ミニ情報TOP→ 日本衣料管理協会TOP→ バックナンバー一覧(2003年度:第20巻〜)→
経済産業省の「07年工業統計速報」(従業員10人以上)で、24産業中衣服・その他繊維製品製造業が廃業等の割合が最も高く、1人当たり付加価値と現金給与額が最下位であることが確認され、厳しさが確認された。
文部科学省と中央教育審議会大学分科会は、大学の乱立で教育の質の低下が指摘されていることを受け、大学設置基準を厳格化する方向で検討に入った。非常勤の教員が増えすぎないよう、教員が最低限キャンパスで勤務すべき日数を設定することや、通信制大学の教育内容のチェック強化などが議論のテーマになる見通し。
国土交通省は09年度から商店街など都市内物流の効率を高める支援制度を始める。物流会社や地元自治体など多様な関係者を集めて地域ごとに協議会を設立、輸送ルートの集約や共同荷さばき場の整備などに取り組む計画の策定費用や実証運行コストを補助する。
経済産業省は中心商店街の再生支援のため、専門家を集めてネットワーク組織を立ち上げ、事務局を中小企業基盤整備機構に置いた。まちづくり会社などに紹介し、空洞化対策を支援する。
消費者行政の強化策について、消費生活センターなど身近な相談窓口の新設を望む人が56%にのぼることが、内閣府の全国世論調査でわかった。「消費者庁」のような消費者を守る強い権限を持つ行政機関の創設は38%が「望む」と答えた。現行の相談体制では、東京の国民生活センターの活動内容を知っている人が15%、全国各地にある消費生活センターも22%にとどまっている。
テレビ通販を巡るトラブルの相談が増えている。国民生活センターのまとめによると、08年度は11月末時点で1268件と過去最多の07年度分を上回った。商品別に見ると@健康食品15.1% A化粧品類9.7% B婦人下着5.4%。
中小企業基盤整備機構がまとめた「ファッション等に関する消費者Web調査レポート」によると、購入したい日本製の繊維製品の第一位は下着・肌着類(44.4%)で、第二位はスーツ・背広・ワンピース(43.4%)、第三位は靴下・ストッキング類(42.6%)。また、繊維製品の購入の際、産地表示から感じることの第一位は「素材の安心感や信頼性の判断材料の一つになる」(70.5%)だった。同レポートは中小繊維製造事業者自立事業の成果調査報告書の別冊として、自立事業の販路開拓などの情報収集を目的に、首都圏1都3県の消費者を対象に実施した。
財務省が内示した09年度予算原案で、経済産業省の繊維関係では生活関連産業ビジネス拠点整備事業(JFW関連)予算が、今年度と同額の6億円を確保した。また。輸出振興の重要性が増す中で、新たにJAPANブランド戦略展開支援事業が予算化された。他に人材育成事業でも新規要求が認められた。
日本繊維製品・クリーニング協議会交流会議の繊維評価技術協議会の片岡参事の講演で、ISOのケアラベルの規格改正内容を明らかにした。各基本記号は洗濯14、漂白3、乾燥11、アイロン4、プロフェッショナル・ケア8。今後、投票を実施して改正し、09年上期から半ばまでに新規定を発行予定。
この規格は、監査の原則、監査プログラムの管理、品質マネジメントシステム監査及び環境マネジメントシステム監査の実施、並びに品質及び環境マネジメントシステム監査員の力量について標準化を行い、生産及び使用の合理化、品質の向上を図るために制定するものである。主な規定項目は、次のとおりである。@適用範囲A引用規格B用語及び定義C監査の原則D監査プログラムの管理E監査活動F監査員の力量及び評価
日本の繊維産地で、自らオーガニック農法による綿花の栽培に取り組むところが増えている。08年度に始めたのは、馬淵繊維(香川県)、吉河織物(岡山県)、サムライジーンズ(大阪府)、四川(広島県)の4社、09年からはタビオ(奈良、愛媛)も加わる。用途は子供向けを中心に婦人向けや、ジーンズ、靴下など、ここ数年の住や食への安全性への意識の高まりから、衣でもトレーサビリティ(生産履歴追跡)が求められ始めたためである。馬淵繊維では、収穫前から、大手百貨店などから取り組みの話があり、09年は1万坪で栽培するという。
東洋紡STCの超軽量高強力ナイロン織物「シルファインN」シリーズは、軽さと薄さ、耐久性に優れ、ダウンジャケットや寝袋の頂点素材に位置する。特徴は高強力、柔らかさ、光沢感であり、織物は使う糸種に応じて「シルファイン20」「シルファイン15」「シルファイン10」がある。シリーズ最軽量の「シルファイン10」は、1m2当たり26g、厚さ40μである。各生産工程で鍵となるのが均一性で、ナイロン6は特殊な加工で分子構造を変え、分子同士が手をつないだ状態にすることで強くした。特に苦労した工程は紡糸と延伸で、分子の並び方がいかに均一にできるかで強さが決まる。
愛知県産業技術研究所尾張繊維技術センターは、尿漏れなどを検知する織物を開発した。柔らかい布製で、紙オムツや尿取りパッドに組み込み、オムツ等の交換時期を介護者に伝える。同センターと愛知県立一宮養護学校などとの連携で生まれた。開発したのは、銀メッキした糸とアルミニウムのラメ糸を適当な間隔に離して織り込んだ生地で、漏れ出た尿に銀糸とアルミ糸が適度に浸ると電位差が発生し、それを生地に取り付けた小型のセンサーが感知する仕組みである。センサーには小型無線機が組み込んであり、介護ステーションなど離れた場所から個々の患者のオムツの濡れを知ることができる。
国内の紡績ビジネスが年々縮小する中で、元気な企業がある。アヤベ(大阪市)は、あらゆる原料や紡績方法を組み合わせ、市場にない糸、トレンドに沿った多様な糸を作ることで、国内外の有力アパレルから支持されている。紡績は綿やウール、絹、麻、合繊など特定の原料を主とするメーカーが多いが、同社は梳毛を除き、扱わない原料や紡績方法はほとんどない。衣料では複合化が進み、3者混は当たり前。原料や番手を変えるたび、工場では機械と機械の配置を変えるため効率は劣る。太さも長さも性質も異なる繊維を1本にするのは容易ではないが、これが強みとなる。
スポーツとインナーの素材に求められる機能を整理している。機能の詳細は次のとおり。スポーツ素材:吸汗速乾性、透湿防水性、パフォーマンス、UVカット/スポーツ・インナー共通:吸湿性、清涼性、保温性、伸縮性・パワー、肌触り、エコロジー/インナー素材:保型性、肌へのやさしさ、アウターに響かない。次いで各機能に対応する旭化成せんいの素材が紹介されている。例えば伸縮性・パワーに関わるポリウレタン「ロイカ」のタイプには、ソフトストレッチのHS、耐黄変性のFW、耐塩素性のSP、高セット性のBX、消臭性のCFなどがある。
今治タオルの大手メーカー、楠橋紋織はハウスブランド「KUSU(クス)」でタオルは水を吸う布という原点に立ち返ってオーガニックコットン無撚糸とシルク、ケミカルフリーのバイオ精練技術を駆使して、吸水性に優れ、かつ柔らかいタオル原糸の開発を進めてきた。このほど完成し、来春からベビー用品中心に製品化して発売する。原糸は無撚糸のオーガニックコットンに23dtexのシルクを巻き付ける形で交撚して開発した「シルクロール無撚糸」。無撚糸にすると一般糸に比べ50〜60%膨らむ。そのままだと普通、一般糸に比べ毛羽落ちが多いが、ふわふわ感を保つためにシルクを巻きつけ、毛羽落ちを減らすことに成功した。一般の無撚糸と同様、柔らかい上に、パイルに織り上げたとき独特のコシが生まれ、吸水性に優れる。
服飾副資材で、エコロジーを意識した商品開発が進んでいる。生分解性繊維やリサイクルポリエステル、オーガニックコットンなどの原料開発が増えたことに加え、市場も成長してきたことが後押ししている。デュポンの生分解性ポリエステル「アペクサ」で、一村産業の「チーム・アペクサ」は服飾副資材と表地で商品が出揃った。YKKは、アペクサ使いのファスナーに加えて今夏から再生ポリエチレンテレフタレートによるエレメントやテープを使用したファスナーや面ファスナーの販売を開始している。日本バイリーンでも再生ポリエステル使いの中わたを開発、すでにグローバルな販売を行っている。
ルーエンジャパンは09-10年秋冬向けに無染色カシミヤ、チベット産ホワイトカシミヤなどを充実、エコを強調した企画提案に力を入れる。無染色カシミヤはホワイト、ブラウンカシミヤの毛と、それを混ぜ合わせたベージュの3色を揃えている。新たに無染色カシミヤ52%・オーガニックコットン48%の50番手双糸を加える。ともに「エコテックス100」を取得しており、同社はエコ・カシミヤとして販売を強化する。得意先と連携し、無染色カシミヤを使った商品の売り上げの一部を、産地である内モンゴルの砂漠緑化活動に寄付するなど環境対応の企画として展開する意向である。
東洋紡スペシャルティズトレーディング(東洋紡STC)のスポーツアパレル事業部は、10年春夏スポーツ素材として「プロセッシング(処理)」をテーマに掲げ、物理と化学の両面から汗を制御する「メガテックドライ」や、吸放湿性を一段と高めた「スーパーエクスライブ」などの機能素材を打ち出す。メガテックドライは従来とは違うアプローチで汗処理を考えたポリエステル素材。物理と化学の双方で処理することで、従来よりも機能性を向上させた。スーパーエクスライブは呼吸するポリエステルとして展開する機能性ポリエステル編地「エクスライブ」を進化させた素材。アクリレート系のパウダーをナノサイズ(約70nm)化したことで表面積が2倍に拡大、吸放湿性を高めた。
備後撚糸は、独自技術による和紙を使った新しいストレッチデニムを開発した。経糸に綿、よこ糸に交撚してポリウレタンを入れた和紙を打ち込んでいる。和紙糸による生地は、毛羽なく光沢がある高級素材。吸湿性に優れ、夏場にも蒸れず、臭いを発生させない。軽さや、柔らかさ、独特の風合いを持つ。和紙デニムはユーザーのジーンズブランドからリピート受注が続いている。上代価格が3万円台と高額であるが、3000着分を販売した。和紙糸の生地はノベルティ用、バッグ、ストールなどとして販売予定。
イタリアやドイツなど先進国の獣毛やウールの川上業者による、ゆるやかな連合体「ファイバー・アライアンス」が発足する。中国など新興繊維工業国の台頭によって、カシミヤ、アルパカ、モヘア、ウールなどのアニマルファイバーでは、原料から加工、紡績までが世界的な産地移動の段階に来ている。さらに、混用率の詐称や偽物による品質の低下などが発生し市場での信頼感を失うケースが増えてきた。そこで、トレーサビリティー(履歴管理)確保だけでなく、原料や加工の適切な情報を市場に発信し、健全な市場形成を図ろうとするもの。日本の毛紡績など有力メーカーにも参加を働きかける。
分子レベルでのポリマー改質で、繊維に新たな機能などを付与する「ナノモディ」と称する新規加工技術を東レが開発した。「ナノモディ」は、機能薬剤の最適設計と加工時の温度、湿度、濃度、圧力など様々な条件を制御して生産する。原料のポリマーにも工夫を加えることで、自己拡散内部反応という現象を発現させ、機能薬剤を繊維の内部まで浸透させる。加工例として、@加水分解によって物性が劣化しやすいポリ乳酸繊維に時限分解性を付与することで、分解速度を自在にコントロールすることが可能になる。Aナイロンやポリエステルに、従来達成し得なかったレベルの高い吸湿性能の付与などがあり、この技術を使うことで、繊維そのものの物性の大幅な向上や新しい機能の付与が自在にコントロールできる。
三菱レイヨンの異染性複合繊維素材「ミクシカ」は、細繊度ジアセテート長繊維の技術とセルロース化処理技術によって得られる細繊度セルロース長繊維を基本とした繊細な異染性を有する高級婦人衣料向け複合素材である。ジアセテート繊維は強度が低いため、ジアセテートの原液とトリアセテートの原液を個別にノズルから吐出し、乾燥後両方の糸を引き揃え、交絡ノズルで混繊し、ダメージなく巻き取ることを可能にした。ジアセテート繊維のセルロース化は、アルカリ処理により行われるが、布帛になった段階で行われるため、アルカリ濃度、加工温度、時間、浴比条件の探索により、安定化の条件を確立している。
オペロンテックス(OPT)はスパンデックスの新素材「ライクラファイバーT−909B」を開発した。ポリマーを改質し、世界で初めてカチオン染料で染められるスパンデックスを具体化。水着向けの販売を先行し順次、スポーツ、インナー、アウターなどへも用途を広げていく。また、塩素に対する耐久性で汎用品よりも10倍強の性能を示すほか、ソフトに伸びて素早く回復する伸縮特性を示すため、着脱の容易なストレッチアイテムを企画することができるのも特徴となっている。OPTは40Dの生産を先行させ順次、バリエーションを充実させる。
東レ合繊クラスターは、静電気が起きやすい低温・低湿度の環境下でも高い制電機能を発揮するポリエステル裏地「スーパーパレル」を開発した。スーパーパレルは従来の制電糸「パレル」に比べて約2倍の制電剤を繊維タテ方向に並べて電荷通路を作ることで除電することを可能にした。スーパーパレルは、吸湿の影響を受けないため、湿度の低い冬場の欧米や中央アジアの環境にも対応できる。制電性能は標準条件の気温20℃・湿度40%でスーパーパレル2kv以下、再生繊維2kv前後とほぼ同等だが、10℃・10%ではスーパーパレル2kv以下であるが、再生繊維4〜5kvレベルと差がつく。
ユニクロと東レは、家庭洗濯機で洗うことができる女性用セーター「マシンウォッシャブルニット」を共同で開発し販売した。マシンウォッシャブルニットは、優れた形態安定性ときれいな外観、毛玉になりにくい抗ピル性など、洗濯機の強水流(ネット使用)で洗っても寸法安定性に優れている。0.9Dの東レの抗ピルマイクロアクリル「シームウォーム」と防縮ファインメリノウールを混紡(アクリル70%、ウール30%)することで、洗濯機による縮みと風合い変化を防止できる。また、編み目を小さくすることで、洗濯時の揉みに対する生地の優れた安定性を確保(東レ)した。
アクリル短繊維メーカーは09-10年秋冬向け国内の衣料用途で、マイクロファイバーを生かした素材開発に力を入れる。インナーやアウター用途が好調なため、SPA(製造小売業)を主な対象に、生地や最終製品まで踏み込んだ取り組み型の販売も拡大する。三菱レイヨンが重点に据えるのは、マイクロファイバー「MIYABI」。原綿は、0.5dtxの「ミッププラス」、0.8dtxの抗ピルタイプ「フェーデ・ゼロ」を揃える。日本エクスラン工業は、0.5dtxの極細アクリル「極衣」。東レ「トレロン」で堅調なのは、肌着用ジャージーやセーター用途。主力は0.6Dの「オルピア」、0.9D「シルウォーム」である。
艶金興業は、食品の残りかすを使った染色「のこり染」の製品を、ライフスタイル型ブランド「クラキン」(KURAKIN)で販売する。本業の染色整理技術を生かした商品群として、ブランドの確立を目指す。のこり染、クラキンともに商標登録を申請した。同社は2年前、食品や飲料の生産工程で捨てられる大豆、柿、栗などの残りかすを使った染色加工法を開発。今年、ワインのしぼりかすであるブドウや小豆など、染める材料を広げた。リビング用の小物入れ、タオルやCDケースなど46品番でスタート。ワイン、小豆、ピーナッツ、柿、梅、コーヒー、大豆、栗、パセリ、ウーロン茶の10色で展開する。
サカイオーベックスは、泥汚れに対する優れたSR(防汚)機能を持つ加工「エスメニガードM」を開発した。ポリエステル素材を中心にスポーツやユニフォームへ拡大する。同社はこれまでSR機能を持つ加工を「エスメニガード」シリーズとして打ち出してきたが、今回は泥汚れに対して機能を発揮する。繊維表面にはミクロの凹凸があり、飛散、擦れなどにより泥が付着した場合、汚れが凹凸に入り込み、洗濯しても衣類はきれいにならない。エスメニガードMは特殊樹脂を用いて繊維表面にあるミクロの凹凸をふさぎ、繊維表面を平滑化することで、汚れを落ちやすくした。
セーレンは10年春夏のスポーツウエア向けで、吸水速乾「瞬乾」(またたき)と耐光性に優れる「タフシャイン」の2つの加工を新たに開発した。瞬乾の投入により、春夏の柱である吸水速乾素材のさらなる拡大を目指す。瞬乾は、吸水速乾ポリエステル「ソアリオンY」に組み合わせることで、機能をさらに高める後加工。これまで洗濯20回後の生地の水分保持率が10%以下に減り、ほぼ乾いた状態となるまで30分掛かったが、20分に短縮できる。タフシャインは、太陽光を浴びた際に製品の色が変退色することを防ぐ。耐光堅ろう度を従来に比べ2級程度向上させた。
小松精練は、繊細な柄が表現できるデジタルプリント「モナリザ」を日本国内に向けて発表した。付加価値の高い生地や加工との組み合わせで、既存のインクジェットプリントとの差別化を狙う。モナリザは、約20年間研究したデジタルプリント技術を最新鋭のインクジェットプリンターと結びつけ、開発された。商品は、デジタルプリントによる見た目と手触りとのギャップを楽しめる生地が中心。ウールの先染めチェック柄をはじめ、紙の質感やレース、手編みのマフラーなどの柄を提案した。
ジーンズ洗い加工の豊和(倉敷市)は、化学薬品を使わずオゾンで脱色する加工「エアーウォッシュ」の本格操業を始める。有害な脱色剤の残留、排出はゼロ。工場の有害物質、水質汚染物質が大幅に削減できる。09年からは同社ジーンズ洗い加工の3割はオゾン脱色に切り替える。エアーウォッシュは空気からオゾンを生成し、強力な酸化作用でジーンズの染料を分解、脱色する加工。脱色後、オゾンは分解し、酸素に還るので、有害な脱色剤の残留、排出はない。同技術は95年に特許を取得、その後、一部生産してきたが、09年から本格操業に入ることにした。脱色で色目はフェード、ブリーチアウトなどが可能。色落ち効果は薬品を使った場合と変わらない。
コットン・インコーポレイテッドのステイ・トゥルー・コットン(STAY TRUE COTTON)が紹介されている。同社独自の意識調査結果「洗濯しても色が褪せないジーンズが望まれる」に基づいて開発された加工であり、デニムジーンズ本来の色合いと濃度を維持し、湿摩擦堅ろう度を向上させたもの。この加工に重要な加工剤は@ポリカチオン系フィックス剤、Aポリエチレン系柔軟剤、Bブロックドイソシアネート架橋剤の3種類で、その加工処方と処理条件が示されている。製品加工・洗い・染色が終った段階で施される。所定の薬剤を付与し、加熱して染料を繊維上に固着する。
和装・小幅生地の加工メーカーの辻合繊(京都市)は、きものやゆかたの生地に空気触媒を使用した加工「ティオティオ」を拡大している。「ティオティオ」はサンワード商会(大阪市)が推進する空気触媒清潔加工。空気中の酸素や水分と反応して有害物質を分解する分子結合加工により、抗菌・消臭効果が長期間持続する。2シーズン前から夏物の薄いきもの地やゆかたなどへの加工をスタートし、機能性のアピールで徐々に販路が広がっている。同社は、片面撥水、トレハロースによる速乾・放熱性向上など、付加価値の高い加工を主力に小幅生地の加工を専門としている。
絹糸加工の角田染工(八王子市)は、昇華転写プリントを可能にする絹糸の改質加工を開発。昇華転写プリントは、ポリエステルを染める分散染料が熱により昇華する性質を利用する。約2年間、共同で研究してきた東京都立産業技術研究センターが、改質した絹糸によるニットへの転写プリントの試験を行った。改質をすると生地がゴワつきがちになるが、薬剤や条件により絹本来のしなやかさも保つことに成功。生地の表面の層にプリントすることで、スカーフのような薄い織物も表と裏で異なる柄を染められる。水洗浄が不要で地球環境に優しく、インクジェットプリントで転写紙を少量でも作れることも強み。
日本ダムは、織りネームで世界で最も緻密な組織に加え、ネームエッジの従来の2倍の緻密さのステッチで肌への違和感を抑えた新ネーム「プレミアム・ハイデンシティー100」を開発した。この織りネームは、経糸50D、緯糸は30Dという細さのポリエステルカチオン糸を使い、緯糸密度が100回/cm以上という緻密さで織り上げるネームラベルであり、ロゴやブランドネームなどの小さい文字、柄を織り上げ、立体感を持ちながら、プリント並みの表現ができる。極めて細密なためにブランド偽造防止にも効果を発揮する。
四十歳前後の世代を示す「アラフォー」。女性を中心に消費意欲が旺盛とされるが、衣料品分野ではうまく彼女たちをとらえ切れていないのが実情。三陽商会は2005年に同世代をねらった婦人服「アマカ」を発売、衣料品不振が続くなか2008年の売上高は前年比10〜15%増を確保する。成功の裏側には従来手法にこだわらない柔軟な開発・販売戦略がある。
花菱縫製は中国・北京の王府井に、紳士オーダー服専門店「花菱」を開設した。同社初の海外直営店で、日系企業がメード・イン・ジャパン(日本生産)のオーダー服直営店を中国に開店するのも初めてとみられる。同店は天倫王朝酒店の1階。売り場面積は約66u。商品はフォーマルを中心としたスーツで、小売価格は12万〜20万円台。同店で採寸した顧客データを花菱縫製の日本国内工場に送り、生産する。納期は3週間。希望があれば仮縫いも行う。顧客対象は富裕層。開設後は「1日平均数着程度が切れずに売れている」(竹内社長)という。
アパレル企業の事業・ブランド再編が経営環境の悪化でさらに進みそうだ。今年度はオンワードホールディングス(HD)のジルサンダーの買収など成長戦略へのM&Aの一方で、不況下でもう一段の再構築に迫られるアパレル企業の事業・ブランド譲渡が見られる。ファンドの経営参加による事業再生に成果が見られず、同業での事業譲受もあり、新たな体制で再拡大を狙おうとしている。
日本向けアパレル生産の過度な中国依存に対するリスクヘッジの必要性が叫ばれて久しいが、日ASEAN包括経済連携(AJCEP)協定が12月発効することもあって、ASEANが再び脚光を浴びている。中国以外の新たなソースの開拓に関心が高まっている。
日本アパレル産業協会の商品開発部会は、素材から縫製まで国産にこだわった商品を開発し、共同で店頭販売するプロジェクトに乗り出している。このプロジェクトは、卓越した日本の技術を衰退させることなく、その技術を生かし、世界に誇れる完成度の高い日本商品を開発することを目的に今年度新設された。参画するのは、マツオインターナショナル、サンエー・インターナショナル、三陽商会、花井、フランドルの5社。現時点で、5社がそれぞれの自社ブランドで、国産の生地を国内で縫製し、完成した商品を集約して百貨店のイベントスペースで共同販売することを想定している。
ファーストリテイリング(FR)は28日、中国のパシフィック・テキスタイル・ホールディングス、同クリスタル・インターナショナル、バングラデシュのアナンタグループとの間でバングラデシュでの生産を目的とした合弁会社「CPATプライベート」(本社シンガポール)を設立することで合意した。CPATはバングラデシュに生地工場および縫製工場を設立し、09年中には生産を始める予定。また、バングラデシュにおける紡績工場の設立を目的として、中国のブロスイースタンカンパニーとCPATによる合弁会社設立についても同日付で合意した。FRの基幹事業であるユニクロでは、現在約90%を中国で生産しているが、将来的には全体の3分の1を中国以外で生産する形にしたいと公言しており、合弁会社はその一貫を担う。
YKKファスニングプロダクツ販売は、最新のプリント技術を使い、従来と比較してより鮮明で美しい色表現が可能になった新型「プリファ」の本格販売を開始した。プリファはコンピュータグラフィックによりイラストやロゴなどの様々なデザインをプリントすることができるファスナーで、設備や工程の改良・改善によってプリント技術を向上させた。これにより細かいロゴやパターン、写真画像もくっきりと表現することが可能になった。
レディスアパレルメーカーの09年春夏は、秋冬までの上品でクラシックな流れからカジュアル感をミックスし、スポーツやナチュラルの要素が加わっていく方向である。色は08年の鮮やかなものから淡いトーンへと変化している。エレガンスよりリラックス、スイートよりクールな気分が強まる分岐点のシーズンとなりそうである。来春夏のポイントとして、フード付きやファスナー使い、光沢素材などでスポーティーに仕上げる傾向が強い。ナチュラルも切り口として重要になっており、天然素材の比率が高まっている。しわ感もポイントで、ソフトな洗いを復活させるブランドが急増している。
東京都・東京都ミシン商工業協同組合(飛田満理事長)主催で47回目を迎える東京ファッション産業機器展「FISMA TOKYO」が08年12月10日まで、東京有明のビッグサイトで開かれた。最終的に76社164小間の出展と前回に比較して8%増の出展規模となった。初日の出足がよく、情報発信にも活気が見られた。
デザイナーブランドが相次いで子供服に力を入れている。「マルニ」などのヨーロッパブランドの子供服が日本でスタートしたのが約6年前。これと前後して「アンダーカバー」「ミナペルホネン」らが子供服を立ち上げ、市場は徐々に広がった。新傾向はニューヨークブランドと日本の作り込みブランドの参入だ。「サイ」は09年春夏から子供服のラインをスタートした。作ったのはポロシャツ、チノパンツ、スイングトップでいずれもサイのベーシックなアイテムだ。パンツはウェストにゴムを通すといった仕様の変化はあるが、ポロシャツとスイングトップはサイの大人服とまったく同じ仕様。工場も同じだという。
友達同士でのパーティーや結婚式の二次会といった、“ちょっとしたハレの場”に対応したドレスや雑貨が売れている。メーン顧客は25〜35歳。市況全体が厳しい中でも順調な売れ行きを見せていることから、オケージョン商品を再編・強化する売り場、ブランドも出てきた。
世界同時不況の中で「市場の縮小、コストアップ、経済環境の悪化」(ボンマックス)や消費意欲の減退など国内ユニフォーム業界にとって最悪の事態となりそうだ。「08年同様、09年も厳しい前半戦となる。淘汰の時代を迎え、業界はますます厳しさを増す」(ミドリ安全)「市場の細分化でサプライヤーは本格的に淘汰される時期」(住商モンブラン)「市場は縮小し競争激化する」(アプロンワールド)として、先行き不透明感や淘汰拡大を挙げる企業が目立つ。
オンワードホールディングスは、12月に取引先である国内の縫製工場25社を対象に、10年ぶりに緊急融資を実施。金融危機を背景に中小企業への貸し渋り懸念が広がる中で、年末の資金繰りを助け、円滑に生産計画を進めるのが狙い。金融事業を持たない事業会社が取引先に運転資金を提供するのは珍しい。
アディダス、ナイキなど欧米ブランドをはじめ、日本のミズノやデサント、アシックスも中国市場への進出を加速してきた。また、李寧などドメスティックブランドの台頭も著しい。広大な国土と人口を頼みに、スポーツ各社は主要都市に次々と店舗を展開していた。当初外資系メーカーの中では北京オリンピックの開催がきっかけで一般市民の間にも急速に協議のニーズが高まると見る向きもあったようだ。現実はそれほど甘くはなかった。過去2・3年の間に過当競争が更に増加し、出展攻勢が激しくなり在庫が一気に増えてしまった。需要に対する供給過剰の状態で、当面は各社とも痛みわけに終わりそうだ。
スポーツ動作中に重要な要素である骨盤に着目したスポーツウエアの開発について解説されている。ここで用いられている「コアバランス理論」とは、高弾性素材であるコアバランスベルトを骨盤回りに配置し、腹部と背部にかける締め付け力に前後高低差をつけ、後傾している骨盤を直立する方向に働きかけるものである。また骨盤の側面では中殿筋を覆うように高弾性素材を配置し、締め付けて骨盤の左右方向への安定性を高める。このような工夫をしたインナータイツは、助走付き両脚ジャンプにおいて跳躍高が高くなり、ジャンプ動作の再現性も向上することが検証された。
倉敷ファッションセンターは、経済産業省と岡山県の支援を得て、倉敷のデニム・ジーンズ関連企業を国内外にアピールするため、東京ビッグサイトで開かれるJWF-IFF(インターナショナル・ファッションフェア)とスペインで開催されるBBB(ブレッド&バター・バルセロナ)に出展する。販路開拓が目的で、倉敷産地の強みである優れたモノ作り機能を生かして開発した高付加価値商品を発信する。平成20年度地域資源活用新事業展開支援事業に取り組んだ成果である。JFW-IFFには4社、BBBには3社が参加する。
繊維ファッションSCM協議会の経営トップ合同会議で次期第6次TA(テキスタイル・アパレル)プロジェクトの活動計画を決めた。既に策定した5つの「取引ガイドライン」の実行・普及、これらをベースにした業界を超えた情報共有、そしてTA・量販店(TAG)間のガイドライン整備の取り組みが活動の3本柱。
米チェックポイントシステムズが世界の小売店の盗難被害や廃棄などの金額(ロス)に関する調査をまとめた。ロス率が最も高かったのはインド3.1%、米国1.48%、英国1.3%、日本はスイスやオーストリアと並び世界で最も低い1.01%(9400億円)だった。
商品在庫を持たない個人にも通販ショップを運営できるようにする「ドロップショッピング」が国内に登場して2年強。1時期はサービス提供業者が乱立したが、ここにきて不振の業者が相次いで撤退、数社が生き残ったが、市場規模が小さく、先行きは不透明である。
米金融危機や逆資産効果を受け、十月の全国の百貨店売上高は前年同月比6.8%減と過去15年間で最悪の水準となった。統計上は食品以外が総崩れに見えるが、世間のムードを反映した消費の動きも出ている。値頃感のある商品に加え、使用シーンが広い重宝な商品が人気を呼んでいる。《売れている商品》PBの婦人服・ストール・タイツ・お得感のあるおせち料理・バス旅行・化粧品・紳士ジャケット・オン/オフ兼用ベルト・フード着脱コート《売れていない商品》高級時計・高級婦人服・ブランドのバッグ・美術品
中堅量販店が衣料品の低価格MDを強化している。平和堂は中小型GMS(総合小売業)で値頃感を追求、イズミヤやオークワは価格訴求型のスーパーセンター(SuC)を拡大し、既存のGMSでも低価格品を実験している。量販店ではSMが順調な半面、衣料品の多いGMSが低迷、衣料品の立て直しが課題だ。下期も厳しい経済環境を背景に、低価格切り口の巻き返し策が目立っている。
日本通信販売協会調査で楽天、アマゾン、ヤフーショッピングの三大サイトの利用率95%に達している。寡占化が進む背景には、消費者が比較して安く買いたいというニーズが高いことがある。
韓国ソウル市などが、衣料品通販ショップを集めて日本の小売店向けに販売する会員卸売りネットモールを開設した。円高ウォン安を背景に割安感をアピールし、ソウルのネット通販業界を活性化する。国際的な商品調達が、ネットを介し小規模な小売業などにも開かれそう。
金融危機がきっかけに雇用情勢が急速に悪化しており、これまで人手不足一色だった流通業に、雇用変調の兆しが出ている。他社との獲得競争もゆるみ、派遣社員、アルバイトの時給下落傾向が続く。また、採用内定者の辞退数が例年より少なくなるとみている。
西友は日用品や食品などの販売価格を地域の最低価格まで引き下げる販売方法を導入。顧客が西友より安い表示価格の入った他社のチラシを持参すると、その場でチラシ価格まで値下げする。これまで家電量販店などが採りいれていたが、全国展開するスーパーでは初めて。
NTTデータ経営研究所の調査で、インターネット上の消費者の行動支援ビジネスは検索やブログ・SNS、アフィリエイト、ドロップショッピングなどで市場規模が1兆8億円に上る。収益は、検索のネット広告が現在は多いが、今後はネット上での購買の販売促進に比重が移るとみている。
衣料品のネット通販は、カタログ通販会社の自主企画商品が普通だったが、ブランド衣料品を購入する女性が増えている。ファッション誌に掲載された商品をその場で購入できたり、気に入らなかったら返品できたりと、使い勝手がよくなったためである。
イオンは冬物衣料品を最大5割安くし、イトーヨーカ堂は衣料品や生活用品の購入額の最大3割を現金で返すサービスを期間限定で実施。消費不振が深刻になるほか。小売りの値引きが過熱してきた。
百貨店の婦人服の落ち込みが止まらない。婦人服部門の11月売り上げは2ケタ減だった店舗が多く、12月もマイナス基調から脱していない。コートも各店で一斉に価格戦略商品の投入や値下げに踏み切っているが、浮上の兆しが見えない。低迷の要因は消費マインドの低下や他業態との競合変化の影響はもちろんだが、顧客の購買行動の変化やMDのズレによる構造的な問題が大きい。すでに今後の仕入れ、販売計画の修正に入っており、来春に予定していた婦人服の改装を延期する店舗もある。
ユーロはピーク時の約170円から120円程度まで下がり、ドルも12月に90円を割り込み、円高が止まらない。インポート業界では急激な円高メリットが実際に出せる09年を待たず、年内に値下げに踏み切るブランドが出てきている。ただ、消費市場は冷え込み、年末商戦における円高還元の前倒し効果はあまり表れていない。
SC出店に急ブレーキがかかっている。量販店系では改正まちづくり3法施行にからんで駆け込み出店した08年度の反動という面もあるが、09年度はほぼ半減。不況が長引けば10年度開設予定の物件も先送りされる可能性がある。
日本ショッピングセンター(SC)協会(会長・木村恵司三菱地所社長)はこのほど、08年のSC業界動向を明らかにした。08年(1〜12月)にオープンしたSCは72SCで、07年比19.1%マイナス(07年は89SCで17SC減)となり、総数で2,876SCとなった。規模(平均店舗面積)は3,2042uとなり、07年より27.6%増加(07年は2,5116u)し、大型の店舗が増えた形となった。また、中心地域のオープンが減少、アウトレット形態の開発が目立った年となった。
07年後半から消費の低迷が始まった米国の小売市場は08年、年頭から専門店の部門の閉鎖発表が相次いだ。6、7月には資金繰りに行き詰った中堅チェーンが米連邦破産法11条(チャプター・イレブン)の適用を申請、9月の金融破綻で、金融市場の貸し渋りが一層強まり、破産法11条適用下のチェーン店は再建されることなく、閉鎖に追い込まれる事態が進行した。一方、売り上げ減退が続く専門店、ラグジュアリー系百貨店も11月には部門閉鎖や売却計画を発表、ホリデーセールは在庫を売り切り、景気後退の嵐を乗り切るため、かつてないほどのディスカウント合戦となった。
新しい人の流れ創出を狙い、モノや場所を識別するuコード活用が広がっている。銀座、高山、豊田、奈良、神戸などでは地方自治体や国交省などが1〜3月に各種実験を実施する。経済産業省の「情報大航海プロジェクト」でもuコード技術を活用し、自由が丘、福岡、道後などで同時期に実証実験する。
百貨店、スーパー、家電量販店が一、二日に実施した初売りは、これまで五年連続で過去最高を更新していた伊勢丹本店(東京・新宿)の売上高が前年水準を割り込むなど低調だった。福袋は「野菜詰め放題(西武百貨店池袋本店)など実用型に人気が集まり、格安店に衣替えしたセブン&アイグループのスーパーの客数も前年の倍に伸びた。節約志向は一段と強まっており、小売りの値下げ競争が加速しそうだ。
ライオンの尾下博幸による寄稿で、衣料用家庭洗濯の変化をここ最近の洗濯機、洗濯行動、洗剤の3つの視点から述べられている。例えば、07年では2槽式洗濯機の保有は3%に過ぎない。
ドイツが制定するRAL品質保証に、3年前から日本のリネン企業が挑戦し、品質マークを取得したのが5社・10工場に達した。これら企業はRAL会員交流会を結成し、事務局は三菱重工産機である。08年の交流会は11月に、RALの審査を担当しているホーヘンシュタイン研究所メンバーの記念講演などを含めて実施された。同研究所はレンタルに適した製品も開発し、またRALに適合した機器にラベルを供与する。RALによる洗濯品質向上の効果は顕著で、食品産業や高級ホテル向けのユニフォーム需要が1年間に3倍に増えた。一方、三菱重工は消毒洗濯法の改善を図っている。
クリーニング綜研が過去5年間に鑑定した着物類(ゆかたは除く)は81件であった。事故の内容分類では、色の変化40.7%、正常にもかかわらず顧客が事故と思いこんだもの24.7%、損傷22.2%であった。色の変化が多いのは一般衣料と同じだが、着物に特徴的なのは「顧客の思いこみ」が多いことである。これらについて詳細な解説が写真とともに掲載されている。色の変化では、日光や蛍光灯が当たった部分のみの変色や、一部のみに見られる汗変色、保管中のたとう紙や匂い袋による変色が挙げられた。また思いこみでは、着物の色を記憶違いした例が述べられた。
クリーニング処理で、モール糸のパイルが脱落した事故を解説した。モール糸(JISではシェニール糸)は、2本の芯糸にパイル糸を巻きつけたファンシーヤーン。パイルは熱熔融性樹脂で接着されるが、樹脂量が多くなると風合いを損なうので、パイル脱落を完全に防止するほどは附与できない。モール糸のパイル糸はほとんどアクリルである。日繊協の事故防止システムで検索すると、アクリル事故9件中、6件がモール糸である。モール製品をクリーニングする際には、裏返して目の細かなネットに入れて、機械的作用を低くする注意が必要である。
衣料管理協会が実施したカーテン・カーペットの使用実態調査の結果を紹介した。カーテンでは、使用年数は5〜10年と10年以上が多いが、平均3年強。素材は綿またはポリエステルが多いが、「分からない」が35%を占めた。「自宅で洗濯」が77.5%で、「クリーニングに出す」が16.5%に留まった。カーペットでは、使用年数の平均は3.1年。素材はウール、ポリエステルがともに16%。「分からない」が40%強もあった。クリーニングは、「自宅で掃除機」が68.1%、「自宅で洗う」が28.3%、「クリーニングに出す」が19.3%であった。
家庭用洗剤メーカーの大手が、衣料用液体洗剤の生産能力を2-5割増する。節約志向から節水型洗濯機の売れ行きが好調で、これにつれて粉末洗剤のように溶け残る心配のない液体洗剤の需要が年率30%台で伸びているため。粉末洗剤に比べ製造コストも安く、拡販により収益力を高める。液体洗剤市場はプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、花王、ライオンの上位3社で約9割を占める。通常の洗濯機に比べ使用する水を3分の1程度に抑えられるドラム式洗濯機が普及しているのに加え、詰め替え品の利用はゴミ減量につながり、消費者の支持を集めている。
台所などで衣類に火が燃え移り火災が起きる事故が、03年度から08年度(4-10月)までに58件、死亡事故が8件あったことが国民生活センターのまとめで分かった。防炎製品の効果テストで、難燃性のアクリル系55%、綿45%の防炎アームカバーをマネキンに着用させたところ、燃え広がらず火を離すと直ちに燃焼が終了。綿100%の一般のアームカバーは炎を当てると燃え広がり、火を離すと約5分後には全焼した。これにより「防炎製品」の効果は確認されたが、店頭販売が少ないことが分かり、業界に対して防炎製品を購入しやすい環境づくりなどを求めた。
日経産業地域研究所調査で団塊世代の定年前後の趣味の変化をみているが、国内旅行、パソコンが上位にあり、ともに1割上昇している。また、支出を引き締めている費目は、衣料・服飾雑貨が6割と外食についで多い。
後期高齢者医療制度がスタート/自己責任で年金確認「年金特別便」/中国製加工食品への毒物混入事件/暮らしの必需品の相次ぐ値上げに不安は増大/「消費者庁」創設と消費者行政一元化の動き/特定商取引法・割賦販売法がついに改正/信じがたい、許しがたい「事故米」事件/こんにゃくゼリーでまたも死亡事故/パロマ湯沸かし器に改正消費生活用製品安全法に基づく初の危害防止命令/京都議定書発効・洞爺湖サミット開催(順不同)
日本繊維製品・クリーニング協議会交流会議の日本紡績検査協会の西山東部事業所長の講演で、検査機関が扱う衣料品のクレームは年々増加し、その原因がアパレル・クリーニング・消費者の複合的要因が多く、複雑で発生要因を特定できないケースが多いことが示された。07年実績は、素材別でセルロース系52%、現象別で変色、汚染・色泣きが最多であった。
麻・毛・絹素材に関する総説的な苦情に関する記事で、参考になる。麻に関しては、フィブリル化が関与するフラッシュ現象、摩耗・薄破れ、濃色染め素材の白化や、肌に対する刺激、しわ、縫い目スリップ、カーリングなどが解説されている。毛では、虫食い、梳毛素材のソフト化に伴う“ももけ”(ズボン股下のフェルト化)、紡毛素材の股下の薄破れ、皮膚刺激(チクチク感)、水分による臭い、テカリ、縫い目部分のアタリ、リバースなどや、カシミヤ・アンゴラ・モヘヤなどに関する苦情が述べられている。絹に関しては、擦れ、静電気、しわ、金箔糸、染色堅牢度に関係する事例があげられている。
繊維評価技術協議会(繊技協)の抗菌防臭加工繊維製品「SEK青マーク」認証が、日本適合性認定協会(JAB)から、ISO/IECガイド65「製品認証機関に関する一般要求事項」に認定された。JABからこの種の認定を得たのは繊維業界では初めて。来春以降、品質性能を保証するSEK青マークと、さらにそのマーク認定の信頼性を国際的に保証するJABの2つのマークを製品に併記して表示できるようになる。繊技協は、10年前から国際的な認証システムの確立に取り組んできた。表示偽装などが社会問題化するなか、今回の認定により、SEK青マーク製品の信頼性向上、国際競争刀アップ等に期待を強めている。
日本化学繊維協会・合繊リサイクル専門委員会及び委員構成各社の3Rへの取り組みについての解説。合繊各社におけるリサイクルの現状はユニフォームをはじめとする特定ユーザー向け製品が中心であり、一般衣料品のリサイクルは廃棄物処理法の規制などにより素材供給の立場にある化合繊各社が推進することは極めて難しい状況にあることなどを挙げ、今後の繊維リサイクル推進上の課題について提言を行っている。
中国の紡織工業などの発展を維持するため、商務部と海関総署は加工貿易保証金制度を12月より一時停止する。対象は加工貿易制度類に指定されている輸出1853品目全て、輸入が272品目で制限類の95%占める。
ナノファイバー学会が、6年間の準備を経て10日に発足する。東京工業大学で発会式を開き、会長に同大学の谷岡明彦教授が就任する予定。発起人は谷岡教授のほか、東北大の井上明久教授、京大の平尾一之教授。同学会は従来の有機系分野のほか、金属系、無機系の3分野から成る。基礎研究に加え、環境・エネルギー、健康・安全・安心、情報通信、先端製造業などで実用化に向けた応用研究を重視する。会員は大学教授や企業の研究者に加え、ファイバー関連から最終消費財メーカーまで数十の企業が参加する見込み。
日本のアパレルメーカーや小売業が中国で商品を販売する際の商標登録が、申請から登録になるまでの期間が長い、先に誰かに登録されているなどの問題点を繊研新聞の調査で明確にしている。また、専門家による対応を示している。
環境への取り組みが経営の重要な柱になってきた。それは急速に高まるCSR(企業の社会的責任)の一環として、エコ商品の販売など事業を通じて高まっている。環境が購買動機になっていないとはいえ、機能やファッション性を追い求めてきたスポーツ品に環境が新たに問われてきた。ナイキが20年をめどに全品を環境配慮型にすることを発表したことも拍車をかけている。国内大手メーカーの環境保全活動は91年の“過剰包装”問題を契機にその機運が高まった。ミズノが社内にいち早くプロジェクト「クルー21」を発足したのもこの頃だ。「環境保全はCSR経営を推進する上で重要課題の一つ」(ミズノ)であり、「より高い企業価値をもつ」(アシックス)企業に成長する条件と見る。
韓国の通貨ウォンが対ドル対円で極めて安くなっているのを利用した生産・調達が浮上してきた。韓国のテキスタイルを中国で縫製し日本に製品を輸入する“韓中ルート”や韓国から生地や製品を輸入する動きだ。為替相場は年初の1ドル=930ウォンが11月末には1500ウォン台になった。円に対しても年初の100円=950ウォンが1500ウォン台まで下がった。異常ともいえるウォン暴落が背景にあるが、韓国のメーカーが持っていた素材企画力とクイックなオペレーションに光が当たっている。
岐阜労働局など9つの機関・団体で構成する技能実習等受入適正化推進会議は、外国人研修・技能実習を受け入れている第1次受け入れ機関に対し、実習生らの労働条件改善を要請することを決めた。法定の最低賃金や残業割増賃金を支払わないなど法違反が多発しているため。岐阜県には4千人の研修生、9千人の実習生いるが、51%が繊維・衣服に従事している。
中国政府は、輸出入関税規則の見直しを09年1月から実施、同時に国内投資をする時に輸入した設備など免税しない製品についての調整を発表した。繊維関連では29、38、41、68、84、94類の一部品目が対象となり、暫定税率の多くは最恵国税率より低くなる。
@2月13日A日本女子大学百年館B熱可塑性セルロース繊維、可逆快適布帛(IAテキスタイルの開発)、衣料用機能性アクリル素材の新展開、最新の面ファスナー紹介、他C繊維学会 Tel.03-3441-5627
@2月20日A大阪科学技術センターBユニフォーム向けウールの機能性素材、ユニフォームスポーツ衣料用機能素材、ナノスケール加工技術の防汚素材への展開、他C日本繊維機械学会 Tel.06-6443-4691
@2月24日A扇町インキュベーションプラザBクリーニングトラブルの背景(この業界の実状)、クリーニング事故賠償基準の内容とその運用、他、パネルディスカッションC日本繊維製品消費科学会 Tel.06-6358-1441
@2月27日A大阪府立女性総合センター(ドーンセンター)B本物のオーガニックコットンとは(オーガニックコットンは何故地球環境に優しいか)、環境配慮型ユニフォームの考え方(ユニフォームリサイクルと服育)C日本繊維製品消費科学会 Tel.06-6358-1441
@3月1日A横浜・ランドマークプラザ1階・ガーデンスクエアBミシンを使った作品作り、懐かしいミシンの展示、作品コンクール最優秀賞受賞作品展示などにより、家庭用ミシンの普及促進C日本縫製機械工業会 Tel.03-3597-0470
@3月5日A大阪府立産業技術総合研究所B被験者を用いた計測・評価法、最近の有害物質規制と試験法について、他、所内試験研修(人体形状ならびに生体反応計測技術、撥水加工品の接触角測定、繊維製品の毛羽落ち評価、他C日本繊維製品消費科学会 Tel.06-6358-1441
@3月13日A大阪府泉佐野市立地場産業振興センターB泉州こだわりタオルの展開と今後、タオル協同組合の概要などの講演とダイワタオル協同組合の工場見学C日本繊維機械学会 Tel.06-6443-4691
@4月24日A大阪産業創造館B温熱環境と睡眠、生体時計を知って快適に過ごそう、床ずれの発生要因に関する基礎的研究、他C日本繊維製品消費科学会 Tel.06-6358-1441
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男