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行 政 ★経産省 繊維工場に対する環境･人権対策監査の「基準」を策定へ
素 材 ★レアメタルを練りこんだ多機能素材の販路広がる光老化軽減や防透け効果
加 工 ★"衛生機能のラメ糸を発売 抗菌防臭、制菌、抗ウイルス
アパレル ★Kファッション、世界へ
流 通 ★22年度ファッションEC市場、EC比率は初めて20％超す
クリーニング ★御用達クリーニング名鑑
消 費 ★見せかけの環境配慮「根拠ない」中止申し立て
健康・快適性 ★肌や髪に潤い与える寝具
品質管理 ★PFAS対応で公式見解
その他 ★衣類の異物、AI検知
経済産業省の「電子商取引(EC)に関する市場調査」22年によると、市場規模は消費者向けECが22兆7449億円(前年比9.9%増)、企業間ECが420兆2000億円(同12.8%増)に拡大した。全商取引金額に占めるECの割合を示す「EC化率」は消費者向けで9.13%(前年8.78%)、企業間で37.5% (35.6%)に高まった。物販系は「衣類･服装雑貨等」が2兆5499億円(5%増)で、EC化率は21.6％(前年21.2%)となった。
経済産業省は、「企業買収における行動指針」を公表、22年に立ち上げた有識者会議「公正な買収の在り方に関する検討会」を踏まえ策定した。日本の経済社会で共有されるべきM&Aに関する公正なルールとして、上場企業の役員などに活用を促す。
「アパレル企業の関係者がほとんど来ない。物作りの現場をちゃんと見てほしい」との不満の声が相次いでいるという。経済産業省製造産業局生活製品課田上課長は、「アパレル企業は産地をしっかり回ってほしい」と、産地の状況を把握の重要性を示した。
経済産業省は、アパレル企業などが取引先工場に対して行う環境配慮や人権対策などの監査に関する監査要求事項･評価基準を策定する。有識者会議「繊維産業における責任ある企業行動ルール形成戦略研究会」を新設し、12月までに4回前後会議を行い、24年1月をめどに最終取りまとめとして要求事項と評価基準を策定する予定。繊維産業では環境配慮や人権対策などの「責任あるサプライチェーン管理」などサステナビリティへの対応が求められている。
経済産業省は衣料品の関連企業向けに衣服の再生や再利用を求めるルールづくりに入る。再生繊維の使用状況を衣類に表示してもらい、不用品の回収も増やしてもらう。日本国内で衣料品は6割超を廃棄している。回収、分別･繊維再生、製造、販売の4段階で改善を要請。欧州連合(EU)は再生繊維を使わない製品を市場から排除する方針で、日本も対応を急ぐ。
経済産業省中小企業庁は発注側企業と受注側下請け企業の価格交渉と適正な価格転換を促すための9月の「価格交渉促進月間」のフォローアップ調査を実施した。繊維関連企業にも約7500社が対象、結果は24年1～2月に公表予定。
経済産業省が衣料品の回収、再利用など資源循環を促進するための新たな制度と事業者支援策の検討を始める。今年1～9月に開いた検討会で提起した政策課題を、秋に開始する審議会で具体化する。繊維産業にサステナビリティー対策の強化がますます求められ、課題が山積する中、政府が後押しする意義は大きい。効果を発揮するには、消費者に理解され、事業者にもメリットがある制度設計と周知の徹底などが求められる。
内閣府の試算で、日本には「眠る働き手」が約530万人いる。パートなどで働く人が一定の収入を超えると手取りが減る「年収の壁」を是正し、働き手のスキルを磨き直すことで潜在的な労働力を掘り起こせるとみる。歴史的に低い失業率でも続く人手不足が、成長の制約になるとの懸念が試算の背景にある。
羊毛繊維の角質層の観点からの改質方法を大別すると、①繊維スケール層をエッチングまたは剥離、②スケール層を良好に保存、 ③繊維スケール層を完全に破壊してケラチンとして抽出する、の3つになる。繊維レベルでは、これらの仕上げ方法には、伝統的な酸化、プラズマ、紫外線照射、生物学的酵素、エマルジョンコーティング方法、および新しいウール繊維仕上げアイデアが含まれる。これらの方法の組み合わせについて述べ、新しい改質方法について解説する。
帝人コードレと、環境コンサルティングのWRサプライとレンゴーは、100％古紙由来の人工皮革用離型紙のベース紙を製造する技術を活用し、再びベース紙や他の板紙製品へのリサイクルを始める。人工皮革用離型紙は、人工皮革製造時に表面に意匠性を付与する工程紙。3社が組むことで使用済み離型紙を回収して再びベース紙や他の板紙製品にリサイクルする枠組みを構築、23年12月ごろに使用済み離型紙のリサイクル開始を目指す。
東レとホンダは自動車用ナイロン6樹脂のケミカルリサイクルに乗り出す。自動車から回収したガラス繊維配合ナイロン6樹脂の部品を高温･高圧の亜臨海水で解重合して原料モノマー(カプロラクタム)に再生する。原料モノマーを分離･精製し、再重合することでバージン材と同等の物性のナイロン6に再生が可能という。両社で共同開発契約を締結し、技術実証を開始した。27年ごろの実用化を目指す。
日本繊維機械学会は、リサイクル原料を使った再生糸の普及を目指す「再生糸普及委員会」を立ち上げた。大学、企業、公設試験場などが連携し、繊維･ファッション産業での再生糸の技術開発･普及と繊維サイクルシステム実現を目指すオープンプラットフォームの構築に取り組む。
日清紡ホールディングスはNEDOの技術開発事業で、海中で無害な成分に早く変換される生分解性プラスチックを開発した。同素材は分子の骨格部分にイオン結合を持ち、海水中のナトリウムイオンとのイオン交換で低分子化される。その結果、生分解する開始点が増えて、生分解が促進されるという。同素材はほかのプラスチックと高温で溶かし、混ぜ合わせやすい構造でプラスチックの物理的性質を大きく損なわない。
ニット糸販売の丸安毛糸は、生成AI(人工知能)を利用したニット作品を発表した。縄を複雑に巻き付けたような構造は、イタリア在住のニットデザイナーがAIにプロンプト(命令文)を入力して生成した画像をもとに、丸安毛糸が制作を担当した。世界初のフィジタル(フィジカル＋デジタルの造語)ニットとして制作されたこの作品は、企画プロデュース会社のスタジオディー･オー･ジーが主催し、渋谷パルコで9月に開催された展示会「NFFT2023ジェネラティブAI×ファッション展」で披露された。
生地商社のデビスは、ウェルネス関連事業と高機能性素材拡大方針の一環として、卵殻膜繊維「オボベール」の編地販売を始める。オボベールは、機能性食品開発･販売大手、ファーマフーズの開発商品。卵殻膜とは卵の内側の薄膜のこと。ファーマフーズは卵殻膜が持つ紫外線カット、抗菌･抗ウイルス、保湿バリア機能などに着目。加水分解した卵殻膜を独自技術で再生セルロース繊維に10%配合することでオポベールの開発に成功した。
ニードルパンチ不織布製造のオーツカは、異素材混合の端材から不織布へのリサイクルに成功した。まだ試作段階であるが、来年の製品化を視野に入れる。同社が進めるリサイクルは従来の反毛では難しい成型品の端材などを一度ペレット化した後、繊維化し不織布に再生する。今回成功したのはポリプロピレンとポリエチレンテレフタレート混の端材からのリサイクルで、カーディング工程が通るほどの強度になってきている。
東亜紡織は、ウールと生分解性ポリエステルとの複合素材「バイオハーモニー」の販売に乗り出す。環境配慮だけでなく強い物性や耐熱性など実用性を兼ね備え、織物ではユニフォーム、ニット糸ではセーターや靴下用途に提案を進める。埋め立て環境下や海洋など適切な環境下であれば、微生物の働きによって水や二酸化炭素に分解する。昨年には紡績糸でウール30%･生分解性ポリエステル70%の48双糸を開発。ニット糸ではウール50%･生分解性ポリエステル50%の36双糸で試作している。
東洋紡エムシーは、生分解性を実現した3次元網状繊維構造体「テルスエコー」を開発した。クッション材として熱可塑性ポリエステル系エラストマーを使った「プレスエアー」と同等の性能を持つ。工業用コンポスト条件(ISO 1485-1、JIS K 6953-1準拠)で生分解性を示す樹脂を原料に使用したもの。コンポスト中生分解性を生かして、市場からの回収やリサイクルが難しい用途の製品でも堆肥化によって処分することができる。
泉工業は織ネームのような精密なデザインや文字表現を追求する記事用途を想定した細いラメ糸を開発した。ポリエステル100％でほそさは35dtex。色は金と銀を揃える。芯は300切(1寸＝約3cmを300分割)のスリット糸で幅は0.1mm。そのスリット糸に8dtexのポリエステル糸を2本使って、S撚りとZ撚りでダブルカバーし、強度を持たせながら細い糸を作った。8dtexの糸は合繊メーカーから供給を受けた。
リサイクルベンチャーの仏カルビオスは、酵素を使ったポリエステルのケミカルリサイクルの実用化に向け、前工程となる古着の自動処理システムを開発した。自動処理システムは、古着や裁断くずなどリサイクル原料を投入するとこれらを破砕し、金属とプラスチック製のボタンやファスナーを複数工程で除去、リサイクルに適した繊維端材だけをまとめる。連続式で、処理能力は1時間300キロ。カルビオスは酵素を使ったPET(ポリエチレンテレフタレート)の解重合で25年に"繊維to繊維"リサイクルの量産を目指している。
北海道大学大学院水産科学研究院の澤辺智雄教授、三菱ケミカルグループらの研究グループは、熱可塑性プラスチックの一種、ポリブチレンサクシネート(PBS)に対して分解性を示す海洋細菌を発見した。同細菌から新たなPBS分解酵素の特定に成功しており、分解促進剤などへの利活用が期待される。研究では、海水中にPBSフィルムを浸漬させて培養し、海洋細菌ビブリオ・ルバーを発見。そのゲノム配列からPBS分解酵素遺伝子の特定に成功した。
クラレは、海洋分解性に優れたジアセテート繊維を開発した。ダイセルの熱可塑性酢酸セルロース樹脂「キャフブロ」を溶融紡糸したもので、従来にない異形断面や複合紡糸で特徴を出していく。アセテート繊維は通常、溶媒を使った乾式紡糸で作られるが、キャフブロを原料にした繊維は、溶融紡糸が可能。光沢やドレープ性に優れ、ドライ感もある。同社が得意とする複合紡糸にすることで、特徴を出していく考えだ。キャフブロは、海洋中でも生分解性があり、国際認証機関TUV(テュフ)の海洋生分解認証を取得している。
瀧定名古屋が開発、販売する太陽光の近赤外線を吸収するレアメタルを練り込んだ糸「ナイロール」が販路を広げている。光吸収発熱や光老化軽減、防透け、遮熱などの機能性が支持され、日常使いのアパレル、スポーツ、インナーウェアなど様々なアイテムに採用されている。ナイロールは住友金属鉱山との協業で、瀧定名古屋がペレットから仕入れて開発している多機能素材。原材料が非常に少量で効果を発揮するため、白色を含めた明度の高いカラーリングが可能。
ジーンズを加工する時の水や燃料、薬品の使用量を低減する機器を開発し販売するスペインのジーノロジアは、オゾン脱色機「G2」をアップグレードさせる設備「インドラ」を開発した。インドラの導入で、従来の50キロから100キロまでの製品を一度に加工できるようになり生産性が向上する。従来のオゾン脱色機による加工では製品を濡らす必要があったが、霧状のオゾンを噴霧することで製品を濡らさずに加工できる。
日清紡テキスタイルは着用時の快適性を重視した素材開発を強化しており、24年夏に向けた新素材を二つ訴求する。一つは、銀の抗菌成分をナノレベルで加工し、脇汗臭の原因菌に効果がある抗菌防臭加工「AGフレッシュアルファ」。もう一つはナイロン混による強度、軽さが特徴の形態安定加工の「タフカル」。ナイロンの特性を維持することが課題だったが樹脂のバランスなどを工夫してクリアした。綿100％シャツ地と比べると約2割(20～30グラム)軽くなる。いずれもシャツやパンツ用途を想定して提案する。
後染めラメ糸メーカーの泉工業は、抗菌防臭、制菌、抗ウイルス加工をしたラメ糸「ベラホン」を開発し、販売を始めた。原料となるスリット糸はSEKマークの抗菌防臭加工マーク、制菌加工マーク、抗ウイルス加工マークを取得している。ベラホンは、同加工をしたポリエステルフィルムを開発した半導体メーカーとの協業で作った新商品。製品(パーツ含む)重量のうち、ベラホンを10％以上(目安)使うとSEKマークを付与できる。
GSIクレオスは、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)と一般財団法人高度情報科学技術研究機構(RIST)と共同研究開発事業を始める。摩擦や摩耗を減らす多機能材料を共同で研究開発し、あらゆる領域に関わる「エネルギー効率の向上」や「省エネルギー」の実現に役立てる。GSIクレオスは20年以上のナノ炭素の基礎研究実績を持ち、炭素系複合材料の開発や加工製造を手掛ける。
あいち産業科学技術総合センターは、連携企業と共同出願している特許技術を応用し、羊毛や綿の生地に抗菌加工する技術を開発した。生地本来の風合いを損なわない上に、加工に使用する抗菌剤は植物素材のセルロースナノファイバー(CNF)を利用することで環境にも配慮した。従来、CNFと抗菌性銅粒子を添加した抗菌剤を開発しており、綿には吸収されやすかったが、今回抗菌剤の配合を検討し改良を重ねることで羊毛にも適した抗菌剤の開発に成功。
糸加工のサンコロナ小田は、糸にあえて起毛をかけて毛羽立たせた独自のポリエステル加工糸「ピーチファズ」を開発した。同社は化学繊維の仮撚、分繊、撚糸などを、国内外の自社･グループ工場で行う。その技術ノウハウを生かして、どこにもない独自の加工糸を開発した。織物にした際の風合いは柔らかくコットンライク。遮熱性、保温性、UVカット、防透性に優れる。
8月31日の株式市場でアシックス株が5日続伸し、時価総額が終値ベースで初めて1兆円を突破した。高機能ランニングシューズの好調や利益率の改善などを背景に投資家の間で中長期的な成長期待が高まっている。8月8日に発表した23年1～6月期の連結決算は純利益が前年同期比83％増の247億円になるなど好調。
M&Aを仲介する、M&A総合研究所が繊維･ファッション分野での取り組みを強化している。最近は「D to C企業や、特にアパレル製造業から譲渡の相談が増えている」ため、同社の特徴である、着手金･中間金などが不要の完全成功報酬型の料金体系、AIも活用したマッチングでの強みを生かせると見ている。
大阪市の浪速区、西成区は古くから皮革産業が発展し、婦人革靴の産地を形成する。しかし、その存在は一般にはあまり知られることなく、産地としては厳しい状況が続いている。そこで、地域住民、地元の学校や商店街も巻き込んだ靴と皮革の祭典「O－ROUND」(オーラウンド)が11月、初めて開催されることになった。これを足掛かりに人や企業が結ばれ、新たな地場産業を生み出すことを目的とする。
日本オーダースーツ技能認定協会は、10月3･4日、スーツ好きによるスーツ好きのための、スーツのイベント「東京スーツフェス」を東京交通会館12階で開催。プレイベントとして10月1日にスーツ愛好家らによる「東京スーツウォーク」も実施。同イベントのオフィシャルサポーターとしてイタリア服地のレダ社、ザ･ウールマーク･カンパニーが運営をサポートする。
量販店向けレディスアパレルメーカーの23年冬～24年春夏向けは、暖冬や猛暑など高い気温を想定したアイテムを充実する。今冬向けを提案するメーカーは、アウターよりもニットアイテムの比率を増やした商品構成で、売り上げにつなげる。来春夏向けを打ち出すメーカーは、麻素材のアイテムで夏らしさや涼しさを演出する。
地方の金融機関が「地域商社」としてアパレル･繊維企業と連携し、地方活性化に乗り出している。銀行は従事できる事業が銀行法で制限されるが、法改正で業務分野を広げられるようになった。本業で培った地域の情報やネットワークを強みに、アパレル企業と連携した地域の課題解決や魅力創出につなげている。
中小メンズブランドでも海外販路を開拓する動きが目立ってきた。欧州を中心に日本の物作りと感性が評価されていることが背景にある。ただし、単発で合同展に出展しただけでは成果は得られない。海外で実績を上げるには継続出展による信頼性を高めることが重要になる。国内の卸売市場が縮小するなか、今後、海外を目指すブランドは増えそうだ。
24年春夏パリ･コレクションは、ロンドンやミラノに続き、ブラック＆ホワイトのカラーパレットが広がっている。素材ミックスのモノトーンに赤を利かせたスタイルも多い。ベージュやネイビー、ピスタチオといったベーシックカラーも目立っている。
奈良の靴下産地がOEM偏重からの脱却を目指し、自立への動きを加速している。自社ブランドを立ち上げるメーカーがさらに増え、先行企業では新たな設備投資や海外市場の開拓が目立つ。
子供服に"元気"が戻っている。トーンを抑えたくすみカラーのトレンドが長く続いていたが、大人同様にビビッドな色使いが増えている。24年春夏展では総柄アイテムやレイヤードスタイルが多く見られ、ストリートのちょっぴりやんちゃな雰囲気も復活している。子供だからこそ着られるものとして、インパクトのある総柄が増えている。幼さを際立たせるよりも、大人も取り入れたくなるような柄がポイントだ。
来年の夏もゆかたやラッシュガードが目立ちそうだ。今年はコロナ禍の行動規制緩和後のはじめての夏と猛暑が重なり、花火大会やプールなどへの外出が増え、ゆかたや水際関連の商品が売れた。アパレルや卸は24年夏に向け、さらに差別化した商品や雑貨などの企画･販売に乗り出す。
韓国で若手ブランドの世界進出が活発だ。行政が有力企業と組み、育成や事業支援に注力している。世界的に"Kカルチャー″への関心が高まり、"Kファッション″の発展機運も高まる。その足掛かりに日本を狙う動きもある。
ファーストリテイリングが、中国で展開する衣料品店「ユニクロ」の店舗販売員の給与について、最大4割程度の引き上げを決めたことが分かった。10月から正社員やパートなどを対象に順次引き上げを決めた。待遇改善で従業員の従業意欲を高めるほか、優秀な人材の採用につなげる。
バニッシュスタンダードのスタイリング投稿アプリ「スタッフスタート」を導入する企業が増えている。ブランド数は2600、23年8月期の同アプリ経由売上高は1748億円となった。デジタルとリアル双方の接客力を評価する大会「スタッフオブザイヤー」では、グランプリにメディア出演の権利を与えるなど、販売員のモチベーションを後押ししている。同アプリは、販売員が撮ったスタイリング写真に商品説明文を書き、自社ECサイトやSNSに投稿するサービスだ。客が投稿経由で商品を購入すると、投稿した販売員の個人の売り上げが分かるようになっている。
繊研新聞が調査した24～25年秋冬テキスタイルキーワードランキングは、「サステイナブル」(持続可能な)が11シーズン連続1位だった。アンケートの対象は、原糸･テキスタイルメーカー、コンバーター、染色加工業、商社。物作りの基礎的な要素となりつつあるワードである。サステイナブルの高まりで2位は「ナチュラル」急上昇したのは「ビンテージ」だった。
都心商業施設に出店するヤングレディス向けチェーン専門店で、今年もミニボトムとロングブーツがヒットしている。ロングブーツは「前年よりも売り上げが伸びている」店もある。ミニボトムはスカートにパンツ、キュロットと様々。脚を出すことに抵抗を覚える人にも、ロングブーツと一緒なら安心と好評だ。ミニボトムの素材で新鮮なのは、フェイクレザーやデニム。ロングブーツは黒がどの店でも断トツで人気。シンプルなデザインで、チャンキーヒールが目立つ。
繊研新聞社が全国百貨店を対象に実施した「購買動向･営業政策」アンケートによると、22年度の入店客数は、行動制限の緩和と外出機会の増加で、ほとんどの百貨店が前年実績を上回った。2ケタ増となった百貨店も多い。客単価も外出機会の増加による消費が貢献し、上昇した。買い上げ率は低下した。衣料品部門も購買客数、客単価ともにほとんどが前年実績を上回り、23年度見通しも客数、客単価ともに上向きが続くとの見方が多い。
セブン&アイHDは、子会社のそごう･西武を米投資ファンド、フォートレス･インベストメント･グループに売却した。売却額は当初、約2500億円で合意していたが、新株主にそごう･西武の「事業の継続、雇用の維持」を今後の事業計画に織り込んでもらうために、300億円減額した。さらに、そごう･西武に対する貸付金1656億円のうち916億円を放棄した。セブン&アイは本業のコンビニ事業に経営資源を集中する。
情報通信のナイルが20～69歳の男女1600人対象にファッション商品のEC利用について8月1日～8日に調査したところ、7割がECで購入経験があった。実店舗での買い物が多いのは20代で6割、最も少ないのが40代であった。ECで購入するメリットは「営業時間を気にしなくていい」が最多で、「価格」「セール･キャンペーン」などECならではのセールやキャンペーンなどのお得感も魅力になっている。
日経MJ卸売業調査22年度では、比較可能な415社を対象とした全14業種の売上高の合計が前年度比4.7％増になった。増収は2年連続。コロナ禍からの経済再開で取扱高は回復したものの、物流停滞のリスクが高まる「2024年問題」への警戒感は強まっている。繊維卸は10.4％増えた。新型コロナの感染拡大が落ち着き、人流が回復。リアル店舗中心に衣料品需要が伸びた。
専門店の値上げの1年―繊研新聞社が毎年実施する「全国専門店アンケート」調査によると、22～23年秋冬から平均価格を上げる傾向が続いている。生産コストの上昇や円安が背景だ。23年春夏物を値上げした企業は回答全体の8割。23～24年秋冬物も7割強の企業が値上げすると答えた。値上げした分、商品やサービスの質を上げ、値上げの理由を丁寧に消費者へ伝えるなど客離れを防ぐ工夫が目立つ。
繊研新聞社の全国百貨店改装･増床調査で、今秋冬は41店が改装する(実施済み含む)。不振が続く衣料品のボリュームゾーンを縮小し、成長領域の特選衣料雑貨、食料品に重点投資する。顧客のライフスタイル、興味･関心事の変化に対応し、来店することが楽しくなる動機付けを創出する。今秋冬の改装は基幹店に重点配分し、選択と集中を強める。婦人服や紳士服に偏っていたフロア構成を見直し、商品領域を横断した新たな編集ゾーンを構築する。
繊研新聞社の全国専門店アンケート調査によると、今春は採用数が前年より「増えた」企業が44%で昨年から増加傾向が続き、「減った」「凍結」の合計を20pt近く上回った。コロナ禍の沈静化で採用活動を強化する企業が目立つ。採用を本格化する中で競合が強まり、内定辞退も増加するなど売り手市場に変化しつつあり、給与引き上げなど人材確保のための対策を強める企業も多いようだ。
繊研新聞社が推定した22年の日本の衣料品消費市場の規模は、2年連続で増加したが、金額、数量ともにコロナ禍前の19年実績には届かなかった。実店舗への客足も戻り、夏物商戦も好調だった。推定市場規模は、8兆8847億円(21年比4.1%増)、19年比は8.2%減。
繊研新聞社推定のファッション商品の22年度消費者向けEC市場規模は約1兆7800億円、EC比率は20.2％になった。伸びは鈍化しているが、初めて20％台に乗った。推定値はネット販売アンケートのほか、22年度の専門店業績アンケートとアパレル業績アンケートのEC売上高に回答のあった107社(EC売上高1000万円以上)をベースに割り出した。
次世代の小売り技術「リテールテック」の特許を分析すると、店やECの未来の姿が見えてきた。米イーベイはウエアラブル端末で血圧など個人の生体情報を、中国のテンセントはテレビと人間の音声を基にお薦め商品を紹介する。これまで以上に便利な買い物体験の実現には、超えるべきハードルもある。アスタミューゼの11年1月～23年3月に210カ国･地域で公開した有効期限の切れていない約4万件弱の特許を分析した結果である。
量販店の3～8月決算が出揃った。衣料品はコロナ禍の鎮静化に伴う人流の回復などに支えられ、22年度に続いて増収となった。ただし、粗利益率は7社中3社が前年同期比で減少しており、改革が求められる状況は変わっていない。
24年の百貨店福袋は、コロナ下での行動制限がなくなり、家族、友人と一緒に過ごす「絆消費」や日常ではできない特別な体験など「コト消費」に対応した企画が増えている。好調な高額品とともに、物価高騰による生活防衛意識の高まりを反映した福袋を用意する。
FBプロフェッショナルへの道は、業界知識の基礎講座、月2回、第2第4金曜日に掲載。今回は日本のファッション市場の規模について。衣料消費市場規模の推移、国内供給量と平均単価の推移、世帯当たり衣料品消費支出の推移、衣料品の支出、価格、購入点数の伸び率が直近10年間のデータとして解説とともに記載され、この十年間の変化が理解できる。
全ク連と(一社)クリーンライフ協会は、クリーニング業界における脱炭素社会実現にむけ、消費者にPRする啓発ツールとしてポスターや小冊子を作成。サステナブル＆クリーニングガイドと題した小冊子は5章からなり、衣類の製造から廃棄までに生じるコストと長期着用が廃棄抑制、サステナブル活動であり、服の寿命維持にクリーニングが一役を担うことなどが消費者に分かりやすく記載されている。
経産省の生産動態統計より、ドライ機、水洗機、コイン向けを含む業務用洗濯機の6月の販売実績は、604台で前年同月比では減少したが、金額は8億1600万円となり13％増加。1台平均価格が昨年11月から増加傾向にある。
日本政策金融公庫「生活衛生関係営業の景気動向等調査」における黒字･赤字企業の割合の差を見る「採算DI」から、23年4～6月期のクリーニング業の景況を見ると、4年ぶりにプラスとなった。利用客数DIはマイナス、売上DI、客単価DIはプラスとなり、客数の減少を値上げで補った形となった。
ふとんや寝具のリサイクル率は2％、年間1億枚が焼却処分されている。ある調査によると各家庭で使用されていないふとんは10億枚以上あるとのこと。布団集配の要望は高く、宅配クリーニング市場は大きく伸びている。布団を洗う習慣は広がりつつある。「布団を洗うと気持ち良い」「洗わずにはいられない」と習慣づくりを目指し、ふとん詰め放題サービスを企画する店も登場し始めた。
23年8月31日付で「クリーニング所における衛生管理要領」が改正された。利用者への苦情申し出先の明示、紙での店頭掲示、書面配付に加えHPの活用等も可能であることが記載。また利用者への洗濯物の処理方法等の説明などの留意事項、クリーニングを行うにあたり特に説明を必要とする場合は利用者に説明し了承を得て適切な衛生環境下で保管する事などが付記された。
総務省統計局の家計調査報告より、7月の一世帯あたりのCL代支出額は、全世帯(二人以上の世帯)で385円となり、前年同月比8.3％減。勤労世帯は470円で9.8％増。
クリーニング生活衛生同業組合は、組合専用のプラットフォーム「御用達クリーニング名鑑」というLINEミニアプリを運用することとなった。これにより、丁寧で腕のいい、相談できて頼りになるクリーニング屋さんを探したい消費者と組合員店との懸け橋となると期待されている。
経産省による業務用洗濯機の7月販売実績は、台数は4か月連続減少の600台、前年同月比では20％減となった。8カ月連続増加だった金額も一変し、6億6000万円に留まり、35％減となった。
生活用品の香りによる頭痛や吐き気に悩む人が増えているとして、配慮を促す動きが目立ち始めた。香りが原因の体調不良は柔軟剤や合成洗剤、香水などによる「香害」とも呼ばれる。詳しいメカニズムは解明されていないが外出や通勤が難しくなったケースもある。国民生活センターによると全国の消費生活センターに寄せられた柔軟剤の匂いなどによる体調不良に関する相談は12年度まで年間数十件程度だった。香りの強い海外製柔軟剤のブームもあり、22年度は209件以降は増加傾向にある。
「洗って着られることは根本的にサステナブル」をより認識してもらうため、「第3回サステナブルファッションEXPO･秋」に、クリーニング業界からも出展となった。中国、タイの縫製業界関係者から取引希望の声やしみ抜き剤への関心が高かったようだ。泡洗浄の実演会では、アパレルのバイヤーから注目が集まった。
総務省統計局の家計調査報告より、8月の一世帯あたりのCL代支出額は、全世帯(二人以上の世帯)で242円となり、5か月連続のマイナスとなった。勤労世帯は279円で前年同月比4.1％減。全世帯、勤労世帯ともに、コロナ禍で最低となったときよりも下回り、最低を更新した。なお、洗濯用洗剤、柔軟仕上げ剤の購入額の増加は継続している。
西川は「西川･睡眠白書2023」を同社HPで公開した。18～79歳男女1万人対象の調査したもので、18年から毎年9月3日に結果を発表している。監修は同社の「日本睡眠科学研究所」。今回は睡眠の満足度など基本に加えて、美容･健康と睡眠の関係を掘り下げ、ダイエット･肥満予防と月経前症候群に関する睡眠調査を行った。不眠判定の国際基準「アテネ不眠尺度」を用いた調査では52％が「不眠症の疑いが高い」約7割の人が不満を持っている。
大丸松坂屋百貨店のファッションサブスクリプション(定額利用)では、顔タイプ、パーソナルカラー、骨格タイプ、好みから無料診断するサービスを開始した。270ブランドが参加、開始から2年半で2万人会員登録、15万着のアイテムがレンタルされた。取り扱い数増加により顧客の利便性向上としてファッション診断により店舗スタッフの支援やAI活用サービスを充実させた。
インターネット上で広告と示さず口コミや個人の感想を装って宣伝する「ステルスマーケティング(ステマ)」の規制が10月1日始まった。広告表示の徹底などが求められ、悪質な場合は刑事罰が科せられる。過去の投稿も全て対象で、遡って対応を終えた企業は1割どまりとの民間調査もある。監視強化のため、消費者庁は通報窓口を設置して情報提供を呼び掛ける。
繊研新聞が四半期ごとに行うファッションビジネス景況･消費見通しアンケートで、7月～9月期は4月～6月より「回復した」が43.4％で前回比5.3pt減少。「悪くなった」は7.5％増加。インバウンド客や外出需要の回復はあったが、生活コスト上昇による消費不振の影響もあった。10月～12月の見通しは、コロナ明けのクリスマス需要増加を見込む企業などからの「良くなる」との回答は37.7％と5.7pt減少し、暖冬予測で冬物苦戦を見込んで「悪くなる」の回答は7pt増加。
夏に活躍したファン付きの衣服、処分方法には注意が必要だ。武蔵村山市から古着として回収されたファン付き作業服が発火する事故があったほか、メーカーも「バッテリーは可燃ごみには絶対に出さないで」と呼びかけている。発火事故は羽村市の工場で一般家庭から古着として他の衣服と一緒に圧縮した際、取り付けられたバッテリーから発火したとみられる。メーカー各社は発火の危険性や処分方法について、主にファン･バッテリーの取り扱い説明書で周知徹底している。
「グリーンウォッシュ」に対し、世界の目が厳しくなっている。火力発電会社JERAの広告「CO2が出ない火をつくる」に対して、「具体的根拠を述べずCO2削減効果を過度に協調している」「誤った印象を消費者に与える」として環境NGOや弁護士等が日本広告審査機構に広告を中止するよう勧告を求めて申し立てた。日本では珍しいが、広告のグリーンウォッシュを規制する動きは欧州で活発だ。
日本百貨店協会が発表した全国百貨店(72社、180店)の9月売上高は、前年同月比9.2％増の4151億円で、19カ月連続プラスとなった。残暑が長引いたが、衣料品や服飾雑貨などが売れた。外出機会の増加で入店客数が10％増えた。売上高はコロナ禍前の19年比が消費増税の駆け込み需要の反動で16.7％減少したが、18年比が2.1％増加して回復基調が続いた。
ゾゾは、茨城県つくば市に11月本格稼働する同社最大規模の新物流拠点「ゾゾベースつくば3」を報道陣に公開した。約100億円を投じ、今後の商品取扱高の拡大を見据えて開設する5拠点目のゾゾベース。つくば市内では3拠点目となる。敷地面積は約6万8500㎡。地上5階建てで延べ床面積約13万7000㎡。自動化を推進し、既存拠点と比較して約30％省人化した。つくば3の建設により、ゾゾベース全体での保管能力は約1.3倍に向上する。
空調服(東京)の空調ベッド「風眠」が売れている。頭側から流入した風がマット内のスペーサーを通り排出される。体と寝具との接地面に生じる熱を放出し、蒸れを防ぐ。エアコンの電気代を抑えながら快適な睡眠が得られる。快眠をもたらすアイテムとして注目されている。
福助は、インナーウェアブランド「満足」で展開している「365日快適調温」のアイテムに紳士用ビジネスソックスを加える。婦人と同様、繊維と組み合わせた調熱カプセルの機能によって温度調整を行い、着用時の快適性を高めた。調熱カプセルは、温度に応じて固体･液体へと変化する。温度が上がると吸熱、下がると放熱するため快適な温度調整につながる。
西川は肌の潤い成分であるビタミンEを繊維に練り込んだ寝具を発売した。睡眠中に肌が触れた部分の体温や摩擦に反応してビタミンEが放出され、それを皮膚や髪が吸収する。布製の寝具だが、化粧品としての効果が期待できるとして医薬品医療機器等法による「化粧品」として届出をしている。
グンゼはレディスインナーブランド「キレイラボ」で360度、骨盤をサポートできるガードル「軽Makeガードル」の販売を開始した。骨盤まわり、お腹まわりのパワーネットを二重にすることで骨盤を優しくサポート。ウエスト部分は折り返しと段差ができにくいヘム仕様の組み合わせで、ゴムを使っていないため座ったときも楽という。ロングガードルとショートガードルをラインアップする。
ウェアラブル猛暑対策品に関心が集まっている。ペルチェ素子を使った猛暑対策品は、通電すると熱を移動させ表裏でそれぞれ吸熱･発熱する性質を利用するウェアである。水冷式猛暑対策品は、冷水が冷却チューブ内を循環し、上半身全体を冷やす仕組み。
吸湿発熱繊維は、暑い時には発熱効果が高くなり過ぎたり、寒い時には発熱効果が低いなどの問題がある。潜熱蓄熱材を芯物質とする蓄熱マイクロカプセル未付着の吸湿発熱不織布の発熱時間は1分20秒間しか無かったのに対し、蓄熱マイクロカプセルを167％付着させた吸湿発熱不織布の発熱時間は8分20秒間であり、吸湿発熱特性が改良された。
ロイネは「タイムイズライフ（時は人生）」と題して、年齢ごとの着心地を追求したインナーを揃えた。40～80代の女性を主なターゲットに、「ラブミー」「メノポーズ(更年期)」「ロンジェビティ」「メンテック」「タイパ」の5テーマを提案する。年齢によって変化する女性の体に合わせたナイトブラ、閉経後の膣乾燥を解決する保湿素材のショーツ、高齢者が介護に頼らず自ら着用できるインナー、男性の腰痛改善に役立つ骨盤サポート付きのボクサーパンツ、保湿性の高いミルクプロテインを練り込んだナイトウェアなど年齢の悩みに応じ機能付与したインナーウェアを紹介する。
HLコーポレーションは着るだけで血流を促す高機能ウェア「リフランス」の23年秋冬商品発表会を開いた。商品には、数種類の天然鉱石によるミネラル混合体を含浸させた特殊な繊維や生地を使う。体温の輻射により、鉱物が発する微弱な遠赤外線が副交感神経に作用し、血流促進効果がある。
日中放射冷却素材とは、太陽光の下で放射冷却の原理を活用することで外気温より受動的に低温となる素材である。この素材をテント生地として用いて実証実験を行ったところ、エネルギーを消費することなく普通テントに比較して10℃低い涼しい空間を作ることができた。
漁師は長い時間、船上で過ごすため足が疲れやすく、蒸れたり、靴下がずれたりする。漁師の足元の悩みを解消するために助野が開発した高機能靴下は、蒸れが気になるつま先からくるぶしにかけて吸水速乾性に優れた和紙糸を使用する。足の負担を軽減するために、つま先とかかとと足底にパイルを採用した。ずれを防ぐために、足裏にはゴムサポートを入れた。
ウェルネス関連事業のテンシャルは、「バクネ」シリーズの全てのウェアで「家庭用遠赤外線血行促進用衣」として届け出を完了し販売を始めた。同社は特殊繊維「セルフレーム」を使い、体が発する遠赤外線を利用した放射熱で血行を促進するウェア主力のブランド「テンシャル」を企画･販売している。
安全衛生具製造販売のミドリ安全は、防爆エリアに対応した電動ファン(EF)付きワークウエア「クールファンEF」を新たに開発した。産業安全技術協会の検定審査に合格しており、24年4月に発売を予定する。爆発や火災リスクの高いガソリンスタンドや化学工場、石油･ガス･プラント、研究施設など防爆検定品でなければ使用できないエリア内での作業向け。
ユニクロは、機能性インナーウェア「ヒートテック」で新商品を投入した。同商品で最も薄い「ヒートテックウルトラライトタートルネックTシャツ」(婦人用)を展開。従来のヒートテックと比較し、約20％の軽量化に成功した。極細繊維をふっくら編み上げることで、エアーポケットが温かさをキープ。滑らかな着心地、程よい透け感、豊富なカラーバリエーションが特徴になっている。
モリリンは、ゴルフに絞り込んだ24年春夏向け展示会を開催した。新素材「エボドライ」は、表面にポリエステル、裏面に疎水性のポリプロピレンを使い、肌面をドライに保つ。肌離れ性や通気性が高く、ストレッチ性も備え、立体メッシュ構造で汗冷えしにくい多機能素材である。
エコテックス国際共同体はPFAS(有機フッ素化合物)の対応方法など公式見解を発表した。23年1月に繊維･皮革･アパレル･履物での全面使用禁止を発表し、4月には製品クラスⅠに適用、順次Ⅱ～Ⅳへの規制も順次開始する。その目標はフッ素使用禁止でなく、PFASの意図的な使用を防止することだ。エコテックスの分析試験には法規制されている全てのPFASを個別に測定し各国の法律に準拠していることを確認する方法と抽出可能な有機フッ素化合物の総量を測定する方法がある。
昭和女子大学環境デザイン学部とシキボウの取り組みの一環で、学生は裁断くずやC反、中古衣料を原料に反毛工程を経て新しい糸アップサイクル工場見学を実施した。シキボウグループのナイガイテキスタイルは不要となった繊維の素材、製品をアップサイクルする独自の仕組み「彩生(さいせい)」を手掛ける。同学部で非常勤講師を務める田井中慎フォーサイクル代表は「彩生の糸はレギュラー糸より20%程度コストが高い。20%のコストを価格に転嫁して売れる商品を考えないといけない。価格に対して納得してもらえる商品のストーリーも考える必要がある」という。
大阪重症心身障害児者を支える会は、11月に大阪でファッションショーを開催する。学校や企業が協賛し、全ての人が平等にファッションを楽しむため、障害者自身が発信し達成感を味わい、福祉や人権問題に目を向ける機会を作る。
メタバース(ネット上の仮想空間)のビジネスへの活用が広がっている。どこからでもアクセスできる点を生かし、バーチャルオフィスや会社説明会、就労支援など、時間や物理的な制約なく、人と人が交流するプラットフォームとして構築され始めた。
「大規模災害に対する衣類支援の現状と行政備蓄の実現に向けて」をテーマとしてファッション素材センター(FMC)が主催するセミナーが開催された。衣料に関する災害支援研究会の須田氏は濡れた衣服のまま避難した被災者の命を救う上で、「衣料」の大切さを強調した。津波･洪水の被災者の着替えとなる衣料品の備蓄は極めて少量で、想定に見合わない。防寒着と着替え一式が命を守ると問題提起した。
コロナ禍が落ち着き、街に人流が戻り、インバウンド需要も回復しつつある。大手企業を中心に業績も回復傾向にある一方、帝国データバンクによれば、繊維･ファッション関連の倒産件数が23年上半期前年同期比31.6%増となった。急増している。今後もコロナ対策で実施された実質無利子･無担保融資の返済が迫る。また、金融機関への返済条件が緩和されても、社会保険料の取り立てが厳しくなっており、"社保倒産"という言葉も聞かれる。
北陸の大手繊維メーカーのカジグループが自社ブランドの確立へ舵を切る。欧米のラグジュアリーブランドへの生地提供に加え、東京･銀座などで自社ブランドの衣料･雑貨ショップを展開。24年には石川県かほく市にファクトリーパークを開業し、消費者に認知される生地ブランドを目指す。「洋服の価値に占める生地の割合は本来高いはず」と価値を価格に反映させられるよう消費者へSNSやリアル体験などを通して広めていきたいと語る。
衣料品の検品を手掛ける桑原は、人工知能(AI)による画像認識で金属破片や針など異物を見つけるX線検査機を開発した。異物を検知するとアラート音を鳴らし、異物の位置を画面上に表示して作業員に知らせる。熟練の検査員不足に対応し、アパレル関連メーカーやクリーニング会社、物流会社などに売り込む。
発行：一般社団法人日本衣料管理協会 会長：島崎恒藏／発行人：亀井良彦