TAの集い:レポート

2023年度

「衣料管理士の集い」3支部合同見学会

日 時
2023年11月17日(金) 14:00~16:30
見学先
株式会社艶金 本社工場

〔概 要〕
はじめに会社の事業内容やSDGsへの取り組みについて説明していただきました。廃棄する木材チップを燃やしてボイラーをたくバイオマスボイラーや、食品や植物の残渣や枝葉を用いたのこり染などについて紹介していただきました。またそれらの取り組みを知ってもらうために学生に向けた講義を行ったり、ショッピングモールでワークショップを行ったりして積極的に地域の方との交流を図っていることに関心を持ちました。自社ブランドのretricot(リトリコ)では工場内の使われない眠る生地を再利用して、衣料品を企画から販売までしていることを知りました。商品は売れ残りが発生しないように、注文が入るごとにつくっているそうで、過剰生産・環境配慮への意識の高さに驚きました。
次に工場内を回りながら各工程や機械を見学させていただきました。生機(きばた)を保管する自動倉庫にはじまり、染色、乾燥、検反、包装、品質管理まで盛りだくさんで見せていただきました。見学時に稼働している機台も多くあり、簡単そうに手慣れた様子で作業される方たちの姿を見て感動しました。染色機の中には、通常の染色よりも少ない浴比で染色できる機台などもありました。積極的に省エネルギーに取り組んでいることと同時に、色んな種類の染色機を使い分けできるすごさも感じました。
染色現場以外のものでは、バイオマスボイラーやのこり染で用いる食品や植物の現物などを見せていただきました。なかでもバイオマスボイラーで用いる木材チップを保管している倉庫は圧巻でした。毎日トラックで運びこまれてくるそうです。他にも太陽光パネルのついた社員さんの駐車スペースや、社員食堂で出る生ごみを段ボールコンポストで堆肥化し、その肥料を用いた畑での野菜づくりなどを見せていただきました。
ビジネスとして成立させるためには様々な壁があるSDGsの取り組みですが、艶金さん取り組みを知ることで自分たちにはどんなことができるのか改めて考える機会になりました。
 

「関東衣料管理士の集い」勉強会

日 時
2023年11月2日(木)14:00~16:00
テーマ
ポリウレタン樹脂の基本・応用・耐久性
~合成皮革に使用されるポリウレタン樹脂を中心に~
講 師
京都女子大学 家政学部 教授 榎本雅穗氏
場 所
東京都南部労政会館 第四会議室

〔概 要〕
「合成皮革・人工皮革とは何か?」という基本的なところから、「人工皮革・合成皮革の製造方法」「ポリウレタン樹脂の構成と特徴」「ポリウレタン樹脂の劣化」「耐久性評価方法」、近年注目されている「環境対応型の人工皮革・合成皮革」「サスティナブルレザー」「ヴィーガンレザー」などの大変盛りだくさんな内容でした。
講師の榎本様は、合成皮革に使用する樹脂メーカーで研究のお仕事をなさっていたご経験もあるとのことで、現場に近い具体的なお話も伺うことが出来ました。また、難しくなりがちな構造の説明では、身近なものに例えるなど平易な言葉に替えてわかりやすくご説明頂きました。更に、有機溶媒の規制と国内工場の現状や環境にやさしい製造方法の考え方などについても学ぶことが出来ました。また対面ならではの良さですが、さまざまな合成皮革の見本もお持ち頂き、風合いや厚さ、手でつかんだ時の感触などを実際に体験することが出来、大変充実した勉強会となりました。

 

「関西衣料管理士の集い」見学会

日 時
2023年10月17日(火)13:00~15:00
見学先
株式会社ナンガ

〔概 要〕
寝袋、アパレル製品と幅広く展開されている株式会社ナンガ様に見学をさせていただきました。
羽毛を取り扱う工場の見学は初めてで、吹き込み体験もできるということで楽しみにしていました。
まず始めに会社概要の動画を拝見した後に裁断場、縫製場、検品場、吹き込み場など各場所を順に見学しました。
裁断場では生地1枚でも裁断をしているという細やかな働きに驚き、縫製場にはチームウェアとして様々なデザインの自社商品を身につけた多くの技能実習生がおられ目を引きました。皆さんがお互いに指導しあい、技術を継承している姿を見て、色々と気付きがありました。
羽毛の吹き込み場では羽毛まみれになりながら、思った以上に軽い羽毛に苦戦しながら【羽毛を詰める】という貴重な体験をさせていただきました。工業用ミシン縫いのご指導もいただき、無事にクッションに仕上げることができました。
充填される羽毛については多くの質問が飛び交い、参加者の興味の高さが伺えました。
全国のお客様に愛されている商品はリペアも受けておられ、海外展開もなされていく中でファンは世界中に広がるのだなと感じました。
 

「関東衣料管理士の集い」勉強会

日 時
2023年9月27日(水)18:30~20:30
テーマ
「基礎シリーズ:染料と染色」
講 師
杉本 忠昭氏
場 所
東京都南部労政会館 第三会議室

〔概 要〕
講師の杉本様は染料メーカーである日本化薬(株)に在籍されたのち、(一財)日本繊維製品品質技術センターにて品質試験にも携わされており、染料メーカーの知識を基に製造や品質に必要となるお話をしていただけました。
例えば、単語としては知っている「前処理」や「後処理」の内容について、合繊や綿によって何が異なるのかを、具体的な工程や処理内容の説明を基にお話しいただけたことで、起こりえる不具合の想定に役立てることができたり、染料のお話では素材ごとの染色可能な染料の種類だけでなく、「塩素に弱い」「高価になる」などの染料の特徴を合わせてご説明いただき、正に、基礎知識の習得となるご講演でした。
染料と染色に関するお話を「染色」「染料」「染色堅牢度」「染色法・染色機械」に分けてお話いただいたことで、様々な職業の方が多方向から勉強できる内容であり、大学で何年もかけて学ぶ内容をぎゅっと凝縮されたような充実した時間となりました。
 

「関西・中部衣料管理士の集い」勉強会

日 時
関西支部:2023年9月1日(金)18:30~20:30
中部支部:2023年9月2日(土)13:30~15:30
場 所
関西支部:大阪工業大学梅田キャンパス OIT梅田タワーセミナー室202
中部支部:名古屋会議室 名古屋伏見駅前店 第6会議室
テーマ
「骨格スタイルセミナー」
講 師
株式会社阪急クオリティーサポート
骨格スタイルとカラーのアドバイザー 吉田優子氏

〔概 要〕
両支部ともに久々の対面開催となった今回の「骨格スタイルセミナー」では、骨格からストレート、ウェーブ、ナチュラルの3つに区分し、似合うスタイルや素材などについての講義の後、講師が参加者一人ひとりにスタイル分析を行いました。色々なアイテムを身につけた各スタイルの代表者を例にしたスタイル分析の実演、解説はとても分かりやすく、大変好評でした。ペアで申し込まれた方も多く、骨格診断中にはお互いの様子を写真や動画に納めている姿が見られました。
カラー診断では、同じ色でも似合う色味、似合わない色味があることにとても興味が湧きました。自分に似合うものが分かり、それを身につけることで自信につながり、より充実した日常が過ごせるようになるのではないかと思いました。
講演終了後には、カラー診断の相談や卒論に関連した質問が多くありました。雑誌やネットの記事だけでは分からないポイントなど、実演を交えながら詳細にお話しいただき、後日参加者の方からとても楽しかったとのご感想をいただきました。

「関東衣料管理士の集い」勉強会

日 時
2023年7月27日(木)14:00~15:30
場 所
Microsoft Teamsを使用したオンライン勉強会
テーマ
「Depart de Loop~循環型社会の実現を目指して~」
講 師
株式会社髙島屋 MD本部 バイヤー 橋 祐介氏

〔概 要〕
髙島屋様がデパートとして取り組む循環型プロジェクト「Depart de Loop(デパート デ ループ)」について株式会社髙島屋の橋様にお話しいただきました。
「Depart de Loop」は"新しい生活サイクルへの出発"という意味が込められている造語で、リサイクルに対し先進的な技術を持っている複数の企業と協業し、不用品を回収・分別・リサイクルを行い、再生した素材で新たな商品を製造・販売するという「販売・回収・再生」のスキームによりサステナブルなビジネスモデルを推進するプロジェクトです。その中から、再生ポリエステル、カシミヤ、デニムの取り組み事例をご紹介いただきました。製品の回収やリサイクルのスキームはもちろんですが、ブランドとのコラボや産学連携等により再生した繊維を使用した製品を生み出すなど、どのようにして製品に付加価値を与えるかということにも注力されている点がとても印象的でした。また、衣料品の分野だけでなく、メイク用品・容器、陶器、ビニール傘などにも循環領域を拡大していくとのことなので、今後の取り組みに注目したいと思いました。
ESG経営の推進、サステナブルなものづくり等、どの企業においても取り組まなければならない課題への意識づけができ、大変充実した勉強会になりました。