白書−

日経,〔07･4･21(3)〕

厚生労働省は「2006年版働く女性の実情（女性労働白書）」を発表。景気の回復による就業環境の改善を背景に、女性の労働力率は48.5％と2年連続前年を上回った。とりわけ結婚や出産・育児の時期にあたる25〜39才の労働力率が上昇しており、世代別の労働力率をグラフで示した「M字カ−ブ」は改善の方向にある。
労働力率
15才以上人口に占める労働力人口の割合。労働力人口とは働く意欲を持つ人を指し、仕事を持つ「就業者」と、働く意志があって仕事探し中の「完全失業者」を合計する。労働力率が上がれば人口に占める働き手の数は増える。

経産省、繊維技術倶楽部を設立

繊研,〔07･4･23(5)〕

経済産業省繊維課の松尾繊維企画官が発案、産官学で立ち上げる｢繊維技術倶楽部(FTC)｣の活動内容や構想、スケジュール(5月に準備委員会、6月立ち上げ)など大枠が決まった。FTCは｢繊維技術の掘り起こし・革新・伝承について、問題意識を共有し、次の方策の起点を見いだす技術者のネットワークづくり｣が目的。

取引構造多面的に−07年版中小企業白書−

繊研,〔07･4･25(5)〕

「07年版中小企業白書」は、企業間の取引関係が長期・固定的なものから、多面的な「メッシュ化」へと変化する中で、「各販売先との製品需要、技術開発、品質管理などの情報のやりとりを行うことが重要」とし、販売先を多様化している中小企業は「価格交渉力が高い」と指摘している。また、人材の確保では実力のある人材をいかに中途採用するかが重要。中小企業を支えるキ−パ−ソンは1社平均3人いると指摘している。

衣類は軒並み減−3月の繊維品輸入−

日繊,〔07･4･26(2)〕

財務省が発表した07年3月の貿易統計速報によると、織物用糸・繊維製品輸出は、欧米向けが引き続き2ケタ増となったが、輸入は織物用糸・繊維製品、衣類・同付属品とも2ケタ減を示した。なかでも衣類・同付属品輸入は、中東を除いて全地域が減少、NIESが前年同月比30.5％減、中国が28.7％減、米国も24.3％減少した。一方、繊維機械輸出は340億9700万円で、前年同月比38.4％増と引き続き好調を維持。特にASEANへは前年同月の2.3倍、中国向けが82.6％増、米国向けも54.0％増加した。

規格関連

JIS L 0891 ｷｾﾉﾝｱｰｸ灯光及びｻﾝｼｬｲﾝｶｰﾎﾞﾝｱｰｸ灯光による促進耐候堅ろう度試験方法

JISC

この規格は、繊維製品の降雨条件下におけるｷｾﾉﾝｱｰｸ灯火及びｻﾝｼｬｲﾝｶｰﾎﾞﾝｱｰｸ灯火による促進耐候堅ろう度試験方法について標準化を行い、生産及び使用の合理化、品質の向上を図るために制定するものである。主な規定項目は、次のとおりである。1.適用範囲2.引用規格3.用語及び定義4.試験5.装置及び材料6.試験片7.操作8.判定方法9.試験報告書

JIS L 1075 織物及び編物のﾊﾟｲﾙ保持性試験方法

JISC

この規格は、ﾊﾟｲﾙ織物及びﾊﾟｲﾙ編物のﾊﾟｲﾙ保持性試験方法について規定したものであるが、最近の生産及び使用の実態を踏まえて、規格内容の充実を図るため、改正を行うものでである。主な改正点は、次のとおりである。
1.非SI単位系の記述を削除する。
2.ﾕﾆﾊﾞｰｻﾙ形試験機を用いた試験方法において摩擦回数を500回に規定する。
3.JIS L 0105繊維製品の物理試験方法通則を引用する規定に改正する。これにより、試験場所標準状態の相対湿度を(65±2)％から(65±4)％に修正する。

JIS L 1086 接着しん地試験方法

JISC

この規格は、熱可塑性の接着剤があらかじめ付与されている織物、編物及び不織布製の接着しん地の試験方法について規定したものであるが、最近の生産及び使用の実態を踏まえて、規格内容の充実を図るため、改正を行うものである。主な改正点は、次のとおりである。
1.単位ﾆｭｰﾄﾝ(N)単位系のみにするとともに、測定値を解り易く標記できるｾﾝﾁﾆｭｰﾄﾝ(cN)も使用できるようにする。また、平均値を求める際の桁数をSI単位系に合うように規定する。
2.圧力の単位系を(KPa)に改める。
3.試験場所についてJIS Z 8703(試験場所の標準状態)を引用していたが、JIS L 0105:2006を引用する規定に改める。これにより、JIS Z 8806(湿度―測定方法)を引用して気象庁形の湿度計を用いるところを削除する。
4.JIS L 1030-2を引用している公定水分率は、標準状態の引用とあわせ、JI S L0150:2006の引用に改める。
5.｢収縮率｣を｢寸法変化率｣に改める。

素　材

自然な素肌感あるストッキング実現

日繊,〔07･03･14(3)〕/繊研,〔07･3･14(4)〕

東レは、透明性が高く、素肌を自然に見せるストッキング用ナイロン長繊維｢カフィラータ」を開発した。07年春夏物から国内大手ストッキングメーカーへ販売、今後海外への提案を進める。「カフィラータ」は糸を構成する単糸を2本にし、カバリング糸の表面のおうとつを少なくすることで乱反射を抑え、高い透明性を実現。さらに単糸の形状を通常の丸断面の糸ではなく平たいテープ状にした。これを芯糸にきれいに沿うように巻き付けることで巻き付けた糸そのもののおうとつが小さくなるため、編み地にした際の光の通過性がよくなり、高い透明感が得られる。

繊維機械学会で産官学協同の技術を紹介

繊研,〔07･3･23(4)〕

繊維業界でも産官学連携の技術開発が進んでいる。福井県工業技術センターでは新素材であるプラスチック光ファイバーを使用した服飾、インテリア素材などの開発をすすめている。静岡県浜松はレーザー技術を繊維分野に応用。奈良県は靴下の口ゴム部の圧迫力を設定し、その制御方法を提案。岐阜県は知的縫製システムとして、ミシンの調整技術を保存、継承するための技術、装置を開発した。信州大学は快適性の数値化に取り組み、布外観の計測評価システム、材質感判別センサーを開発。富山大学は人に優しい製品開発をめざして物からの刺激に対する生体反応を計測。追手門学院大学では｢ブランド｣構築の手法を提供。

相次ぐ増設・増産

日繊,〔07･3･27(3)〕

合繊メーカーがスーパー繊維の増設・増産と取り組んでいる。安全、環境、省エネなどへのニーズの高まりに伴い、様々な用途でスーパー繊維の需要が拡大しており、各社は需要増を取り込んでいくための拡大戦略を精力的に進めている。帝人グループがパラ系アラミド繊維「トワロン」で、東洋紡が高強力ポリエチレン繊維「ダイニーマ」で、クラレが高強力ポリアリレート繊維「ベクトラン」で増設を進める一方、衣料用中心の旭化成せんいがポリケトン繊維「サイバロン」で産業繊維領域への本格参入を計画するなど、スーパー繊維を取り巻く情勢がにわかに騒がしくなってきた。

20ミクロンのモヘヤ開発

繊研,〔07･3･27(4)〕

高級モヘヤの中でも最高級のモヘヤ「カンデブー」を扱っている南アフリカのカンデブー協会はモヘアの中では最も細い20ミクロン原毛を開発した。昨年、21ミクロンタイプを販売したがさらに極細化したことになる。同協会は牧場や加工業者、紡績、テキスタイルメーカーなどがライセンシーとなってチームを結成し、売買することで製造工程管理や品質保証を行う新たな仕組み構築をめざしている。

コラーゲンと繊維を一体化

繊研,〔07･3･29(4)〕

澤村は17種のアミノ酸を含むコラーゲンを繊維と一体化させることで、肌に優しく、高い保湿性を持つ素材を開発、「SK−プロテックス」のブランドでインナーやスポーツウエア向けに販売する。SK−プロテックスは、「染色加工時や染色後でない段階」で、糸や生地にコラーゲンと繊維を「特殊技術で一体化」させた。加工方法や加工剤に関して現在、特許申請中。コラーゲン・アミノ酸によって皮膚（角質層）のナチュラル・モイスチャーライジング・ファクターの保湿機能が働き、バランス角質層の乾燥を抑制する。この結果、肌に優しいうるおいを与える。また、生地表面の吸水性や拡散性にも優れ、衣服内の湿度を低下させるのでムレ感やべとつきを解消する。

PTT繊維、07年度は短繊維拡大

繊研,〔07･3･29(4)〕

PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)繊維「ソロテックス」事業を行うソロテックスは、07年度の大きな課題は短繊維の拡大とし、昨年12月から量産に入ったPTT短繊維による商品、用途開拓に注力する。ソロテックスは帝人グループと旭化成グループの共同出資会社。営業開始から今年で5年目となり、本格事業化への判断が求められる時期に来ている。長繊維先行で特徴分野として広がっているのが高密度織物。形状記憶性能などが評価され、コートやジャケット用に好評である。一方の短繊維は、ウールのほか、「テンセル」「モダール」などとの複合で特徴を発揮できると期待している。

最新鋭レピア開発

繊維ニュース,〔07･3･29(11)〕

ベルギーの織機メーカー、ピカノール社はこのほど、最新鋭レピア織機「オプティマックス」を開発した。従来は380cmまでだったオサ幅を540cmまで広げ、産業資材分野などで強まっている超広幅化の要求に対応した。汎用性レピアで400cmを超えるオサ幅は初めてとみられる。同社独自のスーパーモーターや電子制御など、基本的な構造は現行のレピア織機「ガンマックス」を踏襲しているが、短繊維織物用のガイド方式で新たに「GC」タイプを導入。さらに、緯糸の電子ブレーキシステムやグリッパーを改良するなど、品質向上と生産性強化を同時に追求する。

上海に繊維開発拠点

繊研,〔07･4･9(1)〕

国家紡織製品開発中心と東華大学、海天軽紡績グループは共同で、糸や2次製品の生産から販売まで繊維・ファッションの技術を一貫で開発するためのセンター、中国流行面料工程研発産業基地（ファブリックス・チャイナ）の建設を進めている。場所は上海市松江区の松江新城で、敷地30万m²。08年完成予定の第1期分はすでに、海天軽紡績や先染め糸生産の最大手、浙江華孚控股有限公司など有力企業10社の入居が決定しており、すでに40％程度が埋まったという。また、1棟１万m²を日本エリアとし、紡織関連、テキスタイル、縫製、機械、薬剤、染色加工、アパレルなどの日本企業を誘致する。

モヘヤ、原毛から製品で活路開拓

繊研,〔07･4･10(1)〕

最適なコスト、最適な製品組み立てを求めて国を超えた物作りが広がる繊維業界。モヘヤも同様で、素材の最適調達という点で他繊維との競争が激化し、生産と流通の秩序を揺るがす大きな存在として中国が台頭。モヘヤ業界は、原毛の供給、紡績からテキスタイルの加工、製品化、流通での新たな仕組みを模索している。そのキーワードは汎用性、ブランド、それに品質保証。モヘヤは適度なハリコシと光沢が特徴で、細く柔らかいキッドは主に紳士スーツに使われるが、婦人服用途への汎用性に欠く。南アフリカの有力牧場が集まるカンデブー協会は、素材ブランドで育成する試み。これらの課題がまとめられている。

炭素繊維で西陣織

日刊工業，〔07･4･10(1)〕

フクオカ機業(京都市上京区075-441-0235)は、西陣織の技法を用いて製織の難しい炭素繊維と絹糸などを織り交ぜた織物を開発。絹糸は20µmの繊維を84本束ねるのに対し、炭素繊維の糸は1本7µmの繊維を1,000本から12,000本収束して作る。呉服の西陣織などで培ったノウハウと西陣特有の丈夫な織物製織方法、機織の独自改良で、毛羽立ちがなく、解けにくい織物を生産。

「ニットデニム」開発

繊維ニュース,〔07･4･12(3)〕

テキスタイル商社のダックテキスタイルは、一見、織物のデニムのような表情の「ニットデニム」をこのほど開発、キャリア、ミセスのジャケットやパンツなどを主用途に近く販売する。生地はニット編み地のため、自然な経緯の「2ウェイストレッチ」性能が備わり、ソフトで動きやすいのが特徴である。また、先染めの糸を使っているため、洗い加工を施せば織物のデニム同様、適度な中古感や、今、主流のワンウオッシュなどのきれいめな濃色の製品に仕上げることができる。

光沢に圧倒的な支持・08年春夏テキスタイル

繊研,〔07･4･16(7)〕

08年は春夏に向けたキーワード・アンケートでは「光沢」が初のトップに躍り出た。これまで首位が定位置だった「上質・高級感」は2位だが、全体の80％ほどが推した光沢とは、大きな開きがある。大きなトレンドがない中で、上質さを標準装備に、キーワードが分散する傾向だ。「高密度」や「ハリコシ」など新しい質感やシルエットへの模索がうかがえるとともに、明るくリラックスした雰囲気に通じそうな「スポーツ」や「ニット・ジャージ」、鮮やかな「プリント」など、次への期待を感じさせる固まりが見え始めた。

08春夏は「Wストレッチ」

日繊,〔07･4･17(3)〕

クラボウは08年春夏に向け、「X−FITライクラ」と新型弾性糸「ダウ XLA」の2つのストレッチ素材を打ち出す。スキニーデニムで動き出したストレッチデニムトレンドに合わせ、2大新型弾性糸を駆使するとともに、日本に欧米も加えたグローバル規模で様々なバリエーションデニムを提案する。「X−FITライクラ」は、タテ・ヨコのツーウェイのストレッチを持つデニム素材。単なるコア・スパンヤーンではなく、独自のノウハウと特殊な製法を用いているという。もう一方の「ダウ XLA」は、スパンデックスに比べ耐薬品性や耐塩素性、耐熱性に優れるポリオレフィン系の合成繊維。ストレッチ性でもソフト感や軽さに優れるなど、独特の物性を持つ。

透けにくい白素材

繊研,〔07･4･18(5)〕/日経,〔07･4･18(31)〕

素材開発で戦略的提携するユニクロと東レは、提携後、第1弾として白で透けにくい素材「スタイリッシュホワイト」を共同開発した。23日からウイメンズのパンツ2型を発売する。高濃度セラミックを練り込んだ細いポリエステルに特殊な撚糸による素材を使用、セラミックと捲縮により防透け性とソフトな風合いを実現。さらにUVカット機能、吸汗速乾、ストレッチ性を加え、夏に適した素材を開発した。

高吸湿ナイロン開発

繊研,〔07･4･20(4)〕日繊,〔07･4･20(3)〕

KBセーレンはこのほど、高い吸水・吸湿性を持つナイロン原糸「アクシア」を開発した。2成分のポリマーを融合して紡糸するコンジュゲート技術を用いており、外側に通常のナイロン、内側に独自に開発した特殊ナイロンポリマーが使用されており、内側の特殊ナイロンポリマーが吸水・吸湿機能を持つ。従来のナイロンの持つ発色性に加え、吸水・吸湿機能や制電性、接触冷感性を持つ。同社は、高級ストッキング用途ではナイロンとポリウレタンを融合した「シデリア」が高いシェアを持つが、この「アクシス」は、さらに2−3割高い価格で販売する。高級素材として、量を追わず、ロングセラー商品に育成する方針。

春夏にウールやベルベット

繊研,〔07･4･24(4)〕

ウールやベルベット素材が08年春夏シーズン向けで注目されている。日本毛織は185番手単糸のガーゼ生地を提案する。ニュージーランドスーパーファインメリノ使いの独自ブランド「ＭＡＦ」とシルクの混紡糸による、超細番手織物で、美しい発色と豊かな光沢感のある高級薄地素材。妙中パイル織物はシルクやリネン使いのベルベットを販売する。軽量薄地を特徴とするものはシルク・レーヨンベルベット。シルクとレーヨンを異色に染めてシャンブレー効果も発現し、ブラウスなどのアイテムに対応する。麻では、アイリッシュリネンを使ったベルベットも提案する。

紳士スーツ涼しく、Ｔシャツなみ通気性

日経,〔07･5･10(35)〕

青山商事は5月中旬、通気性の高い紳士向けスーツ「スースースーツ」を発売する。ウールを素材の主体にしながら、Ｔシャツなみの通気性がある新素材を使用。新素材は日本毛織など3社と共同開発した。通気度は180cm²／cm²・秒と、ワイシャツの約6倍。ウールの毛羽立ちを抑えて布地の織り目の空間を大きくし、高い通気性を確保した。繊維に加えたセラミックが熱を遮へいするため、着用時の体感温度は従来の夏物スーツに比べて摂氏4度前後も低いという。クールビズなどの軽装で過ごす人が増える盛夏でもネクタイを絞めて仕事をするビジネスマンの需要を掘り起こす。価格は51,150から61,950円。

高級原綿、複合で需要喚起を狙う

繊研,〔07･5･10(7)〕

トレンドがきれいめ、エレガンスへとシフトするなか、コットンにとっては、アゲインストの風が吹いているように見える。ただ一方で、「エレガンスという言葉は（素材分類でなく）高級感、優雅さ、歴史や文化などの尊重という概念でとらえるべき。差別化原綿、高度な紡績技術を駆使したコットンもエレガンスの潮流に乗れるはず」ともいう。5月10日の「コットンの日」は業界の一大イベントとして定着した。コットン需要の掘り起こしに向けて、紡績各社も自慢のオリジナル素材を多彩に提案している。綿紡各社の動きを紹介し、11社のブランド名・素材内容・特徴・用途が一覧表になっている。

加 工

天然原料で草木染め

繊研,〔07･4･9(5)〕

染料、機能剤販売のオー・ジー（大阪市）は、濃いブラックなどの発色が可能な草木染め原料100％使いの新染料「フラカラー」を開発、アパレル、商社、ＳＰＡ、量販店などへ提案を開始。通常、草木染めは綿や麻の濃色加工が難しいが、3年前から研究し、黒色ならログウッド抽出物100％にわずかな助剤を加えるだけで濃い発色を可能にした。あかね、丁子、桑、藍、ログウッドなど8種類あり、淡いパステルカラーから濃色まで表現可能。綿、羊毛、獣毛、絹、麻、レーヨン、ナイロンなどの繊維に染色できる。堅ろう度、チーズ染色など一部の染色方法の難しさ、Ｔシャツ1枚分約500円という価格の制約などの課題を残している。

世界初のオゾン漂白

繊維ニュース,〔07･4･19(7)〕

今治タオル産地の染工場、大和染工、アベチカ、中央繊維の3社などが産学協同で開発を進めてきたオゾン漂白設備がこのほど完成、17日に稼動を始めた。オゾン漂白はオゾンを使って綿糸を晒す。従来の漂白法と違って過酸化水素やカセイソーダ、精練剤、中和剤などの化学薬品を使用しない。また常温で加工できるので、湯を沸かすための重油を使う必要がない。その分、二酸化炭素の発生量も減る、環境にやさしい漂白法である。

余ったニンジンで染色

日経,〔07･4･25(37)〕

ゴールドウインは、畑で余ったニンジンを使って染めたオーガニックコットンＴシャツを売り出す。無農薬野菜を栽培している「つぶつぶ農園・和菜」（埼玉県本庄市）から捨てるニンジンを譲り受け、Ｔシャツの染料に使った。主にLOHAS（ロハス＝健康と環境に配慮した持続可能なライフスタイル）に関心がある消費者を対象に、東京や大阪など全国5カ所にある雑貨店「SLOW−FLOW」で販売する。Ｔシャツの素材にも、化学農薬を使わずに栽培した綿を使う。約3�sのニンジンで染色した「グリーン」「オレンジ」「ピンク」計205枚をそろえる。価格は4,830〜5,880円。「ナチュラル」155枚も用意する。

防ダニ織物・不織布開発

日繊,〔07･4･25(2)〕/繊研,〔07･4･25(4)〕

共和染工、ノームラトレーディングは、カーペットや寝装寝具などに防ダニ効果を発揮する織物・不織布を共同開発、「ダニサル」のブランド名で今年度から生産、販売する。防ダニ効果は、住化エンビロサイエンスが開発した薬剤を使用、低薬量での効果を実現した。加工方法は、共和染工が糸染め設備の中に投入、糸に浸み込ませ、この糸を使ってノームラトレーディングが織物・不織布を生産。薬剤が均一に浸透し、ムラなく効果が持続するのが特徴である。

天然繊維で安定加工

繊研,〔07･5･2(5)〕

プリーツ加工・縫製業のオザキプリーツ（福岡市）は、天然繊維やレーヨンなどに安定したプリーツを施す加工法「マックスプリーツ」を開発。複合繊維を含め大半の生地に適用でき、全シーズンでプリーツやシワを取り入れたデザイン表現が可能となる。同社が配合した独自の加工液を生地に浸透させた後に脱水し、生乾き状態でプリーツ加工を施す。その後に洗濯して主要工程を終える。加工液はプリーツが安定する薬品、生地の強度低下を防ぐ薬品、絹タンパク質など４種類を含む水溶液で、すでに特許を出願済み。一部の大手アパレルメーカーが今春物に採用しているという。基本料はスカートやブラウスで1着当たり通常料金プラス400円。

アパレル

浙江省のアパレル、日本に縫製工場

繊研,〔07･3･19(4)〕

中国浙江省嘉興市の婦人服縫製業、聖芒帝服飾有限公司（サニーマンデーアパレル）は、小ロット生産やサンプル縫製に対応する新工場を大阪・本町に開設する準備を進めている。当面、全工程をこなせる熟練工3人を中国から派遣、2年後には18人体制とする計画。同社は、加工度が高く縫製が難しい商品など高級品を中心にOEM（相手先ブランドによる生産）を手がけている。そのため、小ロットで短納期が求められ、航空便を使うことが多く、日本で縫製工場を作ってもトータルコストは変わらず、顧客に近く、より迅速に対応できる工場を作ることにした。

ニット系アイテムさらにアップ

日繊,〔07･3･20(1)〕

ミッシー・ミセス対象の婦人服07年秋冬は、ニット系アイテムのウエートが一段と高まりそうである。昨シーズンの暖冬とレイヤードファッション継続に適応した素材とした受け止め方である。特に立ち上がりにジャージーが温度調整には重宝でモテモテ。さらにトレンドを背景にアウターにも使われシーズン通して展開し拡大基調である。これに追随して、横編みニットも期待が持たれており、一昨年までの不振から好転に向かっている。

ファッション協会、アジア・カラー・コミッティー発足

繊研,〔07･3･22(5)]

日本ファッション協会は07年度の事業方針を決定。新事業では、日中韓でのアジアファッションカラー研究会を発展し、｢アジア・カラー・コミッティー｣を発足、9月に第1回日中韓カラー・フォーラムを開く。

秋から百貨店に新ブランド

繊研,〔07･3･23(1)〕

三陽商会は紳士服事業部で07年秋冬から30代男性を対象とした新ブランド「マッキントッシュ・フィロソフィー」をスタートする。日本市場だけでなく英マッキントッシュの世界戦略のパートナーとの位置づけもあり、08年秋冬にはロンドンの百貨店への卸売りも計画している。今回、三陽商会がライセンス製造・販売を担う。商品は都市型のライフスタイルに対応し、伝統的なディテールを現代風にアレンジした。主力のコートや機能的なアウター、ジャケット、ニットなどトータルで販売する。

新型偏平縫いミシン開発

アパレル工業,〔07･4･1(3)〕

ペガサスミシン製造は、1台のミシンで縫い目をタイトにしたり、ソフトにすることができる新型のシリンダーベッド型偏平縫いミシンを発売した。業界初のマルチスレッドコントロールーシステム(特許取得済み)により、タイトな縫い目、ソフトな縫い目のいずれの風合いにも対応できる。このコントロールシステムは、同社独自の針糸繰り機構を採用したもので、この機構は独特な形状のカムで、環縫いの縫い目を形成する際、針糸の出量とタイミングを調整する。このカムの方向を上下に変えるだけで、ユーザーのニーズに応じてタイト、ソフトの両方を1台のミシンで実現できるのが大きな特徴である。

ケアラベルに要注意

近代製,〔07･4･5(1)〕

ケアラベルの表記ミスのためにメーカーが大きな損失を被ったケースの報告。某社が自社店舗で販売した中国製中綿入り婦人ジャンパーで、取り扱い絵表示では石油系ドライクリーニングが推奨されていた。しかし表示通りのクリーニングをすると、ポリ塩化ビニル樹脂のコーティングが硬化することが分かった。事故の原因は製品設計自体のミスではなく、企画段階で素材を変更したことが表示を担当する部署に連絡されなかったことによる。同社では経済産業省に申告し、自主回収する措置をとった。アパレルメーカーの責任は製品設計だけではなく、生産の管理やトラブル対処の体制作りも重要であることが浮き彫りにされた事例である。

関西ファッション連合発足

繊研,[07･4･7(5)]

大阪アパレル協同組合と大阪織物卸商業組合、大阪ﾆｯﾄ卸商業組合が｢大阪ファッション産業の新生ビジョンの実現｣などのため関西ファッション連合を4月に設立した。組合員数は720社、所属従業員は3万6千人で、9割を中小規模の企業が占める。様々な業種が加盟するため、3事業部9委員会を設けた。

英国で日本製スーツ、物作り技術に高い評価

繊研,〔07･4･9(1)〕

サビルローに代表される英国で、日本製真摯スーツの販売が広がろうとしている。日本のメーカーと長年ライセンス契約を結んでいる英ブランドがその中心だ。日本の物作りが評価されたこともあるが、もともと英国には既成スーツを生産できる工場がほとんどないことや欧州でのコスト高などが影響している。英国だけでなく世界市場への製品輸出はわずかとはいえ自社工場を持つ日本のメーカーにとってはビジネス拡大のチャンスでもある。

北京でCHIC開催、一極集中

日繊,〕07･4･9(5)〕

3月にアジア最大規模の展示商談会｢CHIC｣(中国国際服装服飾博覧会)が行われ、世界各国のアパレルメーカーやデザイナーが集結。20カ国以上を数える出展企業と、12万人を超える来場者で、消費パワーを実感。中でも、地元中国勢の充実ぶりと韓国メーカーの積極的な姿勢が目立った。

スポーツウェア　炎天下でも快適

日経産業,〔07･4･13(21)〕

ミズノは4月15日、環境に応じ通気性が変わるスポーツウェアを発売した。触れると冷たく感じる素材｢アイスタッチ｣と汗を吸うと網目が広がる素材｢ダイナミックエアリー｣を組み合わせたもので、夏向けゴルフウェアやTシャツなど全18種。初年度25,000枚の販売を目指す。炎天下でも快適にプレーできるようにした男性用ゴルフウェア2種は、衣服内の温度を綿素材と比べて1−2度低く保てるほか、汗をかくと編み目が開いて通気性が20−30％高まるという。

3年目のクールビズ、おしゃれと機能性

日繊,〔07･4･25(1)〕

鳴り物入りで始まったクールビズも今年で3年目。夏の軽装スタイルはビジネスマンにすでに浸透し、昨年、一昨年のような爆発的な特需は望めそうにない。百貨店や紳士服大手は、ポケットチーフやカフスなどの服飾小物や最新技術に基づくスタイリングによって需要喚起を競う。

アパレル、国内生産見直し

日経,〔07･5･3(10)〕

アパレル大手が繊維産地との連携強化など、国内生産を見直し動き始めた。在庫軽減のため、初期生産を抑えシーズン中の追加生産を増やしている。国内生産の取引先は中国の半分程度の期間で生産できるため重要性が高いものの、繊維製造事業所がこの10年で半減した。このためアパレル大手は国内生産のネットワーク維持に力を入れ始めた。

静かにはがせる面ファスナー

繊研,〔07･5･8(4)〕

YKKファスニングプロダクツ販売は、はがすときの音を小さくした静音面ファスナー「ソフトーン」を今春発売した。YKKのマーケティング調査で、面ファスナーをはがすときの��ベリベリ�≠ﾆいう音を不快に感じる人が多いという結果から開発。面ファスナーは、はがすときにフックがループからはずれて裏側が振動し、太鼓の原理で生地と共鳴することから音が発生する。そこで、特殊な素材でできた制振材を面ファスナーの裏側に張り付けることで、生地に振動が伝わりにくくした。特に耳障りな高音部の音を軽減したという。面ファスナー自体の強度は従来と変わらない。商品は10�p幅・黒の１種類。

流　通

百貨店、再編さらに加速

繊研,〔07･3･15(5)〕

大丸と松坂屋の9月の経営統合が発表された。この背景は、業際を超えた競合激化で百貨店売上高の減少に歯止めが止まらないことに加え、少子高齢化で人口減の時代を迎え、小売市場規模の縮小も予想される厳しい環境のため。業界再編はさらに加速するとみられるが、5月に解禁される三角合併の影響で、国境を越えたM&Aの動きが活発化する。

専門店協会、若手調査

日経MJ,〔07･3･26(4)〕

日本専門店協会は社員の定着や育成方策を探るため、若手の店舗スタッフらを対象に意識調査を実施。｢辞めたい｣と思ったことがある時期は入社後1年を過ぎてからが多く、仕事を続けている理由は接客や取引商品が好きで、職場の人間関係に支えられていることがわかった。

首都圏06年SC開業状況

日繊,〔07、4、4（1)〕

日本ショッピングセンター協会によると、06年に開業したショッピングセンター(SC)は全国で79施設。このうち首都圏では大型のものを中心に27施設がオープンした。11月には都市計画法が改正・施行され、大型集客施設の郊外への出店が規制されるためとみられる。

ICタグ導入、着実に進展

繊研、〔07、4、5(5)〕

日本情報システム・ユーザー協会が全産業のユーザー企業を対象に06年11月に実施した調査(800社の回答)によると、｢全社的の導入｣1％で変わらなかったが、｢一部セクションで導入｣は前年度の5％から7％に、｢検討中｣も19％から22％に増えている。ICタグの活用はゆっくりしながらも着実に進展している。導入の課題は｢ICタグの価格｣が74％で最も多かった。

米大型店50社の06年度決算

繊研,〔07･4･6(1)〕

米大型店50社の06年度決算（一部を除き2月期）は合計で、売上高が前期比11･7%増、純利益は4･5%増となった。粗利益率は36･6%で１ポイント上昇したのに対し、営業利益率は8%と0･5ポイント下がった。同利益率の低下は一部企業の05年度のM&A（企業の合併・買収）に伴う在庫評価など統合費用の計上による。

成長する小売り3業態

繊研,〔07･4･10(2)〕

産業構造総合研究所の｢成長する3つの小売り形態に関する最新調査｣によると、それらはオンラインショップ(ネット販売)、アウトレットモール、均一価格小売業で、中でもオンラインショップは2010年の市場規模を約6兆円と、06との対比65％増と、規模、伸びとも圧倒的に大きいとみている。

流通業のパート時給、上げ幅拡大

日経,〔07･4･12(9)〕

百貨店やスーパーなど流通業のパート社員を巡る時給の増額を回答する企業が増えている。背景は景気回復に伴う深刻な人材不足によるが、労働組合のパート社員の待遇問題に取組始めた点も大きい。

百貨店・スーパー各社、顧客対応で進めるIT武装

日経MJ,〔07･4･13(5)〕

百貨店やスーパー各社が携帯用POS端末や電子マネー対応レジを増・新設し始めた。携帯用端末は待ち運びができるため、顧客のいる場所でクレジットカードの決済ができるのが特長。レジを増やすことで急速に利用が広がる電子マネーに対応する。IT武装を進めることで、顧客の待ち時間を短縮するなど接客サービスの拡充を目指す。

服飾加工業をウェブで結ぶ

繊研,〔07･4･16(5)〕

東日本地区を中心とした服飾加工業者、ウェブを活用して受注から製作までを一貫して行う服飾加工専門システム(EMS)を構築、5月末から運用する。全国中小企業団体中央会の助成を受け、勝ち残りのための共同事業戦略として開発した。

米国、3大百貨店時代へ

繊研,〔07･4･18(1)〕

再編が進んだ米百貨店業界は、最大のフェデレーテッドが5月末から社名を「メーシーズ・グループ」に変更することにより、JCペニー。コールズとともに全米規模の3大百貨店の時代に入った。国際市場も視野に入れるメーシーズ、向こう3年間に毎年50店の出店計画を持つJCペニー、10年度までに1200店規模を予定するコールズ。いずれも好調な収益力を生かし、拡大戦略を進めている。

ネット販売本格化、実店舗と連動し拡大

繊研,〔07･4･19(7)〕

東京、大阪の現金卸ではインターネットを使った卸売事業を本格化させている。従来のカタログによる通信販売などをベースに、単品でも発注できるなどサイトによる直接取引を強化している。中には、ネット上に自前の現金卸街を作ったり、取引先小売店と接続させたネット・ショッピングを手掛ける企業もある。実店舗による現金卸と連動させつつ、扱いアイテムを拡大、商品更新も充実している。

六本木で売れるファッションは？

繊研,〔07･4･19(1)〕

規模も立地も似た二つの大規模商業施設、六本木ヒルズと東京ミッドタウンは、ともに東京・六本木の核としての機能を備えながら新たな消費を創出しようとしている。「夜の街」のイメージが強い六本木で「ファッション商品は売れるのだろうか」という疑問の声に、開業から５年目を迎えるヒルズは、年間430億円を超える（商業ゾーンのみ）実績を上げている。売れているのは高級品と値ごろ品で、で、二極化傾向がくっきり。とりわけブランドが浸透している店が堅調だ。反対にブランド知名度の低い店は、市場特性をつかみきれないでいる。ミッドタウンの開業によって、今後ファッション関連の消費に厚みが出るかどうか注目される。

カジュアル衣料専門店、郊外SCへ出店急ぐ

日経MJ,〔07･4･23(6)〕

都心部を中心に店舗を展開してきたカジュアル衣料専門店各社が郊外のショッピングセンター（SC）向け業態の出店強化に乗り出す。郊外での大型商業施設の出店を規制する「改正まちづくり三法」が今秋、試行される前に、SCの駆け込み開業が相次いでいる。出店機会の増加を生かして手薄だった郊外の店舗網を拡大する。

小売り初、第3の電子マネー離陸

日経MJ,〔07･4･23(1)〕

小売り2強が電子マネーでもしのぎを削る。セブン&アイ・ホールディングスは4月23日に「nanaco（ナナコ）」を発行、4日後にイオンが「WAON（ワオン）」で追撃する。セブン&アイは個人の購買履歴とPOS（販売時点情報管理）データを組み合わせた究極の単品管理に挑む。一方のイオンは各自治体と提携し「地域通貨」づくりを通じて、電子マネーが手薄な地方の囲い込みを目指す。

大型商業施設の駆け込み実態

繊研,〔07･4･23(5)〕

全国商工団体連合会の｢大型商業施設の『駆け込み出店』の実態調査｣から該当の疑いが濃いと判断出来るものは40に上る。改正まちづくり3法が06年5月に設立し、郊外へ広がる従来型の開発抑制と｢コンパクトシティ｣づくりが動き出している一方で、11月の改正都市計画法施行前に全国各地で｢駆け込み｣出店の動きが強まっている実態が明確に。

深刻さ増す販売職の確保

繊研,〔07･4･24(1)〕

ファッションビジネス（FB）の人材問題は、販売職の採用・確保で深刻な状況にある。繊研新聞社が実施した動向調査で、販売員の配置に苦しむFBの実態が浮き彫りになった。日本のFBでは国際競争力のある産業をめざす上でクリエーターの発掘・育成も課題に挙がっているが、目の前の事業展開上、緊急の対応が求められるのが販売職、という認識で業界は動いている。各社は対策に着手しているが、その効果は一部にとどまっている。

小売業の海外進出意欲盛ん

繊研,〔07･4･26(1)〕

小売業の海外進出出店意欲が旺盛になっている。総人口の減少で国内市場は飽和気味。改正まちづくり3法施行で郊外出店が難しくなることもあり、駆け込み出店を終えたら、次は海外、とりわけ中国となる。大手GMSの方法性が紹介されている。

個性的な新拠点、東京ミッドタウン、新丸ビル

日繊,〔07･5･2(1)〕

4月27日にＪＲ東京駅前に三菱地所が運営する「新丸ビル」がオープンしヨーロッパの街並みをイメージした「パサージュ」が登場した。休日や夜の集客が増し一層にぎわいそうだ。一方、3月30日には旧防衛庁跡地の六本木エリアに三井不動産が運営する「東京ミッドタウン」が開業し１カ月が経過、オープン以来平日でも12万人が訪れる人気ぶりだ。

クリーニング

クエン酸を用いたDP加工綿布における洗浄性の向上

矢田貝麻美子,繊消誌,48(3),〔07･3〕p194〜202

非ホルムアルデヒド系架橋剤であるクエン酸を用いたDP加工綿布について、汚れの除去性を調べた。代表的な固体粒子汚れとして酸化鉄で汚染した試料について、反射率測定から洗浄効率を求めた。界面活性剤単独系では加工布は未加工布に比べて汚れ除去が困難であったが、界面活性剤に洗浄補助剤を加えた弱アルカリ条件下や硬度成分共存下では、加工布は良好な洗浄性を示した。

石油系ドライクリーニング　洗浄工程と溶剤管理（1）

山本侑一　技術情報,37（1）,〔07･4〕p3〜8

全ク連が洗剤同業界と共同で、全国100工場の洗浄条件、洗浄評価、溶剤分析を実施した。その結果を用いて、洗浄率、再汚染率に及ぼす、洗浄条件の影響を求めた。洗浄率には多くの因子が複雑に関係した結果を用いたため、各因子が単独で及ぼす関係は得られなかったが、洗剤濃度、洗浄時間、機械力の影響が大きいことを知った。高い洗浄率を得るためには、これら3因子がいずれも適正な範囲に管理され、３因子のバランスがとれていることが必要である。

水洗いの常識を破る「無重力バランス洗浄方法」

橋本英夫,繊機誌,60(4),〔07･4〕p209〜214

ドライクリーニングは「形状変化させない、素材の改質をさせない」ことから生産性が高く、コストを低く抑えられるので、広く利用されている。しかし水系洗浄は環境に優しく、汚れはよく落ちることなどにより、ドライクリーニングに替わる水系洗浄として「無重力バランス洗浄方法」が解説されている。この方法はドラム中に疑似無重力状態を作り出し、この状態下で洗濯物を洗うという方法で、生地を傷めず、縮めず、汚れをよく落とし、ドライと同程度の洗い上がり感が出せるという。疑似無重力状態は、いくつかのエスラインカーブを描く側壁と回転数で実現できる。

「ほつれ」メニュー化

日本クリーニング,〔07･4･15(4)〕

�潟激bツリフォーム〈浜松市〉は、衣類のほつれを次の８種類に分類し、分類別に明確なほつれ直しの料金を設定することを提案した。裾のほつれ、縫い目の糸切れ、糸ひき、ボタン･スナップの付け直し、カギホックのほつれ、ニット製品の衿･袖のほつれ、キズ、プリント地やワッペンのはがれ。ほつれ直しの有料化は、本来必要なサービスであるとともに、本業への相乗効果が期待できる。同社では、ほつれ直しに必要な事項のマニュアル、補修針などの小道具や材料、販促資料などを用意している。

虫食い被害急増

日本クリーニング,〔07･4･15(9)〕,クリーニング流通,〔07･4･10(8)〕

クリーニング店で虫食い事故が急増し、クリーニング綜合研究所が1〜３月に受付けた鑑定数の15％に達した。衣料害虫による食害は家庭内で発生、その穴がクリーニング処理で拡大すると思われる。暖冬や暖房普及で、虫の居住性が向上した可能性がある。綜合研では、クリーニング業者に対して、受付及び処理前の検品を充分に行うとともに、店舗･工場内における掃除と防虫剤の使用を薦めている。

ドライチラー

日本クリーニング,〔07･4･15(5)〕

ドライチラーを石油ドライ機に付けて溶剤回収すると、溶剤の使用量は回収なしの場合の15％まで減る。一般に用いられているクーリングタワー式回収機では、溶剤使用量が回収なしの場合の40〜30％なので、これと比べてもドライチラーの溶剤使用量は半分で済む。ドライチラーは冷却水を冷やす方式なので、冬場は消費電力が少なくて済むため、空冷式の最新型回収機よりランニングコストが低くなる。また乾燥機に戻る溶剤濃度が低くなるので、タンブラーを回転しないでも乾燥でき、しわが寄らず仕上げが容易になりボタンも破損しない。�潟純Cズプラント〈東京都足立区〉が製造販売をしている。

クリーニング用洗剤出荷実績

Cleaning News,52(5),〔07･5〕p11

日本クリーニング用洗剤同業界が発表した出荷統計によると、平成18年度の出荷実績は、前年度対比でパーク85％、石油93％と大幅に減少した。またランドリ−用合成洗剤も94％と前年割れした。これら減少の原因を、同業界はホームクリーニングの影響と推測している。ただしフッ素系溶剤は100％と堅調であった。

消　費

表示に従い正しい方法で洗濯を

日本消費経済,〔07･3･12(7)〕

愛知県県民生活部県民生活課は、ウォッシャブルウール製品として、スラックス7銘柄(ウール100％5銘柄、ポリエステル混2銘柄。価格3980円〜7990円)を販売店で購入し洗濯テストを行った。表示と異なった方法で洗濯すると外観などに変化が生じるので、消費者へのアドバイスとしては、必ず中性洗剤を使用し、たたんでネットに入れて洗濯すること。また、乾燥機使用の可否を表示で確かめること。事業者への要望としては、ウール製品にふさわしい取扱絵表示をということと、乾燥機使用の可否を表示することを要望する。

「子ども用衣類の安全確保について」を報告

東京都生活文化局消費生活部生活安全課,〔07･3･26〕

東京くらしＷＥＢホームページ　東京都の委嘱を受けた、消費者、事業者、学識経験者等により構成される商品等の安全問題に関する協議会は、都が実施した「消費者・事業者アンケート調査」『くらしのリスコミひろば』による都民意見募集」の結果を踏まえて検討を重ね、子供用衣類が関係した重大な事故の未然防止対策等について国および関係機関、関係業界への働きかけと、消費者への情報提供を行うよう報告書を提出した。都はそれを受けて、東京くらしWEBホームページに協議会報告の提言内容を載せている。

現代女性の美しさへの意識

繊研,〔07･4･4(6)〕

ポーラ文化研究所の｢現代女性の美しさへの意識｣調査では、20〜50代の女性の9割以上のほとんどは｢きれいな女性｣になりたいと思っているが、自分自身がそうであることに満足している人は2割に過ぎず、多くの人が思いとのギャップがあるとした。エイジングには、加齢することは｢仕方がない｣けれども、｢自然なこと｣｢人間として深みを増す｣といった前向きな気持ちでとらえている。

新社会人の身だしなみのコツ

日経夕,〔07･4･9(5)〕

入社式を終え、通勤服のバリエーションに参考となるサイトを紹介している。入社式の地味なスーツから個性的になれるよう、最低限の身だしなみから着こなし、トレンド情報まで幅広い内容。

流行りもの探求　洋服感覚の抱っこ布＝スリング

月刊消費者, 573,〔07・5〕p66〜67

赤ちゃんをハンモックのような布でくるんで抱っこし、布をリングでとめて肩にかけ、袋状にした部分に赤ちゃんを入れて使用。和名｢ピースリング｣という商品がある。背中全体で体重を支える構造なので、抱く人の肩や腰への負担が少ないのが特徴。赤ちゃんとの関係を最優先に考え、成長に合わせて抱っこのスタイルを変え、使い方の工夫が出来る。麻やオーガニックコットンなどの天然素材使用。リングは医療用の抗菌ステンレスやチタン製で2000�sの体重に耐える。250種以上の品揃えがある。

夏用手袋の紫外線遮へいテスト

たしかな目,250,〔07・5〕p40〜42

北海道立消費生活センターは、夏用手袋の生地の色、厚み、編み方による紫外線の遮へい率の違いと洗濯による効果の変化について、11商品をテストした。濃淡色違いの商品の遮へい率は、濃い色の方が薄い色よりやや上回り、レース編みのものの遮へい率は、低めだった。濃い色はUV-A波B波とも遮へい効果はあったが、薄い色はUV-A波の遮へい率は低かった。生地密度の低いものは遮へい率も若干低め。繊維組成と遮へい率に明確な相関関係は無かった。洗濯20回後の遮へい率は同じかやや上昇の傾向にあった。

吸汗・速乾性衣料

たしかな目,250,〔07･5〕p43〜45

名古屋市消費生活センターは、吸汗性や速乾性をうたった衣料品(ポロシャツ7商品、Ｔシャツ4商品、ワイシャツ2商品)についてテストした。綿とポリエステル混紡のものが7商品、ポリエステル100％のものが2商品、綿100％のものが4商品だった。ポロシャツ、Ｔシャツ、ワイシャツ別にそれぞれの吸水性、乾燥性をテストしグラフに表した。吸汗性表示のポロシャツ、Ｔシャツは吸水性が高い傾向にあり、ポリエステル製品は乾きやすく、綿製品は乾きにくいが、ワイシャツはどの商品も乾燥性がよかった。速乾性の表示があっても通常品と変わらないものがあった。購入時には手触りや風合いも参考にして選ぶと良い。

クレーム

「経時劣化」「衣類の寿命」は誰の責任か？

西山誠,繊消誌,48(3),〔07･3〕p179〜193

著者はクリーニング業に携わり、これまでの数々の事例をもとに本稿を起こしている。衣類は経時変化したり、着用によって寿命が存在することは当然のことであるが、クリーニング業の立場から、「消費者の権利」の在り方に言及している。事例が豊富で、具体的であるため、メーカー、クリーニング業者、消費者センター、消費者自身など、それぞれの立場で考えることのできる絶好の記事といえる。

品質管理

クールビズ対応素材の性能評価

久次米正弘,繊機誌60(3),〔07･3･25〕p167〜171

クールビズ(COOLBIZ)は定着してきたといえる。しかし、使用状況により涼しくするために必要な生地性能が異なるため、クールビズ対応素材の機能および評価方法は多岐にわたる。現在、各社のアプローチとしては、大きく次の3つに分類される。�@人体からの放熱を促す(熱移動特性)�Aかいた汗を効率よく処理する(水分移動特性)�B太陽光に含まれる赤外線を遮蔽する(赤外線遮蔽性)。それらの評価方法が解説されている。不当景品類及び不当表示防止法では、商品の効能を謳う場合に、その効能を客観的に証明するデータを持つ必要があり、評価方法が重要となる。

中国合弁、試験検査核に多角化

繊研,〔07･3･26(2)〕

伊藤忠ファッションシステムが出資する繊維製品の品質検査の合弁会社、上海中紡伊紡織技術検験服務有限公司(IFST)は、試験機関などに対する一般要求事項を規定した国際規格「ISO／IEC17025」を05年に取得し、昨年9月には中国内販製品の品質基準評価で公的な効力を持つ「CMA(中国内販品に係る試験機関資格)」も取得。日系の試験検査機関として両方の認証を得た初めての事例となった。その結果、欧米への輸出商品と中国国内消費商品に対応できる体制も整えた。この試験検査業務を核に、繊維･アパレル関係企業の従業員教育、品質管理や新商品開発のコンサルティングなどへと業務の多角化を進めている。

畳と品質管理

品質管理が思わぬ業界に拡大した事例

標準化と品質管理,60(4),〔07･4〕

日本の伝統的な産業を担う畳職人が、品質管理を熱心に勉強し始めており、その内容がマスコミにも取り上げられ関心を集めている。畳組合の全国組織である全日本畳事業協同組合(本部東京都千代田区、組合員6000名)が取り組んでいる、品質管理教育について詳しく記述されている。この協同組合は、独自の品質管理事業として、品質表示事業と、全日畳品質管理責任者を認定する講習会(3日間)を行っている。

その他

中国、コストインフレが顕著に

繊研,〔07･3･14(7)〕

｢特集 中国で究める｣の中で、中国での生産コスト高を解説している。人件費の上昇や原料、燃料の値上がりによる生産コストの上昇に、人民元高・円安による円建て価格の上昇が重なって製品価格を押し上げる状況が続いている。

繊維機械学会春季セミナー

繊研,〔07･3･23(4)〕

日本繊維機械学会の春季セミナーで産官学の技術開発が進んだ例が紹介された。産業資材関連が多かったが、衣料・寝装関連でも新たな技術シーズが見られた。

06年中国アパレル産業動向

繊研,〔07･3･23(9)〕

中国服装協会の｢06年の中国アパレル産業経営動向分析と07年の傾向分析レポート｣によると、生産量は512億点(11％増)に達し、うち布帛製が180億点(6％増)、ニット製が332億点(13％増)だった。伸び率はかなり鈍化し、かろうじて2ケタ伸長を確保するにとどまった。企業の実行投資は5割増と活発で、輸出単価も上昇。中国アパレル産業は、量的な大国から質的な強国へ歩み始めた。

IFI、2年間で10大学にFB講座

繊研,〔07･3･29(1)〕

ファッション人材育成機構(IFI)のIFIビジネス・スクールは10年目に入る。これからの10年をセカンドステージとし、方向性として�@事業領域の拡大�A企業家精神の高揚�Bグローバル化に取り組む。新たな事業展開では、00年から青山学院大と神戸大でFBビジネス講座を開講しているが、今後首都圏や関西の有力大学と順次開講する予定。

全素材対応めざす

繊研,〔07･3･30(4)〕

東海染工は綿を中心とした短繊維織物、編物から毛織物、化合繊長繊維関係まで含めた「全素材を網羅する」染色加工メーカーをめざす。このため毛織物染色整理の藤井生整絨と提携、合繊長繊維ニット染色整理のサカレンの一部事業統合、合繊メーカーの委託加工を受けるなど布石を打っており、ほぼ体制を整えつつある。これにより、婦人、紳士カジュアル市場に機敏に対応できる染色加工メーカーとしての基盤を固める。

痴漢捜査にミクロの目―「繊維鑑定」依頼急増―朝日(夕),〔07･4･14(13)〕

警視庁は97年、痴漢捜査に繊維鑑定を導入した。97年1件、04年117件、06年326件と鑑定依頼が急増している。鑑定は特殊なテープを使い、容疑者の両手の指の表裏、手のひらと甲から付着物を採取する。被害者からもスカートやズボン、下着などを提出してもらい、同種の繊維が付いていないか顕微鏡などで調べる。繊維は一定時間こすったり、つかんだりした場合に付くことが多く、顕微鏡で直径100分の5ミリほどの繊維素材や形状、色などの分析を行い「特徴が類似」などと結論をだす。物証にも冤罪防止にもなるとされている。

ケミカルリサイクル本格化

日繊,〔07･4･17(3)〕

クラレトレーディングは新日本製鐵、ヤマト運輸との共同でケミカルリサイクル事業「エコトーク」リサイクルを本格化させる。環境省から業界では初めてとなる繊維製品全般対象の広域認定を取得。ユニフォームからリサイクル事業を立ち上げ順次、リビング製品などへも用途を拡大する。今回、導入するのは新日鐵が98年から展開するリサイクル技術「コークス炉化学原料化法」を利用し、繊維製品を軽質油、タールといった化学原料に再利用するもの。リサイクルの流れは、①クラレが「エコトーク」マークのついた製品をウェブシステムを通じ回収する②回収製品を東京・江東区のリサイクルセンターの破砕機で造粒物に処理する③新日鐵に搬送後、化学原料に再生する、となっている。

中国、経済発展・投資着々

朝日,〔07･5･2(3)〕

｢中国は技術における米国の優位を脅かしつつある」、今年1月、英紙フィナンシャル・タイムズにこんな見出しの論文が掲載。好調な経済を背景に、科学技術分野の投資を着々と進める中国の現状を紹介した米専門家らによる分析だ。経済協力開発機構（OECD）は昨年末、中国の06年の研究開発費が購買力平価換算で初めて日本を上回り、米国に次ぐ2位になるとの見通しを発表、研究者数はすでに日本を上回る。

行　事

記事中の①は日時、②は場所、③は内容、④は主催者・連絡先とする。

日本野蚕学会大会

①6月22日〜23日
②筑波山ホテル青木屋(つくば市筑波)
③学術研究発表を中心にビジネス事例研究やワークショップ、パネル展示など
④野蚕学会事務局(農業生物資源研究所内)
TEL:029−838−6073

最近話題の合繊技術紹介講演会

①7月5日
②大阪科学技術センター
③06年の繊研合繊賞受賞作品を中心として、東レ、ユニクロ、丸井織物、東洋紡績、帝人ファイバー、一村産業の各社から紹介される。
④日本繊維機械学会
TEL:06-6443-4691

繊維基礎講座−だれでも分かる繊維の製造から加工まで

①7月5日〜6日
②東レ三島研修センター
③天然繊維、合成繊維、紡糸・延伸、染色・仕上加工・機能加工、不織布、繊維の構造解析、評価計測・感覚計測、バイオポリマーの基礎、東レ三島研修センター見学、他
④繊維学会
TEL:03-3441-5627

品質管理セミナー入門コース

①7月5日〜6日
②日本規格協会大講堂
③品質管理とは何をすることか、ばらつきがあるデータ、データのとり方、ヒストグラム、チェックシート、特性要因図、管理図、他
④日本規格協会
TEL:03-3583-8008