ミニ情報TOP→ 日本衣料管理協会TOP→ バックナンバー一覧(2003年度:第20巻〜)→
特許庁の「07年度模倣被害調査報告」で、06年度の模倣品被害率は23%で、前年度から1ポイント上昇した。02年度をピークにここ数年低下傾向にあったが、06年度は増加に転じ、被害企業者数で2年連続増加になった。模倣品の製造国では67%が中国であり、国内、アジアの他の地域も概ね減少傾向。商品分野では、雑貨が39%と最も多い。
消費者行政の一元化のため、政府が「消費者庁」への移管を検討している主な法律は以下のとおり。[内閣府]消費者基本法、消費者契約法、製造物責任法(PL法)、国民生活センター法、食品安全基本法、公益通報者保護法、個人情報保護法[経済産業省]特定商取引法、割賦販売法、特定商品等預託法、消費生活用製品安全法、家庭用品品質表示法、電子消費者契約法[厚生労働省]食品衛生法、健康増進法、家庭用品規制法[農林水産省]日本農林規格法[国土交通省]住宅品質確保法、宅建業法、旅行業法[総務省]特定電子メール法[金融庁]貸金業法、金融商品販売法、出資法[警察庁]無限連鎖講防止法[公正取引委員会]景品表示法。
経済産業省・中小企業基盤整備機構がまとめた「繊維産業情報化基盤策定調査」報告書によると、今後の情報化の方向性として@業務プロセス高度化のためのIT化AIT化の検討・普及を行う実効性のある体制の構築B海外展開にも対応可能な国内共通システム基盤の構築−の3本柱を提言した。
経済産業省が拡大経済産業局長会議で「第1回経済産業定点調査」が報告された。百貨店は「業況は悪く、株価の下落により富裕層の購買力が低下。新富裕層の三種の神器(高級マンション・外車・腕時計)が売れない」、繊維は「燃料・原材料価格高騰にもかかわらず価格転嫁が困難で、負の連鎖に巻き込まれないような商品の開発がポイント」となっている。
日米欧など主要8カ国(G8)は、7月7日からの主要首脳会議(洞爺湖サミット)で、偽ブランド品などの流通防止に向けた国際条約の年内制定を目指すことで合意する。首脳文書の経済分野に盛り込まれる見通しだ。世界全体で約80兆円の取引がある模倣品や海賊版の輸出入の差し止めを義務付け企業の被害を抑えるもので、条約の締結国は先進国を中心に40カ国ほどになる方向。今後、当初からの締結は予定していない中国などにも参加を促す方針だ。
ISO(国際標準化機構)の繊維関連規格を検討する繊維分野専門員会(TC38)の国際監事レポートによると、4月にTC38のワーキンググループ(WG)9(不織布)、WG22(繊維組成鑑別とケミカル試験法)の国際会議などを開くなど活発に活動し、新規格作成に向けた国際監事の指導・支援を強めている。
病原体による二次感染を防止する繊維素材の作製を目的に、高分子―ヨウ素間に生じる相互作用を利用した簡便な方法による、有機/無機ハイブリッド繊維を作製し、抗ウイル ス・抗菌特性を評価。各種布帛をヨウ素溶液中に浸漬して銅イオン(または銀イオン)と反応させて繊維基材中に金属ヨウ化物微粒子を形成させることができた。ヨウ化銅導入繊維を中心に、抗ウイルス・抗菌特性を調べた結果、ヨウ化物成分は繊維に内包されているにもかかわらず、コロナウイルス、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、緑膿菌、MRSAなど、さまざまな病原体を死滅させる効果を示した。ヨウ化銀を導入した繊維は、ウイルスに対してほとんど効果がなかった。抗菌と抗ウイルス性のメカニズムの解明を探る手がかりとなった。
クールビズ商戦に向けた紳士用下着の新商品の「新風」が吹き始めた。ここ数年の夏物商品は機能性の向上が開発の焦点になり、汗を吸収すると冷たく感じる冷感素材が目立ったが、今夏向けではミズノ、グンゼ、ワコールの3社がそろって水分を吸うと編み目が開いて通気性が高まる新開発の「動く繊維」を採用。通気性をキーワードに、快適さを訴えている。機能性下着はクールビズなどをきっかけに、これまで下着購入を妻らに任せていた男性消費者が「自ら売り場へ足を運ぶ機会が増えている」ことが市場拡大の追い風となっている。ユニクロが東レと共同開発した「ヒートテック」の大ヒットも認知度を高める役割を果たした。
バンダイの「光るパジャマ」は、周りが暗くなると明るい場所で見えなかったキャラクターの絵柄が浮かび上がる。子供が暗闇を怖がらなくなることが受け、昨年10月の発売以来、売れ行きは好調。開発を担当したアパレル事業部の後藤義敬さんと大山直子さんは「子供は自らすすんでパジャマに着替えるので生活習慣も身につく」と自信を見せる。子供が怖がるものの一位は「おばけ」、ついで「虫」「大きな音」「暗いところ」―。光るパジャマの開発を後押ししたのは、バンダイがゼロ歳から12歳までの子供を持つ母親を対象に、2005年5月に実施したアンケート調査の結果だった。「おばけ」「暗いところ」という夜に関連の深い回答が全体の4割弱を占めることに着目した。
東洋紡の高強力ナイロン6フィラメント糸とその高強力織物「シルファインNシリーズ」について、開発の経緯と最近開発された最軽量織物「シルファインN10」が紹介されている。シルファインN10は、11dtexのマルチフィラメントの紡糸技術、超極細糸の高密度の製織技術および羽毛吹き出し防止技術からなる。特徴は@軽量(26g/m2)、A厚さが40μmでありながら羽毛吹き出し防止性に優れる(通気度:1cm2/cm2/S未満)、Bソフトな風合い、C高い強さ(引裂き強さ:たて・よことも10N以上)である。鮮明な発色性も兼ね備えている。
レンチングは27日、新素材の「マイクロモダールエアー」を都内で発表した。植物由来の繊維であるモダールの特性を保持したまま、軽量でソフトなのが大きな特徴である。36ゲージなどファインゲージを生産でき、100g/u以下と、軽量のテキスタイルを生産できる。現状はサンプル用に供給しているだけで、まだ商業生産用の出荷は行っていない。主としてニットや高級ランジェリー市場をターゲットに想定しており、最終消費地としては欧米や日本を有力視している。価格は従来のモダールと比べて10〜15%アップになる見通し。
東レ合繊クラスターは、ポリエステルに吸放湿性と吸水性を持たせた新素材「クライマドライ」を開発した。一般的な後加工は樹脂で薬剤を繊維表面に固着させるが、クライマドライは、樹脂を使わず、新開発の吸湿・吸水モノマーを特殊な方法で繊維表面に固着させた。吸放湿性、吸水性は綿と同程度で、ポリエステルの特徴である速乾性は綿に比べ約5倍ある。洗濯耐久性にも優れている。他の合繊にも応用可能であるが、特に本来吸放湿性の低いポリエステルに有効で、織・編物に使用可能である。
日東紡はストレッチのコアスパンヤーン「C・S・Y」で世界トップクラスの細さの「スリムスター」や繊細なメランジ「ミスティカラー」など新素材4つを開発した。09年春夏向けから販売する。スリムスターの細さは一般的なストレッチヤーンに比べ約半分の120番手。これまで同社で最も細いもので80番手だった。細くなるほど芯部分を均一に包み込むことが難しく、染色時にムラが発生しやすいが、機械の改良やスピード加減などにより、これを解消する独自のCCP(コア・センター・ポジション)技術を確立した。ミスティカラーは染めわたを自由にブレンドして、オリジナルカラーを作れる。
クラボウ繊維事業部は、クラボウの技術と三菱レイヨン・テキスタイルの「ベンクトール」の機能を融合させた快適感応クーリング素材「クールモア」を開発した。09年春夏から販売を開始する。様々な手法を模索する中でベンクトールの乾湿に応じて伸縮する特質に着目し、クラボウのウィック構造技術をはじめとした独自の技術と組み合わせる試験を重ねた。それにより、コットンの着心地に吸水速乾性と通気性コントロールを併せ持つ、これまでにない快適感応素材「クールモア」を完成させた。三菱レイヨン・テキスタイルの試験データによると、汗を吸収した時と乾燥時(水分率5%以下)では、通気度に20%以上の差が生じるという。
馬渕繊維は所有する土地の一角にオーガニックによる和綿の栽培を始めた。栽培については農薬や肥料を使わないオーガニック農法で育てられる。ブランド名は「アイランドテック」で、紡績は大正紡がおこなう。来春夏のベビー用の下着からスタートする予定とのこと。綿花の種類は米国アップランド綿、茶綿、緑綿の3種。今年は試験的に栽培、将来的には拡大する。もともと、香川県は江戸時代の特産品に木綿があったという。
繊維は高頻度で見出される犯罪捜査の微細証拠物のひとつである。最近の繊維工業技術の発展と化学繊維の高機能化に伴って、科学組成・成分の種類だけでなく繊維形状や表面処理の種類が増え、単繊維の種類が細分化されてきている。犯罪捜査においては犯罪現場に遺留された単繊維が珍しいものほど犯人を絞りやすい。また、繊維は微細なものであるため、犯人が気づかず犯罪現場に遺留される。そのため犯罪捜査における繊維鑑定の重要性はますます高くなっている。兵庫県警では微細繊維片を手がかりに犯罪を立証する取り組みがなされており、微細繊維片は刑事事件や交通事故のごく一般的な鑑定資料として定着している。ここでは法科学における微細証拠物としての繊維の一般的な検査方法、最近新たに応用を試みた検査方法を紹介している。
09年春夏向け婦人服地は、洗練されたナチュラル感が強まっている。新素材で目立つのが、スラブ糸や杢調。天然繊維のリラックスした雰囲気を表現しながら、合繊らしい表情や機能性を打ち出した素材が主流である。東レは、シルキーな極細糸をもとに混繊した杢調のポリエステル「シルックMT」を開発、その糸を使った織・編物の表面にメタリックな輝きを持たせた。ユニチカサカイは新たに開発した極細ポリエステルのスラブ糸「ディラ」による薄地ニットを提案している。
大阪タオル工業組合は地域ブランド「泉州タオル」の需要拡大へ「品質にこだわり、安心、安全」をアピールし、今年度の泉州タオルの織りネームを付与したタオルは倍増の2,000万枚を見込んでいる。同地区のタオル生産は年間1億枚(フェースタオル換算)と推定され、同ブランドのタオルは2割に高まる。泉州タオルの地域ブランド登録は07年1月。同ブランドは大阪タオル工業組合加盟の110社が大阪・泉州地区で製織、染色、縫製をし、品質基準に合格したタオルを認定したもの。また、減少する一方だった同地区のタオル生産の落ち込みは小幅になり、産地では国産回帰の現象と見ている。
東レは、逆転の発想で製品から「このような素材があればいいのに」との考えから生まれた織物「フレックススキン+(プラス)」を09年秋冬から投入する。ポリエステルの織物でありながら4ウエーのストレッチがあり、抜群の軽量感を表現。すでに大手スポーツブランドからの引き合いもあるという。通常のニットや4ウエーのストレッチ素材の場合、200g/uの重さがあるが、フレックススキンは120g前後と超軽量。ポリエステル系複合ストレッチ繊維「T-400」とポリエステル糸をそれぞれ糸加工し、交織するという手の込んだ作り方で、軽さとストレッチ性を兼ね備えた素材の開発に成功した。織物であることからハリコシがあり、美しいシルエットを表現しやすい。
東洋紡STCは09〜10年秋冬向けのスポーツ素材で、「軽さ」が特徴の素材を重点に据え、防風ニット「ヒートサプライズ」や「エアートリップ」、ナイロンの超薄地高密度織物「シルファイン」を訴求し、3新素材を加えた。新素材は、ミクロボイドのマイクロアクリルを複合した軽量の接触温感・保温ニット「アスリル」、赤外線反射による保温効果がある金属アルミニウム薄膜を生地片面に加工した「メタルギア」および30dtexの中空ナイロン糸で、フィラメント数を12から24ヘハイマルチ化した糸使用の織物「エアキュープアイシス」である。
エコロジー製品がファッションビジネスで、重要な位置を占めようとしている。中で注目されるのが、環境配慮型素材のオーガニック綿。農薬など環境を汚す薬剤を使わずに有機農法で作られたオーガニック綿が、環境配慮を代表する素材として浮上。しかし、課題も多い。原綿の生産コストの高さ、製造工程で使用される薬品の制限もある。また、市場対応が求められるため、オーガニック綿の混率問題や偽装エコロジーへの懸念もある。消費者が理解できる、もしくは商品を選択できる、トレーサビリティー(履歴管理)の提供、あるいは検査・認証のシステム構築が求められる。
副題は亜熱帯植物繊維を原料とした紡績糸および織物の評価である。環境対応型素材の開発を目指すユニチカテキスタイルが、沖縄産原料を対象に沖縄県立芸術大学および中嶋プランニングと共同開発中のものから、廃棄部分の利用を前提とするハイビスカスとオクラについて報告されている。原料の調達、繊維の採取、開繊、紡績工程以降の製造行程を経て30番単糸(ハイビスカス30%/綿70%およびオクラ30%/綿70%)とし、綿糸やラミー糸との交織も含めて平織に製織して比較評価している。今後、ハイビスカス、オクラ繊維の細繊化技術、両繊維に特有の性質・物性の調査研究が課題である。
ユニチカファイバーは、ヒマ(唐胡麻)という植物のリシノール酸を原料とするナイロン11「キャストロン」を提案。ナイロン11は、耐摩耗性、耐屈曲疲労性、耐化学薬品性、耐低温衝撃性に優れる。ナイロン6や66に比べ、公定水分率は1%と低く、寸法安定性があり、比重は1.03と軽い。衣料用に向く単糸1dtexの繊維から生産が可能である。来秋冬スポーツの重点素材は、低通気ニット「ウィンシャット」、保温軽量素材「ウォームキャッチ」、蓄熱保温素材「サーモトロン」、ノンコーティング透湿防水織物「タフレックス」などがある。
日本毛織はザ・ウールマーク・カンパニーと共同し、原毛の選定から紡績、織物設計、製織、仕上げ工程の条件を見直すことで、ウールを自然のままに、風合いを損なうことなく耐洗濯性を高め、さらにストレッチ性を確保した“Natural Easy Care”ウール織物を開発。検討項目は@最適な良質原毛の厳選A独自のマルチ交絡紡績方式(ソロスパン)の採用B形態安定性を高める高密度な織物の設計と製織技術C適度のストレッチ性を確保しながら防縮性を高める仕上げ技術(非塩素加工)。JIS L0217、103法・20回による寸法変化率(たて/よこ、%)が、春夏素材0/0、秋冬素材1.0/0.5との結果がある。
帝人ファイバーは09〜10年秋冬向けスポーツ素材で、ケミカルリサイクルポリエステル「エコペットプラス」と高性能耐久制電ポリエステル糸「ビーウェル」を重点に据えて、スポーツ衣料での標準装備を目指す。同社はポリエステルの「総エコ化」を掲げている。スポーツ素材でも、輸出量の50%以上、国内含め全体の25%はエコペットが占める。エコペットは75、50Dが主流だが、来秋冬向けに20Dが完成した。これまで30Dが最も細かった高密度織物「マイクロフト」で、一層の薄地・軽量化が図れる。ビーウェルも30Dが完成して織・編物で幅広く使えるようになり、今後はエコ化を進める。
マルト印刷工業は、環境にやさしい「大豆インキネーム」を開発し、アパレル製品の表示ネームばかりでなく、エコ関連グッズ、企業の販促品、IDカードや携帯電話のネックストラップなどの新しい分野の開拓に乗り出した。大豆インキネームは、再生ポリエステルやオーガニックコットンなどのエコテープに大豆インキを使い印刷する環境対応ネーム。同社が洗濯しても色落ちしにくい加工法を開発した。大豆インキは、従来の石油ベースのインキに比べ揮発性有機化合物の発生が少なく、一般の印刷では主流になりつつあるが、繊維製品での普及はこれからである。
捺染や不織布関連機械の製造卸、上野山機工(京都市)は、インクジェットプリントの分野で新たな機械の販売を本格化する。ハード、ソフト両面でのフォローシステムを整備し、プリント市場の変化に対応した拡販態勢を強化する。今回新たに販売に入ったのはイスラエルに拠点を置くコーニットの高速インクジェット機械。連続生地用ではなく、Tシャツなどを中心とした製品プリント用。白シャツから濃色シャツまで自在に染色でき、白インクで捺染できる。前工程は内蔵されており、白シャツなら1時間に120枚のプリントが可能で、生産性が高い。
ハイテクの時代の中で手描きプリントにこだわった加工を手掛け、元気な企業がある。ルピナスデザイン研究所である。油絵や図案を手掛けてきた高橋代表が約15年前から行っている事業で、横浜のハンドスクリーンの工場で、製品への手描きはもちろん、23mの生地に自ら手描きする。国内のプリント産業が厳しい状況に追い込まれ、図案や型代への投資がしにくくなっている中で、個性的でオリジナルなプリントを求めるアパレルやデザイナーブランドとの取り組みが増えており休みがとれない日が続いているという。ウールからシルクまですべての天然繊維、化合繊、本革にも対応、ブランドのデザイナーと話し込んだ意匠を自在にプリントする。
東レ合繊クラスターのアラミド繊維分科会に参加するサンエス(糸加工)、創和テキスタイル(織布)と小松精練(染色加工)の3社が、パラ系アラミド長繊維織物の染色加工技術を確立した。パラ系アラミド繊維「ケブラー」は、結晶性が高く、これまで後加工染色が極めて困難とされてきた。今回、サンエス独自の特殊糸加工技術により、ケブラーの結晶性の低い部分に染料を入りやすることに成功。アラミド繊維の製織に実績のある創和テキスタイルの高い技術を駆使し、加えて小松精練が特殊な染色加工技術を確立したことで、長繊維織物への染色を可能にしたもの。
蝶理は日清紡と共同で、本藍染めによる新しいデニム糸を開発し国内外に売り出す。“本藍中白”染めは蝶理がベンチャー企業と共同で7年がかりで完成させた。染色前の綿糸に特殊加工を施すことで、従来は難しかった本藍によるロープ染色“中白”デニムの工業化を実現した。糸は日清紡徳島工場で製造し、デニム生地販売は日清紡と蝶理が共同で行う。
染色加工のカワバタプリントが、天然の植物などから抽出した染料による独自の染色方法を「エコプリント」として開発した。藍、エンジュ、ラックダイ、コチニール、ベニバナなどの天然植物やカイガラムシから抽出して使用する。従来の草木染めは金属製の媒染剤によって染料を定着するが、エコプリントで染料の定着に卵白を使い独自技術で染色する。卵白が80℃以上でゲル化する特性を利用する方法で、合成樹脂が普及する前には同様の技術が使われていた。この方法は樹脂的な皮膜がないため、肌触りや風合いがよく、生産途上で有機化合物を発生させない。
クラボウは11日、電子線グラフと重合技術による綿100%高機能素材群を「EBRIQ(イブリック)」とネーミング、7月から内外両市場に向けて販売を開始すると発表した。まず、布帛3タイプ、吸湿発熱、消臭、抗菌から売り出し、順次バリエーションを広げていく。最先端分野で活用されている電子線グラフと重合技術を基に、繊維の表面を活性化させ、そこに機能薬剤を分子レベルで結合させることで、天然繊維の風合いを損なうことなく、機能を半永久的に持続させることに成功した。3タイプはいずれも家庭洗濯100回後でも効果持続とのデータが得られている。機能の永続性に加えて、少量の加工薬剤で効果が得られるため、環境負荷を軽減できることもポイントとなっている。
大手アパレルが「ドレスアップメン」キャンペーンに向けて打ち出すのは涼しさ、軽さ、格好よさ、そして今日では欠かすことのできない環境負荷にも配慮したハイテクスーツ。高温多湿という日本特有の気候を背景に、技術の枠を結集して開発された涼感スーツは、地球温暖化の影響を受ける世界各国でも受け入れられる素地を持っている。ここでは、素材・副資材・仕立てに先端機能を持たせた大手アパレル各社の「涼感スーツ」を紹介している。
青山商事は、「洋服の青山」で展開中の最高級スーツ「サビルロウ」ブランドで、新たに数量限定の最高級生地「テーラー&ロッジ」を使ったハンドメードスーツを販売する。テーラー&ロッジは1883年に英国ウエストヨークシャー、ハダスフィールドに誕生、熟練の職人による伝統工法を頑なに守り、生産量よりも品質第一の姿勢を貫く老舗。今回のスーツは、サイドベンツの2つボタン、3つボタンでワンタックパンツ。数量は、テーラー&ロッジの年間生産量の約10倍にあたる約3000着を販売する予定である。
大手ジーンズメーカーのエドウイン(東京・荒川)が創業の地である東京・日暮里に直営店「デニム・ギャラクシー」を開業した。売り場面積は約830m2で同社最大となる。最大の特徴は消費者の好みに合わせてその場でジーンズを加工する「デニム工房」。記事の表面にヤスリをかける設備や、革ラベルなどを縫い付けるミシンなど、工場の一部を店舗の中心部に持ち込んだ。来店客は購入したジーンズにプリントやラインストーンを付けたり、補修したような加工を施したければ、その場で注文できる。
中国服装協会の中国アパレルの07年売上高、利益、利益率のランキングによると、政策変更や元高など経営的に厳しい07年であった。日本でも有名な企業が売上高、利益の上位に顔を揃えている。
日本アパレルソーイング工業組合連合会は、最近の国内婦人服縫製業の受注動向について、いくらか上向きつつあるが、加工賃は厳しく、実際に上向くかは今後の店頭販売にも影響されるとした。上向きの要因は、中国縫製のコスト上昇や内陸部への生産拠点移動に伴う納期遅れ・品質問題を背景に、大手アパレル企業が国内工場を安定的に確保する動きを強めているため。
韓国繊維産業連合会によると、同国の繊維企業の海外投資は07年末までで5303件、75億6839万ドルに達した。同国製造業全体の海外投資は2万1324件、640億5018万ドルで、繊維企業は件数で25%、金額で12%を占める。繊維産業の海外投資は80年に7件でスタートし、95年から本格化し始め、年間200〜400件超と急増している。特に04年〜07年に大幅に増加している。投資国・地域の1位は中国で、件数(構成比14.1%)金額(16.6%)ともトップ。次いで、スリランカ、インドネシアが多い。
中国の繊維・アパレル産業が正念場を迎えている。人民元レートの上昇、生産コストアップ要因をまともに受け、輸出に関する利益減を懸念する声も強い。逆風下で各企業が進めているのは、高付加価値製品へのシフト、国内販売の強化、海外への進出など。ただ、「中国の繊維、アパレル企業の発展にとって、今年はこの数十年で最も難しい1年になる」として、政策調整が行われているとの観測もでてきた。
量販店各社が中国への出店策を強める中、アパレルメーカーが対応に乗り出している。すでに香港や上海に置いた現地法人が日本のアパレルメーカーに買い付けに来たりしている。商品の調達手法は量販店によって大きく異なってくるが、多くのアパレルメーカーは「積極的に販売する」(クロスプラス、ヒロタなど)構えだ。今後、中国内で内販が出来る現地法人を開設する動きや中国向けの商品開発が加速しそうだ。
原宿ストリートをいち早く取り入れるヤングメンズカジュアルメーカーが、アジア市場の開拓に乗り出している。アジアで名を上げるチャンスとみて、他社に先駆けて市場での認知を狙う。アジアへの輸出に挑むのは、ファッション感度の高い専門店向けに卸販売する中小メーカー。原宿のストリート情報をいち早く押さえたデザインやシルエットが特徴で、国内ヤングのニーズも高い。しかし、国内はヤングの人口が減るうえに、H&Mなど外資との競合も強まるため、海外に目を向け始めた。体形の近いアジアは狙い目で、最近の日本ブームも後押しする。特に強化しているのは韓国、中国だ。
大手アパレルメーカーの新ブランド開発が節目を迎えている。昨年までの3年間、各社とも新規分野の開拓を狙って積極的な開発を続けてきたが、今年は激減し、不採算ブランドの廃止・統合が加速している。市況低迷で、新ブランドが軌道に乗らず、大半の企業の業績が悪化する中、経営資源の集中による収益改善策が各社に求められていることが背景だ。大手アパレルの成長戦略は転換期に入った。
中国のスポーツアパレル市場が急成長を続けている。スポーツ市場の調査を専門に手がけるZOUマーケティングによると、00年から毎年2ケタの伸びを示しており、今年の市場規模は60億ドルに達する勢いだ。北京五輪を契機に、成長スピードは加速することが確実で、12年には120億ドルを超えるという予測もある。「ナイキ」「アディダス」「李寧」「安踏」といったトップグループだけでなく、2番手グループに位置する地元企業も鼻息が荒い。
ミッシー、ミセスで昨年、暖冬も加わり布帛のウールコートが苦戦、その代わりとして今秋冬横編ニットが浮上している。両アイテムとも昨秋冬は冷え込んだ年明けから消化率が高まったが、流れが継続するレイヤードに沿って、重ね着の単品アイテムとして、ニットは今秋冬市場の動きに乗れるという見方だ。また、好調が続いたカットソーのフルアイテム化と同じ形で、横編でもアイテムのバリエーションの広がりで伸ばせると見る。
全日本婦人子供服工業組合連合会(全婦連 松原一廣理事長)は子供用衣類の安心・安全を確保するための「子供用衣類の設計に関する安全対策ガイドライン」を策定した。狙いは子供服に起因する危害や危険から子供を守り、取り扱い企業に周知徹底させ、消費者の利益保護や消費生活の安全向上を図ることだ。
東洋紡は、「衣服圧シミュレーション技術」を開発した。今回、開発した技術は、生地の状態で着用時の衣服圧を予測・計算が可能で、衣服圧の分布も詳細に計算できる。計算結果は対象生地で作った衣服を着用した人体モデルでも表現、圧力がかかる胸や脇下部分などの色が変わるようにし、一目で分かるようにした。衣服圧の設計値に対し、最適な生地、最適な型紙を選定することもできる。体に適度なフィット感が要求されるスポーツ、インナーウエアなどで縫製しなくても衣服圧を予測、計算できるため、開発期間を大幅に短縮できる。特に人体へのフィット感が求められるニット製品を対象に開発されている。
ボタンメーカーのルックウェルは天然貝とポリエステルなどの合成樹脂を組み合わせたボタン「シェルデュオ」を開発した。シェルデュオは、上部に貝を、下部に樹脂を用いて張り合わせた厚みのあるボタン。貝ボタンの特性を生かしながら高級感に優れ、樹脂で強さが補完されるので耐久性にも優れ、家庭洗濯にも対応できる。樹脂部分を染色することで貝部分にも樹脂部分のカラーが淡く反映し、ファッション性も高まった。これまで厚みのある貝ボタンは一つの貝の一部分のみでしか取ることができず、近年は原料となる高瀬貝などの天然貝が減少し、安定供給が難しく、価格も高騰している。その解消策にもなる。
良品計画「無印良品」で、昨年秋から落ちわた入りのシャツが売れている。綿花をすく過程で削られて落ちる短めの繊維「落ちわた」を混紡して作った製品であるが、「わけあって、安い」企業コンセプトに合うだけでなく、キュプラを混ぜて柔らかくした着心地、風合いが受けた。昨年9月から紳士物でスタート。今年の2月までに10万枚を販売し、春物からは婦人とホームウエアもスポットで商品化した。春夏も10万枚程度販売する見通しで、秋からは、それぞれアイテムを拡大して本格展開する。
ヒッピー文化華やかかりし1970年代に流行した「サロペットパンツ」が今、10−20代の女性を中心に復活している。元来は肩ひもでつる胸当て布付作業用長ズボンだが、最近は脚を大胆に見せるセクシーなショート丈やミニスカート型も登場。素材もデニムから麻やシルク入りなど多様化している。食料品などの値上がりで生活防衛意識が高まりつつあるご時世でもあり、1枚でもさまになる「お得感」が受けているようだ。
ゴールドウインは、素早い消臭機能や抗菌機能を備えた素材「マキシフレッシュ」を開発。汗のにおいを化学的に中和して、約4リットル分の汗を消臭することができる。同素材は、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」建設に携わった土井隆雄氏、星出彰彦氏が着用した下着にも採用された。繊維評価技術協議会の方法によりアンモニアの消臭試験をしたところ、消臭のスピード、効果ともに高い機能が実証された。また、嫌なにおいの元を作る雑菌の繁殖を抑える抗菌機能も備える。加工は分子レベルであるので、何度洗っても効果が持続するという。同社7ブランドの春夏商品、250商品に採用されている。
@二宮清延、アパレル生産機器および素材・副素材の概況(CAD/CAM、ミシン、テキスタイル、芯地、縫糸など)、A高島春弥、グローバルファッションビジネス、B関係企業11社のイチオシ商品紹介 \2,100、申込先:繊維流通研究会 (06-6351-8101)
全国28ヶ所のアウトレットモールの利用を千人の消費者を対象にネットで日経MJは調査した。利用経験者は53%、最近の1年間でも35%いる。最近行って購入した商品は、カジュアル衣料71%と最も多く、生活雑貨、スポーツシューズ、それ以外の靴の順で続いている。
日本百貨店協会は百貨店の従業員を対象に実施している販売員の資格制度を学生にも広く浸透させる。2003年に業界共通の資格制度として立ち上げた「百貨店プロセールス資格制度」の案内を大学や短期大学にも配布し、資格取得を促す。人材確保が難しさを増すなか、多くの学生に百貨店に関心をもってもらうのが狙いだ。
物流拠点での店別仕分けを加速、1回に届ける商品点数を増やし配送回数を減らす等、衣料専門店が添付での荷受け負担の軽減に向けた取り組みを強化している。各店販売に専念しやすい体制づくりや、物流経費削減による収益力強化も狙う。
大日本印刷は印刷の箔押し加工技術を応用し、紙の上に直接アンテナを形成したUHF帯のICタグを開発した。紙の印刷物の製造過程でタグなどの印刷物に直接張り付けるため、加工コストを従来よりも3割削減できる。万引き防止用の防犯タグを装着するソースタンギングの手段として活用可能。
量販店の衣料品販売が苦戦し、供給元のアパレルメーカーも振るわない。量販店の自社開発商品も増え続けているため、PBのOEM(相手先ブランドによる生産)が順調に増えているアパレルメーカーもあるが、平場での商機は総じて減っている。アパレルメーカーが自主管理するレディスのブランド売り場の拡大策も、ここに来て明暗が分かれている。出店策の見直しや効率的な運営が課題になっている。
環境問題に対する消費者の関心の高まりを受け、環境やエコを切り口にした取り組みを行う百貨店が増えている。6月の環境月間や7月の洞爺湖サミットを控えて、5月末から6月にかけてフェアを開催する動きが目立つ。
日本ショッピングセンター協会の「08年SC白書〜環境優先型社会の到来とSCの対応」によると、07年のSC業界の動向は若干の伸びを示し、明るい兆しが見え始めたが、依然として個人消費に動きが見えず、総合スーパー業態や百貨店業態が不振を続ける中、SC業態は03年以降、5年連続で総売上高が前年を上回り、堅調に推移している。シリーズでは「08年SC白書」の一部を紹介している。
日本スーパーマーケット協会と日本チェーンストア協会は、店舗に配送する際に使うケースの共通化に関するガイドラインを作成した。段ボールやCO2の削減効果を明記、これを機に共通配送ケースの利用を促す。
アパレルの製造段階で商品に万引き防止用の防犯タグを装着するサービスの受注が、チェックポイントシステム・ジャパン社によって、年内に始められる。ブランド名や値段を記したラベルに、厚さ0.2mmの電波式感知部を内蔵させる。小売点は店頭の取り付け作業が不要になり、効率化が可能になる。このシステムは「チェック・ネット」と名づけられ、アメリカのチェックポイントシステム・グループがタグを供給する。同社はすでに多くの国でこのシステムを展開しているので、輸出型の製造小売業に適している。
高級ブランドや宝飾・時計、輸入車など高額消費の冷え込みが目立ってきた。原材料高騰による価格上昇や株安を受け、ブランド消費の担い手だった働く女性による“背伸び消費”が縮小しているためだ。株式などで最近資産を増やした「にわか富裕層」の買いも一気に渋くなった。二つの大きなかたまりが支えた高額品市場は冷夏を迎えようとしている。
欧米ブランドを輸入・販売してきた卸やメーカーが、日本ブランドを販売する動きが広がっている。日本の企画・品質が世界的に注目される一方、円安が続き、海外ブランドの価格が高騰していることが背景にある。受注も広がっており、輸出も視野に、さらに加速する気配だ。
繊研新聞社が実施した07年度の小売業衣料品売上高調査で、ユニクロが2年連続で1位となった。上位ではユニクロ、しまむら、ワールドが引き続き高い伸びを確保した。ライトオン、ユナイテッドアローズ、ポイント、サンエー・インターナショナル、ハニーズ、ビームス、パルグループが3年連続で2ケタ増収となるなど、積極的に出店した専門店の勢いが目立つ。上位100社の売上高合計は7兆3911億円。前年度と比較可能な98社の合計は7兆2573億円で前年度比0.8%増。既存店の減収を出店でカバーし、3年連続で前年を上回ったが、伸び率は前年の1.5%増に比べ鈍化した。
チェルシージャパン(CJ)は前期比25%増、三井不動産の三井アウトレット(MOP)が同12%増と、ともに売上高が大幅増となった。国内のアウトレットの市場規模が4千億円強とみられるが、両社を合わせたシェアは65%となり、2強時代が色濃くなっている。
ショッピングセンター(SC)を中心に店を構えている衣料品専門店やアパレル企業が出店ペースを抑える。新規出店数をライトオンが今下期(2008年2〜8月期)に計画の半分、タカキューは09年2月期で前期の3分の2に抑制する。ワールドやトリンプ・インターナショナル・ジャパン(東京・大田)も減らす方針だ。SCの開業ラッシュが続き、従来のような集客が見込みにくい施設が増えているため。各社は売上高重視から利益重視に出店政策のカジを切る。
食品などが一段と値上がりし、消費者の衣料の価格に対する目が一段と厳しくなり、価格の安い駅ビルなどへの客流出に歯止めを掛けたい百貨店から、価格見直しの要望が強まっており、大手アパレルメーカーは今秋冬物婦人服でエントリー価格の導入を図っている。
用語解説
「エントリー価格」
家電・IT機器・用品の、特にWEB上で早くから使われており、提供側(メーカー)が需要拡大を狙って、需要者(消費者)に対して独自に安く設定した価格をいう。家電製品が公正取引委員会によって二重価格に抵触するという問題があり、希望小売価格が使われなくなり、これに対応したものとみられる。これが、最近アパレルメーカーでも使われるようになり、メーカーが新規顧客を誘導するために設定した裾値の価格をいう。
日経新聞の「第41回小売業調査」で小売業の63%がプライベートブランド(PB=自主企画)商品の拡大を計画しているという。相次ぐ値上げで消費者の節約志向に拍車がかかっており、割安感のあるPBを商品戦略の中核に据える企業が増えている。
小売業のクリアランスの時期が早まっていることに関連して、アパレル業界から「何らかの法的な規制も必要ではないか」(栗田英俊フランドル社長)、「産業の活性化のために、国が正当な競争のためのルール作りをリードすべき時期に入っているかもしれない」(寺井秀蔵ワールド社長)といった意見が相次いでいる。欧州のように小売業全体を対象にしたルール作りを求めるものだが、一方で、法的な規制については疑問視する意見もある。クリアランスの早期化がプロパー販売を圧迫し、結果として収益を悪化させる。この問題にどのように対応すべきなのか、小売業も巻き込んだ本格的な議論が待たれる。
07年度の世界の小売りチェーン売上高ランキングで、好調な企業に共通しているのは新興国市場の開拓や価格訴求力の強さにあった。日本勢は5位のセブン&アイと7位のイオンの2社がトップテンに入った。
2004年に一部改正された大気汚染法について、クリーニング業に関わる事項を解説した。この法改正では、VOCの発生量の多い施設に規制が行われた。クリーニング業は対象施設に指定されていない。しかしパークと石油系溶剤がVOCに該当するので、平成22年度までに30%の削減が努力目標になっている。特に石油系溶剤への対応が遅れており、ホットマシンや回収乾燥機の導入、脱液率の改善、水洗い比率の増加などの対策が必要である。
クリーニング綜研はコート類のクリーニング事故151件の実態を発表した。変退色が59件で最も多く,原因は紫外線30件,ガス13件など。シミ出しと剥離では、接着剤やコーティング樹脂の経時変化によるものが80%近くを占めた。コートの主要素材は、コーティングとボンディングの加工布が計33件あり,半数以上に経時劣化が生じていた。同研究所では,これら加工製品には,加工の種類や経時劣化の情報に関する表示を義務付けるように,経済産業省に要請している。
全国クリーニング生活衛生同業組合連合会が発表した「ポリ塩化ビニル樹脂使用製品の事故の実態」調査報告によると、ポリ塩化ビニル樹脂はドライクリーニングできないのに、“ドライクリーニング可”との誤表示が、事故の真の原因と指摘。同連合会クリーニング綜合研究所が03年4月から08年3月までの5年間に、ポリ塩化樹脂使用製品の鑑定依頼品30件を調査した結果である。硬化事故が最も多く24件、装飾用スパンコールの色と形態の変化2件、残り4件がはく離と損傷。原産国別には、中国11件、イタリア8件。硬化事故24件中22件に、石油系溶剤などでのドライクリーニング可の表示があった。
クリーニング綜研は平成19年度の鑑定依頼の集計を発表した。洗濯方法別では、ドライが35件減少し、ランドリーが10件増えた。事故の責任別では、総件数428中、顧客によるものが275件、次いでクリーニング業者50件、アパレルメーカー23件であった。顧客責任の内訳は、損傷が20件増えて133件となり、次いで色の変化が17件減って106件であった。顧客責任の原因別では、損傷は@物理的作用、A虫、B経時変化の順序であり、色の変化は@紫外線、A薬剤、Bガスの順序であった。
普通のドライクリーニング機に、専用ソープをチャージするだけで、革や毛皮が洗える。このシステムは、アメリカのロイヤルトーン社が40年の実績を持つ技術による。靴ばかりでなく、バッグ、カシミヤ、アンゴラなども質感を活かした洗いができる。また、泥、カビ、汗の付着したものは水洗いするが、この場合も専用洗剤が用意されていて、手洗いと自然乾燥で問題ない。会員制度で、販促材料も揃えているが、ロイヤリティは掛からない。クリーニング代は,靴が2.5〜3千円。バッグが4千円。
前報「果実および野草のアンモニア消臭性」を踏まえ、消臭効果が高かった天然素材の綿布への効果を検討した。消臭効果が高いとされた天然素材のアンモニア消臭効果は、毛、絹の蛋白質繊維では見られたが、綿や化学繊維では消臭効果が見られなかった。しかも毛は酢酸で洗浄することにより、同一布の繰り返し使用が可能であった。綿布に梅や柿渋などの植物抽出物やくえん酸を付与することにより、アンモニア消臭性を向上させることは可能である。
日経が4年目を迎える軽装運動「クールビズ」の08年を消費者にインターネットで5月初めに調査した結果、金額に関係なくお金をかける人は全体の29%で昨年同期調査に比べ8ポイント少ない。一方で、「予算をまだ決めていない」という模様眺めが3割を占めた。
ナゴヤファッション協会の「ファッションとエコに関するアンケート調査」で、エコファッション製品のニーズとエコ意識・行動を把握している。現状としてエコファッション製品の購入がまだ少なく、デザイン・色や価格の要素も重要、今後への関心は徐々に高まりつつある、としている。
クリーニング料金が原油高でじわりと上がり始めた。プラスチック製ハンガーを返せばポイントがたまりエコバックなどに交換できる。5割の回収率をめざし業界最大手ではこんなサービスを始めた。クリーニングは石油製品に大きく依存し、ハンガーのほか、集配車のガソリン、溶剤、乾燥用ボイラーの燃料等、店によってはコストの3分の1以上が石油関連という。資材の値段はこの3年ほどで軒並み5割以上あがった。衣類のカジュアル化や家庭用洗濯機の高性能化で所帯当たりのクリーニング平均支出はこの15年間で1万9千円から9千円に半減。零細な店舗では、生活費を切り詰め頑張っているがもう限界だという。
お年寄りや体の不自由な人が着やすくて、おしゃれも楽しめる服を集めたファッションショーが22日川崎市多摩区総合庁舎で開かれる。ちょっとした外出着や車椅子のウエディングドレスなどほとんどは、川崎市のボランティアグループ「糸の詩」の作品。見た目は、普通の男性用ジャケット。背中の脇や真ん中に目立たないファスナーが付いている。あらかじめ結び目を縫い付けたネクタイは頭からかぶってひもを引っ張るだけ。代表の栗田さんは、長男の交通事故が契機で始めたと言う。
ISOの事務局長Alan Bryden氏が07年11月に来日したとき言及した情報と若干の解説。エネルギー・環境:温室効果ガス排出測定に関する規格ISO 14037及びその測定を認証する機関の認定に関する規格ISO 14065が策定された。サービス:サービスの質や生産性の向上に関する標準化の作業が開始されている。ブランドの価値が企業のバランスシートの中の無形資産として大きな地位を占めるようになったため注目されている。社会的責任CSR:2010年秋を目指して規格化の作業が続けられている。ISO 26000消費者関連:顧客満足度向上の観点に立った紛争解決手続きに関する国際規格ISO 10003が作成され、製品安全ポリシー、製品リコールの関する規格案の作成が進められている。
日本繊維産業連盟の輸入繊維製品の品質ガイドライン検討会は、「輸入繊維製品の品質ガイドライン」を策定した。会員企業へ配布、ホームページに掲載する。昨年のカシミヤ製品の不適正表示を契機に、品質表示に万全を期す目的で、繊維関連企業が取り組むべき輸入繊維製品の品質管理の方策をまとめたもの。第1章:輸入繊維製品の製造・輸入実態について、第2章:品質管理に関する注意点について、第3章:過去に学ぶ問題点と改善点について─で構成されている。日本の関連法規と諸外国の法律やファッション製品の品質のとらえ方が異なっているなどに留意した諸対策が示されている。
ブラザー工業はグループ創業百周年を記念し、展示館「ブラザーコミュニケーションスペース」を拡張・オープンした。新展示スペースには、トーマス・セントのミシン(復刻版)、日本伝来初期のミシン、世界を代表するミシンなど、約70台を揃え、ミシンの誕生と変遷をわかりやすく紹介している。また創業者兄弟が手がけた麦わら帽子製造用環縫いミシンを始め、同社がミシン専業の時代に製造した様々なミシンを展示している。入場は無料だが、事前予約が必要。
富士通は無線自動識別技術を使うICタグの海外販売に乗り出す。2008年度中に欧米や中国の情報システム会社約20社と販売提携する。富士通は折り曲げ可能で耐久性が高いICタグを開発しており、衣料など繰り返し洗浄する製品の管理に利用できるという。ICタグは日本企業が高い技術優位性をもつ分野。富士通は他社にない機能を訴え、今後3年で50億円の海外売り上げを目指す。
英科学誌「ネイチャー・ナノテクノロジー」(電子版)は、未来の新素材として脚光を浴びているカーボンナノチューブについて、アスベスト(石綿)と同様、肺に中皮腫を引き起こす可能性があると警告する調査結果を公表。実験で細長いらせん構造を持つカーボンナノチューブを投与されたマウスに、細長い構造の石綿繊維を投与したのと同じような症状が表れたという。短い構造のカーボンナノチューブでは症状は見られなかった。調査を担当した英アバディーン大学のアンソニー・シートン名誉教授は「製造、使用、処分の各段階で適切なステップを踏み、人が吸い込まないように」安全対策を講じる必要があると指摘している。
東京商工会議所会員企業の環境問題に対する意識・実態調査によると、9割が地球温暖化防止に向けた対策が重要と答えた一方で、積極的に対策を取り組んでいるのは6割と、ギャップがでている。環境対策推進の費用負担が重いととらえる傾向が強いようだ。
尾崎商事は3月に学習研究社が発行した「まんがでよくわかるシリーズ『学生服の秘密』」に全面協力した。同社が提供したのは、古い学生服、着崩し防止制服、商品知識などの業界知識、同社研究による学生に関するデータ、同社の歴史など。学生服を着る前の小学生の時期に学生服の起源や大切さなどを伝えることで、学生服の知識と憧れを育てる目的から協力したという。
不動産事業のゼファー(東京都中央区)がカンボジア資本との合弁で、プノンペン近郊で開発を進めている「プノンペン経済特区(PPSEZ)の第1期工事分が完成、工業団地と隣接する商業地域が完売した。すでに工場建設が始まっており、早ければ9月ごろには複数の企業が操業を開始する見通し。PPSEZはゼファーとカンボジアの現地資本が49%ずつ、日本開発政策研究所が2%出資する日本カンボジア開発会社(JCDC)が開発している工業団地。外国人に対する99年間の土地使用権付与、最大9年間の免税控除期間、製造用原料・製品の輸出入税率や輸出品の付加価値税が0%となるなどの条件を備え、海外からの投資を誘致している。
3月期決算で海外売上高を開示した上場企業1696社の集計で、日本の製造業の海外売上比率が45%と5割に迫ってきている。食品や日曜品など内需型企業の比率上昇が全体を押し上げている。うち繊維製造業も中国製品に押され、海外事業が拡大、34%と7ポイント上昇、東レ、三菱レイヨンが機能性繊維や産業用資材の炭素繊維の輸出を増やしている。
目白デザイン専門学校や専門学校中央工学校など分野の異なる専門学校10校が連携し、新団体「専門学校コンソーシアムTokyo」を設立した。加盟校は強固な連携を強め、職業人教育を行う専門学校の有効性、優位性を高等学校や関連団体に認知を広め、出願率向上と学生確保を目指す。
@8月21日〜22日
A(集合場所)JR京都駅
B(訪問先)ケイテー(株)、セーレン梶A新道繊維工(株)、他(集合場所)JR京都駅
C日本繊維製品消費化学会 申込先:京都女子大学 生活造形学科・矢井田修TEL 075-531-7174
@8月28日〜29日
A奈良女子大学
B特別講演、研究発表会(繊維および関連分野の物理、繊維および関連分野の化学、テキスタイルサイエンスと消費科学、染色化学)、若手ポスターセッション、他
C日本繊維製品消費科学会 他 TEL06-6358-1441
@9月5日
A兵庫県民会館
B衣服圧の測定と表示に関するお話、むくみと静脈瘤を防ぐ衣服圧について、着方・整容効果と快適な衣服圧、他
C日本繊維製品消費科学会 TEL06-6358-1441
@9月19日
A大阪産業創造館
B持続可能な社会のあるべき姿と生活・消費を考える、自然と共生する循環型社会像と生活・消費のあり方、完全循環型リサイクルシステム環境と健康にやさしい商品を求めて)爆食中国後の世界繊維産業、他
C日本繊維製品消費科学会 TEL06-6358-1441
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男