ミニ情報第25巻2号

行　政

改正パート労働法施行

繊研,〔08･4･1(1)〕

4月からの改正パート労働法の施行で、繊維･ファッション関連業界でも、正社員との均等待遇や正社員化の促進など、雇用関係の見直しが迫られる。3月には労働契約法も施行されており、パートタイマーなどの有期雇用労働者の途中解雇も厳しくなり、企業にとって一層のコンプライアンスの遵守が求められる。

07年商業統計調査、駅ナカは効率抜群

日繊,〔08･4･7(1)〕

経済産業省の07年商業統計調査によると、織物･衣服･身の回り品の小売事業所の売り場面積当たりの年間商品販売額(売り場効率)は小売業平均の約8倍強と高かった。通販･カタログ販売事業者(専業)での品目別販売額は婦人服が3位になっている。

農商工連連携88選

日繊,〔08･4･9(1)〕

経済産業省と農林水産省は、商工業と農林水産業が連携した先進的な事例を｢農商工連連携88選｣として発表した。繊維関連では群馬蚕のブランド化が選ばれた。これは、ミラノリブ(群馬県桐生市)を中核に蚕栽培、製糸、撚糸、染色が集まり、オリジナルブランドを開発したもの。

特許庁、模倣品被害調査

繊研,〔08･4･12(5)〕

特許庁の｢07年度模倣品被害調査｣によると、06年度の模倣品被害率は23%となり、前年度に比べ1ポイント上昇した。02年度の28.8%をピークに低下傾向にあったが、06年度には増加に転じた。被害を受けた企業の67%が中国で製造させており、被害対策費用は570万円となっている。

｢消費者庁｣首相が陣頭指揮

日経,〔08･4･24(2)〕

福田康夫首相は23日の消費者行政推進会議で、消費者行政を一元化する新組織として｢消費者庁｣を来年度に新設する方針を表明。行政の肥大化を防ぐため関係省庁から組織･人員を振り替えて再編する原則も示したが、権限を奪われる関係省庁は抵抗を強める。強力な権限を持つ｢消費者行政の司令塔｣が実現するかどうかは、首相の求心力を占う試金石にもなる。

経産省、日中製品安全分野定期会合−双方の製品事故情報システム構築で合意

繊研,〔08･5･9(5)〕

経済産業省は中国国家質量監督検験検疫総局との会合で、�@双方間の製品事故情報通報システムの構築�A中国への玩具分野での官民合同ミッションの派遣−の２点で合意。繊維製品を含む製品事故情報システムは、日本側が重大製品事故情報報告制度での情報のうち、製品起因が疑われるもので中国製のものと、製品評価技術基盤機構(NITE)が収集する重大製品事故以外の事故情報などのうち、特に必要があるものを中国側に通報する。中国側も中国国内で生じた繊維製品を含む製品事故のうち日本製のものについて同省に通報する。同システムは速やかに実施する。

規格関連

世界標準化の動向(2)第2回ISOにおける国際標準化活動の最近のトピックス

(財)日本規格協会国際標準化支援センター　標準化と品質管理,〔08･5〕p83

横断的問題と傾向�@知的財産と国際標準の関係…ある技術の特許権が有効な段階で、その技術を標準として採用し規格の一部とするケースも出てきた。�A顧客満足度向上の観点に立った紛争解決に関する国際規格(ISO 10003)が制定されているほか、製品安全ポリシー製品リコールに関する国際規格の作成が始まろうとしている。

素　材

オーストラリア･ベスト･マネジメント･プラクティス(BMP)コットンについて

黒田一也,繊消誌,49(3),〔08･3〕p184〜189

ベスト･マネジメント･プラクティス(BMP)とは、高品質のコットンを生産 する農家のための農家主導によるプログラムで、コットンオーストラリアにより促進されているが、この組織は生産農家からの任意の課徴金で運営されている生産者団体である。BMPの狙いは持続的な環境と安全な生産工程を構築することにあり、具体的には化学薬品への依存を減らす、灌漑用水を有効活用する、天然資源を保ち将来に残すなどの活動が特徴的だが、本稿ではこれらが具体的に述べられている。

播州産地の産元、先染め織物の総合産地めざす

繊研,〔08･3･12(4)〕

先染め織物の播州産地は、産元中心にシャツ地からカジュアル、婦人衣料向けなどの用途開拓を強めている。先染めシャツ地の産地から｢さまざまな用途に対応できる総合産地｣を目指したもので、各社が高級綿細番手使い、各種複合素材や染色加工で光沢感を強調するなど、高級で独自性のある多彩な織物を開発している。婦人衣料向けの開発に比較的早くから取り組んできた丸萬商店は｢5割はシャツ地以外｣になっている。東海染工中心のチームJに参加、ソトー、旭化成せんいなどとの連携で後染め織物も含め多彩な婦人服素材の開発を進めてきた。

｢モダール｣の極細タイプ開発

繊研，〔08･3･13(4)〕

オーストリアのセルロース繊維メーカー、レンチングファイバーズは、改質レーヨンの｢モダール｣で極細タイプの｢マイクロモダール･エアー｣を開発した。マイクロモダール･エアーは0.8dtexと現存するモダール繊維の中で最も細い。すでに特許申請しており、本社工場で試作も開始。紡績、加工には｢独自のノウハウ｣が必要なことなどから、ファインゲージの編み機(36ゲージ)を持つニッターとの技術連携を進める。日本ではモダールの総代理店であるモリリンで物作りし、レンチングファイバーズと共同で販路を開拓する。

石川産地の5社がスポーツメーカーに出張プレゼンテーション

繊研,〔08･3･14(4)〕

繊維リソースいしかわは、デサントの東京オフィスで石川産地の生地･染色メーカー5社による素材内見会を開いた。同社との取り組みを拡大すると共に、直接の対話を物づくりに反映させるのが狙いだ。内見会は同産地の｢商品の多様化と、受注生産から主体性のある業態への転換｣を目指す取り組みの一環。｢川下にアプローチしたい｣との考えと、デサントの｢普段はなかなか産地まで出かける機会がないが、生地を作る人の顔を思い浮かべながらの物づくりが大事｣のとの思いが一致した。デサントの内見会は年1回のペースで継続する考え。

転機迎える人工皮革市場

日繊，〔08･3･18(3)〕

クラレは09年6月から、新型の人工皮革｢クラリーノ･ティレニーナ｣の本格的な量産をスタートする。｢ティレニーナ｣は、生産工程や素材を抜本的に見直した革新的な生産システムCATS(クラリーノ･アドバンスト･テクノロジー･システムズ)を導入した。CATSは�@生産工程とリードタイムを5分の1に短縮、�A生産工程で有機溶剤を使用しない、�B天然により近い風合い、�C高機能･高強力、など、従来と比べて、革新的な新商品の開発を可能にした。まずは靴およびかばん、インテリアといった旧型｢クラリーノ｣が高いシェアを持つ用途と分野に投入する計画で、パイロットプラントで生産したサンプル品の出荷を既に昨年9月ごろから開始している。

ナイロン欧州で人気　軽さや対極の味付けで

繊研,〔08･3･21(4)〕

小松精練が欧州向けにナイロン織物の品種を増やしている。同じナイロンでも、なま糸を生かし、オブラートのような光沢とぬめりを持たせた新作と、紙のような乾いた音のする薄地への評価が高い。二極化するニーズに対応しながら、新たにフルダル糸のつや消しの表情を応用したタイプ、オイルや蝋引きのようなしっとりした感触が得られるタイプなどを視野に開発を進めている。

シングルニット丸編機におけるウルトラファインゲージの開発

山岡高志,武内俊次,繊機誌,61(3),〔08･3･25〕p40〜44

丸編機は、生産性の飛躍的な向上とともに、編目の大きさに影響するゲージ(G)が細かくなってきている。Gは2.54cm間の針本数であり、次の区分例がある。コースゲージ:5〜12G、ミドルゲージ:14〜22G、ファインゲージ:24〜32G、ウルトラファインゲージ:36G以上。ゲージが細かいと、使用する糸や針も細く編成が難しいが、超軽量、超薄手や優しいフィット性の生地を求める市場を背景に、ウルトラファインゲージ編機の開発が進んでいる。福原精機製作所のレースウェー編機(基本的なシングルニット丸編機)50Gと電子柄編機36Gが紹介されている。

微起毛の別珍や細コーデュロイ

繊研,〔08･3･25(4)〕

テキスタイルコンバーターのジンボは、08〜09年秋冬向けに微起毛タイプの別珍、細畝のコーデュロイなどを提案する。微起毛素材は軽量の｢ウルトラ･ライト･モールスキン｣、伸縮性のある｢オイルド･ストレッチ･モールスキン｣、上品な色落ち感が特徴の｢中白ダブルヘリンボン｣など。コーデュロイは21ウエール･クラスの極細畝の｢オーガニック･コットン･コーデュロイ｣、｢ロングスラブ･ストレッチ･コーデュロイ｣のほか、スーピマ綿使いの14ウエールの高密度ダブルパイル。また、アンズ･アカネ･クワ･紅花などを原料とした草木染をコーデュロイに付加して、ナチュラル感を表現する。

世界新出すぎ　スピード社水着を調査

毎日(夕),〔08･3･26(3)〕

オランダのアインホーフェンで行われた欧州水泳選手権で、スピード社製の最新水着で泳いだ選手が世界新記録を連発。国際水連が｢水着と浮力の関係｣について調査に乗り出し、波紋が広がっている。AP通信によると、2月中旬以降生まれた世界新13のうち、12をスピード社の最新タイプを着た選手が樹立した。日本国内の販売契約を結ぶゴールドウィン社によると、この水着は極薄、超軽量で撥水性に優れた素材を使用し、航空宇宙局(NASA)なども開発に協力したという。

極薄など芯地販売

繊研,〔08･3･26(4)〕

日東紡インターライニングは08〜09年秋冬に向けて、獣毛混素材やニット･ジャケット対応などの多様な芯地を提案する。12dtexのポリエステル極細糸を使った｢エアーラップ｣シリーズはコート、ジャケット対応の極薄･超軽量芯地。同シリーズの｢R012｣はスーパーファインウールやシルク、カシミヤによる薄手ジャケット対応の素材から、ツイードなどの中肉素材まで幅広く使える。｢R003｣は全面芯地仕様の品番。汎用の加工糸芯地の約半分の重量でありながら、かさ高性のある接着樹脂を基布に付けることで、獣毛混などの毛足のある素材でも高い接着性を保持できるという。

海藻繊維本格販売

繊研,〔08･4･4(4)〕

新内外綿は08〜09年秋冬用に、ドイツ･スマートファイバーの海藻繊維｢シーセル｣［本誌、24(1)〔07･4〕参照］使いの素材を幅広い用途に向け、糸、生地、一部製品で展開する。特徴は保湿効果など。
衣料素材としては、海藻成分7%を｢テンセル｣に練り込んだシーセル原綿を独占輸入し、テンセルや綿と混紡する。｢シーセルピュア｣は、シーセル15%、テンセルが綿85%の混紡、糸番手20〜60番であり、糸値は1,800円/kgから。｢シーセルアクティブ｣は、シーセル20%に綿またはテンセルを混紡した素材であり、シーセルサイドに抗菌効果などのある銀イオンを入れた。糸値は2,500円/kg程度を見込む。

超モアレ解消芯地

近代縫製,〔08･4･5(2)〕

三景は、日東紡インターライニングと共同で織物芯地の弱点であったモアレをシャットアウトする対モアレ機能芯地を発表した。新製品は、糸そのものをジグザグに広げる新開発の｢スネーク･ライン･システム｣加工によって芯地の基布組織を不規則にし、表地組織との光干渉を起こしにくくモアレを低減させた。また透明感のある極細繊維を使用しているので、色合わせも容易である。

ブルキナファソ綿の生地,製品を販売

繊研,〔08･4･7(4)〕

モリリンは西アフリカ、ブルキナファソの綿原料を仕入れ、生地や製品として販売した売り上げの一定金額を同国に寄付するプロジェクトを始めた。ブルキナファソは、西アフリカの内陸国で人口は1,390万人。主力産業である綿花は、世界第11位の年産60万トン。世界有数の綿産地でありながら貧しい国の一つである同国に対して、ビジネス活動を通じた支援を行おうというのが目的。原始的な手摘みで採取される綿花は、繊維長28mmで繊度が小さくソフトで、米綿に似た特徴があるという。同社はブルキナファソ綿100%、19番の太番手糸を開発し、丸編生地の製造･販売からスタートした。

溶融紡糸で高強力ポリエチレン繊維

繊研，〔08･4･8(4)〕

東洋紡は、軽さと耐切創性に優れる溶融紡糸式高強力ポリエチレン繊維｢ツヌーガ｣を開発、7月から敦賀機能材工場で商業生産を開始する。当面年産200トン規模で、作業手袋や防護衣料などの用途へ販売する。ツヌーガは軽さと耐切創性でパラアミド繊維を上回り、ポリエステルやナイロンと比べると2倍以上の耐切創性を持つ。溶融紡糸式のため、原料着色も容易でさまざまな色の糸も作ることもできる。

極細のスラブ糸開発

繊研,〔08･4･10(4)〕

極細ポリエステルのスラブ糸｢ディラ｣をユニチカサカイが開発した。ディラは約10Dの細いブライト糸が軸となるが、これの断面を三角形にすることで、シルク調の光沢や軋みも出やすくした。ニット用の糸にする際、50Dから30Dクラスまで太さの異なる部分がゆったりとした周期で現れる設計をし、自然な凹凸が生じるよう考えられている。09年春夏用婦人ニットから販売に入り、1m当たりの価格1,200〜1,500円になる見込み。

09年春夏テキスタイルもエコロジー

繊研,〔08･4･16(1)〕

テキスタイルトレンドが節目に来ている。繊研新聞社のアンケート調査によると、09年春夏に必要なキーワードとして｢エコロジー｣が初めて1位となり、これと連動するように｢ナチュラル｣や｢綿｣が浮上。数シーズン上位を維持していた｢光沢｣と｢エレガンス｣は順位を下げた。今回は質問項目を10以上増やした影響もあるが、引き続き得票は分散傾向で、トレンドの不透明感が現れている。7面にキーワード別の素材が紹介されている。

皮脂汚れ落としでエコ

日繊，〔08･4･16(1)〕

ダイワボウノイはエコ関連素材戦略｢エコフレンドプロジェクト｣で、既に発表しているコットンを使った皮脂汚れリリース素材｢エコリリース｣に加え、ポリエステル/綿素材｢ミラクルリリース｣を開発した。｢エコリリース｣の特徴は撥油機能ではなく、吸水性･拡散性を高め皮脂汚れを吸収させた上でリリースさせる。洗濯30回後でも効果がある。より少ない洗剤で衣類の黄ばみやにおいなどの原因になる皮脂汚れを落とすことができるため、環境負荷軽減にもつながる。ポリエステルリッチの｢ミラクルリリース｣も同じ特徴を有し、両素材とも太番手から細番手使いまで、織物、ニットに対応可能。寝装、インナー、シャツ、アウターまで様々なアイテムに広げていく。

究極の風合い素材

日繊，〔08･4･16(3)〕

クラボウは新たに導入したマルチ風合い加工機を活用して、新素材｢ニュー･セーム｣を開発、販売を開始する。｢ニュー･セーム｣は上品で繊細、なめらかなバラの花びらのような新しいタッチと、洗練された質感とソフトなふくらみ感を特徴とする。さらに綿100%や綿ストレッチ素材、TC混やレーヨン混、テンセル混など様々な素材に加工できる。またアンモニアシルケット加工、セルロース減量加工、染料顔料加工などとの併用も可能であり、バリエーションに富んだ商品開発が可能となる。

“ウールは環境に優しい”強調、ミュールシングの解決策示す

繊研,〔08･4･16(4)〕

世界22羊毛工業国で構成する国際羊毛繊維機構(IWTO)の第77回年次総会が、中国･北京で16日まで開かれている。今年度のテーマは｢羊毛〜環境友好繊維｣。ギュンター･バイヤー理事長は｢ウールは環境に優しい繊維。製造プロセスでも染色の一部を除いて環境への負荷が小さいエコフレンドリーな繊維｣と強調。北欧の小売業界で問題化した、豪州の羊に対して行なわれているミュールシング(ウジムシの寄生を防ぐために麻酔なしで一部の皮膚を除去する作業)について、2010年に終了するという04年の合意が再確認された。

エコなデニムを開発

繊研,〔08･4･22(4)〕繊維ニュース,〔08･4･21(3)〕

クラボウは、ロス糸などを再利用し、CO2の発生を削減したデニム素材を開発。地球環境に優しい｢アースデニム｣の名称で販売する。紡績工程で発生するロス糸を回収し、染色するとともにデニムの織布、染色加工、縫製工程で出る様々な屑(落ちわた、反物の耳、裁断屑など)を回収する。これらの屑を開繊してわたに近い状態にし、通常の原綿と混ぜ合わせて再び紡績し、インジゴ染料のみで染色してデニムのたて糸とする。一部はすでに色が付いているため、濃色が得られる。ジーンズ1本当たり約30g(同社計算値)のCO2を削減。これは、クローバー180本分のCO2の年間吸収量に相当するとしている。

生産と営業一体でカシミヤ混など強化　島精機傘下で新体制

繊研〔08･4･23(4)〕

島精機製作所が新たに設立した東洋紡糸工業が、営業を開始した。島精機は連結子会社として商品開発、販売促進面などでも連携を強め、カシミヤニット糸を中心にした事業を進める。資本金は島精機100%出資で1億円、事業はカシミヤニット糸など繊維製品の製造販売、輸出入である。生産規模は紡毛糸が年間70〜75トン、梳毛糸が30トンを見込んでいる。カシミヤ100%ニット糸を主力とするが、インド超長繊維のスビン綿、シルクなどとの混紡糸などにも力を入れる。用途は横編み中心から丸編みにも広げる方針である。

加 工

インクジェット機･世界で急拡大

日繊，〔08･3･13(1)〕

広幅用のインクジェット機が世界規模で拡大している。用途が広がっている上、市場も欧米に加え新興国でも急成長している。大型インクジェット機の主力用途は、屋内外の大型広告(サイン･ディスプレー)。従来のシルクスクリーンからの置き換えが進んでいる上、出力専門の大型工場の登場、デザイン会社や広告会社の出力参入などにより、ターゲットとなるユーザーが広がり、市場は拡大している。また、IT技術の進展により、市場も欧米から中国、インドなどにも広がりを見せており、最大手のローランドDG社の販路は世界133カ国･地域に及ぶ。

高速インクジェット捺染機

繊研,〔08･3･17(4)〕

クラボウ･エレクトロニクス事業部とミヤコシPOD事業部が、世界最速クラスのテキスタイル用インクジェット捺染機｢TXP18A｣の試作機を共同開発。その捺染速度、環境に配慮したインクのリユースなどに関心が集まっている。処理能力は600×200dpiの解像度で、400²/h。インクジェット捺染の国内ハイエンド専用機の40〜50²/hに比べ、約10倍の速さを実現。インクジェットのヘッドを最適な状態にするためのヘッドクリーニングなどを行うが、ここで出る廃インクはインク全体の数%を占める。これに混じっているゴミや気泡を取り除く新装置を組み込み、廃インクの再利用を可能にした。

電子線を使い天然繊維改質　耐久加工開発

繊研,〔08･3･27(4)〕

クラボウは電子線を利用した天然繊維の改質技術の工業化に成功した。電子線で天然繊維を活性化、その部分に機能性分子を効率よく化学結合させることで、即効性が高く、耐久性に優れた機能加工が可能になった。福井県工業技術センターが保有する電子線グラフト重合技術の特許を応用した。電子線を利用して目的とする機能薬剤を繊維に強固に結合させ、半永久的に機能を保持させる。綿100%やポリエステル綿混、レーヨンなどのセルロースの織物への加工が可能である。

汗臭を素早く抑えるスポーツ向け新素材

繊研,〔08･4･4(4)〕日繊，〔08･4･4(1)〕

汗の臭いを素早く抑制する新素材｢ムッシュオン｣を東レが開発した。この素材は産学共同で宇宙船内服用を開発した際に確立した技術を応用している。船内服には、同社独自のナノスケール加工技術｢ナノマトリックス｣を使い消臭、抗菌、防臭、制電などを持つ加工ができたが、今回は汗の臭い抑制に特化した。即効性の高い薬剤を繊維1本1本にナノスケールの皮膜を作るように付着させた。この種の加工はこれまでセルロース繊維が主体であったがポリエステルやナイロンにも強固に付着させることが可能となったという。生地値は未加工品に比べ20%高い。

綿100%耐久性通気性防水加工開発

日繊,〔08･4･10(3〜4)〕繊維ニュース，〔08･4･10(3)〕

世界初となる綿の耐久性通気性防水加工｢ミューマックス｣をシキボウが開発した。以前から透湿防水の合繊素材は多く出回っているが、ミューマックスは綿織物への後加工で、肌に優しい着心地に防水機能をプラスした。傘と同じレベルの防水性があり、家庭洗濯も可能で、洗濯回数50回でも効果は落ちない。加工賃はシキボウの撥水撥油加工｢エクスト｣の５倍。用途はジャケット、コート、スポーツ、スクールユニフォームなど。

有害物質使わずウールを濃染

繊研,〔08･4･30(4)〕

森技術士事務所の森益一代表は、ウールの加工技術｢アリストティール21｣［本誌、24(3)〔07･8〕参照］とコロナ･大気圧プラズマ法を組み合わせることで、スーパーブラックを超える“ウルトラブラック”の染色技術を開発。設備投資やランニングコストが抑えられるほか、塩素や重金属を使わない地球環境に優しい技術としてアピールしている。アリストティール21は薬剤を使わない羊毛のセット加工技術、さらにコロナ･大気圧プラズマで処理すれば、ナノスケールの超微細なクレーターが羊毛の表面に生まれるなどの変化で染料に対する染色性が高まり、反応染料でも濃色に染まるようになる。

アパレル

コスト削減で価格維持

繊維ニュース，〔08･3･11(5)〕

原料高、食品の値上がりや増税による消費者の生活防衛意識の高まりを受け、厳しさを増す小売業界。イオンはPB｢トップバリュー｣の一部商品で、3月から初の値上げに踏み切った。しかし、衣料品の値上げは眼中にない。集約生産や物流、資材、組織編成まであらゆる面を見直すことで、コスト削減は可能との見方である。原料高に耐えかね、3月に入りPBマヨネーズ、サラダ油の値上げを実施したが、衣料品はコスト削減の余地があるという。集約生産でコストメリットを生かす食品に比べ、衣料品はブランドを越えた生産、原料調達の集約が進んでいないためである。今後は、PB商品の生産工程でコスト削減を強化する。

中国巨大市場にスポーツ競う

繊研，〔08･3･14(1)〕

中国のスポーツ市場が、大きなヤマ場を迎えている。海外大手メーカーにとって中国はアジア市場のけん引役であるだけでなく、｢売上高が10億ドルを突破し、世界で2番目に大きい市場となった｣ナイキのように、今や企業全体の成長にも影響する存在。北京五輪の開催を前に各社の出展も盛んで、現地や日本のブランドも含めた攻防が続く。中国で1日に月2店舗という驚異的なスピードで拡大するアディダスは、現在4000店。10年後には6300店にする計画で、｢中国の成功を物語る数字｣という。現地大手ではリーニン(李寧)やアンター(安踏)も4000店以上を構える。

自らの未来は自らの手で　外国人研修生制度

繊研,〔08･3･18(1)〕

政府による外国人研修･技能実習生制度の見直し･法制化の動きが進む中、繊研新聞社は研修生を受け入れてきた団体の代表者らによる座談会を開いた。議論を通じて外国人研修生制度が日本の縫製業の存立に不可欠な存在であること、同時に縫製企業がそれぞれ自社の特性を踏まえて未来へのビジョンを描くことが必要であり、それなしには研修生制度がどうなろうとも縫製業の未来はないことなどが浮き彫りになった。テーマは研修生･実習生制度の現実から見直しに向けた要望、さらには日本の縫製業界の存続、正常な発展に向けた課題へと広がった。

メンズへ本格参入

繊維ニュース，〔08･3･18(3)〕

ワコールは男性用下着の新製品｢クロスウォーカー｣を中心に百貨店向けブランド｢DAMS(ダムス)｣、チェーンストア向けブランド｢BROS(ブロス)｣で｢メンズワコール｣として男性用下着市場に本格参入、ビジネスを開始する。日本のメンズインナーの市場規模は約2700億円と言われ、そのうちの約20%が機能性インナーだと推定される。同社が本格的に、メンズインナー市場に参入する背景には男性のインナーに関する意識の変化がある。代理購買から自己購買が増え、商品面でもファッショナブル要素とともに高度な機能性に注目が集まっている。

輸入下着が転機に

日繊,〔08･3･24(1)〕

ユーロ高や原料価格の上昇などコストアップ要因が各段階に影響を及ぼすが、そうした逆風をもろに受ける高級輸入下着業界では、代理店各社が価格幅や顧客層を広げるため、新ブランド･ラインの投入をここにきて活発化している。厳しい状況を転機ととらえ、存在感を出すべく新たな戦略に取り組んでいる。

縫製業の厳しさ浮き彫り、アパレル工連が実態調査

日繊,〔08･3･28(1)〕

日本の縫製業は中国台頭による国内生産の激減、加工賃下落、人材･後継者不足、相次ぐ倒産･廃業―などで極めて厳しい状況にさらされている実態が、日本アパレルソーイング工業組合連合会(アパレル工連、小栗實会長)が行った調査で浮き彫りになった。この危機的な状態を打開するため適正な工賃アップを強く望むとともに、政府に簡便な方法での自立化支援、外国人研修制度の改正を要請。またアパレル企業、商社にはシーズン直後のバーゲン廃止、海外マーケットの拡充を求めている。

合従連衡でFB新成長戦略

繊研,〔08･3･31(1)〕

日本のファッションビジネス(FB)業界で、M＆A(企業の合併･買収)や資本提携が一段と活発になっている。買収される企業で目立つのは中小規模のアパレルメーカーや小売業。投資するのは大手･上場アパレル小売業や外資を含むファンド･投資銀行だ。競争がますます激化する中で、一企業だけでは新たな成長戦略を描きづらくなってきたことが大きな背景にある。一方で、買収した企業を売却したり、資本提携を解消する動きも増えてきた。

国内工場の強み生かす　紳士重衣料メーカー

繊研,〔08･4･1(1)〕

重衣料系の紳士服メーカーが国内の生産基盤を強化している。在庫増大のリスクのある自社工場は、非効率な存在としてとらえられてきたが、コストアップなどを背景に中国生産体制が見直される中、｢自社工場を持つ｣強みを生かした取り組みが目立つ。高級品、短納期アイテム、オーダーといった、中国の工場ではハードルの高い商品群に力を入れている。

75分で無縫製ニット作ります

繊研，〔08･4･2(3)〕

和島興産(和歌山市)は｢ファクトリー･ブティック･シマ｣を和歌山市内の複合商業ビル、フォルテワジマに開設した。島精機製作所のホールガーメント(無縫製ニット)機を用い、顧客のサイズや好みに合った製品を短時間で仕上げるオーダーメードホールガーメントシステムを導入したのが特徴。ホールガーメントの企画から仕上げまでが、従来の30分の1、75分で完了する。

ジーンズ価格政策を模索

日繊,〔08･4･4(1)〕

低迷が長引いているジーンズで、価格政策の模索が続いている。プレミアムジーンズのブーム時にデザインや加工の凝った高付加価値品によって、インポートでは2万円以上、NB(ナショナルブランド)では1万円以上の高額品が急増。この高くなり過ぎた価格が足を引っ張っているという見方がある。とはいえ、安ければ販売本数が増えるというわけでもなく、見極めは難しい。

対日通じて品質強化

繊研，〔08･4･7(5)〕

加工貿易制限などが進むアパレルの中国生産で、付加価値の高い商品に生産を転換し、対日輸出に活路を求める工場が山東省でも出始めている。3月下旬に大阪で開かれた｢中国山東輸出展示商談会｣参加の現地工場の中には｢対日強化｣を通じて、品質管理を含めた工場のレベルアップに取り組むところも多い。労働契約法の施行や輸出時の税還付率引き下げなどの影響から中国生産の価格競争力低下は避けられないだけに、｢コストセンター｣からの脱皮は不可欠。来料加工を中心にした加工貿易の優遇策見直しもあり、従来の加工賃ベースの委託加工取引から、製品売買を軸にした一般貿易への転換を進める狙いもあるようである。

中国一極生産を見直し

日繊，〔08･4･14(7)〕

ファーストリテイリング(FR)は、ユニクロ事業で中国以外の生産基地を拡大する。ユニクロの中国生産比率は9割以上に及ぶが、ベトナム、カンボジア、バングラディッシュの工場を開拓し、｢少なくとも30−40%を中国以外の生産地に移す｣(柳井正会長兼社長)。ただ、中国を最重要の生産拠点とする方針は変わらず、国内外でのユニクロの販売拡大戦略によって、中国での生産量自体は今後も増やしていく。生産国の拡大は、中国における工賃の上昇や為替の問題といったリスクを分散する目的以外にも、ユニクロの拡大戦略に向けて安定した大量生産ができる生産地を確保する狙いがある。

大手アパレル、コストアップへ対応急ぐ

繊研,〔08･4･15(1)〕

大手アパレル各社はここ数年、生産戦略の見直しや再構築を進め、中期を含めた重要な経営課題にコストアップを挙げる。最大の問題は、原材料や中国を含めた人件費などコストアップへの対応が急務となっていることだ。各社とも生産部門の組織再編や工場の再整備、素材メーカーや染色加工業との連携強化などに乗り出している。90年代以降、業界ではSPA(製造小売業)化など店頭への経営資源の集中が続いた。今後は国内市場でもH&Mなどとの競合が本格化する。

ファッションブランドとの競合に負けない、大手スポーツメーカー

繊研,〔08･4･23(1)〕

大手スポーツメーカーの直営店出店が続いている。ブランド価値の向上や消費者への情報発信に欠かせない存在となった直営店は、98年からの10年間で全国で約5倍増(大手7社比)。とくに都心の大型商業施設や郊外SCに広がる“スポーツのあるライフスタイルの提案”は、いまだ勢いを失っていない。

流　通

アパ産協、加速する物流EDIに対応

繊研,〔08･3･17(1)〕

日本アパレル産業協会は08年度関係企業とともに開発したアパレル物流EDIシステム｢JAICS―L｣に本格的な普及活動に取り組む。使い勝手や運用･機能の強化･拡大に着手し、ガイドブックも作成した。

急増する外国人客、原宿では売り上げ４割強の店も

日繊,〔08･3･18(1)〕

都心の有力店で外国人観光客が急増している。富裕層が増えている中国や韓国などのアジア圏やユーロ高を背景にした欧州圏から続々と観光客がやってきて、売り上げの3〜4割を外国人客が占める店も現れた。国内消費の低迷に苦しむ小売店にとっては、買い上げ単価も高い外国人客は重要なお得意様になりつつある。

ハンガーBOXチャーター便

日繊,〔08･3･18(12)〕

アパレルを対象とする、適量の荷物を運送用のかご(BOX)を使って適時に送り続ける輸送サービスが始まっている。運輸業者15社がフランチャイズを組み、JITBOXチャーター便の機能を活用したもので、専用のボックスの内部にバーを通し、そこにハンガーをかけて商品を輸送できるようにしたもの。

ギャルのメッカ渋谷109復権

繊研,〔08･3･19(1)〕

渋谷109が10代ブランドの再構築に向けて動き始めた。グラマラスカジュアルブームやOL客の増加で、すっかり大人化していたことに歯止めをかけようと、春の改装からティーン向けブランドの取り込みを強化している。かつては制服姿のまま学校帰りに立ち寄る女の子たちであふれ返ったマルキュー。“ギャルのメッカ”であり続けるために、もう一度元気さを取り戻そうとしている。

大手スーパー、自主企画品一斉に拡大

日経,〔08･3･22(1)〕

値上げが広がる中、大手スーパーがメーカー品より1〜5割り安い食品や衣料など｢自主企画商品｣を一斉に拡充する。消費者の低価格志向に対応した動きで、割安な自主企画品の普及は大手スーパーの経営に影響を与える。

百貨店、ネット通販本腰

日経MJ,〔08･3･24(7)〕

百貨店各社がインターネット通販事業を拡大する。店舗用の独自企画商品を新たにネット上で販売、店頭で扱いきれない商品をネット経由で販売するなど、潜在需要を掘り起こす。低迷する店頭の売上補完が目的。

パート正社員化74%が制度導入

日経,〔08･3･26(9)〕

日経調査によると、正社員との待遇差是正を目指す改正パートタイム労働法施行を4月に控え、小売りや外食大手の74%がパートから正社員への登用制度を導入した。既に約1万人が正社員に転じ、厚生年金制度や賞与制度の導入に取り組む企業もほぼ5割あり、待遇改善で人材確保を目指す。

ラフォーレ原宿がオンラインモール開設

繊研,〔08･4･1(5)〕

ラフォーレ原宿は4月1日、オンラインモール｢LFH｣を立ち上げる。実店舗と表裏一体で運営することで、オンリーワンの館を目指す。参加するのは計44ブランド。カジュアルブランドを集めた“メーンストリーム”、ゴシック＆ロリータの“アンダーグラウンド”、新進ブランドを揃えた“オンリーワン”の3つのカテゴリーで構成する。オンリーワンは国内若手デザイナーブランドの登竜門の位置づけ。春の改装で原点帰りした実店舗は｢ブランド開発のための下地作りが完了した｣ため、今後、全フロアで積極的に取り込む。LFHで力を付けたブランドは、実店舗への出展が開かれる可能性もあるという。

大型店の社会的責任等のガイドライン報告書

日繊,〔08･4･9〜11(7)〕

日本商工会議所まちづくり特別委員会は、量販店やSCなど大型店の地域貢献を促す業界自主ガイドラインや自治体条例などの周知状況･効果などの実態調査をした。産構審流通部会等の中間答申｢コンパクトでにぎわいあふれるまちづくりを目指して｣を受け関連業界が地域貢献の自主ガイドラインを策定、ただ現状では25%の店舗が知らず、徹底が急務となっている。

収益力低下、米大型店50社07年度決算

繊研,〔08･4･10(1)〕

米大型店50社の07年度決算(一部を除き08年2月期)は合計で、売上高が前年度比5.7%増と伸ばしたものの、当期損益の赤字が10社、減益が18社となった。昨年の米小売市場は、前半の3月、5月が好調だったが、後半はガソリンの高騰、住宅、金融市場の低迷などから客足は伸びず最大商戦のホリデーセールも5年ぶりの低調な結果に終り、決算はこうした経済環境の厳しさを強く反映する形になった。

OL･ヤングが今買いたい服は

繊研,〔08･4･11(1)〕

ワンピース、チュニックのヒットをきっかけに、レディス市場を引っ張るトレンドは大きく変化した。OLエレガンスのブランドが数字を落とし、ナチュラルでゆるいテイストのカジュアル系ブランドが勢いづいている。この動きに対応してヤング売り場を改装した阪急百貨店梅田本店では、百貨店初出店など新規に入れたブランドが予想をはるかに超える数字を出した。なぜ売れたのか。好調なブランド側の話の中に、昨秋から不振の市場を活性化できそうなヒントが見える。

消費冷え大幅減益、量販店07年度

繊研,〔08･4･12(5)〕

大手量販店の07年度決算(西友以外は08年度2月期)は、厳しい結果となった。上期は天候不順で苦戦したが、下期はそれに加えてサブプライムローン問題の影響に端を発した消費環境の悪化が業績下振れに作用した。収益性の悪化で各社、店舗閉鎖など事業再構築をめざすが、早期回復は難しい。

百貨店、若い女性取り込み

日経,〔08･4･19(13)〕

百貨店各社は、20歳代の取り込みを狙い低価格ブランドを導入、独自商品で品質を落とさずに値頃感を出すなど、2〜4割安い婦人服売り場を新設する動きが広がっている。株安で高額品の売れ行きが鈍っており、低価格商品をテコ入れすることで婦人服の顧客層を広げることが狙い。

大手通販の秋冬計画、市況悪化をネットとの連動で活路

繊研,〔08･4･23(5)〕

大手通販は今週秋冬商戦に向けて、カタログとインターネットを連動させた細かなMD対応で、売上増進を図る。今年は夏以降も大半の企業が消費は厳しいと予想、ネット対応を中心に、売れ行き、天候などに応じた販売を進める。

百協、プロセールス資格制度

繊研,〔08･4･25(5)〕

日本百貨店協会は、百貨店業界共通の販売資格｢百貨店プロセールス資格制度｣の普及を目的に学生の受講促進活動に本腰を入れる。資格制度や学生が受講できる3級の通信講座の認知度を上げるため、学生向けのポスターやパンフレットなどを作成、大学や専門学校計300を対象に働きかける。

首都圏、紳士決戦

日経MJ,〔08･4･25(1)〕

紳士服専門店各社が生き残りをかけた最終決戦に突入した。舞台は首都圏。10年で市場が半減した業界にとって数少ないシェア向上が期待できる人口密集地域だ。最大手の青山商事が攻略を本格化したほか、各社は郊外出店という従来の成長戦略から転換、都心部への出店を急ぐ。ここで脱落した企業には再編が待つ。残された時間は長くて5年。団塊世代すべてが退職する2010年代前半までに業界の帰趨が決しそうだ。

“おしゃれ”が定着、百貨店ゴルフウエア売り場

日繊,〔08･4･28(1)〕

女子プロゴルファーの活躍を背景に拡大を続けるゴルフウエア市場。20代前半の若い女性プロゴルファーに端を発したゴルフ熱は終息する兆しを見せず、今年春のゴルフウエア関連の売り場にも活性化の波を送り続けている。中でも百貨店ゴルフウエア売り場は、縮小傾向にあるというのが業界の定説になっているが、ファッショントレンドと比されるレディスゴルファー熱を放置しておく手はなく、現に積極的な施策を打っている売り場も少なくない。一方、当然のことながら、メーカーもレディスゴルファーを注視している。

百貨店ヤングはまだいける、大手アパレル

繊研,〔08･4･30(1)〕

大手アパレルメーカーが百貨店向けに、レディスヤングの新ブランド･業態を相次いで開発している。デザイナーブランドのセカンドラインやセレクトショップの新業態で、�@ブランドショップの知名度がある�A商品企画や品揃えで個性を打ち出している�B｢買いやすい価格｣に設定している―が共通点だ。百貨店レディスヤング分野は、駅ビルやファッションビルへの客の流出により苦戦している。｢既存NBの企画の同質化と他流通に比べて価格が高いことが要因｣と各社は分析。こうした課題を克服することで、駅ビル･ファッションビルへの対抗策を進める百貨店との取り組みを強める。

アウトレットモール、関東圏で15カ所

繊研,〔08･5･1(1)〕

関東圏でアウトレットモールの売り場が拡大、“アウトレット銀座”化が急速に進んでいる。関東圏のアウトレットモール全体の店舗面積は13ヵ所で約33万平方メートル(4月末現在、一部レギュラーゾーン含む)、来夏までには2カ所の新設と増床で約5万5000平方メートル強増え、約40平方メートル規模となる。過密化で商圏の狭小化や重複化による競争も激しい。テナント企業の慎重な出店もあって、増床計画の早期実施や階層など運営力を強化する動きも出てきた。

クリーニング

クリーニング業者の洗濯表示への意識に関する調査

中村悦次,繊消誌,49(3),〔08･3〕p190〜195

クリーニング業者が衣料品に付けられている洗濯表示をどのように認識･活用し、またクリーニング業法改正による処理方法等説明責任の順守をどのように考えて行っているかなどの調査を兵庫県下の60業者を対象に行った結果である。家庭用品品質表示法は家庭における取り扱いを対象としたものであるが、すべての業者が絵表示を参考にしている。しかし受付時よりも洗浄処理時に行っているケースが多い。これは利用者に対する処理説明の点で問題である。組成表示は業者にとって最も重要な情報源であるが、ポリウレタンのバックコーティングされた衣料品のトラブルなどは、JIS表示では対応できない。筆者はクリーニング業者が家庭用品品質表示法を誤って認識していることに驚かされ、又、アパレルメーカーに対して素材性能や耐洗濯性などトラブル防止の表示を期待している。

高洗浄力･低汚染クリーニング

山本侑一,技術情報,37(12)〔08･3〕p2〜6

クリーニング綜合研究所が、石油系ドライクリーニングの全国100店について再汚染率を調べ、上位25店と下位15店の洗浄条件と溶剤管理状況を比較した。その結果，再汚染の少ない洗い方は、次の通りであった。�@酸価が低く，透過率の高い清浄な溶剤を用いる。�A洗剤濃度を適性に保つ。�B蒸留の実施またはフィルターのこまめな交換。�C溶剤分析の定期的実施。ほかに洗浄率の高い店は、汚染率が高いことを知った。洗浄率の高い溶剤は、汚れを多く含むから，再汚染率が高くなるため。これは溶剤中の汚れの始末が、適切にできていないことを示す。

ラグーンシステムの導入

日本クリーニング,〔08･3･5(1)〕

ラグーンシステムは、ウールマークの商標が使用できる洗濯方法である。洗濯･乾燥･仕上げにわたって、利用する機器と作業が定められている。4sec動き、12sec止まる脱水機や、残留水分15%で停止するタンブラー乾燥機など。その内容はマイルドなウエットクリーニングで、ウール、カシミヤ、絹などの繊維を傷めることなく、ゴアテックス等の特殊加工にも対応する。高品質に仕上がり、生産性もよい。このシステムは(株)明治屋クリーニング(佐賀市)に導入され、同社は通常料金の3倍強を目指している。

ふとん丸洗いでダニ死滅

日本クリーニング,〔08･3･5(4)〕

(株)丸八真綿(浜松市)は、都市居住環境研究所に委託して、ふとんの洗浄試験を実施した。和紙の袋にダニの生虫を入れ、不織布で包んでふとんの2箇所に埋め込んで、水洗いと乾燥を行った。その結果、すべてのダニが死滅し、死骸や糞が流出したことを確認した。この結果から、ふとんの水による丸洗いは、ダニの死滅や糞の除去に効果的であることがわかったので、同社はまず業務用ふとんから丸洗いを奨める。

新製品バトル：衣料用液体洗剤

日経,〔08･3･27(27)〕

洗濯物が増える季節に合わせ、節水や香りにこだわった衣料用液体洗剤の新製品が相次ぎ発売された。新製品開発の背景には、少子化やにおいに対する感覚の変化などもあるようである。花王｢アタックバイオシル｣は、独自開発のバイオ酵素が繊維に素早く浸透し、少ない水量で高い洗浄力を発揮する。ドラム式にみられる節水型の洗濯機の普及などに対応。ライオンの｢香りつづくトップ｣は、洗濯後も香りが長く続く。持続性のある果実系香料や増強効果のある香料を配合することで3日間は衣類に香りが残るという。専門家3人が使用感など3項目を比較している。

クリーニングに対して表示に注意を要する新素材

改森道信,繊消誌,49(4),〔08･4〕p255〜264

衣料用、寝装用などの新素材の中からクリーニングに対して表示に注意を要する素材について具体的に説明し、望ましい表示法を示唆している。本稿で取り上げられている新素材は、各種竹繊維、生分解繊維(ポリ乳酸、石油系の生分解樹脂)、たんぱく繊維(大豆蛋白関連)、和紙繊維(抄繊糸)、各種PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)関連繊維、各種植物繊維、形状記憶繊維、その他(溶融紡糸セルロース、アクリレート繊維、金属繊維、PPS、干渉発色ファブリック、サランアート繊維など)について具体的に言及している。

消　費

一万円以下のシルク100%表示ふとんの商品テスト

消費生活新報,〔08･3･15(9)〕

国民生活センターは、昨年公正取引委員会より、｢中綿シルク100%ふとんと表示された製品におけるシルクの繊維混用率｣に関するテスト依頼を受け調査した結果、混用率は45%だった。(2月20日優良誤認で排除命令)この件もあり依頼のあった同じ銘柄を再度購入し、計5銘柄について絹の混用率テストを実施。前回依頼のあった同じ銘柄は絹の混用率96%。1銘柄が84%で表示社名はあったが連絡先が無く家庭用品品質表示法に抵触していた。3銘柄は許容範囲だった。

くるくるリサイクル衣料品

国民生活センター　たしかな目,〔08･4〕p56〜57

2007年2月発行の、独立行政法人中小企業基盤整備機構の｢繊維製品リサイクルの現状調査報告書｣によると2004年度の家庭での衣料品の処分方法は、可燃、不燃ごみとして廃棄(959kt)、集団回収(64kt)、自治体の分別回収(61kt)、小売店の引き取り(8kt)、古紙回収業者へ(35kt)、リサイクルショップでの販売(33kt)、バザー･フリーマーケットへの提供(23kt)、ネットオークションでの販売(17kt)、他人への譲渡(61Kt)である。今後、量的に少ないが、事業所や学校のユニフォームや制服のリサイクルの増加が期待される。

子供服、お下がりネット購入が増加

日経,〔08･4･5(27)〕

子供を抱え、出かけにくい母親にとってネット通販やネット競売は格好の流通経路のため、ネットを利用して購入･処分する場合が増えている。少子化でお下がりを融通できる親せき等の減少も背景。

｢手洗い可能｣表示の麻製品の商品テスト

日本消費経済　〔08･4･21(7)〕

埼玉県消費生活支援センターは、手洗いが可能と表示されている市販の麻製品7銘柄について、手洗いと洗濯機の手洗いコースとで20回繰り返し洗濯を行い、変化の比較テストをした。洗濯により縮むと表示があった3銘柄の内1銘柄が縮んだ。縮むと表示が無かった4銘柄のうち3銘柄が縮んだ。繰り返し洗濯により、手洗いでは5銘柄で色調が変化した。表面の毛羽立ちは、手洗いと洗濯機洗いの差異は見られなかった。

クレーム

ボンディングの危険

近代縫製,〔08･4･5(1)〕

ボンディング加工生地を使った衣類が増えている。組成表示では素材成分は示されていても｢ボンディング加工｣であることが明示されておらず、クリーニングでトラブルにつながることがある。示されている事例はテトラクロロエチレンによるドライクリーニングを行ったため｢樹脂の染み出し｣現象を発生したもので、ボンディングに使ったウレタン樹脂が経時変化して染み出したもの。染み出しが均一でないため、加工精度の悪さなどが推定される。取り扱い絵表示で｢テトラクロロエチレンでドライクリーニングが可｣も問題で、このような素材では｢石油系ドライ｣が原則である。組成表示は｢綿63%、ポリウレタン37%｣のみであり、これも不適切である。

品質管理

カシミヤ製品不適正表示、日本の迅速な対応を評価

繊研,〔08･4･21(1)〕

カシミヤ･キャメルヘア工業会(CCMI)のカール･スピルハウス会長は、昨年来、日本をはじめ欧米諸国で問題になっているカシミヤ製品不適正表示について、日本は迅速に処理、自浄能力、コンプライアンス精神の高い国と評価した。ただ、不適正表示問題は根本的に排除されてはいないとして、今後も監視活動を継続していくことを強調。検査技術の向上を目指し、6月にイタリア･ビエラで開催するCCMI総会では、顕微鏡による検査基準作り、DNA検査などについて論議する。また、カシミヤのほか、スーパーファインウールのラベル表示についても監視活動を強める。

08年第1回品質管理検定(QC検定)1級,2級試験問題と基準解答

標準化と品質管理,〔08･5〕p55

2008年3月23日に実施された08年第1回検定試験1級(120分)2級(90分)の問題と基準解答を品質管理検定センターの許諾のもとに掲載された。

その他

ASEANの物流円滑化

繊研，〔08･3･12(5)〕

日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所は、専門講座｢東アジア物流新時代、グローバル化への対応と課題｣を開き、東アジア経済統合にかかわる物流の課題を明らかにした。世界貿易に占めるASEANの比率はNAFTAを抜いた。ただし、日本の比率は低下し、品目構成で大きなシェアを占めていた繊維も低下している。ASEANの物流円滑化の課題は通関手続き、陸路輸送制度、原産地証明手続きなど。

環境生活文化機構、ユニフォーム調査

日繊,〔08･3･18(2)〕

環境生活文化機構の07年度｢リサイクルマーク事業におけるマテリアルリサイクルの将来予測に関するシミュレーション実施業務報告書｣によると、ユニフォームのリサイクルマーク交付数は06年度で約37万点に対し、回収数は約7万点といずれも年々増えているとした。一方、普及を目指す課題では、処理費用、広報活動、環境負荷低減効果の提示などを挙げている。

ジェトロ米国、ウェブサイトを開設

繊研,〔08･3･24(1)〕

ジェトロ米国は、｢日本ブランド発信のための英文WEBサイト(www.jetro.org/jtrends)｣を立ち上げた。ファッション、コンテンツ、食文化、デザインという日本文化産業の重点4分野の北米地域での情報発信を通じて、この分野での日本高付加価値産品･日本ブランドの北米向け輸出促進を目指す。

07年中国アパレル産業動向

繊研,〔08･3･28(15)〕

中国服装協会は07年中国アパレル産業の生産販売動向のリポートによると、中国アパレル産業は人民元の上昇輸出増値税還付率引き下げ、生産コストの上昇、など多くの影響を受けたが、安定成長を続けるとともに産業調整しているという。ただ、大衆品や中高級品価格の構造的矛盾が露呈している。

ニット･ミュージアム開設

アパレル工業,〔08･4･1(1)〕近代縫製,〔08･4･5(1)〕

島精機製作所は和歌山市内の複合商業ビルに｢ニット･ミュージアム｣を開設した。手袋編機、横編機を軸に成長してきた同社の技術開発の歩みを様々な展示を通して情報発信する。英国の1800年代の靴下編機、手動手袋編機、全自動手袋編機、コンピュータ横編機、デザインシステムなどの実機や写真パネルもある。編針や部品の他、自動裁断機のヘッド部分も紹介。最新のホールガーメント横編機は稼働展示している。

EPA発効で注目されるタイ

繊研，〔08･4･3(1)〕

昨年11月発効した日本とタイのEPA(経済連携協定)は、自動車の一部を除く大半の鉱工業製品の関税を10年以内に撤廃するというもの。軍事クーデターなどの影響でFTA(自由貿易協定)の締結、発効が遅れたが、両国間の新たな貿易の枠組みが整った。FTA交渉では繊維産業が民間ベースで先導役を果たしてきただけに、その動向が注目される。ただ、日系商社や合繊メーカー、紡績の多くは、EPAはプラス要因ではあるが、これだけでは大きなインパクトはない、との見方で一致する。上がったとはいえ中国品の価格競争力は依然強い。QR対応も中国のほうが上のためだ。

JFW推進機構が発足

繊研,〔08･4･8(1、5)〕

日本ファッション･ウィーク推進機構(JFW)の第1回理事会が4月に開かれ、｢1日付で有限責任法人(年内に社団化を予定)の登録申請が法務局に受理され、同日付でJFW推進機構が発足した｣と報告された。人材育成･支援、コレクション、テキスタイル、ファッション振興事業等6事業委員会が立ち上げられる。

日中繊維産業発展･協力会議

繊研,〔08･4･12(5)〕

第3回日中繊維産業発展･協力会議が開催され、両国の貿易･投資拡大のために｢できるだけ早く｣取り決める意向で、知的財産権保護の覚書を締結することで合意した。締結を急ぐのは、WTOの新ラウンドやFTA･ERAが進展し、通商の枠組みが大きく変化する事業環境が背景にある。

行　事

記事中の①は日時、②は場所、③は内容、④は主催者・連絡先とする。

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Tel:03-3441-5627