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行 政 ★経産省、繊維産業小委員会第1回会議
規格関連 ★新型コロナでJIS開発
素 材 ★PETを常温で原料モノマーに
加 工 ★抗ウイルス加工の新技術
アパレル ★欧米ブランドがアウトドアスポーツ市場に参入
流 通 ★大手百貨店、社会課題の解決と成長の両立を目指す
クリーニング ★2021年コロナ禍におけるク業界の反転攻勢
消 費 ★Z世代のファッション事情
健康・快適性 ★生体情報計測スマートテキスタイルの動向と将来予測
その他 ★衣料管理協会、50周年式典と講演会開催
経済産業省と国土交通省は21年10月に合同で開設した新しい物流の仕組み構築を目指す有識者会議「フィジカルインターネット実現会議」の分科会として「スーパーマーケット等のワーキンググループ」を立ち上げる。学識者のほか、物流部門の責任者などが委員として参加し、21年11月から22年3月末までに会議を開き、インターネット通販の考え方を物流適用するフィジカルインターネットの実現に向けて、消費財サプライチェーンでの30年までのアクションプランを21年度内に実現する。事務局は商務・サービスグループ消費・流通政策課が担当する。
新型コロナウイルス禍でインターネット通販の利用が広がっている。国内の普及率は21年6月時点で51.3%となり半数を超える人が利用する。内閣府は今の勢いが続けば24年にも米欧並みの8割に達すると試算する。コロナ禍で外出自粛を余儀なくされ、対面での消費を避ける人がネット通販に流れたとみる。経済産業省の調査によれば、20年の物販消費額は前年比21.7%増の12兆2333億円。家電や衣類、食品といった品目が多くを占め、旅行などのサービス消費が4割近く減ったのとは対照的。
日銀の企業物価指数21年10月は前年同月比で8.0%上昇した。伸び率は石油ショックが尾を引いていた81年1月(8.1%上昇)以来、約40年ぶりの大きさだ。原油価格の上昇や円安で、エネルギーや原材料などの輸入品の価格上昇が加速。需要回復が鈍い中のコスト高で企業収益が圧迫されるおそれが出ている。
経済産業省は、21年11月22日産業構造審議会に新設した「繊維産業小委員会」の第1回会議を開催、22年3月までに6回開き、07年以来の30年に向けた繊維産業のビジョンを策定する予定。
経済産業省は閣議決定した21年度補正予算案で、5兆4290億円を計上した。繊維・ファッション業界を含めた中小企業対策ではコロナ禍で影響を受けた事業者支援策として、中堅・中小・小規模事業者向けの「事業復活支援金」を新設し、2兆8032億円を計上した。支給額の上限は21年11月〜22年3月のいずれかの月の売上高が基準期間同月比50%以上減少した個人事業主、法人が対象。
消費者庁は21年11月、デジタルプラットフォーム(DPF)に関する消費者保護法の運用、官民協議会発足に向けた準備会を立ち上げた。22年5月施行されるのは「取引DPFを利用する消費者の利益の保護に関する法律」。また、特定DPFは国内売上高3000億円以上のオンラインモール、同2000億円以上のアプリストアが対象。商品の安全性に関する記載に虚偽がある場合販売停止の権限や、一定額以上の損害賠償の際に出品事業者の開示請求権を規定、苦情申し出に対する体制整備確保も求める内容になる。
経済産業省と国土交通省は21年10月に合同で開設した物流に関する有識者会議「フィジカルインターネット実現会議」の分科会として「百貨店ワーキンググループ」を新設した。スーパー業界に続く2つ目で、21年度内に計5回前後の会議を行い、フィジカルインターネットの実現ための30年までのアクションプランを策定する。事務局は商務・サービスグループ消費・流通政策課が担当。
我が国における商標登録出願の件数が年々増加しており、事業者の商標への関心が高まっている。商標登録出願に関する一連の手続きを説明、理解を深める目的で連載。
経済産業省は21年6月に発足した「非財務情報の開示指針研究会」の中間報告書を公表した。その中で、企業の「持続的な価値創造」を投資家などに伝達するサステイナビリティ関連情報開示を実現するため、「情報の作成や利用者が意識する必要があるポイント」を4つの提言にまとめた。
経済産業省と日本繊維産業連盟を共同事務局とし、繊維・アパレル関連団体で構成する「繊維産業技能講習事業協議会」の第10回会議が21年12月20日に開かれ、外国人技能実習事業に関する各団体の取り組み状況のフォローアップ、今後の取り組みについての意見交換を行った。経産省からは法令違反撲滅の徹底が求められた。期間無期限に働ける「特定2号」の繊維・ファッション業界への追加には見通しがつかないとされた。
経済産業省は21年11、12月に開いた有識者会議「ファッション未来研究会」での討議を踏まえ、ファッション・クリエイション振興策を始める。デザイナーやクリエイターが自身の作品をNFT(非代替トークン)を活用して販売する実証実験を開始するほか、今年度補正予算で海外で活用するクリエイターと産地などの中小事業者の協業商品を海外に発信する事業を新設した。
経済産業省は、閣議決定した22年度当初予算案で、総額1兆2257億円を計上、20年度の総額に比べ減ったものの、一般会計は3535億円と当初予算額が3517億円から若干増えた。繊維・ファッション業界を含めた中小企業対策費は21年度並みを維持した。新規事業としては、複数の中小企業などの連携による「新たな付加価値創造」を図る製品、サービス開発や事業再構築への取り組みを支援する。
繊維関連の標準規格作成を担う繊維評価技術協議会は、22年度の標準化開発事業の候補として抗新型コロナウイルス性試験方法の日本産業規格(JIS)開発を上げた。既にJISと国際標準規格(ISO)に採用されている抗ウイルス性試験方法をベースに開発を進める。ただ、新型コロナウイルスを取り扱うためには現行の抗ウイルス試験よりも試験室のバイオセーフティーレベルを引き上げる必要がある。このため実際に試験を担う検査機関などとも協議しながら、JIS開発の検討を慎重に進める。
経産省は21年12月3日、国際標準化機構(ISO)による繊維の一般名称に係る国際規格(ISO2076)の改訂版(21年11月1日発行)について発表した。従来は天然由来のたんぱく質だけが"たんぱく質"と定義されていたが、人工的に作られたたんぱく質も対象になることになった。繊維中のたんぱく質成分の含有量に関する規定はなかったが、改定版では重量ベースで80%以上であることが定められた。
KBセーレンは、再生ポリエステル糸の販売を本格的に始める。現在は備蓄する品種の選定を進めている段階で、細繊度のナマ糸など差別化できる品種を中心に品ぞろえする。ペットボトルからの再生ポリエステル糸は、リサイクルチップの品質にばらつきがあったため、これまで生地展開が中心であった。チップの品質が安定するとともに、サステイナブル素材への要求が急速に高まっていることから、糸販売を始めることとした。
日本化学繊維協会は50年のカーボンニュートラル実現へ向けた取り組みをまとめた。国内化繊産業の直近の二酸化炭素排出量は年147万トンで、大半を占める自家発電の低炭素化や脱炭素化を進め、リサイクルやバイオマス繊維の普及、繊維to繊維リサイクル推進に取り組む。
三菱ケミカルは国内の廃棄漁網をリサイクルしたナイロン糸「キラビスRC」を開発し、量産体制を整えた。リサイクル事業を行うリファインバースの再生ナイロン樹脂「リアミド」を一部使用し、同社の特殊紡糸技術を生かした。原着糸のためテキスタイル工程での染色が不要で排水を出さず、水・電気などのエネルギーなども削減する。優れた摩擦堅牢度を持ち、長繊維による糸ごみや遊び毛の発生も抑えられる。
従来は廃棄されるか、市場に限りがあった植物を繊維原料として活用する取り組みへの注目が高まっている。いわゆる新植物原料¢@維が新たなトレンドに浮上する可能性が出てきた。バナナ、パイナップル、竹、月桃、ヘンプ、ケナフ、カポックなどの繊維質を糸・生地に活用する取り組み。背景にあるのがサステイナブル素材に対する世界的な需要の高まりが追い風となっている。
ミシン糸、ニット糸の三山が来年に、サトウキビ由来で生分解性のポリ乳酸(PLA)樹脂から作った衣料用のフィラメント糸の販売を始める。同社は今夏、PLAスパン糸を「リナチュール」の名称で発売しており、そこにフィラメント糸が加わる。フィラメント糸はまずPLA繊維100%で販売し、スポーツウエア、重衣料の裏地、靴下の裏糸などに使われるポリエステルを代替する用途を想定する。
「天然素材を循環させ持続可能な循環型社会をつくろう」という理念の下、繊維・ファッション業界の事業者が中心となって、「天然繊維循環国際協会(NICO)」を設立した。課題となっていた回収の仕組みを作るため事業者と自治体が連携することで、天然繊維をスムーズに分別・回収し、土に返す緑化活動が核となる。将来的にライフサイクルアセスメント(LCA)の国際認証機関を目指す。@生産・製造時の環境負荷を削減、A回収・分別、リサイクル・リユースの推進、B土から生まれたものを土に返す、C未利用天然資源の活用などに循環型社会の実現を目指して取り組む。
産業技術総合研究所は、常温でPETから原料モノマーのテレフタル酸ジメチル(DMT)を取り出す技術を開発した。従来の技術では200℃以上の高温が必要であったが、アルカリ触媒、炭酸ジメチル、メタノールを用いた方法により室温30分で90%以上の分解を実現した。DMTに加えて、電池材料として利用可能な炭酸エチレンも高収率で得ることができる。
東レは髪の毛やウールの構造を再現したポリエステル長繊維テキスタイル「Qticle(キューティクル)」を開発した。複合紡糸技術ナノデザインを用い、偏心サイドバイサイド構造の2成分PETで構成し、潜在捲縮を生み出す。表面はアルカリ処理によりスケールのような微細な凹凸を発現させた。優れたストレッチ性や反発感があり、イージーケア性を持つほか、撥水・吸水加工も高い性能を出すことができる。
住友商事子会社のトムラ・ジャパンは、自社の飲料容器自動回収装置(RVM)を活用したリサイクルペレットを「ボトリウム」としてブランド化し、高品質のポリエステル長繊維用に拡販する。RVMによりボトルを圧縮・減容することにより高効率回収が可能で、輸送時のCO2排出も抑えられる。長繊維用ペレットを手掛けるリサイクラーと組み、再生ペレットの製造工程でも環境負荷を抑えた。
帝人フロンティアは吸湿により通気性が高まるニット「ファイバライブAC」を開発した。乾燥時は通気量が50cc以下の防風性を持つ。運動時など汗で濡れると編目が開き乾燥時の2倍以上の通気量で、衣服の蒸れ感を抑制する。吸湿性の高いナイロンと疎水性のポリエステルを貼り合わせたサイドバイサイド原糸を細径の捲縮糸で包んだ。汗など水に濡れるとポリマーが伸びて生地の目が開く。
日本エクスラン工業は、自社工場で発生する廃棄アクリルのリサイクルを始める。年間に約100トン生じる廃棄アクリルを重合して紡糸する。再生アクリルは「アクリケア」の名称で販売する。機能性アクリルやアクリレート繊維も生産できるという。再生アクリルは3.3デシテックスのわたの生産が中心になるが、「2.2デシテックスクラスのわたも製造できる」とし、品質面にも問題はない。
縫製の東和は自社で開発した熱水で溶ける溶融糸「アメルティス」を使い羽毛製品のリサイクルシステムを確立。水溶性ビニロンを使い、熱水で溶融する縫い糸を溶かすことなく低温で染色する技術を開発した。従来のスパン縫い糸と同等の性能がありつつ、95度の熱水に30分つけることで縫い糸が溶ける。この縫い糸で縫製することで、回収したダウンジャケットを熱水で分解しダウンを取り出し乾燥、再び製品に使用することが容易になる。
東洋紡はサントリーグループ、米国のバイオ科学ベンチャー企業・アネロテックが共同開発した植物由来原料を100%使用するペットボトルの試作にあたり、原料となる100%バイオPETの重合に成功した。エチレングリコールを植物由来原料で生成したPETボトルは既に実用化されているが、もう一つのテレフタル酸の粗原料であるパラキシレンを非可食のウッドチップから生成できるようになった。
「日本の繊維を元気にする」というスローガンの下、85の繊維製造中小企業が結集し、「STジャパン(サステイナブル・テキスタイル・マニュファクチャーズ・ジャパン)」が本格始動した。都内で12月22日、設立イベントを開き、オンライン含め約50人が参加した。地域や業種の垣根を越えて連携し、環境と社会に調和する持続可能な産業を目指す。
プリント加工の浜田染工は、サステナビリティを視点にした商品開発に力を入れる。来春夏向けでは草木染めによるオートスクリーンプリントを新たに打ち出す。キトサンを主原料とする天然由来のバインダーに草木染料を入れてプリントするもので、特許を出願中。まずは安定して供給できる20色からスタートし、オーガニック綿やリサイクルポリエステルの生地と組み合わせて提案していく。
日華化学は、大幅な性能向上とともにさまざまな素材に対して高い耐洗濯性を実現した新しい抗ウイルス加工処方を開発した。新たに開発した抗ウイルス加工処方は@さまざまな素材でISO/JIS基準の耐洗濯性をクリア、A安全性が高く、皮膚刺激性は従来技術の約5分の1、B従来技術に比べて約7倍の抗ウイルス性、C染色加工場の排水処理負荷を低減、などの特徴を持つ。
シキボウは抗ウイルス加工「フルテクト」が抗ウイルス性に加えて抗菌防臭性と制菌機能も併せ持つことを改めて打ち出す。近年、消費者の間で衛生加工全体への関心が高まる中、複数の機能を持つマルチ機能加工への引き合いも増えている。こうした動きに対応するため、フルテクトも抗ウイルス性に加えて抗菌防臭、制菌の機能を併せ持つことを訴求する。SEKマークも3種類を併せて添付できることを打ち出した。
デサントジャパンは、ライフスタイルアクセントが手掛けるファッションブランド「ファクトリエ」と協業し、蒸れにくい通勤用ウールコートを開発した。コートの脇部分に細かい穴を開け通気性を高めた。両者の共同開発商品は今回が第3弾。生地は独自技術で高密度に織り上げたウールを採用しているが、ウール本来の機能である吸放湿性は維持。さらにレーザーで脇部に細かい穴を開けることで、蒸れにくさを実現した。
ジャパンサステイナブルファッションアライアンスは11月に第1回総会を開催、「2050年に向けて繊維・ファッション産業の構造転換を推進し、ファッションロスゼロとカーボンニュートラルを達成する」とした達成目標を確認した。サステイナブルの実現に向けて、企業や行政の取り組み、課題を共有する。業界を横断して解決策を導く企業連携のプラットフォームの活動が始動したことになる。
米国でサステイナブルな業態のIPO(株式上場)が注目されている。コロナ禍による外出自粛期間に大きく伸びたオンラインによる中古品販売のスレッドアップや、一時は会員が大きく減少したが消費回復とともに復調したレンタルのレント・ザ・ランウェイなどだ。コロナ禍を経て消費者は、中古品の売買やレンタルなど循環経済、環境配慮のサステイナビリティに大きな関心を寄せている。
有力ショップに聞いた22年春夏の発注状況は、鮮やかな色や柄をふんだんに使った「カラーセレブレーション」と装飾の足し引きがポイントになる「ニューミニマリズム」がトレンドテーマとして支持された。閉塞感のある毎日から解放され、着飾ること、おしゃれを楽しむことへのポジティブな期待が込められている。保守的になりすぎないアイテム構成がカギとなった。
百貨店婦人キャリアのコート販売は、数量、金額ベースともに前年比2ケタ増で、復調傾向が鮮明となった。緊急事態宣言の解除で通勤やイベントなど外出機会が増え、実需品の売れ行きが21年10月から急拡大した。今コート商戦の最大の特徴はここ数年不振が続いていたウール系の動きが良いことである。コート販売に占めるウール系の比率は6〜7割に達した。非ウールはダウンの動きが良い。
ユニクロ吉祥寺店は地域活動の一環として、高齢者向け賃貸マンションでの訪問販売を行った。このマンションは健康寿命を延ばす支援をするサービス付き高齢者住宅で、運動プログラムやコミュニティー作りに取り組んでいる。
スクールユニフォーム大手3社のトンボ、管公学生服、明石スクールユニフォームカンパニーの直近の決算は、決算期変更のため売上高非公表の明石スクールユニフォームカンパニーを除く2社がともに過去最高の売上高で、増収増益となった。新型コロナ感染拡大2年目に入った反動要因のほか、LGBTQ(性的少数者)対応への意識の高い学校によるモデルチェンジ案件が順調に増加。詰襟・セーラー服から、ブレザーへも切り替えが加速している。またコロナ下で、AIによる自動採寸システムの効果で、効率化とコスト削減も進んでいる。
コロナ禍は人々の消費行動や意識に大きな影響を与えた。物作りの仕組みも変わりつつある中、副資材各社も様々な新規事業へと乗り出している。特にデジタル化、サステイナブルや製品まで見据えた取り組みが活発になっている。副資材卸の各社では、注文をネットで行えるBtoBサイトの運営が活発になってきた。業界としてデジタル化が進んできたほか、DtoCブランドなどロットが小さい新興企業との親和性も高く、今後も着実に利用が広がりそうだ。
青山商事は、ボタンに近距離無線通信(NFC)タグを内蔵した「ジタンスーツ」を開発した。ボタンにスマートフォンをかざすだけで登録したアプリが起動できる。紳士と婦人の両方で開発した。紳士はジャケットの前ボタンと左右の袖ボタンの合計三つ、婦人はジャケットの前ボタンと裏地の織ネームの合計二つにNFCタグを内蔵。それぞれのボタンにスマートフォン決済、音楽再生、会員制交流サイト(SNS)などのアプリの登録ができる。
奈良の中堅靴下メーカーが、地元で店舗を開設する動きが相次いでいる。単なる物販にとどまらず、編機やワークショップの設置、パネルや動画を活用した靴下産業の歴史や物作りにかける思いのアピールなど、地域社会に根付いたDtoCブランドの情報発信拠点を目指す。
ワールドやTSIHDなどアパレル大手が国内への生産回帰を進める。円安や現地の人件費上昇で海外コスト負担が増している。新型コロナウイルス禍で物流混乱も収束が見えず、国内生産を増やし商品を安定調達できるようにする。中国や東南アジア中心のアパレル生産網に変化が出てきた。
欧米ブランドでアウトドアスポーツ市場への参入が相次いでいる。元々デザイナーズブランドだったり、テーラーリングを得意とするブランドだったりと様々だが、世界的なアウトドアスポーツ需要の高まりが背景にある。
レディス専門店向けアパレルメーカーが、適時適品の店頭投入やシーズンレス企画の強化に乗り出している。在庫削減やプロパー販売を目指す取り組みだ。コロナ禍で先行き感の不透明さはあるものの、展示会ではバイヤーが増加し、消費者の購買への意欲も見え始めた。今後への期待感が高まる一方、より欲しい物だけを購入する消費傾向や廃棄削減への意識の高まりもあり、対応を強めるアパレルが増えてきた。
FBプロフェッショナルへの道は、業界知識の基礎講座を月2回、第2、第4金曜日に掲載。今回は、「日本のアパレル供給を支える国は?」をテーマに、どの国からどれだけ輸入しているのか、@アパレル輸入の規模推移、A国別のアパレル輸入(20)、B中国以外の輸入シェア、Cアイテム別の国別シェアをデータで示しており、中国一極集中からアジア諸国に生産が徐々にシフトされている現状が理解できる。
米国で「ウイグル強制労働防止法」が成立した。人権問題をめぐる米国の姿勢や国際的関心が高まる中、日本企業も対応を迫られる。素材工場と縫製工場に人権問題がないことを自社と第三者の監査で確認済としているユニクロでは、今後は農家も自社調査の対象にする方針で、「人権を尊重することは経営の最重要課題」としている。経団連の戸倉会長は「影響を注意しなければならない。各企業は経済安全保障の中には人権も入ってくるという意識で取り組む必要がある」とした。
長期化したコロナ禍は企業の事業環境や消費者の生活様式を大きく変え、多くのビジネスにとって逆風が吹いた。インバウンド消費が壊滅した「越境EC」もその一つだ。しかし、コロナ禍の逆境が追い風となり、足元では成長を続けている。世界的に外出が制限されたことでECの利用者が増え、"ウェブインバウンド"が活発になったからだ。
百貨店の22年福袋は新型コロナウイルスの感染拡大で控えていた体験型や人と人の関係性を大切にする絆消費に対応する一方で、癒しやテレワーク、家ナカ時間の充実など新しい暮らし方の提案を強める。前年に引き続き、店頭での混雑回避のため、ECへの移行で商戦を分散化する。
コロナ下も地方の個店では事業の新しい芽が育っている。オーナーの情熱を原動力に始めた飲食事業などの新たな挑戦が成果を上げ、外部出店や卸先の拡大など次のステージに向け歩み始めた。本業のファッションとは別の接点を設けることで、地元はもちろん、広域から新規客を呼び込み、既存の店舗にも相乗効果を生み出している。
ECと実店舗が相互補完し、顧客との関係を強めるOMO(オンラインとオフラインの融合)型ストアの出店が増えている。在庫連携で販売機会損失を縮小し、試着予約などでEC購入の障壁を下げ、クロスコーディネートやライブコマースなど店舗の情報発信をネット上で向上させるなど、実店舗の新しい可能性を生み出しつつある。もっとも、各企業の取り組みも実証実験の段階。得られるデータを読み込みながら、顧客体験の向上をにらむ。
中国で「独身の日」と呼ばれる11月11日、インターネット通販各社の値引きセールが最終日を迎えた。最大手のアリババ集団は恒例の取引総額の速報を見送り、環境や社会貢献など習近平政権が挙げる方針に沿った取り組みをアピールした。周政権がIT企業への統制を強める中、規模重視の商戦は様変わりした。
大手GMSの衣料品売り場で新たな改革が進んでいる。後退が続いていた中でのコロナ禍のダメージは大きく、売り場の見せ方を変え、環境保全の打ち出しを強めながら活性化する。好調な食品売り場までは来ている消費者を呼び込みたいところだ。
ファッション業界でレンタルを軸としたサブスクリプションサービスが相次いで開発されたが、クリーニングや物流機能のコストがかさみ、撤退した企業も多い。しかし、子供向けなど必要なものを必要な時に使いたいというニーズとは親和性があり、また、コロナ禍でも安定した収入が見込めるサービスとして改めて注目され、参入をもくろむ企業が増えている。
「FBプロフェッショナルへの道」では、過去10年の販路別市場規模の推移、低価格分野の販路別売上高、低価格分野のシェア、価格帯別市場規模と平均単価推移がデータとして記載され、この十年間の衣料消費市場の構造変化が理解できる。
コロナ下で地域社会でのSCの役割がさらに高まる中、地元の行政や学校などと連携した地域貢献策を強化する施設が一段と増えている。21年11月は地元の学校の生徒や学生による音楽コンクールなどのイベントを新たな仕組みで開催したSCが相次いだ。地域密着型SCとしての機能を発揮し、顧客作りにつなげるのが目的。いずれも好評で、成果を上げた。
大規模な還元キャンペーンやコロナ禍でのキャッシュレス決済へのニーズなどにより、数年で一気に広がったQRコード決済・バーコード決済。一方、足元では利用人数の伸びが鈍化し、一部サービスでは不具合も相次いでいる。日経MJの消費者や中小店を対象の調査でさらなる普及に向けた課題が浮かびあがってきた。
SCディベロッパーがコロナ下での環境変化に対応し、コロナ禍後を見据えた取り組みを加速した。リアルな場の存在価値が問われる中、客の来館動機を創出するため、生活スタイルやニーズに対応しながら、これまでSCにあまりなかった業態を導入する施設が相次いでいる。
キッチンカーとして飲食業態では定着している移動販売車両を、アパレルに活用する動きが広がっている。コロナ禍で外出を控える人が増え、商業施設の集客力が弱まる中、機動力や初期投資の低さを生かし、作り手自らが客先に赴くようになってきた。天候に左右されやすく、試着しにくいといった課題はあるものの、常設店とECをつなぐ新しい販売手法として注目される。
百貨店のEC売り上げがここ1〜2年で急拡大している。コロナ下での巣ごもり需要をはじめ、店頭の営業制限に伴うECサイトの拡充が支えた。20年度売上高は前年比6割増となり、21年度も引き続き2ケタの増収で、中期経営計画でもECを成長事業のひとつの柱と位置付けている。
大手百貨店で環境や社会の様々な課題解決への貢献と企業の成長の両立を目指すサステイナビリティ経営の取り組みが広がっている。従来の収益重視の短期視点から顧客生涯価値重視の長期視点へ経営の重点を転換する。脱炭素化の推進をはじめ、顧客、取引先、従業員、地域社会との共有価値の創造を通じて新たな事業機会を創出する。
米国はコロナ禍の流通網大混乱などの要因も加わり、大都市圏のCL店は大苦戦を強いられ40%近くが閉店した。また、米中貿易の摩擦により、米国は全鉄製品に30%の課税をしたため、針金ハンガー、ドライ機、水洗機、プレス機も値上げしており、以前には考えられない事態に陥っている。
22年に110周年を迎える老舗クリーニング店エンパイアーは、例年行ってきたデラックスの値引きを止めたにも関わらず、点数は前年比8〜10%増、売り上げは17.5%増となった。この背景には、クリーニング専用ムシューダ防虫カバーを採用し、顧客の役に立ちながら、1客1点あたりの単価を上げたことが挙げられる。
洗剤薬剤の粉末から液体への移行が進み、さらなる生産効率化に向け、洗剤薬剤を供給する自動投入装置も高い性能が要求されている。ラクナ油脂は、流量計搭載の業務用ランドリー供給システムに使える自動投入システム用の液体洗剤・助剤を開発した。これにより、従来は供給時にポンプを押す、供給用チューブの劣化により薬剤が正確に投入できないなどの課題があったが、流量計で計るため異常時はアラームが鳴り、チューブ交換のタイミングも把握できるという。
アクアは、寝具メーカー西川と「コインランドリーで洗える羽毛布団」を共同開発したことに伴い、コインランドリーで「布団を洗う」コースや機器の拡充に力を入れており、「敷布団専用のガス乾燥機」を発表した。ステンレス製で無数の穴が開いた山型の台車にセットし、熱風を敷布団中に通過させることで、効率よく短時間乾燥できる。台車の高さを106pに設定し、ユーザーの使いやすさにも配慮した。
インボイスとは請求書などに適用税率や消費税額等を明示し、税務署が新たに発行する登録番号を記載する適格請求書を示す。23年10月からの開始にあたり、クリーニング店がインボイスの発行事業者になるかの判断、免税事業者のままでいる場合に想定されるケース、客離れの影響が少ないかどうかの5つの判断ポイント等、詳細に解説されている。
令和3年度第1回クリーニング師資格のあり方に関する調査検討委員会が開催され、試験の運営をサポートしている都道府県組合に対し行った調査結果が報告された。試験の全国統一化に向けた進捗状況、スケジュールとして、22年7月頃、クリーンライフ協会が厚生労働大臣の指定する指定試験機関として、都道府県から試験事務の委託を受け、23年度中に試験の全国統一化を目標に進める。
販売市場272億円と試算される「ぬいぐるみ」を対象としたクリーニングメニューが、コロナ禍での収益向上、有望な市場として期待されている。クリーニングには特殊な技術を要せず、料金は大きさにより900〜5,000円の範囲が見込める。アレルゲンの問題から抗菌、防ダニ加工などのオプション需要も期待できる。受付時の商品チェックが一番大事である。
ツー・エム化成は、T/C混生地を制服、作業服に採用した企業から、洗濯、クリーニングを重ねるにつれ黒ずむ現象への対処を依頼されたことを受け、粉末と液体の洗剤「エバーホワイト」を開発した。低温から高温まで逆汚染が少なく、洗浄率も維持できる。T/C混の黒ずみ問題は大きな課題だっただけに、白さへのこだわりに応えることができる。
全国ふとんクリーニング協会(JAFCA)が消費者2000人に行った「枕・ふとんのお手入れに関するアンケート」調査の速報が発表された。8割の人は「枕を洗ったり、クリーニングに出したことはない」とのことだが、「家庭またはクリーニングで洗ってみたい」という回答が圧倒的多数であった。枕洗いにクリーニングを利用する際には、「料金」、「替えの枕がある」、「新品の枕購入後」などがポイント。
老朽化などより建て替えを余儀なくされているクリーニング店における大きな課題として、15年に改訂された建築基準法の用途規制により石油系ドライ機が置けないことがある。この課題を是正する目的で石油系ドライ機の後継候補の開発が進められており、次世代フッ素系溶剤(1233ZLIVE)を使用した小型機のモニターとして2年半使用した札幌市のクリーニング店の経験などが紹介されている。
21年に日本クリーニング新聞が取り上げた「クリーニング業界における新たな取り組み」のダイジェスト版。上半期は、若手経営者たちによる提案が多く紹介された。例えばクリーニングとコインランドリーにデリバリーを加えた進化型融合店、完全無人個別ロッカークリーニング店、全客対応ロボット受け渡し24時間無料サービスなど。また、ク業界は、メンズ、レディスの料金表しかないため、ジェンダーフリーの時代にどう対応するかなども掲載。下半期は、プラ資材循環法への対応としてハンガー、カバーに関する話題が多く、次世代への模索として無人店、まくら洗いなどの新市場開拓も紹介された。
生地を染め直したり、つなぎ合わせたりする古着の「アップサイクル」が注目されている。環境のサステイナビリティーの面だけでなく、1点物のアップサイクルはZ世代にとって「個性」という面で新鮮に映り支持され、リメーク専門店やブランド、百貨店などによりサービスが広がっている。コスパ志向の消費者と「着たい」と思われる衣料品の提供を求められる企業と環境の「三方良し」の実現が重要となる。
CCCマーケティング総合研究所は、このところ「ジェンダーニュートラル」が話題に上がる中、商品に関するジェンダー意識調査を実施した(男女16〜79歳:2061名対象)。ランドセルの多色展開、学校制服のジェンダーレス化、一部のアパレルブランドで男性と女性の洋服サイズの比較表を用意する店舗があるなど、消費の世界にもジェンダーレス化の動きが広がっている。
男性用スカートは1989年代以降ハイブランドが提案していたが定着していない。ジェンダーレスな表現は広がり、ハイブランドに限らず男性服、女性服といった概念の無い提案がされている。特別支援教育を研究している兵庫教育大大学院の小川准教授は「ボトモール」と名付け男女問わず履ける巻きスカート風の服を作った。スカート、パンツに続く第三の選択肢として広めようとしている。
21年7月まで経済産業省内で開かれた「百貨店研究会」の報告書には、他小売業界と比較し改革の遅れが指摘された。市場規模は91年の9兆7千億円をピークに減少傾向が続き、20年には4兆2千億円まで減少。86年男女雇用機会均等法により女性の社会進出が進み、アパレル・ファッションの需要拡大。03年まで婦人服だけで年間2兆円を販売。20年の衣料品売上は1兆1千4百億円、10年比で半減。「売れている物を積み上げ、どの百貨店も同じになった」と経営陣は語る。衣料品と共に百貨店は衰退したとみてとれる。
北半球で冬の需要期を迎える羊毛の国際価格の動きが膠着している。最大輸入国の中国で物流の混乱や電力不足の影響で一時羊毛加工工場の稼働が低下し、羊毛の調達が伸びなかった。半面、経済活動が正常化しつつある欧州の買い付けが増えている。今年は厳冬になるとの観測から、オーストラリアの農家が羊毛を売り急いでいないことも相場を支えている。
ネット広告に使われる誇大・虚偽表現への包囲網が狭まってきた。グーグル日本法人は21年10月、「ユーチューブ」で20年6月以降に規約違反で55万件の広告を削除したと公表した。ネット広告への苦情がテレビを超えて急増している。ネット広告への苦情が日本広告機構(JARO)に20年度は5,531件寄せられ、国民生活センターへのトラブル相談は20年度11万3,000件と最多を更新した。
繊研新聞は、繊維・ファッション企業を対象に「サステイナブルな調達に関するアンケート」を実施、回答は96社。SDGsに関連した経営方針・目標を定めている企業は78%、意識した活動を行う企業は96%だった。19年実施の結果はそれぞれ37%と70%で伸長。課題項目は「長時間労働」72%、「地球温暖化」70%、「児童労働」54%など。調達先への取組に関する方針では72社が「方針を有している」と回答。準拠を調達先に求めているのは54社。関心が強い企業のみ回答のため業界全体の動向が反映されていない。
繊維育英会は障害を持つ人や介護・介助に当たる人に、心弾むファッションや、ファッションの持つ力を実感でき楽しめる商品を提案するアパレルブランドをスタートする。@障害を持つ人が着用・着脱しやすい、A介護・補助する人が着用、脱衣させやすいにカテゴリー分けし、フルファスナー仕様やアタッチメント、マグネット式など工夫し作製。当事者にモニター調査などを行い、修正を加えながら商品化している。
ファッションレンタルサービス企業が21年11月4日〜7日、11月11日〜14日の8日間、都内豊洲、晴海エリアにおいて移動販売車でパーソナルスタイリング体験提供を実施。遠隔、または対面でプロのスタイリストが10分間無料で相談を受けた。コロナ禍における外出減少やテレワークの定着で、トレンドが解らない、新しい洋服の購入に積極的になれないなど悩みに対し移動販売の方法をとってパーソナルスタイリング体験を提供した。
Z世代(90年後半から00年代生まれ)のファッション事情に関する調査によると、「洋服はショッピングモールで買う」が最多だった。12〜25歳の男女233人にインターネット調査を21年10月8日〜17日に実施。購入先は「ショッピングモール」が87%、ファッションECサイト49%、ブランド公式ECサイト41%、海外ファッションECサイト32%、百貨店23%、路面店17%。購入金額は「月に5,000円」が66%で最多。SNSを活用し情報収集、「インスタグラム」利用は96%でインフルエンサーの投稿を参考にしている。
日本百貨店協会発表、全国百貨店(73社、189店)の21年11月売上高は、前年比8.1%増の4497憶円で2か月連続のプラスとなった。防寒アイテムが大きく伸ばし衣料品は10.4%増で2か月連続プラス、コート・セーターの動きが良く、マフラー・ストールなども動き良好。入店客数も全体で13%増となりオケージョンニーズが復調。
コロナ禍におけるファッションやインナーに対する消費者の意識変化。621人対象、11/27〜12/3にコロナ感染の拡大期と縮小期を分けwebアンケート調査を実施。ファッション全般に関して重視する点は、拡大期には着心地21%、快適さ15%、スタイル13%、縮小期には着心地16%、スタイル15%、デザイン14%と傾向が変化。一方インナーに関しては、拡大期が着心地21%、快適さ18%、スタイル15%、縮小期の着心地22%、快適さ20%、スタイル16%と大きな差がない。インナーは外出機会の増減で選ぶポイントに変化しないという結果が出た。
デサントジャパンのダウンウェアは、背面に取り付けたダウン部分の空気量を調節することで気温の変化に対応することができる。太陽光を熱に変換する蓄熱保温素材とリサイクルダウンを組み合わせて高い保温性を実現した。
レディスインナーメーカーのタカギは、保湿性を強調した新素材を使ったパジャマやインナーを打ち出す。海洋由来のコラーゲンペプチドを練り込んだレーヨン繊維「フィラゲン」を綿と複合し、保湿、消臭、紫外線カット、ソフトな肌触りなどを持っている。
スマートテキスタイルの製品開発に大きな影響を及ぼすウェアラブル型センサの開発動向から生体情報計測スマートテキスタイル分野の将来予測について、その原理を解説する。さらに、脈拍数、呼吸数、血圧や血糖値算出などへの応用について記述する。
快適性、機能性と、足元をきりりと見せるデザインを両立した婦人靴をデュプレックスとビブラムが共同で開発した。カウンター(かかと部分の芯地)とかかとのソール部分が一体となったゴム製ヒール(特許申請中)を使用しており、スニーカーのような履き心地である。
ウイルスを防ぐ機能については明確でない、またはほとんど効果の期待できないマスクが市場に溢れている。本稿では各種マスクフィルターの細菌、ウイルス、極微粒子のろ過率の計測結果を示す。その違いを光学顕微鏡写真をもとに考察する。さらに着け心地の快適を確保するための樹脂製立体インナーマスクの活用を紹介している。本マスクの市場販売は21年4月より開始した。
バッグ製造卸小売りMSPCは製薬会社のピップと協業し、着るだけで肩凝りを緩和するTシャツの販売をクラウドファンディングで始めた。Tシャツの肩や背中の10か所に円形マグネットを配置し、装着部位の凝りと血行を改善する。管理医療機器の認証も取得している。
靴下の岡本が開発した保温機能を特徴とする靴下「まるでこたつソックス」が売れている。独自の編み方で、足首にある三陰交というツボを発熱素材で刺激することにより保温効果を得る商品。製造特許や同社の奈良工場の特殊な機械で編むため、類似品が作りにくい。1足の価格は1,980円と、3足1,000円以下も珍しくない昨今、単価の取れる商品だ。
蝶理は、モバイルバッテリーを利用し、カーボンシートでウェアを内部から加熱するシステムを提案する。全面が均一に発熱するもので、38〜53度までの温度設定ができる。極薄で着心地に違和感が少ない。
近年の消費の特徴として基本形を崩した商品サービスが続々と登場している。アパレルの小島衣料は血流改善効果が期待できる天然鉱石の混合体を加工したパジャマを作り始めた。1着2万5千円前後とパジャマの相場を大きく上回るコスト問題は一般医療として申請することでクリアし、「着る医療機器」を誕生させた。「飲む日焼け止め」は、サプリメントなどで体の内側からの効果をうたったものだ。消費者への接近方法は一つではない。
ファーベストは、遠赤外線反射素材「光電子」のサブブランド「エフェ・バイ・KODENSHI」を立ち上げた。遠赤外線放射効果によって、冷えや生理不順などの女性特有の身体的、精神的な悩みを軽減する「光電子」は、繊維に微粒子セラミックスを練り込んだ素材であり、体温域で効率良く遠赤外線を輻射する集熱保温性が特徴である。
日鉄物産はサステイナブルと機能性を掛け合わせた商材を訴求する。トウモロコシを炭素化して繊維に練り込んだわたは、赤外線効果によって優れた保温性がある。また、絹布の端材と卵殻膜を原料にして微粉化技術によって作製した5ミクロンのプロテインパウダーを生地表面に加工することで蒸れ感を軽減できる。
東洋紡はこのほど3次元網状繊維構造体「ブレスエアー」の新グレード「ブレスエアーダブルプルーフ」を開発した。ダニの増殖を抑制する防ダニ性能、従来品を上回る抗菌性能を併せ持っており、弾性クッション材として業界で初めて防ダニ加工素材の認証を取得した。マットレスなどの寝具向け、ソファなどのインテリア向けに来春から本格的に販売する。
主婦連合衣料部は、乳児・子供服の安全性について検査した。「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」で規制されているホルムアルデヒド、特定芳香族アミンについて試買した24点全てがクリアしたが、「エコテックススタンダード100」による検査では4点が基準をクリアしなかった。検査はニッセンケン品質評価センターに依頼した。
日本繊維産業連盟と国際労働機関は21年11月に繊維産業の責任ある企業行動促進に向けた協力のための覚書に署名した。今後、繊維産業の加盟団体とILOメンバーとする委員会で「繊維産業の責任ある企業ガイドブック(仮称)」を策定する。有識者会議「繊維産業におけるサステイナビリティに関する検討会」の提言を受けたもの。
繊維・ファッション業界の事業者が中心となり、「天然繊維循環国際協会」を設立。自治体と連携し、天然繊維の分別・回収の仕組みを作っていく。天然繊維のリサイクルフェルトを使ったプランターで街の外壁緑化や農業資材、自動車内装材として有効活用する。会員企業同士で環境負荷が少ない原料調達や環境対策の企業努力を消費者へも解りやすく伝えるべく、情報発信や勉強会などで天然繊維の普及にも力を入れる。
日本衣料管理協会は21年12月6日、創立50周年を記念して式典と講演会、祝賀会を開いた。来賓を含め業界、教育界を中心に約190人が出席した。あいさつ、50年の活動報告、貢献者への表彰、さらに日本繊維産業連盟 富吉賢一副会長の「2030年あるべき繊維業界への提言」をテーマに講演を行った。
71年12月6日に創立した日本衣料管理協会は、21年同日50周年を迎えた。創立後にTA(衣料管理士)、81年にTES(繊維製品品質管理士)の資格制度を立ち上げ、繊維・ファッション産業の人材育成に貢献し、TA 5万5,650人、TES 1万4,100人を認定、多くの資格者が幅広く活躍している。さらに、出版、研修、調査事業など、協会創立50周年の歩みを振り返っている。
21年7月11日に実施されたTES(繊維製品品質管理士)の21年度試験問題と解答(例)を掲載。T繊維に関する一般知識、U家庭用繊維製品の製造と品質に関する知識、V家庭用繊維製品の流通、消費と消費者問題に関する知識、W事例・X論文を掲載。
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:島崎恒藏/発行人:亀井良彦