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行 政 ★経産省、ファッションローで初のガイドライン年度内に策定へ
規格関連 ★「JIS L 1954 生地の経時的吸放湿性試験方法」について
素 材 ★植物由来の高強力ポリエチレン繊維開発
加 工 ★家庭で洗えるシルク加工開発
アパレル ★男性の育児「参加」ファッションが後押し
流 通 ★ファッションEC市場21年度成長スピード緩やかに、EC比率は19.5%
クリーニング ★製造コスト高騰もほぼ横ばいを維持
消 費 ★「データでみるファッションビジネス」日本のファッション市場の規模
健康・快適性 ★スマートビジネス靴発売 心身の状態をスコア化
品質管理 ★リサイクルポリエステルを簡単に判別
その他 ★ウールの廃材を畑の栄養分に
経済産業省は、21年度5月に立ち上げた有識者会議「サステナブルな企業価値創造のための長期経営・長期投資に資する対話研究会」の報告書「伊藤レポート3.0」と企業と投資家の対話促進指針「価値共創ガイダンス」の改訂版を公表した。企業に環境配慮や人権保護などサステイナビリティへの対応がますます求められる中で、SXの重要性と企業が実行するための指針などを示した。
経済産業省と国土交通省、農林水産省は、物流の課題と対策を討議する有識者会議「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の第1回会議を開いた。「総合物流施策大綱」やインターネット通信を適用した新しい物流の仕組み「フィジカルインターネット」の40年までの実現に向けたロードマップなど中長期的な物流施策を踏まえながら「差し迫っている課題に実効性のある対策を示す方針。
経済産業省は、エネルギー価格や物価上昇に対する経済対策として、中堅・中小企業向けの「事業再構築補助金」で、最低賃金を上回る賃金を支給した事業者を対象にした「最低賃金枠」の要件を緩和する。物価・賃金・生活総合対策本部会議で決定した。
総務省の消費者物価指数8月は、71%の品目が前年同月に比べて上昇した。2000年以降で見ると、7割の指数が上がるのは消費増税の時期を除くと初めてのこと。資源高と円安による物価高が続けば家計の購買力が落ち、景気回復の足取りが不安定になる。91年9月(2.8%)以来の大きな伸び率で、全体の総合指数は3.0%の上昇だった。男子用上着は3.5%の値上がりで、デフレのもとで価格が上がりにくかった日用品や衣料品にも値上げの波が広がっている。
経済産業省は、企業のCO2排出量が見通しを下回った場合の差をクレジットとして認証する「カーボン・クレジット」の市場取引の実証事業を委託先である東京証券取引所で開始した。対象は国内の事業者が多く取引している「J・クレジット」で、9月22日時点で145事業者が参加登録した。50年のカーボン・ニュートラル実現に向け、企業のCO2議論・実証する場として経産省が新設した「GXリーグ」の取り組みの一環。
高学歴の女性が産む子どもの数が回復している。国立社会保障・人口問題研究所の21年出生動向基本調査によると、妻が大卒以上の夫婦の子どもの数が1.74人と19年ぶりに上昇した。仕事と育児の両立が困難だった高学歴の女性も、近年は働き方改革などにより産みやすくなっている。一方、非正規職などに就く女性の出生数が低下する懸念も出てきた。」
経済産業省はサステイナビリティやデジタル化などで優れた取り組みを行う繊維分野の中堅・中小企業100社を選定・公表する「時代を担う繊維産業企業100選」を新設、事務局は製造産業局生活製品課に置き、11月30日で応募締め切り、今年中に公表する。
消費者庁の「景品表示法検討会」は、10月5日に行われた第7回会合で、関係団体、学識経験者からのヒアリングを終えた。確約制度、繰り返し違反汚課徴金割増しなど制裁強化にほぼ反対意見はなく、導入される公算が高い。9〜10月にかけて行われた3回に渡るヒアリングを経て、「返金措置」の導入など制度設計の要請が出そろった。
経済産業省は、ファッションに関する知的財産権関連法などの法・制度「ファッションロー」を海外事業などの際に留意すべき事項として整理し、事業者の行動指針とする初のガイドラインを策定する方針。年内に有識者で構成する検討会を立ち上げる。22年4月に報告書を公表した有識者会議「ファッション未来研究会」で示した政策の一環。スタートアップを含め、日本のファッション事業者の海外市場やデジタル分野への取り組みを後押しする。
経済産業省は中堅・中小事業者向けの事業再構築補助金を延長し、11月に策定する今年度第2次補正予算案に盛り込む。併せて、中小企業の資金繰り支援や輸出拡大促進策も強化する。10月28日に政府が閣議決定した「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」の一環。事業再構築補助金はコロナ禍の影響で業績が悪化した事業者の新規事業開発や業態転換などを支援する事業で、20年度補正予算で開始。当初は昨年度補正予算分で事業を終了する予定だったが、事業者の要望が多かったことなどから、今年度の予備費で1,000億円を積み増した。
厚生労働省は、厚生労働大臣が指定する一般医療機器について、「家庭用遠赤外線血行促進衣」(一般名称)を新設したと告示した。定義は、「遠赤外線の血行促進作用により、疲労や筋肉のこりなどの症状改善を行うことを目的とした衣類形状の器具で、生地には鉱物などによる特殊な加工がされ、一定程度の遠赤外線を輻射する」という。ノースリーブの形状や靴下などは含まれない。
繊維の吸放湿性の公的な試験方法は、絶乾質量に対する平衡水分率をみており、環境変化に伴う吸放湿量やその速度を測定できない。本稿では、22年3月22日に制定された表題の経時的吸放湿性試験方法の開発経緯や、測定における要点等を解説する。
ひだまり肌着で知られる健繊が開発したウェアが国際宇宙ステーションに搭載される。採用されたのは「HIDAMARI SPACE DRY-WEAR」と「HIDAMARI Qomolangma」の2製品。23年以降、古川聡宇宙飛行士がISS滞在時に着用する予定。宇宙生活では筋力低下を防ぐために運動が欠かせないが、宇宙では肌にまとわりついてしまう。ひだまり肌着は肌側に透湿性の高いポリ塩化ビニル「ダンロン」を使い、汗を外部に放出して肌側は常に快適な状態を維持できる。
杢糸が主力の新内外綿の「彩生(さいせい)」が注目されている。裁断くずや残糸、落ちわた、C反などを反毛機で開繊し、再び糸にしたもの。20、30番手が中心で、反毛して再利用された繊維混率は30%程度。太い糸で7番手、細い糸で60番手まで実績あり。細番手の要望が高まっているが、反毛繊維の混率が低くなることが課題で開発を進めている。他の紡績企業も反毛による再生の仕組みはあるが、柔軟な対応力が同社の強み。
ナノ繊維を研究開発する岡山大学発スタートアップ企業のフルエリアの技術が注目を浴びている。岡山県下の精密金属加工企業と協業して作った流路(原料の通り道)を応用してさまざまなポリマーをナノスケールで精製できる。この湿式紡糸技術は、世界で唯一モノフィラメント状にナノ繊維を製造できる方法で、今までになかった原料をナノ繊維にすることもでき、理論上は100ナノメートル以下の繊維を作り出すことも可能である。
三山は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いた特殊紡績糸の販売を始める。「ベントスパイラル」は収縮性を利用してらせん状になる特殊紡績手法で作った糸。通気性が高く、糸表面の凹凸によるシャリ感も備える。綿やリネンとの複合糸を揃えた。「バルミー」は扱いやすさを訴求した製品。PBT90%、ウール10%混で耐摩耗性を備え、ウール混による適度な保温性とナチュラルな風合いに仕上げた。
作業用手袋を製造・販売するハンボは、炭素系超高分子技術を応用したポリエチレン長繊維「メタルキュー」を開発した。高強度や軽量性、高耐久性などの特徴を持ち、手袋や作業服をはじめとする幅広い用途に応用できる。繊維内部に炭素系材料を配合しており、ガラス繊維や金属繊維を巻き込まなくても単独で高い耐切創性を発揮する。長繊維のためほこりや糸くずの発生を抑える。熱伝導率が高く、ひんやりとした装着感が得られるのも特徴だ。
東レは親水性を長時間持続するポリエステルスパンボンド不織布を開発した。液残りや濡れ広がりを抑えられ、肌への刺激が低いとして、紙おむつ、マスク、生理用品などの衛生材料用途に訴求する。ポリマー設計の自由度が高く、重合に多くの知見を持つポリエステルをベースに、ポリマーそのものを親水化する研究に着手。ポリエステルに高分子量の親水成分を共重合した2層構造のポリマーを開発した。
島精機製作所は60周年記念イベントで最先端の取り組みを披露した。米国MITのメディアラボとの共同研究において、空気圧で伸縮する糸「オムニファイバー」と、熱で伸縮する糸「ファイブロボ」をニットに編み込むことで形状が変化するテキスタイルを開発した。運動感覚を伝達するウェアラブルデバイスとしての使用が見込まれる。メタバースを活用した「サンプルプランニングシステム(仮)」は、バーチャルサンプルにアクセスし、ニッターやアパレルが時間、場所の制限なくサンプル作成に取り組める仕組みだ。
GSIクレオスは、原料の一部をサトウキビとする部分バイオ由来のポリエチレン繊維を開発した。石油由来ポリエチレン繊維を新商品に置き換えると、CO2排出量が70%削減できるという。既にエコマークを取得済みで「パープランツ」の名称で販売を開始している。耐切削手袋用途などに提案する。糸種は220dtexや440dtexだが、110dtexから1,000dtexまで生産が可能。部分バイオ由来原料の繊維のため地球環境に優しいほか、冷感や高強力、耐切削性といった特徴を持つ。
東京都立大学の野村琴広教授らの研究グループは、酸化カルシウムおよびチタン系の高効率ポリエステル分解触媒を開発した。酸化カルシウム触媒は安価で入手も容易で、ポリエステルをほぼ100%の選択率で原料に変換できる。チタン触媒は、酸化カルシウム触媒の50〜100倍以上と活性が高く、幅広いポリエステルやアルコールを使えるなど適用範囲も広い。
毛髪関連会社のアデランスは、機能性人工毛「サイバーエックス」を開発した。ポリアミドとポリエステルからなる海島構造による艶消し技術(特許取得)によって天然毛髪に近い艶感を実現した。毛材生成時に帯電防止剤を加える製造技術で静電気の発生も抑える。根元から立ち上がる性質を持っているため、「自社開発毛の中で最高のボリューム感を実現した」としている。
丸紅は資本参加する米スタートアップ「サーク」のリサイクル技術を展示した。同社の技術は、綿とポリエステルを高温高圧の水(亜臨界水)で混合処理し、綿は再生セルロース繊維に、ポリエステルはモノマー化した後にリサイクルポリエステルに再生できる。綿製品とポリエステル製品を分別することなく処理できるため、コスト軽減や高効率化につながる。
MALDI-TOFMSを用いて、切断ペプチドマスフィンガープリント(PMF)に基づき、家蚕、エリ蚕、野蚕の繭とシルクを識別する方法を確立した。昆虫の繭とシルク繊維を室温で希釈したギ酸で部分加水分解し、MALDI-TOFMSを用いて昆虫の種、品種、品質を同定した。また、古いシルクと新しく紡いだシルクでは、ピークのシフトが観察された。PMFとそのピークシフトから昆虫種を同定し、カイコの品種や古さを識別することができる。
非鉄金属商社の古川産業は、医薬部外品などを展開する日本抗菌総合研究所が開発した消臭技術を繊維分野に広げる。有害物質(臭気成分)を無害化する分解型消臭で、繊維関連ではマスクなどで実績がある。1種類の消臭添加剤で、硫化水素やメチルメルカプタン、酢酸、イソ吉草酸、アンモニア、トリメチルアミン、ピリジンなどの多臭気に対応する。粉体(消臭添加剤)を水に溶解した水溶液を販売する。後加工で機能が付与でき、天然繊維と合成繊維を問わない。
浜縮緬工業協同組合(10社)は、シルク生地を家庭で気軽に洗える加工技術を開発し、加工事業を始めた。シルク生地のケアを容易にすることで幅広い用途への浸透を図る。開発した加工技術「ヤサシルク」(特許出願中)は、シルク織物を有機化合物で処理し、絹糸の主要部分であるフィブロインの分子レベルで架橋結合させることで強度を高め、耐洗濯性の向上へつなげた。滋賀県東北部工業技術センターの支援を受け、13年かけて開発した。
織物整理加工の播州織工業協同組合が、美容効果のある成分「CICA(シカ)」を織物に付与する新たな加工を開発した。直接肌に触れる繊維製品に使う生地の加工として提案を始める。シカとはツポクサエキスに由来する成分で近年、韓国のコスメティック業界でブームとなり、日本でも注目を集めるようになった。この加工で生地に保湿効果、抗酸化・抗菌作用などを付けられる。生地への加工に使うケースは珍しい。
クラボウはユニフォーム用素材で顧客のサステイナブルな企業方針にも対応できるよう、環境負荷を抑えた素材の開発を強めている。フッ素フリー撥水素材は2種類開発した。1つは耐久撥水の「シャットレイン」。ブルーサイン認証を得ている薬剤を用いた加工で、100回洗濯後も撥水性能は2級を保つ。もう1つはパーム油を活用した「グリーンドッツ」。ブルーサイン認証を取得した薬剤で、国際認証「RSPO認証」を取得している。
小松マテーレは、低温で速く染まる糸を使って染色加工の環境負荷を低減する「WS」のナイロン版を開発した。ナイロンでは従来(約100℃)より15℃低い温度での染色が可能で、CO2排出量を10.6%削減し、生産性も6%向上する。染色堅ろう度は通常生地と同等で、機能加工との組み合わせもできる。「WS」は、繊維を構成する高分子の結晶構造を緩めて動きやすさを向上させることで、染料が浸透しやすくなる仕組み。
子供服メーカー、フィスの23年春夏物は、22年秋冬物に続き、小売価格を1,500〜2,000円程度上げる。より上質な素材や手の込んだ加工など、同社ならではの物作りに注力し、服好きに訴求する。虫よけ技術を採用したブルゾンやアウターなど、アウトドア要素のあるアイテムも充実している。
有力ショップに聞いた22〜23年秋冬の立ち上がりは、22年春夏からの継続トレンド「スタンダード&エキセントリック」が引き続き好調だ。発注時から首位をキープし、定番アイテムを中心に動いている。本格的な秋冬物の導入はこれからというショップが多い。ジャストニーズの流れが依然あり、すぐに着られるシーズンレスなアイテムや小物も支柱となった。
GUは0歳〜12歳程度の子供を持つ親と直接対話し、子供服を共同開発した。遊具に引っ掛かる恐れがあり、保育園などではフード付きが禁止されていることから「フードなし」アイテムや、着やすく、洗濯が楽にできるものなどの意見を聞きながら開発し、22年8月からカーディガンとブルゾンを展開している。子供服の国内市場はアパレル全体の1割程度だが、成長に合わせて買い替えに必要があり、はやり廃りが少ない。家族でリンクコーデを提案し、販売拡大につなげる考えだ。
アシックスは15日、温暖化ガス排出量が世界で最も少ないスニーカー「GEL-LYTE V CM 1.95」を開発したと発表した。製造過程から輸送や廃棄も含めた製品サイクル全体を通じての排出量で1.95kg(二酸化炭素換算)を実現した。同社の調べで従来排出量が最少のスニーカーは4.3kgだった。23年の製品化を目指す。
日本最大のニット合同展「ジャパン・ベストニット・セレクション(JBKS)2022」が12月14、15日、東京都立産業貿易センター浜松町館で開かれることが決まった。テーマは「考えよう、日本の服作り」。「様々な社会問題に対し、物を作る観点からできること」を発信する。物作りに関心が高まる若い世代に日本のニット産業を知ってもらう機会としても位置付け、SNSを使った事前告知やライブ配信を計画する。
量販店向けレディスアパレルメーカーの22年冬と23年春夏商談が活況だ。約3年ぶりに行動制限のなかった夏、外出需要の高まりでオケージョンや通勤服を中心に売れ、小売店のバイイング意欲が高いためだ。一方、メーカーは急激な円安への対応を迫られている。商品施策や生産拠点を見直し、利益の出る体制を整える。
ユニフォーム関連企業が物流業へのアプローチを強めている。物流業界では働き方改革関連法に伴う"2024年問題"を機に人手不足が加速すると見られる。物流企業は自動設備などの導入による省人化策を急ぐ一方、より働きやすい労働環境で離職を抑えるなどの対応にも動いている。ユニフォーム企業は、働き手の確保にユニフォームは大切な要素と考え、快適や安心・安全を切り口にした商品に力を入れる。
大掛かりなセミナーを自社の展示会で行うケースが増えてきた。商品発表にとどまらず、プラスアルファのメリットを感じてもらう場に進化させる試みだ。準備には労力がかかるものの、それを補って余りある効果があるとして、さらに増える可能性もある。
日本アパレル・ファッション産業協会は、J∞QUALITY事業で23年4月から規約改定を実施し、手続きの簡略化を図るため新システムの導入による新制度をスタートする。新システムではトレーサビリティーQRコードを活用し、生産背景を動画で可視化、商品情報やECサイトへ誘導など消費者に訴求することができる。また、優れた技術を持つ日本の素材開発力を広く世界に発信するため、Jクオリティーテキスタイルを新たに開始する。
地域に自生する植物やこれまで廃棄されてきた植物の葉・茎を原料にした衣料品・雑貨の商品開発が増えてきた。環境意識やエシカル消費が高まるなか、資源の有効活用を訴求できる商材として注目されている。
異業種だからこそ作れるアパレル製品が出てきた。本業に関わる"コト"を楽しむための服だ。オートバックスセブンではガレージライフスタイルブランド「ゴードンミラー」のウェアの人気が広がっている。車をメンテナンスする際の作業服など、カーライフを楽しむために企画し、他にない特性や機能が徐々に認知されてきた。
ファーストリテイリング傘下のカジュアル衣料品店「ユニクロ」は19日、服の傷んだ箇所を補修したり、刺しゅうなどのリメークをしたりするサービスを始めると発表した。22日から2023年3月まで東京 世田谷千歳台店に専用スペースを設置する。ユニクロで購入した服が対象で、出来る限り当日中に、穴やほつれ、股ずれなどを補修する。
新型コロナウイルス下でオーダースーツにこだわる人が増えている。オーダースーツの平均購入単価はこの3年でおよそ1割上昇した。在宅勤務・テレワークの普及で着用頻度は減っているが、ここぞのときは「勝負スーツ」を着る人が増えた。今年進むリオープン(経済再開)で対面ビジネスが増えたことも単価を一段と押し上げる。オンワードパーソナルスタイルの関口猛社長は「良いスーツを少数持ちたいという意識があり、高単価品が大きく伸びている」と分析する。
レッグ・インナー企業は、フェムテック・フェムケア領域に熱い視線を注いでいる。月経、妊娠・出産、更年期など女性の体に起こる課題を、肌着や靴下などを通じてサポートしながら、企業の成長にもつなげようと、商品開発や情報発信に力が入る。各企業とも、女性の体に密着した商品を手掛けてきた歴史があり、フェムケアとの親和性は高い。10月の合同展「フェムテックフェス」、「フェムテックトーキョー」にもレッグやインナー企業の出展が目立った。
夫婦で協力して子育てするという価値観が一般的になる一方で、育児用品の大半は女性向けに作られており、男性が自ら持ちたいと思えるような商品は少ない。この数年で、男性向けやユニセックスの育児用品の開発が相次ぎ、ファッション面から男性の育児参加を後押ししている。
岡山県アパレル工業組合、岡山県、倉敷市などは一般社団法人倉敷ファッションセンターを設立、23年4から事業を始める。織物、染色、アパレルまで幅広い繊維関連企業に会員として参画してもらい、人材育成や販路開拓、産地PRなど一層の産業振興や発信力強化につなげる狙い。第三セクターは解散、一般社団法人に業務を引き継ぐことで、既存の業界団体などに属していない新興企業も参画しやすくして活動を強化していく。岡山県内にはブランド力のあるアパレルなど多様な繊維関連企業があり、300社程度の参加を目指す。
繊研新聞社が行った全国百貨店を対象とした「購買動向・営業政策」アンケートで、コロナ禍による臨時休業や時短営業が大きく影響した20年度の反動で、ほとんどが前年実績を上回った。2ケタ増となった百貨店も多く、客単価も上回った。一方、買い上げ率は低下した。コロナ禍の重点課題では、20年度に引き続き「顧客・従業員の安全確保」を最優先事項に挙げている。
百貨店で外商と呼ぶ富裕層向けサービスの顧客若返りが進んでいる。伊勢丹新宿本店では44歳以下の購入額が新型コロナウイルス禍前の5倍に拡大。大丸松坂屋百貨店では、新設したオンライン窓口経由での入会者のうち6割が44歳以下だった。訪日外国人客の特需が消えるなか、各社は残された強みである富裕層の顧客拡大に注力する。
23年から、東京都心で大型複合施設の開発が再び加速する。再開発が進む東京駅周辺や港区、渋谷区を中心に、オフィス、商業施設のほか、ホテルやエンターテインメント施設、住宅、教育施設などを入れ、新たな街作りを目指したプロジェクトが目立つ。インバウンドの取り込みを狙う施設も多い。
繊研新聞社の全国専門店アンケート調査によると、今春は採用数が前年より「増えた」企業が2倍の約4割で、「減った」「凍結」の合計を約10ポイント上回った。コロナ下で中止していた採用活動を再開したり、通常の採用数に戻す企業が増えている。一方で新卒採用は凍結し、即戦略となる中途採用を強化する企業もある。
繊研新聞社の全国専門店アンケートで、コロナ下でEC強化などデジタル戦略に拍車がかかる一方、実店舗の重要性を再確認した専門店が規模の大小にかかわらず増えている。実店舗の重要性が「変わらない」42%、「高まった」36%、「低下した」9%だった。実店舗の役割で今後重視していくこと(複数回答)は、「店頭での販売力」、「顧客との接点」、「ECとの連動」の順に多かった。
衣料品部門の縮小が続く百貨店だが、都心店でファッションフロアの活性化を目指す動きが出始めている。共通するのは、衣料品以外の商材の組み合わせ。衣料品では、ブランドの"高感度化"に取り組んでいる。
アパレル・小売り企業がDXを急いでいる。従来の体制では、企業の先を行く消費者や社会の変化に追いつけないため、コロナ禍を契機に組織や働き方を見直し、従業員の意識改革も促す。小売りDXの本来のゴールは顧客体験の改革。目的を見失わず、不断の改善を通じて成功につなげたい考えだ。
19年に日本市場から撤退したファストファッションの「フォーエバー21」が日本に再進出する。店舗運営や商品販売を新たに担うアダストリアが発表した。撤退前は流行のデザインの衣服を手ごろな価格で販売し、若い女性の支持を集めた同ブランド。再進出では「脱ファスト」を掲げて低価格販売のイメージを刷新し、幅広い年代層の需要開拓を目指す。23年2月から同社の自社ECサイト「ドットエスティ」で販売を始める。23年4月下旬をめどに関東と関西の郊外型ショッピングセンターにそれぞれ出店する。
繊研新聞社が推定したファッション商品の21年度消費者向けEC市場規模は約1兆6,000億円、EC比率は19.5%になった。推定値はネットアンケートのほか、21年度の専門店業績アンケートとアパレル業績アンケートのEC売上高に回答のあった111社をベースに割り出したもの。伸び率は、20年度推計値の1兆5,000億円と比べ10.6%増。販売がECに集中した20年度は23.9%増と急伸したが、実店舗も稼働し始めた21年度は成長スピードが落ち着いた。
いまチカの「アパレルの消費行動に関する調査」で、来店の決め手は「店頭(ディスプレー)」が42%と高く、これまでの購買行動と比べて変化が見られずウェブからの集客に課題を残した結果となった。一方、来店時に商品在庫がなくて困った経験がある消費者は89%と多い。求められるコンテンツは「クーポン」58%、「商品詳細情報」57%、「在庫検索」36%の順。情報収集先は「インスタグラム」が50%、「ECサイト」、「ブランドサイト」と続く。
大丸神戸店は10月に8階に保税蔵置場を兼ねた「ギャラリー トアート」を開設した。同ギャラリーでは、関税徴収前の輸入品の展示・販売が可能になる。9月には暮らしに役立つサービスを提供する「トアライフサロン」を同階に開設するなど、店舗のサービス機能を強化している。
24時間営業の接客しない古着専門店が注目されている。未経験者でも始められるビジネスで拡大中の「ムジンノフクヤ」。コロナ下の2年間で5店、派生業態2店を出した。福祉作業所との共同運営など、社会問題を改善する拠点として発展させる計画。FCの募集には40件の応募があった。
消費者の利便性や購買体験向上の一環として、オンラインで注文し、店舗で商品を受け取るBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)の活用が広がっている。BOPISは、利用の際には送料を無料とするケースがほとんどのため、特に比較的商品単価が手ごろなアイテムを購入する際には、消費者のお得感が大きい。生活圏内に店舗があれば気軽にピックアップできる。もちろん、実際に商品を手に取り試着できるメリットもある。企業側にとっては、送客により店舗の売り上げ支援となるほか、ついで買いも期待できる。
FBプロフェッショナルへの道は、業界知識の基礎講座、月2回、第2第4金曜日に掲載。今回は、過去10年の衣料消費市場規模、供給量と価格の変化、衣料品の家計支出推移、衣服の購入量、平均単価推移などがデータとして記載され、この10年間の衣料消費市場の変化が理解できる。特に、20、21年はコロナ禍の影響が各データに顕著に現れている。
転職市場でアパレル・ファッション業界の年収が高騰している。エン・ジャパンによると、転職の求人情報に掲載されたアパレル・ファッション業界の募集時年収(央値)は8月に363万円となり前年同月に比べ2.1%上昇した。新型コロナウイルス禍前の19年8月比では11.7%の伸びで、店舗販売員の年収は最高値をつけた。顧客の肌の色や骨格などを踏まえた提案といった高いスキルを持つ人材が求められている。主要な顧客である若者は、SNSで自分を発信する機会が多い。ネットだけでは得られない、自分らしさを表現する助けとなる販売員に魅力を感じ、店頭に足を運んでいるようだ。
関東大震災から99年を迎える。コインランドリー大手のTOSEIが8月30日、東京都中野区のコインランドリーで期間限定の真空パック体験サービスを始めた。真空包装機を使って毛布や衣類、紙おむつなどを真空状態で包装する。ホコリを防いで長期保存できるだけでなく、自宅が浸水しても中身がぬれるのを防ぐのが特徴だ。同社はガス発電設備などを使って被災者の衣類などを洗濯し、給電もできる防災型のコインランドリーを30か所ほど手掛けている。
日本産業機械工業会と全日本クリーニング機械連合が21年度会員出荷金額を発表した。底となった20年度から若干の増加を見せ、21年度は約443億円、前年比36億円増とやや回復した。
全国クリーニング協議会は、春のクリーニング需要拡大策として「2022クリーニング感謝キャンペーン」を実施し、抽選会を行った。参加企業21社、応募総数は3万1,881通だった。
日本クリーニング用洗剤同業会が発表した22年度上期の洗剤等出荷実績によると、前年より60t減の16,635t、前年比99.6%と横ばいだった。ドライ用洗剤はパークが微増、石油系も増え前年比100%の455t、ランドリー分野では前年比98.5%、12,029tだった。リネンや病院介護、コイン含む設置ランドリー分野などに復調傾向がみられた。
全ク連は、今年4月施行のプラスチック資源循環促進法に関する一連の対応を取りまとめた「ポリ包装等抑制分科会報告書」を公開した。報告書には21年度のポリ包装等抑制分科会の活動報告、業界が取り組むべき対策の紹介、ガイドブックやポスター等のツールを掲載している。
全国クリーニング協議会は、10月13日に「第31回環境保全全国大会」を開催し、「事業者が行うべき環境保全〜これだけは知っておきたい安全対策」をテーマに、リスクアセスメントやクリーニング事業者が行う必要のある環境保全・安全対策についての講演を行った。
8月のファッション小売り商況(速報値、既存店売上高)は、大手百貨店が前年の反動と高額品の好調で2ケタ増となった。専門店は、郊外主力の業態は低調だったところが目立つが、3年ぶりの行動制限のない夏休みに猛暑も重なり、夏物実需で売り上げを伸ばした店、セールを早めに切り上げ、秋物を中心に売った店ともに前年実績を上回った。専門店、百貨店ともに19年比では減少のところが依然として多く、コロナ禍前水準までは回復していない。
繊維リサイクルの大手、ファイバーシーディーエムが注目されている。帝人フロンティアと廃棄衣料品から再生ポリエステル原料を作り出し、循環型システムを構築すると発表した。企業理念は「あればいい企業から、なくてはならない企業へ」。衣料品の回収、販売では、日本のほかに、米国とインドにも自社工場を持ち、年間約5万トン(2億着相当)の衣料品が集まる体制を持つ。
環境や社会などに配慮した商品を優先的に購入する 「エシカル消費」に対する一般の認知が広がっている。電通マクロミルインサイト調査によるとエシカル消費の名称を知っていると答えた消費者は全体の40%超に上った。ただ、こういった消費に関心のある人は15%にとどまっている。認知度が高くても行動につながっていない現状が明らかになった。
月刊ネット販売が実施した売上高調査「ネット販売白書」では、21年度のネット販売実施企業上位300社の合計売上高が7兆144億円となり、前年調査14.2%増加も、20年度の3割近い伸び率からは後退。衣料品では在宅需要にマッチした商品の販売が好調に推移。オンラインでの店舗販売員活用を積極化し、スタッフコーディネートやインスタでの情報発信に加え、チャットやLINEを活用し消費者接点の増加が目立つ。
認知症と思われる顧客からの受注は年々増加傾向にあり、通販事業者は対応に苦慮している。顧客は商品を注文しているにもかかわらず、後日になって「注文していない」と主張したり、顧客の家族から商品の発送中止や、解約・返品・返金の要請が寄せられているからだ。通販業界としての共通した対応ノウハウが求められる。
リユース・リサイクル事業を手掛けるエコミットと伊藤忠商事が連携する繊維製品の回収サービス「ウェア・トゥ・ファッション」が、丸の内や大手町など東京駅を中心に、13か所での回収、取り組みが広がっている。今後協力企業を増やし、年内1,000店に広がる見通し。エコミットはデジタル技術を活用した追跡システムを持つ。店頭からの衣料品の排出状況や行き先などの履歴などをデータ化、見える化し、スマートフォンなどで簡単に確認できる点が評価されている。
繊研新聞社が四半期ごとに実施している「ファッションビジネス景況・消費見通しアンケート」で22年7月〜9月は、第一四半期(4月〜6月)に比べて、「変わらない」との声は半数を占めた。「悪くなった」は24.3%で、前回の4.6%から大幅増加。円安や原料高の懸念かで見通し悪化と回答も増加。10月以降は旅行、行事需要に期待もあり。
キリンビバレッジが販売するミックスジュース「トロピカーナ100%丸ごと果実感メロンテイスト」が実際には異なる表示をしたとして消費者庁から景品表示法違反(優良誤認)で措置命令を受けた。違反にあたるか否か明確な基準はないが、一般消費者の認識との乖離で判断されている。この商品がなぜ措置命令を受けたのか、命令はどんな基準で出されているのかをQ&Aでまとめた。
SHIBUYA109 lab.による調査で、社会的課題に対して約6割のZ世代が「関心がある」ものの、約7割は「実際の行動に移せていない」と回答。実際には社会的課題に取り組む企業が増えたことから、彼らは意識せずに行動に移している。また、実施に取り組んでいても自分を過少評価し、周りからどう見られているかを気にする意識があるようだ。Z世代には定量調査では測れない複雑な社会課題への意識と向き合い方があるのではないか。
2000年代ブームのファッションワードとして「Y2K」という記号が使われている。デニムやツィードなど2000年代に流行した素材がトレンドに上がるが、SNSでおすすめされる安価のファッションに流れる若者が増加。1〜6月期に特に中国発ファッションEC「SHINE」の流通取引額がH&Mとザラ超えというニュースも話題に上がった。物価上昇や経済不安の中、他国の商品に顧客を奪われないことは大きな課題だ。
繊研新聞社の推定では21年の衣料消費市場規模は8兆5,331億円、前年比2.3%増。供給量は36億4,288枚で前年比としては微増、価格はコロナ前を下回った。消費者の動向として家計支出は横ばいだが服への支出減少は続き、節約意識はさらに強い。購入量は過去最低だが、購入価格は上昇傾向にある。
パナソニックは、10月中旬に暖房機能付き敷パッドを発売する。睡眠の経過時間に合わせて自動でコントロールする「快眠モード」を搭載する。同敷パッドは、ニッケルサーミスター線式ヒーターを採用。快温モードの運転開始後、好みで設定した温度まで素早く上昇し、その後「おやすみスタート」で徐々に温度が下がり、睡眠中は暖め過ぎない心地よい温度を保つ。設定した起床時間に合わせて穏やかに温度が上昇し、目覚めやすい環境をつくる。
豊島は睡眠市場向けに和紙糸「ワガミ」を使った掛け布団用シーツ、敷き布団用シーツ、ピローケースの販売を開始する。睡眠検証結果では、「睡眠潜時・離床潜時に改善傾向」、「疲れの取れ具合の評価が高く、寝つきの良さも改善傾向」、「和紙繊維の持つ吸水速乾性の特徴で就床内温度の変動回数が減少する傾向にあり寝苦しくないことが推定できる」など、ワガミの心地の良さなどが示された。
三陽商会は、はき心地を科学的に分析し、安定した着用感を得られるパンツ「サンヨーパンツラボ」を開発した。婦人服「アマカ」などで販売する。3D技術で年代別の平均体形のアバターを作成し、パンツを着用した時の負荷や圧力のかかる箇所を可視化。はきやすいと感じるパンツの数値的設計を見いだしたという。同社では「ヒップ上部の面で支える。屈伸運動をしても着用感が安定した」と説明する。
アシックスジャパンは、ミッドソール内部にモーションセンサーを埋め込むことで、歩数や歩行スピード、歩幅、接地角度、立脚時間などの歩容指標を計測し、心身の状態を歩容で推測できるウォーキングシューズを発売する。
東レは、親水性が半永久的に持続することで肌に優しいポリエステルスパンボンド(SB)不織布を開発した。衛生材料で一般的に使われているポリプロピレンSB不織布と同等の柔軟性も実現した。ポリエステルに高分子量親水性ポリマーを共重合させ、共重合成分の構造と分子量を制御することでポリマーに特殊なドメイン構造(他の部分と明確に区別された領域が存在する構造)が発現することで繰り返し通水しても親水性が半永久的に持続する。
カイハラは、太陽光発熱機能をもつ「HINATAダウンジャケット」を開発し、販売を始めた。赤外線を吸収し、熱エネルギーに変換・発熱することが可能な近赤外線吸収材料「CWO」を繊維に加工する技術を確立した。
AOKIは、温熱治療効果のある高純度セラミックスを練り込んだ糸を使用することで血行が促進され、疲労回復、ハリやコリの軽減を期待できる疲労回復ウェアを一般医療機器に届け出をした。遠赤外線エネルギーを吸収・放射して得られる血行促進効果を逃がさない設計になっている。
極細繊維であるファインファイバーとスキンケア製剤の組み合わせによるスキンケア効果や、ファインファイバーとメイクアップ化粧料の組み合わせによるシミカバーや年齢印象の低下を実現できる事例を紹介する。
力が加わることで電気エネルギーを生み出し、圧電抗菌性能を発揮するポリ乳酸圧電抗菌繊維を開発した。圧電性を生じる原理、電気力による抗菌性発現メカニズム、マスクへの商品開発例を紹介する。
高橋練染は、抗ウイルス加工の「デオファクターアンチウイルス」で新たに抗アレルギー性を確認した。繊維上の細菌やウイルスを減少させるほかに、花粉やダニアレルギー物質の活動を抑制する効果を確認した。アパレルや寝装、インテリアなどの採用を見込む。
三菱ケミカルグループは、バイタル情報から睡眠の質を解析する技術を持つヘルスセンシングとの共同で睡眠センサーを開発した。三菱ケミカルグループの製造技術と材料設計技術により高い感度を持つ圧電フィルムをセンサーの基盤に採用した。これにヘルス社の技術を組み合わせることで非接触かつ無拘束でBCG(心弾動)を検知し、従来のベッドセンサーではできなかった睡眠の質の検知と心身のバランスの解析が可能となった。
消費科学フロンティア賞を受賞した暑熱対策化学防護服の特長は、高い通気性と防塵性の両立である。着用実験の結果、活動時・安静時ともに衣服内水蒸気量は低値を示した。特に、活動後の安静時に衣服内の水蒸気が外気に放出されることで衣服内湿度が低減できるメリットがある。
アシックスは、顧客の3次元足形測定データを活用し、足形にあったランニングシューズ選びをオンラインでもサポートするデジタルサービスを開発し、公開した。お薦めサイズは、ラスト(靴型)と足の長さや幅などを比較して算出する。
カケンテストセンターは輸出検査から国内販売品の輸入前検査へ転換、試験拠点を海外へ移行、機能性試験の拡大等、繊維業界の変化に合わせていち早く対応してきた歴史を持つ。60年代を前半までは輸出検査が9割以上を占めていたが、日本の技術レベルや品質に対する意識の向上から輸出検査の需要は減少した。80年代には主要業務を品質試験へ移行し、営業活動を推進してきた。一方でブランド形成に寄与しているのが独自開発したカケン法であり、カケンの背骨たる技術と品質は大阪の意識があるという。
米NPOのテキスタイルエクスチェンジが定めるサプライチェーンに対する要求項目の変更に伴い、7月以降の監査には新基準での審査が必要となった。主な変更は抽象的だった要求項目の明確化、下請け業者に関する基準の変更、TC発行手順の変更など。これまで製品の生産工場が認証取得していればよかったが、これからは小売り業者のPBを含め、ブランドも認証が必須となる。
ボーケン品質評価機構は開発や生産段階の顧客を支援する品質支援事業を強化している。支援の内容はサステイナブル、品質、教育の3本柱に分かれ、サステイナブルではCSR監査や取引先に対するサステイナブル研修などを請け負う。品質支援ではアパレルや雑貨以外も広くカバーし、アパレルのライフスタイル化に対応する。教育支援では受講形式を豊富に用意し、企業訪問やオンラインやオンデマンドの配信もある。
サステイナブルの意識が高まる中、グリーンウォッシュやトレーサビリティーといった視点もより厳しく見られるようになっている。回収ペットボトルから作るリサイクルポリエステルはサステイナブル素材の代表として多く採用されるが、バージンかリサイクル品かを判別するのは容易ではない。ニッセンケン品質評価センターはこれまでになかった簡便なやり方でこれを判別する方法を開発し、今年からサービス提供を開始した。
円安が外国人労働者の獲得に影を落としている。米ドル換算の賃金は過去10年で4割減り、アジア新興国との差は急速に縮まっている。建設や介護など人手が必要な業種で「日本離れ」が始まった。労働力確保には魅力ある就業環境の整備が急務。
日本繊維産業連盟は、ILOと共同で策定した「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」で、国際社会では繊維・ファッション産業は事業規模の大小を問わず、人権の尊重、環境の保護など持続可能な産業への変革の貢献することが個別企業やバリューチェーン、産業全体に求められ、人材確保も大変重要な課題と指摘している。
繊研新聞社が全国の服飾系専門学校に行ったアンケート調査(有効回答39校)によると、「服飾系専門学校の入学者推数」は前年と比べると回復傾向を示しているものの、コロナ前より減少している学校が多い。大都市圏の学校中心に、前年に続きコロナの影響で苦戦した学校が多く、厳しい状況が続いている。
御幸毛織は野菜の発育に必要な窒素、リン、カリウムがウールには多く含まれる点に着目し、四日市農芸高校と共同でウールの廃材を土に混ぜて栄養分として有効利用する「ウールアグリ共同研究」を行っている。ウール入りの土で微生物がウールを食べ、しっかり分解され栄養分として機能したことで、栽培した白菜、ブロッコリー、大根などの色づき、発育が良いという。同社は22年末までに一定の研究成果の発表を予定している。
エシカルなアパレル産業を実現するには廃棄をどれだけ少なくするかも重要な取り組みだ。修理して着ることが新たな価値となり、修理という産業も育つなど新たな価値創造につながる。エシカル協会では「3R」ではなくRETHINK、REFUSE、REPAIR、REPURPOSE加えた「7R」を推奨してサステイナビリティ社会の形成を啓蒙している。エシカル協会理事 大久保氏はリサイクル前の努力が大事だという。
発行:一般社団法人日本衣料管理協会 会長:島崎恒藏/発行人:亀井良彦