ミニ情報TOP→ 日本衣料管理協会TOP→ バックナンバー一覧(2003年度:第20巻〜)→
農林水産省は、危機的状況にある日本の蚕糸業の再生と持続的発展を目指す、「蚕糸・絹業提携支援緊急対策」に乗り出す。08年度の国産繭以降、6年計画で養蚕、製糸、織物、染色加工、織物問屋、小売りの「提携グループ」を形成、優れた国産絹製品ブランドを確立することで、養蚕農家が自立可能な手取り繭代金を確保する。
経済産業省発表の07年の商業販売統計によると、大型店販売額は百貨店は既存店ベースで前年比0.7%減、スーパーは1.3%減になった。衣料品は百貨店が1.6%減、スーパーは4.6%減。婦人服は百貨店が2.4%減、スーパーは5.6%減、織物・衣服・身の回り品小売業販売額は2.2%減で3年連続の減少。
経済産業省は2008年度から自動車のボディーなどに使える高強度の炭素繊維材料を開発する事業を始める。汎用の樹脂を炭素繊維と混ぜた低コストの材料を目指す。実用化すれば自動車の重量を4割軽くし、3割の燃費向上につながる見通し。5年間のプロジェクトで大学や炭素繊維メ−カ−などが開発に参加、8年〜10年での実用化を目指し、世界の炭素繊維生産量の約7割のシェアを持つ日本メ−カ−の競争力をさらに高める狙い。
消費者行政の指令役となる新組織「消費者庁」について、自民党の消費者問題調査会は1月末、中間報告をまとめた。消費者相談を一元的に受け 付けるワンストップサービスを実現、関連法制度の企画・立案機能を担うことも提示。また、業務縮小が取りざたされた「国民生活センター」は一転して機能強化を検討する方向に。
経済産業省はアパレルや生鮮食品の分野で、卸売りと小売りを高速インターネットで結んだ共通の取引システムを実用化する。企業ごとに使用ソフトや要求するデータなどがばらばらになっている受発注システムを標準化し、企業の開発費を抑えるのが狙い。電子化を進めることで紙の伝票の量も大幅に削減できる。
中小企業基盤整備機構(中小機構)は地域資源を活用した地域活性化をめざして、繊維関係支援アドバイザー約40人を派遣する方向で準備を進めている。今年度で終了する中小繊維製造事業者自立事業を加速するために、現在、14人の繊維アドバイザーを派遣している。支援アドバイザーの派遣を希望する繊維事業者は中小機構地域資源事務局に事業計画を相談し、同事務局が必要と判断する場合に支援アドバイザーの派遣を決定する。派遣料は無料。事務局は全国11ヶ所に設置している。
「シルク100%」と虚偽の表示をして布団を販売したのは景品表示法違反(優良誤認など)に当たるとして、公正取引委員会は21日までに、通信販売会社に表示の中止や再発防止などを求めて排除命令を出した。公取委によると、同社は07年6月から9月にかけて新聞に掲載した広告で、実際には絹が50〜70%しか含まれていない布団や肌掛けを「シルク100%」と表示して販売。また「期間限定感謝価格」と称して絹を使った布団や衣料品の値引き価格を広告に掲載した際、実体の無い「通常価格」を値引き前の価格として表示していたことも、二重価格表示で景表法違反に当たると認定した。
政府は11日、談合やカルテルの主犯格への課徴金引き上げなど制裁強化を柱とした独占禁止法改正案を閣議決定した。消費者や中小企業保護にも軸足を置き、虚偽の宣伝で消費者をだます「不当表示」や大企業が下請け業者に不利な取引を強いる「優越的地位の乱用」に新たに課徴金を科す。携帯電話業界は06年以降、携帯電話料金に関する広告が不当表示に当たる恐れがあるとして公取委から警告や注意を二度にわたって受けている。今回の改正案では不当表示が課徴金の対象となり、KDDIでは「分かりやすい広告表示に努める」という。
衣料用素材で、生産履歴が分かる「トレーサビリティー」システムが広がっている。背景にはオーガニックコットンや環境保全のうえで生産されたウールなどエコロジー素材の広がりがある。天然繊維は原産地や品種によってその特徴や品質が異なるため、比較的トレーサビリティーがはっきりしているが、有機栽培素材の増加や高級・上質化の流れからさらに関心が高まっている。
東レは高い変形追随性と高導電性を両立した導電性ポリエステルポリマーを開発した。第1弾として世界最高レベルとなる線抵抗104Ω/p台に到達する導電性ポリエステルの製品化に成功した。従来困難であった繊維表層全体にポリエステルベースの導電層を形成。温湿度など外部環境に影響されない高い導電性と従来に比べ1ケタ以上も変動が小さい繊維の長さ方向に対する優れた導電均一性を実現した。帯電防止テープやクリーンルーム用防塵衣・工程資材など産業資材も含めた用途を想定。今後実用化に向けた基 本技術を確立する考えである。
帝人ファイバーの新しい制電ポリエステル糸「ビーウェル」は、0.8〜1.1dtexのコンジュゲート糸。これまでの糸の半分の細さで柔らかいため応用範囲が広く、高密度織物の主力品である「マイクロフト」にも使い始めている。耐久性は糸の芯部分に制電ポリマーを配する仕組みで高めてある。そのため制電以外の後加工との組み合わせがしやすい。一般に、制電糸は撥水剤との相性が良くないが、ビーウェルはそれがなく、対極の機能を両立する素材。ユニフォームやファッション用途に広げる準備も進められている。
日本の毛織物メーカーが、日本の高品質で信頼性のあるカシミヤの糸やテキスタイル(TX)素材を、イタリアの紡績メーカーやブランドへ売り込みに動き始めた。まだ緒に就いたばかりであるが、既に日本のカシミヤ素材のクオリティーの高さは欧州で認知済み。ターゲットが少ない日本市場から、まずはイタリアから攻めて欧州全体に広め、さらに日本市場への波及効果も期待する。
特集「ITMA2007視察記」の緒言。07年9月13日から8日間、ミュンヘンで第15回国際繊維機械見本市ITMAが開催された。世界的なエネルギーコスト、原料コストの高騰のなか、電力、ガス、水、蒸気、高圧空気などのエネルギー消費の削減、原料素材の有効利用、また環境負荷の少ない生産技術が求められている。最新の技術動向が、専門分野別に掲載されている。合繊機械(p48〜52)、紡績機械(p53〜56)、革新精紡機(p57〜62)、自動ワインダー(p63〜65)、撚糸機(p66〜69)、織機(p70〜78)、丸編み機(p79〜84)、染色加工部門(p85〜88)。
オーミケンシはこのほど、プラチナ(白金)ナノコロイド練り込みレーヨンを開発した。今回、同社が開発したのは、ナノレベルのプラチナ粒子であるプラチナナノコロイドをレーヨンに練り込んだ素材。生地上で老化の原因物質といわれる活性酸素を分解する効果が期待できる。同社では、綿70%・白金レーヨン30%混紡糸での販売を予定しており、主に肌着や婦人衣料用途で提案する考えである。40番単子が中心となる予定。
エレクトロスピニング法(ES法)とは、高分子溶液または溶融状態の高分子に高電圧を印加することで繊維を紡糸する方法。この方法は、他のナノファイバー作製技術と比較して、ナノファイバーの不織布が直接作製できる、室温でも紡糸可能、幅広い材料に応用可能な特徴がある。筆者らはナノファイバー不織布を触媒担持体に用いると触媒担持効率が飛躍的に向上することに着目し、ES法により、繊維径200nm程度のPANナノファイバー不織布を作成し、得られたナノファイバー不織布に光触媒をコーティングすることで、光触媒ナノ粒子を担持したナノファイバー不織布を作成した。
ナノコンボジットファイバーとは、エレクトロスピニング法(ES法)で無機化合物を混合し、機能性をナノファイバーに担持したものである。筆者らは、高表面積材料としてのナノファイバーシートの作成に、ES法を用いた超多孔質シリカナノファイバーの製作を試みた。これは、ES法を用いてポリビニルアルコール(PVA)/コロイダルシリカ有機無機コンポジットファイバーを作製し、その後PVAを選択的に除去することで多孔質ナノファイバーを作製した。本研究によりサイズが小さく、また細孔容積の大きいナノ粒子を用いてナノコンボジットファイバーを製作することにより、さらに値の大きな高表面積材料を製作できる可能性が示唆された。
日清紡は特殊ビスコース繊維「バイロフト」を使用した紡績糸「ローレライ―タイプV」を開発した。バイロフトの原料はユーカリの木材パルプで、表面が溝構造の偏平断面タイプと、超極細のクローバー型断面タイプがある。通気性、保温性、帯電防止性が良く、湿分調整に優れる。環境対応素材としてインナー、スポーツウエア、婦人衣料、靴下、タオル用などに原糸のほか、染め糸、テキスタイルを販売する。
消費の低迷が続く一方、原燃料価格の高止まりなど、コストアップ要因は多い。各社が掲げるのは、素材開発力の再強化。環境対応素材が例年以上に目立つ。クラレトレーディング(快適ストレッチ拡販に力入れる)、住友商事・クラボウ(「ニューヤーン」でウールの新用途)、東レ(ナノテク技術を使い襟汚れ解消)、フジボウテキスタイル(わたで連シル加工施し混紡可能に)、シキボウ(「デュアルアクション」を多彩な用途に)、帝人ファイバー(「エコサークル」で資源の循環めざす)、日清紡(環境・快適・健康の三つのコンセプト)、ユニチカファイバー(独特の反発感持つ「Z-10」を重点に)。
09年春夏向けテキスタイル見本市ミラノ・ウニカは、マットでナチュラルな外観、ドライなタッチのテキスタイルが広がっている。長く続いたエレガンスに代わり、存在感を強めているのが天然素材を中心に広がる自然で素朴な見た目である。オーガニックコットンや植物染料などエコ素材の広がりとともに、化合繊でも光沢や艶を抑えた天然素材風の仕上げ、大地や草、海や空を連想させるベージュ、グリーン、ブルー系の色、植物のモチーフがいっぱいであった。光沢や滑らかな手触りを強めるためのシルクも、複合割合を下げるなどの工夫が見られる。
旭化成せんいはW型断面ポリエステル短繊維「テクノファインNS」を使った中わた素材「テクノサーモ」と「エアーバックBT」(日本バイリーンの開発)を開発し、今秋冬向けから販売を始めた。また、スポーツタオルの展開も開始する。「テクノサーモ」はテクノファインNS、ソロテックス、ポリエステル中わたを約3割ずつ複合した衣料製品・キルト用および寝装用の中わた素材。「テクノファインNS」のW型異型形状により小空間が多数形成されるとともに、その間の空気移動が少なくなるため、優れた保温性を発揮する。また、3種類の繊維を複合することでかさ高性も得られ、大量の温かい空気を保持できる。
福井経編興業はジェトロ(日本貿易振興機構)の08年ミラノ展に初参加し、新素材の布帛調高密度経編「タテパン」を提案した。市場でPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)繊維「ソロテックス」の高密度織物が人気を集めていることから、同社はハイゲージ編機1台を購入し、経編で高密度を実現させた。ソロテックスならではの高発色としっとりとした肌触り、ニットならではの膨らみが特徴。スーツやボトムはもちろん、コートやスポーツウエアにも向く。美脚パンツ用素材として国内、アジアを中心にヒット中の「ハイテンション」に続く大型素材に育てたい考え。
09年春夏向けのパリのテキスタイル見本市プルミエール・ヴィジョン(PV)には、これまで以上に軽い生地、マットと光沢、天然と人工など相反する素材の組み合わせ、淡い色よりも突き抜けた明るい印象の色が増えている。軽さはテキスタイル・トレンドでここ数シーズン欠かせないキーワードとなっているが、これを求める傾向がより顕著になっている。天然と人工、マットと光沢など相反する要素も巧みに融合させるテクニックも広がっている。
特集「原糸改質繊維の後加工による機能発現」の総論。ポリエステルを中心に、ポリマー化学改質、原糸改質(糸の製造段階での改質)および染色加工の3分野における主要技術がレビューされている。続く各論には、ミクロクレーター繊維の歴史と展開(p129〜133)、極細繊維による感性素材の開発(p135〜138)、吸水性ポリエステル繊維「ウエルキー」(p139〜143)、常圧カチオン可染糸「A.H.Y.」(p144〜147)、異形断面と複合紡糸技術による高機能原糸(p148〜152)がある。
東洋紡は09年春夏向けインナー素材で、吸汗性に優れ肌にまとわりつきにくい「アクアス」を開発、丸・経編みで販売する。新素材のアクアスは、レーヨンと合繊を複合した短繊維「スーパーリフレス」の周囲をY字断面のナイロンで覆った。内側のスーパーリフレスはわたの段階で改良し、吸湿性をさらに高めた。ポリエステルのY字断面は以前から扱っているが、ナイロンでは初めて。丸断面より肌に接触する面積が少ないため、濡れた状態でも肌にまとわりつくのを軽減する。
パリで開かれたテキスタイル見本市プルミエール・ヴィジョン(PV)で、地球環境に配慮した素材の豊富さで群を抜いた日本。「エコの意識は確実に高まっている」と多くが口を揃えるが、「ファッション性を備えなければ売れない」現状が浮き彫りになった。販売で勢いがあるのは、オーガニック綿。クロキはオーガニック綿のデニムが欧米向けで伸び、全体に占める比率が今年度20〜30%に高まった。大正紡績の120番単糸によるハイゲージのジャージーが評価された。東レのセルロースを溶融紡糸した「フォレッセ」などに関心が強いが、「素材が良くないと選ばれない」と改めて実感した。
オーミケンシはケナフを原料にしたビスコースレーヨンを開発。レーヨンの原料は木材、コットンリンターなどであるが、ケナフによるレーヨンは世界で初めてと見られる。特許も申請。木材パルプレーヨンに比べ、吸湿性、透湿性に優れる。ソフトでしなやか、膨らみがある。発色性がよく色鮮やかなどが特徴。ケナフはアオイ科ハイビスカス属の1年草で、他の植物に比べ圧倒的にCO2の削減能力をもつ。成長が早く二毛作も可能で、森林保護、地球温暖化対策で世界的に大規模な栽培が進んでおり、最も優れたものを輸入する方針。日本でもケナフ繊維使いの紡績糸が開発され衣料、寝装用に展開されている。
染色加工業の四川は、高知県の「室戸海洋深層水」を使って加工する「オーガニックWASH」(特許申請中)を開発した。これはブリーチ(漂白)加工をする際に、従来は次亜塩素酸ソーダを使うが、「オーガニックWASH」は天然海水を使うというもの。天然海水で加工すると予想外のカラーになる。インディゴブルーのデニムをブリーチするとグリーンになり、ブラックデニムをブリーチすると従来は白黄色なのが茶色になるなど、全体的にナチュラルカラーが表現できる。色の調節は可能で、グリーンになるインディゴもブルーの方向にすることができる。
久山染工は08〜09年秋冬に向けて、和紙でうろこを表現したフェイクレザーを提案。フェイクレザーは、ウール・ボイルに特殊な樹脂をコーティングし、熱をかけて、和紙とウールを固着させた。その後、洗いをかけ、樹脂の付いていない部分のみ和紙をはがし落とす。縮絨をかけると和紙の重なりと膨らみが生まれ、うろこ状の模様と立体感が出る。ヤングのメンズブランドから引合があり、靴やかばん向けにも提案。
繊維の繊維加工としては古くて新しいテーマである抗菌加工であるが、ここにきて新しいタイプの加工技術開発が相次いでいる。これまで繊維とは無関係であった大学など研究機関が、持てる基礎技術の応用分野として繊維に注目するケースも目立つ。ここでは、そのいくつかを紹介している。大阪大学大学院工学研究科ビジネスエンジニアリング専攻では、電子線やガンマ線など放射線を用いた新しい抗菌防臭加工が開発されており、広島大学歯学部口腔保健学科では、シラン(水素化ケイ素)と抗菌剤を複合した洗剤で繊維を洗濯することにより、シランが抗菌剤を繊維に強固に固着させ、高い抗菌性能を付与できる加工法が開発されている。
兵庫県立工業技術センター繊維工業技術支援センターと先染め織物の整理加工を行う播州織工業協同組合は緯糸で様々な波模様を表現する独自商品「クラッシュ」加工のバリエーション拡大の一環で、クラッシュとインクジェットプリントを組み合わせた新たな織物の開発を進めている。クラッシュの波模様の大小によって、生地の表情が変わるうえ、どの段階でプリントするかによっても、生地の表情は大きく異なる。このため、両社では様々なタイプの試作を重ねており、第1次の試作品として9タイプを開発。
シキボウはノロウイルスを吸着、不活性化する繊維「アルゴン」を開発した。08年秋冬物から食品や福祉施設用ユニフォーム、寝装、下水処理施設や空気清浄用フィルター向けに提案する。アルゴンはウイルス捕捉効果があり、身体への安全性が高い薬剤を繊維に架橋結合させた。ノロウイルスは生きた細胞でのみ増殖するため、代替ウイルスであるネコカリシウイルスで研究、実験したところ、付着から約10分で捕捉効果を示し、洗濯50回後でも感染価(感染力をもつウイルス量の対数値)を99.9%低下させた。捕捉剤は特許出願中で、他のウイルスの捕捉効果も研究中。綿やポリエステル綿混で商品化する。
ウール繊維の表面のスケールはフェルト化、収縮現象を引き起こす。この性質により耐洗濯性が損なわれるため、防縮加工として塩素化樹脂法が適用されてきた。しかしこの加工は、吸着性有機ハロゲン化合物(AOX)を生成し、地球環境保全上、問題点が指摘されている。クラボウは、オゾンが強い酸化剤であることに注目し、水中下でオゾンガスを5μm程度の超微細気泡にし、その気泡を繊維に衝突させて表面を酸化し、その酸化された部分のみを還元剤で還元する(表面酸化と表層還元処理)連続処理を工業化した。これがECO・WASHであり、ここではさらに摩擦特性、耐洗濯性、撥水性、抗ピル性への効果が述べられている。
デニムメーカーの日本綿布は、画期的な2種類の糸染色法を開発した。経済産業省から補助金を受け、染色機の開発に2年をかけ進めてきたもので、完成度は80%だが商品として出せるレベルになった、としている。1つは世界初となる「多層染め」。多層染めは芯を白に残したまま、糸の中心から外側に向かって、例えば緑、赤、紺と複数の色を染めていくもので、糸1本に複数色が多層的に染まる。洗いで表情がさらに豊かになる。2つ目は伝統的なかせ染めによる草木染め、本藍染め、墨汁染めで芯白を実現。芯が白いため本藍でもヒゲが表現できる。この2つの染色法を使ったジーンズへの製品洗いも自社内で行う。
フジボウテキスタイルは、わた段階での連続シルケット加工(マーセライズ加工)を施す技術の開発にめどを付けた。糸での加工では難しかった獣毛との混紡素材などを展開する。紡績技術の安定化を進め、09年春夏物から本格販売する。シルケット加工は綿糸や織物を水酸化ナトリウム溶液で処理し、シルクライクな光沢や風合いを与える。同社の連続シルケット加工素材「レンシル」は、ロングランのヒットを続けている。この強みを活用、綿・ウールの混紡、綿・リヨセル・ウールの3者混などを打ち出す。当面、婦人の薄地物やカットソー向けをはじめとして、さまざまな複合バリエーションを開発する。
染料・薬剤など染色加工に関連する企業が、染色加工場にとって付加価値が取れる製品開発に力を入れている。染色工数量の減少が続く一方で、原燃料高という厳しい局面にあるが、染色加工場と染料・薬品メーカーのような関連企業はある面「運命共同体」。互いの連携を強めながら荒波を乗り越えようとする姿勢が垣間見える。そのなかで、染料・薬剤メーカーは染色加工場が加工料金を確保できる新たな製品を打ち出している。ここでは、メーカー各社の新商品を紹介している。
クラボウのエレクトロニクス事業部は、印刷機器メーカーのミヤコシと、テキスタイル業界向けインクジェット捺染機の試作機を共同開発した。捺染本生産に対応する高い処理能力、高品質な色表現などが特徴。08年度中に実用化をめざす。試作機「TXP18A」は600×120dpi(1インチ当たり密度)の解像度で、1時間400m2の生産能力を持つ。カラーも広範囲な表現が可能。色合わせにはクラボウのカラーマッチング技術を使い、意匠性を高める。ミヤコシは、1860mmの広幅に対応した装置の設計・開発・製造を、クラボウは染色加工ノウハウ、捺染専用デザインソフト、色分解ソフトの画像技術を活用したデータ処理ソフトの開発・提供を受け持つ。
ベビー・子供服業界では、次世代顧客獲得の動きが強まっている。団塊ジュニア世代の結婚・出産は一段落し、次はプリクラ世代(1977〜83年生まれ)と呼ばれる女性が対象になる。最近では入籍前の妊娠による“授かり婚”をはじめ、10代後半で妊娠する人も少なくない。自身の転換期を迎えながらも、ライフスタイルは独身時代を続ける母親の増加は、ベビー・子供服市場に新しい風を吹かせることができるだろうか。
ユーロ高が、欧州のラグジュアリービジネスに深刻な影響を与え始めている。欧州ラグジュアリーブランドは主要アイテムのレザーグッズ、ジュエリー、時計、コスメティック、パルファンのほとんどをユーロ圏で生産し、その60%を輸出販売している。輸出先のうち特に米国と日本が重要市場で、現在のユーロ高ドル安の為替相場は、生産から輸出までユーロ建ての欧州ラグジュアリービジネスにとって二重の痛みになっている。
ユニフォーム企画、製造、販売の三愛は、作業服など各種ユニフォームに装着できるこれまでにない新たな冷房パックを開発した。この冷房パックは、柔らかいゲルが25℃以上で溶けて液状になる際に吸熱作用を発揮し、ひんやり感が2時間持続する。液状になったゲルは冷蔵庫や水につけるなど24℃以下の状態におけば、30分から1時間ほどで機能を回復するため、何度でも再利用できる。三愛ではこのほど、特殊な強化フィルムを用いてユニフォームなどに装着できる18センチ×6センチ四方、重さ50グラムの小型冷房パックをユニバーサルテクノロジーと共同で開発。「この夏25℃で変わる」をキャッチフレーズに、夏物から冷房パックとこれを装着できる作業服をセットで販売する。
韓国で日本のゴルフウエアブランドの人気が上昇している。ロッテ、新世界、現代の大手百貨店ゴルフウエア売り場の半数以上が日本ブランドで占め、売上高でも他ブランドを圧倒している。
中国でアパレル生産のコストが上がり続けるなか、量販店や専門店チェーンに商品を供給してきたアパレルメーカーが対応を迫られている。食品などでは値上げが相次いでいるが、衣料品は振るわないこともあり、コストの上昇分を小売価格に転嫁できる状況にはない。原価上昇を抑制するため、生産工場や商品政策の見直しが求められる。
三陽商会は紳士服で展開している「バーバリー・ブラックレーベル」で、今春夏シーズンから婦人服を投入する。「バーバリー・ブラックレーベル」では、40代以上を軸に幅広い年齢層へ提案する「バーバリー」と、20代女性の支持を集める「バーバリー・ブルーレーベル」の中間世代をつなぐ商品群を打ち出す。ブランドの伝統をベースに「本質志向」のファッションを提案。紳士服では25-35歳をコアターゲットにフルアイテム展開しているが、婦人服ではテーラードアイテムが中心。キャリア層を意識したニットやシャツ類など、マニッシュ&フェミニンな企画になる。
人件費アップ、労働力不足、原燃料高騰、増値税率引き下げ、金融引き締め、労働契約法の施行などで、中国でのアパレル生産が大きな岐路に立たされている。このため「プラス・ワン」を求めてベトナム、ミャンマー、カンボジアなどへの工場進出が見られるものの、原材料手当、距離的な問題などで、中国に取って代わる国は見あたらない。そうした中で「国内見直し」が一部で囁かれているが、中長期的にアパレルが国内でモノを作ろうにも現実的に無理という事態が着実に進展している。
YKKは次世代主力製品として開発してきたファスナーを発売する。ファスナーは競合する欧州メーカーが商品開発を進める一方、中国メーカーが安価な商品を提供するなど、同社は厳しい対応を迫られている。樹脂化によるカラーマッチングを始め、スタート性の向上、外観の美しさ、縫製の容易さなど機能性と品質を一段と高め、市場でのシェア拡大を図る狙いがある。
世界中のバイヤーが集結するビッグイベント「ブレッド&バター・バルセロナ」で、日本発のデニムファッションが大好評となった。出展したのは、山口県繊維加工協同組合が有志を募って組織した「ジャパンジーニングコレクション」のメンバー4社。この国際見本市は若者向け最先端ファッション・トレンドをテーマにし、年2回開催している。ジャパンジーニングコレクションが参加したのは、高級品ばかりを集めた「スペリオール」エリアで、日本製品の評価は高く、特に素材、縫製、デザインの各方面で日本製ならではのクオリティーを求められていることを実感できたとのこと。
サンリット産業は、同社開発のビズラベル(06年6月特許登録)を改良したNEWビズラベルジャケットで、襟の構造上の新技術を開発した。特徴は、キセ掛け部を設けることにより襟が立体的になり、襟部の資材が一部省略されることで省資源、軽量化が図れること。また、襟部の形状を保持することでシルエットが崩れにくく、縫製しやすくなるため品質が安定する。着心地も改善した。縫製上の技術ポイントは、工程数が従来の210から200工程に減り、表地丈は1.60メートルが1.57メートルで済む。カラークロス、襟芯も必要としない。その結果、縫製工程で約5%、資材で約3%節約できる。
縫製業界は加工賃があまりにも下がりすぎているため、原油・原材料高、副資材価格高騰などの影響を価格転嫁できず、悲鳴をあげている。このままでは倒産や廃業に追い込まれる業者がかなり出てくる。大手アパレル企業や商社からの受注加工賃は08年春夏物でもさらに下がった。海外生産も輸送費などのコストアップで国内と同様な状態にある。中国の縫製企業も小ロット・短サイクルで品質に厳しい日本向けを敬遠し、量につながる欧米シフトを強めている。こういう状況が続けば日本のものづくりや縫製は、どうするのだろうか。今年が正念場だ。
07年のアパレル輸入は、数量37億1652万5000点で前年比横ばいとなった。金額は2兆4069億4000万円(2%増)だった。昨年をピークに日本のアパレル輸入は天井感が広がっている。原油や資源、原料の高騰に伴い、平均単価上昇が懸念されたが、07年は前年に比べ8%程度の円高で推移し、輸入トータルの平均単価は1.7%の上昇にとどまった。国別に見ると、中国からの輸入は横ばいだったが、構成比は数量で0.3ポイント上げ、92.3%まで高まった。
北京五輪向けの競泳用水着が、1月16日、デサントにより発表された。水着の設計は、露出部を減らして運動しやすくする思想から、筋肉を支える方向に転換した。そこで疲労時に崩れてくる姿勢を保持するために、硬い素材に変更した。すなわちウレタン対ポリエステルの比率を、従来の8:2から、5:5に変更した。また筋肉に対応したパターン(型紙)を採用することにより、運動時における水着の抵抗を減らすことに成功した。また生地表面については、東レの協力を得て、熱と圧力を加えることにより、表面の平滑化と水切れの強化をはかった。
子供服が遊具などに絡まる事故が相次いでいることを受け、メーカー約60社が加盟する全日本婦人子供服工業組合連合会は安全基準のガイドラインをまとめる。「遊具に挟まないようフードのひもを短くする」などフードやボタン、ファスナーなど約10箇所について基準を示す。ただ業界内には「デザインが損なわれる」などと反発する声もあり、行政も対応を決めかねている。
この春、イエロー旋風が巻き起こる―。ここ数シーズン、落ち着いたモノトーンの傾向が続いていた女性たちの装いで久しぶりに色が復活。とりわけ服や雑貨、化粧品などで一押しなのがイエローだ。目立つ色だけにアクセントには取り入れられても着こなしではこれまで脇役だったが、今春は主役に躍り出る人気ぶり。女性たちの今に気分が後押ししているようだ。
中国人観光客の購買力が急速に上がっていることを背景に、中国での銀行間決済ネットワークの運営会社、中国銀聯(ぎんれん)が発行する「銀聯カード」による決済サービスを導入する百貨店が増加している。日本で銀聯カードの決済業務を手掛ける三井住友カードによると、現在、都心基幹店を中心に22店が導入し、平均決済額は3万円を超えるという。
日本百貨店協会による07年全国百貨店売上高は7兆7,512億円で、既存店ベースで前年比0.5%減と、11年連続の前年割だった。厳しい残暑などで秋冬物衣料の販売が振るわず、米国のサブプライムローン問題に伴う株安で高額品の販売も鈍ったため。売上構成比で堅調な食品が婦人服を逆転、首位となった。
値上げ要求の強まる素材メーカーとは裏腹に、専門店チェーンが小売価格を下げる政策に踏み切っている。1年前は「デフレは終わった」と値上げをめざしたが、それを断念したばかりか、さらに下げるのは客数減に歯止めがかからないためだ。利益を削ることになりかねない値下げ戦略は、各社に新しい商品調達方法を促している。
テレビ通販を舞台に商社の投資が過熱している。テレビの多チャンネル化などで今後一層の成長が見込める市場をにらみ、商社のグローバルな商品調達力やブランド資産、物流機能などを生かす。
人気衣料品ブランドの在庫処理品などを扱うインターネット通販の利用が増えている。郊外のアウトレットモールまで足を運ぶ手間がなく、欲しい商品を簡単に探索して、通常の半額以下など格安で購入できる。国内アパレルメーカーの商品が中心だが、販売不振からネット通販に出回るようになった。
TAG(テキスタイル・アパレル・量販店)間の取引改革の取り組みが着実に成果を上げている。繊維ファッションSCM推進協議会が進めるTAプロジェクトに設けられたTAGビジネス研究会では、これまで発注・品質・納期・在庫について、相互に取り決めるべき項目を検討し、確認している。この内容は中小企業基盤機構のセミナーで紹介された。
12月下旬から始まったレディス・セレクトショップの春の立ち上がりで、売れているのはやっ ぱりドレスだ。ナチュラルな生成りのミニドレスや、マキシドレスなど今シーズンらしい新鮮なデザインが動き始めた。シューズやバッグで問い合わせが多いのは注目カラーのピンク。服も小物も、実用的で値ごろのものが売れるという点が共通している。この流れは春物商戦本番に引き継がれそうだ。
レディスヤングゾーンを中心に、百貨店の新規顧客獲得の動きが強まってきた。ヤング層を狙った新規ブランド導入やブランド開発、売り場づくりが進んでいる。少子高齢化によるマーケットの縮小に加え、郊外型SC、駅ビル・ファッションビルなどとの競合によるパイの奪い合いなどが背景にある。客単価向上にも限界があり、既存百貨店顧客だけでは、増収を見込みにくいだけに、なかでも、ヤング・OLゾーンは、ファッションビルや路面店への流出を止めようという動きでもある。
景気後退への不安が広がる中で開かれた08年全米小売業大会が、@企業の社会的責任A新興メディアを通じた顧客との新しいかかわりB顧客と直接かかわる販売員の重要性が、強調された。その全てはブランディングにつながり、価格競争に巻き込まれないようにブランド力を強化し、顧客を引き付けることが根底にある。
原燃料や材料・人件費すべてが上がる中で経費率を抑えるには、物流システムを見直すことが不可欠と、専門店チェーン物流改革を進めている。直接物流や荷受け港の拡大、店間移送システムの確立等。
米国では出費軽減に役立つと古着チェーン店に注目が集まっている。景気は減速しているが、出生率に底入れの傾向が見え始め、玩具や教材、衣料品など子供にかかる費用がかさむため。人気ブランドに比重を置いた品ぞろえでアップスケール(高級)感を売りにしている。
日経産業地域研究所は店頭からネットまで様々な推進方法が実際の購買に与える影響度を調べた。店員の対応やPOPなどの店員力が依然として強い一方、若者を中心にネット口コミの影響力が増大。衣料品に車は店員、旅行や外食はネット口コミなど、分野ごとの特性も浮かんでいる。
百貨店各社は春物衣料商戦を盛り上げるため、主力商材の婦人服を中心に自主編集売り場を強化する。新しい売り場を立ち上げたり、品ぞろえを大幅に拡充している。
預けた品の画像付き一覧を専用サイトで閲覧でき必要な時に配送してもらえたり、段ボール単位で手軽に預けられたりと、衣料品の保管の多様なサービスの利用が広がっている。
ショッピングセンター(SC)業界で、テナント不足問題が浮上している。専門店などをそろえきれず、空きスペースを残して見切り開業する新規施設が増加。歯抜け状態を解消できない既存施設も目立ってきた。07年11月の改正まちづくり三法の全面施行に伴う駆け込み開業は当面続きそうで、問題が常態化する可能性もある。
日本百貨店協会の外国人観光客の受入の体制調査によると、07年は前年に比べ約80%の店舗が「外国人観光客が多くなった」実感があると答えている。中でも中国、韓国、台湾、香港の東アジア地域からの来店客が明確な増加を示しているが、欧米系観光客の来店は変わらないが大変を占めた。ただ、受入態勢は、積極的に進める店舗があるが、3分の1の店舗で外国語対応が進んでいない。
日本ショッピングセンター(SC)協会による07年総売上高は27兆円で、前年比1.2%増であったが、既存ベースでは微減で3年ぶりに下回った。7月を中心に天候の影響があった。立地別では、大都市中心部で前年の約2倍に当たる9SCが開業して、全体を押し上げたが、郊外地域は5年連続してマイナスとなった。
不透明な経済環境の米国で、消費の減退と小売りの低迷の影響を最も大きく受けているのが婦人服SPA(製造小売業)だ。昨年末のホリデーセールは、この5年間で最低だったが、今年は一層の厳しさが予想される。チャーミング・ショップス、アン・テーラー、タルボット、チコスのレディスSPA大手4社は、不採算店の閉鎖、管理職の解雇・刷新、新業態の閉鎖または延期、投資の削減など「冬の時代」に向けたリストラ計画を相次いで打ち出している。
繊研新聞社が実施した第39回「全国百貨店改装・増床調査」によると、今春夏は昨秋冬を9店上回る81店が改装する。5億円以上を投資する大型改装は11店。大型改装は一時的に減ったが、今後、全館規模の改装・増床を予定している都心の大型店も多く、業態を超えて競合が激化する厳しい環境下で、百貨店は引き続き改装に積極投資するとみられる。
全ク連クリーニング綜合研は、近年、ガスによる変退色が増加しているという調査報告を発表した。特に最近の増加が著しく、05年19件、06年20件、07年32件である。変退色の原因になるガスは、酸化窒素ガス、亜硫酸ガスなどがあり、冬季は石油やガスの暖房器具が発生源となる。これらガスが染料を酸化・還元して変退色が生じる。とくに綿繊維には反応性染料のうち、酸に弱いタイプが多いので、酸性ガスの影響を受けやすい。このため素材別では、変退色苦情品の46.9%を綿が占めた。ナイロン、アセテート、ポリエステルと続く。ガスに弱いのはアセテートだが、普及率が低いために順位が低くなった。
洗濯環境は大きく変化してきているが、浴比の低下もその一つといえる。低浴比での綿衣類の風合い低下に関しては、毛羽立ちとごわつきである。前者の対策としては洗濯水中の摩擦の低減が必要で、シリコーンやカチオン性界面活性剤は効果がなく、セルロース系骨格を有する高分子には、摩擦低減効果を示すものがあり、洗濯でも効果があった。後者に対し ては綿糸の細化と関係があり、セルロース系ポリマーとセルロースパウダーを併用することにより、改善された。
(株)高島屋について、クリーニングに関係した事故事例を調べた。07年上期の苦情内容の申し出は、色が35.7%、外観が22.3%、損傷が21.7%、形態変化が10.1%であった。色に関する苦情は、変退色、脱色、白化、黄変、色泣き、汚染であった。アイテム別では、スカート、パンツ、スラックスなどのボトムが多く、続いてシャツ、カットソー、ジャケット、セーターであった。次いで5件の事例について、表示、申し出内容、試験結果を写真入で解説した。
CLV21大阪大会におけるディスカッションの報告。改森道信氏が中心で回答された。質問は7件収録されているが、最初の3件を例示する。Q1:ウールの染料がクロムから反応に変わると、クリーニングにどんな影響が現われるか。(回答)技術部会で比較試験を行ったところ、クリーニングの各処理において、差が見られなかった。Q2:反応染料は紫外線に弱いか。(回答)クロムよりも反応の方が、紫外線による変化は大きかった。この結果を写真で示した。Q3:反応染料によるウール製品は、国内で流通しているか。(回答)クロム染料は、紫外線を受けるユニフォーム分野及び反応染料を用いにくい反染め分野に多い。
衣類の洗濯の際に「洗剤や水の利用を抑えたい」という消費者が増えている。このため洗剤を使わずにシャワーで汚れを落とせるスーツや、風呂の残り湯を使ってすすぎまでこなす洗濯乾燥機の売れ行きが好調。環境問題に関心が高い30歳代前後の人たちが、積極的に活用している。原油高の影響で料金が上昇したクリーニング代を、節約したいという心理も働いているようである。クリーニング代は原油高や人件費上昇を背景に年々高くなっている。
「ウォームビズ」が推進される中、おなかや腰まわりを温める腹巻が見直されている。岩手県立県民生活センターは、表示、保温性、吸水性について17商品をテスト。腹巻は家庭用品品質表示法の対象外だが、「取扱い絵表示」は16商品に、「繊維の組成」、「表示者の氏名又は名称及び住所又は電話番号」は全商品にあった。洗濯後は、吸水性が高まる物が多い。保温性は商品により差があった。収縮は縦方向では10商品で縮み4商品で伸びた。横方向では10商品で縮みが、6商品で伸びが見られた。
ワードローブを開けばネクタイをすぐ選べる状態にしておくには、自分流の収納法を決めること。混在している中で、夏用、冬用、冠婚葬祭用に分け、頻度の高いものを優先するなど、解説している。
日経調査によると、紳士用スーツの購入は全体として以前より減らしている人が多いが、20代ではそれほど変わっていない。スーツ業界ではここ数年、若年層の需要喚起を狙い、細身のデザインの品そろえを強化、それが奏功しているのでは。
リヨセル布について家庭洗濯を行い、物性変化をKES-FBシステムで測定した。繰り返し洗濯(弱アルカリ性洗剤、ネットなし)により、曲げ、せん断特性が著しく増加し、硬さ感が生じた。圧縮レジリエンスは洗濯を繰り返すと増大した。一方、洗濯用ネットを用い、中性洗剤で洗濯したとき、曲げ、せん断、圧縮、表面特性はほとんど変化しなかった。弱水流で、上記の条件では、リヨセル布の水系での洗濯が可能である。
サークルKサンクスは6月に6,100店でユニホームを刷新するのを機に販売員が着用したユニホームを回収。エコバッグに再加工して店頭で無料配布する。コンビニエンスストアーでは初の試み。店舗から出る廃棄物を店舗に戻す循環を築くとともに、レジ袋の使用量削減を狙う。衣類のリサイクルなどを手がけるエコログ・リサイクリング・ジャパン(広島県福山市)に委託し、ユニホームから戻した繊維を利用してエコバッグ約25万枚作る。新ユニホームもペットボトルを再生した素材を利用する。
乾燥機が付いた多機能洗濯機を次に買うとしたらどれにするか。ビッググカメラ新宿西口店三嶋峻矢氏がアドバイス。最近は洗濯乾燥機が主流で、ドラム式がメインとなっている。洗濯機選びのポイントは、@スペースの制約から絞り込むA乾燥機が必要か、B静かさを重視するか、C節水・節電を重視するか、D使い勝手はどうか、を検討し、「こんなはずではなかった」にならないようカタログ情報だけでなく、取扱説明書でのチェックをすすめた。
従来から日本の衣類に使用されている合成皮革は、ポリウレタンを原料とするものが多く、石油系ドライクリーニングが可能な製品が多い。しかし最近ではコストの安いポリ塩化ビニル(PVC)の合成皮革が出回るようになってきた。この素材の問題点は柔軟性を与える可塑剤が石油系溶剤に溶け出して硬化してしまうことである。企画者の「合成皮革=洗える」との思いこみから取扱い絵表示を「ドライ可」にしたため、製品トラブルとなったケース、ポリ塩化ビニルであることを認識しながらも「ドライ可」にしたケース、あるいは使用素材を完全に取り違えてしまったケースまである。「クリーニング事故防止システム」を運営する日繊ク協では、同システムの利用を呼びかけている。
日本衣料管理協会の「衣料品などの品質表示に対する意識調査」によると、品質表示チェック率は組成44%、洗濯絵表示33%、原産国30%であった。ただ、父母と学生で意識格差もあった。この調査は、(社)繊維評価技術協議会が事務局で行っている繊維製品品質表示規程の改正に参考にする目的で実施した。
日本ボディファッション協会は、共立女子大学で婦人インナー業界と学界の産学交流の第一歩となるセミナー「婦人インナーの基本的知識と着用・管理」を開催した。昨年から開始した業界活性化と人材育成を目的としたIA(インティメイトアドバイザー)認定制度をスタート、人材育成に注力しており、この一環。今後もこのような産学交流を深めていく予定
社会経済生産性本部の07年版「労働生産性の国際比較」によると、日本の生産性は先進国7カ国中最下位となった。ただ、製造業では米国についで2位であり、サービス業が低いことになる。
日本経済研究センターは07年の世界50カ国・地域の潜在競争力ランキングをまとめた。総合1位は香港で3年連続で首位を守った。日本は13位となり、06年の調査から1ランク後退した。潜在競争力は、今後約10年間に1人当たりGDPをどれだけ増やす素地があるかの指標で、企業、教育など8項目で分析、偏差値を算出している。
カンボジア政府は縫製業を観光業に並ぶ重点強化産業に位置づけ、今後4〜5年以内に工場数を倍増させる。同国の元工業相で現日本大使も「チャイナ・プラスワン」の有力候補として、投資誘致や対日輸出強化に取り組んでいる。
日本は08年度から、ISO(国際標準化機構、本部スイスジュネーブ)の繊維関連規格を検討する繊維分野専門委員会(TC38)で、中国と共同で幹事国を引き受けることが決まった。日本の幹事国引き受けは初めて。日本側幹事として繊維評価技術協議会(繊技協)の田澤壽氏を選出し、4月1日付で幹事に就任する。今後は10年初めから日本が引き受ける議長の選出が課題となる。選出は経済産業省と日本工業標準調査会(JISC)の協力を得て、繊技協が推薦する可能性がある。
東京都は、自主商 品を開発したい中小企業とデザイン系大 学が共同で新発想の商品開発に取り組む「東京ネクストデザインプロジェクト」を行っている。3年目の08年度は参加大学7校に広がり、都は都内に主な事業所がある中小企業に参加を呼びかけている。
@4月23日
A日本化学繊維検査協会大阪事業所
B子供服の安全性(国内外の規制と動向)、試験法と基準の概要について、各試験方法研修(衣服の燃焼性、有害物質分析、他)、他
C日本繊維製品消費科学会 TEL 06-6358-1441
@4月25日
A兵庫県民会館
B発汗の変動特性から暑熱下の不快感を考える、清涼スポーツシャツの開発、次世代型自己調節機能素材(MRTファイバー)、他
C日本繊維製品消費科学会 TEL 06-6358-1441
@4月27日、5月11日・25日、6月8日・22日・29日(計6日)
A5月25日のみ中大駿河台記念館それ以外は麻布研修センター霞会館
B基礎知識(繊維一般、製造と品質、流通と消費)、事例・論文の講義と演習
CNACS東日本支部研修佐藤kenshu@soleil.ocn.ne.jpあるいは東日本支部事務局 FAX03-3718-4718
@5月23日
A大阪科学技術センター
B染色加工概論ならびにウール・シルクの染色加工、セルロース系繊維の染色加工、合繊の染色加工、他
C日本繊維機械学会 TEL 06-6443-4691
@6月26日〜27日
A東京理科大学森戸記念館
B表面と界面、界面活性剤の分類と合成、洗浄の基礎と応用、泡の基礎と応用、界面活性剤と環境(衣料用洗剤を例として)、他
C日本油化学会
TEL 03-3271-7463
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男