ミニ情報TOP→ 日本衣料管理協会TOP→ バックナンバー一覧(2003年度:第20巻〜)→
中小企業基盤整備機構の第2期中期計画(09〜14年度)は、@前半は直面する不況克服に対応するため、中小企業倒産防止共済貸付、事業再生、販路開拓、農商工連携・地域資源活用事業などへの支援A期間全体では専門家の継承的派遣やファンドによる新事業への一貫した支援−に重点を置いた業務に取り組む。
特許庁の08年度模倣(コピー)被害調査によると、被害率は24%(前年比1ポイント上昇)、被害者数も3年連続の増加になった。国別では69%(同6ポイント低下)で被害が最大。模倣被害者全体の4割がインターネット上の被害を受けている。それに対しての効果があるのは「弁護士や法的手段の検討」が53%、「販売・出店業者への通報・警告」49%と高い。
与野党は13日、政府の消費者行政を一元化するための消費者庁設置関連法案について、同庁の独立性を高めるための法案修正をする方向で一致した。消費者庁と他省庁のなれ合いを防ぐため、消費者庁の下の有識者委員会を格上げし、同庁を監視できるようにすることを軸に修正協議が進んでいる。民主党が修正に応じることで、今国会で成立する公算が大きくなった。
中小企業庁は09年度「地域資源∞全国展開プロジェクト」221件を決定した。全国の商工会・会議所が地域の事業者と一丸となって行う新商品開発などの地域発新事業展開を支援する取り組みで、繊維関連では5案件。
「繊維王国福井」(福井県・福井東商工会)「地域資源活用“売れる”販路開拓塾」(福井県・坂井市)「但馬ちりめんを活用した若者向け商品開発・販路開拓事業(兵庫県但馬商工会)「心に触れる新たな滞在型観光“米沢おかえりプロジェクト”(山形県・米沢商工会議所)「鯖江ブランド創造発信事業」(福井県鯖江市)。
ナノテク材料の代表であるカーボンナノチューブ(CNT)はさまざまな分野で使用されてきているが、一方ではCNTの発ガンや中皮腫などの疾病に対する安全性の懸念などが指摘されている。ここでは日米欧各国のCNTの安全性評価研究の現状と取り組みを解説している。
フジレースは、からむし(青苧:イラクサ科の多年生植物で麻の一種)の糸を開発し、シャツやブラウス、下着、靴下などの製品を提案する。からむしは縄文時代に大陸から日本に伝播し、江戸時代に越後で盛んに栽培された。糸から製品の全工程が手作業で時間と労力がかかるため、現在では福島県昭和村と新潟県の一部が原料の産地となっている。糸は綿と混紡し、白金ナノ粒子加工をすることでシルクのような柔らかい肌触りとともに、吸・放湿性、通気性、耐久性、抗菌性に優れる。布帛のドレスシャツやブラウスは、からむし100%なら35,000円ぐらいのところを、綿を50%混ぜることで20,000円以内に抑える。
ダイワボウレーヨンは、高吸放湿性や消臭性、カチオン染色性など多様な機能を持ったレーヨン「コンフォーレ」を開発した。コンフォーレはレーヨンにカルボキシル基を含む重合体を練りこんだ高機能レーヨンである。繊度は1.4dtex×38mm(ブライト)での量産が可能で、梳毛用の51mmの生産もできる。見た目はほとんどレギュラーレーヨンと変わらない。「快適性」をコンセプトに、秋冬向けのインナー用途などでサンプルを出荷、来年の店頭販売を目指し、数社で取り組みが進む。国内だけでなく、中国をはじめとしたアジア地域での販売拡大も狙う。
人類は太古より様々な方法で太陽の恩恵を受けてきた。その効用には、プラス面とマイナス面がある。本報では、太陽光の元で試みた実験例の数々を衣生活の面から解説している。太陽高度の高い夏に黒の衣服を着用したときの総吸熱量は白の4倍であり、受光30分後の黒の各部位の皮膚温は、白よりも高値であった。また、日傘による防暑効果を白と黒で比較したところ、頭部と日傘の距離が50mmの場合は黒の方が高く、150mmの場合は黒の方が低かった。さらに、夏の帽子をマネキンに着用させた時の帽子の素材の違いによる帽子表面温度、帽子内温度および毛髪内温度の実験結果を報告している。
衣服に関する1970年代までの研究は、疾病の予防を研究する立場からの保健衛生的着心地の研究が多い。1970年代は、衣服を人体と環境の熱平衡の概念の中に位置づけている快・不快と同時に、ポリウレタン繊維の出現による運動機能的着心地の研究が多い。衣服に求められる快適性の主要因は、衣服内気候、衣服圧と肌触りの三つであると述べている。快適性の研究は衣服に関する重要な位置を占めており、「快適性に関するシンポジウム」(繊維製品消費科学会)や「快適性の評価と設計」(日本繊維機械学会)などで、快適性の研究が行われている。
植物としてのケナフは@成長速度が極めて速い、A高い炭酸ガス固定能力がある、B土壌浄化作用がある等の特徴があり、ケナフ繊維と他のポリマーとの複合材料はマット、シート、ボードとして自動車、建築など多用途に使用されている。需要の増加に対応して更なる繊維改質へ向けた細胞壁工学の開拓が期待されるとしている。
市販のポリエチレンテレフタレート(PET)繊維の強度は理論強度の4%程度であり、一般に繊維の高強度化には高分子量化および高配向化が必要とされている。しかしながら、高分子量化した樹脂では紡糸性や延伸性が低下して高強度化が困難となる。著者らは溶融紡糸時の紡糸パラメータを制御することによって溶融紡糸・未延伸糸の内部構造(分子鎖の絡み合い構造)を解析・制御することによるPET繊維の高強度化を目指している。この報告では、紡糸口金のノズル径に注目してノズル径の変化による力学特性と内部構造の変化を検討している。
ユニチカサカイは、レーヨン・ポリエステルの複合フィラメントで、トップ染め調の自然な粗杢を表現した婦人用新素材「ウェルセル」を開発。フィラメントによる杢素材は合撚や混繊の複合が多く、製編時に杢が乱れたり、杢の周期が細かいものに限る問題があった。ウェルセルは、特殊なエア加工・複合加工技術で、レーヨンとの交絡点をバインダー繊維で固定した。10年春夏向け婦人ニットから販売。36ゲージをはじめとした薄地から、ポリウレタン混のスーツ地を揃える。ドレープ性が豊かなため、従来少なかったカットソーやワンピースで新鮮な見え方が期待できる。価格は、薄地1,000円/m、スーツ地1,800円/m。
ポリオキシメチレン(-CH2-O-)nあるいはポリアセタールと呼ばれる高分子は優れた機械的、熱的、化学的特性を持つ樹脂として知られているが、繊維としては実用化されていない。これを繊維化した各種タイプのジュラコン繊維の力学特性、摩擦特性、耐光性などをポリエステル、ナイロンと比較して紹介している。
木タールは木炭製造から排出される副生成物で、有効活用されずに産業廃棄物や地域環境悪化の一因になっている。木タール中には木材のセルロースが熱分解して生成する1,6-無水グルコース(レボグルコサン)が含まれるため、木タールを原料とする炭素繊維、導電性炭素材料が開発された。炭素繊維は木タールから木タールピッチに変換し、溶融紡糸装置により溶融紡糸を行い繊維化させる。その後、硝酸溶液によって表面を酸化し、不融化処理を高温(800℃、つづいて2000℃)で焼成することにより得られた。また、木タールピッチを粉末にして高温焼成(800℃、つづいて2000℃)することにより高い導電性を持つバイオマス炭素が得られることを見いだした。
九州大学の境愼司助教らは、直径100nmサイズのナノ繊維から不織布を作る技術を開発した。粘り気のある溶液にシリカを入れ、この溶液に1万〜2万ボルトの高い電圧をかけ、正の電荷を帯びた溶液を直径1mmの穴が開いた注射器のような装置で押し出すと、空気中で溶液中の分子が反発し合い、溶液が蒸発していく過程でシリカの繊維が徐々に細くなり、繊維が複雑に絡まって厚さ1mm程度の不織布になる。シリカは安定性の高い物質で培養に悪い影響を与えるような物質が溶け出すことがない、高温高圧で滅菌し清潔に保つことができる、表面積が大きいためシリカ繊維の表面に酵素をくっつければ発酵を効率化できるなど、バイオ燃料の生産に利用できるとしている。
繊研新聞社のアンケート調査によると、10年春夏テキスタイルに必要なキーワードとして、「ナチュラル」が4年ぶり1位に返り咲いた。「エコロジー」と「エレガンス」が後退、「ビンテージ」が浮上するなど、全体にくつろぎや安らぎを求める傾向が強まった(関連記事7、12面に)。「機能」が上位に入るのは04年春夏以来。婦人服地が主対象の同調査では珍しいが、着心地の良さの追求、ものが売れない時代の差別化手段として注目される。
ミズノ、デサント、アシックスの国内3社は、新作水着で北京後の初シーズンに臨んでいる。ミズノは締め付け機能を強化して体形を補整して、水の抵抗を減らす効果に着目し、補整のため腹部や腰の体幹部など、内側にポリウレタン製パネルを装着した。デサントは従来のニット中心から伸縮性の低い織物を使用し、締め付けを強化する一方で臀部などにポリウレタン製のテープで太ももなどをつり上げ、下半身が水面に沈むのを防止している。アシックスは伸縮性のある独自の素材を使用し、無理のない着脱や動きやすさに力点を置いた。体幹部や脚に伸縮性が少ないポリウレタン製素材を使用して体形を補整している。
寝具寝装業界で環境に配慮した商品が広がっている。寝具を扱うメーカー・商社は、企業姿勢に環境対策も盛り込みながら、エコ関連企画を市況打開の起爆剤として位置付け、商品開発と拡販に力を入れている。アイスジェルパッド、クールファール28、クール・リブ、クールエコー(サラッとドライシリーズ)、クールエコー(ひんやりクールシリーズ)、ひんやりハニカム敷きパッド、おやすみクールジェル敷きパッド、ロマンスクールビズ(涼感シリーズ)などの涼感寝具のコンセプトと商品特徴を紹介している。
ユニチカファイバーの「打ち水」は水分の気化を利用したクーリング素材で、肌側に吸水拡散性のある異型断面糸、表側に汗の蒸発を促す糸を配置した二重構造の織・編物である。表側の糸は、中心部の特殊セラミックスをポリエステルで覆ったもので、このセラミックスが出す波長によって、汗の水素結合が解かれ、気体となって蒸発する。「打ち水・ドライ」は「打ち水」のコンセプトを一本の糸に落とし込み、編み立てや織り組織の自由度を広げたもので、異型断面、芯部と鞘部のある二重構造の糸で、特殊セラミックスを三角形の外周に対して相似形に練り込んでいる。
クラボウと旭化成せんいは、キュプラ「ベンベルグ」短繊維素材の共同開発・販売プロジェクト「Jファイバー」で、婦人向け織物パンツ素材「プリンセスソフト」を打ち出す。これは、女性がパンティーストッキングを履いた上に、織物のパンツを着用すると、着脱しにくいという声に応えたもの。たて糸に綿100%糸、よこ糸にポリエステル系弾性糸とキュプラ短繊維の特殊紡績糸を使用、生地の肌面にキュプラが出るようにして「縦方向の滑りを改良」、着脱をスムーズにした。吸放湿性に優れたキュプラを使用、ベトツキが少なく、さわやかさも特徴。実測の摩擦抵抗値は、発汗前に比べ、発汗後は30%増加する。
服地コンバーターの外村が展開する富士山溶岩繊維事業が拡大している。富士山の溶岩にはミネラル、カルシウム、亜鉛、ナトリウムなどの鉱物が豊富に含まれ、抗菌、消臭やUVカットなどの効果が科学的に証明されている。溶岩をナノレベルのパウダーにし、レーヨンに練り込んだ糸を開発した。綿と溶岩練り込みレーヨンの混紡糸で20、30、40、60番手の双糸によるジャージーがベースである。悪臭の元である黄色ブドウ球菌やサルモネラ菌、アンモニア、硫化水素ガスなどが18時間後には99%消失してしまう効果の高さと供給の安定さなどが支持されている。
帝人ファイバーは、寝具やカーテンなどリビング用途に向けた機能素材に力を入れている。重点素材は、エコと機能を両立させたもの。ノンハロゲン系難燃素材「スーパーエクスター」は、シャリ感ときれいな見た目が特徴の分繊糸使いのボイルなど、カーテン用生地を充実させる。保温・発熱繊維は、遠赤外線保温素材「ウォーマル」や吸湿発熱アクリル「サンバーナー」、高吸水・高吸湿繊維「ベルオアシス」を掛け布団や毛布、ベッドの敷パッドに提案する。繰り返し洗濯できるポリエステル「ウォッシュロン」も要望が強い。柔らかさのあるPTT繊維「ソロテックス」は反発感があり、枕の中わたに適している。
ザ・ニュージーランドメリノ・カンパニー(NZM)は、今羊毛年度からメリノウールに加え、交配種の中番手羊毛の普及を目的にしたマーケティング活動を始めた。メリノと英国種の交配種のポロワース、コリデールとメリノとロムニー種の交配種のハーフブレッドである。メリノウールの太さが12〜23μmの細番手であるのに対し、22〜28μmと中番手が主体で、ニュージーランドでは、これら交配種の羊毛を「ミドルマイクロン」と称している。繊維が長く、ハリ、コシがあり、スポンジーで光沢があるのが特徴。すでにアメリカのソックスメーカーなどで普及させてきたが、日本でも展開する。
山陽色素は、吸尽染色用のカチオン性水分散顔料「エマコールCTカラー」(本誌第26巻第1号、2009.4)に併用する吸尽バインダー「エマコールCTバインダーH901」を開発し、特許出願中である。新バインダーは、同社が展開している上記カラーよる吸尽染色(製品染め含む)の使用効果を大幅に高めるという。顔料染色では、摩擦堅ろう度に問題があるが、乾・湿ともに従来品より0.5級の改善をし、乾3.5級、湿2.5級の結果を得ている。顔料の製品染めでは、使い古し感を表現するためバイオウォッシュがよく行われるが、その前のバインダー固着工程が不要となる利点がある。
テキスタイル製造卸のウイルビー(京都市)は天然の草木100%の染料による無地、プリントの染色加工を開発、受注を開始する。草木100%の染めは一般に堅牢度が低いため、一部、化学染料を混入して染めたり、堅牢度を高めるために、ハンドメードで何度も染色を繰り返す方法がとられている。ウイルビーは染料メーカーと組んで、工業的に染色する加工を開発した。洗濯、摩擦堅牢度ともほぼ4〜5級を、耐光堅牢度は3級以上をクリアして風合いなども損なわない。ざくろ、ロッグウッド、ラックダイ、くちなしなど約20種類の草木から抽出した染料を使い、環境を壊さない媒染材によって50色前後の色が出せる。落ち着いた日本古来の色に特徴がある。
伊藤忠商事の事業会社インクマックスは、Tシャツなどの繊維製品に直接、プリントできるインクジェットプリンター「インクマックス・ソロ」を開発した。インクマックス・ソロは、インクマックスと三菱鉛筆が共同開発した直径約70nmの超微粒子ピグメントパウダーと特殊バインダーを分散させた「ユニ・カラー・フォー・テキスタイル・インク」を採用。水とエネルギーの消費量を大幅に削減できるうえ、白インクも加えた。これにより、抜染の代わりに、黒などの濃色に染まった製品に白インクで下地をつけ、直接プリントすることも可能となった。
インクジェット捺染は、捺染型が不要であり、初期費用および初期工数が小さい。一方、インクジェット捺染は、スクリーン捺染に比較して染料のコストが高価であり、プリント速度が遅いという欠点がある。したがって、インクジェット捺染は、小ロット多品種生産に向いている。その上で、コニカミノルタインクジェットテキスタイルプリンター「Nassenger V」について、幅1.6m、1柄500mの小ロット生産の条件でロータリースクリーン捺染と比較した場合、電力57%、糊剤97%、水62%、消耗品85%、CO295%の削減になると試算されている。
ベンガラ染めの「古色の美」を展開するナカジマ(大阪府)は、新たに捺染用インキを開発、染工場などの業務用のほか、家庭用も販売する。無地染め、製品染めに加え、捺染用も打ち出し、ベンガラ染めの普及に力を注ぐ。ベンガラは酸化鉄で、土から取れる天然成分の無機顔料。定着剤や油、添加剤に天然成分を使用。石油系溶剤は一切使用していない。色は今回、新たに黄土、丹土、黒土など6色の「土色シリーズ」を加え、18色に増やした。ナカジマは「オーガニックコットンを染めるのはベンガラ染めが適している」とエコ対応の顔料として広く普及させる。
シキボウは椿の花のエキスで抗酸化性、抗菌性を持たせる加工「島椿」、天然溶岩の粉末で発熱する加工「マグマテック」を開発した。10年春夏物から精紡交撚糸「デュアルアクション」使いの綿織物、複合織物、ニットなどに加工、衣料、寝装用に展開する。椿の花びらには薬理作用があり、化粧品にも使われている。この花びらのエキスを繊維に結合、洗濯耐久性を付与する加工を開発した。汗(皮質)が酸化し、発生するにおいを抑制する抗酸化性や抗菌性を持つのが特徴。マグマテックは溶岩をナノレベルまで粉砕し、バインダーにより繊維に結合させた。溶岩からは体温を上げ、新陳代謝をよくする遠赤外線が放射される。
皮膚への刺激がある化学物質ホルムアルデヒドについて、規制対象外である子供用の衣類、帽子、へアゴムなどに含まれる量を東京都が調査したところ、一部の商品から高い濃度が検出された。Tシャツ、トレーナー、スニーカー、帽子、マフラーなど76点のうち、75ppm以上のものがヘアゴムで12点中5点、トレーナーで7点中2点、帽子で7点中1点の合計8点あった。300ppmを超える高い濃度が検出されたのは、毛皮つきヘアゴム(毛皮部分)2点とトレーナー(フロッキープリント部分)1点の計3点だった。原産国が付いていないものを除くといずれも中国製であった。
近年,繊維加工の分野でもナノテクをうたった繊維製品が次々と発売されているが、従来品との違いが分かりにくい等の指摘も出ている。東レでは独自の基準として、「ナノスケール加工技術」を「処理対象、処理薬剤、処理後の構造のいずれかがナノスケール(100nm以下)で自在に制御された加工」であり、かつ「新たな機能の発現、あるいは通常加工対比その特長・機能・適用範囲が格段に向上した加工技術」であると定義している。現在、“ナノマトリックス”、“ナノプレム”、“ナノラメラ”、“ナノモディ”へと広がり、それぞれの技術と商品が紹介されている。
ベトナムのアパレル生産が転換点を迎えている。人件費の高騰、年々難しくなってきた労働力確保といった中国と同様の問題を抱えていたが、昨年秋から状況が一変した。対米輸出の不振で有力工場は、ロットの問題から敬遠しがちだった日本向けに関心を示し始め、昨年12月に発効した日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定も追い風になるとの声も強い。納期、素材の調達力、日本語人材など中国と比べて劣る部分は多いが、この間の状況変化は日本のアパレル企業にとって、プラスに働く可能性が大きい。
ファーストリテイリング(FR)は「ユニクロ」の商品力底上げを狙い、デザイナーのジル・サンダーとデザインコンサルティング契約を結んだ。ジル・サンダー氏の着心地とセンスへのこだわりとユニクロの品質を融合させることで新しい価値の創造を目指す。柳井正FR会長は「本当に良い服を、より多くの世界中の人々に提供する手がかりを得た。誰もやったことのない服を作る。」とパートナーシップの意義を語った。特定コレクションは10月ごろ、レディスで約50型、メンズで15〜20型ほどの販売を予定している。
繊維産業流通構造改革推進協議会(繊維ファッションSCM推進協議会)は6月をめどに、海外縫製の指針を策定する。縫製委託先の現地工場からB級品や模造品が流出するのを防ぐ。知的財産保護に向けた費用負担の基準なども作成、商社やアパレル企業との間で紛争を未然に回避する狙いも。
「厳しいとき、頼りになるのはやっぱり雑貨」と言われて、市場シェアを高めてきた服飾雑貨だが、ここに来て風向きが変わった。日ごとに消費者の節約志向が強まる中、人気ブランドや注目売り場を見ると、明らかに従来とは異なった切り口が求められている。キーワードは、値頃で使い道が限定されない商品。同時に目の肥えたお客を満足させる上質さを併せ持つことも大切だ。
量販店や専門店チェーン向けに製品を卸販売してきたアパレルメーカーでのOEM(相手先ブランドによる生産)の比率が増えている。量販店の平場が縮小したり、自主開発商品が増加したりする中で、PB商品のOEMを手掛けることで新たな活路を求める動きだ。出店ラッシュが続いたSCのSPA(製造小売業)にOEMで対応する動きも目立つ。アパレルにとっては、従来の卸販売に比べて低い利益になるものの、計画的な生産や在庫リスクを持たないことで粗利益を見込みやすいメリットもある。ただ、大手量販店などがPBの価格引下げに動いているため、発注・生産ロットの拡大や在庫の処置がネックとなる。
中国の有力アパレル企業は、国内向けに新業態や新ブランドを打ち出すとともに、海外戦略を強めようとしている。北京で開かれたCHIC(中国国際服装服飾博覧会)では、ライフスタイル提案など、付加価値のある打ち出しが目立ち、大手企業は、政府の内需拡大政策でさらに成長が見込める、という見方が強い。厳しい環境をチャンスととらえ、海外戦略にも意欲を見せている。
花菱縫製は昨年夏、中国の北京王府井に紳士服オーダー専門店「花菱」を開設。今春も坂井路に北京2号店をオープンした。同社がE.Oを高島屋東京店で始めたのが50年秋。日本独自のビジネスモデルとして創造されたE.Oは発売60周年を前に世界へ羽ばたく。
JUKIは、厚物にも対応できる3本針二重環縫いミシンと高速サージングマシンの新製品を販売。ジーンズ、デニムジャケット、作業服など厚物素材の3本針二重環縫いミシンは、14オンスのデニムを16枚重ねた部分でもスムーズな送り力が発揮でき、極厚部分の縫製時には針糸の繰り出し量を自動調整し、適正な縫い締まりを実現する。サージングマシンは、さまざまな形状をした生地の縁かがり縫いを行うサージング工程で、1分当たり最高8,000針の高速縫製を実現した。素材に合わせた押さえ高さで送り傷やパッカリングを防ぐ。
ゴールドウインはオペロンテックスと共同で、汗のにおいに加えて加齢臭もカットする新素材「マキシフレッシュプラス」を用いたアンダーウエアを開発した。4ブランドで商品化し、4月下旬から売り出す。「マキシフレッシュプラス」は半永久的な持続効果を持ち、耐洗濯性にも優れる。加齢臭のもとになる「ノネナール」については、臭気成分89%減少というデータが得られている。消臭機能を持つ「マキシフレッシュ」と、オペロンテックスの特許取得技術を組み合わせて、高度な消臭機能を実現した。においの悩みから開放された、快適なライフスタイルを提案する。
はるやま商事は、09年秋冬からレディスファッション分野に本格参入する。25歳から30歳の次世代キャリアウーマンをターゲットにした自社ブランド「ミリオンカラッツ」を企画開発し、同名のコンセプトショップを都心のターミナル型ファッションビルに出店。自社企画商品80%、インポート商品20%で構成し、売り場面積約100平方メートルのショップを、都市部のファッションビルに3店(今秋)出店する。今後順次出店計画を加速し、5年後50店舗、売上高100億円を計画している。
伊勢丹本店は3月末から、家庭洗濯が可能なウール100%の婦人スーツの販売を始めた。働く女性からのニーズが強かった洗えるスーツを具現化するため、キャリアブランド「イネド」(フランドル)、尾州産地と組んで独自開発した。1日平均で6、7着を売り上げている。紳士服とは異なる仕様や生地の風合いのため、婦人向けでの商品化は初めて。試作を繰り返して最終的には72双糸のギャバジンを使った。生地の風合いを損なわない防縮加工のほか、14〜17の縫製工程ごとにシロセット加工することで縫い縮みを抑え、通気性のよい肩パッドや毛芯地、メッシュ状の裏ポケットなど水抜きや生地への負荷が少ない仕様を取り入れた。
はるやま商事は10日、東洋紡スペシャルティズトレーディング(東洋紡STC)との共同開発商品「アイシャツ」を販売する。新商品はクールビズ対応のビジネスシャツで、スポーツ衣料素材としてすでに定評の「ドライアイス」を使用。同素材は東洋紡STC独自の特殊ポリエステルフィラメントによって運動中に発生する体の熱を効果的に逃し、快適でクールな着用感を可能にした。ビジネスシャツでの使用は今回が初めて。アイシャツの特徴は@接触冷感A吸水速乾Bニット地によるストレッチ性C高い通気性Dイージーケア、などがある。
量販店向け主力の婦人アパレルは、価格戦略商品への要望を強める中販店への販促に取り組む。中販店が大手量販店のPB(プライベートブランド)に対抗する企画商品への対応を意図するもので、アパレルとしてSM(スーパーマーケット)店舗を主体とするなどの中販店での売り場取りに向ける。「販売先が自社では対応できない価値訴求の低価格商品を円滑に供給」との姿勢だ。
カジュアルショップ、ブランドでサイズやパターンの見直しが進んでいる。最近の消費者はヤングから中高年までが「できるだけ細く見える」「太くてもきれいなシルエット」を求めている。これに対しブランドやショップは見た目の良さ、着心地感で、価格以上の価値で差別化しようというわけだ。特にボリュームゾーンのブランドでは、販売機会ロスや試着ストレスを減らす狙いもある。好きなフィット感を顧客が選べるようにしたり、腕周りの改良などで「迷わず賢く買う」消費を刺激する。
市況低迷から大手アパレルの業績が大きく落ち込んでいる。昨年秋以降の店頭プロパー消化の悪化で、各社の08年度決算は期初予想を下回る大幅な減収減益。当面は足下の収益改善策だが、特に百貨店を主力とする大手アパレルでは、この消費低迷に外資を含めたSPA(製造小売業)の参入など、急激な環境変化でいかなる経営ビジョンを掲げていくのか。強み、成長の軸をどこに置くか、あらためてその方向性が問われる。
スポーツブランドで女性に向けたスカートの提案が増えている。ランニング、アウトドア、サッカーなど、従来は活動的で男性が主力だった競技やフィールドでも、女性らしさを求める消費者が増えている。女心をくすぐるスポーティーかつフェミニンなアイテムは、スポーツ市場の期待商品になっている。
つま先とかかとをカットしたタイツのような衣料品「トレンカ」が若い女性の注目を集めている。スキーパンツのように、すそに土踏まずを引っかける帯状の部分があるのが特徴。1980年代にも流行したが、今年はレギンスのすそを甲まで伸ばし、かかとをくりぬいて肌を見えるようにしたタイプが主流だ。1000〜2000円程度で買える手ごろさと、脚が長く見えるといわれるデザインが人気の秘密だ。
日経MJと法政大学による小売業112社の経営者が手本にしたい「ベンチマーク小売業」調査によると、1位はセブン&アイHP、2位はわずかな差でファーストリテイリングだった。経営理念の明確さなどが高く評価された。百貨店では伊勢丹が1位。
大手アパレルなどのNB商品が売り場の多くを占める百貨店でも、PB(自主企画)商品の存在感が増えている。今春、各社相次いでPBを刷新しているのが紳士服・服飾雑貨。消費者の低価格ニーズに応えるほか、PBを利用して売り場の独自性を強調し、集客につなげる構えだ。
消費低迷を受け、大手スーパーや専門店各社は安売り戦略を強化しており、価格競争が激しさを増しそうだ。例えば、イトーヨーカ堂は2600品目値下げ、衣料品では平均で3割低下、中国、ベトナムなどから輸入を増やし、仕入れコストを引き下げる。
定額給付金の支給が東京都内でも3月下旬から始まるのに合わせ、大手小売業は相次いで販促策を打ち出した。特典付き商品券、支給額と同じ値段の詰め合わせ販売など、各社とも給付金を消費喚起につなげようと懸命だ。
衣料品専門店や中堅アパレルが中国での出店を拡大する。国内では衣料品の深刻な販売不振が続いており、大手に続き、中堅も成長が期待できる中国市場での基盤作りに乗り出している。
百貨店、コンビニなど大手小売りの再編が加速し始めた。コンビニのM&Aにとどまらず、系列を超えた連携や店舗の売買など、従来の枠組みにとらわれない動きが目立つ。消費不振が深まるなか、小売業の合従連衡は新たな局面を迎えている。
08年の秋口以降、消費の潮目が大きく変わり、都内百貨店にも新しい動きが出てきた。今まで比較的表舞台に出てこなかった「お直し」「リフォーム」コーナーに脚光が集まり、秋口以降の利用件数が伸びている。不況の影響もあって、新しいものを求める前に、まず現在使っている「愛着」「こだわり」のある物を修理・リフォームして、いつまでも長く使いたいという消費ニーズが浮き彫りになっている。好調な動きを見せる都内百貨店の「お直し」「リフォーム」コーナーを探った。
日本チェーンストア協会による2月の全国スーパー売上高は既存ベースで前年度月比5%減、3ヶ月連続前年割れ。新店を含む全店ベースの売上高は、9526億と単月では18年ぶりに1兆円を割り込んだ。前年のうるう年で営業日が1日少なかったうえ、衣料品や住居関連の落ち込みも響いた。
中堅アパレルの疲弊でかつてのような至れり尽くせりのフォローが期待できない今、展示会での商談をはじめ商品を買い付けるための出張は重要性がますます高くなっている。しかし、地方の専門店にとって交通費や宿泊代の負担は重い。熱心に回るほど利益が圧迫される矛盾に直面する。そんな状況に着目し、ネット上で小売店が仕入れできるBtoB(企業間取引)サイトが増えてきた。遠隔地だけでなく、交通至便な都心でも活用する店がある。
カジュアル衣料品にも不況の影響が広がっている。高級ブランド衣料品に比べ安く消費者の節約意識が追い風となっていたが、一段の景気悪化で安さだけでは消費者が財布を開かなくなってきた。その中で好調を持続する「ユニクロ」。マイボイスコムの調査で支持される理由を探ると消費者が安さに加え品質など別の価値も重視している実態が見えてきた。
ファッションの価格はどこまで下がるのだろうか。一段の景気悪化を受けて、小売り各社はこの春夏物で一斉に価格を下げた。「消費者の最大のニーズはいま価格にある」「割安感を出して少しでも財布のひもを緩めて欲しい」と、価格下げはラグジュアリーブランドから激安業態まですべてを覆う。「安く買う」トレンドが終わった後に、下がった価格は戻るのだろうか。
百貨店各社で店舗改装の延期や凍結が相次いでいる。高島屋、大丸などは関西の主要店舗の改装開業を半年先に延ばし、京王なども改装を凍結。景気低迷で販売が一段と落ち込むなか、改装開業時により高い効果が見込めるよう投資を先送りする。
米の大型店50社の08年度決算が、合計で前期比4%増収したものの、赤字が16社、減益17社と厳しい結果になった。増益は、低価格のディスカウンター、ホールセールクラブ、オフプライスなどすき間市場の一部専門店だけだった。
衣料品の売上高が低迷している小売業は、09年度も売上回復が見込めないとして、一層の低価格化で価格競争に臨む一方、経費削減などで収益性改善をめざしている。抜本策を模索しているものの簡単には見当たらず、小手先の対症療法に終始しているのが実態だ。
大手流通業の2月期決算が出揃い、コンビニは大手5社中4社が増収増益。百貨店大手3社・グループは減収減益、大手総合スーパー3社も減益と明暗が分かれた。コンビニは「タスポ」導入の反動によるタバコ及び飲料等のついで買いが貢献し、セブン−イレブン・ジャパン、ローソンが過去最高益を更新した。一方百貨店は、主力の衣料品の売上高が5%〜10%程度落ち込み、高額な宝飾・貴金属の販売が大幅減になったことが響いた。また、イオンもGMSの苦戦等により、税引き後利益が27億円の赤字と7期ぶりに赤字に転落。イトーヨーカ堂も営業利益が44.1%減と苦戦を強いられた。
日本百貨店協会の3月の全国百貨店売上高は既存店ベースで前年同月比13%減だった。前年割れは13ヶ月連続で、下落率は消費税引き上げの特殊要因を除き、現在の手法を始めた1965年以来、最悪になった。景気後退や天候不順で主力の衣料品が2割近い落ち込みとなったことが響いた。
不況で小売業に営業時間短縮の波が高まってきた。4月から三越が7店で実施したほか、イトーヨーカ堂も80店の閉店時間を繰り上げなどで消費者に認知されてきたことから、CO2削減や節約・省エネブームとも相まって今後もひろがりそう。売り上げ回復が見込めない中で、コスト削減の即効薬として一人歩きしそうな雰囲気だ。
グローバルプレーヤーの激戦地、東京・原宿がヒートアップしている。24日にポイントがコレクトポイントを出店したのに続き、29日にはフォーエバー21がH&Mの隣に開業した。秋にはJR駅前にギャップが旗艦店を開くなど、早くも到来したかのような原宿の夏は長く続きそう。新店が開くたびに消費者は大はしゃぎするが、プレーヤーたちは冷静だ。
流通システム標準化普及推進協議会が正会員に日本チェーンストア協会、日本百貨店協会、日本専門店協会、日本アパレル産業協会、日本スポーツ用品工業協会など44団体、支援会員83社で発足した。経済産業省の流通システム標準化事業の活動を引き継ぎ、標準仕様の早期普及を目的。
クリーニング綜研が本年1月に発表した鑑定事故品38件の抜粋である。発生要因別では、顧客の着用・保管によるものが17件(44%)あり、そのうち最も多いのが保管中に受けた紫外線による変退色である。次いで着用による損傷が3件,薬剤による損傷が2件であった。その他,購入後3−4年を経たポリウレタン・コーティングの経時変化が3件あった。また事故がどの段階で生じたかを追跡したところ,仕上げ時5件、シミ抜き時1件、返却後31件,返却時1件であった。シミ抜き時、返却後、返却時の33件は顧客側の要因であり、1ヶ月以内の申し出が9件で、これらには返却時にすでに変化が生じていたと思われる。
クリーンライフ協会は、来年度事業計画で「洗うこと」の定義付けを行うことを決め、会員の(財)洗濯科学協会に委託することにした。「汚れを落とす効果がないのにもかかわらず」「ファブリーズで洗おう」というキャッチフレーズとともに消臭剤のテレビコマーシャルが放映されるなど、「消費者が誤った知識が植え付けられ、利益を害することにもなりかねない状況にある」との認識によるもの。
シミ抜きを系統的に述べた解説は少ない。本誌では,今月からシミ抜きを正しく理解し,実践するためのシリーズを連載する。クリーニング技術部会では,同じ内容のDVDを販売しているが,普及率が低いために,本連載を企画した。初回はシミ抜きに先立つシミの種類の判別方法から始め、次いでシミ抜きの道具の紹介を行う。ブラシ、ヘラなどの種類と使用目的を述べた。この連載講座では、シミの抜き方ばかりではなく、シミ抜きで生じる生地や染色の事故についても述べられる。
全国クリーニング生活衛生同業組合の青年部員が平成20年度に実施した「消費者2万人アンケート」の結果がまとまった。今回のテーマは「家庭洗濯」。家庭洗濯機の多様化や進化に伴って、家庭で洗える衣類の範囲が広くなったが、一方では洗濯が洗濯機任せとなり、洗濯に関する知識が乏しく、家庭洗濯での失敗も生じている。これに対して、クリーニング業界からは利用者に、洗濯を含めた衣生活を快適に過ごすために必要で正しい知識を啓発し、クリーニングと家庭洗濯との違いやクリーニング技術について認識してもらう努力が必要であるとしている。
日米の顧客が、日米のクリーニング産業をどう見ているかを、サービス産業生産性協議会が08年12月に調べた。そのうち8項目の調査結果は、レーダーチャートにまとめられ,比較された。日本人は信頼性・正確性・迅速性を重視するが、信頼性・迅速性には満足していない。一方、米国人は信頼性に対する要求は低く、「顧客に進んで手を貸す」が重視される。米国のクリーニングに対しては、半数が満足していない。日本の品質には満足度が高いが、日米顧客とも「日本の価格は高い」と出た。したがって日本は過剰品質とも考えられる。
日本経済新聞社とNTTレゾナントによるクリーニングに関するアンケートで、今回の衣替えでクリーニングの利用程度を聞いたところ、「去年よりやや減らす」「去年より大幅に減らす」「今年はほとんど出さない」と回答した人が合計で30.6%を占め、「去年より増やす」(7.3%)を上回った。理由については「節約したい」が87.8%で最多。「家で丸洗いできる衣料品が増えた」(50.3%)が続いた。調査対象は20歳代以上の男女、1049人。
凸版印刷の女性の環境に関する意識調査で、エコの関心が高まったのは56%が3年以内であった。また、購入経験があるエコ商品は、エコバッグ68%、マイ水筒39%、自転車37%、今後購入したいのは充電池32%、エコバッグと省エネ家電30%、マイはし28%だった。
環境生活文化機構の「繊維リサイクルに関する消費者の意識調査」で、着なくなった衣類は「燃えるゴミとして捨てる」が60%、「資源回収の日や場所が分かれば、出したい」が76%、その一方で「長く、大切に着たい」と考える人は85%を占めた。
丸紅は、中国などの提携衣料品工場に品質管理などを指導する「匠チーム」を立ち上げ、アパレル業界出身者5人を日本で採用し、中国、上海、香港の現地法人に派遣。衣料品の低価格競争がすすんでおり、不良品を減らすことでコストを抑える狙い。丸紅は08年4月に中国とベトナムで150の工場に衣料品生産を委託していたが、非効率的工場との契約を打ち切り、3月までに92社に絞り込んだ。品質や工程管理を直接指導する。
紳士服専門店のAOKIが売り出した「デオドラントクールスーツ」は、消臭剤やアンズの種子から抽出したエキスを繊維に付着させた。成人男性特有のにおいを消して抗菌効果があり、洗濯しても効果は落ちないという。スーツ6万1950円。Tシャツは1365円。
京都西川は、就寝時の体圧バランスに適合した寝具を選定するソフト「スリープチューンスキャンシステム」を開発。機能寝具「ローズラジカル敷ふとん」などの拡販を支援する。システムは圧力センサーとパソコン用の測定・診断プログラムで構成。センサーは着衣型で男性用、女性用の2サイズがあり、既存のマット型センサーに比べ、扱いを簡単にした。診断は測定データだけに依存せず、固さや高さの好み、普段の寝姿勢や回復感など、問診による心理評価を盛り込んで判定する。肩と腰の体圧比率で4対6を目安とし、あらかじめ入力した商品データを基に、適合する敷き布団や枕を選ぶ。所要時間は通常で30分。
全国クリーニング生活衛生同業組合連合会が機関紙「クリーニングニュース3月号」で報告された事故事例では、ポリエステルニットの基布にナイロンのパイルを植え付けたロッキー加工の紳士スラックスのパイル脱落が紹介されている。事故は通常着用時での繰り返し摩擦で、パイルが脱落しやすい状態になっているところへドライクリーニングでの作用が重なって完全に脱落した。フロッキー加工に用いられる接着剤にはアクリル系が多く、溶剤に軟化・膨潤しやすい。そのため表示は安易にドライ指定せず、パイル脱落のメッセージが望まれる。
消費者から企業への問い合わせは内容が専門的になり、詳しい説明を求める傾向も強まっている。苦情処理を誤ると企業は信用を失いかねず、消費者への的確な対応は以前にも増して重要だ。企業の消費者対応部門の担当者で組織する消費者関連専門家会(ACAP)がシンクタンクの機能強化のため2007年に設立したACAP研究所の副所長清水きよみ氏は「07年はインターネットなどで消費者自身が調べた上での細かく専門的な相談が増加」04年に国際規格ISO-10002、05年にJSO-10002が制定された。この導入が有効。
日本オーガニックコットン協会(JOCA)は、オーガニックコットン製品の認証基準を10年末までに、国際基準の「オーガニック繊維製品世界基準」(GOTS)に転換する。その背景としては、最近、国内市場で不正表示が問題化し、対応がJOCAに求められていた。一方、GOTS認証を取得する日本企業は58社に達している。両基準は、化学薬品使用項目に関してはほぼ同一であるが@GOTSではオーガニックコットン70%以上であるのに対し、JOCAは60%以上AGOTSは通常の栽培綿との混用を認めないが、JOCAでは特例として細番手糸を生産する場合、通常栽培の超長綿10%以内の使用を認めているなどの違いがある。
毛製品検査協会が09〜10年秋冬物から発給を開始する「カシミヤ100%タグ」は、対象製品の全量を検品会社に持ち込み、第三者によって抜き取り検査を実施する。適切な発給業務とともに、生産・流通業者が担う責任の明確化も強調している。新タグ制度は、カシミヤ製品の取り扱い体制、生産工程の管理体制などを申告する事前審査を含め、7種類の書類の提出が義務付けられる。発給単位は1枚単位とし、1枚ごとに通し番号を付けトレースを容易にする。手数料は同協会が制定する試験鑑定手数料のほか、1枚当たり20円のタグ発給手数料、検品会社による取り付け手数料がかかる。
アパレル縫製業における外国人研修・技能実習生のあり方が大きな曲がり角にきている。1年目から労働関係法令の適用を柱とした入管法などの改正案が国会に提出、制度見直しが明確に。一方、急激な受注減で先行きの操業の見通しが立たない工場も多く、研修生の受け入れ減も拡大している。
海外に拠点を置いているのに、代金は国内口座に振り込ませ消費者をだます手法など、偽造品をネット販売する悪質サイトが増えている。消費者に注意を喚起するため、ブランド関係団体が悪質サイトを公表、それを紹介している。
ルイ・ヴィトンという単独のラグジュアリーブランドの戦略を4P、すなわちPRODUCT(製品)に関する法則群、PRICE(価格)に関する法則群、PLACE(流通)に関する法則群、PROMOTION(販促)に関する法則群、さらに加えてBRAND(ブランド)に関する法則群として体系的に分析することにより、一般消費財とは異なるブランドマーケティングの法則・原則を抽出している。今日のルイ・ヴィトンの隆盛が偶然ではなく、戦略によってもたらされたものであることが明らかにされている。
発汗のメカニズム等の基礎的事項ならびに発汗の計測について解説した。その後、定量的な発汗量測定方法としての湿度センサを用いる発汗計や、流量補償方式換気カプセル型発汗計の概要を紹介している。さらに、日常生活下や睡眠中、炎天下、入浴中など様々な環境下におけるヒトの各部位の発汗量変化の測定例を報告している。この発汗計が、精神性発汗のような微量発汗から運動や入浴時のような多量発汗までの計測に活用されることを期待していると述べている。
第21回中小企業最優秀新技術・新製品賞が発表され、国内35社が表彰された。繊維産業からは美希刺繍工芸が「刺繍機によるフェザーテックス製法技術」で最優秀賞を受賞した。同社のフェザーテックスは、鳥の羽をジャカード刺繍機で縫いまとめ、原反化する技法。加工効率を上げるため、前処理や、羽根軸を含めた素材の柔軟化処理など一連のノウハウを同社が独自に開発した。
衣管協の09年繊維製品品質管理士(TES)試験の実施要綱をまとめた。7月19日に全国7会場で実施、結果は9月下旬に通知され、11月1日に登録される。他に各企業内でのTESの活用事例が掲載されている。
中国紡織工業協会のレポートで、中国海関統計などの資料に基づき中国繊維産業の08年の概要、09年の展望をまとめた。08年は人民元上昇、金融引き締め、製造原価上昇、さらに国際金融危機により長期間安定成長してきたが、輸出を中心に大幅な減速傾向に陥った。
カシミヤ・キャメルヘア工業会(CCMI)のカール・スピルハウス会長はカシミヤ製品の不正表示問題について、「06年秋冬は日本で相当数発生したが、08年度秋冬は顕著に改善された。世界でも日本のみで、コンプイアンス意識が非常に高い」と話した。CCMIは、製品のカシミヤ混率や品質を世界的に調査し、不正表示への警告を行っている。06年は日本で85万枚以上の不正表示品を回収したが、「官民の努力により、08年はほぼ無くなった」という。CCMIの重点課題は、カシミヤ鑑別技術の向上と不正表示の排除に向けた監視活動の強化である。
@7月2日〜3日A東レ且O島研修センターB企業の新入社員や新しく繊維関係に携わられる方、また学部学生、院生に対して、繊維とは何か、繊維の製造、加工、縫製、評価まで一貫して理解していただくための繊維基礎講座。C繊維学会TEl03-3441-5627
@7月22日A大阪産業創造館6階会議室EBセルロース繊維の「機能性」加工、羊毛の機能性加工、合成繊維の機能性加工、繊維素材の機能性評価法の現状と課題、他C日本消費科学会TEL06-6358-1441
@8月7日A大妻女子大学A棟366講義室B講演「繊維特性に起因するアパレルの品質苦情、質疑応答/品質苦情を「繊維特性に起因する」という観点から取り上げた講座。市場の要求が多様化する中で、その用途でこれまでは使われてこなかった繊維素材が使われたり、素材の多様化・複合化が進んだりしている。商品企画をするときに、取り上げた繊維素材にはどんな特性があり、その性質が原因となってどんな消費者苦情につながる可能性があるかという知識が必要になる。 C日本繊維製品消費科学会(参加申込はFAXまたはE-mailにて。TES会員は会員料金4000円[通常6000円]で参加できます) TEL06-6358-1441fax:06-6358-1442, E-mail:shouhikagaku@nifty.com
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男