ミニ情報TOP→ 日本衣料管理協会TOP→ バックナンバー一覧(2003年度:第20巻~)→
行 政 ★経産省、企業のDXに関する新報告書
素 材 ★体型に応じフィットが変化
加 工 ★抗ウイルス加工の新技術
アパレル ★縫製工場、技能実習生の帰国で労働力不足
流 通 ★20年衣料品市場、20年間で最大の落ち込み
クリーニング ★タグ付けで予期せぬトラブル
消 費
★サステナブルファッション~消費者庁・環境省・
経済産業省が連携
健康・快適性
★フェースマスクの性能向上に貢献する
エレクトレットフィルタ
その他 ★服飾系専門学校 今春は就職率が大幅低下
経済産業省は下請けの中小企業が労働コストなどの増加分を納入価格に転嫁できているか、実態を調査する。10月には最低賃金の引き上げで人件費の増加が見込まれる。納入先の大企業が転嫁をどれだけ受け入れているかを業種別にランク付けして公表する。適切な価格転嫁によって賃上げと物価上昇の好循環をめざす。
経済産業省は企業のDXのあり方と今後の政策の方向性などを示した「DXレポート2.1」をまとめた。有識者会議「デジタル産業の創出に向けた研究会」での討議に基づいて策定したもの。「デジタル変革後の産業や企業の姿」を示すとともに、「既存産業の企業がデジタル産業の企業変革を加速させる」ための政策の方向性を示した。
経済産業省資源エネルギー庁21年度公募事業「AI・IoT等を採用したさらなる輸送効率化推進事業」でイオングループなど5社が採択された。トラックの積みおろし作業を自動化するため、AI搭載の自動運転フォークリフトを実用化しトラックの運行と連携させ、荷役と物流の効率化、省エネ化を目指す事業。事業期間は23年度までの3年間。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「新型コロナウイルス感染症が生活水準に与えた影響」調査で、以前に比べて「低下した」と答えた人の割合が約4人に1人を占める。世帯年収が低い人ほどコロナ禍による経済的な打撃を感じている状況が示された。
経済産業省と国土交通省はインターネット通信の考え方を適用する新たな物流の仕組みについて討議する有識者会議「フィジカルインターネット実現会議」を新設、10月6日に第1回会議を開いた。労働力不足やコスト上昇など「物流が危機的状況にある」デジタル技術を活用した新たな仕組みによって「究極の物流効率化」を目指す。40年の実現を目標とし、21年度内をめどにロードマップを策定する。業界ごとのワーキンググループも作り、百貨店業界も参画する。
厚生労働省によると所得1000万円以上の世帯は18年時点で全体の12%で、1996年のピーク(19%)から7ポイント低下した。総務省は「子育て世帯の雇用環境の改善や、足元での高齢者の所得増が背景にある」と分析する。この経済的な格差のデータが示すのは、富裕層も含めた国民全体の生活水準が地盤沈下する日本の実態。OECDによる各国別の年間賃金データで、日本は30年間ほぼ横ばい。購買力平価ベースの実質系列で30年前と比べると、日本は4%増の3.9万ドル止まりだったのに対し、米国は48%増の6.9万ドル、OECD平均が33%増の4.9万ドルと大きく伸びた。
経済産業省は、政府が20年6月から企業に策定・公表を要請している取引適正化推進を軸にした企業間の「共存共栄」のための自主行動宣言「パートナーシップ構築宣言」の宣言企業が10月18日時点で2059社に達したと発表した。同宣言は企業が「発注者」の立場で自社の取引方針を宣言する取り組み。
政府系金融機関の日本政策公庫が個人を含む小規模事業者を対象にした国民生活事業で実施している「事業継承マッチング支援」への申し込みは、21年度上期では20年同期比で引き合わせ件数が1,808件と大幅増。この支援は後継者不在などの小規模事業者と事業の譲り受け希望者を引き合わせ、第3者による事業継承を支援する取り組み。
独立行政法人中小企業基盤整備機構は、10月19日からカーボンニュートラル実現に取り組む中小企業・小規模事業者向けのオンライン相談窓口を開設する。同時に中小企業ビジネス支援サイト「J・Net21」のSDGsに関する特設ページで、中小・小規模事業者へ「カーボンニュートラル実現にむけたチェックシート」を掲載する。
10月のG7貿易大臣会合で、サプライチェーンでの強制労働の排除を呼び掛ける共同声明が初めて採択された。衣料品の工場を含め、一部の国・地域での人権抑圧・強制労働が国際問題となる中の画期的な声明で、日本のファッションビジネス業界に与える影響も大きい。グローバルな成長戦略やサステナビリティ施策を促進する上で、人権対策は不可欠。各企業のさらなる取り組み強化策とともに、中小企業支援策を含めた今後の政府の対応が注目される。
JIS改正で家庭用品品質表示法の指定用語「アクリル系」が「モダクリル」に改正される。フェイクファーや毛布などに多く使われている繊維で、この繊維を使用して22年以降出荷する商品はモダクリルと表記する必要がある。9月に予定するパブリックコメントを経て、22年1月1日に告示、同12月31日まで猶予期間が設けられている。
長谷虎紡績は、新開発のPLA(ポリ乳酸)繊維「プラックスファイバー」を新たな原料として起用。プラックスファイバーは、バイオワークスが開発した改質PLAの「プラックス」(PlaX)を使った。従来のPLAが特徴としてきた弱酸性や抗菌性などの性質を生かしながら、課題であった品質安定や染色性の弱さを改善した。同社ではプラックスファイバーと綿との混紡を計画している。
カーペット用ナイロン長繊維の供給が不安定化している。有力メーカーのインビスタジャパンが、世界的な需要増などからカーペット用ナイロン66を値上げし、従来の倍程度のリードタイムがかかる状態になっている。商流の変化を促す可能性がある。同社のナイロン長繊維は米国で生産するが、エアバッグ用などのナイロン66の世界的な需要拡大や、米国の寒波の影響によるフォースマジュール(不可抗力による供給制限)で供給がひっ迫する。
飲料容器自動回収機「リバース・ベンディング・マシーン」(RVM)で回収したペットボトルから作る長繊維用ペレットを「ボトリウム」とブランド化し、アパレル製品への採用を進める。RVMは消費者がキャップ、ラベルを外した水洗後のボトルを投入し、センシングによって装置内で異物を分別して圧縮処理、リサイクル事業者で再生ペレットに加工する。RVMでの選別によって不純物が少なく、白度の高い再生ペレットが製造可能で、付加価値や機能性の高い長繊維を使ったアパレル製品に向いている。
インティミティが開発した180日で生分解率95%という生分解ポリエステル」(セリス)が中国で注目されている。セリスは、ポリエステルを重合する際に第3成分の親水性モノマーを配合し、これによってポリエステルが親水性となり微生物に分解されるのが特徴。セリスを使った服などを廃棄しても、工業堆肥の条件下で好気性微生物により、二酸化炭素、水、バイオマスに完全分解されるという。
繊維ごみを資源として活用する活動を行うサーキュラーコットンファクトリーは、日本で初めて繊維ごみ配合率50%以上の紙(サーキュラーコットンペーパー、CCP)を開発・事業化した。繊維ごみ回収と紙の量産化、流通までの仕組みも確立しており、長期的な観点でプロジェクトを進める。事例は着なくなった服と使用済み教科書で作る卒業証書やはがきなどで、最終的にはCCPで書籍化する。現在、繊維くずは綿に限定しているが、化学繊維などにも広げる技術開発に取り組んでいる。
オーガニックコットン製品を展開するアバンティは、オーガニックコットンの残糸や残布を有効利用したトルソーを開発した。牛乳パックやにかわ、胡粉をはじめとする生分解性のある原材料を用いるなど、地球環境に配慮したモノ作りを行った。「リコットン トルソー」の名称で販売する。残糸・残布を粉砕して、牛乳パックから抽出したパルプと混合し、型に入れて1週間天日干しを行う。その上で、にかわと胡粉で強度を補う。全て手作業で行い、生産スピードは限られる。
帝人コードレは、抗菌・抗ウイルス性能を備える人工皮革「ウイルガード」を開発した。ウイルガードは、抗菌や抗ウイルス性能等と安全性に関する品質表示認証「SIAA抗菌加工」「SIAA抗ウイルス加工」を取得。天然皮革調やエナメル、ヌバック調など一般的な人工皮革と同様の意匠加工が可能で、幅広い用途が見込める。リサイクルポリエステルを使うことで、環境配慮型製品にも対応できる。
ポリエチレンオキシド(PEO)を添加したセルロースナノファイバー(CNF)懸濁液を電気紡糸してCNF繊維束を得、その特性を調べた。TEM観察等で確認した結果、エレクトロスピニング法を用いることで、PEO繊維の内部にCNFを配向させて一体化することができ、CNFの束が高度に配向した高強度材料の実現につながることが示された。
米ライクラ・カンパニーは、着用者の体型に合わせてフィットを変化させられる新素材「ライクラADAPTIVファイバー」を開発した。ADAPTIVファイバーを使用した衣服は、着用者が静止しているときにはポリマーが収縮・保持し、適切なフィット感やシルエット、コントロールを維持する。着用者が動いているときにはポリマーが弾性を適応させ、運動時の快適性を高める。フリーサイズの衣服に適しており、多様なサイズを1着でカバーできるのも大きな利点という。
レンチンググループはテンセルで、パルプと廃棄される綿古着を原料にリヨセルを作る循環型「リフィブラ」テクノロジーを用いたタイプを開発した。リフィブラテクノロジーの採用で、ファッションブランドの更なる炭素排出削減に貢献。サーキュラーエコノミーに対するニーズにも対応する。
ユニチカトレーディングは、バイオマス比率45%のナイロン56を使った短繊維テキスタイル「ビーメックス・エコプラス」を開発した。ナイロン56は従来の石油由来のナイロン6に比べ、発色や吸湿性能に優れる。織・編物にするとナイロン特有のぬめり感にハリ・コシが加わる特徴を活かし、リップストップやツイルなどアウターカジュアル素材を中心に仕掛ける。
高機能生地の開発・販売を行うV&A Japanは、特定堆肥生分解ポリエステル「クラフトエポリーテ」を日本で本格販売する。米国の企業と共同で開発した。特定の堆肥中で約80℃で加水分解するように設定しており、ポリ乳酸などと比べると耐熱性や耐久性に優れる。常温常圧で染色が可能なことも特徴の一つ。強度は一般的なポリエステルの9割程度だが、通常の使い方であれば問題ないとしている。
糸商の北洞は、編みたてが可能なバサルト繊維(玄武岩繊維)の糸を開発した。糸加工の工夫で糸に柔軟性を持たせて編み機での使用を可能にしており、丸編みと横編みの生地を試作した。バサルト繊維は玄武岩を高熱で溶かして紡糸する。耐熱性や耐薬品性、高強度などの特徴を持つが、編みたてでは糸が折れてしまう課題があった。
レンチンググループは、差別化セルロース繊維「テンセル」でデニム向けにマットなリヨセル繊維を開発した。植物由来で生分解性があるリヨセル繊維をデニム生地に用いる企業も多い。光沢の少ないデニム生地に対するニーズが高いことから「マット・テンセル」を開発、なめらかなタッチなどテンセル繊維の特徴はそのままに、光沢を抑えるように設計し、デニムデザインの汎用性を高めた。
プリント加工の浜田染工は、サステナビリティを視点にした商品開発に力を入れる。来春夏向けでは草木染めによるオートスクリーンプリントを新たに打ち出す。キトサンを主原料とする天然由来のバインダーに草木染料を入れてプリントするもので、特許を出願中。まずは安定して供給できる20色からスタートし、オーガニック綿やリサイクルポリエステルの生地と組み合わせて提案していく。
日華化学は、大幅な性能向上とともにさまざまな素材に対して高い耐洗濯性を実現した新しい抗ウイルス加工処方を開発した。新たに開発した抗ウイルス加工処方は①さまざまな素材でISO/JIS基準の耐洗濯性をクリア、②安全性が高く、皮膚刺激性は従来技術の約5分の1、③従来技術に比べて約7倍の抗ウイルス性、④染色加工場の排水処理負荷を低減、などの特徴を持つ。
シキボウは抗ウイルス加工「フルテクト」が抗ウイルス性に加えて抗菌防臭性と制菌機能も併せ持つことを改めて打ち出す。近年、消費者の間で衛生加工全体への関心が高まる中、複数の機能を持つマルチ機能加工への引き合いも増えている。こうした動きに対応するため、フルテクトも抗ウイルス性に加えて抗菌防臭、制菌の機能を併せ持つことを訴求する。SEKマークも3種類を併せて添付できることを打ち出した。
"密"を避けた野外レジャーとして人気の高まるゴルフ。ゴルフウェアは、これまでゴルフブランドが主体だったが、昨年来のコロナ禍によるゴルフブームで、新たにウェアに参入する企業が相次ぐ。従来風の派手さはなく、街やオフィスでも違和感のないシンプルなデザインが特徴だ。
東京パラリンピックでは、日本企業が作ったウェアや装具が選手の活躍を支えた。そのうちの一つ、ゴールドウインは、車いすラグビーなど4競技でウェアを提供。研究開発施設「ゴールドウインテック・ラボ」を拠点に、先端技術を取り入れつつ、選手を保護し、パフォーマンスを高めるウェア開発に取り組んだ。同社が障害者スポーツのウェア開発に力を入れるのは、取り組みの過程で得られる知見が、一般向けのスポーツウェア開発にも生かせるためである。
青山商事は、再生ポリエステルを使ったセットアップスーツの販売を始める。再生ポリエステルを30~50%使用しながら、ビジネスシーンでも着用できるよう"ウール見え"に仕上げた。抗菌・抗ウイルス生地使いのマスク専用ポケットをジャケットとスラックスに付けるなど、環境配慮と機能性を両立した。シワになりにくく、自宅の洗濯機で洗え、毛玉もできにくい。ストレッチ性も付与した。
福助は再生ナイロンを使ったストッキングの展開を増やす。20年にライセンスブランド「アニエスベー」で取り組みを開始したが、22春夏物では同社が生産する全てのストッキングで「何らかの形で再生ナイロンを使用する」計画。コストアップ分は台紙の削減などで吸収する。繊維メーカーと連携し、原材料の一部に工場内リサイクルのナイロンを使う。
サステイナブルなファッションビジネスを推進する新しい仕組み作りへの模索が始まっている。スタイリストがアパレルメーカーや小売店の抱える在庫を安く仕入れ、長年の経験を経た独自の目線で品揃えするという店作りだ。オフプライスストアとは異なるオリジナルの編集で、本来なら不良在庫として処分されるモノが、新たな流通で新しい価値と共によみがえらせる取り組みに注目が集まる。
縫製工場が深刻な労働力不足に苦しんでいる。コロナ禍で母国に戻れなかった実習生が相次いで帰国し、「縫製現場では受注しても、縫うキャパシティーがない」と声が上がる。政府による入国制限がいつ解かれるか見通せない中、日に日に現場の疲労感が増しており「来年には実習生がゼロになる」と危機感を募らせる。今のままでは受注が回復したとしても、納期通りの生産は難しいという。
AOKIは、オーダースーツのように自分にぴったりの一着が最短4日で仕上がる新サービス「クイックオーダースーツ(QOS)」の展開を限定18店舗で始めた。上下別々のサイズが選択可能なほか、スペアスラックスやベストも追加できる。オーダーと既製を融合したサービスとして提案する。
ファーストリテイリングは、マイクロファイバーによる自然破壊への影響を最小化する国際的な取り組み「マイクロファイバー2030コミットメント」に署名した。23年までに、定められた素材試験を毎年実施し、マイクロファイバーコンソーシアムにデータを提供する。また、データと知見をもとに、自社製品と製造過程でマイクロファイバーの低減措置を実施する。
中国で縫製工場のキャパシティー不足が浮上し、製品OEM・ODMを担う日系商社は納期や価格に頭を悩ませている。世界的な原材料費や人件費、物流費の上昇も利益を圧迫するなか、日本向けを後回しにする傾向も出てきた。「中国での長期的な物作りの視点を持たないと、日本アパレル産業の行く末は厳しい」との声も強まっている。
青山商事は、紳士服大手量販では初となるクリーニング付き保管サービスを始めた。スーツの購入に加えて、クリーニングから保管、アフターメンテナンスまでトータルでサポートすることで顧客満足度を高める。シーズンオフのスーツを預かり、保管期間は最大6か月。他社製品にも対応する。
婦人服の22年春夏展が始まっている。春夏物は新型コロナウイルスの感染拡大で2年続けて大きな影響を受け、販売機会を失った。新型コロナの第6波の懸念も拭えない中、「3年連続は経営に大きな打撃。新型コロナに関係なく売り上げを取っていく」と積極的な姿勢が見られる。専門店向けアパレルメーカーはMDの再構築や新規取引先の獲得、コミュニケーションアップなどの施策で、バイヤーや消費者のライフスタイルの変化に合わせて売り上げの確保を狙う。
日本エシカル推進協議会(JEI)は、エシカルを定義付けた日本初という基準「JEIエシカル基準」を策定した。様々な商品やサービス、ブランド、企業がエシカルであることを総合的に確認し、示すための基準となる。同基準は自然環境保全、人権や消費者の尊重、動物の福祉・権利などの8分野について、それぞれ4~7の課題があり、全部で43の項目から構成されている。
日本のアパレル会社で秋冬物の新商品の発売が遅れている。新型コロナウイルスの影響で衣料品を生産するベトナム工場の稼働が落ち、思うように調達できていないため。百貨店アパレル大手などは一部商品の発売が最大2カ月遅れる。緊急事態宣言の解除で経済が再開に向かうなか、国内の個人消費に水を差す可能性もある。
グローバル大手小売りの収益の回復が進んでいる。直近の四半期業績はインディテックス、H&Mが増収となり、ファーストリテイリングは減収だった。3社ともECは引き続き伸びたが、実店舗での販売は経済活動の再開が進んだ欧米が中心の2社に対し、ファストリは感染拡大の影響が続いた日本と中国が主力市場だったこともあり、明暗が分かれた。しかし、収益性は回復基調にあり、営業利益、純利益は3社とも前年同期比増益で、19年度比でも増益となり、コロナ禍前の水準まで戻りつつある。
10月22日に開かれたG7貿易大臣会合で、サプライチェーンでの強制労働の排除を呼び掛ける共同声明がG7として初めて採択された。衣料品の工場を含め、一部の国・地域での人権抑圧・強制労働が国際問題となる中の「画期的な声明」(萩生田光一経済産業大臣)で、日本のファッションビジネス業界に与える影響も大きい。業界にとっても、グローバルな成長戦略やサステナビリティ施策を促進する上で、人権対策は不可欠だ。
日経MJの卸売業調査20年度では、全14業種の売上高が19年度比4.0%減、営業利益41.2%減に沈んだ。ともに02年度以降で最大のマイナス幅となった。社会インフラとして卸売業の重要性が高まるなか、物流などでは協力しながら、商品を円滑に届ける取り組みなどが広がっている。繊維卸の20年度の売上高の合計は18.1%の大幅減となった。上位20社のうち17社が減収だった。新型コロナウイルスの感染拡大で店舗の休業や営業時間短縮が広がり実店舗の売り上げが大きく落ち込み、アパレル業界でECへの移行が本格化している。
繊研新聞社がファッショングッズ企業の20年度業績(6~5月の決算期)アンケート調査を実施したところ、コロナ禍の影響が顕著に表れ、大幅に売り上げを落とすところが大半だった。傾向と課題をバッグ、靴、ジュエリー、洋品小物の4分野でまとめる。
繊研新聞社の全国専門店アンケート調査で、21年春は採用数が前年より「減った」「凍結した」との回答が6割を占め、採用数が大幅に減っている。一方、22年春卒業予定者の応募は「増えている」が33%と例年より10ポイント以上高く、売り手市場から一転して学生には厳しい採用環境となった。コロナ禍で業績が悪化し、22年春の新卒採用も縮小する専門店が目立ち、8月までに新卒採用を終えた企業は約半分に過ぎない。
商社のOEM・ODMのDX(デジタルトランスフォーメーション)が進化している。20年来のコロナ禍を契機に実装化への試みが本格的に始まり、サステイナブルに対する機運が広がるなかで製販における"無駄を削除する"効率化に向けてのデジタル化が定着しつつある。商社は業界のDXをリードしながら、次のフェーズへ向かおうとしている。
繊研新聞社が推定したファッション商品の20年度消費者向けEC市場規模は約1兆5000億円、EC比率は17.8%になった。108社をベースに、ファッション市場規模とEC比率を割り出したもの。20年度のEC市場の伸び率は前年度比23.9%増。コロナ下で実店舗の売り上げが大幅に減るなか、売り上げがECに集中した結果による。
小売業でOMOの必要性が叫ばれているが、店舗のデジタル化は足踏みしている。コロナショックで投資余力はしぼみ、デジタル人材不足もあってサービス導入に二の足を踏むところが多い。成長するECへの投資が続く半面、店舗はアナログ運営のまま。人流データの取得で店舗の運営改善につなげるサービスを提供する会社にとってOMOは追い風のはずだが、小売業の導入の遅れに苦慮している。
用語解説
OMO(Online Merges with Offline) :ネットと店舗の垣根をなくし購買意欲を掻き立てるマーケティング概念の一つ。従来のOtoOやオムニチャネルといった概念を更に発展させ、ネットと店舗の融合により、顧客にどのような体験を提供できるかを主軸においている。
三越伊勢丹は「百貨店ができなかったことに挑みます。」を掲げている。今までは販促品や制服の受注が主な業務だったが、地方の魅力のプロデュース、ビジネス設計や商品開発の支援など課題解決の提案を行う。松屋は合成ダイモンドを使った創業以来初のジュエリーブランドを立ち上げた。通販サイトも設置し、将来は海外からオンライン受注も行う。
コロナ禍で、百貨店に入居するブランドが変化している。業績悪化で大手アパレルが撤退する一方、新興企業や紳士服チェーンに出店のチャンスが生まれている。百貨店側にとっては、新風を求めている事情もありそうだ。
22年以降、大型SC・複合施設の開発が相次ぐ。郊外・都市近郊の広域型SC、アウトレットモールのほか、首都圏など大都市中心部での大型複合施設の開発が加速する。郊外SCを中心に、物販だけでなく「時間消費」機能を充実した施設が多い。新型コロナウイルスの影響が収まれば、人の流れが変わり、活気が生まれそうだ。
百貨店の構造改革が一段と加速している。百貨店事業は以前からの高コスト・低収益に加え、コロナ下で大幅な減収を強いられており、事業ポートフォリオの見直しに直面している。百貨店が核であることに変わりないが、従来の不動産事業の帆か、新たな収益の柱として新規・成長事業の育成に力を入れる。
社員の素顔を紹介する動画をユーチューブで発信することで、顧客との接点を増やしファンをつくる取り組みがある。三越伊勢丹では紙のダイレクトメールをやめ、インスタグラムを使ったライブ配信を始めた。顧客との直接つながりができ、ユーチューブの取り組みはその延長線上にある。バイヤーやオンラインサイトのディレクターの仕事に加え、オフの銭湯やゴルフの打ちっぱなしに密着し本人の素顔を映し出している。
障害や病気がある子ども向けの服や肌着が多様化している。かわいらしいデザインのものや幅広いサイズ、手頃な値段の商品も登場。保護者が商品開発に携わり、着替えやすい工夫が施されているものも好評だ。
繊研新聞社が推定した20年の日本の衣料品消費市場の規模は、金額、数量ともに前年比2ケタ減となった。3月から新型コロナウイルスの感染が拡大し、緊急事態宣言の発出以降は多くのファッション小売りが店舗休業を強いられ、営業再開後の6月以降も時短営業や外出自粛が続いたことが響いた。金額ベースの市場規模は、8兆3451億円で前年比13.7%減少した。過去20年間で最大の減少幅となった。
SCが従来の物販とは異なる新業態テナントを導入する動きが加速している。OMO型店舗やワーキングスペースも兼ねたラウンジなどで、コロナ下の商環境や消費者の生活様式とニーズの変化を踏まえた対応。ECが拡大し、SCにリアルな場としての価値がますます求められる中で、各施設は従来の商業以外の新たな機能を取り入れ、コロナ禍後も見据えた新しいビジネスモデルの確立を目指す。
流通産業の役割とはモノやサービスを誰もが享受できる経済の「民主化」であり、豊かな社会の実現だ。過去50年を振り返ると、そのために低価格、便利さ、楽しさを提供しようと企業は合併したり、吸収したり、再編成を繰り返してきた。そして今は時代の激変期を迎えている。人口減少、デジタル化、環境問題への対応、そして新型コロナウイルスの感染拡大に伴う人々の行動の変化。再編は変転しながら続いてゆく。
海外では、実店舗とネットとの融合に向けた大型M&Aが進んでいる。韓国では今夏、実店舗主体の新世界グループが、EC3位のイーベイコリアを買収。販売が低迷するリアル小売りが、EC大手の買収で活路を見いだそうとする動きだ。中国や米国では、アリババ集団やアマゾンがEC側から実店舗の展開に力を入れている。
自社ECと連動したOMO型ストアの出店が増えている。ECと連動した様々なサービスは、顧客の購買の選択肢を増やし、ブランドとの接点を拡大しつつある。先だって出店したららぽーとクローゼット、ドットエスティストア、オンワード・クローゼットストア/セレクトの3社の現状とこれからの展開について紹介している。
「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が22年4月から施行されるにあたり、削減すべき「プラ製品12品目」が発表された。年間5トン以上扱う事業者は義務付けられ、有料化や代替素材への転換が求められる。クリーニング店で使用するハンガー、埃除けカバーも含まれる。
日本クリーニング用洗剤同業会が発表した21年上期出荷実績によると、タイプ別出荷状況は、ドライ用洗剤は前年比89.2%、55t減。ランドリー分野も前年比77.6%、26t減。一方、液体洗剤は前年比101.7%、94t増で、要因としては粉末からの移行、液体洗剤を使用する施設・コインランドリーの出荷量に影響が少なかったと推定。
クリーニングのトラブルとして、ハイブランドのラベルに安全ピン、ホチキスなどでタグ付けをし、それを外すときにほつれが生じ、8万円もの高額弁償になるケースも少なくない。回避策の一例として、ラベルにタグ付けするときには、縫い代に安全ピンを通し、そこにつけた方がよいとのこと。
経産省の生産動態統計(旧機械統計)より、コインランドリーを含む業務用洗濯機の7月の販売台数は前年同月比14.8%増、金額は13.0%増となり、数量は5か月連続、金額も3か月連続の増加となった。
プラスチックハンガーと異なり再利用が難しい包装フィルムの代替として、環境面にも配慮した「ECOマント」は、面ファスナーでスーツ3着まで包装できる。
クリーニング後に、ジャケットの皮革のパーツに色違いが生じた例をもとに、天然皮革製品の特有の変化について紹介している。天然皮革は均一に染色することができないこと、パーツごとに色の変化がクリーニングによって顕在化する可能性があることなどを利用者に伝え、了承を得たうえで処理することが大切とのこと。このほか天然皮革の染色について解説している。
厚労省は、生活衛生関係業の生産性向上を図るためのガイドライン・マニュアル策定の一環として、業種別に映像制作に着手。クリーニング業編では、NPO法人日本繊維商品めんてなんす研究会が担当。店舗・工場の営業時間、定休日の見直し、キャッシュレス化の促進、ビジネス衣料以外の取扱い幅の拡充、しみ抜きなどの専門性のアピール、顧客にとって価値の高いサービスの創生などを挙げている。
ウエスト部に取り付けた皮革パーツから移染が生じたジーンズの事例をもとに、取り扱い表示について改めて注意を提言。この皮革パーツはインディゴ染色されているにもかかわらず「30℃洗濯機洗い、酸素漂白可」となっているため、皮革製品使用品に対して明らかに表示の誤りとみられ、再発防止には、ルールを守る義務、専門知識の習得が欠かせないとのこと。
全国クリーニング協議会は10月13日、「第30回環境保全全国大会」を開催。①土壌汚染対策コストの縮減、②ソルカン365溶剤の現状と今、③ポリ包装資材削減に係る経緯、④環境保全アンケートの4部構成。②は、フッ素系HCFC-141bの代替溶剤、かつ法規制非該当としてソルカン機溶剤365mfcが導入されているが、COP26の行く末により使用年数等が短縮する可能性もある。そのような中、次世代フッ素系溶剤としてHFO123Z溶剤も導入する企業もあるとのこと。
8月20日「サステナブルファッションの推進に向けた関係省庁連携会議」を発足。サステナブルファッションとは、衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスで将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組み。「ファッション業界が世界第2位の環境汚染産業」という指摘や、日本国内での衣類の廃棄量が20年は年間51.2トンであることなどを受け、原料調達から製造、消費に係る3省庁が連携して対策を強化する。
国民生活センターは2020年度の越境消費者相談のまとめを公表した。相談件数は前年比23%減の4625件、電子商取引に関する内容が99%、衣料品の相談は7%増加し652件だった。トラブル内容で一番多かったのは解約の52.3%。決済手段はクレジットカード支払いが60%を占めている。相手方事業者が特定できたのは全体の65%、「アメリカ」が最多で「中国」「イギリス」「香港」と続き4つの国・地域で半数を占めた。
インターネットリサーチのネクサーによる「洋服のEC購入」に関する調査の結果、店舗が38.5%、ECが21.1%であった。コロナ禍においてECを利用するケースが増加しているが、消費者はそれぞれのメリット、デメリットを理解し使い分けが目立つ。
環境に配慮した「サステナブルファッション」に関心をもってもらおうと、消費者庁は15日、SNSを使ったリレー方式の呼びかけを始めた。多くの消費者や事業者に輪を広げ、環境に優しい行動につなげる狙いだ。ハッシュタグをつけて「#サステナブルファッション宣言」とし、「1着を長く着る」などの宣言を投稿、次に投稿する人を指名する。指名された人以外も「自主宣言」として参加できる。
SHIBUYA109ラボが15~24歳対象ウェブアンケートの結果を発表。服装のコーディネートは遊びに行く場所や遊ぶ場所に合わせるとの回答が全体の6割。購入ポイントは「価格」より「デザイン」優勢であった。またファッションに関する情報収集の手段はインスタグラムが全体の83%を占め他を圧倒した。
スーツやシャツ以外でも受注生産・販売が広がってきた。環境意識の高まりから「無駄なモノつくらない」に共感する人が増加。芸能人自ら受注生産のアパレルブランドを立ち上げ、服の廃棄や低賃金問題を解りやすくユーチューブで説明し、コートなど5アイテムが2分で予約完売した。受注会を開き必要な分だけ仕入れるセレクトショップや三菱商事ファッションが完全受注生産のブランドを立ち上げた例もある。消費者の意識や消費行動の変化につれ売り方も変化していくだろう。
オーガニックコットンブランドが実施した調査によると、オーガニックコットンの認知度は7割であった。調査は8/31~9/7にインターネットで行い、全国の男女600人から回答を得た。知っていると回答の416人のうち、生産方法や基準を知っている人は16%。魅力は1位「肌に優しい」、2位「地球環境に良い」、3位「着心地が良い」。所持者は31%でトップスやアンダーウエアなどが上位。購入時に7割が社会問題を意識している。SDGsの「つくる責任つかう責任」は半数が意識していることがわかった。
クロスマーケティングが実施した調査では、外出自粛やリモートワークの普及でファッションアイテムの買い方、選び方がカジュアル化していることが分かった。服やファッションアイテムの購入で想定している使用シーンは「家の中で日常的に着るもの」が44.6%、「近所にちょっと外出するとき」29.1%だった。「この1年で以前よりもお金をかけるようになったアイテム」はシャツ・カットソー製品21.2%、動きやすい靴12.4%、ボトム8.1%、下着8.0%と続く。
人権問題や環境に配慮して商品を購入する「エシカル消費」について、過半数が関心をもっているものの、取り組みづらいと感じる理由として3割強が価格の高さなどを挙げているとの調査結果を、日本生活協同組合連合会が発表した。調査は21年7月、全国の生協組合員対象に実施。有効回答は5879名。
21年1月~8月に国内で発覚したクレジットカード情報流出件数が約19万件、前年同期比で約10倍に増えたことが不正検知サービス企業の調査でわかった。企業数は前年の2倍の46社。ECを手掛ける中小企業被害が増加。サイバー攻撃が多く、利用者が本物の決済画面で入力した情報を抜き取る「ペイメントアプリの改ざん」の手口が流行している。セキュリティが厳重な大手企業では通用しないが、中小企業には通用する場合もあるため狙われやすくなっている。
古着がさらに広がりそうだ。「人と被らない」ファッションとして若者に支持されるとともに、90年代に古着を楽しんでいた大人も古着店を訪れるケースが目立つ。サステナビリティに対する関心が高まった点も、古着にとって追い風。古着が主力の有力店は、出店などの戦略を強化している。
新型コロナで支出などを我慢していた反動でお金をつかう「リベンジ消費」が、緊急事態宣言の解除を受けて本格化する機運も高まっている。日経MJの消費調査で「リベンジ消費」としてお金を使いたいもの(複数回答)として最も多い回答は「旅行などレジャー関連」43.3%、「外食(デリバリー含む)」24.8%の順で、「衣料などファッション関連」は12.0%だった。緊急事態宣言の解除を受けて、外出や観光への関心が高まることで衣料品など関連分野にも消費が広がる可能性がある。
コロナ禍での消費の動きを地域別にみると、近畿の回復が鈍く、中部が好調なことが三井住友カードのクレジットカードデータ分析「カステラトレンド」でわかった。同社は「中部は感染者数が関東や近畿よりも比較的少なかったことや、自家用車により消費が多いとみられることが早期回復の一因と考えられる」という。
夫婦共働きの世帯は、1990年代に専業主婦世帯を上回り、今では2倍以上の差になった。この20年間で、雇用の流動化も進んだ。非正規雇用者も増え、総務省の労働力調査によると、昨年の雇用者に占める割合は男性22.1%、女性で54.4%。一方、コロナ禍で非正規雇用者は減少に転じており、雇用の調整弁として不安定な環境が顕在化した。
美容・健康に関わるヘルスケア分野は、繊維の機能性を生かせる領域である。ゼラチン繊維基材を用いた細胞培養基材や、スパンデックスより高伸張・回復性があり劣化が少ないコンプレッションウェア素材、水と結びつきやすく肌の保湿性を謳った素材などを紹介する。
20年に制定された「繊維製品の接触冷感性評価方法」の原理、官能試験冷温感申告値とqmaxの妥当性、素材別測定例、および接触冷感性基準値についても言及し、今後の課題と展望について述べている。
練り込まれたマイクロカプセルが暑い時には固体から液体に変化して熱を吸収、寒い時には液体から固体になって熱を放出する。これにより暑くなると肌を冷まし、寒くなれば温める。寒暖の差が大きくなる季節を捉える商品として売り込む。
ボディグラムジャパンは、人工知能(AI)身体計測テクノロジーを搭載したアプリ「ボディグラム」に姿勢分析機能を追加した。頭、首、肩、腰、骨盤の5か所を基準に体の前後・左右の傾きの確認が可能で、スマホ首や在宅勤務による姿勢悪化をチェックできる。計測方法は、従来のボディグラムアプリと同様、スマートフォンで撮影した写真2枚と基礎情報の入力だけで完了する。
グンゼは機能性とデザイン性の両立を目指した生理日の為の吸水ショーツとハーフトップブラを開発した。「トゥシェ チェリッシュムーン」ブランドで展開する。チクチク感やほつれがない「カットオフ」やシームレス仕上げなど、培ってきた独自技術を活用。吸水ショーツのマチは、ボンディングした多層構造の吸収体を含め、トータル8層の生地を使用、約50mlの吸収力を持つ。
不織布マスクの中層に用いられるエレクトレットフィルタは、静電気捕集効果により高補集で低圧力損失という優れた特性を示し、息苦しくなく快適なマスクを提供する。エレクトレットマスクの原理、生成法、塵埃付着性などについて解説する。
ワコールは、がん研究会有明病院と「乳房再建手術」に関する共同研究を開始した。ワコールの3D計測を活用しサージカルブラを製作する。手術時は、医療スタッフがこのサージカルブラを見ながら、ブラジャー着用状態の乳房をイメージしながら手術を行う。これにより満足度の高い手術と術後生活の向上を目指す。
丸編み地縫製の丸和繊維工業は、快適な着心地を生み出す「動体設計」を用いて製作したセーターを販売する。動体設計はヌード寸との差が小さくても体の動きを妨げず、きれいなシルエットを表現できる。この設計を基に、東洋紡糸工業のベビーカシミヤ糸を、島精機製作所の「ホールガーメント」横編み機で編成する。ベビーカシミヤ糸は風合いや肌触りなどの特徴を持っている。製品は必要な分量の糸だけで編み上げるため、資源が無駄にならず、環境にも優しい。
体温調節系の働きの主な目的は、環境温の変化と運動に対して体温を一定に保つことである。行動性体温調節、自律性体温調節、およびフィードフォワード調節などの体温調節制御機構について概説する。暑熱環境下での運動と体温調節、暑熱順化、および様々な身体冷却法について紹介している。
快適繊維として、エチレン-ビニルアルコール共重合体を鞘部に、ポリエチレンを芯部にした接触冷感繊維、生体適合性を有する素材を使用した低刺激性である接触冷感繊維を紹介する。さらに、湿潤時を含む高い防透け性、高いUVカット性・光遮熱性繊維についても紹介する。
旭化成は、履いた時だけではなく持続的に涼しいパンティストッキングとするために、伝導・対流による放熱を効率よく行う繊度と編み設計とし、高い吸放湿性で蒸発による熱放散を促し、動いても発熱しにくい加工を合わせた素材を開発した。そのメカニズムを、コンピュータ支援による工業解析技術により確認した。
バストは重力により、たわむように変形し、上部の皮膚が伸ばされるという負荷を受けている。ワコールは、カップ内部に中央付近が本体と分離するシートを持つ構造にすることで、立位時は自然なバスト形状に整え、前屈時はバスト形状変化を抑制し、重力の影響を軽減することを可能にした。
主婦連合衣料部は、乳児・子供服の安全性について検査した。「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」で規制されているホルムアルデヒド、特定芳香族アミンについて試買した24点全てがクリアしたが、「エコテックススタンダード100」による検査では4点が基準をクリアしなかった。検査はニッセンケン品質評価センターに依頼した。
江戸時代の近江商人が大事にした売り手だけでなく、買い手も世間の利益に配慮する「三方よし」の精神はSDGsに通じる考え方だ。関西で「三方よし」の精神を今も大事にしている企業のひとつ、着物などを扱う専門商社ツカキグループは専属契約している織屋に高価な西陣織の織機を貸出すことで織屋を支え、買い手に高品質な商品を届け、伝統産業を保護することで地域の利益にも貢献している。
①22年1月7日(金)10:00~、8日(土)12:00~②オンライン開催(Zoom)③講演「両親水性ブロック共重合体の集積による水性秩序構造形成」大分大学 理工学部 檜垣勇次氏、「産業用酵素を応用したセルロースナノファイバーの調製と改質」愛媛大学 秀野晃大氏、学生口頭発表④物理化学インターカレッジ、共催 日本油化学会、日本薬学会九州支部 mouri@che.kyutech.ac.jp
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:島崎恒藏/発行人:亀井良彦