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財務省貿易統計によると、1〜4月のアパレル輸入は、数量12億7930万8千点で前年同期比2%減、金額7890億4200万円で2%減となった。この時期、輸入数量が減少するのは03年以来のことだ。中国からの輸入の減少が最大の要因。その他アジアや欧米からの輸入もフィリピンを除き軒並み減少している。
07年版通商白書は、日本経済が新たな貿易投資立国も方向へ一層向かう必要があり、東南アジア生産ネットワークの高度化・深化、サービス分野のグローバル展開を進めることも重要であると、提言している。日本ブランドの海外発信は、ファッション産業など国際展開・地域ブランドの育成支援、新日本様式の普及活動などを推進する、としている。
経済産業省は07年度「環境コミュニティ・ビジネス事業」(中小企業等環境配慮活動化促進事業)で、59件の公募の中から8件を採択した。同事業は、環境に配慮したまちづくりを支援するもの。繊維関連では2件が採択、帯広市のオリジナル・アウトブランドの流通システムの構築事業と、いわき市のファイバー・エコ・ビジネス事業である。
経済産業省の06年実施の「中国における知的財産侵害調査」で、①知的財産権侵害を受けている企業の85%が中国における何らかの救済措置を利用している②その救済措置で最も利用しているのは行政手続きで前年に 比べ14%増B企業が行政機関に摘発要請 した事業では88%が摘発された。
経済産業省の07年度提案公募型の地域技術開発事業では、全体で136件のうち繊維関連は5件だった。繊維関連はいずれも地域資源活用型開発事業で、全体の平均単価は2800万円。
経済産業省の羽藤秀雄大臣官房審議官は、繊維産業の方向性として「グローバル性、先端、生産工程の武装が大切」との認識を示すととともに、08年度予算要求については「全体的な財政事情は厳しいが、必要な繊維予算は確保する」と強調。グローバル性が大切になっている背景には少子化、国内人口減による市場縮小がある。生産工程のハード ・ソフトの武装は、機械装置や織機などの設備投資やIT化、人材確保・育成などを含めたものづくり現場の競争力強化のことである。
第2回ものづくり日本大賞の受賞者が発表された。これは平成17年にスタートし、国が優れた「ものづくり」を評価し、2年に一度行っている。繊維・アパレル関連では、経産大臣賞に「伝統技術の応用部門」で山口英夫氏(山形県)が「伝統的な先染米沢織とデジタル技術を融合させた写真を創作するテキスタイルアート」で受賞。「青少年支援部門」では山口県繊維加工協同組合が「デニムファッションテスト等を通じた若手デザイナーの発掘・育成」で受賞した。その他、「豊かな表情・紋様のある織物を創出する織物仕上げ加工技術(クラッシュ加工)開発」、「独自の刺繍加工技術(ワラカット刺繍)の開発と実用化」、「タテ、ヨコおよびナナメ糸から成る四軸織物の開発と実用化」が受賞。
経済産業省・中小企業庁が発表した「07年度 戦略的基盤技術高度化支援事業」採択結果によると、合計89件のうち、織染加 工技術分野は、①高機能、高感性を有するスポ−ツ衣料素材の開発、②軽量で耐衝撃性に優れた安全性の高い先端複合材用繊維基材の開発の2件に決定した。この事業は中小企業の物作り基盤技術の高度化を図る革新的でハイリスクな研究開発を促進するのが目的。開発期間は2〜 3年度、07年度に行う研究開発費用の合計額は6000万円以下となっている。
繊維技術倶楽部として準備を進めてきた産学官関係者による懇談会「繊維技術フォーラム」(ファイバーテクノロジーフォーラム=FTF)が立ち上がった。「繊維技術の掘り起こし・革新・伝承について、大いに語らい問題意識を共有し、次なる方策の起点を見いだす」のが目的。会長は川口春馬・繊維学会会長、幹事に大学・業界の研究者、オブザーバーに松尾武志・経済産業省繊維企画官の名がある。当面2カ月に1回程度意見交換会を開き、10月上旬に第1回交流会も計画している。会員対象は次世代繊維戦略検討委員会に参画した委員を核とし、会合の趣旨に賛同する団体・企業・有志。
内閣府は、国民生活センターに消費者トラブルなどの紛争を解決するADR(裁判以外の紛争解決)の権限を持たせる方針を固め、09年度の実現をめざす。製品事故や悪質商法による被害が後を絶たないため、迅速で実効性のある解決を図る仕組みが必要と判断した。
経済産業省は08年度の繊維関連技術開発支援事業で、炭素繊維複合材料技術の開発、エネルギー使用合理化繊維関連次世代技術開発、炭素繊維製造エネルギー低減技術の開発など6事業を実施する。
JIS規格は工業標準化法に基づき、国民がいろいろな製品や施設を安心して利用できるように品質や性能などを定めた国の規格で、1949年に導入された。経済産業省によると対象は家電製品や文房具など身近な品から化学製品や産業機械まで19部門9728件(06年3月末現在)。検査の手順や用語の使い方なども含まれる。工業標準化法改正に伴い、05年10月から新しいJISマークが導入された。すべての製品でマーク表示が可能になるなど対象が広がり、製造業者だけでなく輸出入業者なども認証申請できるようにした。製品の安全性や品質が問題になることが多い中国などの取引を念頭に「信頼のパスポート」としての役割が期待される。
爆砕竹繊維について、生産技術と繊維性能を紹介した。爆砕とは、青竹が乾燥しないうちに圧力釜に入れ、蒸気を注入する。適正な温度・蒸気圧を保ちながら蒸らし、その後、急激に圧力を開放する。このとき、竹の水分が内部から外部へと移動し、その力により竹が繊維状になる。爆砕された竹は、ブレイキングを繰り返してほぐされ、次に開繊機「バンオープナー」に掛けて繊維を細くする。爆砕竹の特徴は、①繊維長が縦方向に長く、②繊維中に微細な管状の穴が無数にあいていることである。この穴は、優れた脱臭・抗菌特性を与える。ふとん、ジーンズが試作されている。
1902年創業「フクオカ機業(京都市)」は西陣織を最先端の素材で織っている。炭素繊維で織り上げた「カーボン西陣織」は群馬高専の小島教授の研究から炭素繊維を湖などに沈めると、炭素を好む細菌やバクテリアの働きで炭素繊維0.1g当たり約150gの汚れを吸着することがわかり、炭素繊維織物をいかだにつるして広範囲に川口市の河川に沈めたところ、川底のヘドロが大幅に減り、悪臭が収まりつつある。強化ポリエチレンで織り上げた「耐刃防護生地」は子供を犯罪から守ろうとカッターナイフで切りつけても全く「刃」が立たない織物を、大阪府門真市の衣類製造業者「サクセスプランニング」と共同開発した。内側に生地を仕込んだ子供用と女性用の「セーフティージャケット」を4月からインターネット上で販売している。
レーヨン短繊維は、世界的な需給の逼迫と原料溶解パルプの値上がりにより、価格が上昇を続けている。国内メーカーのオーミケンシ、ダイワボウレーヨンは、本年2回の値上げに次いで10月にも引き上げると見られ、300円台/kgと、昨年末比25%高の見込み。この需給逼迫が表面化したのは今年に入ってから。欧州で光沢素材、あるいは環境対応の素材として注目され、トルコでの需要が増大、中国の紡績設備の増大で同繊維の消費は拡大傾向にある。中国やレーヨンの世界二大企業であるレンチング(オーストリア)、ビルラ・グループ(インド)は増産を計画しているが、需給逼迫は当面続く。
豪州綿花貿易協会、豪州綿花生産者団体は、神戸・六甲の豪州総領事館で輸入商社、紡績などの国内綿花担当者らに、豪州の綿花栽培で進めている環境と品質を配慮した「ベスト・マネジメント・プラティカル」(BMP)方式の説明会を開いた。環境配慮だけでなく高品質な綿花栽培のシステムでもあることが特徴。すでに豪州では綿花栽培面積の50%が同方式に切り替えられており、08年以降、衣料、寝装品などに「BMP・コットン」トレードマークの下げ札を提供、「環境配慮の商品としての差別化」を提唱する。この綿花100%にはグリーン、65〜70%のブレンド品はブルーのマークにする。
東レは、滑らかなパウダータッチのパンスト用ナイロン長繊維糸「ミラコスモウイン」を開発。この長繊維の断面は、中央部にくびれがある「ビーンズ状」になっているので、普通の丸断面に比べ、細かな点で肌に触れるため、パウダータッチの心地よさが得られる。カバードヤーンにしたとき、凹凸ができにくく、滑らかで均一な肌触り感を高める。また、繊維の側面の窪み部分が光を反射し、独特の光沢感があるのも特徴。パンストのマーケットはパンツスタイルの流れや“生足”の定着で、低迷が続く。着用時の快適性を高めたミラコスモウインの投入で、改めてパンストニーズの掘り起こしを狙う。
繊維原料の大半が大幅に上昇している。天然繊維原料は羊毛、レーヨン原料の溶解パルプの値上げが進んでおり、ここにきて綿花も上がり始めた。合繊原料は、ナイロン原料のカプロラクタムやアクリル原料のアクリロニトリルが最高値水準、ポリエステル原料の高純度テレフタル酸、エチレングリコールは少し下げているが、昨年の年初と比べると100ドル/tほど値を上げ、高値で推移している。各繊維原料とも円安もあって、購入価格は、さらに高水準の引き上げになっている。
次世代機能として、自己調節機能を持つ素材「MRTファイバー」が紹介されている。この素材は着用者の発汗(水分)状態を感知し、快適な状態へと自発的に構造変化する水分応答型素材である。ポリマー、原糸、構造体(織編物)の開発により実現したもので、例えば超特殊ポリエステルポリマーを用いた原糸は、吸水すると伸長し、放水(乾燥)すると収縮するという特性を持っている。この原糸を用いた素材として、水分環境により凹凸を調整し快適感を高めた生地と、通気度を調整しムレ感を低減できる生地が開発され、用途展開が図られている。
ウール製品においては耐洗濯性が課題である。非塩素、非薬剤加工でありながらウォッシャブルを実現したウール素材が紹介されている。この素材はトータルな製造技術からなるもので、原毛の選定、紡績方法、高密度織物設計、整理・染色技術などにより、単繊維の動きを封じ込め毛羽を出さずに織る技術と織物を緩和させストレッチ性を発現させる仕上げ技術を加えることで、耐洗濯性能と風合いを確保した。洗濯性能評価、織物物性評価、着用試験評価についても示され、その効果が述べられている。
東京工業大学の鞠谷雄士教授の研究グループは化学技術戦略推進機構との共同研究で新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクトの一環でポリエチレンテレフタレート(PET)繊維の引張強度を従来の1.7倍に高める技術を開発した。押出機と呼ばれる機械を経て口金の部分から出てきた高温の繊維にレーザー光を照射し、400℃の熱を加えることで繊維を変形させ、一定の伸縮性を持たせたまま強度を高めることに成功した。開発した高強度PET繊維は主にタイヤコード向けに利用する予定である。タイヤコードの強度が2倍になれば、タイヤ全体の重さが1割軽くなり、自動車の燃費効率の向上につながるとみている。
「原燃料の価格上昇分を糸、生地、製品へと上乗せし、いかに新価格体系を作っていくか」。素材メーカーの07年3月期の決算発表の席上、今年も質疑応答の多くが原燃料高とその対応策に集中した。各社が製造現場でのコストダウンや品種転換などの対策を進めているが、結論は異口同音。「奇手妙手はない」であった。素材メーカーの情況が報告されている。
以下の連載:〔8・6(1)〕<2>過去の常識:ウール,〔8・7(1)〕<3>品質の余震:カシミヤ,〔8・8(1)〕<4>崩れたバランス:レーヨン,〔8・9(1)〕<5>値上げ難航:ポリエステル,〔8・10(1)<6>過去と訣別:コットン,〔8・14(1)〕<7>死活問題:副資材。
高強力、高弾性が特徴のスーパー繊維をはじめ日本が誇る高機能繊維が絶好調を続けている。右肩下がりの合繊業界にあって、高機能繊維は別格の存在。玉不足が顕在化する中で、設備増強が相次ぐ。引き合いが強いのは日本以上に海外、とくに欧米市場である。ボーイングやエアバスの次世代航空機に採用され、何かといえば炭素繊維に脚光が当たるが、日本が誇る高機能繊維は炭素繊維だけではない。ここでは、合繊各社の右肩上がりの高機能繊維の世界を探る。
金、銀糸メーカー、泉工業は縫い糸用のラメ糸を開発し、「ピムスト」として販売を開始する。ピムストはメッキ金属に純銀を使用したラメ糸で、フィルムヤーンとナイロンを交撚して5番、8番の太い縫い糸にした。アルミ使用の糸と異なり、純銀の深みと高級感のある輝きが特徴。同社開発の耐減量処理加工金銀糸の技術を付加しているため、縫製後、ジーンズのダメージ加工に使われるアルカリ漂白処理を施してもラメ糸の輝きが低下することはない。カラーは7色、1巻き500mで2700円。
シキボウは、檜の樹皮から抽出した繊維を紡いだ素材を開発した。これまで廃材として処理されていた樹皮を有効活用した癒し系のエコロジー素材。さとうきび繊維やココナッツ繊維を商品化した実績を持つ同社は檜の樹皮から繊維を抽出することにも成功した。ヒノキ繊維10〜20%と綿と混紡糸で、20番を試紡済み。用途はリビング関係が中心となるが、要望があれば衣料用途にも対応する。
生糸の輸入量が激減している。06生糸年度は前年度比49%減少、07年度も前年同期比52%減った。国内で消費する生糸の約9割は輸入品で、ほとんどが中国、ブラジル産である。有力呉服店の相次ぐ経営破綻で在庫が積み上がり、生産を手控える動きが広がっている。一方、着物の店頭価格は女性訪問着が1セット40〜50万円前後と高値圏で横ばいとなっている。呉服業界は販売不振を高額品一品の利益で補おうとしており、需要喚起の値下げが進んでいないという。
「安全で安心な社会生活」を過ごすうえで、機能繊維の貢献度は少なくない。自然災害や火災、不慮の事故などで多くの人命が失われるなかで、被害を最小限に抑えることに、繊維素材は大きく寄与できる。防炎・難燃素材は、その代表格の一つといえる。火災で最も多い死者は逃げ遅れによるもの。避難できる時間を少しでも長くするうえで、防炎・難燃素材が活躍できる。炎に接する作業現場では、防炎・難燃素材の着用が事故の発生も抑える。繊維の力は大きい。ここでは、高齢化社会に必要不可欠な防炎・難燃繊維に関して、各社の商品を紹介している。
旭化成せんいは10月からW型断面ポリエステル「テクノファイン」で短繊維の本格販売を始める。短繊維は帝人ファイバーに生産委託する形で展開していたが、同社の増産体制が整うことから、既存のスポーツ、インナー用のほか、中わた、ふとん詰めわたなどにも用途を広げる。扁平構造のわたは、曲げかたさの値が小さく、リボンのようにしなやかでソフト。断面構造が作る細かい溝が吸った汗をしっかりキープし、べたつかず、ドライ感を維持する。また、綿を超える吸水性能も特徴。衣料用中わたにした場合は軽くてかさ高く、ソフトなため動きやすい特徴があり、保温性もある。
東洋紡は、秋冬向けスポーツ素材で、着心地の良さと機能性を併せ持つ新素材を提案する。「セレスサーモ」は、吸汗速乾・保温機能とハードな運動にも対応できる編物。ポリエステル、ナイロン、アクリルの3タイプともに抗ピル性があり、洗濯後もクリアな表面感、風合いを維持する。「ヒートサポート・ラグジュアリータッチ」は、吸湿性の高い改質レーヨン混紡糸を使い、適度な温感機能を持つ。熱を逃がさないアクリル素材を複合して保温性をさらに高めた。アクリルのソフトな風合いも特徴。「スペクターリッチ」は、特殊素材と独自の編み立て技術を組み合わせた防風性の高い高密度ニット。
5日から上海で開かれている、中高級市場をターゲットとする国際ニットヤーン展「08〜09秋冬スピンエキスポ」で、中国メーカーによるエコロジー素材の提案が強化されている。生産コストやファッショントレンドとは異なった新たな切り口が中国ヤーンビジネスに浮上している。上海中紡は、ウールを生産する際に羊が食する草や水に有害物質が含有しない環境で飼育した品種「オーガニックウール」と、新彊地域で生産するオーガニックコットンを複合した素材「雪域」(スノーテリトリー)をアピール。開繊タイプの竹繊維「ソフトバンブー」は、寝装寝具分野を中心に、年率倍加の勢いで市場が拡大。
シキボウは、日本人の主食である米に含まれるこめ油を配合した柔軟加工繊維「コメーユ」を開発した。07年春夏商品から販売している。米の胚芽に含まれている「米胚芽油」の有効性に着目し、米胚芽油を主原料としたこめ油柔軟剤を開発し、天然系バインダーとの組み合わせにより洗濯耐久性を持たせて繊維に固着させることに成功した。肌に優しいこめ油成分で柔軟性を付与し、洗濯を繰り返してもソフトな風合いを持続。天然系バインダーで固着されており、洗濯10回後でも初期付着量の70%以上のこめ油成分が残存している。用途は肌着、パジャマ、布団カバー、タオルケット、シーツ、ブラウス、シャツ、パンツ、ハンカチ、タオルなど幅広く展開する。
馬渕繊維(高松市)は、オーストラリアン・ウール・イノベーション(AWI)、東亜紡織と共同で、家庭で洗濯、乾燥させても形態、風合いを損なわないウールのニットウエアを開発した。家庭洗濯ができるウオッシャブルウールは普及しているが、乾燥機で乾かすと外観などに問題を生じていた。この難点を2年がかりで解決したもので、素材にエキストラファインウールの防縮糸を用い、編み立て後のパーツに特殊な加工を施すことで安定させる。家庭洗濯機はタンブル乾燥機付きが増えており、家庭で洗えるだけでなく、乾燥も可能なニットはクリーニング代を節約できる、として期待される。
倉庫精練は加工工程からVOC(揮発性有機化合物)を一掃した環境対応のコーティング・ボンディング加工「サンレイナ」を新たに開発した。倉庫精練によると、従来の手法によるコーティングやボンディングでは加工時に多量のVOCが排出されるだけでなく、空気中の酸素と反応して二酸化炭素が発生し地球温暖化の一因になっていたという。「サンレイナ」は①ポリウレタンおよびナイロン系高透湿フィルムによるラミネート②ポリウレタンおよびアクリル樹脂のコーティング③非フッ素系の撥水加工④リサイクルが可能な再生素材、天然素材による商品、の4タイプで構成される。「サンレイナ」は二酸化炭素排出量がゼロのため年間で50〜60t、排出量を削減できるとしている。
ここ数年、原燃料高や加工量の減少など厳しい状況にある染色加工業。しかし、技術開発においては世界の先端を走るのもまた事実。近年、環境対応という視点がクローズアップされるなか、染色企業の技術加工も風合いや機能の追求だけでなく、環境に配慮した開発が増えてきた。その市場性は日本だけにとどまらず、海外へとつながるものである。ここでは、川下への情報発信を課題にした各社の加工開発状況を紹介している。川中〜川下の意思疎通を強化し、染色業界に漂う閉塞感の打開を図りたい意向である。
日本染色協会加盟の染色加工メーカーは10月1日から染色加工料金を10%引き上げる。見本染めを行うビーカー代金も1色1,000円の支払いを要求していく。エネルギーコストの上昇に加えて染料、染色助剤が15%、中には30〜50%と大幅に値上げされ、経営を圧迫することになったためである。「受諾しないと供給停止も辞さない」とかつてない強硬な姿勢を示している。化合繊、天然繊維関係すべての加工メーカーが要請している。
繊維加工の畑野産業は、綿繊維100%へのプリーツ加工技術を開発し、市場開拓に乗り出す。現在特許申請中で、大手繊維メーカーと取り組みながら、綿以外のシルクなどでの天然繊維でのプリーツ加工の技術開発も進める。同社は5年間かけ、綿プリーツ加工の技術を開発。綿繊維を液体アンモニアで処理した後、独自の薬品を投与して自社開発したプリーツ加工機に通すことで自然で柔らかい風合いを持ったプリーツができる。テキスタイルでの加工だけでなく、製品そのものを加工することもできる。
小松精練は、漆調素材「ルガーノ」を開発。上質の漆調の上品な光沢と、光沢とは両立しにくいしなやかさを兼ね備えている。これまでも業界では漆調素材が作られてきたが、扁平で、硬く、ドレープ性がなくなり、引裂き強さが低下する傾向にあり、用途も一部のスポーツやスポーツカジュアルに限られていた。同社は、新規薬剤とテストマシンを使って従来のデメリットを解消した試作品を作り、2月開催のプルミエール・ヴィジョンで提案。トップメゾンから高い評価を得たことから、光沢の度合いが調整可能な独自の量産機を完成させた。9月のPVに出品し、08年春夏向けに国内外で本格販売する。
小松精練はナノテク技術を駆使したソフトで高い透湿、防水、はっ水加工技術を開発、「ディマ・カルテット」加工として本格生産に入る。ディマ・カルテットは、特殊なウレタン樹脂とナノテク剤を使った、ソフトで高性能な多機能素材。従来の透湿防水素材の気孔は通常10〜30μmであるが、これを0.5〜3μmと、20分の1程度まで小さくした。また、従来のはっ水加工は摩耗により性能が低下したが、同加工は新規開発の薬剤と表面処理技術で耐摩耗の耐久はっ水性能を大幅に向上させた。耐水圧10,000mm以上、透湿度はJISのA-1法、B-1法ともに10,000g以上/m2・h。販売価格は従来品の30%高。
アラウンドサーティー市場が迷走している。市場を築こうと勇んで作った新ブランドにも売り場にも思い描いた活気は生まれず、撤退やMD修正が目立ってきた。30歳前後の女性たちは、着る服がないと言うわりに提示してもすぐに飛びつかないし、思ったほどお金も出さない。期待したのに「フタを開けてみたらパワーがなかった」というのが今の時点での結論のようだ。この世代の消費ニーズがさまざまなジャンルに分散していることも市場作りを難しくしている。
アパレル企業は経営課題の重点に流通販路別のブランド戦略に一段と力を入れている。特に大手では、主力の百貨店流通で「ブランドを重点化し経営資源を投入する」など、強化ブランドをより鮮明に打ち出す方策が経営トップから聞かれる。今後、新規販路では引き続きファッションビル(FB)やショッピングセンター(SC)へのブランド開発、ネット販売への施策も視野に入れるが、有力企業アンケートによる直近の動きでは大手を中心に百貨店構成比が再び増加傾向にあり、各社なりのチャネル政策が注目される。
アパレル製品の巨大産地と化し、その大きな波に乗り、現地加工、生産、販売を進めてきた服飾資材企業は今、こうした大きな転換期に差し掛かり、戦略の見直しへと路線変更する動きが出てきた。アパレル企業、縫製業界の中国生産化が広がった過去十数年とは状況が一転、いまや自動車、ハイテク機器など先端企業の進出で、低賃金や過酷な労働環境化の縫製工場を忌み嫌うオペレーターが増加。これが人件費の上昇を招き、さらには原材料の高騰、物価コスト増、増値税還付率の引き下げ、人民元高など相次ぐコスト高を背景に、服飾資材業界に「低コスト化の圧力」が重くのしかかってきた。
1ドル160円台が続くユーロ高で、インポート関連企業の収益構造が大きく変わりそうだ。1年前は140円半ばだったユーロも、現在は165円前後。7月半ばには168円台の高値更新した後は、沈静化しているとはいえ、いぜん高値圏。価格転嫁するにも限界があり、自ら吸収すれば収益を圧迫しかねない。生産などのオペレーションコストがかからない分、インポートの原価率はアパレルに比べるともともと高め。利幅が小さくても単価が高く粗利益の絶対額を稼いでいた業界だけに、原価率の上昇は収益構造に大きく影響する。
レディスで上質な国産大人服の開発、それに対応した百貨店での売り場作りも進んできた。ここでいう“上質大人服”というのはインポートブランドとボリュームゾーンとのブリッジゾーンと位置づけられているもので、主力客層は30〜50代だ。ここ2、3年でブランドは急速に増え、ユーロ高によるインポートブランド高騰もあって、手薄だった新しい国産高感度プレタ服が求められている。百貨店も都心店を中心に復権をめざす重要な切り口と考え始めた。ハイセンスでリッチな大人に向けた市場開拓が進もうとしている。
服飾資材の製造卸増惣は、温度によって色が変わる織りネーム「スケルトンネーム」を開発した。同ネームは、ポリエステルに温度変化する特殊な粒子を練り込んだ糸を柄の部分に使って織り上げる。粒子に一定の温度を記憶させておくと、その温度より低くなった時、柄の部分の色が変わる。現在、ホワイトがグレーに、ブルーはパープルに、イエローはグリーン、ベージュはレッドに変化する4色。ブランドやロゴマークの部分をジャカードで織り上げておくと、その部分が変化する。装飾のほか、クーラーの設定温度と同じレベルに設定しておけば、必要以上に温度が下がった時、視覚的にわかる。
繊維関連の企業や団体で構成する繊維産業流通構造改革推進協議会(繊維ファッションSCM推進協議会)が策定した「取引ガイドライン」が浸透してきた。大手アパレルを中心に、取引先の生地メーカーなどとガイドラインに沿った契約書を交わすケースが増えている。
細く見えて格好よく、しかもゆとりがあって着心地のよい服作り。婦人アパレルはミセス服でこのような志向を一段と強め、体形に的確なパターンメーキングの見直し、充実を図っている。ミセス需要が伸び悩む中、感性やトレンドの取り込みだけでなく本当に着やすく、きれいなシルエットといったものづくりを再認識する動きである。他社との商品の差別化が強まる様相も反映している。きれいなシルエットと着やすさへのバランスあるパターン開発が、一段と強い認識となりそうである。
2006年度の婦人服の国内販売額は前年度比1.9%増の6兆7090億円で、3年連続のプラス。主な販路である百貨店では夏の天候不順や暖冬が響いたが、アパレル大手はブランド力を発揮し増収を確保。一方、郊外での大型ショッピングセンター(SC)の出展を規制する「改正まちづくり3法」の07年11月の施行を前にSCの開業が相次いだことで市場が拡大した。婦人下着の2006年度の国内販売額は前年度比0.2%減の4060億円で、8年連続のマイナスとなった。暖冬の影響で冬の防寒下着の販売が低迷、ブラジャーなども苦戦した。しまむらや、ユニクロなどの異業種が婦人下着販売を拡大する中、大手5社は軒並みシェアを落とし、5社合計のシェアは前年度に比べて3.7ポイント減った。
紡績各社がアパレル製品事業強化に乗り出した。国内の紡績設備が縮小する一方、テキスタイルビジネスも収益性が低下していることから、製品を拡大することで繊維事業を維持しようというもの。主力のテキスタイル販売から製品を最重点事業と位置付ける企業も出てきている。紡績で製品化路線を打ち出しているのは、ダイワボウノイ。06年度には同社売上高に占める製品販売比率は55%で、テキスタイルの販売額を上回っている。日東紡の繊維事業は芯地とストレッチ素材「CSY」に絞り込んでいる。CSY事業は糸、テキスタイルを販売しているが、「それだけでは事業展開は難しい」と製品OEMに本格参入する。
ミッシー、ミセスの08年春夏物傾向は、素材が一段と上質、きれいめに移行する中で、ブランドによっては思い切った“色み”のあるカラーを打ち出している。また、各ブランドが光沢感を不可欠の要素にするため、素材自体や加工でその表現が目立ち、特に来夏店頭は全体に明るいカラーでまとまる方向が強まりそうだ。その面で化合繊やシルクなどのブレンド素材も一つの流れになってくる。
ファッション戦略会議(馬場彰議長)は27日に会合を開き、29日に開幕する第5回JFW(東京発 日本ファッション・ウィーク)の最終的な詰めなどを行う。来年度から「日本ファッション・ウィーク推進機構」に運営が移管されるが、注目された08年度予算については、経済産業省が中小企業対策費として約6億円を要求していることが判明した。総合素材展のJC(ジャパン・クリエーション)も29日の理事長会議でJFWへの移管を正式に受け入れ、12月展からJFWの傘下に入るなど、アジアのプラットホーム構想に1歩近づくことになる。
服と同じ生地でくるんだくるみボタンの人気が続いている。ドレスのブームで需要が増え、今年は更に手間のかかるハトメのついたものが増えていることから、納期が「1ヵ月半もかかって困っている」(アイリス)という。くるみボタンはアルミなどを芯にして、服の表地と同じ生地でくるんだもの。もともとはミセス向けの婦人服で使われることが多かったが、最近はドレスブームから若い層へも広がっている。
適度に締め付ける下着をつけて、体形をすっきり見せようとする男性が増えている。東武百貨店池袋店ではボクサーブリーフの売り上げが前年同期比で1割増えた。従来は20〜30歳代が中心だったが、最近は40歳代半ばから50歳代まで広がってきた。シャツではワコールの製品が売れ筋で、ぴったりとした着装感とラインをきれいに整える。高島屋横浜店でも体形を整える下着の売り上げが8月は1割以上伸びているという。にわかに注目を集め出した補正下着は今後の有望分野といえそう。
ワールドは染色整理加工大手のソトーと新会社を設立し、生地の企画開発・販売拠点を愛知県一宮市に開設、10月1日から営業する。ワールドは差別化したウールなどの生地を確保し、店頭の動きに連動した商品を投入するとともに、生産にかかわる人材を育成することを狙いにしている。業務内容はスポンジング(縮絨)加工、検反と、素早く縫製工場に出すための裁断など。生地の特性を確かめる縫製設備も置く。扱い生地は毛織物、合繊、綿、ジャージなど。当面は15人でスタートする。
紳士服やシャツなど衣料関連企業が東南アジアやインドから、日本国内で売る衣料品の調達を拡大する。海外生産を主軸とする中国のコストが上昇するなか、日本と東南アジア諸国連合が経済連携協定(EPA)締結で大筋合意するなど貿易自由化の進展などによる。
よりお得に、より便利にネットショッピングを楽しむコツをまとめている。キーワードはポイント獲得と送料の節減と説く。
ファッションビル、駅ビル、地下街など専門店を集積した商業施設(核店舗を除く)の業績が引き続き伸びている。繊研調査で、06年度売上高100施設のうち、約3分の2が前年実績を上回り、2ケタ増は8施設。増床・改装などの特殊要因が加わったといえ、とりわけ中堅どころの健闘が目立ち、全体に衣料品が引っ張っている。
他店との差別化や独自性の追求、収益性の向上が期待できると、百貨店の自主MDに対する考え方や意識が変わり始めている。さらに、顧客ニーズにきめ細かく対応するなど顧客起点の重視も要因に。
小売業の夏商戦は、前年を上回る水準の売上高を確保する小売業が目立った。今夏のボーナス支給が増加したことを反映、高額品や家電製品などがおおむね好調だった。ただ、天候などの影響で衣料品は動きが鈍く、売上高が届かない企業もある。
東京都心部の郊外にある百貨店が存在意義を問われている。ショッピングセンターとの競合だけではない。都心部の大型店との住み分けが一段と難しくなっている。他社競合に加えて自社競合の嵐が吹く中、商品政策の抜本的な見直しが迫られている。
全国百貨店の06年度のレディスインティメート&ナイティー売上高は総じて厳しい環境にあったものの、東京・銀座エリアの百貨店では目立った伸びを示した。三越銀座店は4.0%増。松屋銀座本店は6.5%増と、他エリアを押さえ好調な動きを見せた。日本百貨店協会がこのほど発表した6月の全国売上高は前年同月期5.5%増と4カ月ぶりの増加、東京地区に至っては7.4%増を達成。上半期でも新店を除く既存店ベースで0.6%増と10年ぶりに前年実績を上回り、好転の兆しも見え始めた。
噴水などを設けた広場があり、近隣に住む人を相手に上質な日用品を扱う店を集めた小規模な商業施設。ショッピングセンターの進化形、ライフスタイルセンター(LSC)のイメージである。車が行きかう道路や住宅なども備えた小さな街を丸ごとつくる動きも出てきた。
テレビを使った通信販売が拡大している。主要11社の06年度売上高は前年度比25%増。24時間生放送の専門チャネルがけん引。30〜50代の女性が中心で、扱い商品も衣料品、化粧品、宝飾品、食品と幅広い。
新興インターネット通販各社の成長が目立っている。ネットショップでの知名度や勢いを“ウリ”に、次の成長戦略としてリアル店舗出店や卸販売、海外事業に着手する動きがある。既存事業では新ブランドや戦略商品の打ち出しなど、ビジネスモデルのさらなる充実を図る動きがある。
繊研新聞社の「06年度衣料品専門店ランキング」調査で、格差の広がりが際立った。昨年は中堅企業がリストラを終え、全体的に回復基調となったが、今回は上位でも2ケタ成長する企業が多く、差が広がった。
専門店は、パート、アルバイトの時給引き上げを続け、正社員の初任給もアップしている。従業員を採用しづらいとする企業は88%に上り、従業員の定着率向上のために、正社員登用の積極化や研修の充実を進めている。
5年以内に誕生したショッピングセンターの印象を首都圏の住民に聞いた「素顔の首都圏6千人・街イメージ調査」(日経リサーチ)によると、「流行を敏感に感じる」ところは、表参道ヒルズ、東京ミッドタウン、六本木ヒルズ、新丸の内ビルディングと圧倒的に高い。他に「ファッションの買い物をする」などを聞いている。
日経MJが実施した百貨店調査によると、2006年度の百貨店売上高は既存店比較で05年度比0.5%減と2年ぶりにマイナスとなった。前の年度に比べて売上高を伸ばした店舗は昨年より10店舗減って91店舗だった。サービスを中心に個人消費は上向きつつあるが、物販中心の百貨店は厳しい状況が続く。大手では経営統合の動きが本格化してくるが、再編企業の店舗別売上高の増減を見ると、明暗が鮮明となった。
三越と伊勢丹が経営統合することで大筋合意し、売上高、店舗数とも業界首位になる。人口減少などで中長期的にも市場拡大が見込めない中で、百貨店業界は売上高1兆円規模の4強(他にJ・フロントリテイリング、高島屋、ミレニアムリテイリング)が競い合う図式が鮮明になった。
大手通販の衣料品販売が回復してきた。インターネットによる受注は順調の増加、ネット専門商品も広がってきた。一時は新興ネット企業に攻勢を受けていたが、既存カタログも好調と復調している。
繊研新聞社の第38回「全国百貨店改装・増床調査」によると今秋は72店が改装、件数では今春に比べやや減ったが、5億円以上を投じる大型改装は今春を18店上回る。業態を超えた競合激化する環境下で、08年以降全館改装規模の改装・増床を予定している都心基幹店も多い。
第1部において、先ず衣類に生えるカビの種類と特徴を写真入で説明し、次いでカビによる事故事例を挙げた。さらにカビ発生の原因と対策をイラストにより紹介した。第2部では、カビの種類と成長期を判別する方法と、カビによる衣類のシミを除去する手法を紹介した。最後にカビは完全には除去しにくいので、防止に努めるようにアドバイスしている。カビのすべてにわたって採り上げた、鮮明な写真によるわかりやすい解説である。
洗濯廃水を完全リサイクルできるシステムが、リネンサプライ業の中部産業サービス(浜松市)に、3月末に導入された。このシステムは、EMBC複合発酵技術により多種多様な微生物が共存し、生菌数は1cc当たり10億を超える。従来の活性汚泥法には、次の2つの問題点があった。第1は、水と分離された汚れ固形分に別途処理が必要であった。第2は腐敗が発生すると、活動していた微生物が死滅した。新システムは、第1の問題は凝集沈殿した菌床を発酵槽に戻すことで、第2の問題は多種の微生物の共存より微生物の死滅がなくなることで、いずれも解決した。また運転費用は、上下水道使用量と汚泥処理費が不用になるので、大幅に削減できた。
アメリカ最大のクリーニング展示会「CLEAN70」が6月11〜14日に開催された。日本では家庭用洗濯機械の出展が多いが、アメリカは商業クリーニング用及びリネンサプライ用の出展数が半分以上を占めた。EPAがパーク機の排出基準を強化したので、パーク機の新規導入を規制する州が増えた。それに伴い、パーク機の代替として、石油機及び新溶剤機の出展が増えた。新溶剤では、RRストリート社(大宝産業)の「ソルベール」に関心が集った。ソルベールとは、グリコールエーテルで洗い、液化炭酸ガスですすぐ。
クリーニング店頭の受付窓口を、兵庫県生活科学研究所がチェックした。調査対象者は、消費者と業界の双方であった。その主な結果は次の通りである。昨年、厚生労働省が「説明義務等の徹底」を業界に通知したが、通知した項目はいずれも一向に改善されていなかった。とくに「洗浄方法の説明」は不充分で、消費者は「窓口で詳しく説明してくれる」と感じている率は12%に過ぎず、「尋ねた場合は説明してくれる」が53%であった。この報告書は、「新素材や新加工により難洗衣料が増えている。クリーニング苦情を減らすために、窓口で説明義務を果たすべきである」とまとめた。
日常的に着用するワイシャツなのに、水洗い禁止の表示がある。また「汗臭いので」と持ちこまれたジャケットは、汗の跡が白く残るほど汚れていた。表示は同じく水洗い禁止である。両者に水洗いを行ったところ、前者は大きく収縮し、後者は縫い目パンクを生じた。水洗い禁止製品を水洗いした理由は、前者は「ワイシャツは水洗いできて当然」と考え、後者はドライではひどい汗汚れが落ちないからである。両者とも事故が起こるとは想定しておらず、現に水洗い禁止表示のついた製品の多くは、この水処理で問題が起こらない。問題を起こすのは一部の製品である。そこでアパレル業界に対し、クリーニング業者向けに、このような製品であることを知らせる方策を提案した。
日本通信販売協会の06年利用実態調査によると、インターネットでの申込が年々増えて46%に達し、特に40代以下の男性で7割、30代女性でも6割になった。固定電話では48%、郵便36%で利用率が下がっている。購入商品では婦人衣料は32%、下着19%が上位だが、衣料品関係の通信販売は低下している。
3年目を迎えたクールビズ商戦でワイシャツが進化を見せている。ネクタイの無い襟元に多彩な変化をつけた人気商品が次々と登場。消費者側の好みも多様化している。CHOYAの扱う伊ブランド「バグッタ」は、襟を留めるホックが表面から見えない「スナップダウン」という形式を開発。すっきりした外観が好評。第一ボタンがなく襟の開いた「スキッパーカラー」や襟と袖が白い「クレリック」などの売り上げが前年を1割上回るという。紳士服の青山商事では、「デュエ・ボットーニ」という最上部にボタンが二つ並ぶタイプが売れている。台襟が高く、ネクタイを外しても型くずれしにくい。高島屋では逆に台襟の無いタイプも人気という。
仮想モデルやアバター(仮想世界の分身)を活用し、インターネットで衣料品の「試着」ができるサービスが広がってきた。画面でモデルの着こなしを確認しながら、気に入った商品は購入もできる。デザインや色が豊富にそろい気軽に着せ替えを楽しめる点が受けている。ネットでファションの着せ替えができる主なサイトはスタイルウォーカー、セシール、日本ランズエンド、イマージユ・ネット、着物の着こなし体験サイトの全国染織連合会などがある。
(社)日本訪問販売協会は、会員企業の消費者志向体制の取り組みの現状を把握するためのツールとして「ダイレクトセリング消費者志向チェックリスト」を作成。会員企業がこれを積極的に活用する事で消費者志向体制の確立を推進し、消費者苦情の根絶と顧客満足の向上につなげる事を期待。チェックリストの内容は、①消費者志向経営方針②コンプライアンス体制③販売員教育④苦情対応体制D販売マニュアル等E個人情報保護体制の6つで全107項目。年内に調査報告書を公表。
品質表示に「カシミヤ100%」「同50%」と記載したセーターを販売しながら実際は1.6%から26.6%だったとして公正取引委員会は7月31日景品表示法違反で小杉産業と丹羽幸に排除命令を出した。両者とも当該製品は中国に製造を委託。カシミヤ混用率を50%。あるいは100%とするよう指示していたが、納入された衣料品の品質を確認せずに販売。なお丹羽幸販売の製品には、(財)毛製品検査協会が発行する「カシミヤ100%」と記載された下げ札がついていた。公取委は当協会に対し原因を究明し、再発防止の措置を講じるよう要望した。
今年で3年目を迎え、国民の認知度は高まっているが、実施している人は5割にも満たないことが、内閣府の調べで分かった。20歳以上の3000人を対象に実施。1766人から回答が寄せられている。企業の取り組みは低調。
クリーニング綜合研究所によれば、本年度、損傷事故鑑定依頼が立て続けに起こり、昨年度までの事故事例よりも、着用が原因と見なされるものの比率が高まっている状況という。損傷事故の内訳は穴あき、破損、損傷、滑脱、ピリングの5種類。平成16年4月〜平成19年6月までの集計では紳士服が婦人服を約6割超えた。最も多い紳士スラックスでは内股部の損傷、次に多いワイシャツではカラー・カフス部の擦り切れ、衿の剣先周囲の身頃生地が薄地化するような現象が目立っている。事故原因はクリーニングではなく、生地自体の耐摩耗性と着用頻度などが相互に関係して発生するものと推察。原産国別では約半数が日本製であった。
米玩具小売り大手トイザらスは17日、社内基準を上回る鉛が検出され「予防的措置」として全店舗で中国製よだれ掛けの販売を中止し、店頭から製品を撤去した。対象となるのは中国で製造されたビニール製のよだれ掛けで、「トイザらス」と乳児向け専門店「ベビーザらス」で販売されていたものである。同社は全米で586、全世界で1500以上の店舗を展開している。中国製玩具めぐっては、米玩具大手マテルもバービー人形の関連製品を含む大量の商品の自主回収を余儀なくされている。
レナウンアパレル科学研究所・枚方分室(大阪府)が担当する紳士アパレルの生産管理、技術管理、素材管理を通じての要望である。まずアパレル生産現場における素材の問題点をあげ、可縫製のデータ(KESデータ)の提供依頼、日本アパレル産業協会が推進するATネット(アパレル−テキスタイルEDIネットワーク)の活用、衣料品の水洗い化、接着芯地の重要性に言及。テキスタイルメーカー・染色加工メーカー等とアパレルの品質管理部門が同じテーブルに着き、縫製工場でのトラブルを防止するために情報を交換し、生産分担を検討し合いたい。
三陽商会の事例である。社是、経営理念、CSR基本方針に基づき、「豊かな感性と確かな品質に裏打ちされ、あらゆる世代から支持される商品・サービスを提供するファッションアパレル企業を実現する。」という品質を重視する経営ビジョンがある。そこで、経営トップが構成する経営会議を起点として品質向上分科会を設置し、QC委員、QCディビジョン、社内各部門とが連携するサポート体制が整備され、社内業務改善と工場管理・検品体制改善に8ワーキンググループが設けられている。なお、同社の生産構成は、国内が55%、海外が45%である。
全日本婦人子供服工業組合連合会(松原一廣理事長)は、さきごろまとめた「グラフで見るクレーム等受付処理報告書」で、昨年に加えてクレーム自体の件数は減少気味となっているが、これまで以上にクレームの未然防止に注力してもらいたいと強調。また、8月からの家庭用品品質表示規程の一部改定で、ダウンジャケットの中綿の表示が義務付けられるので混用率などに注意するよう呼びかけた。
韓国化繊協会は、産業資源部貿易委員会の産業競争力調査事業で、ポリエステル長繊維の競争力を調査した。原料の高騰、輸出競争力の弱体化、低価格品の輸入増加などにより厳しい状況にあるとしている。
中国・商務部と海関総署は、新たに糸、テキスタイルなど1853品目を加工貿易制限類に加えることを明らかにした。税関コード15%を占める大掛かりなもので、制限類に該当した品目は、保税扱いで輸入した原材料が加工後に実際輸出されるまで保証金を供託する原稿保証金台帳制度の適用を受けることになり、加工業者にとってコストアップの要因となる。
中国国家発展改革委員会まとめの輸出動向分析・予測によると、中国の07年の繊維輸出額は1650億ドルで前年比16%増と7ポイント下げた。伸びの鈍化の要因は①人民元の上昇、②貿易環境の不安定化で貿易の技術障壁が増加し企業の輸出リスクの拡大③輸出増値税還付率引き下げ等。
ファッション産業人材育成機構(IFI)ビジネス・スクールは今年度ファッションビジネス(FB)産業に就労する人材の発掘・誘引を狙い、大学でのFB講座を大幅に拡充した。00年度からの青山学院大学と新たに神戸大学、横浜市立大学、法政大学、首都大学東京で開講。前期の青学と横浜市立での学生レポートを紹介している。
帝人ファイバーは東海道・山陽新幹線新型車両向けにポリエステル繊維のクッション材を納入した。新型のクッション材は通気性の高い構造に加工し、乗客が長時間座った場合でも背中が蒸れにくいのが特徴。リサイクル可能なポリエステル繊維を使い環境負荷の低減にも配慮した。従来のウレタン製と同じ体積で比べて、20%ほど軽量化した。新幹線の採用実績をもとに、自動車や航空機の座席シート向けのクッション材を拡販する方針。
ヤフーはファッション情報サイトを開設する。米国などで、高級ブランドがネット直販を積極化させており、日本でも需要が高まると判断した。ファッション誌をめくるような感覚で見られる電子雑誌を提供し、対象読者の年代、スタイル別に分け、三誌を毎月発行するもの。最新ファッションの紹介や着こなしの提案、エクササイズなどの記事を掲載する。今後は、男性向けなども創刊させる。
大学における「繊維学部」の役割が節目を迎えている。現在、繊維産業の総体的縮小やテクノロジー、デザインなど繊維産業を取り巻く環境の変化に対応し、繊維学部も改革を迫られている。京都工芸繊維大学の新たな動きを木村良晴繊維科学センター長のリポートで紹介している。
①10月16日②東京農工大学工学部付属繊維博物館③繊維博物館見学、講演「絹繊維−古代から最新のテクノロジー」④日本繊維製品消費科学会関東支部 申込先:実践女子大学 高部啓子 TEL042-585-8901
①10月23日②日東紡績活ノ丹生産センター③講演「接着芯地の基礎について」、見学「接着樹脂コーティング工程」④日本繊維製品消費科学会関西支部 申込先:京都女子大学 矢井田修 TEL075-531-7174
①11月23日〜25日②インテックス大阪③関連する製品、技術、ノウハウのクリーニング総合展示会④全ク連 TEL03-5879-6911
①11月27日②大阪科学技術センター③化合繊機械、精紡機、織機、編機、染色加工機、環境対応機器、他④日本繊維機械学会 TEL06-6443-4691
①12月11日②大阪科学技術センター③ナノファイバー研究の動向、レーザー加熱部を持つ溶融静電紡糸研究事例、他④日本繊維機械学会 TEL06-6443-4691
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男