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経済産業省が公表した「06年度電子商取引に関する市場調査」結果によると、日本のインターネットによる企業間電子商取引の市場規模は06年に148兆円(前年比5.3%増)となった。VANや専用線システムも含めた広義の企業間電子商取引は231兆円(3.5%増)。製造業の中では「繊維・日用品・化学」などの比率が高い。消費者向け電子商取引の市場規模は4兆3,910億円(27.1%増)で、構成比は情報通信が27.1%と最も高く、大手通信販売を含む総合小売りが22.5%と続く。衣料・アクセサリー小売業は1%。
産業審議会が了承した「07年版不公正貿易報告書」で、主要相手国を対象に全体で112件の貿易政策・措置の問題点を指摘している。中には米国やEUの繊維製品の高関税、中国の中古衣料の輸入禁止、模倣品・海賊版等の不正商品、インドの小売り分野の外資規制などがある。
経済産業省は「感性イニシアチブ」(第四の価値軸の提案)を策定した。人口減少に伴う量的需要減や近隣諸国などの追撃により、繊維産業はさらなる構造改革を迫られているが、従来の「機能、信頼性、コストという要素を超えた第四の価値軸として感性価値」(石黒憲彦製造産業局審議官)を提案。JFWも来年度以降は、「感性価値創造の中などで予算要求していく」(宗像直子繊維課長)方針である。
経済産業省は「JAPANブランド育成支援事業」の07年度支援プロジェクトを決定、繊維関係は新たに3件が採択、これまで18件となり、全体の4分の1を占める。ボーダーレス化が進展する中で、日本の匠の技を生かして海外市場でブランド確立を目指す。
経産省、厚労省、文科省の共同で作成された「07年版ものづくり白書」は、国内製造業が海外生産を拡大する中で、国内生産拠点の重要性が増大し、機能も強化する「好循環」の実態を明らかにし、国内拠点の機能強化のため4つの課題も指摘している。課題は@国内立地環境の整備Aイノベーションの推進B技術管理の強化C作り手と使い手の共創を促進する感性価値の創造となっている。
産業構造審議会の繊維分科会は、繊維ビジョン「繊維産業の展望と課題」の中間とりまとめを了承した。「技術と感性で世界に飛躍するために−先端素材からファッションまで」を副題とし、構造改革の推進、技術力の強化、情報発信力・ブランド力の強化という三本柱と国際展開の推進、人材の確保・育成の二つの基盤整備を挙げ、国際競争力のある産業への再構築を打ち出したものとなっている。
政府・知的財産戦略本部の「知的財産推進計画07」によると、日本のファッションを世界ブランドとして確立するため、繊維・ファッション関連分野で6つの重点施策を推進する。その中で、経営関連の大学の学部や大学院などでファッション関係人材の育成を掲げている。
経済産業省・中小企業庁は20日に開いた「下請け適正取引等の推進のためのガイドライン策定検討会」で、繊維など7業種別の取引ガイドラインを策定した。同検討会は今年2月の「成長力底上げ戦略」の一環で、「適正取引の推進で中長期的に日本の産業競争力を向上させる」(甘利明経産相)のが狙い。ガイドラインには業界の特性に応じたベストプラクティス事例を提示し、適正な取引の在り方を示す指針を盛り込んだ。下請法などで問題となり得る行為や、望ましくない取引慣行の具体例を挙げ、分かりやすく提示している。
経済産業省は繊維関連業界の電子商取引・電子タグ基盤構築に向けたビジョンと、同ビジョンを実現するロードマップを策定する。今年度中の策定をめざし、近々検討の場を立ち上げる予定。
ファッション戦略会議で来年3月に「日本ファッション・ウィーク推進機構」を設立することを決めた。機構では東京発日本ファッション・ウィーク(JFW)を推進するため、@コレクションAアパレルBテキスタイルC人材育成Dファッション振興E情報発信の6つの事業を統括する。
経済産業省の新流通産業研究会の「生活づくり産業への進化する我が国小売業」と題する報告書で、人口減少や改正まちづくり三法など制約要因が増している小売業の課題を指摘。流通のグローバル化に対した生産性・収益性の向上、成長が続くアジア市場への積極進出、従業員満足の向上や地域コミュニティーへの貢献などを促した。
経済産業省・特許庁の「07年版特許行政年次報告書」によると、日本企業の06年特許出願件数は41万件(前年比4%減)と厳選する兆しがみえるものの、特許協力条約に基づく国際出願は2.6万件(同9%増)と世界第2位に。日米欧中韓における繊維分野の商標出願数の合計は02〜05年にかけて増加を続け、中国30%、韓国15%、日本とイタリアが13%の順になっている。
経済産業相の諮問機関、産業構造審議会の小委員会は、来年の国会での特定商取引と割賦販売法の改正に向け、改正ポイントの中間とりまとめを決定した。高齢者らを狙った悪質商法が後を絶たないため、クーリングオフの対象を原則として全商品・サービスに広げ、また、被害者に代わって不当行為の指し止めなどを求められる「消費者団体訴訟制度」の導入も検討する。
東京都立産業技術研究センターによると、06年度の繊維関連の依頼試験数は13,500件、技術相談件数は11,000件だった。ホームページ上に掲載している「繊維クレーム集は企業や大学などの関係者の間で隠れたベストセラーになっている」という。同センターの墨田支所、八王子支所で行っている繊維関連事業は、ものづくり設備や評価試験機器を活用した繊維製品評価・染色・アパレル技術・ニット技術分野などでの技術支援が中心。
国際綿花評議会は、米綿の生産は減少しているが、世界の綿花消費は増加、この傾向は当分続くとの見通しを明らかにした。米綿の生産は05/06年度2,390万俵、06/07年度2,160万俵と減少、07/08年度は2,000万俵と予測されている。生産の減少はエネルギー関係に需要が旺盛なトウモロコシ、大豆などの価格高騰に対し、綿花価格の上昇が小幅にとどまり「綿花からトウモロコシなどの生産への転換が進んでいる」のが主因だ。07〜08年度の米綿作付け面積は「前年より21%減となる計画」という。一方、世界消費は04/05年度に1億俵を突破し、05/06年度は1億1,590万俵と増加、06/07年度は1億2,190万俵と予想する。
滋賀麻工業は、ソフトで軽い麻わたを開発し、吸放湿性に優れた特性を生かして夏用の麻ふとんの販売を開始した。開発した麻わたは麻繊維に特殊なアルカリ加工処理を施してクリンプ(ランダムな収縮)形状を表現し、ソフトさも加味。ポリエステルわたや綿わたより吸放湿性がはるかに高く、さらっとした触感が得られ、涼しさを感じる。汗をかきやすい夏場の寝具品などの中わたに最適で、抗菌加工も施した。同社は今回開発した、かけふとん、敷ふとん、敷パッドなどの寝具製品を「あ・さらり」と名付けている。小売価格は、側生地も麻100%で24,000円中心。
東レはこのほど、従来に比べ耐熱性などを高めた、ポリ乳酸(PLA)樹脂と植物繊維による繊維強化プラスチックを開発した。耐熱性では世界最高レベルの150℃を達成しており、通常の石油系プラスチックと同等で、実用性はかなり高いという。2年後をめどに商品化を目指し、自動車部品や電気・電子部品、土木・建築資材など幅広い用途で展開する。このほど開発した技術は、PLAと植物繊維を独自の技術でコンパウンド(混練)するもので成型品の外観および剛性を向上させた。またPLAの結晶化促進作用を従来の10〜50倍高い技術を開発、成型時間を大幅に短縮したほか、耐熱性を150℃にまで高めた。
リネンやラミーの原料は、ユーロ高や元高、輸送コストなど間接要因が影響し、前年比約40%高となっている。国内麻紡績は、輸入製品との競合で値上げが難しいなか、コスト高を感じさせない差別化商品に入れ替えながら価格転嫁を進める方向。帝国繊維のリネンの仕入れコストは、細番手から太番手用まで平均して前年比20%、品質差の大きい細番手用は40%近く上昇。トスコでもリネンやラミーの原料コストは40%近く上昇。同社はトレンドに乗って注目されるラミーの細番手を中心に、ラミー100%やシルク混、獣毛混シリーズ、コンパクト糸などを開発。新商品による価格改定でコスト吸収を図る。
羊毛の国際価格が4年ぶりの高値となった。昨夏頃から始まった干ばつによる出荷低迷と中国の買い付けが高水準なことが背景で、秋冬物衣料向けの買い付けが本格化してきた影響も出てきた。先行き品薄感は強く、商社筋では「高値が続きこのまま1000豪セントを目指す」という。羊毛は02年10月にも干ばつの影響で1240豪セントと88年の過去最高値(1269豪セント)に迫ったことがある。今回も同水準まで上昇する可能性があり、川下製品の国内流通価格への影響はすでに出ている。日経、同ページには、「ポリエステル原料 上昇基調強まる」の記事も。
国立感染症研究所と農業生物資源研究所などのグループは、昔の蚕が作っていたとみられる黄色の繭を作らせることに成功した。現在、日本で主に使われている白色の繭を作る蚕で働きが失われている遺伝子を発見し、その遺伝子復元に成功した。感染研放射能管理室の作動隆研究官、土田耕三室長らは繭を黄色にする遺伝子を見つけ、桑の葉に含まれる黄色の色素カロテノイドを細胞内に取り込む働きをしていることを突き止めた。この色素が絹糸を作るたんぱく質にくっつくことで、黄色の糸になる。白い繭を作る蚕では、この遺伝子の塩基配列が一部失われ、遺伝子が働かなくなっていた。人為的にこの遺伝子を入れた蚕は、黄色の繭を作るようになった。
「COOL BIZ」は、温室効果ガスの低減だけでなく、繊維業界には「快適機能性の訴求」、「オフィスウエアのファッション化」をもたらした。東洋紡「クールサイエンス」の素材開発プロセス、快適性評価技術、機能商品群が紹介されている。評価項目(評価方法)には、吸水性(JIS L 1907)、通気性(JIS L 1096)、摩擦係数(KES/摩擦係数変動)、放熱性(サーモラボ法)、肌離れ性(東洋紡法)と衣服内湿度(東洋紡法)がある。商品群一覧表の中から「ドライファスト」(吸汗速乾/ドライタッチ)、「ALSACE」(衣服内気候/吸汗速乾)と「ツアークール」(着皺回復性)の解説がある。
愛知県産業技術研究所は、押されたことを感知できるタッチセンサー織物を開発した。撚糸機を使い、導電性繊維を芯にして、その周囲に絶縁性繊維を巻きつけた糸を使った織物。押すことにより、たて糸とよこ糸の間が近づいてその間の静電気の容量が変化する。その変化の度合いを電気的に計測することで、スイッチとして応用できる。これまでも合成樹脂フィルムを使用した類似の製品があるが、これらと比べると、感度や応答性は劣るが、肌触りが良い、通気性に優れるなどの利点がある。医療や福祉分野、カーペットにつけて防犯用への用途が考えられている。
クラボウは水鳥の胸毛(ダウンボール)を模倣し、特殊な形状を繊維で再現した生体模倣材料(バイオミメティックマテリアル)の繊維資材「エアーフレーク」を開発した。08年3月から各種フィルターや保温・断熱材として産業資材用に販売する。エアーフレークは同社北条工場で、羽毛の最高級品といわれる北極圏に生息するカモの胸毛の特性や形状を分析し、開発した。胸毛は小さな柔らかい核心から放射状に出ている細かい羽枝から成り立ち、それぞれが相互に絡み合い、ふさふさした弾力のある毛球を形成している。これを独自装置により、構造体の形状の検討や素材の組み合わせなどのテストを繰り返して完成した。
セーレンと子会社のKBセーレンは、透け防止機能に優れた遮光性ポリエステル長繊維「イマージュ」を共同で開発、織・編物を「ホワイエ」の商標で販売する。08年春夏の水着用途からスタートする。イマージュは白でも透けにくく、盗撮の防止や紫外線(UV)カット機能を備える。技術的には、遮光効果のある酸化チタンの微粒子に新しく特殊な改質剤を加えポリエステルに均一に練り込んだ。乾いた状態と水に濡れた状態ともに、市販されているフルダルのポリエステルと比べて2倍以上透けにくくなったとしている。また赤外線を遮蔽することで盗撮を防ぐことが可能になり、UVカット機能もある。
東レは、ナノファイバー素材を婦人服で商品化する。ナノファイバーは世界中の繊維メーカーで開発が進んでいたが、あらゆる用途を含め、商品化されるのは世界でもこれが初めて。製造法には、高圧電流を流しスプレー状に紡糸するエレクトロスピニング法と複合紡糸法がある。後者の複合紡糸法は、日本の合繊メーカーが得意とする技術で、従来の設備を改良し製造することができる。世界的にも東レと帝人が技術で先行しており、既に両社とも基礎技術は確立している。東レが婦人服向けに使用するのは、直径100nmのナイロンで、婦人服のアウター・ボトム用途。世界初のナノファイバー商品は、日本の婦人服として登場することになりそうである。
信州大学繊維学部の大越豊教授と伊香賀敏文研究員の研究グループはグンゼと共同で、レーザー延伸法を利用して糸の均一性が高く、強度の高い縫合糸の製造法を開発した。素材はポリ乳酸で生分解性を持つ。レーザー延伸法は、合成繊維に炭酸ガスレーザー光を照射して繊維を急速加熱および溶融し、さらに高電界を掛けて引き伸ばすもので、今回はこの技術を応用し、ポリ乳酸(PLA)繊維の縫合糸製造プロセスに応用した。PLA繊維の縫合糸は従来、延伸工程でヒーター加熱延伸法を用いていたが、強度低下や不均一性が生じる問題があった。レーザー延伸法を用いることで延伸プロセスは安定し、均一な縫合糸を製造できる。
米デュポンの生分解性ポリエステル樹脂「バイオマックス」を用いて、一村産業が繊維素材「アペクサ」を開発。バイオマックスはポリエステルと同じく石油を原料とするが、加水分解する独自の樹脂を混合させて設計、開発されたもの。通常の使用下ではレギュラーのポリエステルとほぼ同等で劣化することはないが、水、温度、微生物が一定の条件で揃うと分解を開始する。服全体がアペクサで構成される必要があることから、井上リボン工業、アイリス、YKKファスニングプロダクツ販売、フジックスに加え、貿易商社の協同インターナショナルとの6社がチーム・アペクサを発足させた。
東洋紡は来秋冬向けのスポーツ素材で、織物は極細ナイロンを使った「シルファイン」やフルダルポリエステルの「ダルファイン」など極細糸を使った軽量高密度織物、ニット新素材の「ヒートサプライズ」を中心に提案。ヒートサプライズは競技別に冬に必要な六つの機能である防風、冷え感軽減、接触温感、輻射熱保温、断熱保温、空隙制御保温のバランスを計算し、最適な糸や編構造、加工を組み合わせたもの。屋外プレーが中心のサッカーなら防風保温や冷え感軽減のための「ヒートコントローラー」、屋内中心のバスケットボールなら汗による冷え感軽減や接触温感を重視した「ウォームヒール」が適する。
浅野撚糸とおぼろタオルは超軽量タオル「エアーかおる」を共同開発した。タオルには「魔法の撚糸」と名付けた特殊な糸を使っているため柔らかく、ボリュームがあって従来の半分の軽さで毛羽落ちにくさは合繊並みに抑えた。吸水性にも優れる。糸は水溶性糸と綿糸を特殊合撚した。水溶性糸を溶かした後は中空糸と違って繊維一本一本に膨らみが出る。撚りをしっかりかけるため毛羽落ち防止や膨らみの持続性につながった。40番手と20番手の2種がある。
東和アイは独タオルメーカーが開発した微細繊維を使った洗顔用タオル「マイピーリングセンセーション」の発売を始めた。髪の毛の700分の1という極細の繊維が毛穴に詰まった汚れを落として古い角質を取り除く。価格は780円。ドイツのTVS社の素材を日本で縫製した。ぬるま湯につけて絞った後に肌を軽くふき取るだけで汚れが落ちるという。
岡山県井原地区はデニムの織物産地。知名度が今一つ低いことから、同産地の吉河織物では「デニムの本場、井原」の産地ブランド育成へ、産地の特性を生かした商品開発、販売を強める。8月に東京店を開設、1,000種類のデニムを展示販売する。「1mから売る」方針で、アパレルメーカーのデザイナー、学生などを対象に多彩な表情のデニムを浸透させていく。小口販売を主体にし、注文を受けると3日から1週間で届ける。大正紡績と共同で日本酒やワインのかすを再利用し、染色、あるいは微粒子を練り込んだ綿糸を使ったデニムも開発、「マーブック・リカ」(ほろ酔いデニム)、「ワインデニム」として販売する。
日清紡のバナナ繊維の用途開発が進んできた。主力のカジュアルシャツに加え、カジュアルパンツ、調理用コート、エコバッグなどを商品化。まだ、年間10万m強の規模だが、繊度を細くするなどの開発を進め、婦人物やドレスシャツ向けに用途を拡大させる。バナナ繊維は、茎の内側の柔らかい繊維を洗って乾燥後、開繊、紡績する。廃棄されるバナナの茎の活用によるエコロジー性、吸水性や独特のナチュラル感などが特徴。糸は綿70%混が中心で、20番手が主になる。液体アンモニア加工や減量加工などの開発を進めている。現状はリネン・綿より高く、小売価格はカジュアルシャツで5,900円になる。
オーガニックコットンの生産が増加、日本の需要も伸びている。日本オーガニックコットン協会では認証タグ・シールの拡大、各界アーティストによるイラストTシャツの販売から展示会への参加、セミナー開催などの活動を強化している。オーガニックコットン(原綿)の生産は、00〜01年度に6,480t程度だったが、04〜05年度には25,394t、05〜06年度は31,017tと急激に増加している。それでも世界の綿花年産量2,500万tの0.1%にすぎず、生産拡大の余地は大きい。生産国は世界22力国におよび、トルコが全体の40%、インド25%、米国7.7%、中国7.3%で、この4力国で80%を占める。
帝人ファイバーは高性能耐久制電糸「ビーウェル」を開発。08〜09年秋冬向けスポーツ素材のほか裏地、インナー、ユニフォーム、ファッション分野へ販売する。同素材は繊維の芯部に制電性ポリマー、鞘部にレギュラーポリエステルを配したコンジュゲート糸。制電加工や従来の制電糸の問題点であった耐久性の低さ、風合いの硬さ、加工併用による機能低下を解決した。耐久性は独自の制電剤をナノオーダーで均一に分散させることでクリアした。洗濯50回後の摩擦電圧は、従来品の約4,100vに対し、1,300vを実現。また、独自の紡糸技術で単繊維0.8dtexの極細化に成功し、風合いをソフトにした。
森技術士事務所の森益一代表は、羊毛などのタンパク繊維に恒久的なプリーツを施す加工技術「アリストティール21」を開発し、特許を出願した。新薬剤はケラチンと反応し、繊維に安定的な架橋構造を作り、恒久的にセットする。ウールを改質したり、スケールをはく脱したりしないため、ウールの良さをそのまま残しながらプリーツをセットできる。
薬剤は塩素やホルマリン、硫黄化合物を含まないのでにおいはなく、有害な排ガス、排水が出ない。また反応性が良く、廃液に薬品はほとんど残らない。この加工を施すと弾力性が高まるため、ストレッチ性が付与され、防しわ性も向上する。
ユニチカファイバーは08〜09年秋冬向けスポーツ素材で、ポリエステル耐久撥水加工「スプラッシュガード200」と低通気ニット「ウィンシャット」を開発した。スプラッシュガード200はナノテックス社の薬剤とユニチカファイバーの加工技術を駆使した共同開発品。洗濯200回後の撥水度はJIS規格で3点以上を実現した。ウィンシャットはポリエステルニットの表面を熱ローラーで圧縮して通気性を抑えることで、衣服内の温度を保つ。レザー調の光沢と織物調の適度なハリコシも特徴である。
綿・ポリエステル・綿混など短繊維織物の無地染色企業は、自社技術を進化させるとともに、さまざまな加工技術を組み合わせた独自開発を強化している。感性、機能などの技術力を高め、厳しい環境下での生き残りをめざしたもの。大和染工(静岡)、東海染工(名古屋)、岐セン(岐阜)、トスコ滋賀(滋賀)、大阪染工(大阪)、大和川染工(同)、内外特殊染工(京都)、正織興業(岡山)、山陽染工(広島)の動きの概説がある。また、経営を圧迫している燃料、染料などの高騰に対応し省エネ対策にも力を入れ、都市ガス、バイオマスなどへの切り替え、水、蒸気の節約、再利用などに取り組んできている。
ダイキン工業とダウコーニング(米ミシガン州ミットランド)はフッ素とシリコンを複合させた繊維処理剤「ユニダインTG-5521」を開発、8月から全世界で販売を開始する。繊維製品への撥水撥油加工剤はフッ素化合物が一般的だが、加工すると柔軟性がなくなり繊維の風合いを損なう。一方、シリコンは柔軟性に優れるが撥油性能は持たない。この二つの成分を分子レベルで結合させて性能を補完しあうことに成功した。これまでは両立が困難だった撥水撥油性能と柔軟性を併せ持つ加工が可能になるとしており、スポーツウエア向けなどで大きく広がるものと期待している。価格は従来品よりもやや高め。
女性の体形をイメージ用語で5段階に表現し、この結果を主成分分析によって4つの主成分に絞り込んだ。これらの主成分を用いて6つのクラスターに分類した。次いで第2報において、パターン設計に資することを目的として、4つの主成分のイメージ表現を人体寸法で表現しようと試みた。主成分を目的変数、T次元人体寸法を説明変数とする重回帰分析を行い、3つの主成分については高い精度で予測できることを導いた。
新谷産業は、スラックスの前ファスナーを使用することなく、機能的かつ違和感なく着用できる「ユニバーサル・スラックス」を考案・開発した。これは一般的に使用されているスラックスの前ファスナーを無くし、前重間部の遊離する開口を制御する整形法を用いたもので、内部は見えにくく、動きや通気性もよく、チャックの閉め忘れも解消した。一般のビジネススーツなどにも活用できるが、特に高齢者や身障者など、チャックの開け閉めが苦手でも、脱着がスムーズという。
オンワード樫山は今秋冬の百貨店向け婦人服で、遠赤外線効果によって保温性などを高めた独自開発の中わた「ハイブリットファイバー」を採用し、軽さとデザイン性も訴求したアウター「ウインターヴェール」を10ブランドで発売する。紳士服10ブランドで採用する「ギガ・ハイブリットファイバー」と同素材で、「組曲」子供服でも使う。全社横断型で取り組むことでコストメリットを出し、「他とは差別化した機能とデザインで、付加価値を高めた商品を買いやすい価格で提案」、アウターの売上げを伸ばす。同社が紳士、婦人、子供服共通の中わたを出すのは初めて。
靴底がすり減ったり布が破れたりするため、シューズの耐久性は、これまで500〜600キロとされてきた。ミズノは500キロ走行後のクッション性を調べたところ、約30%低下することがわかった。低下の原因は使用していたスポンジ素材の細かい気泡がつぶれて元に戻らなくなることであった。ランニング時、かかとには体重の約3倍の衝撃がかかる。クッションが硬すぎれば地面からの衝撃がそのまま足に伝わるし、柔らかすぎれば安定性が悪く足首の障害につながる。ミズノはスポンジ素材を使わず、代わりにプラスチックの波形プレート2枚の間をゴムでつないで中空にした「ウエーブクリエーション8」を開発。このシューズのクッション性は従来のものより16%アップ、500キロ走行後には、新品時よりも6%しか低下しない。
帝健と、リーガルコーポレーションは共同で、高機能耐熱靴を製品化し販売する。この靴は胴・甲部に耐熱アラミド繊維「コーネックス」アルミコーティング素材を、表地に特殊フェルト中間層に使用し、さらに補強用としてベロア牛革を装着。600℃の炉床上で600秒間測定した結果、靴内部温度が3℃という優れた機能を持つという。高炉、電炉、鋳造作業時の床面(500℃)上で使用できる耐熱靴がなく開発が望まれていたもの。
大手紳士服専門店が30代前半の団塊ジュニア世代を中心とする若年層を狙った店づくりを強化する。コナカは20〜30代の集客増を目指し、低価格スーツの既存約30店を全面改装する。青山商事、はるやま商事も婦人衣料を大幅に増やし、若い家族が来店しやすい店を本格展開する。AOKIホールディングスは、昨秋投入した細身スーツの品揃えを拡充し、若年層の勾配比率引き上げを狙うという。
安全と安心を求める声や対策が、徐々にではあるが強まってきている。特に将来を担う子供への安全対策で、欧米と比べ立ち遅れている日本だが、東京都が報告書「子ども用衣類の安全確保」に基づいて国や子供服の事業者団体などに安全規格(JIS)などを早期策定してもらうような提案・要請した。既に経済産業省や関連団体も安全への取り組みを始めており、その動きは取引行動規範であるCoC(コード オブ コンダクト)と同様に、どうわが国に根付いて行けるかが大きなテーマになる。
ジェットレーベル(大阪市)は9日、大阪市の中心部に本社工場を開設する。外注先だった工場のミシンなどの設備を買い取って、従業員を引き継ぐもので、サンプルや小ロットアイテムを生産する。中国生産のコスト増が続くと予想されるため、クイックに生産できる国内生産の基盤を確保しておく必要があると判断した。工場は同社の本社があるビル内に開くもので、機械はミシン、プレス機、裁断機など十数台入れる。面積は66u。従業員は当面3人。テーラージャケットからカットソーまで、横編みニットを除く全アイテムを生産できる。月産は同社の生産量の10%にあたる1,000着を予定している。
スウェーデンと聞いて思い浮かべるのは家具やインテリア雑貨、それに車。ところがあまり馴染みのなかったファッションがにわかに注目されている。有力なセレクトショップや百貨店がスウェーデンブランドを扱い始めた。シンプルでミニマムなデザイン、清潔感のある色柄、それに値ごろな価格が話題を呼びそう。来年には世界24カ国に約1300店を構えるスウェーデンのSPA(製造小売り)「H&M」が日本に上陸する。スウェーデンファッションが一大旋風を巻き起こすかもしれない。
インナーメーカーの百貨店戦略が過渡期を迎えている。前年も苦戦が目立ち、ブラジャーの販売枚数は落ちた。将来的な人口減少や低価格帯で販売する専門店の増加などを背景に、「今後も売り上げに大きな伸びは見込めない。現状維持に努める」とワコール、トリンプ・インターナショナル・ジャパンともに見解は一致。この間、メーカー各社は客単価を取りやすいブランド商品を強化しており、キャリア市場の競合が加速している。
エドウインはCHOYA、センチュリーデクノコア、林田と協業し、ジーンズを核としたトータルのメンズアダルトカジュアル「ブルー・ギャラリー」を今春からスタートした。専業メーカーが強みを持ち寄り、エドウインが中軸となって進めるもので、百貨店にコーナー売り場も設けた。20代の時にジーンズをはいていた人が、30代、40代になるとはかなくなるが、理由は体型の変化や服装の組み合わせが難しくなるから。そこでパターンや素材を研究し体型が変化した40代の人にも似合うジーンズを提案。また、男性はスーツからの脱皮が下手でコーディネートの仕方がわからず、そういう売り場もなかった。そこで専業メーカーの商品をトータルコーディネートする提案とした。
日本国内の生産基盤を活用した物作りがさらに広がっている。国内生産をアピールしたブランド開発が相次ぎ、自社工場を新設・強化する動きもある。コスト上昇と欧米シフトを強める中国に対するリスクの分散や国内の技術を生かした高品質で個性や特徴、付加価値の高い物づくり、サンプルや小ロット・短サイクル生産のスペース確保などが主な理由だ。国内の工賃が低下したこと、空洞化が進む国内の生産基盤を確保できる今がぎりぎりのタイミングという認識も背景にある。
プラスチックボタンには軽量で高級感に欠けるという声が根強いことから、適度な重みを持ち外観も陶器そっくりのボタンを、京都のボタンメーカー永井合成樹脂工業が開発した。これまでプラスチックに重みをつけるにはタングステンなどの金属を混入していた。しかしこの方法では検針器をクリアできなくなる問題があった。今回開発されたものは、安全性、耐久性、加工性のよさを生かしながら陶器調に仕上げた。
三陽商会はニット製品の試作・開発機能を強化する。新潟県に昨年新設した試作拠点の「ニットアトリエ」に営業担当を置き、協力生産工場との連携を高める。作成した試作品などのデータベース化も進める。国内繊維産地の疲弊が進むなか、有数のニット産地にあるアトリエの強化で高品質・短納期の国内生産体制を高める考えだ。
イスラエルの高級紳士服「バギール」が東京港区に1号店を開業した。ペットボトルの再生素材を使ったジャケットやウール製ながら家庭で水洗いできるスーツなど、機能性と環境への配慮を両立させたのが特徴。バギールは英国で商品を企画し、英百貨店や米高級紳士服のOEMを手がけている。バギールが海外に店を持つのは日本が始めてで、今後5年間で大阪や名古屋など4、5カ所に出店し、環境保全への意識が高い男性らに売り込むという。
光ディスク関連機器メーカーのパルテックス工業は人の体型を計測できるボディースキャン装置を開発した。自社の三次元計測技術を応用し、価格を既存製品の半分程度の350万円に抑えた。開発した「CAPSUL AR 3D」は体の前後からレーザーを当てて、体型を計測する。レーザーを放つセンサーを従来品の半分の2つに削減。レーザーがあたらない側面部分は前後の計測値から推計する。黒い服はレーザーを吸収するため、計測困難だったが、同社はレーザーの反射光の取り込み方法を工夫し、計れるようにした。
消費者の関心を高め、レジ袋削減に向け大手小売業の取り組みが活発になってきた。レジ袋を辞退した顧客に1円を値引きする実験を始めたり、レジ袋を有料にする動きが広がってきた。
世界の雑貨・食料品小売チェーンの06年度売上高ランキングで、米ウォルマート・ストアーズの独走が続く一方、2番手グループが混戦模様となってきた。4位の英テスコが3位の独メトロとほぼ肩を並べたほか、日本のセブン&アイが上位5社入りを果たした。
中国語?ハングル?英語にロシア語?どこの国?ストリートやファッションビル、百貨店の中で、まわりから聞こえてくる言葉が外国語だらけということが多くなった。都心ではずっと前から多いといえば多いのだが、最近はさらに激増している。この春の天候不順の売り上げ不振をなんとか乗り切れたのは、外国人のずば抜けて高い客単価のおかげという話をあちこちで聞く。「客の3分1は外国人かも」というショップもあるほどだ。
量販店系SCを中心に常態化した22時、23時までの営業時間に対して、ファッション専門店やショップから営業時間の短縮を求める声が再燃している。ファッション専門店は女性の従業員が多いだけに、21時以降の要因確保に苦心、人件費と求人関係費の増大や深夜営業によるイメージ悪化が人手不足を加速させ、防犯・安全上の問題も実現化している。
大手百貨店が大都市を中心に店舗関連で積極的に投資している。 売上高が減少傾向にある中、存続をかけ、衣料品や宝飾品など少し贅沢な商品が大都市中心に成り立つため。
リモコン1つでテレビが情報端末になり、これまで情報検索も自在にこなせるというテレビポータビルサービス(大手家電メーカーなど6社の共同出資会社)が、2月に新しいネットサービス「アクトサービス」が開始。ファッションジャンルの新たなコンテンツも開設され、普及すると、テレビを使った情報収集やショッピング、さらにファッションビジネスのあり方が劇的に変わりそう。
「6月からもうバーゲン」と、アパレル業界やファッションビル、SCのテナントなどから驚きの声が上がっている。どうやら今夏のセールは6月30日からいっせいに始まることが確実になった。早いところでは6月27日から。昨年は7月1日からいっせいにスタートしたが、6月中の集中開催は初めて。例年、早まるバーゲンセールにアパレル企業やテナントだけではなく、日程を設定する百貨店やディベロッパーからも懸念や是正を求める声が上がっているが、「よそがやるならうちも」と、苦渋の選択が見え隠れする。
大手紳士服専門店が30代前半の団塊ジュニア世代を中心とする若者層を狙った店づくりを強化する。主力顧客だった団塊世代の大量退職が強まるなか、新たな収益基盤の確立を急ぐ。
6月は環境月間。今年は4月に容器包装リサイクル法が改正されて、小売業のレジ袋持参運動を中心に、例年より積極的な取り組みが目立つ。レジ袋削減目標を具体的に掲げ、スタンプカードやオリジナルエコバッグ発売などを紹介している。
日本百貨店協会は加盟各社の会員カードの発行状況などを調べた初の「ビジネス白書」まとめた。全体の9割近くが自社クレジットカードを発行、カードが固定客作りの有効な手段となっている。
都心百貨店は07年夏のミセス向け婦人服の端境期対策で、盛夏はもちろん、秋まで着られるジャストシーズン企画を拡大する。セールが6月30日からと前倒し傾向が強まるだけに、同企画の投入を早めたり、数量を拡大する動きが相次いでいる。仕入先が春物の不振もあって生産調整を強める中、別注や独自開発で適品を確保し、欠品、適品不足による売り逃し、機会ロスを防ぐ狙いだ。売れ筋をアレンジして価格を抑えた期中対応や秋の色、ディテールを先取りした夏素材の商品で、セール期のプロパー販売比率を高めていく。
ファッション業界が“人材危機”に直面している。製造業の現場では工場の海外移転とともに団塊の世代の大量退職が迫り、脈々と受け継がれてきた専門技術の先細りが懸念される。小売業の現場では積極出店の号令の下、売り場が拡大の一途なのに肝心の販売員のなり手がいない。川上から川下までファッション業界は未来の“人財”にどう向き合おうとしているのか。
繊研新聞社の06年度小売業の衣料品売上高で、初めて首位になったユニクロやしまむらが引き続き高い伸びを確保するなど、100位以内では専門店の勢いが目立つ。100社売上高合計では7兆円強で、比較可能な98社で1.5%増の2年連続増。
百貨店のネット販売は当初、中元・歳暮のギフトセンターを補完する色彩が濃かったが、大手百貨店を中心に、店頭と連動した商品供給の仕組み作りやネット上でのサービス機能の強化など、百貨店の強みを生かした事業モデルを構築し、売り上げ拡大のための基盤整備を急ピッチで進めている。
空間演出に本を使うショップが急に目立ってきた。この春オープンしたセレクトショップなどでもディスプレーの主役を本が演じる店舗が多く、どうしてなのか気になるほど。洋書や古書で書斎のようなイメージを作り、知的な大人の雰囲気を出そうというのが狙いのようだ。アンティークな家具とともに古き良き時代の空気を作っている。ショップコンセプトを表現するツールとして、本棚を編集する専門家もいる。
大手量販の設備投資意欲が盛ん。改正まちづくり3法施行を控えての来期開店への先行投資と、改装投資を追加し生き残りの体力勝負に備える投資に大別される。
セレクトショップのオリジナルブランドが海外で販売を広げ始めている。世界の良品を集めるセレクトショップの中で、いまやMDのベースとなるオリジナルブランドのコレクションは、海外のバイヤーから見てもバランスが良い。デザイナーを含む有力ブランドと同じ売り場に置くために品質やクリエーションを高める努力を重ねてきたことや、知識や要求レベルの高い日本の消費者にもまれた結果、海外で通用する水準まで達している。オリジナル商品の最大の役割が差別化だが、海外向けの卸であれば競合の心配もない。海外で知名度が上がれば、将来の海外出展の布石にもなり得る。ユーロ高など追い風もあり、海外販売の可能性が高まっている。
炭酸ガスを温度31℃以上で73気圧以上に保つと、炭酸ガスは超臨界状態に達する。この状態で洗浄すると汚れは溶解除去され、洗浄後に常圧に戻すと炭酸ガスは気化する。したがってタンブル乾燥が必要ないので、衣類を傷めない。この溶剤は繊維や加工剤に損傷を与えず、機械的な作用も少ないので、絹や振袖など洗いにくい衣料を扱える。水や洗剤を使わないので、環境問題もない。料金は紳士スーツで8400円など。(株)オートランドリー(仙台)が東北大学新井教授らの協力を得て開発。新たにラヴァレックス・ドライ機の名で展開する。
クリーニング綜合研究所が鑑定した06年度の集計結果は、日クリ新聞などの既報があるが、本稿では詳細な内容を紹介した。例えば責任者所在別の集計で、責任がメーカーにあると判断された事故の内訳は次の通りであった。1位は染色加工(低い染色堅牢度、プリント加工の不良、硫化染料の処理)、2位は生地(性能不足、副資材・加工の不良、接着不良)、3位は縫製、4位は不適切な表示、5位は店頭の紫外線による変色であった。これらの事故はクリーニングによって顕在化したもので、メーカーの品質管理の徹底が必要であると指摘している。
(社)日本病院寝具協会は、5月24日、セレウス菌対策に関するパネルディスカッションを開催した。セレウス菌は、06年9月に自治医大付属病院で入院患者24名の血液から見つかり、うち2人が死亡した。クリーニング後の未使用タオルとシーツから大量のセレウス菌が発見され、感染源と認定された。セレウス菌の除去には、国のクリーニング基準である80℃、10分洗いではまったく効果がない。栃木県は、業務終了後の洗浄機の掃除と薬剤散布、すすぎ水の再利用禁止などを通達した。また自治医大は、業者の回収中に、付着した菌が増殖すると指摘している。
匠システムとは、米田社長がトヨタ生産方式からヒントを得て、石油系ドライクリーニングと水洗いを同時進行し、高品質かつ高生産性を提供する生産システムである。洗濯前の点検を重視する。洗浄は石油ドライの場合、溶剤管理に独自の回転フィルター付溶剤管理機(Xプラス)を用い、蒸留を併用するので、溶剤透過度が高く保たれ、3分でもきれいに上がる。水分離にも優れる。乾燥機は静止乾燥なので、摩擦で衣服を傷めたり汚染を起こしたりすることがない。このシステムの見学会が、5月22日に(株)誠屋(神奈川県)で行われた。
洗濯乾燥機の売れ行きが好調である。消費者は除菌や脱臭機能など、付加価値を高めた製品を選ぶ傾向が強い。三洋電機の売れ筋の商品は、オゾンを活用し、風呂の水を除菌して再利用することで節水。洗浄とは別に、スーツや帽子を入れると、オゾン効果で除菌・消臭できる点も受けている。松下電器製はエアコンで使うヒートポンプを採用、水の温度を40℃にして消臭、60℃にして除菌できる。東芝CM製は温水洗浄により洗浄力が高い。洗濯槽内に自動で温風を吹き込み、カビの繁殖を防ぐ縦型も発売する。梅雨の季節を控えて買い換えが一段と進む可能性がありそうだ。
井上プリーツがゴールデンウィーク中に都内で行なった「プリーツマーケットリサーチ2007」によると、「今年買いたいボトム」ではティアードが一位、以下順にギャザー、フレア、キュロット、ショートパンツの順になった。ターゲット別にみると、ヤング(18〜22歳)は一位のティアードに続きショートパンツ、バミューダパンツの順、レディー(23〜26歳)もトップはティアードでギャザー、フレア、キュロットの順、ミッシー(27〜30歳)はギャザーが一位で、フレア、キュロット、ミセス(31〜36歳)はティアードが一位で、プリーツが二位であった。「今年欲しいプリーツスカート」では、シェルが最も多かった。
利用者に対する事業者の説明義務等が追加された04年10月のクリーニング業法改正後もクリーニングに関する苦情が数多く寄せられていることから、兵庫県生活科学研究所が消費者と事業者を対象にアンケート調査を行なった。事業者の59.4%が改正後、とりたてて努力していることはないと回答し、消費者の80.4%が事業者の対応に変化はないと答えていることから、同研究所は同法改正後もクリーニングサービスの現状に大きな変化は起きていないと指摘している。
京急百貨店(横浜市)は、防災情報のQRコードをプリントし、環境に優しく、防災時にも役立つショッピングバッグを配布している。このバッグは神奈川県と東京造形大学との共同研究事業「サステナブルデザインフォーラム」より生まれた。バッグ面には、東京造形大学の学生によりデザインされたQRコードがプリントされており、携帯電話で読み込む事で横浜市の防災情報サイトの閲覧とEメール登録をする事が出来る。防災にも役立つ付加価値を持たせる事でバッグの携帯を促し、地域に役立つ防災情報の周知による地位貢献が狙い。
大阪府消費生活センターは、「6ヶ月前に購入した紳士物のセーター(絹50%・麻50%、黒色)をクリーニングに出したところ、袖口の色が抜けて白くなった。品質が悪いのかどうか調べてほしい」という相談を受け原因究明のためテストを行った。白化部分が袖口に限られていることから、着用中の摩擦が原因と推測、電子顕微鏡で観察したところ表面の繊維が細かく裂かれ、毛羽立っていた。この毛羽立ち(フィブリル化)による表面の乱反射が原因で白く見えた。これは絹、麻繊維の特徴で避けることは難しい。湿潤した状態で摩擦すると白化を起こしやすくなる。表示をチェックして購入しよう。
5000円以下で売られている浴衣6名柄の表示や縫製、染色、洗濯後の変化などをテストした。プリント染めの摩擦に弱い性質が表れ、特に濡れた状態での摩擦に十分注意すること。人工汗テストでは、汗の成分によって変退色や色移りするものもあり、汗をかいた時は、着用後速やかに洗濯すること。
クリーニング総合研究所が発表したレポートでは、「含金属染料と酸素系漂白剤によるワイシャツの損傷事故」が報告されている。取り上げられている事例(紳士オーダーシャツ)は、白地に赤と青のストライプ、事故状況は一部赤色糸が消失、破れも生じている。ケアラベルでは「塩素サラシ不可」の表示がなされているが、クリーニング業者はこれに酸素系漂白剤を用いてしまった。現在の取り扱い表示では「塩素/サラシ」の項目はあるが、酸素系漂白剤の使用の可否を示す表示項目がない(ISOには表記あり)。この事例はクリーニング業者のミスとして処理されたが、メーカーは追加表記で「酸素系漂白剤を使わないで下さい」とのメッセージが必要になる。
全国クリーニング環境衛生同業組合は、平成18年度にクリーニング綜合研究所で調査した事故衣料品の詳細を発表した。18年度の鑑定件数は463件で前年度とは4件の減少にとどまった。責任所在別件数では、顧客責任が11件増の277件。メーカー責任が9件増の37件、クリーニング業者責任は5件増の45件となった。メーカー責任の内訳は、染色加工の不具合15件、縫製の不具合6件だった。事故別件数は前年度対比で色の変化が8件増の242件。損傷・形態変化が27件減の193件。また鑑定の結果、事故は生じていないケースが13件増の25件あった。
干ばつによる豪州羊毛の品質低下、日本国内市場の価格競争激化による納入価格・素材価格の低下による品質落ち、あるいは製造業の空洞化と流通の短縮化に伴った中間チェック機能の低下など複合的に重なり、ウールの品質問題が浮上している。
身近なナノテクノロジー応用製品の例として、家庭用ハウスホールド分野のうち、衣料を対象とする洗濯洗剤、柔軟仕上げ剤、外観ケアの仕上げ剤、花粉ガードの仕上げ剤などの製品・技術が概説されている。たとえば、高洗浄力洗剤では、使用される界面活性剤は約2〜3nmであるが、MES(sodium α-sulufonated fatty acid methylester)のように水中で大きなミセル(25nm)を形成し、ミセル中に汚れ成分を多量に取り込む。約5〜20nmの酵素と組み合わせて商品化されている。各製品とも、豊富なデータに基づく説明がある。
ウール製品にプリーツや折り目の形状記憶を行なう「シロセット加工」の06年の加工数量は主力のメンズズボン分野が、499万本の22.9%減にとどまり、スカート分野も3.9%減の25万着と減少傾向が続き、全体では150万着の大幅な減少となった。このため全国シロセット加工工業協同組合では、新ラベルを発行するなどして、受注増を促進する取り組みに力を入れる。この加工は、天然アミノ酸を使用し、環境にも配慮したエコロジー性がある。ザ・ウールマーク・カンパニー指定の本物加工であることを訴えるため、新たにラベル名も「シロセットエコ加工」としている。
婦人インナーメーカーが加盟する日本ボディファッション協会は、販売員の接客力向上を狙った独自の認定制度を導入した。実務経験が3年以上の販売員を対象に専門知識などについて試験を実施し、合格者に「インティメイトアドバイザー」の称号を与える。「販売のプロ」を広く育成し、顧客サービスの充実につなげる。
中小企業基盤整備機構は06年度情報調査事業の調査研究結果をHP上に掲載した。調査研究テーマは@中小企業の次世代繊維加工等の研究開発事業A繊維ファッション産業のクリエーションの情報発信資料の作成B繊維ファッション欧州事情調査C繊維製品リサイクルの現状調査D生糸・絹製品に関する情報調査収集事業の5つ。
中国財務部は、輸出製品に適用する増値税の還付を538品目で取り消し、2,268品目で還付率を引き下げると発表した。実施は7月1日からで通関ベースでの実施になる。ファッション関連では衣類(13%から11%へ)、羽毛製品、靴、バッグなどの還付率を引き下げられる。
衣生活環境の変化としてカジュアル化が考えられる。こうした衣料品のカジュアル化の実態を解析し、ホームクリーニングの提案、リフレッシュスプレーの開発、衣料用洗剤の高付加価値化が述べられている。リフレッシュスプレーとして花王「服のミスト」が発表されている。繊維潤滑成分を配合し、1回着ただけでは洗わない衣類にスプレーするだけで、乾く間に繊維を滑らすのでしわがとれる。消臭・静電気防止効果もある。洗剤には新たな付加価値が必要。綿繊維内部の非晶部分に入った汚れに作用するアルカリセルラーゼの配合、洗濯初心者用の「ALL in」などが解説されている。
日本衣料管理協会による、07年度繊維製品品質管理士(TES)試験の出願者は1913人で、前年度に比で300人増加した。商社・卸に加え、アパレル業界からの受験者が目立っている。
炭素繊維協会は10月、大牟田市のエコタウン内に、炭素繊維製品のリサイクル技術の実証実験を行うパイロットプラントの建設に入る。経済産業省の補助金を受け、06年度から取り組む「炭素繊維リサイクルの技術開発・実証検討」の一つ。費用総額は4億3,000万円。立ち上げ予定は08年4月、生産能力は月産60tを見込む。廃棄された炭素繊維は、ほとんど埋め立てられているのが現状。リサイクル炭素繊維は、バージン炭素繊維に比べて製造エネルギーが約20分の1と試算されており、大幅な省エネが期待される。高強度が必要な航空機向けには利用できないが、電磁波を遮るシールド材やセメントの補強材として使えるとみている。
①8月23日
②大阪科学技術センター
③高機能ポリエステル繊維クッション材「エルク」の開発、超軽量高強力ナイロン織物「シルファイン」シリーズの開発、他
④日本繊維機械学会 TEL:06-6443-4691
①9月28日
②兵庫県民会館
③真空断熱材のスポーツウェアへの応用、登山衣服などの高所用ウェアにおける熱と水分移動について、女性ホルモンが体温調節反応に与える影響、他
④日本繊維製品消費科学会 TEL:06-6358-1441
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男