ミニ情報TOP→ 日本衣料管理協会TOP→ バックナンバー一覧(2003年度:第20巻〜)→
製造業の稼働率が大幅に落ち込んでいる。経済産業省が19日発表した昨年11月の製造工業の稼働率は前月比9.4%低い88.5(2005年=100)となった。マイナス幅は比較可能な1968年以降で最大。生産能力を増強してきた国内企業が世界経済の急速な悪化を受け生産を抑制したためだ。出荷に対する在庫の比率が急上昇しており、調整が長引く恐れもある。
初めて消費者に焦点を当て、消費者庁構想の論点を整理した白書。政策の信頼性向上と情報開示手段の多様化を行政に要望し、社会に役立ちたいと望む人を行動に結びつける、小額多数被害に対応した制度化を加速するべきなどを指摘した。それには消費生活に力となる教育が不可欠であると強調した。
経産省は、日本の底力発揮戦略の一つとして、「新市場創造プラン」策定を進めている。その中でファッションビジネスを取り上げ、平成21年度予算で「対外発進力の強化」に6億円、「輸出振興強化」として12億1千万円を割り当てる案を発表した。間宮淑夫繊維課長は、「繊維ファッション産業の将来につながる取り組みに政策資源を集中していくため、現場の意見を積極的に取り入れて、支援していきたい」と言っている。
内閣府が2月10日に発表した1月の消費動向調査によると、消費者心理を示す消費者態度指数(一般世帯)は26.4と前月に比べ0.2ポイント上昇した。指数の上昇は4ヶ月ぶり。続いて3月13日に発表した2月の消費動向調査によると、26.7と前月に比べ0.3ポイント上昇し、2ヶ月連続の上昇となった。ガソリンの値下げなどで物価高への懸念が薄らいだことが心理の改善につながった。2月時点では雇用や収入についての判断は悪化しており、内閣府は消費者心理の基調判断を15ヶ月連続で「悪化している」としていた。しかし2ヶ月連続の上昇を受けて、3月の発表では基調判断を17ヶ月ぶりに上方修正した。ただ先行きの収入減を警戒する声は強く、消費者心理が改善したとまで見るのは尚早だ。
経済産業省は、08年度を最終年度とする「流通システム標準化事業」の3年間の具体的成果と、今後の方向性を示す報告会を開いた。09年度以降は普及推進委員会に事業を引き継ぎ、業界の横断的な標準化と普及を進めることになる。
JIS L 1055 カーテンの遮光性試験方法
JIS L 1084 フロック加工生地試験方法
JIS L 1098 毛布試験方法
JIS L 1901 織物及び編物のリバース試験方法 JISC(日本工業標準調査会),〔09・2・20改正〕
この規格は、繊維製品の防水性の試験方法について規定したものである。変更点は、@ドライクリーニング処理に石油系を追加し、溶剤取り扱いの警告文を記述する。A試験時の水の温度を20±2℃から20±3℃にする。B水質の規定部分から「蒸留水」の用語を削除し、「イオン交換水又は、これと同等の水」と変更する。C雨試験(シャワー試験)A法の水の規定から「硬度及びpH」を記録する条件を削除する。D判定写真に「級」を追記する等である
JIS L 1063 織物及び編物の染料等の移動性試験方法
JIS L1064 繊維製品の蛍光増白剤部属判定方法 JISC(日本工業標準調査会),〔09・2・20廃止〕
伝統文化である上州座繰による糸作りを導入した製品開発について述べている。上州座繰は200年の歴史があり、当初は牛首(うしくび)のような枠だけを手で回す繰糸方法から、江戸からくりの技術による木製歯車の利用による糸枠を回転する技術が確立した。まず繭を特殊染料で精練前に繭の状態で染色するのが大きな特徴である。そして座繰器による染色繭の繰糸、特に異色繭を合わせて繰糸することにより、他の方法では表現することができない色合いが実現できる。精練前に染色を行うため、用途に合わせてセリシン残留を調整し風合いを変えたりもできる。薄物から硬い手触りを有する絹製品まで広く製造できる。
クラボウと旭化成せんいは、キュプラ「ベンベルグ」短繊維製品を共同開発・販売する「Jファイバー」プロジェクトで新たな機能繊維を打ち出すなど、用途を広げる。Jファイバーとして新たに開発した機能繊維は、消臭効果を持つ「QWON(久遠)・フレッシュ」。分子レベルから改質したベンベルグと綿の混紡糸で、消臭性能は高く、瞬間的に発生して、効果は永久的という。Jファイバー機能繊維シリーズの第1弾としてインナー、寝装、靴下、カジュアル用途などに展開する。また、クラボウではQWON・フレッシュについで吸湿・発熱効果を持つ「QWON・ウォーム」を第2弾として販売、機能繊維シリーズとして展開する。
有機綿(オーガニックコットン)製品の新藤(横浜市)は、オランダの認証機関コントロールユニオンにより、原材料から製造工程まで一貫する認証書を取得した。国内30カ所以上の協力工場の現場審査を経たもので、新たな認証ロゴマークをつけた商品が店頭に並ぶ。今回の審査・認証は、オーガニック繊維製品世界基準(GOTS: Global Organic Textile Stan-dard※)の国際作業グループによって定められた基準に基づく。※バージョン2.0(08年6月)の日本語訳がネット上に公開されている。
ユニチカファイバーは、植物由来のナイロン11「キャストロン」でスポーツ衣料やバッグ用途を狙う。ナイロン11は約50年前、フランスのメーカーが開発した。繊維・樹脂が衣料やヘルメット用途で使われたが、原料が石油のナイロン6や66が圧倒的なシェアを占めるようになり、減っていった。ナイロン11の原料は、ヒマの種子から採れるひまし油。2年前から開発を進め、高速紡糸の技術を確立した。同繊維の特徴は、比重の軽さや耐摩耗性。ナイロン6や66に比べ公定水分率が低いため、寸法安定性に優れており、アウター衣料にも使いやすい。ナイロンと同様に、染色することが可能。
ダイワボウノイはこのほど、花粉などアレル物質の働きを抑える新タイプのコート地「アレルプルーフ」を開発した。アレルプルーフは、ダイワボウノイが得意とする綿100%高密度織物にフタロシアニンを特殊加工したコート地である。フタロシアニンの働きで花粉やハウスダストなどアレル物質を吸着・分解する。これまで「アレルキャッチャー」として主にマスク、寝装、エアコンフィルターなどで展開していた加工技術をコート地に応用した。アレル物質吸着・分解のほか、やはりフタロシアニンの働きで消臭効果もある。
紡毛紡績の大津毛織はこのほど、芯にスパンデックスを配した紡毛コアヤーンの開発に成功した。これにより画期的なストレッチ紡毛糸の生産が可能になり、紡毛織物にストレッチ性を付与することができる。今回、開発に成功した紡毛コアヤーンは、芯にスパンデックス、鞘にウール・ナイロン混を配置したものだ。独自に改造した特殊紡機によって紡出に成功した。鞘部分をカシミヤ100%にすることも可能で、その場合はストレッチカシミヤ織物となる。番手構成は24番手でスタートし、バイオーダーで番手ラインアップを拡大させる。
国産の純銀蒸着ラメ「ジョーテックス」を展開する泉工業(京都府城陽市)はこのほど、従来品の半分の薄さの極薄純銀蒸着ラメ「ジョーテックススレンダータイプ」を開発した。従来品にない柔らかさや肌当たりのよさが特徴だ。ジョーテックスのフィルム厚が25μであるのに対し、スレンダータイプは半分の12μ。フィルムを極薄にすることでソフトさを実現し、肌触りも格段に向上する。銀蒸着時に独自の特殊加工を施すことで、減量加工や反応染色前のアルカリ処理などへの耐久性もあり、同社のラメの特徴である後加工に強いという特徴も備える。
日清紡は「バナナファイバー」をカジュアルシャツ、ユニフォーム、ジーンズで本格展開する。この素材はざっくりした素材感が特徴で、綿と同様の吸湿性があり、着心地はサラリとしている。綿70%とバナナファイバー30%の8番手混紡糸を中心に販売。販売量は順調にのびており、発売した時期から約4倍にまで増加している。この話題はテレビ東京系列の「ワールドビジネスサテライト」でも取り上げられ、産業は軽薄短小の時代から軽薄炭省の局面に移行していると推定し、繊維産業はエコ繊維で活性化を図っているとして紹介された。
絹の持つクリンプを生かした糸“ふい絹”を使った生地と二次製品の開発が広がっている。純国産シルク企画製品展(日本絹業協会主催)で企業・団体が提案した。従来、生糸は高速で引き伸ばし巻き取るため、針金状に固定化され、生地や製品にした際にクリンプが失われていた。ふい絹は繭糸1本当たり0.4g以下の低い張力になるよう、繭糸をつかんでゆっくり引き出し、たるんだ分を巻き取ることでクリンプを残す。繊度が大きく節が多いため、機械織には、よこ糸やカバリング糸で使う。ふい絹は、大日本蚕糸会蚕糸科学研究所が開発したもので、製品に軽さ、柔らかさや膨らみが出る。
セラスメディコ(東京都)は慶応大学と共同で植物性炭素100%の特殊繊維「オルガヘキサ」を開発した。セルロース繊維を撚糸して布とし、植物エキスに浸し炭素の分子構造を損なわないよう8時間かけて200〜850℃で処理することで100%炭素化することを可能にした。植物性炭素だけで繊維をつくるのは国内で初めて。特徴は、放射する遠赤外線が広帯域であること。それが血液中の血球の動きを活性化、15分で体の表面温度を最大3℃上昇させる効果があるという。寝具や衣類、家具などの素材としての利用を見込む。
環境保全、動物愛護を前提にしたニュージーランド羊毛の認証システム「ジーキュー」で生産された羊毛を購入、商品化したウール製品が婦人、紳士服、カジュアルウエアなどで広がりを見せている。ジーキュー・システムは、ニュージーランド各地の牧場の環境保全、飼育管理、牧場などの作業を第三者機関がチェック、査察して認証するシステム。トレーサビリティー(生産履歴管理)も明確で、環境対応にも関心の高い毛紡績、機屋、アパレルメーカーなどが採用を着実に増やしている。ニュージーランドメリノカンパニーは天然繊維国際年でもある今年、一段と普及させる意向である。
紳士フォーマルメーカーのアミコは、環境対応の機能素材を充実させる。エコロジーを付加価値として提案し、他社との違いを打ち出している。09年秋冬物では、アダルト向けの「フランコ・ベルガノ」で繊維自体が発熱して体を温める保温素材、レーヨンに練り込んだ特殊ポリマーで衣服内温度を快適に保つ温感素材を使用する。ヤングアダルト向け「DXヒロココシノ」などでは、ウール100%でもストレッチ性がある素材を使用する。レディススーツも機能性を前面に打ち出し、ソフトな合繊を使ったウォッシャブル、ストレッチスーツのほか、花粉対策加工したコートなどを揃えている。
東レ・長繊維事業部は、素材の持ち味をより強く発揮できる用途へのアプローチに力を入れており、インナー・肌着での販売を伸ばしてきた。09年度に向けては、薄地化・細デニール化、高機能化をテーマに商品開発する。今回、新たにビーンズ型の断面形状を持たせた「ミラコスモUIN」を新たにラインアップする。この商品はマイクロファイバーではないがマイクロタッチを得られるのが特徴。その他にマイクロファイバーの新原糸開発も進めている。インナー・肌着でメンズ補正下着分野に売り込んでいく。
滋賀麻工業(滋賀県愛知郡)は、家庭洗濯機で丸洗いできるウォッシャブル麻わたを開発。敷きパッドなどの寝装品も製品化し、本格的な販売を開始する。麻わたでのウォッシャブル商品は、これまで開発されたことがないという。麻わたに特殊なアルカリ処理を施してランダムな収縮形状を表現し、不織布の技術で中わた用に成型して完成させた。この麻わたは、製品を丸ごと何度洗っても形状が維持でき、風合いも変わらない。吸放湿性、清涼感に優れている。ポリエステル・綿のわたと比べて強度は約4倍、通気性は約5倍。伸度は2倍。抗菌効果もあるという。
旭化成は、09年度の水着素材を発表。保温機能のある素材など6種類の素材を揃えた。4種類の素材に再生ポリエステル繊維を使い、環境意識もアピールする。水泳時に体が冷えることを気にする消費者が多いとのアンケート結果を受け、はっ水性や生地の質感で温かさを感じる素材「サンプレイEH」(仮称)を開発した。サンプレイEHに使ったポリエステル「テクノファインDWT」(仮称)は、水着用に新たに開発したもの。ほかに紫外線カット素材「サンプレイUV」や赤外線盗撮防止機能の素材「サンプレイiR」も用意した。同社は、環境への配慮と機能の複合化を柱に据える。
山陽色素(姫路市)が展開する吸尽染色用水分散顔料「EMACOL CT COLOR」(カチオン性水分散顔料)は、繊維が本来持っているアニオン性を利用して比較的低温で浸染染色(いわゆる顔料染め)ができる。したがって、従来のアニオン性水分散顔料に必要なカチオン前処理のような予備処理が省略できる。顔料染めは、欧州向けが多いが、日本でも増えてきたということで、改めて次の事項が紹介されている。@特徴、A染色堅ろう度(耐光、耐オゾン、耐熱)、摩擦・洗濯はバインダーの処理条件に負う、B使用例(ワッシャー染色機、液流染色機、チーズ染色機)。
朝倉染布(桐生市)は山田化学工業(京都市)の協力で、ナイロン素材用の赤外線透写防止加工「PEEP CUT」(後加工)を開発。赤外線カメラによるスポーツ選手等を被写体とした透過撮影は、数年前から社会問題となっている。そこで、赤外線吸収剤の練り込みタイプの繊維素材が出されているが、赤外線吸収剤により、色展開に制限があった。今回は、近赤外線を吸収する新開発の染料を、特殊染色方法によって生地に強固に染着させる方式。現在の染料4色について、光、洗濯、海水、水、塩素に対する染色堅ろう度が示されており、水着として十分使用できるとしている。
大原パラジウム化学は、PFOS(パーフルオロオクタンスルホンサン酸)フリーの撥水撥油加工剤「パラジウムECO-360」を開発した。PFOS、PFOAはフッ素系撥剤に含まれるが、環境への影響が指摘されており規制の動きが出ているという。この動きに対応して開発したのがECO-360になる。ECO-360はワックス技術に撥油成分としてPFOS、PFOAフリーのフッ素化合物を組み合わせており、ポリエステル、ナイロン繊維向け。洗濯後のタンブル乾燥により、優れた耐久性のある撥水撥油性が回復する。
絞り染めを工業生産し、パリ・コレクションにも多くの製品を出しているエス・ディ・ファブリック(京都)の、ものづくりにかける情熱が紹介されている。洋服を手がけて20年、絞り染めの工場には珍しい、高圧液流染色機、高圧ロータリー染色機、塩縮加工機を有し、他社では扱えないものも手がける。和服からいち早く洋服に切り替えて、有力デザイナーと組んで仕事をしてきているが、洋服の場合、失敗も思いがけない表情や色味が生きるケースも多いという。素材は絹にとどまることなく、綿、化学繊維へも広げ、人の手によるあたたかみが感じられる製品を目指している。
ウールのスケール加工やシースルーへの張り付けが可能なワッペンの開発をしている妍美(京都)は、天然繊維にもエンボス加工できる技法「YS3D」を開発した。従来、この加工は熱可塑性のある化合繊が中心であったが、シルクやコットンなどに使用でき、熱を再度与えてももどらないという。特許も取得しており、デザインは様々な形状が可能である上、洗濯も可能。
兵庫県西脇市の播州織産地は、低コスト・短納期・高品質で環境にも配慮した織物見本試作システム「ニュー・アレンジ・ワーパー」を開発した。新染色技術、色糸残糸の再利用技術、新たな整経技術の3つを組み込んだ同システムで試織すると、従来技術の3分の1のコスト(1柄5万円)、6分の1の短納期化(5日)を実現できるようになる。「ニュー・アレンジ・ワーパー」は染剤とバインダーを使い、糸ロス、染色排水を最小限に抑えて染色、糸を顔料で染め、正確な色合わせも可能にした。新整経技術は1つのビームから複数の柄を作ることを可能にする。織柄ごとに必要だった整経作業を1回で完了できるようにした。
ベルギーのウール加工メーカー、バンリールは環境に配慮した新たなウール防縮加工技術「リールエコ」を開発した。この技術を駆使したウールわたの加工を欧州、日本、韓国に広げる。同社が開発した技術は、塩素系薬剤を使った加工ではなく、「天然の塩を使った特殊酸化処理による加工」が特徴。これによってウールの防縮加工が環境を汚さずに行えると強調している。防縮機能は「従来加工によるものと同等の効果が得られるほか、ウール本来の繊維機能も維持できる」としている。
繊維への超臨界流体の応用展開は分解によるリサイクル技術を除いてほとんどが二酸化炭素を用いる。超臨界二酸化炭素は比較的温和な条件(臨界点:31.4℃、7.4Mpa)で得られ、気体のような高拡散性・低粘性と、液体に近い密度を有し、温度・圧力を制御することで色々な有機物の溶解度を変えることができる。常温・常圧に戻すだけで容易に回収でき、環境への負荷も大きく低減できるメリットも併せ持つ。繊維工業での実用化の実績はまだ報告されていないが、色々な分野からの研究報告がなされている。
クラボウは印刷メーカーのミヤコシと共同で量産型デジタル捺染機「ダイナプリント400」を開発、本格販売する。従来の捺染機に比べ、生産速度は2倍強速く、染料価格も大幅にダウンする予定とのこと。最大印字幅1800mm、印字速度は分速400uで機械上では毎分4m以上の捺染を行う。また、インクジェット捺染では、「業界で初めて」という、一度使用した後、残った染料インクを再利用する装置も備えた。装置本体価格は1億5000万円。
愛知県産業技術研究所尾張繊維技術センターでの染色加工高度化セミナーで、松井色素化学工業所(京都市)が第3の繊維染色着色剤として開発した、新顔料系の機能性色素ダイストーンを紹介。特徴は、@反応染料による捺染と対抗した味が出せる。プリント工程が大幅に短縮できる、Aパディング法で着色ができる。一般顔料とは違い、中心に不溶性色素、中層に水溶性ポリマー、外層に架橋剤を配した構造である。現在、「Xカラー」名で15品目があり、光、熱、水、塩素、ドライクリーニング、汗に対する染色堅ろう度が掲載されている。また、エコテックス100の認証取得済み。
マイクロカプセル技術を駆使したナノレベルの新しい染料による環境に優しいプリントを家長染工業が開発し、「エコiプリント」として2010年春夏物から受注を開始する。このプリントは、不溶性の色素をナノレベルに分散化して、水溶性のポリマーをカプセル化することにより完成した。水洗いやソーピングが不要のため排水量は60%削減でき、環境に優しい。すべての繊維が染められ、複合素材も一度に両サイドが染めることができ、顔料のようにバインダーを必要としないため、風合いも維持できる。
納谷テキスタイルは09〜10年秋冬向けに、環境配慮型の溶剤による新しい撥水加工「スーパーエコガード」の生地を販売する。起毛のウールからガーゼ調の薄手のシルクまで幅広く対応できることから、スポーツ用途や婦人・紳士のコート向けなどを主力に、将来的には服地以外にホテルのリネンやインテリアなど異業種への拡販も目指す。今回の撥水技術は、従来のように生地を表面被膜するのではなく、糸段階で繊維の分子レベルで結合させる。加工に使用する溶剤は化学物質を登録・審査する欧州の法律と照らし合わせ、日本よりも厳しい基準をクリアしたものを使用している。
上場アパレル企業の08年度決算はかつてない厳しい結果となりそうである。各社の最新四半期連結決算は大半が減収で、営業減益、もしくは赤字となった。昨年9月の「リーマンショック」を契機に市況が低迷、特に百貨店向けの落ち込みが響いた。在庫管理の徹底などの成果で、粗利益率は改善した企業が多かったものの、大半の企業が出店などに伴う経費増を売上高で補えず、販売・管理比率が上昇、収益を圧迫した。株価低迷と円高も経常・純損益に悪影響を与えており、通期業績予想を下方修正する企業が相次いでいる。
拡大を続ける中国小売市場にも、08年後半から、世界的な景気減速の影響が出始めた。日系婦人服メーカー各社は、ヤングやOL向け戦略を強める動き。ヤング層は、ミセス市場ほど消費心理が冷え込んでいない、とみて新しい需要開拓しようというもので、新しいファッションへのニーズも高まっている。
ナチュラルテイストの婦人服ブランドが売れている。数年前から裏ブームだったのが、ナチュラル系雑誌のヒットとともに1年ほど前にメジャーになった。リラックスの流れも後押しして、今や引っ張りだこ。卸先が大幅に増え、直営店出店に乗り出すブランドもある。一方で今春夏がピークとみる向きも多く、独自性や価格の説得力での競争になりそうだ。
日本アパレルソーイング工業組合連合会(アパレル工連)の大栗實会長は、縫製業界の現状について「春夏物のピークの時期にもかかわらず、受注量は約8割にとどまっている」と語った。また、研修生問題などの繊維業界全体での取り組みが必要とされる課題も増えてきたため、あらためて日本繊維産業連盟に加入することにした。
ゴールドウインは加齢臭、汗くささなど40代以降の男性特有の体臭カットを目的とした男性用アンダーウエア「マキシフレッシュプラス」を出す。ポリエステル・ポリウレタンに、消臭効果がある繊維「マキシフレッシュ」を組み合わせた糸を使う。体の動きを考慮した立体裁断で、着用時に衣服内でのズレを防ぐ。シャツは脇下がメッシュ素材で通気性を高めた。繊維評価技術協議会調べで、加齢臭のもとである臭気成分のノネナールを90%の消臭率でカットし、未加工品と比べると4倍以上、消臭効果を持つ既存商品と比べて1.5倍の効果になるという。後加工ではないため、洗濯を繰り返しても効果が消えにくいとしている。
中国のOEM(相手先ブランドによる生産)メーカーが、日本向けに高付加価値品へのシフトを強めている。製造コスト上昇や低価格・大ロット品の収益性が低下しているだけに、利益を確保に動くもの。また、営業力の強化策として日本での営業拠点作りも進めている。
米国金融危機から派生した世界同時不況や円高ドル安の進展などによってアパレル市況が低迷している。これを受けて、納入価格の引き下げ要請が広がってきた。生産を請け負っているOEM(相手先ブランドによる生産)企業はその要請を飲まざるを得ないが、コストダウンにも限界がある。そこで生産の集約化や計画生産や大ロットへの対応など、アパレル生産の形が変わらざるを得ない状況だ。
衣料品の分野で著名ブランドの派生品が売れている。ブランド名は冠しながらも、生産コストを抑えて格安にした商品だ。ポイントは百貨店で売っているブランドの従来品を思わせるデザインやつくり。20〜30歳代の支持を集め、前年比で一割伸びた商品もある。お金はかけられないが、「ブランド品」を持つ気分は味わいたい―。衣料品全体では不振が目立つが、オシャレ心は健在だ。
日経産業地域研究所のブランドへの意識調査で、海外ブランドでも手頃な価格で品質がよいものを買いたいという人が6割を占めた。好きなブランドは衣料品では英「バーバリー」、女性のバッグは仏「ルイ・ヴィトン」がそれぞれ首位となったが、衣料品二位が日本の「ユニクロ」になるなど低価格・高品質で知られるブランドが健闘した。消費者のブランド意識も景気悪化によって、信仰といわれた高級ブランドへの意識低下につながっている。一方、手ごろな価格でデザインや品質に優れたブランドへの支持が高まっているようだ。
日本女子大学と東レ、ゴールドウイン、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日、共同記者会見を開き、宇宙船内用日常服の技術を、日常生活における衣料品や生活資材に応用展開するための取り組みについて発表した。宇宙船内用日常服は、宇宙船内の「大気圏外・微小重力・閉鎖空間」という極めてハードな環境下での着用のため、清潔・安全・快適性にこだわり、消臭、抗菌防臭、制電、難燃、保温、保湿、動きやすさ、吸汗速乾など高機能性を追及。これら宇宙船内用日常服の機能は、地上での衣料品などにも応用できる部分が多く、介護を受けるお年寄りの衣服にも応用できる。他の企業にも参加を呼びかけ介護だけでなく、スポーツ衣料などの分野への展開も目指したいとして「J-SPACE研究所」を設立し、4月1日から本格的な活動を開始する。
商社の繊維ビジネスで、中国以外の生産に関心を寄せる動きが相次いでいる。中国でのコストアップが背景にあるのは間違いなく、よりコストの安い場所を求めてピッチを早めている。チャイナプラスワンさらにはベトナムプラスワンという言葉も頻繁に耳にするほどだ。ポスト中国をうかがう意味で最も期待が集まっているのがベトナムだ。財務省貿易統計の08年1月からのアパレル輸入を見ても中国の減少傾向が続く一方、ベトナムは数量で2割強のびるなど、数字にも表れている。
日本へのアパレル輸入は08年、02年以来6年ぶりに数量、金額が減少に転じた。直接的には昨年後半から急速に進んだ景気後退による衣料消費の極端な落ち込みが要因だが、ここ数年は輸入自体の天井感も出始めている。輸入を牽引してきた中国のシェアも08年は前年より若干低下し、ベトナム、インドなど中国プラスワンの存在感が増している。今後は輸入全体の規模が漸減する中で中国一極集中の輸入構造が是正されていく公算が高い。
タイのアパレルや服飾関連の製造業者が作るタイ縫製工業者協会は、タイの企画開発機能を強化し、ASEAN(東南アジア諸国連合)周辺諸国の生産を組み合わせて価格競争力を向上し、日本向けの製品輸出の拡大を図る。昨年12月に発効したASEAN包括経済連携協定(TJCEP)により、タイの記事を使い、ベトナムなどASEAN諸国で縫製して日本に輸出する場合、関税は従来の10〜15%から今後はゼロになる。これをうまく活用すれば、求められる品質と価格に合わせた物づくりが可能になる。
今春夏の紳士服商戦は、「合理性消費への対応」がキーワードになりそうだ。昨年から続く世界的な不況のなかでも、価格力に加えて高い機能性や付加価値をつけた商品では、売り上げが伸びている。これを受けて春夏も、機能と価値と汎用性に富んだ企画やスタイル提案をどこまで出来るかがカギになると、百貨店やアパレルメーカー、紳士服専門店チェーン各社は対応を強めている。クールビズリタイア世代も含めたトラベル需要など、さまざまなシーン、用途に対応できる利便性の高い企画をこれまでよりも値頃に感じられるように提案する。
ミッシー・ミセスを対象とする婦人服09秋冬企画は、ノンエイジ化のスピードアップを受けて、キャリアの着こなしが、ずばりミセスにも浸透した形になっている。レイヤードを継続しながら、チュニック・ワンピースなどのアイテムが、当シーズン定番化する。羽織物が相変わらずキーアイテムになっており、特にベスト、ニット関係などが期待も高い。
中堅アパレルメーカーが専門店市場で気を吐いている。百貨店向け大手アパレルが苦戦を強いられているなか、不況に伴う市場変化は逆にチャンスとみて、独自の企画と販売戦略で業績拡大につなげている。企画の若返りや、きめ細かい顧客対応、生産・品質管理の徹底などでそれぞれの得手で特色を出し、難局を切り開くための最善手を打ち込む。
ファーストリテイリングは、990円のジーンズ(男女で12種類)を発売した。超低価格の衣料品店「ジーユー」で扱い、今春から同店の全商品の約8割をユニクロの半値以下に下げる。2013年8月期に店舗数を4倍弱の200店に広げ、ユニクロに続く柱に育てる。ジーユーは従来、ユニクロの3分の2程度の価格で販売してきたが、新ジーンズの価格はユニクロの約3分の1の水準であり、縫製にはカンボジアのユニクロの協力工場を活用。柳井正社長は、ユニクロは「最高品質を手ごろな値段」で、ジーユーは「まあまあの品質を最低価格」で提供するすみ分けができるとの認識を示した。
日本ショッピングセンター協会は07年11月にエネルギー量実態調査を実施、基準年05年として08〜12年の5年間でエネルギー原単位を1年1%ずつ5%削減する数値目標を策定した。
日本のファッションビジネスの市場及び売り場の20年間の推移をみている。百貨店、量販店の低下とeコマースを含めた無店舗の伸びが浮き彫りになっている。売り場の多様化と買い時多様化で消費者の買い方も大きく変化している。
伊藤忠商事はアパレル事業を中心とする中国の複合企業、杉杉集団に28%出資する。伊藤忠が使用権を持つ高級ブランドのアパレル事業を中国で展開する狙い。将来は杉杉が手掛ける電子部品や資源エネルギー事業などでも連携する。日本の消費市場が縮む中、拡大を続ける中国の内需を取り込み、新たな成長戦略を描く。
大型SC開設ラッシュで拡大路線をとっていた専門店各社は、売り上げ低迷による販売・管理費率を抑える対応に追われている。最も抑えたいのは家賃で、多くの専門店がこの1年間で引き下げ交渉をしている。次は人件費で、販売員のシフトのきめ細やかな見直しや無駄な作業の軽減をすすめている。
日本百貨店協会による全国百貨店の08年売上高は前年比4%減の7兆4千億円で、97年から12年連続となった。景気の減速感が広がり、消費者の買い控え傾向が一層強まった。その結果、積極出店による成長で全国のコンビニエンスストアの売上高が7兆8千億円を超えるため、百貨店を上回ることになった。
09年2月期は百貨店大手の損益分岐点比率が上昇、軒並み採算が悪化する見通し。景気悪化で消費者心理が冷え込み、高額品や衣料品の販売が落ち込んでいる。今後も同様の減収傾向が続けば営業赤字に転落しかねず、投資縮小等に踏み切る企業が広がる公算が大きい。
大手製造業の人員削減が加速する中、流通業の一部に社員の採用拡大に動き始めた。これまで他業種に流れていた優秀な人材を確保する好機との読みで、消費関連企業の最前線を追っている。
中国経済は08年国内外の複雑な環境の変化に直面、特に世界的金融危機による経済減速は中国経済にも大きな影響を与えている。中国商業聯合会のリポートや国家統計局などに基づいた中国小売業の08年の動向と09年の展望をまとめている。
08年下期から消費が急速に冷え込む中、百貨店で大手アパレルの有力ブランドショップを大幅に縮小する動きが出ているが、このカバーで中小アパレルアパレルの出店オファーが目白押しに増えている。出店条件もよくなっており、同様に郊外の大型SCでも退店に伴う打診も多くなっている。
地方都市の百貨店店舗で、休業日を増やす動きが広がる気配がある。大規模小売店舗立地法が施行された00年と前後して百貨店は営業の日数と時間を増やしてきたが、固定客比率が高い地方店では増収効果が疑問視されるとともに、販売員の配置などで課題も出てきた。再び休みを増やそうとする動きはこれまでも一部で見られたが、最近の消費低迷で営業日再考の機運が改めて高まっており、日本百貨店協会も休業日増に関する事例集作成の作業に着手している。
欧州からのファッション輸入は減少気味だが、ローコストで正確な必要量を、より早く運んで欲しいというクライアント企業の要望は変わらない。出国に際してフォワーダー(国際輸入代行業者)が自社倉庫で荷物を積みつけ、国内でも自社倉庫で解体するインタクトサービスを始め、現地での検査品、レイトピックアップなどのサービスに力を入れている。
全米小売業協会が発表した09年の小売売上高は前年比0.5%減で、同協会が95年に見通しの発表開始以来、初の減少予測となった。エネルギーコストや物価が急落し、インフレの心配はないが、失業率は今後も上昇見通しで、消費者の所得の減少が懸念される。
バーコードが2010年から新しい国際標準の「GS1データバー」の普及が始まる。現在のJANコードに比べ、表示面積が小さく、消費(有効)期限やロット番号、値引きなどの付随情報を入れることができ、店頭で商品の安全性をチェックできる仕組みとして期待される活用法を探っている。
大手通販の08年12月期、第3四半期連結決算は、増収企業が大半を占めた。通販事業はインターネット受注の順調な伸びで近年拡大してきたが、昨年秋の金融危機以降はさすがに少しブレーキがかかり、減収企業も出てきた。営業利益も年初の原料によるカタログ費の増加、販売・管理費の上昇、粗利益率の低下などで減益が増えた。また、純損益は時価評価適用損などによって赤字を強いられた。
小売業の設備投資意欲が急速に衰えている。空前の不況下では出店しても収益につながるか計算が成り立たない、大手ディベロッパーがSC建設を控えるから出店したくても出る場所がない、そして不要不急の出費に備え改装も延期と負のスパイラルが始まっている。
大手スーパー各社が春の新生活向け商品の低価格販売を強化している。婦人スーツで、入学式や卒業式に使うもので初めて7,000円台のセット商品を投入、就活用に5,800円を発売した例がある。毎月の衣料品売上高が3年以上連続して前年割れしたため、値頃感のある商品を需要期にそろえ、今後の販売テコ入れにつなげたい考え。
「生活防衛意識を強める消費者に、少しでも価格を抑えて財布のひもを緩めて欲しい」―昨年末から急速に悪化した商況に対応し、今春夏物のプロパー平均小売価格は、小売業の7割が下げる方向だ。下げ幅で最も多いのは1000円前後。ただ、一律に価格を下げることへの警戒感も強く、自社の顧客が納得する価値に対して割安に感じる価格を模索する。悩みは続くが、ファッションの小売価格は全業態でさらに下へと進みそうだ。
1月にNYで開催された全米小売業大会が報告されている。グローバルに広がる不安感の中で、今回のキーワードはカスタマー・セントリック(顧客中心)あるいはコミュニティー・セントリックで、顧客をよく知り、変わる消費のマインドに合わせて売り方も変えなければならない内容となっている。
クリーニングの処理工程別に、ファスナーの注意事項を述べる。(1)受付時:ファスナーを上下して、異常や滑りにくい場合は、顧客の同意を得ておく。(2)洗浄工程:ファスナーを必ず閉じてから作業を行う。金属部分に薬剤が触れないように配慮する。充分にすすぐ。(3)仕上げ工程:樹脂製ファスナーには、アイロンを直接に当てない。金属製ファスナーには、湿気を残さない。(4)返却時:金属ファスナーは湿気を嫌うので、包装用袋から出して陰干しする。
タンブラー式の乾燥機だが、乾燥機下部から熱風を吹き上げることで、被洗物が回転ドラムに接触する度合いを減らした。この原理により、デリケートな素材に損傷を与えず、さらにボタン割れ等の事故やリントの発生も防げる。アサヒ製作所(本社:横浜市戸塚区)が、高級仕上げ乾燥機として発表した。
「良いものを長く使いたい」という消費者のニーズに応えて、靴・バッグのメンテナンス市場を狙った革ケアシステムが伸びている。それは全国展開をはかるワイズブランド(東京都足立区)である。同社の革ケアシステムは、次の一式を導入業者に提供する。短期研修制度、独自の機材(オゾン洗浄機,皮革専用乾燥機)、保湿剤・シミ取り剤、色補修,リペア会社と提携した品質処理など。同社のシステムは導入が低コストで済み、利益率が高い特徴を持ち、しかも革ケア市場は季節性が低いので,クリーニング店の活性化に寄与している。
冬物衣料品に多いクリーニングのトラブルをまとめて紹介した。衣料製品は次のように分類された。獣毛、羽毛、合成皮革・天然皮革、天然毛皮、合成毛皮。これらから次に抄録する。獣毛は羊毛に比べて組織がルーズなので、毛羽立って脱毛しやすい。羽毛はドライでもウエットでも可能だが、いずれもソフトな処理が必要である。また精製不充分な羽毛からは、油脂分などの残留汚れがしみ出すので、これら汚れの残留に注意する。天然毛皮はパウダーが原則だが、本体の汚れが落としきれない場合がある。
日本衣料管理協会の07年度実施の「衣料の使用実態調査」によると、女子学生、母ともTシャツ、父はワイシャツの購入が最多であった。この他、購入場所、所持枚数、廃棄処分方法などが報告されている。
関西圏にある4私立大学と1公立大学の経営学部、経済学部、文学部、生活環境学部のいずれかに在籍する大学生を対象とした質問紙による調査結果である。有効回答数は、男子124名、女子106名、合計230名。まとめを抜粋すると、Tシャツでは快適性、通気性、流行、色落ちしない、動きやすさ、汚れにくい、柔らかい、斬新さ、珍しい素材、オリジナル、流行している、消臭作用が求められている。素材について、男子は、どちらかというと機能面(ノーアイロンや洗濯のこと)がつよい要望となっているが、女子は、肌ざわりや素材の感触(つるつるなど)を重視している。
(独)製品評価技術基盤機構に、96年度から08年度(11月28日現在)までに、乾燥機で乾燥させたオイルが付着した衣類などから発火したとの事故情報が28件寄せられている。これは、美容オイル、食用油、動物油などのオイルが付着した衣類を衣類乾燥機に入れたところ乾燥し、放置していたことにより衣類に残留しているオイルが酸化熱により自然発火したものと考えられる。そこで、(独)製品評価技術基盤機構では、このように、美容オイルや食用油、動物油などのオイルが付着した衣類などは、洗濯した後でも絶対に乾燥機で乾燥させないように呼びかけている。
東京都消費生活総合センターでは、衣料品の繊維と家庭用品の性質に関する学習会を実施。@レーヨンに水A絹に塩素系漂白Bアセテートに塩素系漂白Cナイロンにトイレ洗浄剤D絹にパイプ洗浄剤―いずれも付着後時間が経過するごとに繊維が脆化、知らぬ間に穴があいていることが多い。CやDのような化学シミは、クリーニングで落ちないばかりか過熱でシミを促進させる恐れもある。より機能的な合成繊維の開発と家庭用品の多様化が目覚ましい現代社会において繊維と成分を改めて把握するよい機会となった。
奈良県食品・生活相談センターでは機能性繊維が使われた肌着について調べ結果を公表した。肌着は直接肌に着けるものなので肌触りが柔らかく、ムレず、すぐに吸湿・発散し締め付けすぎないものが良い。速乾性が高い合成繊維を使用した機能性繊維は、汗をかいた冬場には特に効果を発揮するようだ。また、肌触りを良くするために、繊維の中に保湿成分を入れて、さらに着心地をよくしているものもある。肌着の機能もさまざまだが、用途に合ったもの、自分にあったものを選び快適に過ごしたい。
「形態安定加工」と表示して販売された高級ワイシャツが実際には加工されていなかったとして、公正取引委員会は24日、販売した阪急阪神百貨店(大阪)、京王百貨店(東京)のデパート2社とシャツを製造したトミヤアパレルに対し景品表示法違反(優良誤認)で排除命令を出した。デパートによる不当表示は「高いけれど良いものが買える」という消費者の信頼を裏切るもので公取委は最近、特に強い姿勢で臨んできた。06年以降に公取委が処分した事例は8商品で12社。原因のほとんどはチェック不足だった。
「吸湿発熱」をうたった肌着が販売されているので、(社)北海道消費者協会の商品テスト部が性能の調査を行った。吸湿発熱性は銘柄で差はあったが、高いものでも綿100%の参考品と大差はなかった。繊維の吸湿発熱性については統一された評価方法や基準が確立されていない。「吸湿発熱」の表示にあまり大きな期待は抱かないほうがよい。尚、綿100%の肌着より洗濯後の乾燥時間が短いものが多く、発散性がよい銘柄もあった。
再生繊維、アセテート、ポリエステルに関する苦情の解説記事。レーヨンに関しては、しわ加工の消失、パイルの毛倒れ、アセテートに関しては、分散染料のNOxガスによる変退色、除光液による損傷が述べられている。ポリエステルに関してはウォータースポット、白ブラウスの黒ずみ、白ブラウスの酸化防止剤(BHT)によるNOxに起因する黄変、シルキー化減量加工による縫い目スリップ、織編物のピリング、新合繊(極細繊維)の毛羽立ち・白化、熱によるプリーツの消失、スナッグなどが取り上げられている。
シリーズの最終回。ナイロン素材に関しては、スポーツ用途品の酸性染料の変退色(耐光染色堅牢度)、水着の柄プリントの変退色、袖口等の折り目摩耗、ガードルの破れ、またモノフィラメント使いに関する苦情では、モノフィラメントを挿入したよこ糸の熱溶融、ベルト芯中のモノフィラメントあるいはモノフィラメントミシン糸の肌刺激が解説されている。アクリル繊維に関する苦情では、ボア繊維の風合い低下、モール糸の飛び出し、花糸の脱落が述べられ、ポリウレタン繊維に関しては経時劣化がよく指摘されるが、それ以外に塩素・汗による劣化、熱収縮やカバリング糸の膨潤による苦情が解説されている。
ポリウレタン素材は空気中の水分などと化学変化を起こして劣化が進行するため、耐用年数は短い。イタリア製のスーツなどでは、風合い表現のためウール生地にポリウレタンを複合させているケースがあり、トラブルの原因になっている。また「クリーニング事故防止システム」のデータベースによると、ウール衣料にパイピングされたポリウレタン合成皮革の劣化がクリーニングクレームにつながったケースなど51例が登録されている。使用する素材の消費性能バランスも考慮した設計が望まれる。
オーストラリアン・ウール・イノベーション(AWI)は、09年度に実施予定のウールマーク・ライセンス料の改定を1年延期する。世界的な景気後退がウール製品サプライ・チェーン全般に深刻な影響を与えており、パートナーとの建設的な関係を維持するため、としている。これに先立って、ウールマーク品質基準の、一部改定と、新毛30%以上50%未満の「ウールブレンド」ブランドを09年12月15日付で廃止する。ウールマーク・ブランドの所有権は経営統合によってザ・ウールマーク・カンパニーからAWIに移管。再活性化で新たな品質保証に焦点を当てる方針を発表している。
中国海関総署による08年繊維輸出は、紡織・糸、織物が654億ドルで、周辺国への輸出が拡大し前年比2ポイント上昇し17%増加した。一方、衣類・同付属品が1198億ドル、同4%増と伸び率が大幅に縮小した。
日本ファッション協会は、原宿、表参道など人気が高い通りの最新ファッション情報を伝えるサイト「スタイルアリーナ」を全面改良、強化する。個人が楽しめるだけでなく、企業がデータベースとして活用できる機能を整えた。
日本繊維産業連盟の09年度活動方針は@繊維産業の構造改革の推進A新素材・新商品・新技術の開発B環境問題、製品安全問題への取り組みC情報発信力・ブランド力強化D工商一体の貿易拡大E国内事業基盤の維持強化F人材確保と育成G税制問題への対応H国際化への積極的対応―の9項目からなる。
第57回を迎えた2009/2010秋冬ピッティ・イマージネ・ウォモが1月13日から16日までの4日間、イタリアフィレンツェのフォルティッツア・ダ・バッソ会場で開かれた。世界最大級のメンズ総合展示会で690社845ブランド(うち海外ブランドが272社)が参加した。来場バイヤーは22,672人で昨年同時期より10%以上も下回り、折からの世界不況を強く感じさせた。
世界貿易機構(WTO)の緊急調査で、08年秋以降の金融危機で保護主義の流れが強まっているという。08年はじめから現在までに、協定違反を理由に被害国が実施国を提訴したのは21件。今回調査で判明した19件の保護貿易措置は09年11月からの3ヶ月でほぼ実施されている。このうち繊維関連では、インドネシアで輸入できる港・空港を限定する輸入障壁がある。
@著者:「提携を含めた繊研記者」Aデータとともに戦後の混乱期から現在までの繊維関連産業各業界の60年の歴史を振り返っているB価格:1600円D問い合わせ:繊研新聞社 TEL 03-3661-3681
@4月17日A大阪科学技術センターBウェアラブルコンピューティングとファッション、スマートテキスタイルの最新動向、スマートテキスタイルとe-テキスタイル、CGによるファッションデザイン、他C日本繊維機械学会 TEL.06-6443-4691
@4月24日A大阪産業創造館6階会議室E、B3次元スプリング構造体繊維を用いた床ずれ防止マットレスの開発、温熱環境と睡眠、生体時計を知って快適に過ごそう、枕の高さが夜間睡眠に及ぼす影響、他 C日本繊維製品消費科学会 TEL.06-6358-1441
@5月16日A京都工芸繊維大学 繊維科学センターB心揺さぶる写真、高画質映像のヒューマンインターフェイス評価法と感性、コミュニケーションについてのパネルディスカッション、他C京都工芸繊維大学デザイン経営工学部門 佐藤研究室内 感性研究フォーラム事務局 TEL.075-724-7578
@6月5日A大阪科学技術センターB染色加工概論・ウールとシルクの染色加工、セルロース系繊維の染色加工、合繊の染色加工、染色加工の品質保証、他C日本繊維機械学会テキスタイルカレッジ委員会 TEL.06-6443-4691
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男