ミニ情報TOP→ 日本衣料管理協会TOP→ バックナンバー一覧(2003年度:第20巻〜)→
08年下期の繊維通商政策の焦点はベトナム、インド、スリランカなどの経済連携協定(EPA)交渉の推進と、発行したEPAを活用したアジアでの事業展開にある。7月に決裂した世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)は交渉結果の検証と早期妥協が課題となる。
経済産業省・中小企業基盤整備機構は繊維アーカイブの構築を目指して、08年度にデジタルアーカイブ作成事業と体験型事業を実施する。各繊維産地の貴重な素材や匠の技などの情報を総合的アーカイブとしてネットワーク化し、繊維ファッション企業とのビジネス・マッチングの機会を提供する。
内閣府の8月の国民生活モニター調査で、値上げラッシュで減らしている支出は、外食68%、ガソリンなどの自動車維持費52%、菓子49%、国内旅行47%についで衣類・靴が44%であった。
各種学校の認可を受けていないファッションデザイン教育機関の外国人学生受け入れが可能になった。経済産業省など関係各省が就学生として受け入れるための制度を検討、実施のための審査基準を策定した。
下請かけこみ寺は中小企業庁が4月、下請振興協会の協力を得て本部や都道府県に開設し、下請取引にかかわる各種相談への対応、裁判外紛争解決、下請適正取引ガイドラインの普及啓発などの事業を行っている。開設から9月19日までの相談件数は1409件であった。
経済産業省は中小企業庁と連携し、海外の販路開拓を支援する専門事務局を発足するなど09年度から中小繊維事業者が生産した製品のアジア輸出を強化する。日本独自の素材や技術を生かしたJAPANブランドを海外の衣料品メーカーの仕入れ担当者に紹介する事業を始め、新商品開発に補助金も出す。
内閣府の模倣品・海賊版に関する国民意識調査で、高級ブランドなどニセモノの購入は「仕方がない」と52%が考えていることが分かった。2年前の調査の45%に比べ容認派が増えており、政府は啓発活動の見直しを迫られそう。
環境省が発表した2007年度の国内の温暖化ガス排出量は二酸化炭素換算で前年度比2.3%増の13億7100万トンと過去最高を記録。温暖化ガスを出さない原子力発電所の停止が響いた。京都議定書の実行期間がスタートした08年度は景気減速で排出量が抑制されるものとみられるが、原発の運転再開など不透明な要素も多く、議定書の目標達成へのハードルは高い。
この規格は、抗菌防臭加工又は制菌加工を施した繊維製品の細菌に対する抗菌性を評価する試験方法、抗菌効果及び表示について規定したものであるが、細菌の生産及び使用の実態を踏まえて、規格内容の充実を図るため、改正を行うものである。主な改正点は、次のとおりである。@ISO 20743へ整合化する。AJIS R 1702ファインセラミックス―光照射下での光触媒抗菌加工製品の抗菌性試験方法・抗菌効果を引用する。B菌転写法の試験布にカーテン、カーペット等の厚地の試験条件を追加する。
シキボウはこのほど、三層構造ポリエステル綿混糸「レイヤーン」を開発した。既存の二層構造糸を上回る吸水性と優しい風合いが特徴である。現在、これを使った生地設計を進めており、早ければ09年秋冬からユニフォーム分野に投入する考えである。レイヤーンは、芯にポリエステル短繊維、その周囲にポリエステル綿混を配置し、さらに綿でカバーリングした三層構造紡績糸。表面の綿に吸収された水分は一時、中間層のポリエステル綿混が素早く吸収し、スムーズに芯のポリエステル短繊維に毛細管現象を通じて吸収される。このため二層構造糸を上回る吸汗速乾性を実現。表面は綿100%のため風合いも優しい。
自動車内装材としての繊維の課題は耐久性である。そして内装に様々な機能を持たせ、健康で快適な空間を提供することにある。耐久性とは、耐熱性、耐光性、耐摩耗性である。このため内装材をポリエステルに集約し、静電気防止、防水・撥水・透湿、抗菌の機能を繊維に付与している。最近の自動車開発における大きな視点は、人と環境にやさしい商品開発であり、繊維系部品も触感・風合いなど、人に優しい高機能性と地球環境に優しい素材が求められる。再生可能な材料と共に天然素材、天然(植物)由来の素材の使用の試みが始まっている。ポリ乳酸繊維は、繊維の太さや繊維断面形状等の改良によりフロアマットへの実用化が可能となっている。ケナフ繊維は、熱可塑性樹脂のポリプロピレンをバインダーとし、ドアトリム基材として実用化されている。
高強力、高弾性が特徴のスーパー繊維に代表される高機能繊維が、新たな成長のステージに入った。各社の新設備が昨年後半から今年後半にかけて次々と立ち上がるからだ。それぞれ現況は異なるものの、高収益事業として合繊メーカーの重点事業と位置づけられている。背景には環境・安全など世界的な社会環境の変化がある。それに貢献できる高機能繊維は、原燃料高騰というアゲインストの風が強まっているものの、基本的に年率10%以上成長という見方に変わりはない。成長を続ける高機能繊維市場を探る。
オーミケンシはこのほど、美白効果があるといわれる化粧品原料「α−アルブチン」を練り込んだ美白レーヨンを開発した。今下期からコスメ分野を中心に不織布製品として販売をスタートさせる予定である。α−アルブチンは、シミ・ソバカス・日焼けの原因となるメラニンの働きを抑えるとされ、美白クリームなど化粧品の原料として注目が高まっていた。これに着目したオーミケンシでは、α−アルブチンをレーヨンに練り込むことに成功。美白レーヨンの開発に成功した。
NI帝人商事は、超極細繊維の防塵・防ダニ布団カバー「ミクロガード」で抱き枕を開発した。布団カバー用の生地を枕の側地(ポリエステル75%、ナイロン25%)に使い、中から出るダニやほこりの飛散を抑える効果を持つ。ミクロガードは、織物の繊維隙間が小さく、フィルター性に優れ、ダニの出入りを物理的に遮断する。薬品を使用しておらず体にも優しい。さらに、超極細繊維の毛細管現象で吸水性や速乾性も持つ。
東洋紡グループの日本エクスラン工業は、吸湿性に優れたアクリレート繊維「ボディパフォーマー」と、高い制電性能を持つ「エレス」の二つの新素材を販売する。ボディパフォーマーは15%の高い吸湿率を持つ。これまで染色できる色に制限があったが、分子段階で他成分を架橋結合させることで弱点を克服、染色可能になった。スポーツウエア向けに展開する。エレスは摩擦耐電圧2kv、半減期3秒以下という制電性能を持つアクリル綿。綿は無色透明で10%程度混ぜることで、十分な制電性能が発現する。
グンゼは水だけで洗濯できる下着を、来春までに男性用だけでなく、女性・子供用にまで広げる。商品はグンゼが独自開発した綿素材を使用しており、洗剤を使わずに水だけで洗濯しても皮脂や汗の汚れを落とせるのが特徴。すすぎの工程も不要。環境負荷が軽く洗濯の手間がかからないことを売り物にしている。家族全員が同じ下着を身につければ、まとめて洗いやすくなる。女性向けは「ネクストラインナー」の名でキャミソールや七分袖など5種類、子供向けは「ザ グンゼfor boys」などの名称で発売する。肌の刺激を減らすためブランドタグを廃止するほか、新生児向けは縫い目が肌に当たらないよう裏縫いするなど、付加価値の高い商品にシフトすることで、競合の激しい国内で成長を目指す。
広撚は、扁平レーヨン「バイロフト」による新素材開発に力を入れている。「バイロフト」はドイツのケルハイムファイバーズが展開する扁平レーヨン短繊維。EU域では吸汗・速乾性能を生かしてスポーツやインナー向けニットとして浸透しているという。広撚は、扁平形状や繊維側面のスリットがもたらす従来のレーヨンとは異なるハリ感、膨らみ感に注目し、紡績糸の開発に取り組んでいる。
スリーエムヘルスケアは、断熱機能を持つ中わた「シンサレート」で、消臭機能を付与した新商品を販売する。ファッションを中心にカバンやインテリアなど用途を広げ、09年度に1億円の販売を目指す。新商品はポリエステル85%、消臭機能を持つ酵素で染色したレーヨン15%からなる。消臭機能は臭いの分子を吸着するタイプと分解するタイプの2種類がある。効果が早く出る吸着タイプと長い期間、機能を持続する分解タイプの両方を使うことで、消臭の機能を高めた。においの元となるアンモニアや硫化水素、酢酸は分解され、24時間たつと20%以下に減る。
水着メーカーのスポーツヒグ(大阪府和泉市)は、「コーズ」ブランドで山本化学工業(大阪市)の機能合成ゴム素材「バイオラバースイム」を採用した新製品を販売。バイオラバースイムは、合成ゴムとナイロンの積層構造であり、最大の特徴は水に対して低抵抗である。水との摩擦抵抗係数は0.021(氷は0.000,人間の皮膚は2.0)で、1.3〜1.8の他の競泳水着と比べても抵抗は小さい。素材表面が「ハニカム構造」で直径1mmに約23個の窪みがあり、そこに水分子が入り込み、分子同士が結合していくことで水の層を作っている。つまり「水の上を水が滑る」仕組みである。更に、0.3〜0.5mmという素材の薄さと、190g(スーツタイプのサンプル製品)と軽い。学生の試泳で、他社製品に比べて血中乳酸濃度が低く、疲れにくいというデータもでている。
09〜10年秋冬テキスタイル・キーワード・アンケートで、春夏に続いて「エコロジー」が首位をキープした。わずかな差で「ソフト」と「軽さ」が続き、注目度が高まる「膨らみ」ともつながっている。圏外だが、注目の色柄として「今秋冬に続き様々に変化した『チェック柄』」(宇仁繊維)とエコをイメージさせる「グリーン」が健闘した。ここでは、キーワードとなった「エコロジー」「ソフト」「軽さ」「上質・高級感」「ナチュラル」「膨らみ」の内容を紹介している。
東レは、環境・リサイクル活動「エコドリーム」を加速するため、再生型のリサイクル繊維を「エコユース」、回収循環型繊維製品を「サイクリード」として新たにブランド化した。再生型の「エコユース」は、ペットボトルやフィルムの工程くずなど再生原料を使用したリサイクル繊維で、回収循環型「サイクリード」は、繊維製品を使用後に回収することを前提にし、回収した製品は繊維や副資材などに再生するもの。同社はポリエステル、ナイロン6両繊維の素材特性を考慮したリサイクル手法で再生型、回収循環型をそれぞれ展開している。
伊藤忠商事繊維原料課は、インドでオーガニックコットンの生産に切り替える零細綿農家を支援する「プレ・オーガニックコットン」企画を立ち上げた。オーガニックコットンに認定されるまでの3年間、無農薬で育てられたコットンを全量買い付け、合弁工場で紡績糸にして販売する。今年3月からオーガニックコットンのコーマ糸のストック販売も始めており、「オーガニックを世界に広める」環境対応ビジネスを強化する。
毛織物メーカーで、ペルーの山岳部など南米の高地で育ったウール原料を使った素材の提案が相次いでいる。飼料となる草が乏しいやせた土地が多いほか寒暖の差も激しいなど、生育環境が厳しいのが高地の特徴。そこで育つ羊の原毛は、厳しい環境に耐えうるように保温性やバルキー性を自然に備えている。一般的な豪州メリノなどと違った原料特徴を生かし、新たな差別化素材として訴えるのが狙い。田幸(岐阜県)は、南米高地で育った羊毛を使った梳毛糸を「ハイランド自然ウール」、タッカ(愛知県)はバイオーダーによる南米産のウール糸「アンデスウール」を使った生地を提案している。
農業生物資源研究所(茨城県)のグループが遺伝子組み換えカイコの共同研究を進めている。蛍光色シルクや超極細シルク、人工血管や皮膚、スパイダーシルクなどの実用化を目指す。オレンジに光る蛍光シルク。オワンクラゲやサンゴの蛍光色素をカイコの卵に注入し、フィブロインに蛍光を発現させた。精練の過程の高温で色が抜けやすいため、特殊な薬剤と真空を利用し、低温精練法も確立。極細シルクは人工たんぱく質を導入し、従来よりも直径が10〜20%細い1.7Dのシルクを作ることに成功している。オニグモの遺伝子を使って、クモ糸の強さと伸縮性を生かした“スパイダーシルク”の開発も進めている。
防染は柄の部分に色がのらないように加工するプリント技法で、抜染は無地に染めた後に型に合わせて柄の部分だけ色を抜いていく方法。通常のオーバープリントとは違って、単彩な柄に深みをもたせて演出できる。このため、京都を中心としたほとんどの捺染工場で主要なプリント法として活用され、アパレルメーカーからの支持も高い。ところが、加工材の主要成分である塩化第一錫が1年の間に50〜60%値上がりして採算がとれず、加工を見合わせる捺染工場が相次いでいる。加工賃値上げが難しい現状から、ファッション衣料に使われた貴重な技術がなくなる可能性も出てきた。
超軽量のナイロン織物にも繊細な柄が表現できるデジタルプリント技術を小松精練が開発した。ナイロン織物のデジタルプリントはインクがにじみやすい、しわになりやすく、繊細な柄や鮮やかな色は出しにくいといわれている。これを、プリント前後に特殊な高次工程を施し、染料、プリンターを改良することで、15Dの薄地織物にも加工が実現した。開発には15年、10億円を費やしたという。デジタルプリントは染料や、薬品、エネルギー、排水の削減、小ロット生産ができる。ナイロンのほか全素材に対応できる。
環境ベンチャーのサン・アクト(京都市)は本藍染雅織工房(同)と提携し、インドネシアで天然の藍染め染料の量産を始める。このほどインドネシアで藍の栽培を開始。染料を作る工場も建設、国内生産より生産コストは50分の1にできる見込み。日本古来の藍染めは布地を植物由来の天然染料の中に何度も入れて定着させる。繰り返すことで染料中のポリフェノールなどの成分も付き、紫外線カットや消臭効果、抗菌効果も付加されるという。同社は肌が弱い人向けの衣服などの試験的な販売を今年から始めている。今後はインドネシア産藍を使った製品を増やすほか、有効成分の研究も進める。
愛知県産業技術研究所三河繊維技術センターは、ミカンの枝や葉から色素を抽出し、綿を染める技術を開発した。三河地区の蒲郡はミカン栽培が盛んで、剪定の時期になると大量の枝葉が切り出される。同センターは、この枝葉を煮出した液をスプレードライ方式で色素だけ取り出すことに成功した。粉末状の色素は水にも溶けるため手軽な染料として利用できる。また金属媒染剤を使えば様々な色が出せ、チタンではオレンジ味かかった黄色に、アルミニウムでは黄色が強くなり、鉄では茶味が出る。この技術を三河地区の他の特産品にも応用、紫麦や紫黒米のヌカから色素を抽出する方法も確立した。
小松精練はグループ傘下の水着メーカーのヤマトヤと共同で、水着用の新素材として撥水速乾の「ドライサラ」と塩素臭消臭の「ホトフレッシュ-CL」の2素材を開発。ドライサラは、繊維が水をはじき、水を含みにくくし、水着の着用者が水から上がった後の冷え感を抑える。乾燥時間も従来品の3分の1。ホトフレッシュ-CLは、プール水の塩素臭にも対応する光触媒消臭機能素材。フィットネスやスイミングクラブなどに通う女性から塩素独特の臭いへの不満が大きいことから、これに対応する素材として開発した。従来のホトフレッシュ素材の消臭剤を改良し、塩素臭の消臭効果を高めた。
クラボウの電子線グラフト重合による高機能ナチュラルファブリック「EBRIQ/イブリック」が技術的に紹介されている。電子線グラフト重合とは、電子線を用いて母体の高分子材料に新たな機能を付与して新たな物質をつくる技術。機能は、分子レベルの結合であるので半永久的であると同時に、天然繊維の風合いが損なわれない特徴もある。項目として、連続式電子線グラフト重合装置、高性能を発揮するメカニズム、消臭機能、吸湿発熱機能、抗菌機能がある。繊研,〔08・10・9(4)〕では、消臭、吸湿発熱、抗菌に次ぐ第4弾は接触冷感であると報じている。
プリント工場の大景(京都市)は、天然草木100%の染料を使ったプリントを開発、受注を開始する。草木染めのプリントは珍しい。もともと草木染めは堅ろう度が低く、無地でも難しいが、同社は媒染の工夫に加え、染色時間や糊剤、仕上げ工程などで独自のノウハウを開発、スクリーンでも安定して染められる技術を開発した。堅ろう度も3〜4級をクリアして、プリントとして完成させた。60色以上のカラーが表現できる。ウール、シルク、綿、麻などの天然繊維だけでなく、セルロース化学繊維までプリントできる。エコロジー性に加え、天然の草木染料らしい落ち着いた優しい色が得られるのが特徴。
ソトーテキスタイル事業部は09〜10年秋冬向けに、ウール織物で優れた伸縮性、キックバックを発揮する加工「ネオストレッチ」を開発した。従来もスパンデックスを使わない同様の加工はあったが、特にキックバック性が向上し、ひじやひざ抜け防止に、より効果的となった。伸び率は12〜13%あり、耐久性にも優れる。ウールが土にかえることや、スパンデックスより製造過程や廃棄で環境負荷が少ないことも訴求する。テキスタイルの自販を行う同事業部は07年5月に設立された。また、業務提携するダイドーリミテッドとは輸出で取り組んでいる。
ファーストリテイリング(FR)は今後のユニクロの戦略について、出展立地と生産拠点のグローバル化を促進する。出店ではインドとロシアへの出店を検討、準備に入る。生産ではベトナムでの生産拡大とバングラデシュに生産管理事務所を設立、インドでの生産検討に入るなど中国以外の生産拠点確立を目指す。海外ユニクロを現在の300億円から、1000億円に引き上げるために、既に新会社を設立したシンガポールでは09年春、1号店を出店、さらにロシア事業準備室の設置、インドの市場調査を開始する。
子供服アパレルは、中国生産を取り巻く環境変化の中、新たな対応を強めている。生産安定化や低コスト化への工場集約化、さらに内陸部でも協力縫製工場を確保するとともに、新たな生産国への進出にも着手する。トータルコスト削減に向け、検品・物流拠点の強化も焦点に挙げられ、品質・納期管理の徹底でロス排除を再認識する動きも強まる。量販店向けのアパレル動向の中、中国生産の現状と今後を見つめてみる。
通販のニッセンと文化・服装形態機能研究所が共同開発を進めていた、現代の50代女性の体型をリアルに反映したヌードボディが完成した。ニッセンは08年から同ボディを用いた服を導入、文化はボディを販売する。
ワンピース、レギンス、ボンボンが付いたニット用の帽子−街着と変わらないファッション性の高いコーディネイトが店舗に並ぶ。いずれも「アディダス」ブランドのゴルフ用品を展開するテーラーメイドゴルフ(東京・江東)がこの秋冬に生産販売する女性用ゴルフウェアだ。「海外のコレクションやファッション誌から人気のスタイルを研究している」と商品開発を統括する土田祐三氏は話す。アディダスは女性ゴルフ人気が広がってきた2年前から女性用ウェアを3ラインに分けた。街着としても通用するデザインを取り入れた「スポーツライン」クラシックなイメージの高価格帯商品「クラブライン」そして契約プロも着用する「ツアーパフォーマンス」だ。
雑貨企業間のコラボレーションが注目だ。百貨店平場を中心に展開する靴やバッグ、アクセサリーなどのメーカーが一致団結し、業界の垣根を越え、一つのブランドを立ち上げ攻勢を掛けている。社会、政治不安などによる景気低迷が影響し、苦戦を強いられる市場で、雑貨メーカーの新たな取り組みが起爆剤となるか。
銀座テーラーでは、着たままでゴルフスイングできる新スーツ「OMS21」を開発・発売した。これは関節部位にスライド式のプリーツを設ける新しい設計仕様のスーツで、身体の動きを妨げない快適な着心地のスーツを、あらゆる素材で実現するためにはどうしたらよいかという同社の技術的課題から開発された。スライド・プリーツは内部にストレッチ素材の裏地を設け、人体の動きに合わせ表生地がスライドする仕組み。普段はダーツ程度にしか目立たないプリーツが、動作に応じて開閉するというもの。本稿では、他にサンリット産業の「ビズラペル」が紹介されている。
レナウンは、来春夏の百貨店向けメンズブランドで、アンコンモデルの復活など、軽さを前面に打ち出す。さらに基幹ブランド「ダーバン」では、スーツで7万6000円のエントリープライスを用意。軽さと価格の両面で需要を喚起していく。「ダーバン」は、サマースーツでアンコンモデルを提案。ジャケットの柔らかいドレープ感や着心地に重点を置いた。華やかさを演出するホワイトパンツにブルー&パープル系のアイテムを差し込むほか、シャツ地のジャケットを投入。同社では「入門編の商品を展開するが、全体の価格設定は前年並み。ダーバンの価値はユーザーに分かってもらえるはず」としている。
デサントは08年秋冬の戦略素材として「ヒートナビ」を帝人ファイバーと共同開発した。今秋から全社水平展開を開始し、10ブランドの秋冬商品の主力アイテムに採用する。ヒートナビは、太陽の発する光の波長領域を余すことなく吸収する特性を持つ炭素系無機物質を練り込んだ新開発の繊維を使用することで、積極的に保温する環境配慮型の画期的な素材。商品の下げ札や店頭での広告販促物を統一したイメージで展開する。ヒートナビの特徴として、@クリーンエネルギーA積極保温Bリサイクル繊維C軽くソフトな風合い、が挙げられる。
アツギは来春夏、基幹のプレーンパンスト「ミラキャラット」で、伝線しにくさに焦点を当てた新ラインを発売する。新ライン“伝線しにくい”は、旭化成と共同開発した熱融着糸を使用する。15Dのポリウレタンに9Dの扁平ナイロンを巻きつけ、透明感と肌触りの良さを追求した。消臭加工は、同社独自の光触媒加工を施している。価格は500円。
上場アパレル企業の08年度中間連結決算は市況の低迷を反映し、大半が期初計画を下回り、減収、営業減益となった。粗利益率は不採算ブランドからの撤退効果や在庫管理の徹底などによって改善した企業も多かったが、店頭販売の不振が響いて経費増を売上高で補えず、大半の企業の販売・管理費比率が上昇、利益を圧迫した。下期の市況見通しも厳しく、大半が通期の業績予想を下方修正した。
婦人アパレルは量販店向けの09年春夏物で、エコ素材と機能素材使い商品を積極的に提案する。ミッシー・ミセス層における地球環境保全への意識の高まり、不況感での消費低迷に対する需要喚起などで打ち出すもので、付加価値性を訴求しながら、量販店平場としての値ごろ価格を重視する。
日本のメンズデザイナー、新興ブランドの海外進出が加速している。2〜3年前から合同展やショールームを通じ世界のショップに販売するブランドが増え続けている。海外展やショールームもこぞって日本のメンズブランドを探し、熱気は衰えない。なぜ瞬く間に海外市場が近づいてきたのか、これからの可能性と課題は、世界市場に立ったジャパンメンズの今を追う。
「世界の工場」として大きな伸びを続けてきた中国の繊維産業が調整局面を迎えている。世界的な景気減速や元高、人件費をはじめとする様々なコストの上昇を背景に、輸出に陰りが目立ってきた。内需の動向は読みづらいが、過去のような成長は望みにくい状況だ。ただ、総論では厳しい局面だが、この間に布石を打ってきた企業の中には、今が逆にチャンスととらえる向きも多い。外資系企業の中には中国内販に力を入れる動きが進んでいる。2008年10月20日〜23日に開催された素材展、インターテキスタイル上海から中国繊維産業の動きを探った。
旭化成AGMSは、立体グレーディングシステムの販売を始める。先日開催したJFWジャパン・クリエーションでは、レディスのジャケット・スカート・パンツのグレーディングルールを作り、実際の立体グレーディングの作業を初めて披露した。B体でもマスターパターンを別途作る必要がなくマスターひとつで対応できる立体グレーディングは、現場の悩みを解消する期待のツール。年齢とともに変化する体型にフィットする服づくりは、各分野で注目されており、同社のCADでの立体グレーディングの取り組みは、ミセス、フォーマル、ユニフォームなどの業界の関心を集めているという。
ユニクロは、東レ、国内デニム製造大手のカイハラ(広島県)と共同で、発熱保温素材「ヒートテック」を使った細身タイプの女性用ジーンズを開発。下にタイツなどをはかなくても温かく、冬場でも脚のラインをすっきりと見せたい女性に売り込む。生地のよこ糸に、体から出た水蒸気を吸収して発熱するヒートテック糸を使用。ジーンズの内側は起毛加工をし、足を通した際のひんやりした感触が減るという。新商品「ヒートテックストレートスキニージーンズ」の価格は3,990円で、黒と紺の2色。
米大型店08年度上期決算は50社合計で売上高は前年同期比6.3%の増収だったが、11社が赤字、20社が減益となった。粗利益率が低下した企業は半数を超え、31社が営業利益利率を下げるなど収益率を弱めている。業態では、婦人服専門店、百貨店の苦戦が続いている。
繊維・ファッションビジネスの60年のシリーズの中で、@Aでは、百貨店の90年代中盤からの激動をまとめている。企業倒産や不採算店舗の閉鎖が相次ぎ、SCなどとの業態間の競合を激化、苦難の時代が続いている。BCでは量販店の50年間の経緯がまとめられている。60年代勢力を広げ、70年代後半からの合従連衡、流通再編を繰り返しながら続け、規模拡大した。だが、バブルが弾け、相次いで破綻に追い込まれ、事業の縮小均等には依然歯止めをかけられないでいる。
世界3位の衣料専門店H&Mが9月13日銀座に国内1号店を開いた。来客数は3日間で2万4千人を超すなど大盛況。物価の値上がりなどが響き衣料品の消費が低迷する中、インデックスやユニクロなど国内外の競合他社も販促や出店を強化し、客の奪い合いが激しさを増している。
紳士服専門店青山商事は、9月に店で試着できるインターネット通販を始める。まず、紳士服や靴など80品目の通販限定商品を提供、消費者がネットで注文した商品が近くの店に配送され、試着して気に入れば購入する。着心地や素材感が想定と異なるという消費者の不安を解消できる仕組みにする。
eリテール特集の中で、流通現場の最新事情を紹介。電子マネーの発行数が1億を突破し、携帯電話を利用した新サービスが続々登場するなど、ITを活用した企業の顧客囲い込みが消費者に浸透してきた。
婦人フロアの改装に伴い、百貨店が各ブランド売り場面積を小さくする動きを見せている。10月1日にオープンした小田急百貨店新宿店(東京・新宿)の売り場では、従来に比べ平均30%圧縮。東急百貨店東横店(東京・渋谷)も同じ程度圧縮した。売り場が狭くても済む雑貨中心にブランド数を増やし魅力を高め、買い回りもしやすくなると見ている。
大阪の百貨店が音楽を切り口にした顧客開拓に乗り出した。関西の紳士服販売をけん引する阪急百貨店メンズ館では、館内でファッションショーを開催。各フロアごとにDJブースを設置したクラブや往年の名曲の演奏で演出した。近鉄百貨店は若い世代の来店増を目指しストリートライブを定期開催する。大阪の百貨店売上高は苦戦が続くが、紳士服だけは上向き基調。2011年に大阪進出する三越伊勢丹を見据え、各社は潜在顧客の囲い込みを急いでいる。
全米小売業協会は、今年の11、12月売上高のホリデー商戦を470億ドル、前年比2%と予測、過去10年間の平均伸び率4%に対し、02年以来最も低い伸び率になると見込んだ。住宅と雇用の低迷に、物価の高騰、金融危機が重なり、経済の回復は来年後半まで望めないと予想している。
08年1月から10月末までにオープンしたショッピングセンター(SC)総数は52施設で、10月末までの全国SC総数は2855となる。10月単月では10施設。3000SC時代にまた一歩近づいた(日本SC協会調べ)。主だったところでは8月に「仙台パルコ」、9月には「三井アウトレットパーク仙台港」、10月2日には国内最大のSC「イオンレイクタウン」が埼玉県越谷市に登場している。
CIC国際綿花評議会がまとめた08年のグローバル・ライフスタイル・レポートの調査結果は消費者の動向が大きく変化していることを示している。レポートによると日本の消費者が服を購入する店の第1位はロープライス店で68.8%、2位は専門店の68%だが、注目すべきはアウトレット。99年調査の13%から今回は53%に、インターネット購買は99年の0.5%から43%へ劇的なチャネル変化を見せている。ちなみに百貨店は年々減少。今回は51.2%と百貨店離れが顕著に現れている。興味深いのは国際比較。中国では百貨店が37%でダントツの1位。英国では大型スーパーが36%とトップ、イタリアでは個人洋品店が42%と群を抜いている。タイでは露店、バザーが51%。
横浜松坂屋や今治大丸の年内閉鎖を決めたJ・フロントリテイリング、小倉伊勢丹や三越池袋店など内外の三越店の閉鎖を決めた三越伊勢丹ホールディングなど、百貨店の店舗閉鎖の動きが広がっている。駅ビル、郊外のショッピングセンター、SPAなどの専門店、インターネット販売といった他業種に顧客が奪われ、百貨店の売上高が08年も含め12年連続前年割れが予想されるため。
日本通信販売協会まとめの07年度会員企業のネット販売額は6440億円で、前年比19%増、売り上げ全体に占めるネット比率は23%で同3ポイントの上昇だった。ネット利用者層が広がっており、通販各社も低コストの受注手段として力を入れている。
小売各社の08年度8月中間期決算は、個人消費の不振が一段と浮き彫りになった。百貨店大手は軒並み2桁減益、総合スーパーも減益が相次いでいる。賃金伸び悩みや株安、ガソリン高などで消費者の生活防衛はさらに鮮明になり、下期は会社予想より下振れする懸念がある。
日経のeショップ・通信販売調査によると、インターネット通販の売上高は前年度比21%増で高成長が続いている。スーパーや百貨店などの店頭での消費が低迷する中で、ネット経由の商品購入への抵抗感の希薄化による。携帯電話経由の増加も続き、前年度の同水準の高い伸び率を維持した。
流通システム開発センターは、消費期限などのデータ領域を増やせる新しいバーコード「GS1データバー」の実証実験を始める。POSによる読み取り精度などの読み取り精度などの課題を検証、2010年から国際標準のバーコードになることの期待も大きい。現在のバーコードより、小さな面積で商品識別のデータに加え、製造日やロット番号、値引き情報など任意で入れられる。
長引くアパレル不況が、中途採用の自在市場を直撃、デザイナー、パタンナー、生産管理などの専門職も、営業や経営管理業務などの総合職、販売職いずれも採用枠が縮小する一方、転職希望の登録者は急増している。販売職も、人数をとにかく集める採用から販売力のある人を厳選する流れに変わっている。
日本百貨店協会加盟店は11月1日、加盟店同士で相互利用できるプラスチックカード型の商品券「百貨店ギフトカード」の発行を始める。協会加盟267店のうち約160店で利用が可能。ギフトカードの決済ができるシステムが無いなどの理由で今回は参加を見送ったが、次のPOS(販売時点情報管理)システム更新を機に参加の意向を示している会員企業もあり、百貨店協会は今後、扱い店舗の拡大を目指す。
東京・原宿が、SPA(製造小売業)グローバルプレーヤーの激戦地になる。11月8日に、H&Mの2号店となる原宿店が開店した。10月16日にはラフォーレ原宿のトップショップ/トップマンが大幅増床し、来春にはH&Mの隣(ニューバランスの跡)にフォーエバー21の出店が決まった。原宿にはすでに複数のトップ級のプレーヤーが集結しており、ファッション都市・東京を象徴する場所になる。
第1浴は洗浄後に蒸留。第2浴はフィルター循環による洗浄で,フィルターを通過した液と、その後に洗浄した液とを透明度センサーで比べ、差がなくなるまで、つまり洗浄で新たに汚れが生じなくなるまで洗浄を続ける。したがって洗いあがった被洗物からは,汚れが完全に除去されている。フィルターにパウダー(珪藻土)を用いているので、微粒子除去ができる、カーボンを使用できる、水除去ができる等の特徴がある。このシステムは、ジャブズ(大阪市)と毛利春雄氏が実用化を進めてきたが,第1号機が9月に鹿児島に挿入された。
新しい酵素を用いたウエット洗浄に,復元加工と高級仕上げを組み合わせ、目的別に次の3つのシステムを提案した〔木戸商事(埼玉県川口市)〕。第1は汗の臭いと汚れを洗い落とす「すっきりバイオ」、第2は黄バミ、色焼け、など事故品を復元する「スーパーバイオ」、第3はワイシャツを真っ白く洗う「さっぱり洗い」である。これらは、一般衣料(Aコース)、毛布・ふとん類(Bコース)、皮・ムートン(Cコース)に分かれる。さらにこのシステムは,遠赤外線乾燥機を用い、必要人員は一人、熱源は電気のみなどの特徴が加わる。
東京組合青年部会は、ポリ乳酸繊維ラクトロン(カネボウ)のTシャツに対し、パーク、石油系、ウエット、ランドリーを実施し、種々の処理条件で形状を比較して、次の結果を得た。常温のウエット、石油系を自然乾燥すると、生地は安定していたが、パーク、石油でタンブラー乾燥をすると、形態は不安定になる。高温のランドリーでは、収縮が起こった。アイロン160℃ではすぐにアイロンの形に跡が付いた。酸性薬品に弱かったので、シミ抜きに注意が必要である。
洗濯やドライクリーニングに100回程度耐えられる制服管理用のICタグが、大日本印刷により開発された。厚さは0.3〜0.4mmで、アンテナとICチップを実装した部品をラミネート加工した。薄さと柔軟性に優れ,着用時の違和感がない。インレットの表面のフィルムに、バーコードや識別番号を印字する。印字してからラミネート加工するため,字がかすれない。用途は,制服が流出すると犯罪に使われる警察や運送業の数量管理である。ほかに飲食店やクリーンルームで,洗濯回数を管理する用途もある。10万枚受注で1枚あたり81円。2008年11月から販売。
クリーニング綜研では、平成20年度上半期に扱った事故品の集計結果を発表した。鑑定総件数は、19年度の211件から228件に増加した。洗浄方法別では,石油系ドライの後にウエットクリーニングを行うダブルクリーニングのみが増加し、これ以外には変化がなかった。責任所在別では,顧客が131件、メーカーが16件、クリーニング業者が38件で、大きな件数の変化はない。クリーニング業者責任は,洗浄中の再汚染や着色が主な原因であった。事故別では、色の変化が111件、損傷・形態変化が105件であった。色の変化の原因は、紫外線と汗が26件、薬剤が6件であった。
日経が実施した秋冬物衣料品の購入意向調査で、食品や日用雑貨などの値上げが衣料購入に影響し、購入額を昨年に比べ減らす予定の人が4分の1に及んでいる。減らすと答えた人は、女性ほど、50代・60代多かった。また品目では重衣料購入が低い。
下肢静脈瘤やリンパ浮腫などの還流障害の予防や治療ばかりでなく、健常者における足の浮腫(むくみ)にも弾性ストッキングが有用である。弾性ストッキングには、種々のタイプがあり、健常者や下肢静脈瘤患者では、ハイソックスタイプがよく使用されるが、大腿まで浮腫が強い症例、大腿の圧迫が必要な症例ではストッキングタイプやパンストタイプも選択される。リンパ浮腫では大腿部にまで浮腫が高度であることが多い。普通、弾性ストッキングは足関節部がもっとも圧迫圧が強く、上へ行くほど圧迫圧が低い段階的圧迫圧になっており、心臓方向への静脈還流を促進させている。現状の弾性ストッキングへの具体的不満として、履きにくい、ずり落ちる、ファッション性が悪いなどが指摘されている。
蒸れ感に関する実験として、繊維製品の皮膚の接触面の湿潤状態をコントロールし、高湿度状態の皮膚への影響を検討した。透湿性の異なるフィルムを用いたチャンバーに吸水性ポリマーを入れることで、蒸れ状態をコントロールし、ポリプロピレン不織布を皮膚に接触させた。その結果、透湿性のないフィルムを用いたチャンバーでは皮膚刺激性が強く、チャンバー内の吸水性ポリマーを増やして湿度を低減すると、皮膚刺激性が低くなった。皮膚表面の相対湿度が皮膚刺激性に大きく影響することがわかった。
これまでに処分を受けたケースは、カシミヤ100%や50%のはずが3割未満だったセーター(小杉産業・丹羽幸)70%のはずが0%のストール(ユナイテッドアローズ)、50%のはずが数%。セーターなど(日本生活協同組合連合会)がある。各小売企業者は、輸入代理店などを通じ、現地の工場に混用率を指定して発注しているが、途中で羊毛などにすり替えられたケースがある。伊勢丹や、ユナイテッドアローズは商品素材チェックが書面だけだったため、偽物が消費者に流通する危険性は高かった。最近は羊毛の表面に樹脂を塗り、カシミヤに似せた手触りを人工的に作り出した商品が増えている。
クリーニングによる染色物のトラブルや、汗と日光の複合要因によって生ずる変退色など、日本、アジアでは多く発生している。これからの日本では染色技術者の数が減少しており、染色加工を委託する場合、その工場の技術力の選定が重要になる。TESの品質情報@クリーニング後赤味に変退色した紳士スラックスAクリーニングしたところ裏地の色が縫い目に沿って泣き出したスラックスB保管中にラメ糸の光沢がなくなった婦人用のセーターの3例を取り上げ、その防止対策について、染色専門家による処理法が追加・解説されている。
本稿では消費科学研究所で扱った綿素材に関する品質苦情事例を述べている。変退色に関する苦情としては、染色堅牢度が合格でも苦情となるケース、中間色素材の日光+汗による変退色、ドット状の変退色、金属釦やファスナーによる変退色、汚染・移染・色泣き・染み出し・ブリーディングなどが解説されている。染色以外の変色では、フィブリル化による白化、黄変(晒し戻り、蛍光の退色)、蛍光剤付着による変色など、損傷による苦情として、金属と酸素系漂白剤による脆化、Tシャツの穴あき、また形態安定性に関する苦情として、ゴム編の伸び、Tシャツのウエール曲がりとコース傾斜、スカートのプリーツ消失などについて原因と対策が述べられており、参考になる。
洗濯で色々な事故が生じる。日本衣料管理協会およびTES会のトラブル収集事例にその原因と対策が紹介されているが、本誌は参考のために、これに企業からの対策加工の提案を付け加えた。この対策加工については、各社各様の提案があると思うが、センカ(大阪市)の加工提案を一例として紹介。取り上げられた事例は、「洗濯で裾にしみ状の変退色を生じた婦人Tシャツ」であり、塩素系漂白剤の部分的使用がトラブルの原因。染色堅ろう度増進剤のメーカーとして、セルロース用耐塩素堅ろう度向上剤による加工方法が提案されている。
日本毛皮協会に「毛皮素材の種類の鑑定依頼」が増えている。アパレル、専業メーカーが依頼する例も多く、鑑定報告書を出している。同協会は鑑定委員会を設け、月1回のペースで鑑定を行っていて、必要な場合は、外部の研究機関に検査依頼する。「毛皮製品に関するトラブル解決のサポート」を目的とし、変色や色落ち、毛抜け、破れなどトラブルの調査、修復の可否、消費者へのていねいな説明などの対策を提案する。鑑定依頼の急増は、食品などの偽装事件頻発の余波と考えられ、今後、ますます増える可能性もあり、さらなる対応の検討を始めている。
中国商業連合会先染専業委員会(北京)は日本で出版されている「トラブルで知るファッション素材」(住連木政司著:品質情報研究所刊)を中国語に翻訳し「組織性能与洗浄事故」とし、このほど初版2,000部を発行した。同著は繊維、染色加工から発生しうる着用、洗濯、クリーニングでのトラブルを全カラーで解説したもので、日本版はクリーニング業界、流通業界などに6,000部発行。中国でもクリーニング業界だけでなく、衣料販売店など流通分野への普及を図っていく。
シンガポールのテキスタイル&ファッション連合会は、国際企業庁と規格生産性革新庁の協力を得て、シンガポールの優良アパレル製品統一保証商標「アパレル・シンガポール」を創設した。アパレル・シンガポールは、同連合会加盟128社のうち、有力9社がメンバー。シンガポールのアパレル製造業の認知度と国際競争力の強化を目的に、世界市場への売り込みに力を入れている。同商標は「マネージド・バイ・シンガポール」を訴求し、「メード・イン・シンガポール」を意味しない。生産拠点はASEANを中心に中国、中米など20力国にわたっている。メンバーは拡大の予定。
三陽商会は生産ロスの低減に向けた取り組みの一環として、09年春夏物から全ブランドを対象に、素材の新しい検査基準を適用する。今回の改訂では、実際の織りキズを写真などでビジュアルに見せるとともに、表生地の目立つ部分のAゾーンから裏などで目立たないEゾーンまで部位別にランクを設定。例えは、織りキズで2.5cm以下は「1点×」だが、目立つ部分ではそれ以下のキズでも「3点×」といったように基準を部位別に明確にした。縫製工場での分析では、毛織物の問題は少なかったが、綿や合繊でキズが多く見受けられ「ファッションの変化や複合素材使いにより難しい織物が増えているのでは」とみている。
インタークエストとテクノツリーは10月からインターネット上で情報交換ができるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用した製造業向け技能伝承システムを販売する。一つの画面で動画や音声などを併用し、マニュアルやビデオより分かりやすく技術を解説できる。
繊維学会、日本繊維機械学会、日本繊維製品消費科学会が3年に1度の「繊維連合研究発表会」17回目を開催した。その際に3学会のトップによって産学連携をテーマに現況、今後の課題などが語られ、その内容が紹介されている。
愛知県産業技術研究所尾張繊維技術センターは金沢大学と共同で、コンピューターを使って圧縮変形時の糸の断面形状を予測する手法を開発し、特許を出願した。織物を織ったり、成型しなくても織物の立体・変形形状を精度良く確認し、開発期間を大幅に短縮できる。織物はたて糸とよこ糸が互いに押し合い、糸の断面は様々な形に変形している。手法は、繊維の太さ、構成本数、撚り回数などの条件を入力してコンピューターで糸の断面形状をシミュレーションする。同センターが開発した織物変形シミュレーション技術と組み合わせることで、様々な糸を使用した織物の変形形状を予測することができる。
日本テーラー技術学院はテーラー技術者養成の通信教育を開始する。同社の現役技術者が監修したDVD映像で指導するとともに、添削やスクーリングなども行う。養成課程では採寸、型紙製図、着せ付け、型紙補正など、縫製前までの技術を習得できる。教材は5枚組のDVD、解説書、生地一着分、採寸に必要なメジャー、製図に使う角尺やア−ル尺、仮縫い時のピンの他、縫製技術を確認するためのハンドメードジャケットの半身見本がセットになっている。受講料は税込み21万円。
発展途上国への技術移転を目的に国が推進する「外国人研修・技能実習制度」を会計検査院が調べた結果、2年目以降の技能実習途中に受け入れ先の企業から失跡したり、帰国したりした外国人が2006・2007年度で、計約12,700人(一部重複)に上ることが9日、分かった。検査院は、同制度をめぐり低賃金労働や賃金未払いなどのトラブルが続発しているため実態を調査した。厚生労働省が運営委託先の財団法人に支出した費用は両年度で計約7億3千万円に上り、検査院は同省に研修生、実習生の雇用状況を把握し効果が十分上がるよう改善を求めた。
全国外国人研修生受入組合連絡会議は「研修・技能実習制度」の充実を森法相に要望した。内容は@国際貢献と中小企業の若年労働力確保のため、外国人研修・技能実習生制度の存続A現行制度の受入人数枠の改正案採用B現行研修期間の短縮と技能実習期間の改正C団体管理型と企業単独型受入条件・法的規制の差の削除D国際研修協力機構の機能拡大と強化。
日本繊維産業連盟は、日本で流通する繊維製品の安全性を確保・向上させるため「繊維製品の安全性向上検討会」を設置。エコテックス100等の諸外国における規格の現状を調査し、規格が必要となる化学物質を洗い出し、09年3月をめどに繊維業界自主規格・統一ガイドラインの策定と普及態勢の構築を目指す。
化繊大手が製品の共同物流に乗り出す。帝人と東洋紡が、この10月から製品を混載してトラック輸送する取り組みを始めた。物流の効率化で二酸化炭素排出量を削減し、コスト抑制にもつなげる狙い。東レや旭化成なども同様の方式を検討しており、取り組みは業界全体に広がりそうだ。
@12月10日A大阪科学技術センターB動物繊維の改質(基礎と応用例の解説)、絹(家蚕、野蚕の原料から製品まで)、羊毛(羊毛の原料から織物、編物まで)、他C日本繊維機械学会 TEL.06-6443-4691
@12月10日A日本紡績検査協会(大阪)Bオーガニック繊維製品の認証システム(内外の動きについて)、アペクサ(生分解ポリエステル商品)の展開について、他C日本繊維製品消費科学会関西支部 申込先:京都女子大学生活造形学科 矢井田修 TEL.075-531-7174
@12月13日〜14日A文化女子大学B日本人の人体寸法データベース2004-2006について、ヨーロッパブランドと日本ブランドの違い、着心地のよいウェアラブルコンピュータ実現のための導電性布素材の利用とその展開、他C日本繊維製品消費科学会 TEL.06-6358-1441
@1月23日A大阪府立女性総合センター(ドーンセンター)B繊維特性に起因するアパレルの品質苦情C日本繊維製品消費科学会 TEL.06-6358-1441
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男