ミニ情報TOP→ 日本衣料管理協会TOP→ バックナンバー一覧(2003年度:第20巻〜)→
日本とASEANの包括的経済連携協定(AJCEP)が妥結、08年発効を目標としている。交渉妥結で両間の繊維製品の関税は全品目で撤廃(一部の国を除き即時撤廃)され、原産地規則では日本が提案する2工程基準やASEAN累積規則を容認する結果となった。
内閣府の国民生活審議会は消費者の安全や安心にかかわる政策について、十分な情報提供や効果のある実行体制ができているかどうかの総点検をすべての省庁に要請。省庁には制度を運用する執行体制と消費者への情報提供が出来ているかの点検を求める。事件や事故の情報提供を素早く周知し、被害拡大を防ぐことを重視する。事故情報をきちんと集めているか、政策立案段階で消費者の声を聞いているかなども点検項目となる。
経産省は訪問販売や通信販売などの悪徳商法を取り締まる特定商品取引法と、分割払いのル−ルを定めた割賦販売法の改正案をセットで国会に提出する方針。訪問・電話販売のク−リングオフの対象を原則全商品に拡大する。訪問販売での非常識な大量販売はク−リングオフの期間後も解約できるようにして、勧誘時から販売後まで各段階で新たなル−ルを設け、悪徳商法から消費者を守る網を広げる。
「新日本様式」協議会は、日本の美と知と技が融合した商品の中から選ぶ「新日本様式100選」に63点を選定、昨年の53点と合わせ116点となった。今回選ばれたのは繊維関連では、「Odoshi-Shikoro」(アウラ)、「サンドプルーフ」(東レ)、「ランデヴープロジェクト」(静岡市産学交流センター)、「新日本軍手」(カスタマスデザイン)など。
内閣府が発表した11月の消費動向調査によると、消費者心理を示す消費者態度指数は39.8と、前月比で3.0ポイント下がった。2ヶ月連続の低下で、2003年12月以来、約4年ぶりの低水準。今後1年間物価が上がるとみる消費者が多く、暮らし向きや耐久消費財の購入について慎重になっている。
経済産業省の羽藤大臣官房審議官は、08年4月に原稿のファッション戦略会議を改組して発足する日本ファッション・ウィーク推進機構について、「会員募集を開始するなど、準備を進めている」と語った。会員組織への改組は推進体制の強化が目的で、将来的に助成金に頼らない構造をめざしている。
財務省が発表した11月分の貿易統計によると、織物用糸・繊維製品輸入額は前年同月比1.6%減、衣類・同付属品輸入額は6.7%減となった。中国からの織物用糸・繊維製品輸入は1.3%減、衣類・同付属品は7.3%減だった。織物用糸・繊維製品の輸出の伸び率は、米国2.3%減、EU16.1%増、中国7.3%増、NIES7.3%増、ASEAN3.8%増、中東10.6%減。
国務省が内示した08年度予算原案の中で経済産業省の繊維関連予算案は、業界横断的な新規施策「生活関連産業ビジネス拠点整備事業」(JFW関連予算)が6億円の満額、「サスティナブルハイパーコンプジット(炭素繊維複合材料)技術の開発」も3億2000万円を確保した。JFW(東京発日本ファッション・ウィーク)関連予算はJFWの抜本的強化を支援するのが狙いで、JFWジャパン・クリエーション(JC)やCBF(クリエーション・ビジネス・フォーラム)などの支援も含む。中小企業基盤整備機構運営費交付金を活用し、JFWの財政的自立に向けて、08〜10年度までの3年間助成の継続を検討している。
今年の繊維関連行政の課題は、昨年まとめた繊維ビジョンにある。特に3月の第6回JFWは、主催者のファッション戦略会議を4月に「日本ファッション・ウィーク推進機構」へ改組するため、事業の円滑な推進、将来の財政的自立に向けた取組が焦点となる。
カーボンナノチューブからなる数キロメートルのヤーンを連続紡糸することに成功。2004年ケンブリッジ大学のA.ウィンドル教授によりCVD(化学的気相成長法)で合成し、ナノチューブを直接紡糸する方法が開発された。カーボンナノチューブのうち、多層ナノチューブは直径が100nm以下、弾性率が0.3〜1.5TPa、応力が2〜63GPa。単層ナノチューブは直径が約1nm、弾性率が0.8TPa、応力が20Gpaである。カーボンナノチューブ繊維の特性を向上させるには、できるだけナノチューブの長さを大きくする必要があると考えられている。そのため巻き取りの効果を最適化すること、凝縮の完成度を上げることが図られている。
ペルーが、日本へのアルパカ製品の輸出振興策に乗り出した。アルパカはラクダ科に属する。原毛は20〜30p(注)と長く、太さは18〜36μmと中細タイプが特徴。柔らかく軽いほか、保温性や耐久性なども他の動物繊維に比べ優れているという。年間総産毛量は5,000t余りで、このうちペルーが大半を生産しているが、最近ではオーストラリアやカナダでも放牧を始めている。このため、長い放牧の歴史と産業の蓄積による高品質商品を製造する体制を踏まえて、ペルー産アルパカのイメージ向上による製品輸出の拡大が進められている。注:2年刈と考えられる。
東レは21日、婦人衣料用途の新素材でポリエステル超極細繊維織物「utsアルトフィーノ」を発表した。08年秋冬向けから販売を開始する。utsアルトフィーノは、独自の複合紡糸技術を高度化することにより、細さの限界を追求した海島型超極細繊維を採用。従来のutsが総繊度52.8dtex、単糸繊度0.08dtexに対し、utsアルトフィーノは総繊度35.2dtex、単糸繊度0.05dtexを実現するなど、軽さの限界も追及した。また、この原糸を生かすテキスタイル設計と高次加工技術を組み合わせることにより、@卓越した軽量感Aなめらかで繊細な感触と風合いB軽量ながらしなやかな落ち感Cテクニカルな光沢感、を実現した。
合繊、綿紡績大手は08/09秋冬向けに独自素材を積極的に打ち出す。右へ倣えの同質化ではなく、自ら有する技術開発力をベースに、圧倒的に市場を占拠する中国品などの海外品はもちろん、同業他社との違いを鮮明にしている。合繊では、旭化成せんいのキュプラ繊維「ベンベルグ」、三菱レイヨン・テキスタイルのトリアセテート繊維「ソアロン」などはその最たるもの。一方、綿紡績でもクラボウが米デュポンの生分解性ポリエステル「バイオマックス」使い、日清紡は精製セルロース繊維「テンセル」使いなど化合繊複合をメーンに打ち出す。ここでは各社の新しい素材を紹介している。
ドイツの大手合繊メーカー、トレビラはインテリアファブリックの総合見本市、ジャパンテックス2007に難燃性ポリエステル「トレビラCS」で初出展し、日本市場に再進出した。トレビラCSはポリエステルの分子レベルで難燃性を備えており、繰り返しの使用や洗濯でも難燃性は永久的に持続する。主要な国際的な防火基準をすべて満たし、世界的に高い評価を受けている。また、難燃性を付与するための化学薬品を使った後加工が不要で、環境への負荷が少ない。エコテックス・スタンダード100の認定も取得し、有害な物質は含まれていない。
帝人ファイバーは08〜09年秋冬婦人服地で、五つの新開発素材を提案する。「HTX」(以下、仮称):梳毛調「トリクシオン」をより細くした杢調のコンジュゲート糸。「PJK」:シルクやアセテートと組み合わせやすいシルク調ポリエステル。「KEF」:細い糸を高密度に織り、樹脂なしで濡れたような光沢となめらかな手触りを表現。「HCN」:高級な綿の細番手を狙った、吸汗速乾「コルティコ」の進化版。「MAP」:極細中空ポリエステル「エアロカプセルマニフ」を従来の半分以下の44dtx(48F)まで細くしたマイクロファイバー。「HCN」と「MAP」は、完全循環型リサイクルシステム「エコサークル」によるもので、婦人服地向けでは初となる。
三菱レイヨンはポリアクリロニトリル系炭素繊維「パイロフィル」で、自動車部材や風力発電などの大型構造物に適する新タイプ「P330シリーズ」を開発した。高強度炭素繊維「TR50S/TRH50」と同等の性能を保有しながら、フィラメント数を5万〜6万フィラメントに大型化した。自動車、圧力容器、大型構造物(風力発電翼、船舶、土木・建築部材)などの各種産業用途に向けて販売する。P330シリーズは成形加工性と高強度・高弾性率を両立させた新製品。従来の2万4000フィラメント以下のスモールトウに比べて大型成形品に適した加工性を持ちながら、高強度・高弾性率の特性を実現した。
今治タオルメーカー、第一織物はこのほど、無縫製のタオル製品を発明した。調べたところ同様の織物が存在しないことが分かり、製法について特許を申請した。今回、サンプルとして完成した手袋は、多重織りしその間に手を滑り込ませることができるようになっている。形はジャカード装置を使って柄出しするのと同じ手法を使った。ガーゼの多重織り製品はところどころ留めて、上生地と裏生地の間が袋にならないようにする。留め方を運針のように手袋の形に留めることで無縫製を完成させた。クッションカバーも同様の作り方で、クッションの形にジャカードで柄を形成するように設計した。
合繊メーカー各社の08〜09年秋冬向け婦人服地は、軽さを追求した開発が相次いだ。トレンドが継続する光沢は、抑えた光や濡れたような艶など加工によるバリエーションが広がった。環境に配慮した素材は原糸や組織の種類が増え、使いやすさが高まった。中でも、人気が続くのが光沢。新たに、くすんだ光やぬめりのある艶などが浮上した。東レのさびのような光を放つ「ラスティジュエル」は、たてに「シルックVM」など光沢のするどいポリエステルを使った生地に複数の後加工を施した。
統計的にランダムに乱れた高分子鎖から、分子鎖が規則的に折りたたまれて形成される高分子単結晶発見の経緯を概説。高分子説が1920年頃Staudingerによって確立された。Staudingerはホルムアルデヒドの重合物が、長く伸びた針状の結晶であることを示し、X線回析から分子鎖が繊維軸方向に配向していることを見出した。高分子説後、直に長い分子鎖がお互いに凝縮して、1本の高分子鎖が数個の微結晶(ミセル)を貫いている房状ミセルモデルがHermannらによって提案された。その後、高分子鎖は折りたたまれて結晶化することが1938年にStorksによって提案され、1957年Kellerによって確立された。
ナノファイバーを得るための技術の一つであるポリマーブレンド紡糸の開発を紹介。ポリマーブレンド紡糸は、溶融紡糸であり環境・安全側面や現有設備の有効活用ができる,ナノファイバーを得るための極細化では他の極細化技術よりも制約がない,ポリマーブレンド糸段階で布帛化および構造体化できることで織編、不織布、液体分散体、浮膜など様々な製品形態が可能である特性を有している。例えばナイロン・ナノファイバー・ヤーンは吸水膨潤し、容易に変形することを利用し、スキンケアクロスなどの美容品に応用したところ、汚れを拭き取るだけでなく、肌へのダメージも小さいことが分かった。さらに薬剤の徐放性にも優れていることも分かっている。
靴下製造の岡本は、クモの糸の成分を含む「スパイダーシルク」を使った靴下の商品化を信州大学と共同で進めていると発表した。スパイダーシルクは「鋼鉄繊維より強く弾力性があり、衝撃吸収効果も高い」とされるクモの糸の遺伝子を、蚕に組み込んで吐かせた糸。生分解できる生体親和型、環境保全型の新素材としても期待が高い。現段階で生糸中に含まれるクモ糸成分は1割強。今後もシルクとクモの特性を両立できる5割をめどに研究を進める。蚕を使ってクモ糸成分を含む糸を開発したのは信州大学が世界初。衣料品だけでなく、化粧品や医療資材、産業・航空資材などの素材への拡大も期待される。
米アウトドア衣料品のパタゴニア(カルフォルニア州)は、再生繊維を使い完全リサイクルできる防水透湿性ジャケットを開発。帝人ファイバーと東レがそれぞれ再生したポリエステルとナイロンを素材に使い、両者の技術を用いて古着をリサイクルした。08年秋冬シーズン向けに、速乾性に優れたポリエステルと耐久性のあるナイロンを使った登山用をウエブサイトで販売する。石油から新しく作る場合に比べて工場で消費するエネルギーを70〜80%抑制できる。二酸化炭素も同程度削減可能である。ジャケットの価格は約4万円。
東洋紡は09年春夏向けに二つの新素材、動的冷却の理論に基づくクーリング編物「ソニックエアー」と吸汗速乾・消臭素材「デオドライ」を開発した。同社は肌と衣服の間の空気層に、衣服の動きによって動きやすい空気層(自由空気層)と皮膚表面に滞留する動きにくい空気層(静止空気層)があること、皮膚表面の温度変化を速く大きくすると冷感が得られることに着目。静止空気層を動かして冷感を得る「動的冷却」を素材に適用した。ソニックエアーはメッシュの孔を空気が勢い良く入るような最適な大きさに設計した。反対に孔以外の部分は通気を抑えつつ、吸汗速乾は得られるように接触面積の大きいポリエステル扁平糸を使い、肌面には凹凸をつけて肌離れをよくした。
中国をはじめ、トルコ、インドなどのデニム産業が急速に力を付けるなか、これまでベターゾーンでは比較的国際競争力を保ってきたジャパンデニム業界にも危機感が強まってきた。設備投資を含めた商品の差別化、製品事業拡大、輸出の本格化など、各社が生き残りをかけて新たな事業戦略を進めている。デニム商況は、国内、輸出ともに夏までは堅調、9月以降急速に市況が悪化したというのがほぼ共通する声。国内のジーンズ市場では、まだボリュームゾーンが中心だが、米国などでは一部ベターゾーンでも新興国のデニムが使われるケースが増えてきた。米国向け輸出も多いカイハラは、「設備投資しないと、海外勢には勝てない」との考えから、昨年は58億円を投じ織物工場を、今年は85億円掛けて紡績工場を新設した。原料、糸、職布の一貫生産のなかで、さらに新素材の開発力、品質管理力を高めていく。
三菱レイヨンは湿式芯鞘複合紡糸技術による導電アクリル短繊維「コアブリッドB」を開発した。溶液状態で複合構造を形成するため、機能性を持つ材料を高濃度に添加することができる。この製品は芯部分に導電粒子を大量に練り込んでおり、高い導電性能を発揮し、耐水性や耐薬品性も兼ね備える。短繊維のため、他繊維との複合や導電不織布の製造も可能。除電性の必要なブラシ、マット、ワイパー、フィルターなどの用途を想定している。
鈴木靴下(奈良県)は、「米ぬか」から抽出した成分を含む繊維「米ぬか繊維SK」を開発。米ぬかの成分のγ−リザノールは活性酸素による肌への悪影響を防ぐ効果、フェルラ酸は活性化酸素を除去する働きがある。これらの成分を、米ぬかの研究者、紡績メーカー(注)の協力を得て繊維に取り込むことに成功した。後加工と違い、洗濯50回まで機能は落ちない。昨年秋には百貨店の靴下売り場に商品を投入、今後は生活雑貨大型店でも販売する。着圧タイプのハイソックス1,500円(本体)、アンクレットソックスとショートソックスが1,200円、マフラー2,300円。注:和歌山県工業技術センター、オーミケンシなど。
クラレトレーディングは09年春夏向けスポーツ素材で、新素材の高通気ポリエステル「ブリーズライト」をスポーツシャツ中心に提案する。ブリーズライトは断面がドッグボーン型のフルダルポリエステル糸。その断面形状から繊維間に空隙ができやすく、仮撚りでねじればさらに空隙は大きくなるため通気性に優れる。糸側面の溝が素早く吸水し、丸断面に比べて30%広い表面積で拡散する。肌との接点が小さいのでドライ感がある。紡糸は難しいが、接触冷感のエバール繊維「ソフィスタ」でも同じ断面を作る予定。
愛知県産業技術研究所尾張繊維技術センターは、ポリエステル繊維に酵素を組み合わせて付与することで吸水性を高めることができる技術を開発した。これまでカセイソーダなどを用いていたが、天然物の酵素を使用することで、エネルギー消費や排水負荷を抑えることになり、環境配慮の加工技術として注目される。この加工を施した同繊維の布地は素早く水を拡散し、水の蒸発を促し、乾燥を速めるのが特徴。同加工に用いる酵素剤は生分解性であり、ほぼ常温常圧で処理できるだけに、排水やエネルギーなど環境面に優しい加工法を実現したことになる。
石川県工業試験場が小松精練と共同で、機能性成分の取り込み・放出する特殊な「ナノサイズのカップ」を合繊の表面に付ける技術を開発した。分子構造の中心に空洞を持つ、天然成分の環状オリゴ糖(シクロデキストリン)をポリエステル繊維の表面に固定させる技術で、食品の香り保持剤などに粉体で使われているが、合繊など合成高分子への加工技術はなかつた。空洞部分に機能性成分を取り込み徐々に放出する性質を持つオリゴ糖を利用し、繊維素材にさまざまな機能剤を加工、それを放出する速度を制御し、耐久性の高い機能性能を繊維に付与できる。今後、小松精練を中心に事業化、製品化をめざす。
平松産業は、片面に撥水、片面に吸水速乾の機能を付与する両面加工技術を確立し、快適繊維「ルストファイン」加工として本格展開する。表吸水速乾で表に超撥水面として使うことにより、肌側に撥水面があたり、汗は表の吸水面に回るため、肌側はさらさらでべとつかない。表に回った汗は吸水速乾加工を施しているので、すばやく乾燥し、真夏のゴルフなどでも冷感を感じられる。織物でも編物でも加工が可能。合成繊維に限らず天然繊維でも加工可能で、洗濯耐久性も高い。テキスタイルメーカー、商社からの発注で委託加工を受ける。
フッ素系はっ水はつ油加工剤には、意図しなくてもPFOA(パーフルオロオクタン酸)が不純物として含まれていることがある。PFOAは化学的に極めて安定な物質であるので、自然界では容易に分解しない。また、体内に取り込まれると排出されにくい。そこで、米国環境保護局は、PFOAとPFOA類縁物質およびこれらの前駆体物質に関しての自主削減計画を立て、同プログラムへの参加を関係メーカー8社に提案した。旭硝子も参加を表明。PFOAフリーとして開発されたアサヒガードEシリーズAG−E061の性能・特徴が紹介されている。
帝人はパラ系アラミド繊維「トワロン」パルプの新製法を開発し、海外を中心に内外でサンプルワークを始めた。2011年をめどに事業化に取り組む。新製法は「ジェット・スピニング」法と呼ぶもので、基本特許は取得済み。詳細は明らかにしていないが、従来法のように一度繊維化した後に繊維をすり潰してパルプ化するのではなく、ワンステップでパルプ化する。形状もパルプでありながら少し異なる一方、接着性や分散性などが高くなるという。こうした特徴を生かしてガスケットなど既存用途だけでなく「新用途開拓にもつなげていきたい」意向で、すでに、フィルターなど需要家からアイデアも得ている。
東レ合繊クラスターのナノテク素材分科会に参加する小松精練とケイテーは、花粉症などを引き起こすアレル物質の抑制機能を持つノンコーティング型耐水性素材を共同で開発。「アレルビート103(1000)」の商標で、両社で商品販売を行う。この加工素材は、同クラスターの商品化第1弾の「アレルバスター」と同じ薬剤を使用し、生地表面に付着したアレル物質の働きを24時間で約80%抑制する効果を持つ。これにノンコーティングで1,000o以上の耐水性能と耐久はっ水性を付与した。技術的にはケイテーの超高密度織物の製造技術と、小松精練の新規後加工技術の融合がポイントである。
サーブ(神奈川県)は、ジーンズの洗い加工場であり、取り扱い量の7割を占める「リーバイス」の主力加工場の一つとして知られる。同社が加工の幅を広げ、手作業の仕上がりの良さと効率性を支えているのが、シェービングと呼ぶ加工技術。ドリルの先にやすりを巻きつけた独自の道具を使ってデニム地の表面をなでつけ、アタリやヒゲ、ほつれや穴を作る。ヒゲは、ジーンズをはき込んだ時に、ももの付け根部分に出る筋状の色落ちのこと。これを人為的に再現するのをヒゲ加工と呼ぶ。同社は、デニムの下にヒゲの型を彫ったプレートを敷き、上からシェービングすることでヒゲを出している。
ザ・ナノシルク・カンパニーは、ナノテクノロジー技術でシルクの超撥水撥油加工を開発した。衣料用途で幅広く展開する。今回、開発した超撥水撥油性能を付与したシルクは、綿やウールで普及してきたナノテックス加工の技術を応用した。加工後もシルクの風合い、ドレープ性、色艶、吸湿吸水性などの特性は変わらず、超撥水撥油性能を付与する。同社の実験ではドライクリーニングで撥水性は初期100、3〜7回で90、撥油性は初期5級、3回4級、7回3級、手洗いの場合、撥水性は初期100、20回後も100、撥油性は初期から10回まで5級という結果を得た。
蝶理は、08〜09年秋冬物から、非塩素のウール防縮加工素材「エコ・シュリンク・セーバー」を本格販売する。この素材は、天然染料染め「ナチュラルダイ」の開発でも取り組んだシオンテックとの協業の第2弾。酵素を中心とした天然系の助剤を活用、ウールタンパク質に影響を与えてスケールを動きにくくし、防縮性を付与する。12月の東西の展示会で重点的に提案したところ、素材メーカーや織編・加工業者、アパレルメーカーから、特に肌触りやタッチが好評であったという。主要アイテムごとに生産チームを確立し、ナチュラルダイに次ぐエコロジー素材として拡販する。
日本ファイトから、従来にない画期的なHACE社のジーンズ用しわ加工機が紹介された。HACE社のしわ安定システムは、エアサーキュレーションによるキュアリングは60〜90秒で処理する。従来のようなウエット状態から直接オーブンで硬化する加工方法では、オーバーキュアリングにより素材の劣化が発生するが、同社の方法では素材を傷めることなく仕上げが可能である。またしわの形成にワイヤーを使用し、位置を自在に組み合わせることができるため、複雑なしわ加工を実現している。
日本のアパレル市場を支える物作りの基盤が危うい。供給の8割強を占める中国では、原燃料、人件費の上昇が続く中、現地メーカーはロットや納期で厳しい日本向けより、欧米の大口バイヤーとの取引に目を向けつつある。
カーペットやタオルといった繊維製品の値上げが相次いでいる。本格的な値上げはバブル期以来で、値上げは最大10%程度。ポリエステル糸や綿糸など原料素材の価格が上昇しており、メーカーが転嫁を進めている。
主要アパレルの07年度上期業績は上位のワールド、オンワードホールディングスの収益が伸び悩み、共に営業減益となるなど厳しい内容となった。天候要因もあり衣料消費の低迷が続き、主力の婦人服でプロパー消化の収益の改善が進まず、連結ベースでは中間決算9社中4社が営業損益で赤字、3社が減益だった。秋冬物も振るわず通年で業績予想を一部下方修正するなど、基幹ブランドへの集中化をはじめ、もう一段の体質改善に迫られる。
ニットのモデリストを作ろう。−ニットに必要な原材料の知識や編機の操作、パターン作成などまで一貫できる“プロの技術者”作りを目指し、NPO(非営利組織)が立ち上がる。物作りで日本が世界基準となるための仕組みの構築を狙うもので、大手アパレルメーカーを中心に協賛者も集まり始めている。設立は08年2月になる見込み。名称はラボシステム。ニットの企画・製造を手がけてきたグレースインターナショナルの岩佐正樹社長が理事長に就任する予定。国内に点在する情報の共有化や技術の継承、競争力の高いソフト開発を含め、「日本がニット作りで世界的標準となるための仕組みと環境作り」(岩佐社長)が目的。
JUKIは、スーツやジャケット、パンツなどの斜めポケット縫いに対応した本縫自動玉縁縫機「APW-896」、縫い始め・縫い終わりの糸の切り残しを短くしたカーシート用自動糸切りミシン「LU-2220N-7」を販売する。APW-896は、コーナーメス横方向切り込み位置を電子制御する。 斜めポケットではフラップも斜めになるが、センサーで角度を自動検知し、縫い始め・縫い終わりなどを自動補正する。国内販売価格は438万円。LU-2220N-7では、これまで縫い始めや縫い終わり部分に糸が長く残るためのハサミによる糸摘み作業が必要なくなる。糸の残り長さを5o以下にした。価格は94万7,000円。
YKKファスニングプロダクツ販売は、操作性に優れたプラスチックオンテープタイプのバックルを日本市場向けに開発・販売を始めた。このバックルは普段は閂(かんぬき)がかかっている状態で、外れることはないが、外す際は上部のテープを引くことで簡単に外れる。一般ユーザーはもちろん、障害のある人でも楽に操作ができる。YKKグループでは、長年欧州の官需向けに販売してきたが、日本市場向けに見直し、開発したものである。
欧米で、高級ブランドや人気ブランドのデザインを模倣した、いわゆるコピー商品に対する規制を強化する動きが出ている。服飾デザインはシーズンごとに変化していくため、コピー商品が出てももぐらたたきのような状態で、権利者も対応しきれず泣き寝入りするケースも多かった。ただ、欧米では高級ブランドなどが提訴するケースが増えており、行政も対策に乗り出したかたちだ。こうした動きは、いずれ日本にも波及してくる可能性もある。
03年以降、業績を緩やかながらも右肩上がりへと回復させていた合繊メーカーのユニフォーム部門。07年度は原燃料高騰に伴うコストアップ、不透明な景気の先行きなどから、ここにきて市況後退に対する懸念が強まっている。この数年、ユニフォーム業界では価格ばかりが優先されてきたものの、「そろそろ素材からの差別化が見直される」との見方が浮上しており、合繊メーカーはリーズナブルな価格も念頭に、あらためて現場のニーズにマッチした機能素材の開発に力を入れ始めた。
欧米のジーンズカジュアルブランドが、一格上の新ラインの開発に力を入れている。ブランドのプレステージ性を高めることで、新市場の開拓と既存ラインの活性化につなげる作戦だ。ただ、これらのアッパーラインは既存ラインに力がなければ、消費者の支持を得るのは難しい。ブランドの総合力が試されることになりそうだ。
アシックスは看護師や介護士、整体師などが着用する専用ユニフォームを、住商モンブランと共同開発し2008年1月中旬から病院や介護施設向けに発売する。アイテムはジャケットやパンツ、ワンピースなど男女で13品番。医療業界で実績のある住商モンブランが培った商品開発力に、アシックススポーツ工学研究所で蓄積した体の動きに関するデータを活用し作製。医療や介護の現場で多い腕の上げ下げ、階段の昇降、患者を抱える動作がスムーズに行えるパターン設計で動きやすさを重視する。主素材はすべてポリエステル85%、綿15%のダブルファインハーフアトラストリコットで肌あたりがソフト。
紳士服のコナカは08年春夏物から、自宅の温水シャワーで汚れやニオイを洗い流せる「シャワークリーンスーツ」を発売する。オーストラリアン・ウール・イノベーションとザ・ウールマーク・カンパニーと共同開発したもの。素材に特殊ポーラル構造の織物を使用し、水溶性糸と混合して製織後、仕上げで水溶性糸を溶解させ中空化し、シャワーで洗い流す際に水抜けをよくした。陰干ししてノーアイロンで着用できる。通気性が高く、超軽量も特徴。毛100%と毛87%・ポリエステル17%とがある。環境に配慮した業界初のスーツとして、初年度で20億円の販売を見込む。
米国のアウトドアメーカー、パタゴニアは、帝人ファイバーと東レと共同で完全循環型リサイクルが可能な防水・透湿ジャケットを開発した。08年秋冬から世界で販売する。パタゴニアが両社と開発したハードシェル(高い防水・透湿機能を備えたアウタージャケット)は、帝人ファイバーのポリエステル素材「エコストーム」を採用したスキー・スノーボード用ウエアと、東レのナイロン6繊維を採用したアルパインクライミング(登山用)ジャケット。従来、ラミネート加工などが障壁となり完全循環型リサイクルが難しかったハードシェルだが、帝人ファイバーの松山事業所と東レの名古屋事業所が構築したシステムにより、店頭回収から再製品化までの完全循環が可能となった。
帝人グループの帝人ファイバー(大阪市、唐沢佳社長)は2008年夏から男性用スーツの再資源化を始める。ポリエステル100%のスーツなどを消費者から回収して表地や裏地、ボタンなどすべて再生する。スーツは女性用だけを回収・製品化してきたが、生地の光沢を抑える加工技術を採用し男性用も手がけることで、再生ポリエステルの年産量を従来比3割増の9000トンに増やす。 まず、企業の制服など同社が過去に供給したポリエステル100%の古着を回収、ここから再生したポリエステルを原料とする生地やボタンなどを衣料品メーカーと百貨店の計2社に供給する。両社が秋冬用スーツとして来年夏に発売する予定。
アパレル各社は生産関連の経費削減を狙って、国内で販売する衣料品の生産拠点を順次、海外へ移してきた。中国への生産依存度は三陽商会が約4割、サンエー・インターナショナルは約7割に達している。ここに両社が相次ぎ、中国での衣料品の生産体制を見直す。三陽商会は委託先の工場数を約3割減らし、主力拠点に生産を集中させる。サンエー・インターナショナルは内陸部で新たな委託先を開拓する。工場が多い沿岸部で、縫製工賃に直結する人件費の上昇が目立ってきたため。原材料も含め生産関連の経費がかさむのを抑制し、海外生産の主力拠点である中国の効率を高める。
ウールや獣毛など動物繊維原料の需給バランスや相場形成からも、中国の動向が最大の焦点となってきた。繊維の生産国と輸出・消費国として、世界の繊維原料を買い集める“巨大バイヤー”になった中国だが、それによって日本のファッション・アパレル業界が求めるウールや獣毛商品の需給にも大きな影響を与えようとしている。
08年春夏のファッションのキーワードは、明るく、優しく、エレガントに。春夏は、世界的な景気不透明感や地球環境悪化への懸念など、不安な世相を吹き飛ばしたい消費者心理から、ピンクや黄色、ブルーなど鮮やかな色柄が街に溢れるという。エスニックやオーガニックなど自然回帰の流れも強く、天然素材を使った服も注目される。
ペガサスミシン製造は、縫製現場における作業改善や技術伝承を通してコスト低減を支援するシステムを発表した。このシステムは軽量小型のデジタルムービーカメラを使った生産現場用のツールで、撮影した動画を2画面同時に表示することにより、改善前/改善後、装置付き/装置なしなど、改善ポイントが明確になるとともに、熟練者から初心者へ的確に技術を伝えることができる。また動画のオペレーションから、気付かなかったムリ・ムダ・ムラの発見が容易になる。また撮影動画から簡単に各工程のピッチタイムを測定でき、作業動作や工程検証(ラインバランス)の改善提案が行える。
紳士服専門店大手4社の07年9月中間決算が出そろった。青山商事とAOKIホールディングスが20〜30代の若者などに顧客層を拡大して営業利益で過去最高を更新する一方、はるやま商事は既存店の販売が低迷、営業赤字に転落、コナカは同業のフタタ争奪戦でAOKIに競り勝ち通期で黒字ながら4〜9月期は営業赤字を計上。2強2弱の構図が鮮明になった。
BGMなど音響環境を工夫することで、魅力ある雰囲気作りを目指す百貨店が増えてきた。品ぞろえや接客に磨きをかけるのはもちろんだが、消費者は店舗から受けた全体的な印象や、過ごした時間の心地よさから、買い物場所を選ぶ。
「繊維ファッションSCM2007−日本」大会が11月に開催された。第4次TAプロジェクトに大手小売業9社が参加、TA間の取引ガイドライン実施企業が広がりを見せていることが報告された。
流通システム開発センターが開いた「全国商店街情報化フォーラム」で、全国4つの商店街関係者が狙いや課題、今後の方向性にいて語った。商店街でのICカードの活用が広まり、新たな決済手段の提供などの様々な試みが進められている。
すでに中国本土に進出している日本企業を対象に行った代理商に関する繊研アンケート調査によると、直営店志向は強いものの、「地方を含め本格的に進出するには代理商を活用せざるをえない」という傾向が明確になった。代理商を使うメリットは、地域ネットワークの強み、買い取り原則の取引条件、出店コストの削減、店舗展開の速さが挙げられている。
海外生産にシフトしていた国内ブランドの潮目が変わってきた。既に若手デザイナーズブランドは「国内回帰」で実績を残しており、需要を見越した展開を行っている。売り上げを下支えするのは外国人という側面はここ1、2年の流れでもある。平日昼の東京表参道。中国語、韓国語を話す観光客がセレクトショップや表参道ヒルズ、さらには原宿の裏道へと入っていく。彼らのお目当ては東京ブランド、とりわけ「メード・イン・ジャパン」「メード・バイ・ジャパン」の商品である。ある店舗の店長は「特に韓国人はメード・イン・ジャパンを求める傾向が強い。商品タグを見て、日本製でないことが分かるとその商品は買わない。そのことが分かっているブランドは国内生産に戻している」。
国内市場の大幅な成長が見込みづらい中で、商社の海外事業拡大の取組が加速している。今年春には大手繊維商社の繊維原料ビジネスの拠点を香港や上海に移し、国内産地需要に伴い、軸足を海外にうつしたもの。
流通各社が若手社員の育成に力を入れている。若手社員と先輩社員との「交換日記」でコミュニケーションを活発にして若手が抱きがちな疎外感を解消したり、業務を一部本部が肩代わりするかたちで若手店長の勤務に余裕を持たせるなど、各社知恵を絞る。背景には、新卒・中途採用が困難で、産業界の中でも離職率が高いとされる若手職員の定着を促そうとしている。
百貨店が発行するクレジットカードの便利さが増している。従来の高いポイント還元率や割引サービスに加えて、電子マネーとの提携や航空会社のマイレージサービスとの連携が広がっているためだ。百貨店の相次ぐ再編を背景に、統合先の百貨店でも優待を受けられるカードも増えている。ただ、ポイントや割引に目を奪われて利用しすぎたりすると思わぬ損をする場合があり、注意も必要だ。
スーパー大手が低迷する衣料品のテコ入れに向けに、PBなど独自商品を拡充する。イオンは2年以内に専門店型売り場のある店舗を7割増やす。イトーヨーカ堂は衣料品のPB比率を3割超に引き上げる計画。利益率の高い独自商品の比率を高め、収益率の改善を追求する。
チェ−ン専門店が、生産地の中国で検品、店別仕分けなど物流加工を済ませて、店舗と結ぶ直接物流の導入を急いでいる。物流拠点を国内から中国に移すことによって物流コストを削減するのが大きな狙いで、不良品の輸入を水際で防ぐことにもつながる。
百貨店協会は博報堂とレゾンデートル(存在意義)の共同研究を進めている。ファーサイトの予見手法を用い、10年後の買い物増を描き、百貨店の業界再創造にヒントを導き出そうという試みである。
6月に施行された改正建築基準法の影響で、路面専門店やSCの開業が遅れるケースが目立っている。建物の構造計算の審査を厳しくした結果、必要な設計書類が増えた。テナントが決まる以前に構造を固めなければならないなどリーシングにも支障が出ており、関係者の頭を悩ましている。
大手百貨店が主力の衣料品を中心にセールを前倒ししている。高島屋はカード会員向けに特別な販売会を開催、三越は例年より約2週間早く一部ブランド品の値引き販売を始めた。一般に秋冬物のセールは年初の初売りと同時期に始める。全国百貨店の1〜11月の衣料品売上高(既存店ベース)は前年同期比1.9%減と不振。異例の年末セールで巻き返しを図る。
アジアでは大型ショッピングセンターが次々と建設されている。その理由に、アジアの途上国から中東などへの出稼ぎ労働者が増え、海外送金が膨らみ、母国の個人消費を底上げし、商業施設の建設を後押ししていると、解説している。
07年もアパレル・小売業で、M&A(企業の合併・買収)や資本提携が活発だった。外資を含むファンドや投資銀行による中小規模のアパレルメーカー・SPA(製造小売業)の買収が一気に増え、百貨店の経営統合など小売業の合従連衡が本格化した。M&A戦略を積極的に進めてきた大手・上場アパレル企業では中小アパレルを含む他企業と合弁を設立する動きが目立った。競合がますます激化し、各企業に生き残り策と新たな成長戦略が求められる中、08年もこの流れは加速しそうだ。
07年の米国ファッションビジネスで、小売業の寡占化で大手優位が進展し、SPAのギャップやリミテッドの変革が進んだ。一方、アパレルメーカーは、直営小売店型のダイレクトブランドを土台に改革とM&Aに乗り出しているという。
ファッションビルを含む国内のSCは「3000カ所、総売上高30兆円」時代に入った。繊研新聞社の調べによると今年は100カ所を超える開業が見込まれている。07年11月に施行された改正都市計画法によって駆け込み出店に拍車がかかり、計画法に影響を受けない床面積1万平方メートル以下のNSC(近隣型SC)やLSC(ライフスタイルセンター)も増加する。ファーストリテイリングや家電大手によるSC開発など新規参入組も増えた。一方、テナントや一部のディベロッパーからは「SCバブル」の声も。
2008年最初の商戦が全国で始まった。百貨店の初売りは伊勢丹、西武百貨店の旗艦店が過去最高の売上高を更新するなど販売が順調な店舗が多く、大手家電量販店でも初日の売り上げが前年を数%上回った模様。薄型テレビやドラム式洗濯乾燥機などが比較的好調に推移した。ファッションビルも東京・新宿のルミネで元日の全館売上高が前年比16%増を記録した。昨年末までの買い控え傾向の反動が表れた格好だが、個人消費が勢いに欠けるなか、好調な売れ行きが持続するかは不透明だ。
クリーニング業では、付加価値を高める一手段として、洋服のリフォ−ムに取り組んでいる。その実態を知るために、日本クリーニング新聞がアンケート調査を実施した。調査対象は、クリーニング店31社、消費者158名である。リフォームをメニューに採り入れている店は、94%に達していた。そのうち74%の店がメニューの成果が出ていると答え、洋服のリフォームが売上に貢献していた。中にはリフォームで月600万円を売り上げる店も見られた。リフォーム作業は、外注が53%を占め、「簡単なリフォームは自社で」の34%を上回った。
世界における人工汚染布の種類と特性、使用上の注意などをまとめた。まず人工汚染布の成分の基準になる天然汚垢成分をあげ、次いで人工汚染布の成分を紹介する。ほかに人工汚染布には、@汚れ成分には関係なく、洗浄挙動が天然汚染布と一致するもの、A種々の成分の汚染布を組み合わせて用いるもの、B各種シミを想定したもの等がある。湿式汚染布は広く用いられ、ドライにも適合するが、さらに的確に洗浄力を評価するには、各種の汚れを順次洗う必要がある。そのための汚染布として、WFK(ドイツ)34種類とEMPA(スイス)37種類を紹介した。
遠赤外線の放射エネルギーによる仕上げ乾燥機。特殊なパネルヒーターを用い、繊維に含まれた水分を水素と酸素に分解して除去するので、繊維の内部に保持された水分も速く乾燥できる。被洗物の風合いを損なわず、収縮もない。除菌・消臭作用があり、人体に無害である。作業は衣服を吊るだけなので容易であり、ワイシャツの場合は1時間に180枚処理できる。熱源は電気だけなので、設置費用が安い。取り扱いは(有)クロセテクニカル(兵庫県三田市)で、すでに納入の実績も上げている。
都内のエステサロンなどで、マッサージオイルをふき取ったタオルや衣類を洗濯後、乾燥機にかけたまま放置して、自然発火した事故が相次いでいる。被洗物に残った油分が、乾燥時の熱風で酸化反応し、約400℃まで昇温して自然発火する。乾燥機の自然発火事故は、都内で約6年間に17件発生し、そのほとんどがマッサージオイルを使うエステ店であった。東京ガスが販売した衣類乾燥機のうち19件の火災が発生し、うち13件が業務用であった。経済産業省と東京消防庁は、エステ店の業界団体などに注意を呼びかけている。
経済産業省は、11月2日クーリング・オフが法律で認められていない通信販売の返品について分りやすく表示する事を義務づけ、表示が無い場合は返品できることとする方針を明らかにした。これまでも、返品ルールを表示しなければならないルールはあったが、違反した場合も改善指示など行政処分の対象にしかならなかった。来年の通常国会に提出する特定商取引法改正案に盛り込む。
独立行政法人の整理合理化計画の流れの中で9月に発表された国民生活センターの相談業務縮小や商品テストの外部委託について日本弁護士連合会は10月24日の理事会で「国民生活センターの機能・権限の強化を認める意見書」を取りまとめ内閣総理大臣などに提出した。PIO-NETについて、情報公表の権限と手続きを法律上明記する。事業者規制・摘発や法制度の改善を勧告する権限。経由相談及び直接相談の充実。消費者紛争の特性に配慮した行政型ADRの設置。商品テストの機能強化。消費生活相談員及び行政職員の研修の拡充。
日経のインターネット調査によると、この冬の家族の衣料購入金額は、1〜5万円が57%、10万円未満を合わせると全体の約9割を占めている。商品分野によって買い分けるなど、カタログ販売やインターネット販売が普及し、アウトレットや低価格チェーンも含めて衣料の購入場所の選択肢が広がっている。
日本消費者協会は12月10日、全国のモニター400人らの意見を参考に07年消費者10大ニュースを発表した。「割賦販売法の改正を求める運動」「投資を持ちかけた悪質商法」「NOVAの経営破たん」「食品偽装表示問題」「金融商品取引法施行」「温暖化の影響による酷暑」「改正消費生活用製品安全法施行」「ガソリンや食品などの値上げ」「消えた年金記録」「保険金不払い」
岐阜婦人子供服工業組合が開いた「第25回岐阜市消費生活モニターと子供服メーカーとの懇談会」の中で、子供服の購入ポイントはデザイン性より機能性、洗濯性で選ぶとの消費者の声だった。懇談会はモニター6人と子供服メーカーの4社が参加、問題、要望が話された。
フェリシモの「環境としあわせ感に関する調査」で、生活者の環境問題に対する意識と行動のギャップと、その方策を調べた。「自分自身はしあわせ」が9割近いが、「地球がしあわせ」は1割弱、また、エコバッグを9割近くが持っているものの、いつも使っているのは半数程度とギャップがみえる。
クリーニング綜合研究所によると、鑑定品の中でガスが原因となる変退色が目立ち始めているという。これは燃焼によって発生する酸化窒素ガスや亜硫酸ガスなどにより染料が分解されトラブルを起こすもので、取り立てて珍しいものではない。しかし同所が発生の季節傾向をまとめてみると、冬季に集中しているため、ガス発生源が家庭内の暖房器具であることが指摘された。消費者の多くはこのような現象を知らないため、クリーニングトラブルとして認識されるケースが増加したようだ。急増した原因は不明だが、事故品を素材別に見ると、綿製品が群を抜いて多く、高級品から廉価品まで満遍なく発生している。
クリーニング綜合研究所は平成49年4月から9月までの平成19年度上半期に219件(原産国表示されている鑑定品は180件)の事故衣料品鑑定を行った。日本製を除く海外製(94件)で最も多いのが中国製で64件(海外製の約70%)、次がイタリア製(約10%)、香港製と続く。このうち製品自体の問題や素材の特性に起因する事故は18件で、原産国別では、中国製7件、日本製6件、イタリア製2件などであった。事故内容ではポリ塩化ビニル樹脂の可塑剤溶出に関する事故が4件と最も多かった。表示内容から中国製の7件のうち4件が日本の会社が製造したものであり、その他に日本製が6件あることから、半数以上が実質的には日本製といえ、品質管理体制の強化が望まれる。
経営や製品の質や環境管理に対する国際認証制度であるISOの審査を統括する国際認定機関フォ−ラム(IAF)は、認証の信頼を高めるため審査方法を見直す。内部監査のマニュアルの有無など形式的な基準が中心の審査を改め、顧客満足度などの実効性を重視する方法を導入する。改革案ではその仕組みが、取引先や消費者の満足度の向上に効果を発揮しているかどうかまで確認する「付加価値審査」の導入を検討する。日本の経済産業省も制度改革を後押しする。
被服分野の学部学科を持つ女子大学は、日本の繊維ファッション産業の人材育成で一定の役割を果たしてきた。衣料管理士などの養成で実績のある大学も多い。しかし、@業界の変化に対応する教育改革の立ち遅れA専門学校や美大との競合激化などで、他の分野にシフトし、お茶の水女子大学に象徴されるように被服の位置付けは弱まっていると見られてきた。ところが、基礎学力や総合的な知識の習得という点で業界からの期待は高く、意欲的な改革で人材育成図る大学が今、目立っている。日本女子大学、共立女子大学、東京家政大学、大妻女子大学と武庫川女子大学の例が紹介されている。
来年5月シンガポールで開催予定の「国際アパレルマシンショー(JIAM)2008」の出展企業が海外を中心に増えている。8月時点の発表では企業数で前回比(05年)3分の1、小間数で半分にとどまっていたが、その後、海外のパビリオン出展が決まり、海外企業は前回比12.5%増、小間数は4倍近い規模となった。日本縫製機械工業(JASMA)は今後も中国、台湾、韓国で出展企業が増えると見ており、出展募集を継続する。最終的には全体で前回(1288小間)を超えるものと期待している。
日本輸出縫製品工業協同組合連合会が加盟企業222社に行ったアンケート調査(回答数は100社)では、昨年の「底打ち感」の増加から、やや停滞気味の改善傾向が顕著という結果となった。売上高の推移については前年と「同じ」との回答が48.0%と半数を占めた。収支状況は「黒字基調」が前年の18.9%から今回は22.0%へと、やや回復している。景況感は「比較的好調」が前年の23.8%から26.0%に増加したが、景況感の格差は広がっている。加工賃の動向は「同じ」が前年の64.4%から77.0%へ増加。その他設備投資はしぶりがち、海外生産・輸出は減少傾向を示している。
(社)日本衣料管理協会は、11月13日に「品質表示に対する消費者の意識と繊維製品品質表示規定改正に係る調査報告講演会」を開催した。以下にその抜粋をあげる。ISOの繊維関連専門委員会TC38の幹事国を、日本が中国と共同で引き受ける。ISOのケアラベル規格の改正案では、適用範囲、漂白記号など5項目であるが、家庭洗濯試験法などの残された問題もある。衣管協の調査で、表示に対する消費者の意識を調べたところ、「購入時に取り扱い表示をチェックする」は33%しかなく、チェックしない理由は「価格・デザインを重視しているから」が56%に達した。
日本ファッション協会は、今後の事業活動計画を発表、12月に生活文化創造都市拡充プロジェクト「クリエイティブジャパン全国大会イン浜松」を開催すると共に、世界初の「日中韓常用色名小事典」を発刊する。また、08年4月には情報発信事業「トウキョウストリートスタイルプレミア」のサイトを立ち上げる。
繊維総合見本市「JFWジャパン・クリエーション(JC)08年秋冬展」は、会期の3日間を通して、来場者3万8千人、昨年比13%減と総じて盛り上がりに欠ける内容となった。業種別にみてもアパレルメーカーが28%減と、国内のテキスタイル生産者と、中国素材の扱いを定着させる国内アパレルメーカーとのギャップがある。
社会経済生産性本部がまとめた07年版「労働生産性の国際比較」によると、日本の生産性は先進7力国中最下位、OECD(経済協力開発機構)30ヵ国中20位となった。生産性伸び率では先進7力国中2位と改善した。05年の日本の労働生産性(就業者1人当たり付加価値)は61,862ドル(789万円、購買力平価換算)で、昨年より4.5%向上したが、順位は変わらなかった。米国と比較して0.71。1位はルクセンブルグで104,610ドル(1,334万円)。中国は11,625ドルで69位。日本の製造業は86,608ドル(955万円)で、順位を一つ上げた。米国と比較して0.89。G7各国のサービス業は停滞傾向が続く。
@3月6日〜7日
A追手門学院大学
Bシーズとニーズのつながり、一気通貫型生産システム構築のための地域や企業の取り組み、製品にブランド価値をつける企業や地域の取り組み、ポスターセッション、他
C日本繊維機械学会
TEL06-6443-4691
@3月25日
A扇町インキュベーションプラザ会議室
Bプレゼンテーションとディスカッション(最近の事故事例の紹介と事故防止の対処法)
C日本繊維製品消費科学会
TEL06-6358-1441
@4月23日
A日本化学繊維検査協会大阪事業所
B子供服の安全性(国内外の規制と動向)、試験法と基準の概要について、各試験方法研修(衣服の燃焼性、有害物質分析、他)、他
C日本繊維製品消費科学会
TEL06-6358-1441
@4月25日
A兵庫県民会館
B発汗の変動特性から暑熱下の不快感を考える、清涼スポーツシャツの開発、次世代型自己調節機能素材(MRTファイバー)、
C日本繊維製品消費科学会
TEL06-6358-1441
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男