ミニ情報TOP→ 日本衣料管理協会TOP→ バックナンバー一覧（2003年度:第20巻～）→
経済産業省は15日の閣議に｢08年版通商白書｣を報告、了承された。世界経済の新たな発展の基軸となり、日本の産業の新たな事業活動の舞台となる①10億人の先進国に40億人の新興国を加えた50億人アジア大市場②30億人アジア大市場③持続的発展の市場―の三つの｢市場創造｣を主導することが重要と提言している。同白書は第1章｢困難に直面する世界市場と『50億人』市場による新たな発展の展望｣で、新興国の名目GDP(国内総生産)は5年間に2倍超、世界GDPでのシェアも2割弱から3割弱へ拡大し、新興国相互間の｢南南貿易｣は97年～06年の10年間で約3.3倍(世界貿易全体の5分の1)以上に拡大したと指摘。日本も07年の輸出が中国で2割、インド･中東で4割、ロシアで5割伸張し、新興国市場でのビジネス拡大に挑戦している。
経済産業省中小企業庁編｢明日の日本を支える元気なモノ作り中小企業300社｣は、目立ちはしないが活力の源泉となり重要な役割を果たしている企業を紹介している。08年版の中で繊維関連18社が掲載されている。
経済産業省の｢設備投資調査｣で08年度の大企業の設備投資計画は前年度比9%増と、5年ぶりに1ケタ台となった。繊維業界は32社回答で15%増、業種別では紡績2.9倍、染色整理59%増、化繊製造業13%増であるが、衣服などは51%減で、業種によって増減が分かれている。目的別内訳では、更新、維持･補修と生産能力増強が多いが、染色整理では環境関連が多い。
新しい貿易自由化ルールを定める世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ･ラウンド)非公式閣僚会議は29日決裂した。しかし、輸出指向でない日本国内の縫製産地にとっては、現状維持の確保が出来たため、｢胸を撫で下ろしている｣中小企業も少なくないとみられる。現行税率でも世界的に見て日本の繊維製品の関税率は低いが、半分以下に下がると、さらに輸入品が増える可能性がある。今回のWTO閣僚会議は決裂し、一時ストップしたものの、交渉は来年以降再開される見通しで、日本の繊維業界にとってはさらなる国際競争力強化と構造改善が求められる。
特許庁は、特許の出願申請をする企業や個人、大学などの要望や苦情にこたえるために、2009年3月末にも庁内に顧客対応･業務改善推進室をつくる。ホームページなどを通じて届く特許利用者の声を集め、庁内の各担当に迅速に伝達。業務の改善効果は利用者に直接報告する。｢サービス機関｣の意識を徹底する狙いだ。
ジェトロが発表した｢08年版ジェトロ貿易投資白書｣は、日本の成長戦略として①対外M＆Aの推進②対日投資の促進③新興国で若年層の消費市場の開拓が重要－と提言。新興国は全体に若年層の割合が高い。39歳以下若年層の購買力を07年の可処分所得の割合でみると、G7は38%、BRICsは53%、BRICs以外の新興国は57%と大きな違いがある。新興国では若年層向け商品が有望で、特にファッションや化粧品･日用品などの分野で消費をリードする。
財務省は偽ブランドや海賊版など模倣品の輸入を減らすため、税関と特許庁との連携を強化すると発表。模倣品の差し止め数は年々増えており、省庁間での協力を進め知的財産の侵害を水際で防ぐ。年内をメドに税関職員数人が特許庁の研修に二週間ほど参加し商標の制度や関連法を学ぶ。特許庁職員も同様に税関に出向き、現場で本物と偽者をどのように見分けるかといったノウハウや関税法の仕組みを教わる。
経済産業省の09年度予算概算要求がまとまった。繊維関連では地域･中小企業に配慮するとともに、環境保全、省エネ省資源にも留意している。炭素繊維複合材料開発支援で、要求を今年度対比で大幅増額している。｢東京発 日本ファッション･ウィ－ク｣(JFW)支援要求は今年度予算と同額の6億円。
この規格は、染色した繊維製品のドライクリーニングに対する染色堅ろう度試験方法について規定したものであるが、最近の生産及び使用の実態を踏まえて、規格内容の充実を図るため、改正を行うものである。主な改正点は、次のとおりである。①クリーニング溶剤に石油系有機溶剤(工業用ガソリン5号)及びそれに伴う試験方法を追求する。(現行JIS L 0861統合)②パークロルエチレンについては、今回追加の工業用ガソリン5号より優れた洗浄力を持っておりまだ使用されている現状があるため、使用に対しての警告文を追加することにより対応する。③非イオン界面活性剤について、｢ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル｣を｢ポリオキシエチレンアルキルエーテル｣に変更する。9.試験報告書 試験記録をa)～f)の項を設けることにより明確にする。
繊維リサイクル産業が盛んな愛知県岡崎市を中心とした西三河地域の｢反毛｣の現状について概説した。この地域は、数百社の繊維リサイクル業者が集積し、繊維廃棄物が集まってくる。フェルトの生産率が高く、自動車用、土木用が大半を占めている。しかし、反毛の生産量は年々減少し、2007年度の反毛の生産量は、1981年度生産量の1/2になった。生産量の減少理由は海外での需要の増加による原料の流出、企業側に求められる廃棄物の低減化などによる原料の高騰があげられる。そのため、これまで産業屑原料としてあまり取り扱ってこなかったものに対する反毛の依頼が増えている。
国産繭を生かしたレディス･カットソー製品を生糸から一貫生産するミラノリブ(桐生市)は、群馬産の蚕品種｢ぐんま200｣を使用して、上州座繰りを生かした製品ブランド｢ちぢら｣を発信する。ミラノリブは製糸から縫製、出荷まで一貫体制で製品化し、販売している。繭のまま三原色に染付し、多数の色調を表現する｢繭染め｣は普通の染めでは出せない色合いが出せるという。
合繊メーカーのスポーツ素材で、ストレッチ織物や通気を抑えたニットに人気がある。09～10年秋冬向けは、伸縮性と着心地のバランスやファッション性を高めた商品が揃った。織物、ニットともに軽さと薄さがベース。織物は動きやすさが向上した。東レ：たて糸にPTT繊維を用いたツーウエーストレッチ織物｢フレックススキン･プラス｣、旭化成せんい：ポリエステルのタイプを追加したストレッチ織物｢ストローム｣、東洋紡：保温性に優れた高密度編物｢ヒートサプライズ｣、ユニチカファイバー：低通気編物｢ウィンシャット｣、帝人ファイバーの高密度編物｢ウィンドバリア｣など。
帝人ファイバーは、高強度のポリエステルナノファイバー｢ナノフロント｣の生産を開始した。繊維の直径は700nm(髪の毛の7,500分の1)。ナノサイズの繊維は、フィラメントでの商品化は難しかった。同社は海島断面のコンジュゲート紡糸法を進化させ、１本の繊維の島部分をマイクロファイバーの数十本に対し100本とする技術を確立。用途は、①滑りにくさを生かしたグローブ、サポーター②肌への摩擦ダメージの小ささを活用したスキンケア商品や肌着③表面積の大きさによる水分の吸収･拡散･保水機能を使ったクーリング機能性スポーツウエア④ふき取り性能を使ったワイピングクロスや皮脂取り布などを見込む。
東京工業大学大学院理工学研究科の谷岡明彦、松本英俊両教授と皆川美江技術職員らは、手で曲げても壊れないナノ炭素繊維不織布シートを開発した。さらに、その微細繊維全体にカーボンナノチューブ(CNT)を生やして、一般で使うシリコン基板の半分以下の電圧で電流を流せる特性を持たせることに成功した。曲げられる強度のシートの生成や、その繊維にCNTを成長させるのは初めての技術である。従来の約2倍の省エネルギー効果を持つフレックス基板やエミッター(電子源)、電極などへの応用が期待できる。
繭から最初に出でてくる糸、きびそを｢kibiso｣として商標登録して、用途の拡大を鶴岡織物工業協同組合が目指している。きびそは製糸の際、繭から糸口を見つけ出すために繰りとった糸を乾燥したものであり、絹紡糸の材料にもされ、野性味がある。9月末には表参道でテキスタイル展を開催。松岡は裂き織、デニム、通風織、ドビーなどきびそを使用した織物を提案する。大正織物はきびそとカシミヤ、オーガニック綿、オーガニックウールをそれぞれ混紡した糸を提案。きびそは、経済産業省･中小企業庁の｢地域産業資源活性事業計画｣に認定されている。
アクリル繊維事業が曲がり角に差しかかっている。原料のアクリロニトリルの高値が続く一方、ポリエステル短繊維との競合もあり、需要は減退傾向。国内最大手の三菱レイヨンは拡大路線を180度転換し、生産規模縮小へ、二番手の日本エクスラン工業も生産規模削減を視野に入れている。アクリル短繊維の06年の生産設備は全世界で317万t、12年に向けた予測では319万tとほぼ横ばい。競合するポリエステル短繊維が1,610万tから2,090万ｔへと30%近く伸びるのとは対照的である。アクリル繊維は、欧米先進国のメーカーが相次ぎ撤退、縮小。旭化成とカネボウは03年に相次ぎ事業を撤収した。
繊維･衣料各社が天然素材の製品を相次ぎ投入している。環境商品としてのアピールに加え、これまでにない付加価値を競い合っている。竹や紙などの素材に注目する企業や、綿やウールなど従来の素材を使って新機軸を打ち出す企業がある。東レが開発した竹繊維｢爽竹｣を、今春ゴールドウィンは｢バンブーカノコプリントTシャツ｣などに採択した。竹繊維をポリエステルやアクリルなどの合成繊維に混ぜて織り込んだ。高い吸･放湿性と清涼感や肌触りが受けている。ニッケは、ウールのフッ素加工によるゴワゴワ感を柔軟剤入りフッ素溶剤を使用して、はっ水性とすべすべした手触りのスーツ用生地｢アクアスムース｣を発売した。
大原パラジウム化学は無着色、無黄変で、洗濯耐久性に優れる抗アレルゲン剤｢パラファインANA-10｣を開発した。世界オンリーワン技術によるナノ粒子特殊皮膜タイプ化合物で、8月から販売を始めた。パラファインANA-10はハウスダスト中のダニアレルゲンやスギ花粉などのアレルゲンに対する沈静化性能が高く、ELISA法(アレルゲンの定量に用いられる測定法)による同社試験では初期段階で沈静化率が80%、洗濯10回後も70%を維持する。また、従来のアレルゲン沈静化剤で耐久性を付与できるポリフェノール類やフタロシアニン系化合物のように、着色、黄変することがないなども特徴の一つである。
日本の産業の中で最も早く｢斜陽｣の烙印を押された紡績。今なお縮小の道を歩み続けているが、それでも一定の産業基盤を存続させているのは世界最高水準の技術を背景にした商品開発力による。紡績各社が｢技術の原点｣とする糸開発の軌跡、今後の方向を見る綿紡績5回･毛紡績2回の連載。綿紡績では素材開発の軌跡年表を示し、素材の組み合わせで開発は無限。さらに用途を明確に開発を進める、精紡交撚でも市場開拓、糸での新加工に膨らむ期待をあげている。毛紡績では、技術開発史を図示し、IWSの機関がリードとサイロスパンなどの新技法、新商品のカギの原糸開発、技の融合による可能性を追求。
豊島は、オーガニックコットンの普及を図る｢オーガビッツ｣展開を積極的に推進する。同社は綿花の輸入量が日本一のシェアで、原料から製品まで手掛ける繊維専門商社。｢オーガビッツ｣はこの自社強みの中で、地球環境の保全という世界的な時流に対応し、貢献する商品提案と普及、事業活動を意図している。コットンの無農薬･有機栽培は水質を保全し土壌を活性化し、二酸化炭素の吸収力も強い。だからこそ、少しずつの｢オーガビッツ｣が市場で普及すれば、供給のための有機農地が広がり、環境への貢献につながる。オーガニックコットン100%の製品にこだわらず、ユーザーが要望する製品価格に合わせ、混紡と交織への対応を図っていく。再生ポリエステル繊維、テンセル、ミルクレーヨン、再生ナイロンなどとの複合を提案している。
ダイワボウレーヨンはオレイン酸とビタミンEを練り込んだレーヨン短繊維｢セルミン｣を開発した。オレイン酸はオリーブ油に含まれる油脂成分で、クリームやローションなど化粧品の原料に用いられるもの。ビタミンEは植物では大豆やアーモンドなどの食品に多く含まれている油脂成分で、生体内で作ることはできないが、抗酸化性に効果があるとされている。セルミンの繊維断面は単繊維の中に小さな部屋を多数作り、その中にオレイン酸とビタミンEを閉じ込めている。通常品はオレイン酸の含有率3%、ビタミンEが2%。オレイン酸にビタミンEがくっつく形になっている。小さな部屋があるため、ソフトなしっとりとした独特の風合いを持つ。
東レの長繊維事業部は09～10年秋冬向けインナー用ナイロンで、新たに極細スパンタッチの長繊維｢マイクロフィット｣を出す。マイクロフィットは、綿の100番手クラスを意識した柔らかさを持つ。スパン調の長繊維で、極細糸の風合いのタイプは珍しい。極細の艶消し糸に、微細なループを施した。細繊度の糸同士が絡むことで吸水性に優れるが、保水しないため、さらさらとした触感も保つ。糸種は25D(20F)など。断面が空豆状で滑らかなパウダータッチの｢ミラコスモウィン｣は、パンスト用で10、12Dがあったが、30、40Dクラスをインナー用で初めて投入する。
合繊メーカーの09～10年秋冬向けインナー素材が出揃った。極細糸使いの薄く軽い素材は、蒸れの軽減や天然繊維風の見た目など機能やファッション性を加えている。各社の新素材･改良素材を｢柔らかさ、軽さを重視しながら、新たな機能の開発が進んだ。｣、｢ナチュラルな見た目や風合いの素材も加わっている。｣、｢ストレッチ素材ではポリウレタンを使わないタイプで、適度な伸縮性や環境に優しい点をアピールする。｣に区分して紹介している。旭化成せんいはケミカルリサイクル｢エコセンサー｣で、下着1枚当たりで削減できる石油や二酸化炭素の量を算出し、アパレルメーカーごとに提示する取り組みを一部で始める。
東レはこのほど、炭素繊維｢トレカ｣を使用した薄型･軽量な電波吸収パネルの開発に成功した。無線情報通信で電波障害を解消し、通信安定性を高める商品として、物流施設などで利用されるRFID(非接触ICタグ)システム向けに販売を開始するほか、公共施設や工場など無線情報通信が使用される分野に幅広く展開する。電波吸収パネルは、UHF帯やマイクロ波帯域の高周波電波を97%以上吸収するという従来品同等以上の高い性能を持ち、厚み･重量は約半分になったため運搬や設置が容易なほか、省スペースも実現した。
ソロテックスと東レグループはPTT繊維について、両社による特性の違いを生かした商品開発と市場拡大が進んでいる。ソロテックスはしなやかさや発色性の良さを特徴にした高密度織物用途がフル生産の状態。東レグループはソフトストレッチ性やストレッチバック、薬品や洗濯に対する耐久性を特徴に伸ばしている。裏地とスポーツ分野で、特に50Dの細デニール糸を使った薄地や、ツーウエー織物が牽引。原料をトウモロコシ由来のバイオマスに順次切り替えており、今後エコロジー面での訴求を強める。オペロンテックスは、スポーツウエアやアウター織物用、デニムのたて糸･よこ糸の販売が好調。
09～10年秋冬スピンエキスポでの人気の一つが中国･上海正家の牛乳たんぱく繊維。日本で生まれた繊維が姿を変え、世界的なエコの流れに乗って拡大しそうである。牛乳たんぱく繊維はミルクカゼインとアクリロニトリルを共重合させるもので、東洋紡が69年に事業化したことで知られる。上海正家は、紡糸までに使う溶剤の回収技術を確立、生産工程も地球環境に配慮した素材として打ち出してきた。柔らかで肌に優しいなどの点が支持され、短繊維にも生産を拡大。価格は130元/kg(1元16円)と高価だが、イタリアやトルコなどにわた売りを継続、糸の輸出も日本や韓国、北欧、イタリアなどで増えている。
タオル染色工場の技術者である筆者が、地場産業であるタオル業界に身を置きながら、生き残りをかけて｢オンリーワンのもの創り｣を目標に技術開発に取り組んだ様子が紹介されている。具体的には防炎タオルはプロバンにより加工されていたが、硬くかつ吸水しないなど、タオルとしての機能を大きく損なっていた。このためホスホン化合物とタオルに適した併用樹脂、加工条件等により防炎タオルを完成した。またニット生地に防炎加工したサンプルに片面撥水を施すと、この生地は防炎効果が損なわれないとの報告をもとに、Tシャツ創りに結びつけたという。
カラースキャナーから取り込まれた93種類のカラーカードのカラー画像のsRGB値と色差計によって測定されたXYZ値の間に重回帰分析が適用された。これによりXYZ値がsRGB値から精度よく計算され、カラースキャナーによる測色が多色の色彩評価にかなり有効であることがわかった。この画像解析が色柄布の変退色を評価するのに適用され、多色系色柄布の変退色の定量的評価に対する画像解析の実行可能性と有用性について検討している。
大原パラジウム化学は椿油、シルクアミノ酸など天然剤を主原料に、界面活性剤を使わない吸水柔軟加工剤｢パラソルブGP－140｣を開発し、今月から本格販売を始めた。椿油、シルクアミノ酸、特殊吸水性樹脂を三相乳化という特殊な天然多糖類を利用した新しい乳化法でエマルジョン化した。従来の椿油の乳化法では得られなかった柔軟性と吸水性を付与するという。パラソルブGP－140を使用することで、生地は自然なヌメリ感のある風合いと、従来品の欠点であった吸水性の少なさを大きく改善した。希釈安定性、各種加工助剤との相溶安定性も良好という。
糸染めの共和加工はダニ駆除加工｢ダニサル｣を開発した。これまでの防ダニ製品は、散布する殺虫剤と、ダニが嫌いな匂いで近寄らせないようにする忌避剤の2種類が一般的だったが、ダニの増殖を抑える点では必ずしも十分ではなかった。同社は、テキスタイル製造のノームラトレーディング、薬剤メーカーの住化エンビロサイエンスと共同でダニの増殖を抑える糸の加工技術を開発。昨年2月には共同で特許を出願した。ダニサルは昆虫成長制御剤(IGR剤)を繊維に浸透させることにより、本来はダニの生息域になりやすい繊維素材でありながらダニを繁殖させない繊維として確立。天然素材だけでなくポリエステルなどの合繊素材にわたや糸段階での加工が可能である。
セーレンは、多様なにおいに対して優れた消臭即効性を発揮する消臭アイテムシリーズ｢イノドールクイック瞬間消臭EX｣を開発し、15日から販売をスタートした。ナノレベルの微細な特殊吸着剤を綿の分子に閉じ込めるというセーレンの加工技術をベースに3年がかりで開発。第1弾として介護シーンで利用されるブランケット、おねしょシーツ、前開きシャツ(肌着)、パンツ(肌着)、マスク、レース付きハンカチの6商品を販売する。開発コンセプトは｢におわせない･におわない･即効消臭｣で、消臭スピードと多様なにおいに効果があるほか、洗濯耐久性にも優れる。
インクジェットプリントが拡大してきた。製版が必要ないなどの機能に加え、使用する水の量が少ないことなどで環境保護の視点からも注目が高まっている。新たな市場開拓に取り組む企業や、増設に踏み切る染工場も増えている。現在、まだインクジェットプリントの加工コストは、1,000円～1,500円/mと割高感があるものの、型を必要とせず、細密やぼかしなどの微妙な色変化を表現する柄や、色数の多い意匠などには最適。ロットも小さく、無駄が出にくい。加工の深みはハンドやオートスクリーンに及ばないといわれているものの、減少一途の捺染職人に代われる存在として再認識されてきた。
染色堅ろう度試験はJISで規定されているものでも37項目、試験方法は100種類にも及び、一つの試験で染色堅ろう性のすべてを評価する方法はない。生産現場では、ロット間の品質のバラツキと不良品には重要な関係があり、早期にロット間バラツキを把握することによって事故品の発生防止を行うことができる。このため、場所、時間、作業者を問わず、予備検査的に実施できる試験機が開発された。具体的には摩擦堅ろう度試験に的を絞り、小型軽量で、摩擦子の回転を手回しで行い、製品の状態で試験を行うことができるなどが考慮されている。JIS試験機とこの試験機との結果の比較と活用法についても触れている。
大阪大学先端科学イノベーションセンターはこのほど、綿の主成分である多糖類(炭水化物)｢セルロース｣を酵素の力で単糖類｢グルコース(ブドウ糖)｣に糖化(分解)する基礎技術を確立した。この技術を応用することで、使用済み綿製品からバイオエタノールを作ることが可能になる。すでにこの技術を応用したベンチャー事業も始まった。綿のセルロース分子は、複雑に絡み合ったミクロフィブリル構造体を構成するため、従来は酵素による分解は難しいとされていた。これに対し、同センターでは独自の酵素と分解のための最適条件を見つけ出し、極めて高い糖化率での糖化に成功した。この技術を応用することで、使用済み綿製品などからグルコースを作り、様々な用途に活用できる。
皮革業界でも、最近｢エコレザー｣という言葉をよく耳にするようになった。しかし、オーガニックコットンのような明確な定義はない。革には大きく2通りのなめし方がある。植物タンニンなめしとクロムなめし。一般的に、エコレザーのイメージが強いのは植物タンニンなめしである。主にミモザなどの植物から抽出される成分により皮をなめす方法で、クロムなめしに比べて手間とコストがかかるが、革らしい独特の風合いとほどよい固さが得られる。クロムなめしを含めて、きちんと環境に配慮した革を｢エコレザー｣と呼ぼうという動きが高まっている。それが、日本皮革技術協会が中心になって開発している｢JSGラベル｣。
デニムメーカーの日本綿布(岡山県井原市)は、擦るとさまざまなカラーが出てくる“グラデーション･デニム”を開発した。経済産業省･中小企業庁の｢地域産業資源活用事業計画｣の認定事業として、機械メーカーの協力を得ながら、新しいロープ染色機を開発したことによる。通常のデニムの糸は、表面だけがインディゴ染料で青く染まり、糸の中心部が白いため、糸の表面を擦ると白い部分が出てくる。グラデーションデニムは、糸の内部に多層にさまざまな色を閉じ込めることで、擦ると赤やグリーン、ピンクなどの色が出てくる。どんな色でも3層くらいに染めることができるという。
染色加工の大和染工(今治市)はオゾン漂白技術を用いた繊維製品の加工を中国で始めた。江蘇省の現地法人の工場に本社工場と同等の設備を導入し、自社の加工能力を倍増。従来の加工法に比べ薬品の使用などを抑えられ、環境に配慮する国内外のメーカーからの引き合い増加に対応した。オゾン漂白はオゾンの酸化作用で糸や生地を漂白する技術。大和染工など3社が共同開発した。100℃を超える高温と塩素や過酸化水素などの化学薬品による従来方式に比べ、重油などの燃料や薬品の使用を減らせる。オゾン漂白した糸や生地は、環境に優しい製品に力を入れる現地や日本国内のタオルやアパレルメーカーに販売する。
コナカは9日からドレスシャツ･ブラウスの下取りキャンペーンをスタートさせる。店頭で回収した製品は福岡県宇佐市にあるフェルトメーカーの旭タカロンで自動車内装材に再生する。綿製品のリサイクルは珍しい。キャンペーン対象商品は、綿･ウールを含んだシャツ･ブラウスで金属片のついていないもの。ボタンはつけたまま回収する。コナカは10年前から旭タカロンと提携し、スーツ･礼服などのウール製品のリサイクル活動を行ってきた。今回、世界的な環境保護活動が高まっていることから、リサイクルの対象外で捨てられることの多かった綿製品に拡大することにした。
スーパーポリエステル繊維｢ソロテックス｣を用いた｢ファッショナブルな携帯コート･ジャケット｣シリーズを三陽商会が企画した。ソロテックスはソフトな風合いと形態安定性にストレッチ性を併せ持ったポリエステルで、染まりやすく発色安定性に優れた特長を持つとともに素材耐久性にも優れたハイテク繊維。これまでジーンズやインナーの素材、インサイドベルトなどの副資材に使用されていたが、本格的な婦人向けファッション商品のメイン素材として採用されるのは初。通勤や旅行などの｢お出かけニーズ｣に対する新製品として、｢ポータブル･クルーズ｣のテーマで店頭展開し、新規顧客の開拓を狙う。
中国の金融引き締め策が、日本向けのアパレルOEM(相手ブランドによる生産)にも影響し始めた。加熱気味の不動産投資抑制を目的にした金融機関の貸出規制は｢縫製工場などの運転資金のための融資も規制対象｣(商社のOEM事業会社)となっており、資金繰りを圧迫される工場も出ている。輸出を手掛ける工場にすれば、人民元高ドル安、原材料コストの上昇などで資金需要は高まっているだけに、貸出規制による支障は決して少なくない。中には｢増資で資金調達するため、出資を求められた｣ケースもあり、規制による資金調達コストの上昇が、現地の生産活動や工場運営にも影響をしそうである。
日本アパレル産業協会の通商問題委員会(馬場和哉委員長)が事業を活発化した背景には、ASEAN(東南アジア諸国連合)を軸にEPA(経済連携協定)の締結･発効が進み、アパレル産業を強化する動きが高まり、日本のアパレル産業の将来の発展にとってもアジア市場の拡大が重要になっている点がある。ASEAN諸国との交流の中で明確になってきた点は、日本のアパレル企業のMDや商品企画のノウハウを吸収したいというニーズが高いこと。
アパレルの流通販路別で百貨店構成比が下げ止まらない。ファッションビル(FB)や都市、郊外ともショッピングセンター(SC)、モールの新増設が相次ぎ、ここ数年主力の百貨店販路が低調、07年度も構成比ダウンが続いた。一方でSC、FBもオーバーストアの競合から売り上げそのものの伸びはこの間の右肩伸長からやや鈍化している。通販やネット、新業態の自営店展開など新規分野の開拓も見られ、チャネルは分散、多様化している。
日本ボディファッション協会の07年度業況報告によると、会員(回収43社)全体の出荷実績は2億978万枚(前年比2%減)、2444億円(2%増)だった。06年にメーカーの在庫調整が一巡し、商品を安定供給する背景が整い、アパレル全般の売上が厳しい中で健闘した。商品別では、主力のブラジャー(数量4%増)と回復。
アパレル業界にも｢エコ(ECO)｣を意識した素材や商品の開発が目立ち始めた。中でも｢デニムの耳プロジェクト｣は今まで捨てられていたデニム生地の“耳”(切れ端)にアート(ART)感覚を取り入れて新たな価値を見いだそうとするユニークな試みだ。今年から本格的な商品流通を目指す。肩ひじの張らないリサイクル(RECYCLE)の実践として関心を示す消費者も多く、静かなブームが広がっている。
長寿高齢化社会や昨今の健康ブームを受け、株式会社デサントではユニバーサルファッション協会と連携し、｢からだに優しいポロシャツ｣の開発に取り組んだ。このポロシャツは、リウマチや半身麻痺で困っている方々に片手でも簡単に着脱でき動きやすく快適に運動や生活が出来ることを目的とした“着脱しやすく動きやすい！”機能的ポロシャツである。当文献では開発の経緯や商品の特徴について発表している。
ゴールドウィンは帝人ファイバー、旭化成せんいとの連携でスポーツウエアの循環型リサイクルシステムに取り組む。ポリエステル繊維製品を店頭で消費者から回収し、指定工場でポリエステル原料に再生する。アウトドアブランドを中心に09年春夏物から実施する。織りネームやプリントの印によって、リサイクルが可能であることを消費者に知らせる。工場で高純度ポリエステル原料、DMT(テレフタル酸ジメチル)に戻し、新たなポリエステル繊維に再生する。そして再び衣料品として市場に送り出す。
衣料品大手がブランド削減や出店抑制を本格化させる。レナウンは2010年2月期にも最大で全体の3割超に当たる23ブランドを削減。オンワード樫山は6ブランドをすでに廃止、追加策に乗り出す。専門店では婦人服大手のハニーズが新規出店数を3分の2に減らす。販売低迷が百貨店などから専門店へと広がり、回復の兆しも見えないことから商品･店舗戦略の縮小に取り組む。
行政や業界団体が前向きに業界指導、実施に取り組むなど、消費者の立場になった商品開発の実現に好事例となる動きだ。あるアパレルは来春ものから一段と積極的な対応に向ける。ジャケットのファスナーの上部にカバーを着けたり、ひも使いも極力少なくしている。反射板を使い、夜道の安全を図る企画も拡大する。従来から指摘されていたことだが、その実現に意欲をみせる。
今春行われたミラノコレクションでは、グッチなどの高級ブランドがフォークロアの要素を取り入れていた。流行は繰り返される。フォークロアは、1970年代にはやったヒッピームーブメントに通じるものがあるが、2008年ならではの新しい流れもある。例えば、世界的にナチュラル志向が高まる中、自然な色柄使いや風合いで統一されているのもそのひとつ。装飾は華美ではなく、綿レースやニットを使った素朴なもの。本物の毛皮に代わって、技術的に進歩した人工毛皮を使った製品が多いのも、動物愛護の声が高まる現代らしい流れといえる。
30～50代の大人服マーケット。ここ数年、各社は次の成長のために攻略が欠かせない市場と位置づけて積極的なブランド開発を進めてきた。当初の目標に対しては、まだ道半ばの段階だが、課題も浮き彫りになってきている。トレンドへの対応と商品としての完成度の追求、そして価格戦略の推進という難しい課題を同時にクリアすることが求められている。また市場を育成していくためにメーカーと小売りの共存共栄の取り組みも必要だ。
景気の落ち込みと同時に、消費者の生活防衛意識が高まってきた。消費の上昇が見込めなくなってきた現在、各アパレルメーカーでは、裾値の型数を増やすなど、対応策を進めている。ファッショントレンドは示されているものの政策の軸は｢価格｣にあるようだ。
08夏のボーナス支給額が6年ぶりに前年を下回り、景況感も先行き不透明の中で、夏商戦はバーゲンの値引き品に人気が集中、価格に敏感になっている消費者の姿が鮮明になった。百貨店に比べ安い衣料品を販売する専門店の好調ぶりが目立つ。
繊研新聞社が6月の｢百貨店婦人服部門の現状と今後｣の調査で、百貨店の婦人服部門が、上質や高質化を目指し、これまで客単価アップを重点にしていたが、客数増重視へと転換していることがわかった。物価高や年金問題などによる生活防衛意識の高まりから、消費者の購買意欲が低下し、裾値商品の拡大などの価格対応策に取り組むため。
社会的にクローズアップされている｢名ばかり管理職｣問題でのアパレル専門店の対応が紹介されている。大手紳士服専門店4社が店長に残業代支払いを開始するなど、自社の規定･制度の見直しに着手するところも出てきた。
百貨店向けブランドで婦人服を中心に、価格を下げる動きが加速している。消費者の価格志向が強くなっていることに加え、価格を下げることで他流通へ客の流出を食い止めたいという百貨店の要望のため。
百貨店での古くなった衣料のリサイクル用回収の活動が軌道に乗りつつある。高島屋では、6月に実施し1万9千着を回収、02年から7年間で累積約12万着となる。回収対象はスーツ、ジャケット、スラックス、コートなどの紳士･婦人用で、素材や色で仕分け、愛知県の工場に運び、フェルトに加工する。
百貨店各社が売場で提供する手提げ袋の高さを2cm短縮、ポリエチレン袋、紙袋を薄くするなど、包装資材の削減に本腰を入れ始めた。資源高での調達コストの上昇や、環境負荷を少なくする省資源化の対応となる。
暫定税率が復活した5月以降の燃料高騰に加え、アパレル商況の低迷による春以降荷動き減で積載効率も落ち、アパレル物流企業の経営を圧迫している。その中で、商況低迷が荷主であるアパレルとの値上げ交渉に足を踏み出せない状況にある。
繊研新聞社が全国の衣料品専門店を対象に実施した｢07年度専門店ランキング｣調査結果は、出店による増収企業は多いものの、収益性が悪化する企業も多く、確実に格差が広がっている。競合の激しさが既存店の収益を圧迫し、新店効果も薄れている。今期も増収を見込む企業の多くが、出店によるものだが、出店は慎重な姿勢に変わってきており、収益性の改善が今後の成長に向け、ますます重要になってくる。
通販大手が商品を掲載したカタログの制作費用削減に取り組んでいる。インターネット注文主体の顧客へのカタログ送付を中止したり、顧客の購入履歴から好みに合わせたカタログへの切り替えで無駄な紙を減らし、コスト削減や売上効率の上昇を狙っている。
東京･原宿から表参道周辺の裏通りで、キッズ関連の路面店が一大勢力になっている。もともとあったキッズウエア専門店を軸として、大人服とともに扱う店や、子供用のグッズも揃える雑貨店が加わって、キッズ関連の店が軒を連ねる状態になった。盛り上がり始めたのはここ2年。裏原宿や表参道で、おしゃれにショッピングを楽しむ30代ファミリー層の急増が要因だ。
専門店の採用状況は引き続き厳しいが、一部手を打っている企業に改善の兆しも見られ格差が広がっている。パート、アルバイトの時給はさらに上がり、平均で922円と、この数年の最高を更新。一方、コストアップにつながる人材確保への施策の限界と企業のブランド力向上の必要性も認識され始めた。
日本百貨店協会は、日本アパレル産業協会の協力を得て合同ワーキング｢百貨店･アパレルec推進ワーキング｣を設置した。百貨店ウェブサイトでファッション商品を本格販売するための要件を明らかにし、各社のネット販売事業拡大の方向性を示すことが狙いで、年度内にレポートにまとめる。
専門店の出店意欲は全体的に減退しているが、相対的には中心市街地･駅ビルなどへの期待が郊外部よりも高まっている。―本社調査で明らかになった。個人消費不振に加えてガソリン代高騰などが郊外SCにマイナスと映り、逆にアクセスの良い駅ビル･ファッションビルや復興計画が進む中心市街地に人気が戻っている。改正まちづくり3法対応で注目されていたライフスタイルセンター(LsC)など新フォーマットがまだ確立されていないのも、郊外部人気低下につながっていると言えそうだ。
日本通信販売協会推計による07年度国内通信販売売上高は、前年比5%増の3兆9千億円で、9年連続で過去最高を更新した。インターネット経由の受注が好調で、消費者の安全･安心志向の高まりを背景に産地直送の食品などが伸びた。
外国人旅行者が東京を訪れる目的の一番は買い物。特にアジア旅行者は約6割―。東京都がこのほど発表した｢外国人旅行者行動特性調査｣で、そんな結果が出た。同調査は、｢観光客数等実態調査｣の07年度版の中で初めて実施し、まとめたもの。購入場所では百貨店、商店街が目立ち、購入品目は上位から食料品、装飾品、和小物、工芸品、衣料品。情報入手先はガイドブックが一番だが、続いてインターネットが多かった。
繊研新聞社の専門店売上高調査で、採用難による人件費のアップやガソリン高に伴う物流費の上昇など、専門店の販売･管理費が増大しており、今後もその傾向は続くとみている。一方、家賃は出店抑制に入ったテナントと売り場拡大を続けるディベロッパーとの力関係の変化から、現状維持か減額を狙う企業が増えている。
今年に入って新興のディベロッパーの破綻が相次いでいる。5月に商業専門のミキシングが民事再生法適用を申請、上場企業では7月にゼファー、8月にアーバンコーポレーションと続く。これら新興ディベロッパーは、不動産を購入、開発してファンドなどへ売却する流動化ビジネスで短期間に急成長してきた。斬新な開発手法として脚光を浴びた流動化の手法も昨年末からの金融不安、不動産不況で行き詰まりを見せる。
ロンドンの英国王室ご用達であるクリーニング業者JEVES社の詳細な報告である。同社はロンドン市内に、機械設備がなく、預かり品のストックルームが広い営業店舗を9箇所もつ。最も新しいメファイア店の報告が詳しい。イギリスでは、クリーニングの顧客は富裕層であったが、メファイア店は顧客のすそ野を拡大する狙いで,新しいイメージの店舗設計をした。背広上下の基本価格が6,300円で，これに素材やシミなどにより加算される。受付から仕上げまで，コンピュータに基づいた品質管理が徹底的に行われている。38枚の鮮明な写真が説得力を増す。
クリーンライフビジョンCLV21が派遣した視察団の報告要旨で、ドイツのホーヘンシュタイン研究所における質疑の概要を紹介した。パークの土壌汚染は，1万を超える施設の半数以上に可能性がある。土壌から空気を採取してパークが検出されれば修復作業を行う。修復作業は全掘削、汲み上げ、微生物などである。またVOCは、土壌、排水、大気別に基準を設けている。現時点では、パークを禁止する法律はない。石油30%に対してパークは70%である。各種の代替溶剤については、いずれにも同研究所はネガティブの見解を示した。
シミ抜きを有料で実施している72社に対して、クレームの実態を本新聞社が調査した。シミ抜き有料化により起きたクレームは、39%の会社が経験していた。また消費者に｢シミが落ちていなかったことがあったか｣と質問をしたところ、｢ある｣は東京40%、札幌87%となり、地域差が見られた。クレームの原因について、業者は｢技術･知識の不足｣と｢受付の説明不足｣が、いずれも43%を占めた。有料の対象になるシミ抜きは、通常の前処理では除けないシミであり、落ちなくても返金しない店が多い。やり過ぎて、多額の弁償に至った例もあげられた。
主婦連合会が原案を作成した｢リコール社告｣が6月20日、JIS規格(JIS S 0104)に制定された。表題に①リコール社告、②どの会社のどんな製品をどうするのかを目立つように記載し、③文中にその製品の図が描かれているのが特徴。JIS規格 の原案を消費者団体が作製したのは、初めて。
国民生活センターが、天ぷら油が発火した際に鍋を覆って消火するなどを用途とする消火用布について性能テストをした結果、１回は消火されるが再び火が付くことが分かった。テスト対象の消火用布は店頭または、ネットで購入した4銘柄。確実に消火できる火災の規模や方法などについて具体的な表示はなかった。また、鍋を消火用布で覆ってから再び火が着くまでの経過時間は、銘柄によって16～57秒だった。以上のことから、天ぷら鍋火災の消火には、NSマーク付きの消火器やエアゾール式簡易消火具を使用することが望ましい。
愛知県県民生活部県民生活課は、従来の吸汗･速乾に加え、接触冷感など新しい機能の表示をしたTシャツのテストをした。家庭用品品質表示法上の表示には、問題はなかった。吸水性は、比較対象の綿100%が最も吸水性に優れており、特に機能性を表示した製品のみが優れていることはなかった。汗などの少量の水がついた時の速乾性には優れていた。洗濯後の乾きやすさは、製品の組成繊維の吸水性に影響し、ポリエステル使用製品は、乾燥が早いが、吸水性の高い綿やレーヨン製品は乾燥が遅く、機能性を表示した製品が早く乾くことはなかった。接触冷感は、比較対象製品の綿100%が一番大きくなり、接触冷感表示があっても、それほど大差なく特に接触冷感が大きいことはなかった。
ワイシャツのえりや前立てには芯地がはいっているが、永久接着芯を使ったものは、商業クリーニング時の高温･高湿のプレスで縮みやすいことが。栃木県消費者センターが05年度に行った試買テストでわかった。テストしたワイシャツに｢永久接着芯使用｣という表示はなく、アイロン温度｢中温｣表示か｢形態安定加工｣か、芯地の注意喚起表示かのいずれかの場合、永久接着芯を使用している可能性が高いことが分かった。
全日本婦人子供服工業組合連合会は、07年度に傘下企業の商品について同連合会に寄せられたクレームや問い合わせの件数とその内容などをまとめた。縫製不良に関するクレームが最も多くなっている。そのうちの70%がほつれ。中でも縫い目、裾、袖付け部分のほつれがほとんどを占めた。付属不良では、ボタン、ファスナー、ゴムで90%に達した。事故には、コートの首周りに付いたプラスチック製留め具が外れて眼球を直撃、スリット入りスカートにもかかわらず縫製工場がスリットを入れ忘れ、しかもメーカーも検品で見落とし、着用した消費者が転倒した例もあった。
全国クリーニング生活衛生同業組合連合会･クリーニング綜合研究所が発表したワイシャツの事故分析結果によると、事故件数は05年4月～08年6月で114件。事故の半数を占める損傷･破損･穴あきの件数は59件で、原因は薬剤によるものが23件、物理的作用によるものが15件、含金属染料と酸素系漂白剤の作用によるものが13件である。薬剤によるものは高濃度の塩素系漂白剤などが主な原因物質と考えられる。素材別件数の上位は綿74件、綿･ポリエステル混24件。綿100%の高級素材が約65%を占め、絹素材も見られる。原産国別件数の上位は日本53件、中国15件、イタリア5件の順。
日本絹業協会は、繭から一貫して日本国内で生産された製品を対象とする｢純国産絹マーク｣を発行した。同マークは｢国産の繭から繰糸した生糸等を用いて国内で製織、加工及び縫製された純国産絹製品の識別を容易にすることを目的とする。マーク表示の要件は①国産の繭から繰糸した生糸(紬糸等を含む)を使用し、国内で製織された白生地、和装品、帯。その他、日本絹業協会が認めた和装小物、洋装品②蚕糸業と絹業の提携により開発された生産履歴が明確な製品の繭または生糸の特徴、希少性がいかされているものと指定している。純国産絹マークは繭原料まで国産であることを求める。
｢水洗い不可｣表示のある衣類の家での水洗いを試行している。アパレルメーカー、洗剤メーカー、クリーニング関係から意見を参考の結果、｢つけ込み洗い｣が可能な商品があるが、素材による対応が示されている。
奈良県磯城郡川西町は、貝ボタン製造の全国トップシェアを誇っているが、どうして海のない奈良県で貝ボタンが作られるのかは、素朴な疑問である。貝ボタン産業は、明治20年頃、ドイツ人の技術指導により神戸市に初めて伝わった。それが明治30年頃には大阪河内地方に伝わり、その後、和歌山県や奈良県に伝わった(明治38年頃)。このような貝ボタン製造の歴史や使われる貝の種類、製造工程などが説明され、貝ボタン産業の現在と貝ボタンの未来にも言及している。
カーボンオフセットとは、日常の事業活動や生活で排出する二酸化炭素などの温室効果ガス(カーボン)を植林やクリーンエネルギー事業などを通じて吸収(オフセット)しようという考え方や活動のこと。ワーキングユニフォームのサンエスが環境対策を強化し、09年春夏物から丸紅と共同でカーボンオフセットユニフォームの販売に乗りだす。再生ポリエステルを使用したユニフォームの製造工程で排出する二酸化炭素の量に、丸紅が手掛ける温室効果ガスの排出権ビジネスを活用。ユニフォームを購入する企業、事業所が、独自に排出権を購入したり、温室効果ガスの削減に取り組むことをサンエスが代行する形。
繊維･ファッション業界で繊維の基礎知識から商品情報、ファッショントレンドなど幅広い知識が必要と判断し、各種講演会、セミナーなどに社員を派遣する企業が増え、繊維製品品質管理士(TES)の資格を取得しようとする動きも強まっている。事業環境の厳しさが増す中、人材育成が生き残りの必須条件になってきたようだ。
YKKファスニングプロダクツ販売は、再生材料を使った環境配慮型ファスナー｢ナチュロン｣シリーズの販売に力を入れる。YKKグループは94年に環境宣言を行い、コイル、ビスロンのファスナー、続いて面ファスナーの販売を始め、本年4月より金属ファスナーを発売した。金属ファスナーとビスロンファスナーは、テープ部に再生PETを使用し、コイルファスナーはテープとエレメントに再生PETを使用している。販売にあたってはケミカルリサイクル･マテリアルリサイクルの循環型、再生PET使用やサーマルリサイクルの省資源型に大別し、目的に合わせた商品を提供する。
今年1月～6月のタイから日本へのアパレル製品輸出が前年同期比12.4%増加したが、これは昨年11月1日に発効した日本･タイ経済連携協定(JTEPA)の効果が出たものと関係者の間で話題となっている。タイ商務省によると、今年1～6月のタイのアパレル製品の対日輸出は1億7000万米ドルで前年同期比12.4%増加した。同じ時期の日本のアパレル製品輸入額は1兆1400億円で前年同期比8.6%減。うちタイからの輸入は138億円、同3.8%減。これは円高により円表示が小さくなっているためで、為替要因を除くと実質は増加していると見られる。タイ側統計(ドルベース)で対日アパレル製品輸出が2桁増を示していることについて、ある日タイの繊維貿易関係者は｢昨年11月に発効したJTEPAでタイ国原産のアパレル製品の日本の輸入関税が10%前後からゼロになったためではないか｣とみている。
①10月24日②大阪科学技術センター③スポーツ･インナー用途における新素材、ナノスケール加工、環境に配慮したソフトで軽いポリエステル繊維、他④日本繊維機械学会 TEL.06-6443-4691
①11月5日②大阪科学技術センター③京都優良企業のケーススタディ、京都･VIS支援店リサーチ報告、他④日本繊維機械学会 TEL.06-6443-4691
①11月12日～13日②大阪科学技術センター③化合繊概論、合成繊維の高次加工－染色加工、特化化合繊の開発動向、スーパー繊維とその用途展開、他④日本繊維機械学会 TEL.06-6443-4691
①11月16日②東京工業大学大岡山キャンパス③自動車と繊維、カーシート表皮材の動向と今後のシート表皮材、自動車用途における高性能不織布、他④繊維学会 TEL.03-3441-5627
①11月20日②大阪科学技術センター③機能加工の動向―新しいナノテク加工を中心として、色材の動向―新しい染色技術を可能にする色剤、最新の環境テクノロジー、他④日本繊維機械学会 TEL.06-6443-4691
発行：一般社団法人日本衣料管理協会 会長：中島利誠／発行人：大谷芳男