〔概要〕
江戸時代より履物の町で靴を地場産業として発展してきた台東区で、90年の歴史ある皮革卸業を営んでいる富田興業㈱では、皮革の基礎知識や、トレンド゙傾向等のお話をいただきました。また、ショールームでは異素材を貼り合わせたものや、皮革にフロッキー加工をしているもの、実際に有名ブランド゙で採用されたバッグ等の貴重なサンプルも見せていただき、とてもわかりやすく勉強になりました。
長坂染革㈱は4代続く、なめした革をやわらかい表情にしたり、プリントや染色等の2次加工を行っている工場で、単純に革を染色すると言っても工程が10以上もあり、一律の順番も無く、一番良くできあがる方法を考えて革に合わせた工程を都度組み合わせているそうです。皮革は温度を高くして染色することができず、またやり直しができないことや乾くと色が変わってしまうことがある為、手間と時間を掛けて染色や加工を行っている職人の技を見学することができました。
参加者からの質問も多く、皮革についてより身近に感じることができる充実した会となりました。
〔概要〕
小売業では、「保管していたらコートに穴が開いた」「防虫剤を入れたいたのに虫に喰われた」など繊維害虫が原因のお申し出が多く発生しています。
そこで、生活環境で出会う昆虫やダニの検査や試験をしている株式会社ビアブルの田中様をお招きし、繊維害虫の生態や防虫剤の種類による効果の違いや効果的な使い方をご紹介頂きました。
当日は飼育されたヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、コイガの幼虫等をお持ち頂き、「気持ち悪い~」という声が上がる一方で顕微鏡での観察もさせて頂きました。繊維を食べる虫たちは、新しい住宅街には少ないとのこと、また、日頃から部屋のお掃除や保管場所の整理整頓を心がけることで生育環境を減らすことができるそうです。防虫剤だけに頼らない防虫対策を工夫してみたいと思いました。
平成24年11月14日(水)15:00~17:00
〔概要〕
講演では工業用ミシンの油を使わないドライ技術や縫製品の厚みに合せて押えの高さを変化させる技術や、生地に印刷する際に生地を生かしたりプリントを鮮明にしたり、簡単な調整で印刷する技術などを紹介いただきました。実際プリントされた物を手にして色彩や風合いでバリエーション豊かにプリントできる事を実感し、参加者からは感心の声と共に更に多くの質問が挙げられました。
施設見学では世界のミシンの歴史を辿りながらブラザー工業としての歴史も紹介いただきながら、レプリカでも実機では珍しい初期のミシンを見たりして、最新鋭のミシンで作られた刺繍の造花を前にしてその精巧さには驚かされました。プリントの実演では印刷の瞬間を間近で見学し、質問している間に仕上げプレスまで出来上がる早さも一つの技術だと感じられました。
〔概要〕
泉工業様では資料やサンプルを見ながらラメの構造やトラブル事例、混用率などを勉強して工場を見学しました。特に、ラメの構造では、蒸着する金属の種類とコーティング剤によって硫黄やダメージ加工への耐性が変わることなどが勉強になりました。
ハッピー様では、独自に開発した機械を使用しての「無重力洗浄」や手作業による洗浄・仕上工程を見学しました。見学前に実際のお客様からの依頼品を確認、見学終了後に仕上がった商品は「よみがえる」という言葉がぴったりな仕上がりで、一同から歓声があがりました。また、カメラを使用した徹底的な管理システムは、仕事の質の向上のために参考になりました。
今回は、定員15名のところ、定員を超える申し込みを頂いたため、お断りをした方を中心に急遽2回目の見学会を行いました。ご協力くださった泉工業㈱様、㈱ハッピー様には、改めてこの場を借りてお礼を申し上げます。
平成24年10月11日(木)15:00~17:00
〔概要〕
レースの持ち味をはじめ、種類の見分け方・産地・製造工程・強度・染色・寸法変化・検品・事故関連など、多岐に渡りお話をいただきました。
レースであるための染色の難しさや寸法変化などレース特有の性質があるとのことでした。見分け方については、実際にレースを見ながら教えて頂き、とてもわかりやすく勉強になりました。
また、参加者からの質問も多く充実した会となりました。
平成24年7月27日(金)18:30~20:00
〔概要〕
カシミヤといえば、高級な素材の1つでありますが、近年は手ごろな価格のカシミヤ製品も増え、カシミヤ製品に触れる機会も多くなっています。でもカシミヤやぎの飼育状況、カシミヤ糸の生産はどんな風に行われているのか等、意外と知られてないことも多くあります。そこで、今回はカシミヤ生産の実際について学ぶために、生産や製品の買付など幅広くカシミヤ製品に携わっておられる西川リビング㈱ 穐近様を講師にお招きし、産地の状況、繊維価格の動向や、カシミヤ毛布のクレーム事例についてお話を伺いました。
世界でも特に優れたカシミヤの産地である内蒙古にも足を運ばれ、雄大な自然の中で群れをなすカシミヤやぎの写真も見せていただきました。温和な顔のカシミヤやぎですが、餌である草を根っこまで食べてしまうため、砂漠化の原因にもなっているそうです。
カシミヤ毛布のクレーム事例の中では、ピリング、破れや虫食い等もありますが、やはり高価な商品であるため、「アクリルの毛布よりも暖かくない」などの消費者の商品への期待値とのかい離によるお申し出をいただくこともあるそうです。そのような場合、やはり顧客対応は難しくなってしまうそうです。
カシミヤ製品に限ったことではありませんが、商品の価格と消費者の期待に相応する性能が比例しないことを、消費者に理解してもらうことの難しさを改めて感じました。
平成24年7月24日(火)18:30~20:00
〔概要〕
今回の勉強会は「薬事法」をテーマにBMLフード・サイエンスの太田氏を迎えお話を伺いました。
繊維製品だけではなく、私たちが普段から使っている化粧品・医薬品・医療機器等、広範囲にわたるお話であり、とても興味深く聞くことが出来ました。何気なく目にする店頭ポップや広告、商品ラベル等には、薬事法に反する文言が数多く記載されていることも、改めて知ることが出来、注意深く見るようになりました。
近年、アパレル業界では繊維製品以外に取扱う商品が多様化している為、他分野の知識も必要とされています。消費者に安心して商品を購入して頂く上で、正確な情報が伝わるよう、今回のお話を参考に、今後の表示決定や業務に役立てていければと思います。
〔概要〕
今回の勉強会では、トレンド素材傾向から見る取扱い注意について、企画設計の立場からお話をして頂きました。
トレンド傾向や素材別の特徴・注意点を豊富な写真で見せて頂き、また、メルトンやスムースなどの生地別のお話を生地サンプルを触りながら聞くことができ、より理解が深まりました。
質疑応答では、合成皮革(ポリウレタ)ンの劣化について、「反物を在庫として保有する期間をできるだけ短くして欲しい」「生地の製造時期を追跡できないかのか」等の意見が出されました。また、消費者クレームの詳細が生地商社まで正確に伝わっていない、逆に生地商社からの情報も川下まで伝達できていない状況から、引き続き、情報交換していく必要があると感じました。
〔概要〕
中国内販における品質表示・品質性能等の基本について日本国内での基準と比較しながらお話いただきました。
主な法律は、製品品質や表示に関わるものなど日本同様厳しく制定されており、それらを管理する機関では生産段階や店頭での製品の抜き取り調査も行っているとのことでした。
サイズ、組成等の表示に関しても細かくその方法が指定され、その標準にも国家、地方、企業等の種類があるため、日本国内での基準との違いも含め注意する必要があると感じました。
またよく見られる不合格項目や、乳幼児製品で増加している問題など、事前に対策可能な事柄を聞くことができ、今後の業務で見直していくべき点を知ることができました。
今回は量販店、卸売業、検査機関等繊維製品に携わるあらゆる分野の方にご出席いただいたため、最後には活発な質疑応答があり、今後の中国内販の重要性を強く感じました。