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経済産業省の調査によると、個人向けの電子商取引(ネット通販)の市場規模が2009年に6兆7000億円となり、前年比10%増えた。個人向けの取引全体に占める電子商取引の割合も2.1%に上昇した。企業間の電子商取引の市場規模は131兆円。08年9月からの金融危機が響き、18%減った。
消費者庁の集団的消費者被害救済制度研究委員会が、契約を巡るトラブルや偽装表示を続ける消費者被害を食い止めるための法整備のため、原案を示し、11年夏までに制度の詳細を詰め、12年の法制化を目指す。
政府はスーパーなど小売各社の東南アジア進出を後押しする。11年以降に始まる経済連携協定(EPA)の改定交渉で、外国企業を対象とした出資規制や店舗面積規制の撤廃・緩和を求める。日本市場が伸び悩んでいるため、東南アジアで台頭している中間層の需要開拓を促す。
経済産業省は、11年度の繊維政策でデザイナーを核に繊維産業全体を活性化するための施策を充実することを固めた。基本的には4月にまとめた「今後の繊維・ファッション産業のあり方に関する研究会」報告書に沿ったもの。研究開発では炭素繊維を自動車向けなどに広く普及するために不可欠な生産効率化技術確立に取り組む。
消費者庁はインターネット通販などの電子商取引について、消費者のトラブル解消、未然防止するための研究会を発足した。匿名性を悪用した詐欺的商法など消費者トラブルも後を絶たないため、課題や対応策を検討、11年春をめどに結果を公表する方針。
経済産業省は経済対策の一つとして、輸出関連の中小企業支援を盛る方向で調整に入った。ものづくりなど技術開発に対する助成と事業資金融資の拡充が柱となる。
地域に優れた産品や技術などを生かし、国内外に通用するブランド力の確立を目的とした中小企業が実施するJAPANブランド育成支援事業は、10年度は66件が採択された。繊維関連では、遠州産地の綿織物、三河産地のインテリアの綿製品などがある。
経済産業省は「円高の影響に関する緊急ヒアリング」を実施。輸出製造企業では対ドルの円高で65%、対ユーロでは56%の企業が減益に、円高が半年継続すれば対ドル、対ユーロともに約3割の企業が深刻な減益になると回答した。繊維関連企業からは「流通も含め、ものづくりの構造が変わってくるのでは」「合繊メーカーの国内生産の撤退が相次ぎ、国内で織物生産を維持したくてもできない」といった声が聞かれた。
9月で設立1年となる消費者庁は、当初事故への素早い対応が期待されたが、対応のぶれや遅れが目立つ。情報収集・分析が後手に回り、各省庁の寄り合い小所帯の限界も露呈。
経済産業省が財務省の提出した11年度予算概算要求で、繊維関連では「クール・ジャパン戦略」で19.2億円を要求した。同戦略推進や横断的なクリエイティブ産業政策実現のための省内体制整備と、省庁間の政策連携を進めるため商務情報政策局に「クリエイティブ産業部」の創設を組織要求に盛り込んだ。
国際標準化機構(ISO)は、2004年から検討してきた企業などの社会的責任に関する国際規格の最終案をまとめ、全加盟国に通知した。新規格は11月に発効予定で、従来は曖昧だった「社会的責任」の概念について「法令順守」や「倫理的行動」など7原則を提示。新規格の名称は「ISO26000」。企業だけでなく、公的機関、NPOなどが対象となる。
PET半延伸糸にMeOHを含浸した後にscCO2を収着させ、系を減圧することによって繊維を発泡させることができた。発泡繊維の気泡は中心部に存在しており、これをアルカリ減量することによって表面も多孔質な繊維を作製することができた。
クラボウの丸亀工場が、断面形状が従来品よりも円形に近い純綿リング紡績糸を開発した。同社原糸課が同糸を、高級タオル用として提案している。同紡績糸の断面を見ると、空隙も均等に配置されている。毛羽が少なく、脱毛率も低い。このため、パイル立ちを安定させることができ、感触もよくなるという。今回の円形純綿糸は単糸だ。ところがタオル産地には、「高級タオルには双糸を使うという文化がある」という。その文化≠どう変えてもらうかが、今回の新商品を売り込む際の最大の課題だ。
ホームウエア製造卸のアオキ(岐阜市)は、岐阜県内で産出する美濃和紙とくず繭を組み合わせた新素材「和紙シルク」を開発した。岐阜の伝統産業や技術を生かし、環境にも肌にも優しい素材として、一般衣料のほかパジャマやシーツ、インナーなどに用途を広げ、事業化を目指す。同市の産学官連携補助金を受け、岐阜大学や岐阜市立女子短期大学、岐阜県産業技術センターと共同で開発した。美濃和紙80%・くず繭20%の原紙を裁断して撚った糸でいったんニット地を作り、それを解くことで伸縮性のある糸ができた。
デサントは11年春夏商品から、新たに主力となる戦略素材として太陽光遮蔽素材「サンスクリーン」を全社水平展開する。赤外線、可視光線、紫外線など太陽光を反射する機能がある。赤外線を反射することで衣服内の温度上昇を抑えるクーリング機能を持たせ、紫外線を反射することで肌を保護するUVカット機能を持たせた。ポリエステルの原糸への練り込みと高密度の織り・編物、一部後加工(コールドブラック)の3段階で遮蔽効果を持たせている。
衣服内を温度調節し、夏は涼しく冬暖かい素材「アメニテックス」ブランドで提案している。固まる時に熱を出し温度を上げ、溶けるときには熱を吸収して温度を下げる特殊レーヨンポリマーを機能材として使用している。夏は温度を2℃ほど下げる。ネクタイを外した時の快適性に相当する効果がある。
帝人ファイバーは、冷感・温感ジェルシートを内蔵した夏冬兼用の快適寝具「ハイブリッドクール&ウォームジェルパッド」を開発。ジェルシートを夏は冷凍庫で冷却し、冬は電子レンジで温め(500Wで2.5分)、パッドに入れて布団の上に敷く。パッドは、繊維を垂直方向に配向させた短繊維不織布「Vラップ」を中わたに使い、クッション性と断熱性を持たせ、2時間の効果持続を確認した。
旭化成せんいはこのほど、広い周波数域の電磁波ノイズを抑制する薄型軽量ノイズ抑制シート「パルシャット」を開発した。同社の特殊不織布「プレシゼ」を応用した。デジタル家電向けを中心に8月1日から販売を開始する。特殊不織布プレシゼの表面制御技術と特殊加工を組み合わせることで高いノイズ抑制効果を実現し、パルシャットの開発に成功した。とくに高周波帯域での抑制効果が高いほか、製品の厚みによって制御効果が左右されないため厚み0.05mm前後の標準品でも高いノイズ抑制効果を発揮する。
日本化学繊維協会「世界の高性能・高機能繊維の研究開発調査」の結果によると、欧州、米国および中国では、繊維系の大学や研究機関が多く、手厚い政府支援もある。技術の比較では、高性能繊維の物性制御、生産体制、品質レベルと、高機能繊維の新しい繊維素材の開発力で日本は、優位にある。しかし、韓国・中国がこの数年で急速に技術レベルを上げ、日欧米との技術差を縮めてきている。
糸や生地を手がける繊維会社と衣服をつくるアパレルメーカーが連携を深めている。世界一のパートナーであるユニクロと東レがあるが、三陽商会は秋物の婦人服でウールの軽量な特殊紡績糸を使った製品を出す。中堅繊維メーカーの日興テキスタイルが開発した「カール・カール」という特殊糸で糸を大きく膨らませ内部に多くの空気を取り込んでいる。重さが従来の糸の3分の2程度しかなく、710gあったセーターが510gまで軽量化でき、保温性も高まるという。
11〜12年秋冬向けの合繊スポーツ素材は、引き続き軽量、ストレッチなどの機能がポイント。帝人ファイバーは、ポリエステル高密度織物「インパクト」として、たて・よこ10D(11dtex)の最軽量タイプ、高密度織物「マイクロフトフレキシング」として重さ50g/uのストレッチタイプを開発した。さらに、東レ、東洋紡、ユニチカ、旭化成関係の素材が紹介されている。
ICチップを内蔵した織りネームICタグが開発された。小型で軽量、服などの本体にそのまま貼付するため、これまでのICタグより、さらに効率化を図ることができる。開発したのは織りネームメーカーのユニテック、印刷会社のテクノリンクス、IT(情報技術)機器関連の日立産機システムの3社。これまで使用しているのと同様の織りネームの裏に、導電性のインクを使ってインクジェットなどで直接アンテナを印刷。アンテナの中央部に0.5mmほどの角型ICチップを貼付し、その部分は樹脂で固める方法で使用する。
梳毛紡績・意匠撚糸の東和毛織は10〜11年秋冬向けで、ニットジャケット用が好調。その中で件数・糸量とも大きなものが、ウールの60番で「セミ梳毛」と位置付ける品種。今秋冬はメランジグレーに人気がある。17.5μmの原料を用い、紡毛風の軽さ・膨らみを備えている。価格は4,000円/kgと一般の獣毛混より若干高いが、強縮じゅう後でも軽さや柔らかさが残り、均一に縮む点が支持されている。
八王子駅近くにある織機とネクタイの資料館。8枚の写真により紹介された。この資料館は、成和鰍ノより、自社の工場敷地内に設置された。同社はネクタイを中心としたテキスタイル事業を扱い、八王子の養蚕と絹織物の産地の一環であった。これら伝統的な産業に使われた機器を収集し、さらに最近のコンピューター制御のジャカード機も加え、織機は古い座繰り織機から新鋭機まで揃えた。ほかに製糸の機器が多く、ネクタイのデザイン画、テキスタイルの資料集も閲覧できる。開館は不定期なので、予約が必要(0426-44-5233)
帝人ファイバーは11〜12年秋冬向けインナー素材でタイで開発した常圧カチオン可染ポリエステルポリマー「V4」を重点に据え、超極細ポリエステル繊維「ナノフロント」や断面が四つ山形状の「ウェーブロン」などと複合したサンプルの提案で機能性を打ち出す。V4は発色が良く、一般的なポリエステルに近い強度を持つ。成型時の熱による変色が少なく、モールドブラジャーなどで主に使われるナイロンの代替えとしてV4を提案する。タイでの生産を本格化させ、コストメリットも追求する。
11〜12年秋冬向けインナー・寝装・スポーツ素材のベンベルグで、特殊加工により接触冷感を抑えたフィラメント使いや、他の複合で吸湿発熱などの機能を持たせた素材提案で、用途の幅を広げる。糸に空間を持たせ、吸湿発熱、与湿、保温といった機能や、中空ポリエステルと複合し、夏涼しく冬暖かいサーモコントロール機能を持たせた素材などを提案する。
今秋冬素材商戦で、軽さを持ったツイード系など厚地素材が浮上している。昨シーズンまでは価格が先行し、秋冬でも重ね着を意識した薄地素材を求める声が強く、市場をリードしたが、その流れが一変しつつある。今シーズンは薄地、厚地の境目を明確にしてシーズン性を感じさせる演出が広がりそうである。各社は厚地素材の位置づけを改めて重視し、安定したフォローに全力を挙げる。
三宅一生は新シリーズ「132 5.ISSEY MIYAKE」を発表する。三谷純筑波大学准教授が開発した、1枚から折り紙のように立体模型が設計できるソフトを活用し、生地に「尾根」、「谷」の折り目を手作業でつけて、生地の一部を持ち上げるとちょうちんのようにふくらみ、シャツやワンピース、パンツになる。素材には帝人ファイバーが開発した再生ポリエステルを使用している。
自動車産業のグローバル化が加速する中、自動車の付加価値として感性品質の向上が求められる。ユーザーの意識は、座り心地に次ぎ触感が第2番目に高値である。触感には、シートファブリックの圧縮特性、表面特性、熱特性が大きな影響を及ぼす。シートファブリックの触感は、「高級感・スポーティー感」、「シンプル」の2つの因子で表現できる。
小松精練は特殊ウレタン樹脂を皮膜化した微多孔質透湿防風薄膜素材「エアシャットV」を開発した。伸縮性と防風性、通気性や透湿性を兼ね備え、ストレッチ素材の伸縮時も機能を保つのが特徴だ。コーティングやラミネートとは全く異なる手法で、新開発の特殊ウレタン樹脂を使い、既存の加工設備を改良した専用特殊設備により、生地表面に多段層の薄膜皮膜を形成させる。特許も申請中だ。ベースの素材は合繊、天然素材を問わず、布帛、ニットのどちらも可能だが、サイクリングやランニングなどの動きのあるスポーツ用途のニット、ダウンパックを使用しないダウン用機能性ニットなどのニーズに対応する。
カイハラは、チノとデニムの長所を併せ持ったデニム「シェルノ」を開発、11年春夏向けから販売を開始した。1年前の市場調査で、ブルーデニムが飽和状態になる一方、海外の市場でチノが注目されつつあることに注目。先染め糸を使ってデニムのたて落ち感を出すと同時に、軽量なデニム糸を使って従来素材より20%程度軽くし、チノでもデニムの表情を持った素材とした。
近年種々の分野で応用されているマイクロバブル(MB)と酸化力の高いオゾンガスを組合わせることにより、綿の糸や織物、ニットの効率的かつ環境低負荷型漂白技術の開発を試みた。MBは10から数10μm程度の直径を有する微細な気泡である。1)MB気泡の測定、2)MB発生器による水へのオゾン溶解力、3)漂白処理条件による綿織物の白色度への影響、4)オゾンMB処理布の引張強度変化、5)染色性への影響についての研究を報告している。
過硫酸水素カリウム(PMS:Potassiam Monoper Sulfate,KHSO5)で一次酸化した後、高濃度のオゾンガスを気液ミキサーで水中に5μm程度の超微細気泡にして直接羊毛スライバーに吹き付けて二次酸化する点にある。「エッジ効果」を伴ってクチクルの先端部分を酸化攻撃する。そのために繊維の損傷を最小限にとどめて、羊毛に防縮性を付与することができる。また、水温を40℃に高めることにより、より酸化反応を高める技術を確立した。クチクル表面全体を改質していないため、羊毛繊維の撥水性を損傷することなく防縮加工が可能となった。
関西地区の染工場に回復の動きが見えて来た。受注回復の中心が衣料品向けである点が特徴で、中国での縫製を中心とした生産コスト上昇が遠因にあるのは事実のようだ。しかし、ここ数年の間に染色加工業各社が築いた加工技術や納期対応力などの特色が改めて評価されていることも大きい。これらを裏付けるように、染料・薬剤商社でも今春から販売実績が回復しつつある。ただし、これらの流れは「国内への生産回復の動きとは別」との見方が支配的で、綿糸価格の高騰に起因する原反の流通不足と合わせ、当面は慎重に推移を見守る必要がありそうだ。
酵素製造販売の洛東化成工業(滋賀県大津市)が、糊抜きから精練、漂白、染色、柔軟処理までの全工程を対象にした「洛東エコ処方」を確立した。オーガニックコットンの染色加工処方として提案している。前処理工程では、遺伝子組み換えなしの酵素や生分解性が良好な界面活性剤等を使用し、苛性ソーダは用いない。染色には同社が以前から販売している草木染料を用い、柔軟処理は植物から抽出した油を原料とする加工剤で行う。糊抜き工程では、遺伝子組み換えなしのアミラーゼ酵素「ラクトーゼピュア200」と、生分解性が良好な界面活性剤「デスコピュアS」を使用する。
三木理研工業(和歌山市)は、同社が出資する協同組合ラテストと共同開発した紀州備長炭を原料とする脱臭・温感機能を付与する機能薬剤の重点展開を行う。この薬剤は紀州備長炭を500nmまで粉砕することで、セルロース繊維の内部まで浸透、付着する。バインダーを介さないため、洗濯耐久性は若干低下するものの、安全性が高く、さらに備長炭由来の脱臭機能や遠赤外線後輻射性能を高く発揮できる。
デニム地と12種類の添付白布間の摩擦係数を測定し、デニム染色布の摩擦堅牢度に及ぼす添付白布の摩擦係数の影響を考察した。その結果、染料が染色布から添付白布へ移動する速度定数k1及び添付白布から染色布へ移動する速度定数k-1の対数と摩擦係数の逆数にそれぞれ直線関係が見られ、摩擦堅牢度試験へ摩擦係数の測定を導入すると試験結果の修正に有効であると推察した。
ダイワボウノイは、食品メーカーが製造するサトウキビから抽出したアミノ酸(誘導体)を原料に使ったアミノ加工生地「アミノピュア」を開発した。インナーや寝装関連への提案を開始している。「アミノピュア」はpHコントロール、保温、抗菌防臭などの機能を有する。アミノ酸の機能が発揮できるよう同社の後加工技術で生地に付与し、ソフトな風合いも実現している。加工素材は綿100%でレーヨンも可。pHは強酸性、強アルカリ性の液下でも生地表面を弱酸性に保つ。
播州産地の産元商社播は、東海染工、播磨染工と共同で綿や麻など天然繊維に対し、糸染め後に薬剤を浸透させる技術を開発した。11年春夏向けにはキシリトールなどの薬剤を浸透させた冷感素材「キシリットクール」を販売する。後加工に比べ効果も高く、耐洗濯性能に優れている。接触冷感性能を示すキューマックス値は40番手のブロードで0.32ワット以上である。また、キシリトールには湿気を吸うと熱を下げる性質があり、長時間の着用でも冷感効果が持続する。
アパレル製品へのシルクスクリーン印刷、加工などを行うシルクマスター(静岡市)は、Tシャツの襟やジーンズのヒップポケットなどの段差部分に、きれいにプリントができる画期的なプリント技術を開発した。今回確立した技術は、ダイレクト印刷と同じ種類の油性プラスチゾルインクを使用し、シルクスクリーンの技法で特殊なシートに一旦プリントしたものを、専用の熱プレス機で熱と圧力をかけて製品にインクを食い込ませ、圧着することにより、生地の風合いを損なわず、製品の形状に沿った自然な仕上がりを可能にした。
インドがアパレル輸出先の多様化に力を注いでいる。主力の欧米向けが減速気味となっているためで、日本を含めた新市場の開拓を強めている。インドは来年度(11年4月〜12年3月)のアパレル輸出で150億ドルを目標に掲げており、世界規模でのアピールを本格化させている。今後のポイントになるのはインド特有の素材感、デザイン性をどれだけ発信できるかだ。中国のコストアップ、労働力不足が表面化しているが、輸出額で10倍の開きがある中国と戦うつもりはないとし、大量生産、低コストのバングラデシュ、カンボジアとも一線を画する考え。
日本アパレル産業協会は、業界の活性化を図るため、直面する経営課題についての研究や情報交換などを行う企業活性化委員会を設置した。今後、セミナーや交流会などを開催していく計画である。
オンワード樫山は、30−40代の高感度な男性をターゲットに、テーラードジャケットを軸にしたスタイル提案ブランド「coord G(コード・ジー)」を新たに開発、9月11日に増床オープンする三越銀座店に1号店を展開する。同社が蓄積してきた企画力・縫製技術力などのノウハウをベースに、匠のモデリスト、気鋭のクリエーターと協業し、技術力と感性を融合させた。本物、一流が集まり、時代の旬を常に発信する世界の銀座≠ナ、新しいテーラードジャケットスタイルを発信する。
銀座の目抜き通り「中央通り」沿いに、「ファストファッション」と呼ばれる低価格の大型衣料品の大型店が次々と進出している。商品の入れ替わりの早さが人気で、街の集客の主役になりつつある。松坂屋の反対側に来年秋、銀座で2店目の「ユニクロ」が開業する。数奇屋橋近くには来年2月、米国のカジュアル衣料「GAP」が新店を出す。老舗の百貨店も巻き返しをねらい、三越は9月に増築中の新館が完成し、改装オープンする。銀座には高級ブランドも残っている二極化が進めば共存できる。
旭化成AGMSは、アパレルCADのクラウドサービスを来年4月から始める。ネットワークを通じて各種ソフトやサーバーを利用するので、CADのパターンメーキング、グレーディング、マーキングの各機能とメール、ワープロ、表計算などが場所や時間を選ばずに利用できる。これに先立ち9月1日からテスト運用を始める。ユーザーに無償で使ってもらい、業務への影響や分かりやすい料金体系を評価・検討する。
フェニックスは(東京)は、エピック・テクノロジーインターナショナル(シンガポール)と共同でレインウエアの新機能システム「エピック・エキストリーム」を開発した。過酷な条件下で低体温化を防ぐもので、11年春夏の「フェニックス」アウトドアウエアから採用する。エピックは繊維にシリコンポリマーを含有させることで高い防水性と透湿・通気を兼ね備えた機能素材。エピック・エキストリームはエピックの内側に、20デニールトリコットをラミネートした防水フィルムを配す構造で、降雨、強風の条件下でも体温低下を防ぐ。
多くの産業分野で日本の「出遅れ」が指摘されている。ファッション・アパレルの分野でも国家・業界レベルでの遅れが顕著になってきたようだ。例えば中国が膨大な内需を背景に、サイズなど地味な技術の分野でもISO(国際標準化機構)のサイズ部会が上海で開催された。これは中国が開催国に名乗り出る形で実現したものであり、国際的な発言力を強化するのが狙いのようだ。また韓国はソウルに壮大なファッション発信基地構想を打ち出すなど、国を挙げての取り組みが目立つ。
中国のアパレル生産は旺盛な内需向けにシフトする一方、日本向け輸出はコストアップを吸収する円高メリットが大きくなっている。日本の店頭売り上げの回復で対日OEM(相手先ブランドによる生産)は今秋冬物から増産に転じたが、内需拡大や労働力不足、工場の淘汰・集中で生産能力がひっ迫し、一部で納期遅れや不良率が上昇している。来シーズンの輸出物の値決め交渉で難航も予想され、長期的に沿岸部は、中高級品生産基地としての位置づけと活用が求められている。
官民一体で開催してきた東京コレクションは民間主導に衣替えする。経済産業省による財政支援が10年度で打ち切られるためで、今後は世界最大のエージェント、米IMGが資金集めに取り組む。
リーバイ・ストラウスジャパンは、女性の体形を分析して履き心地を高めた新ジーンズ「Curve ID(カーブ・アイディー)」を発売する。米リーバイ・ストラウスが、約6万人の女性を調査し、腰から尻にかけての体の屈曲がジーンズの履き心地に影響を及ぼすと分析。新商品は体の曲がり具合に応じて異なる3種の型を用意する。既存商品に比べ、自分の体形に適したタイプをより細かく選ぶことが可能としている。
マルキュー系ブランドが相次ぎ、ブランディングの強化に乗り出している。海外ファストファッションがヤングマーケットにすっかり定着し、"価格以上の価値を持った買いやすい商品"が女の子たちの商品選びの大前提となっている。その中で、"選ばれる決め手作りを"と、各ブランドはロイヤルティー作りにも力を注ぎ始めている。
ユニクロは、今シーズンの「ヒートテック」の販売を、16日から全国でスタートした。今年は、全世界で5000万枚を完売した前年より2000万枚多い7000万枚を計画。7000万枚の比率は、国内約85%、海外約15%を見込んでいる。価格は昨年とほぼ同じ、990円から1500円。今年は、「発熱」「保温」「保湿」「吸汗速乾」「抗菌」「ストレッチ」「静電気防止」「形状保持」の7機能に追加して、原綿時からアクリルとレーヨンをマイクロ化、昨年時より約40%減の細さの原綿を実現。より滑らかで、肌触りの良さを実現した。
補正下着の専門メーカーのマルコとスポーツメーカーのデサント、およびファイテンが協業し、スポーツ向けの女性補正下着を開発した。「エムフィット」のシリーズ名で、スポーツブラとボトムを企画。開発の狙いは「美と健康」の追求。ボトムの「アクシスボトム」はデサントの骨盤矯正ベルトの技術を応用した。骨盤に作用し、そのゆがみを矯正して、トレーニング中の筋肉強化を促す。スポーツブラの「フォルムインナー」はきれいなバストラインを保ち、同時に胸が揺れないカップが特徴。
メンズ市場で久々のヒットとなったジャージージャケットはヤングカジュアルから火が付き、百貨店のアダルト・ミドル層にも支持が広がった。今春夏商戦では売れ筋上位にランクインし、ジャケットに占めるジャージーの構成比は3割前後まで高まった。オフィスでもジャケット・スラックスの広がりが後押しして浸透した。
アパレルパーツ企業の中国事業が新たな段階に入った。リーマンショック後、苦戦を強いられていたものの、今年に入って業績は回復基調にある。日系との取り組みよりも中国現地アパレルメーカー、欧米市場との取り組みが進みつつあるなど、世界ビジネスが進展しつつある。
アパレル各社は直営店やインターネット・テレビ通販などを強化し、百貨店以外での売上比率を高める。2010年度にはサンエー・インターナショナルが66%、ルックは初めて4割超に高める計画だ。販売回復が最大の狙い。百貨店での販売は在庫管理が難しく、売上高に応じて百貨店側に「歩合」を支払うため、その売上高を下げることで、資金効率と利益率を改善しようとの思惑もある。
縫製工場の生産スペースが一杯という状態を打開するため、日系中国邦人はあらゆる手段を使って中国縫製工場の生産ライン確保に取り組んでいる。当面の対策として"モグラたたき"のように工場の空きスペースを押さえる。特に今秋冬物の納期遅れ防止と来春夏物の加工賃交渉が焦点になる。中長期対策としてはアジアでの商品調達戦略の中で中国と他のアジア諸国・地域とのすみ分けを明確にし、工場との戦略的なパートナーシップの確率を目指している。
09年の紳士スーツ生産は08年の過剰在庫、08年から09年に駆けての販売着数の落ち込みで流通在庫が膨らみ、年間で194万着を減産する大幅な生産調整に入っていることが分かった。依然として流通在庫は過剰気味で、10年春夏も不振だったことから、受注減による生産調整は11年春夏物まで続く可能性がある。紳士スーツ(フォーマルの除く)の09年度年間生産販売数は854万着(前年比1.5%減)販売額は2188億円(6.3%減)だった。
働く女性の服装のカジュアル化が進んでいる。これに伴い足元も定番のストッキングの需要が急速に縮小する一方、このところ「フットカバー」と呼ばれるごく短い靴下が人気。足全体を覆うストッキングより開放感があり破れにくいため支持が広がっている。
米コンサルティングのATカーニーがまとめた小売業が進出するうえで魅力的な振興国は、中国が1位に、クウェート、チュニジアなど中東・北アフリカの8カ国が上位に入った。
急成長するアパレルリユース業態が「ファッション化」へと動き出している。景気低迷を追い風にリサイクルを前面に出した拡大段階から、家庭の不用ファッションを売り買いする新たな価値提供の小売り業態として確立を進める。国内の衣料サイクル率アップ、新品業と連携した消費活性化など、アパレル産業の一翼を担う役割も期待されている。
地方の路面で育った雑貨の大型店が、じわじわと勢力を広げている。地方ならではの地代の安さから、495〜726平方メートル級の売り場で様々な生活シーンを演出する。日常生活を楽しく便利にしてくれる新しい商材に、消費者の価格のフィルターは働きにくい。洋服も生活の1アイテムととらえる演出は、洋服屋の服とは異なる見え方をするようだ。雑貨の大型店は県京境を越え、集客力に期待するSCの出店依頼も続いている。
日本百貨店協会の6月集計で、外国人観光客が百貨店で買い物をする際の免税手続きをした一人当たり平均単価が5万8449円、前年同期比4%増、客数の伸びも同ほぼ倍だった。けん引役は東アジアからの観光客で、都内のある店では中国人客が同9倍に近く、欧米高級ブランドが中心であった。
流通系から交通系まで含め電子マネーの発行部数は1億4千万枚を突破し、利用促進のためのポイント付与や割引などのサービスも多彩になってきた。その事情と自分に合ったお得な選び方をまとめた。
8月から本格化する米国の新学期商戦は、秋物の動きをみる指標であるとともに、米小売業にとって年末ホリデー商戦に次ぐ大きなもの。全米小売業協会(NRF)がキッズから大学生まで、10年の新学期商戦を前年比16%増と予測、10年に入って回復の目覚しい百貨店の戦略を紹介している。
繊研新聞社が調査した百貨店店舗別売上高調査によると、09年度の上位100店の総売上高は前期比9.3%減の5兆723億円となり、4期連続で減少し、かつてない大幅な落ち込みとなった。特に上位20店の全店が2年連続で減収となっており、百貨店の苦境を象徴している。
繊維商社の基本ビジネスである1つ、OEM(相手先ブランド生産)事業は、厳しい経済環境などから低迷を余儀なくされてきたが、経済回復もあり、復活への道筋がみえ始めている。各社は、企画力の更なるアップや生産拠点の再開発など様々な施策を図っている。
アウトレットモールが日本に開設されてから17年、御殿場プレミアムが開業して10年が経過した。積極的な開発で市場に定着する一方で、都心部に近づいた開発や、テナント企業が収益を上げたい一心でブランド価値を損なうような商品や専用品も投入、ねじれ現象も起きている。
自ら発掘した伸び盛りのブランドを独自に編集し、いち早く消費者に紹介するモデルで成長してきたセレクトショップが岐路に立たされている。ファストファッションの台頭やネット通販の普及で、業態本来の個性が希薄化したためだ。各社は希少性に依存せず、マス市場攻略にも軸足を置く戦略転換で成長への活路を模索する。
矢野経済研究所の首都圏近郊のアウトレットモール利用に関するアンケート調査で、数年前と特別な買い物場所から日常的購入チャネルへ変化しており、活用内容は郊外SC接近の日常型とレジャー要素の2極化してきている。
繊研新聞社の全国衣料品専門店09年ランキング調査では、商品単価の低下、客数で落し、7割の企業が減収となり、不況を色濃く反映した。その中でユニクロは売上、利益とも好調さが突出しており、1人勝ちとなった。
日経MJの第39回卸売業調査09年度では、全業種の売上高が1%減り、02年度以降初の減収となった。繊維・アパレル卸の売上高前年度比10%減、経常利益30%減と、2桁の減収減益を強いられた。08年秋以降の消費不振が通年で響いたほか、低価格ファッションに押され、客単価や粗利益が落ち込んだ。
電子マネーの決済件数で5割のシェアを握る流通2強イオンの「ワオン」とセブン&アイホールディングスの「ナナコ」が会員獲得に覇を競っている。発行枚数でナナコを上回るワオンが、商店街や観光地、自治体などと連携を図る一方、ナナコはセブン−イレブンから始めた端末設置を今秋には百貨店にも拡大、グループ店舗内での会員化に力を入れる。
昨年話題を呼んだ低価格ジーンズ、最近はあまり耳にしなくなったが、取り扱う小売店では今春夏も順調に売れている。今秋冬も各社揃って販売を継続する意向だ。「他社がやるから、集客の目玉になるからと追随したところは、集客効果がなくなれば、いずれやめるところが出てくる」。昨年、価格破壊の追撃を受けたジーンズ業界関係者はこう予想した。低価格ジーンズはこのまま市場に定着するのだろうか。
核テナントの撤退跡地、お金を生まない空きスペース―。いまや多くの商業施設運営者が頭を悩ませる問題が未利用区画の存在だ。そこで脚光を浴びているのが、これらの区画に暫定的に出店する"救世主"的な小売業者たち。独特の売り場づくりで高い集客力を発揮し、施設の活性化に貢献する頼もしい助っ人だ。長期契約に縛られない、機動力に富む「テンポラリーテナント」への引き合いは、消費不況下でうなぎ登りに増えている。
日本経済新聞社の09年度百貨店調査で、08年度と比較可能な226店のうち、売上高を増やしたのは6店と、調査を始めた03年度以来最も少なく、その6店も閉店など特殊要因の影響が大きかった。消費低迷を背景とした衣料品や高額品の販売不振が直撃した。
通信販売各社が中国事業の拡大に乗り出す。ネット通販の知名度向上のために開設している店舗数を増やしたりして、中国の旺盛な消費需要を取り込む動きが加速している。
百貨店約10社や大手家電量販店が9月末にも、中国人観光客向けに割引クーポンの提供を始める。中国の専門サイトに各社のクーポンをまとめて掲載、印刷するなどして日本国内の店舗に持参すると一定の割引が受けられる仕組み。日本に来る前の段階で特典をアピールし、増加が見込まれる中国人観光客の取り組みを狙う。
専門店の採用事情は、昨年に引き続き買い手市場になっていることが繊研新聞社が実施した全国専門店アンケートで明らかになった。09年度実績でも、業績不振から採用数は抑制気味だが、応募数は増加傾向にある。併せて、多くの企業で時間外労働を減らして人件費総額を抑える動きも見られる。「ノー残業デー」の設置や日々の業務効率を上げる数々の工夫を凝らしている。
全日本婦人子供服工業組合連合会の「流通BMSに関するアンケート調査」報告書で、流通BMSがアパレル業界でも特に中小企業では認識が低く、今後中長期にわたって普及活動を行う必要があると指摘している。
用語解説
流通BMS(流通ビジネスメッセージ標準) 流通業界における新しいEDIのガイドラインで、通信基盤はインターネット、データ表現形式はXMLを採用するほか、データフォーマットや業務プロセスにおいても標準化され、今後サプライチェーン全体で業務が効率化されると期待されている。
インバウンド(訪日外国人観光客の買い物)需要がアウトレットモールにも広がりつつある。売上高に占める割合は少ないものの、中には「10%程度」とかなり高い水準のモールもある。中国人旅行者のビザの緩和で、このところ観光地を背景にした団体ツアーが増えており、モール運営者は接客サービスや免税システムなど、インバウンド需要対策を急ピッチで進めている。
繊研新聞社が毎年実施している衣料専門店ランキング調査のデータを分析すると、この10年は、大型SCの拡大とともに専門店の店舗数も増加。総売り場面積が拡大する中、多くの専門店で販売効率が悪化し、販売管理費率は上昇した。低い販売効率でも収益を確保するために、粗利益率向上が欠かせない課題となり、一層のSPA(製造小売業)化が促進された。ただ、高まる経費増にやむなくSPA化した小売業よりも、自社でリスクを持って全体をコントロールしながら経費を低く抑えた企業に成長企業が多い。
防炎加工の後加工剤のHBCD(ヘキサブロモシクロドデカン)が、本年4月1日に化審法の第一種監視化学物質」に指定され、また欧州各国で環境負荷や人体危険性が指摘され始めた。HBCDはカーテンの防炎加工の主要薬剤だが、今後の展望は明るくない。すなわち経産省は代替加工剤の開発を進め、東レはすでに中国から難燃ポリエステル原糸アンフラを輸入して、カーテン用途に販売している。この難燃糸は消防庁の基準をクリアし、耐洗濯性がよく、価格もHBCDとほぼ同等だという。いずれも後加工を業とするクリーニング業界への影響は大きい。
低コストで高品質を実現できる溶剤浄化機Xクリーン」が鰹システム(大阪市)により開発され、注目を集めている。次の4つの機能を備えている。(1)脱色:粒状炭を随時追加可能にし、長期間にわたり色効果を高めた。(2)脱酸力:従来の5倍の能力の脱酸剤(活性アルミナ)を用い、脂肪酸の酸化を防いだ。(3)スラッジリントの除去:1円未満で1日1回交換できる。(4)ベースタンク:自然にたまるベースタンク内のヘドロを、タンクに溶剤を循環させて除去する。これにより逆汚染のない美しい洗い品質が得られた。
ランドリーの基本アイテムであるワイシャツのクリーニング工程を丹念に記述した。例えば、被洗物と水の量が適正な場合、初めて洗浄槽中の被洗物の落下角度が適正になる。洗剤の使用量は、メーカーは水を抱く量から定めているが、汚れも落とすことを考えると、10%程度増やすとよい。漂白剤は、染料中の金属が繊維を損傷することがあるので、染色物には漂白剤を使用しない。良質な洗いのためには、2回洗いが原点である。これら具体的な指摘がまとめられ、有効なマニュアルとなっている。
クリーニング店からアノラックを受け取ったところ、斜めに褪色が見られ、とくに裾部分は顕著であった。原因は、保管中のガス褪色と思われる。このケースでは、ポリ袋に入れて4か月保管しており、ポリ袋の内側に湿気がこもり、高温多湿条件になったので、NOxガスによる分散染料の分解が進んだ。このクリーニング店は自動車の排気ガスが流入しやすい路面店であり、保管時期も夏であったため、染料の分解条件が揃ったと考えられる。酸化窒素ガスはポリ袋を透過するので、注意が必要である。
国交省は建築基準法の「安全対策指針」を、7月13日に関係者に説明したところ、申請手続きに要する費用が数十万円に及ぶことがわかり、全ク連は「これでは多くの業者が廃業に追い込まれる」として、発表延期を申し入れた。これに対して国交省は「調整中、発表の時期は未定」という。業界内には安全対策の遅延を危惧する意見もあり、今後の動向が注目される。
グンゼ鰍フ表示に対する考え方と海外販売への対応について述べている。後者に関しては、基本的には中国を始め、タイなど、ISOの表記に準じた表示としている。JISの絵表示からISOへの移行を考える時、最も大きい変更が漂白、タンブル乾燥、ウエットクリーニングの記号の追加である。漂白は、酸素系漂白剤への対応が必要で、再評価を行っていく必要がある。タンブル乾燥は、現在も何らかの表示はされており、スムーズな移行が可能とみられる。ウエットクリーニングについては、インナーウエアに絵表示をすることは考えていないという。
家庭用品による健康被害は繊維製品だけでなく、様々なものが対象となる。健康被害としては皮膚障害が発生しやすい。皮膚障害は刺激性皮膚炎とアレルギー性皮膚炎に大別される。前者はこすれ、圧迫等の物理的刺激、酸やアルカリ等による化学的刺激によって生じ、後者は体内に取り込まれた化学物質が免疫系によってアレルゲンとして引き起こされる。皮膚障害事例における原因解明の成果は、日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会の「アレルゲン解説書」で公表されている。内外の取り組みとしては、繊維製品の安全性に関しては、国内では「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」、国外では「EcoTex 100 Standard」により、安全基準が定められている。また本稿では、新たな動向についても解説されている。
立っている時はお腹をしっかり押さえ、座っている時は楽な着用感のガードルを販売する。フロント部のダブルパワー構造で、座ると開いてお腹の周りの生地がゆったりし、立つと閉じて上に引き上げられるためお腹をしっかり押さえる仕組みである。
電動ファン付きワークウエア「空調服」は毎年一万枚売れているヒット商品である。ウエアに取り付けたファンで直接送風するものである。事務所などでは各人で個別に体温調節ができ、省エネ効果も期待できる。
さまざまなエコバッグが販売されているなか、静岡県環境衛生科学研究所では、エコバッグの商品選択に役立てるためエコバッグの引っ張り強度や防水性、摩擦による色落ちなどの性質について商品ごとに比較し、その特徴を調べた。またアンケート調査によりエコバッグ利用者は、90%以上と多く、商品の選択については、「デザイン」や「金額」よりも「持ち運びの便利さ」や「丈夫さ」に重点を置いていることが分かった。
中国では市場開放などの影響を受けた1980年代生まれが、ファッション消費のけん引役として注目されている。三陽商会はバーバリー、三井物産と共同で、若者向けブランド「バーバリー・ブルーレーベル」と「ブラックレーベル」を展開する。東京スタイルも「ラヴドゥローズ」を香港と上海で展開。三城ホールディングスは年齢層別に売り場を設けた眼鏡店を。コーセーは高級化粧品ブランド「インフィニティ」を投入。中国では80年代に生まれた世代が海外やファッションに関する関心が高く、消費意欲も他の世代より旺盛とされる。将来の有力顧客に育てるべく、この世代へのブランド浸透を急ぐ。
総合スーパーのイオンは低迷している衣料品部門を強化するため、自主企画の新ブランド「トップバリュコレクション」を立ち上げ、ユニクロなどのファストファッションに対抗する。このため、新ブランドでは、ユニクロと同様に生産から販売まで自社で一貫して管理する「製造小売り業(SPA)」方式を取り入れる。今年の秋冬向けには、約800種類と多くの商品を出す。
衣料の専門店・メーカー大手が今秋冬に保温衣料の販売強化に乗り出す。しまむらは昨年比で3倍に、ユニーは4倍に、ユニクロは1.4倍、イオンは2ケタ増、イトーヨーカ堂やグンゼは1.8倍。富士経済によると、保温衣料の素材ベースの市場は13年に10年比較で27.5%増の176億円にまで増加する見通し。保温衣料は、今年ユニクロ、しまむら、イオン、グンゼの主要4社で国内販売量は1億枚の大台に乗る。
ミシン針が高温になるために生じる地糸切れの対策を示している。縫製中のミシン針の温度は、縫製開始から5〜10秒後に最高温度に達し、その後は一定となる。針の温度上昇は針と生地との摩擦で発熱し、一定温度になるのは発熱と放熱のバランスがとれることによる。熱的要因の地糸切れ対策としては、@細い針を使用する、AHPコーティング針を使用する、などが考えられる。後者のHPコーティング針は針表面に微細な凸凹を施し、空気に接触する針表面積を広げ、放熱量を増加させたもので、ミシン針の温度上昇を抑える効果がある。
日本羽毛製品協同組合は、ゴールドラベルの羽毛ふとん向けに、精度を高めた新型のかさ高性試験装置を開発。中国での羽毛需要拡大、価格高騰による粗悪品の増加も懸念され、品質管理を強化する。装置ごとのばらつきや経年変化を防ぐため、材質をアクリルからステンレスに変更。荷重円盤は従来の120gのほか94.3gのタイプを加えた。高さではなく単位質量当たりの体積で表記できるようにし、海外の試験法と比較しやすくした。
UPSの「アジアビジネスモニター調査」で、アジアの中小企業のアジア地域経済見通しは「成長する」と回答した企業が10年では49%に達した。特に日本企業が最も楽観的で81%が「成長する」(09年は19%)と回答した。だが、自社業績については「改善する」とした日本企業は24%(09年12%)にとどまり、もっとも悲観的な見通しとなった。
YKKは、米国が11年に施行する消費者商品安全性改善法(CPSIA)の鉛含有量の新基準(100ppm)に対応するため、全世界で6億円以上を投資し、主要な生産国に鉛などの含有金属の検査機・EDX(エネルギー分散型蛍光X線分析装置)約50台を設置、ファスニング商品の本格受注、生産を開始した。同社は、基準値を下回る90ppmに設定している。繊研新聞〔10・8・16(2)〕に、含有物質を一元管理の関連記事がある。
日本生産性本部の「レジャー白書10」によると、余暇市場09年は前年比4%減の69兆6千億円で、70兆円を割り込んだのは89年以来20年ぶり。消費者の節約志向が強まり、スポーツや娯楽、旅行など多くの市場で客単価が下落した。
服飾専門学校と企業などが共同で、新しい企画や商品の開発に取り組む産学連携の動きが活発だ。厳しい経済環境下で、即戦力となる人材の供給を求められて実践的な教育を重視する傾向にある専門学校と、若い新しい発想を取り入れて活性化を図りたい企業の思いが背景にある。
円高基調が続く中、日本のファッションビジネスにもプラス、マイナス両面で影響が生じるとみられている。プラス面で大きいのはアパレル輸入で、中国を巡る生産面でのコストアップを吸収できる。逆にテキスタイルをはじめとする輸出は減退要因となり、加えて日本国内のファッション消費のけん引力と期待のかかる海外からの観光客の購買意欲が減退することも懸念される。
@10月19日A大阪科学技術センターBインクジェットプリンタの最新動向とテキスタイルプリンタへの応用、オゾンによるウールの防縮加工技術、他C日本繊維機械学会 TEL:06-6443-4691
@10月22日A追手門学院大阪城スクエアーホールC・DB生理学の基礎および女性ホルモンの働きを中心に、繊維製品の開発―企業の立場から、ポスター発表、他C日本繊維製品消費科学会 TEL:06-6358-1441
■東京会場@11月2日A日本女子大学新泉山館
■大阪会場@11月16日AドーンセンターBISO 3758及びISO 6330規格改正の進展状況、取扱い絵表示の国際整合化についてのこれまでの経緯と業界に及ぼす影響、他C日本繊維製品消費科学会 TEL:06-6358-1441
@11月12日A大阪科学技術センターB機能加工の動向―新しいナノテク加工を中心として、機能加工剤の動向―新しい染色技術を可能にする加工剤、最新の環境テクノロジー、他C日本繊維機械学会 TEL:06-6443-4691
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:中島利誠/発行人:大谷芳男