ミニ情報TOP→ 日本衣料管理協会TOP→ バックナンバー一覧(2003年度:第20巻~)→
経済産業省と中小企業基盤整備機構が支援する「繊維製品リサイクル・モデル事業」に、ワールドと良品企画が参画、不要になった自社衣料品を8月から店頭で回収する。衣料品の100%リサイクル化を目指した実験的なプロジェクト事業は業界で初めて。
衆議院解散を受け閉会した第171通常国会で成立した主な流通・サービスや消費関連分野の法律が紹介されている。消費者保護では消費者庁設置法、消費者安全法、改正JAS法、街づくりで地域商店街活性化法、中小企業対策では企業再生支援機構法など。
政府は09~13年に推進する物流政策の方針を示した「総合物流施策大綱」をまとめた。今後の展開は、省庁間や地方公共団体を加えての官民連携や国民の理解と協力を得ることが重要と強調。アジアを中心とした広域物流環境の整備・改善や、通関手続きを緩和する制度の拡充などを盛り込んでいる。
経済産業省とジェトロは、日本のアパレル製品について海外での販路拡大支援を強化する。日本ブランドがパリで開く2つのアパレル展示会に出展する際の費用補助などに加え、09年度は輸出コーディネーターを付け、商談を進めやすくする。支援対象者の枠も大幅に拡大する。
内閣府の「環境に関する世論調査」によると、普段の暮らしでごみを減らすために「リサイクルを実施している」人は67%に達した。ごみ問題については92%が「関心ある」とした。
経済産業省は衣料品や化粧品、歌などアジア各地で注目を集める日本製品のアジア販売を支援する。アジア各国・地域の個人消費の動向や流行を分析した「アジア消費トレンド」を10年3月末までに策定。日本企業が現地に製品を売り込む際、市場を正確に把握する手がかりとして利用。
消費者庁は、全国共通の電話番号からつながる「消費者ホットライン」(TEL:0570-064-370)を9月14日から福島、山梨、島根、香川、沖縄の5県で先行実施する。残る都道府県は10月下旬から11月上旬をメドに運用を始める予定。最寄りの消費生活センターにつながり、悪質商法の被害や訪販のトラブル、産地偽装、製品の安全の問題などの相談に応じる。
消費者庁は偽装表示や悪徳商法で企業などが得た利益を没収し、被害者に返還する制度を導入する検討に入った。消費者団体などが被害者に代わって事業者から賠償金を回収する方向で調整する。工程表に3年以内に法整備することを盛り込む。警察や保健所などが持つ自己情報を一元化するシステムは年内に試験運用を開始する。
企業の品質管理や環境管理などの国際認証制度である「ISO」の信頼性を向上させるための具体策が決まった。企業を分析評価する国内の認証機関は虚偽説明した企業に対する認証を取り消し、その後1年間は再認証しない。認証を取り消したケースについてはインターネットで公表するなど情報公開も進め、消費者保護の強化を目指す。
環境負荷低減素材であるオーガニックコットンを混用した素材「ネイチャーコット」について述べたものであるが、主としてオーガニックコットンの定義、生産の現状、認証について解説した。
天然皮革の持つ優れた外観と風合いを新開発の表面仕上げ工程と染色工程により実現した新しい靴用人工皮革「パーカッシオ」について、その製造工程を解説した。この新素材は、天然皮革の優れた外観・風合いに加え、透湿性、軽量性、イージーケア性に優れた特性を持っている。
国内で製造・販売された繊維製品による皮膚アレルギーの事例を紹介した特集である。同時に、原因化学物質の究明に至る過程や、昨今注目される接触皮膚炎に関する新たな知見についても解説している。繊維製品による皮膚アレルギーでは、遅延型アレルギーが即時型アレルギーよりも発症頻度が圧倒的に高いことから、遅延型アレルギーの事例を中心に紹介している。原因化学物質の究明、染料アレルギー、ホルムアルデヒドアレルギーについての事例を紹介した後に、今後の自主規制の方向性を述べている。
西村織布工場(滋賀県高島市)はこのほど、耐熱機能のあるアラミド短繊維100%でストレッチ性のある織物を開発した。アラミド繊維に独自の手法で撚りを掛け、ストレッチ性を持たせることに成功したもので、1ウエーと2ウエーの両方が可能だ。20番手で開発を進めてきたが、30番手や40番手でも試織中で、薄地のニーズにも対応する。伸縮性は、破断伸度が300もあるものから、適度な伸縮性に押さえたものまで調整可能だ。既存の産業資材分野をはじめ、衣料用途まで幅広く展開したい考え。
国際綿花諮問委員会(ICAC)によると今季(08/09年度)の世界の超長繊維綿の生産量は431,000tで、前季比41.4%減となる。来季(09/10年度)も389,000tで9.7%減と引き続き減少、20世紀中期以降で最低水準が見込まれる。主要国の今季の生産は、インドが21.6%増となったほかは5割近い減産。エジプト46.8%減、米国49.2%減、中国47.7%減となる見込み。需要の急減による相場の下落、他の穀物との競合激化が要因。
「バナナ繊維加工」を学ぶJICA(独立行政法人国際協力機構)のプログラムで来日していたウガンダ共和国の2人の青年による研修会が多摩美術大学八王子キャンパスで開かれた。バナナ繊維は、アフリカなど熱帯地方で廃棄されているバナナの茎を利用した新しい素材である。研修会では、ウガンダにおける付加価値のある産業に育てる研究が進んでいることを紹介した。環境保全にも役立つ各種包装紙やレジ袋の代替素材として普及を考えている。
環境配慮機器メーカーの東栄工業(東京)は、天然木から布を作り、テキスタイル原反からファッション小物やインテリアなど幅広い製品を企画・開発し、専門店などに販売する。アパレルメーカーと共同開発にも積極的な姿勢を示しており、“木の布と暮らす”というこれまでにない新鮮な発想で新しい価値を提供する。ブランド名は「ボワゼット」(仏語=木の肌)。自然の木の目が持ち味の新素材で、ブナ、杉、ヒノキなど木種を選ばない。間伐材を0.1㎜程度の薄さにスライスし、ウレタン樹脂をベースにする薬剤に漬け込んでから細かく0.6㎜程度の糸状に裁断してウッドヤーンを作り、よこ糸に使う。
合繊メーカーのブラックフォーマル用ポリエステル織物事業は、海外生産型と日本集中の二極化が進んでいる。店頭販売不振や製品価格を抑える動きに伴い、生地の価格を下げる要望は強い。帝人ファイバーは海外生産素材の比率が高まり、ベトナム縫製への生地供給が増え、タイで生産する素材が伸びている。東レはストレッチ性以外の機能素材は、中国産では難しいとし、日本独自の機能と質感を併せ持つ素材に重点を置いている。クラレトレーディングは生地の質を下げずに軽量化するなど、日本産を基本にコストを抑えた物作りを行う。ユニチカサカイは百貨店向けで販売を広げてきたが、量販店向けを拡大している。
東レは、ポリ乳酸や植物由来ポリエステルといった環境配慮型の材料を使った繊維素材について、自動車内装材用途に本格的な量産を始めた。すでに14日から発売しているトヨタ自動車の新型ハイブリッド車レクサス「HS250h」のラゲージ、フロアカーペットへの供給を開始しているほか、他の自動車メーカーへも提案。今回は、独自の加水分解抑制技術でポリマーを改質したほか、ポリマーアロイによる複合や紡糸工程での複合、高次加工での混繊複合など、石油由来材料との複合のための様々な技術を開発。これらを総合的に駆使することで、自動車内装用途に求められる非常に高度な耐久性を実現し、量産車への本格的な展開が可能となった。
水着の素材、大きさを制限する新ルールが来年1月から実施される見込である。工学院大学の伊藤慎一郎教授によるとスイマーが受ける抵抗は、造波、形状、摩擦があり、影響度はそれぞれ50、40、10%である。泳ぎで生じる造波抵抗を防ぐのは難しく、減らすのは形状抵抗と摩擦抵抗である。摩擦抵抗を抑えるための素材として凹凸が少ないラバー水着の開発が進んでいるが、ラバーやポリウレタン製水着は認められなくなる。形状抵抗を減らすために、胸や尻の膨らみを抑えて体の線をなだらかにし、上半身を覆い水着で締め付けて体の断面積を小さくしていたが、新規提案では、水着が体を覆うのを男子は腰からひざまで、女子は肩からひざまでとなる。
紙衣(かみこ)は和紙を揉んで柔らかくし蒟蒻糊、柿渋、寒天糊などを塗布して耐水性や強さを付与して縫製した衣服のことであり、古くから使用されている。ここでは消臭性や抗菌性を持たせた茶殻配合紙としてパルプに替えて麻を使用し、蒟蒻糊の塗布による茶殻配合紙の性能変化を評価した。
特殊な湿熱感応繊維ウェブに加圧した熱水蒸気を高速で吹き付け繊維を熱収縮あるいは融着させ不織布を製造する新技術「スチームジェット製法」の原理、および、製造された新規不織布の構造と特性を解説した。この不織布は伸縮性、自着性、手切れ性を持ち伸縮自着包帯として製品化されている。また、幅広い物性のものを作成可能であり不織布の新たな展開を期している。
オペロンテックス(OPT)はPTT繊維「T-400ファイバー」を導入しフジックスとの共同で可縫性に優れた工業用ストレッチミシン糸「RSS50」を開発した。共同で特許を出願中。両社はストレッチ素材の多様化に伴い縫い糸にも様々な物性が求められていること、服種によっては千鳥縫いやフラットシーマといった縫製手法に頼らざるを得ない現状を解消するため、優れた伸縮性と可縫性とを両立させた「RSS50」を商品化した。国内市場ではナイロン66によるストレッチミシン糸が広く普及しており、伸度32%のナイロン66に対して「RSS50」には48%の伸度を持たせた。
富士紡は綿100%の冷涼冷感肌着を開発、高級肌着ブランド「ロモス」の季節商品として2010年春夏から本格販売する。冷涼冷感性に必要な要件は「接触冷温感と吸汗速乾性に優れたもの」という結論を得て、開発に取り組んだのは「素材の熱容量を増し、水分拡散性を大きく、肌への接触面積を小さくする」肌着。原綿から厳選し、糸は平滑性、熱吸収力を向上させた。編み生地は、美しい表面のフライスにした。加工段階では生地の平滑さと速乾性を高めた。縫製は立体設計を採用、動きやすく、快適なフィット感が得られるフラットシーマにより肌への「あたり」を最小限に抑え、心地よい肌触りを実現した。
ダイワボウノイは10年春夏商戦に向けて、汗などのにおいを消す時間を速めた消臭加工素材を開発した。わずかな時間でアンモニアなどのにおいを消す効果がある。抗菌機能も持たせており、消臭と抗菌の両方から防臭性能を向上させた。このほど開発した素材では消臭性能が表れる時間を飛躍的に短縮させた。汗臭の主な成分、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸に対しそれぞれ効果がある。洗濯後でもほとんど消臭率の低下が見られず、効果が持続することも確認している。
スポーツの現場においても下肢の静脈還流を促進する目的で、弾性ストッキングやタイツが利用され始めている。本稿では、段階的弾性タイツ着用による下肢圧迫が自転車運動中の酸素摂取量や心拍出量などの呼吸循環動態に及ぼす影響を明らかにし、同時に活動筋にける筋酸素動態に及ぼす影響を検討した。その結果、筋弛緩期多い間欠的な運動や立位姿勢の運動には効果がある可能性が示唆されたと述べている。
オンワード樫山は東レ、三景と共同で、ストレッチ性の高い表地に柔軟に追随する裏地「ハイストレッチ“ブルーテ”を開発、今秋からレディス主要ブランドを中心に採用した。レディスファッションではタイトなシルエットの流行や、着心地の向上などストレッチ性の高い表地が使われるケースが増えている。これに対応し裏地もストレッチ性の高さが求められるが、生地の縮みによって分厚くなったり、裏地に必要なすべり性や風合いが損なうなど課題があった。今回の共同開発裏地は、東レのストレッチ裏地ブランド“ブルーテ”(PTT繊維とポリエステル繊維の交織)で従来品より5%以上のストレッチ率が向上。さらに三景グループの染色加工工場であるフクセンで最適な加工条件を確立した。
衣服のしみなどを繊維自体が除去する性能を付与するために、強力な酸化還元分解作用を持つ光触媒酸化チタンを親水性のレーヨン繊維へ練りこみ、その色素分解効果を測定・評価した。その結果、空気中の紫外線照射では色素を分解しないがメチレンブルー水溶液中では非常によく分解し、酸化チタン添加量の増加とともに色素分解能が向上した。一方、疎水性繊維のPPでは効果が見られなかった。
「特集 光触媒加工」の総論的記事。光触媒は化石燃料を使用せず、太陽光などの光のエネルギーを利用して環境汚染物質を低濃度のまま浄化することができるため、環境浄化の切り札として脚光を浴びている。その光触媒の特徴・材料開発の歩みが述べられ、繊維への応用では、繊維が光触媒作用で分解されないマスクメロン型と金平糖型の光触媒粒子が解説されている。応用分野として、空気・大気浄化、セルフクリーニング、抗菌・防かび、鮮度保持などがあげられている。他の特集記事に、光触媒抗菌加工や光触媒消臭加工のSEKマーク認証などがある。
丸池藤井は独自に綿100%の防炎素材を開発。ジャージーをベースに、エプロンなど火を使う仕事やスポーツ、介護、官公需分野など同社にとっての新しい市場との取り組みを進める。100%綿での防炎素材はこれまであまり例がなく、あったとしても風合いが固くなり、使用範囲が限定されてきた。同社の素材は研究者と組んで開発した特殊加工で実用化が可能になった。ISOの防炎規格もクリアしている。直接火を着けても炎が上がることはなく、炭化する範囲でとどまる。生地の最終段階で加工をほどこすが、綿の風合いを壊さず、吸湿性などの綿のもつ機能性も損なわない。洗濯しても効果は持続する。
「綿100%なのに高い機能性」「洗濯しても機能が落ちにくい」-そんな夢のような天然繊維が、クラボウの「EBRIQ(イブリック)」だ。独自技術である電子線グラフト重合加工によって生まれたイブリックは、天然繊維の新しい可能性を切り拓く新タイプの機能加工といえよう。現在、「抗菌」「消臭」「吸湿発熱」「接触冷感」、そしてこのほど発表した「防炎」の5つの機能をラインアップする。グラフト重合加工は、繊維に高エネルギーを照射し、分子構造にラジカルを発生させ、そこに機能性モノマーをグラフトすることで繊維を分子レベルで改質する技術である。
倉庫精練は、レーザー加工処理を生かす、新しい付加価値事業戦略に乗り出した。この“オンリーワン”のレーザー加工機は1年前に先行投資し、試運転を続けてきた。レーザー加工処理は単なるエンボス(加工)の置き換えではない。デジタル処理技術を駆使し、合繊にセルロースを含めた織・編物のほか合成皮革などにレーザー光を当て、染色・起毛といった複合加工処理に〝プラス1〟の高級感を与える。カーシートやインテリア用途などに向ける考え。
ダイワボウノイは、10年春夏物から清涼感と速乾の機能を併せ持つ「クールドライ」の販売を開始する。同社は「エコフレンドプロジェクト」として環境対応素材の拡大を進めている。クールドライはこの一環。キシリトール成分が持つ吸水吸熱の原理を活用した後加工素材で、汗を素早く拡散、乾燥させる機能を持つ。同社では独自の社内基準を満たした素材にクールドライの商標を表示、様々な機能と複合し、幅広い用途で展開する。第1弾となるのは「クールドライX」で、肌着、シャツなど直接肌に触れる用途向けを中心に販売する。
一般に樹脂劣化と汚れ吸着は、プラスチックの2大欠点であり、本稿では合成皮革(ポリウレタン系)のソフトコート用防汚加工「PURE MAX」シリーズについて述べている。防汚機能の考え方、品質設計目標、防汚の基本原理、合成皮革加工用防汚剤としての要求品質、汚れの種類と手入れ方法などについて解説されており、この種の加工を理解するには、よい資料といえる。ただし「PURE MAX」シリーズが、具体的にどのような組成のものなのかについては、言及されていない。
日清紡テキスタイルは、綿100%で高次元のノーアイロンシャツ「アポロコット」を開発した。22日から「洋服の青山」で発売し、10年春夏物から百貨店、順次輸出も始める。アポロコットはウォッシュ・アンド・ウエア性(W&W)4級をクリアし、三次元計測器によるしわのカット率は約95%(社内試験)。一般の形態安定シャツはそれぞれ、3.2級と53%とする。開発にあたり、原綿の選定から縫製に至るまで全工程を見直した。鍵となったのは後加工で、ナノレベルの薬剤を繊維に均一に浸透・固着させ、深部に結合させる技術を確立。縫製でも、脇や袖ぐりなどにテープを入れ、縫い目ジワを抑える手法を取り入れた。
KBツヅキは綿織物、タオルなどの精練工程で酸と酵素により、綿に固着している不純物や汚れを除去する新加工法「TZ酸性酵素法」を開発した。この加工法で処理した綿糸の吸水性は「最大4倍になる」としており、同社では10月からグループの染色加工会社であるツヅキボウ今治、大和川染工で加工を始める。綿の精練は通常、カセイソーダが使われているが、同社は「遺伝子操作をしていない天然のカビ菌由来の酵素」を使用した新加工法を開発した。新加工法によりエコマークを取得した。新加工法は従来法に比べ、低い温度で短時間処理も可能にした。
天然繊維が主力のニットヤーン見本市、スピンエキスポ上海の10~11年秋冬展に、ドイツの化学メーカー、BASF(バスフ)が初出展。後染め可能なポリプロピレン長繊維を開発し、衣料分野の市場開拓を目指す。同社は02年からポリプロピレンの性能改善の研究を始め、08年10月のインターテキスタイル上海で、染色可能なポリプロピレンの新製品「ムーフ」ファイバーによる参入を正式に表明。軽量、保温性などの性質を生かし、スポーツ衣料や秋冬の機能性インナー向けを狙う。染色方法は紡糸段階で自社開発した特殊な溶剤を混入することで、生地段階での鮮明な色を表現できるようになった。
杉野学園は7月22日に開催したドレメセミナーで「ドレメ式原型」改定を発表。原型の向きもキモノの前打ち合わせに合わせたと思われる左身頃からレディスアパレルで一般的な右身頃に直すなど、戦前の学園創立期に確立された原型の基本を抜本的に改める。セミナーでは解説書も配布、新原型に対応するオリジナルボディーも開発(製造はキイヤ、販売は杉野学園)し、新生ドレメ式原型を学校内外にアピールする。
欧州でデザイナーブランドの破綻が相次いでいる。投資ファンドの撤退や売上の減少、取引先の回収不能など、厳しいビジネスの現状が浮き彫りになった。さらに、世界各国でファストファッションが隆盛を極め、マーケットに逆風が吹いている。
今秋冬は古着リメークが引っ張りだこになりそうだ。新しいトレンドが見えない中で、注目のキーワードとして浮上してきた。古着の値頃感とリメークのさりげない個性、さらにファストファッションにはない「味と温もり」が魅力。セレクトショップからボリュームゾーンまで期待が高まっている。
子供服メーカーの中国出店が本格化している。ファッション感度が上がっている中国の富裕層を狙い、百貨店を中心に店舗を拡大する戦略だ。商品構成などは日本と同じMDだが、商習慣の違いなどに対応するため多くのブランドが代理商や日本向けOEMメーカーなどと組む。中国では現在改革開放政策で海外情報が入るようになった80年代以降に生まれた世代が親になっており、今後ファッション性の高い子供服市場の拡大が狙える。
ワコールファミリーウエア営業部は09年秋冬企画で、産前産後用の新機能ボトム「骨盤研究所」を開発した。同部では今秋冬のテーマとして、ソリューション対応型の機能商材群を強化している。一般女性の間で意識が高まりつつある「骨盤」に着目し、腰回りの不安定な時期のサポートや腰への負担軽減を目的に企画した。同商材は、反り身を抑える産前用と、骨盤の安定を補助する産後用の2タイプを投入。いずれも骨盤回りを環状にサポートし、素材組成はナイロン・ポリウレタン、しなやかに伸びる薄手のストレッチ素材を用い、楽な着心地が特徴。産前用は、大きくなるお腹を押さえつけないように、骨盤の回りを輪のように一連でサポートする裏打ち設計で、体の反り身を抑える。
中堅・中小の婦人アパレルメーカーの経営破綻が続いている。資金繰りの悪化が直接の原因だが、バブル期の不動産投資にともなう有利子負債が足かせになっていたり、収益性が低く、不振が続いている百貨店販路への過度の傾斜、在庫管理などが未熟なままでの出店拡大などが背景にある。さらに脆弱な経営体質、経営基盤がこれらの問題を支え切れなくなった側面もある。
ベトナムに進出している韓国の繊維アパレル縫製工場が米国向け輸出の一部回復と日本向けの受注増加でフル稼働状況にあることが大韓紡織協会の現地調査で明らかになった。ベトナムに進出した韓国企業は昨年9月以降世界的な不況でオーダーが激減していたが、今春米国からニット縫製のオーダーが回復、日本の大型SPA向けもニットアイテムが増加している状況にある。
デザイナー、パタンナー(企画・技術系専門職)の10年春新卒採用で募集を減らしたり、採用を手控える企業が相次いでいる。この傾向が広がれば、優秀な人材の他業界や海外への流失が加速する恐れもあり、数年後の専門職人材市場に響くとみられる。
パリ・コレクションに参加するデザイナーブランドが10年春夏、価格を意識したラインを強化している。コレクションライン以外に新たなラインを設けて、買いやすい価格設定で売り上げを確保しようというもの。不況とファストファッションの台頭を背景に、既存のパターン活用や生産地の変更といった手法で、お値打ちラインを仕掛けている。ブランドイメージを守りながらどこまで買いやすいラインを市場に広げられるかが課題となる。
ゴールドウインは着用すると身体機能の向上を促す下着「C3fit」を9月から増産する。5月の発売以来、品薄状態が続いていたためで、現在の3倍の生産体制を整え、2010年3月期に小売価格ベースで10億円の売上高を見込む。同社は高速水着「レーザー・レーサー」に替わる主力商品に育てる。C3fitは体にピッタリと張りつくウエアで、着用すると段階的に体に圧力がかかる。血液やリンパの流れを促す効果を持ち、疲労が蓄積しにくいといわれ、著名なプロスポーツ選手などが利用するケースが増えている。厚生労働省に医療機器として届け出をしている。
ワールドは、6月1日にアパレルメーカーのバニープレミア(石川県金沢市)から商標と一部事業を譲り受けたメンズインナー主力ブランド「ブラウンバニー」を今秋から拡大する。ワールドの持つ企画生産・販売力を活用、ルームウエアを新たに加えるなどカテゴリーを増やし、自社ブランドのショップ内やウェブサイトなどに販路を広げる。同社がインナーウエアに特化したブランドを販売するのは初めて。バニープレミアからデザイナーの家森政昭氏と営業・プレス、生産管理担当の3人がワールドに移り、「従来の企画・生産ノウハウと、ワールドの持つプラットホームと結合」する。
大賀は今秋、テーラーの佐藤英明氏との協業でオーダースーツの新ブランド「マエストロ・チェーザレ」を立ち上げる。26日に小田急百貨店新宿店7階にショップをオープンする。佐藤氏は伊テーラー「マリオ・ペコラ」で修行を積んだ後、自分の店ペコラ銀座を開いた仕立て職人。大賀は「低価格志向が強い一方で、良い物を長く着たいという人もまだまだ多い。本当に価値のある物には必ずニーズがある」と考え、欧州のテーラー技術に精通している佐藤氏との取り組みを決めた。
グンゼは、日常生活で立ったり歩いたりするときのカロリー消費を高める肌着「カラダトレーナー」をアシックスとの共同で開発し、8月下旬から順次発売すると発表。筋肉の動きを大きくし、メタボリック(内臓脂肪)症候群の予防になるという。ランニングなどの運動が長続きしない人に向いているとみている。シャツは上腕部に伸縮性のある生地を採用し、腕を振る角度が大きくなるようにした。背中の部分には伸びにくい生地を使っており、正しい姿勢を保てる。パンツは、ももの部分の弾性のある生地が足を引き上げるため歩幅が大きくなる。男性、女性向けにTシャツ3,675円とパンツ3,150円。
ユニクロは今年の秋冬向け商品に従来の女性向けジーンズの縦、横に加えて斜めにも伸びる新商品を投入する。ジーンズは3方向に伸びるため、スキニーと呼ばれる細身タイプでも履きやすい。女性客の取り組みを強化するため、女性向けパンツ・スカートの品揃えを昨年の3倍に増やす。男性向けでは合成皮革のジャケットを投入する。本革に近い雰囲気で手入れも簡単である。
消費者の海外高級ブランド離れが進んでいる。高級雑貨や洋酒を扱う最大手の仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの日本での売上高(円ベース)が、2009年1~6月期に前年同期比20%減に達するなど、各社は2ケタ前後のマイナス。販売不振は続くとみられ、店舗閉鎖や値下げの動きがさらに広がりそうだ。
日本企業の中国内販は現地法人を設立して始めるのが一般的な手法だが、日本向けOEMメーカーや中国のアパレルなど、中国市場に知見のある企業と組んで内販を始めていることでリスクを低減する企業がでてきた。日本市場が低迷しているため成長戦略を中国市場で描く企業が増えている。
スーパーマーケット協会09年度総会で、「日本流通業の現状整理と今後の10年間の展望」と題したディスカッションが実施された。参加したトップは、低価格は進みすぎると経済を縮小させると危機感を示された。
中小を合わせた日本百貨店協会87社が備品の共同調達に乗り出す。年内にもコピー紙などを一括調達し、コスト削減につなげる。ライバル企業同士はもちろん業界全体で手を組む異例の経済効率化を迫られた。
全米小売業協会とビッグリサーチが実施した「新学期用セールの購買動向調査」によると、85%が低迷する経済の影響を受け、①より頻繁にバーゲンを探す(56%)②より少ない金額の消費(50%)③NBより価格の低いストアブランドを買う(42%)④ディスカウントのクーポンを使用する(40%)など、価格とディスカウントが重要な要素となっている。
家庭内の不用品を引き取り、割引券などと交換する下取りセールが広がっており、今後も実施する企業が増えそうだ。百貨店や専門店などで手掛ける企業が増え、消費者に家庭内在庫を吐き出してもらい、新たな購買意欲を刺激することを狙う。
通信販売大手各社が割安なアウトレット商品のインターネット通販を拡大する。通常より6~7割安いアウトレット商品をネット販売することで、消費者の低価格志向に対応。メーカーや卸と直接取引する通販を生かし、品ぞろえの豊富さもアピールする。
ODM提案を強化する商社が増えている。客先の企画ありきで、適時適品供給の仕組みを提案するOEMでは、ビジネスの維持が難しいためだ。あらかじめ素材や産地、工場を選定し、自前のデザインチームを使って即戦力で売れる顔のサンプルを提案することで、1日も早く、1円でも安くというニーズに応えようとしている。
用語解説:ODM(Original Design Manufacturer)
OEM(相手先ブランドによる生産、Original Equipment Manufacturer)は、アパレルや小売業が企画したファッション製品を商社など生産背景や素材調達を持つ企業が製品化する仕組み。これに対し、ODM(相手先ブランドによる生産)は、商品のデザインや使う素材、生産背景までをピンポイントで決め、アパレルや小売業に店頭でこのまま売りませんかと提案する取引である。
繊研新聞社が全国の衣料品専門店を対象に実施した08年度専門店ランキング調査では、半数以上の企業が減収となり、経常損益も回答企業の2割弱が赤字となっている。出店もSCの新規開業が少なくなる中で伸び悩み、退店は大幅に増えている。一方、売り上げを伸ばしている企業は店舗開発、市場対応、商品企画、プロモーションなどの得意な要素をいくつか組み合わせている企業だ。売上高30億~60億円の中堅企業に伸び盛りの専門店もある。企業間格差は拡大するばかりだが、売り上げの伸びが期待できない中で、いかに収益性を確保しながら、次の成長の足がかりを作るか。正念場を迎えている。
A.T.カーニーによる小売企業が進出先として魅力的な世界上位30カ国の新興市場のランキングの首位はインドで、08年の2位から返り咲き、UAEは20位から4位に急上昇した。先進国は08年秋以降の消費低迷に直面しており、小売企業にとって今後もGDPの成長が続く見込みの新興市場の重要性が増している。
アパレル市場の低迷が続く中、レディスアパレルメーカーと専門店との取引形態として、買い取りから委託や消化仕入れに切り替えるケースが起きている。売り上げ確保と在庫軽減を狙う専門店からの要望に対し、売り上げの減少になんとか歯止めをかけたいアパレルメーカーも部分的に導入し始めたようだが、専門店の仕入れや在庫管理の能力低下につながるとの警戒感も生まれている。
繊研新聞社がまとめた「全国主要SCアンケート調査」によると、08年度売上高上位100施設のうち56施設が前年を下回り、前年と比較可能な90施設の合計売上高も3期ぶりに減少した。ラグジュアリーブランドなどの高額品を扱う施設が総じて苦戦、特に衣料品の落ち込み幅は大きく、前年と比較可能な59施設の中で、44施設が前年実績を下回った。
日本通信販売協会が推計した08年度国内通信倍売上高は前年度比6.7%増の4兆1400億円となり、過去最高を更新。景気が低迷する中、利便性の高い携帯電話を利用したインターネット通販などが、苦戦する百貨店やスーパーの需要を取り込んだ。
専門店にとって08年までの人材の採用難から一転、採用しやすい状況が広がっている。出店を抑制する専門店が増えたことから、募集数が減っているのに加え、幅広い業種での採用の手控え、リストラなどで人余りが進んでいるためだ。だが、欲しい人材の採用しづらさは変わらないとの声もある。
ミセス向けの中小SPAが郊外・地方の百貨店やSCへの出店ペースを上げている。背景には、大手のアパレルメーカーやSPAが運営する店舗の不採算による退店が続き、空きを埋めるため、出店条件が緩和されていることがある。ミセス向け中小SPAの強みとしては、ファストファッションの影響をあまり受けず、ある程度の価格を保ちながら、中小SPAならではの対応力を活かせる点があげられる。
古着専門店として創業しながら次第に新品の独自商品も扱う新手のカジュアル専門店が台頭している。名付けて“ユーズド(古着)ミックス”。筆頭格は「WEGO(ウィゴー)」(東京・渋谷、中沢征史社長)。1万円で全身の着こなしがそろう手ごろな価格と、他人と違う着こなしができる点が若者の支持を集める。
百貨店で、値入れ率を引き下げる動きが広がりつつある。「高すぎる」値入れ率を見直すことによって、価値を下げずに買いやすい価格に設定した商品を強化するとともに、従来の条件では取引できなかった企業やブランドを取り込むのが目的だ。しかし、これは部分的動きで、現在の百貨店の収益構造では値入れ率をすべてで引き下げるのは難しい。百貨店が浮上するには、構造改革を断行して経費率を下げ、取引条件を本格的に見直すことが不可欠だ。
大阪市鶴見区の路面にあるセレクトショップ、スケールコードは、販売スタッフ25名全員が現職の美容師だ。同店と併設しているヘア、ネイル、エステのビューティーサロンのスタッフが担当している。ヘアスタイルのトレンドは、洋服のトレンドに大きく左右され、トータルなファッショントレンドの背景を知ったうえでのサービスは、接客の説得力を高めている。多くの顧客は、平均客単価が8万円ほど、うち、3万~4万円ほどが洋服代だ。消費低迷の中、昨秋以降も業績は下がらず、むしろ上向いている。
カジュアル衣料品大手が相次いでJR新宿駅の周辺に進出する。スウェーデンのブランド、ヘネス・アンド・モーリッツ(H&M)や英国のトップショップが今秋以降、新築ビルに大型店舗を設ける。西口に「ユニクロ」の大型店を出したファーストリテイリングも店舗を増やす計画。低価格衣料品を購入する若者や家族連れが多い新宿駅の周辺で顧客の争奪戦が一段と激しくなりそうだ。
繊研新聞社が実施した第42回全国百貨店改装・外装・増床調査によると、今秋は55店が改装する。今春に続き改装投資を凍結。延期する百貨店が多く、件数は少ない。改装を実施する店舗も、規模を最小限にとどめる傾向が強い。来年以降、東京と大阪で基幹店の大型改装・増床が相次ぎ、生き残り競争は一段と厳しくなると予想される。
しまむらやライトオンなどメーカー品衣料を販売する大手専門店が、自主企画(PB)商品を強化し始め、各社とも10年春までに売上高に占めるPB比率が30%以上となる見通し。自社が素材段階から商品開発にかかわることで、機能性向上や一段の低価格化を推進する。
日本百貨店協会は、同じ商圏で競合する店舗同士が、総営業時間短縮に向けて協議する場を各地域で設立する活動に乗り出している。地方都市の店舗を中心に、固定客へのサービスや従業員の士気向上を目的に営業時間短縮の機運が高まっており、その道筋を探る機会を作って支援する狙い。
夏の汗など水溶性汚れを除去する方法を検討し、ウエットクリーニングが必須であることを述べた講義である。まずドライクリーニングにおける水溶性除去技術として、石油系溶剤中に界面活性剤を用いて可溶化した水による洗濯を行った。水は3段階の量を用いたが、溶剤1リットルに対し3ミリリットルが汚れ除去率の限界となり、水溶性汚れの除去率は低かった。一方、機械力をMA値35以下に押さえた水洗いのウエットクリーニングでは、水溶性汚れはほぼ除去される。この処理に当たって注意するべき諸項目を挙げている。
世界3大クリーニング展示会の一つ、アメリカのクリーン‘09展が6月18日~21日、ルイジアナ州のニューオリンズで開催された。米国の厳しい経済環境、新型インフルエンザの影響もあり、出展社数が前回ラスベガス大会(2007年)の約500社から100社近く落ち込み、来場者数も前回の約1万5000人から5000人ほど減少した。ドライ機関係では目新しいものは少なく、石油機の展示が多かった。
連載講座の3回目。ドライクリーニングが他の洗濯とどう違うかを、工程要因別に解説している。今回はドライクリーニングの洗液の特質をまとめた。ドライでは洗液をフィルターで清浄化しながら洗い、逆汚染を防止している。ドライの洗液は油溶性なので、油溶性の汚れに覆われた水溶性や不溶性の汚れも落とす。ドライクリーニングでは、ソープが水を可溶化水として抱き込み、水溶性汚れを分散させ、洗液中の水分を除く役割を果たす。
蛍光漂白剤の成分と働きに関する基礎的な解説である。まず蛍光漂白を理解するために、色とは何かを波長に対する反射率曲線で説明し、併せて白と黒の特徴を示す。白い繊維には、紫から青の波長部分にわずかな吸収が見られ、これを白くするために精錬・漂白・蛍光増白などの加工が行われる。なお蛍光増白とは、色を白くするのではなく、紫~青の反射量を多くして、視覚的に白く見せることをいう。蛍光漂白剤は、繊維によって異なる種類が用いられ、それらの種類ごとの化学構造をあげた。ほかに蛍光増泊剤の性質、規制、応用分野など。
ワイズプラント㈱は、全国のクリーニング店を対象に、パートナーズクラブを運営する。「クリーニング業の最大のネックは仕上げ」と捉え、仕上げ研修に力を注ぐ。アパレルの仕上げとの違いは、アパレルではプレス機の型に洋服を当てはめて処理する。これは大量生産には適するが、1着ごとに対象が変わるクリーニング業には向かない。そこでクリーニング業の仕上げに対応するため、万能プレス機を提案した。この標準ラインから枝葉を出して、付加価値仕上げをするマニュアルである。例えばジャケットをプレスするときには、袖はイセ込みのくせ取りを潰さないように、首から肩に掛けては丸みを残す。
クリーニング業者に対して、消費者が少額裁判により告訴するケースが増えている。クリーニング業者が敗訴する場合がほとんどだが、本記事は行き届いた所見を出したために告訴取り下げに至った珍しい例を紹介した。事故はコートの収縮である。消費者は着丈が2cm縮んだ採寸値と、毛並みと艶において低下した外観を示した。これらの現象の原因につき、消費者は溶剤中に過度の水分が混入してフェルト化が起こったと主張した。第3者機関の所見を付して、これらの原因を逐条否定し、弁護士が主張した結果、告訴の取り下げに至った。
日経産業地域研究所の調査によると、流行の衣料をいち早く安価で提供する「ファストファッション」の利用は20代前半の女性がけん引していることがわかった。H&Mやフォーエバー21の利用が20代前半の前半が最も高く、「いつも最先端のファッションを身につけるように意識している」と確立もその世代が最高だった。
埼玉県消費生活支援センターは、「手洗い可能」表示のある麻製品について洗濯による表面の変化等のテスト等を行った。麻の混用率50%以上のカーディガン、ブラウス、ジャケット、合計7銘柄。手洗いおよび洗濯機洗いをそれぞれ20回行い自然乾燥後、各部位の寸法を測定し、外観観察を行った。寸法変化は手洗にくらべ洗濯機洗いの方がやや縮みが大きい傾向にあった。外観の変化では手洗いは9~10回で白っぽくなり、洗濯機洗いではそれよりやや早く目立った。表面の変化では、洗濯回数の多い方に毛羽立ちが見られたが手洗いと洗濯機では差はなかった。染色堅ろう度は、1銘柄以外全て4級以上。摩擦による変化では、濃色5銘柄のうち乾燥状態で2銘柄が、湿潤状態では程度の差はあるが5銘柄すべてに色移りが見られた。
静岡県環境衛生科学研究所は、紫外線カット商品の日傘、帽子、手袋の紫外線カット効果をテストし発表した。アパレル製品等品質性能対策協議会では、紫外線カットを表示する場合、紫外線遮へい率80%以上を推奨している。(アパ対協基準)。紫外線カットの効果は、加工品が未加工品より効果は高いが、刺しゅうなど隙間のある商品は、紫外線カット率が低い。紫外線遮へい率の色の影響は黒色ではどの商品も99%以上だったが白色は95%だった。その他の色はアイテムにより違いがあった。紫外線加工商品の使用期限は、光、洗濯、汗の影響によるところが大きいが、摩擦の影響はどの商品も紫外線カット率は低下しなかった。
M1 F1総研の20~34歳の若い世代の環境意識と消費者行動の調査によると、環境配慮のイメージがある企業の製品に対して、男性の購買意欲は5倍、女性も3.5倍となった。若者がエコに取り組む理由として、地球環境よりも節約を重視する傾向も表れている。
埼玉県消費生活支援センター「商品に関するテスト事例」から。プールで水着の着用を続けていたら縫目に沿って布が透けてきたという申し出があり、水着を洗いその水の塩素濃度を測定したところ、少量の塩素が検出され、塩素臭も感じられた。ポリウレタン糸は塩素の蓄積で劣化する素材で耐久性に難があること、目的や用途をよく検討し、自分に合った商品を選ぶのが良いと消費者へアドバイス。
全日本婦人子供服工業組合連合会が作成している「クレーム等受付処理報告書」による平成20年5月~平成21年4月の1年間の調査。クレーム内容で最も多いのが縫製不良で、そのうち65%がほつれであった。次に多いのが付属不良で、ボタンの破損、ファスナーの破損、ゴム切れなどで約90%を占めている。色のトラブルで多いのは色落ちであった。クレーム対象品のほとんどが中国を始めとする海外生産品で、一時は日本の指導と厳しい検査体制で品質が向上していたものが、コストダウンのため現地検査だけで済ませるなど、管理が緩んだため不良品が出まわるケースが増えている模様。
衣類乾燥機や洗濯乾燥機が普及してきているが、動植物性油脂が付着した衣類等においてオイルの酸化熱による自然発火事故が多発している。製品評価技術基盤機構(NITE)で綿100%メリヤス肌着に美容オイル、食用油、機械油など7種類の油を付着させた試験布について発火現象の再現実験を行った。実験では油を含浸した試験布を全自動洗濯機で洗濯後、120℃の恒温乾燥機で乾燥させ、その後含浸部の温度監視と発火現象の観察を行った。その結果、美容オイル、食用油で発火が見られた。
高級素材カシミヤを使う衣料の品質管理を厳しくする衣料専門店が増加。07~08年は百貨店などでカシミヤ製品の不当表示が相次いだことを受けた措置で、厳密な検査を受けた証明書やタグを付け、信用力をアピールしている。メーカーズシャツ鎌倉は10月、カシミヤ100%使用を顕微鏡試験で証明したとする書類を添付したカシミヤのストールなどを発売する。ベストインターナショナルは百貨店向けカシミヤセーターに、毛製品検査協会が今秋冬物から発給を始めた「カシミヤ100%タグ」を付ける。ユナイテッドアローズも素材管理を厳しくした。
米アウトドアメーカーのパタゴニアはウォルマートと共同で環境配慮と持続可能なビジネスの取り組みを進めている。パタゴニアのイヴォン・シェイナード会長がその方針を語った。ビジネス界では今革命が起こっている。変化はトップの部分から始まっている。昨年12月にウォルマート本社にバイヤー1,200名を集めた社内会議の場でCEOと幹部、バイヤーに2つの話しをした。一つ目は「これからは商品を買ってくるだけでなく製品一つ一つについて社会的環境的な監査をしなければならない」ということ、2つ目は彼らが扱う全製品が「どのように環境に影響を与え二酸化炭素を排出しているかについてグレードを数字で現す必要がある」ということだ。今進めているプロジェクトでは同社の「衣類に関するグレーディングマニュアル」をパタゴニアが一緒に作成し、それぞれの商品が環境にどのような影響を与えているかを消費者に分かるようにする。
クボタとパナソニック電工が折半出資する住宅用外装材大手のクボタ松下電工外装(大阪市)は、建材に含まれるアスベスト(石綿)を低コストでほぼ完全に無害化する技術を開発。大学共同利用機関法人の自然科学研究機構・核融合科学研究所(土岐市)の佐藤元泰教授の技術に基づくもの。電子レンジに使うマイクロ波で850℃に熱し、有害な繊維構造を壊して無害な粒子に変える。処理後は建材などに再利用でき、埋め立て処分が不要という。年内にも環境省に事業認定を申請する。実証プラントで試し、繊維がぼろぼろに壊れることを確かめた。処理費用は1t約2万円で、埋め立てる費用と同等以下になる見通し。
日本皮革産業連合会は革と革製品の製造・販売業者を対象に、日本エコレザー基準(JES)認定制度を始めた。JESに認定された革とその革を使用した革製品は、同連合会とのラベル使用契約に基づき、「日本エコレザー基準認定ラベル」を表示することができる。消費者の安全・環境意識の高まりに対応し、人と環境に優しい高付加価値の革をアピールする。JESは①天然皮革②排水、廃棄物処理が適正に管理された工場での製造③臭気や化学物質、染色摩擦堅ろう度に関する一定の基準をクリアしていること、などが主な基準となる。第1回目の申請は10月9日で締め切り、10月末に認定する予定。
インドのアパレル輸出が90%弱を欧米が占めており、新たな市場の開拓が急務となっている。JFW-IFFで来日していたダヤニディ・マラン繊維相が、日本のアパレル輸入をインドのシュアを現在の1%以内から12年に10~15%に高めたいとしている。
東京発日本ファッション・ウィーク(JFW)事業を主催するJFW推進機構は一般社団法人に移行し、第2ステージの活動に入る。09年度からコレクション事業の企画・運営パートナーに伊藤忠ファッションシステムとエイベックスが入り、BtoBとBtoCと連動させたBtoBtoCの活動を強化する。
2年後の流行色を決めるインターカラー(国際流行色委員会)は11月に日本で初めて選定会議を開く。決めるのは11年秋冬向けで、ここで決まった色は今後の世界のファッションやインテリアなどの新製品に大きな影響を与える。
①10月15日②アシックススポーツミュージアム③スポーツミュージアム・鬼塚喜八郎資料館の見学、講演「最近のスポーツ用品について(仮)」④日本繊維製品消費科学会(関西支部) 申込先:京都女子大学 矢井田修 TEL:075-531-7174
①10月23日②ドーンセンター③ヒト皮膚表面の温熱的ジオグラフィーとこれに基づく寒冷時の衣服設計、寒冷条件化における防水透湿布のはたらきについて、他④日本繊維製品消費科学会 TEL:06-6358-1441
①11月20日②大阪科学技術センター③色材の動向―新しい染色技術を可能にする色材、機能加工剤の動向―新しい染色加工に使用される機器、他④日本繊維機械学会 TEL:06-6443-4691
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男